JP6164040B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は気泡ならびに介在物系欠陥の少ない高品質の鋳片を製造するための、連続鋳造の鋳型内流動を電磁力にて制御する方法に関する。
連続鋳造プロセスにおける鋳型内での溶鋼流動は鋳片品質を大きく左右する。そのため、鋳型内での溶鋼流動をいかに制御するかが極めて重要である。電磁力は非接触で鋳型内の溶鋼流動を制御できるため、従来から活用され様々な方法が検討されてきた。鋳型長辺背面に電磁攪拌装置を設置し、相対する長辺でそれぞれ逆向きの推力を付与することで鋳型内湯面近傍の水平断面内で旋回流を形成する方法が広く用いられている。その際、電磁攪拌装置と湯面との位置関係、電磁攪拌装置とタンディッシュから鋳型内に溶鋼を供給する浸漬ノズル吐出孔との位置関係、ノズルから吐出する溶鋼の流速と攪拌流速との関係については従来から検討され、様々な技術が開示されている。例えば、特許文献1では、浸漬ノズル吐出孔における磁束密度が電磁攪拌装置の最大磁束密度の50%以下である位置に浸漬ノズルの吐出孔を設置する方法が開示されている。また、特許文献2では、浸漬ノズルの吐出角度を35°以上75°以下とし、吐出口を電磁攪拌装置のコア(鉄芯)の下面よりも低い位置になるようにする方法が開示されている。
溶鋼に作用する電磁力は、磁束密度B、周波数fを用いて表現すると、B2fに比例する。そのため、それぞれの周波数fの条件で鋳型内での磁束密度Bを測定し、B2fを求めその値が最大となる周波数を一般的に選択する。例えば、鋳型背面に電磁攪拌装置を設置した小規模実験装置において印加した周波数と先に示したB2fとの関係を調査した結果を図1に示す。なお、縦軸は12Hzの条件での測定値から求めたB2fにて規格化した値をプロットした。この条件ではB2fが最大値を示す12Hzを選択する。ここで、B2fが最大値をとる周波数が存在するのは、周波数の増加とともに誘導電流が増加するため、電磁力は増加するものの、周波数が過大になると銅板による誘導ロスが無視できないことによる。
また、鋳型内壁面から15mmの位置に真鍮板を設置し、電磁攪拌装置を駆動させ真鍮板に作用する力を歪みゲージ等を用いて測定しこの値が最大となる条件で鋳造する場合もある。
なお、ここで述べた方法は溶鋼がない状態での磁束密度の測定結果や推力の測定結果に基づいて溶鋼中に作用する電磁力を求めたものであって、実際の鋳型内溶鋼中での電磁力分布が周波数によってどのように変化し、鋳型内で成長する凝固シェルが存在する条件下においてどのような周波数を選択するかについては十分な検討がなされていなかった。
特開2001−47201号公報 特開2004−42062号公報
日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧II製銑・製鋼」第619頁
以上述べたように、従来の技術は電磁攪拌による攪拌流と浸漬ノズルからの吐出流および吐出反転流との干渉を幾何学的な配置やオフラインでの磁束密度の測定結果、推力の測定結果をもとに電磁攪拌装置のコア高さや浸漬ノズル吐出孔との位置関係について検討したものであって、実際の鋳型内溶鋼中での電磁力の分布や凝固シェルの存在を考慮して検討されたものではなかった。そこで、本発明は実際の鋳型内溶鋼中での電磁力の分布や凝固シェルの存在を考慮し、電磁攪拌の有する機能を最大限活用して、最も好ましい形の流動を造り出し、高品質の鋳片を製造する方法を提供することを目的としている。
本発明の構成は、以下の通りである。
(1)水平断面内で旋回流を形成する電磁攪拌装置を鋳型内湯面近傍に設置し、連続鋳造の鋳型内流動を制御する方法において、鋳型銅板厚みDCu、鋳造速度Vc、ノズル浸漬深さL、電磁攪拌装置の印加周波数f、銅板電気伝導度σを以下の関係式を満足するように調整することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
Cu(1/(2σωμ))<DCu+k√(L/Vc) (i)
ここで、ω=2πfは角周波数(rad/s)、μは真空の透磁率(N/A2)、kは凝固シェル成長速度係数である。
(2)(1)において、水平断面内で旋回流を形成する電磁攪拌装置よりも下側に幅方向に一様な磁束密度分布を有する直流磁界を鋳型厚み方向に付与する直流磁界発生装置と併せて使用することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明の連続鋳造方法を用いることで電磁攪拌装置は同じであってもコイルに通電する周波数を変化することで、攪拌領域をメニスカス近傍のみに作用させることや浸漬ノズル吐出孔域まで作用させることで攪拌領域を最大限活用することも可能となる。さらに、本方法を電磁攪拌装置の下側に直流磁界を発生させる装置と組み合わせて鋳造する方法においては、攪拌領域を最大限活用することで、特に直流磁界によって攪拌流の一部が制動される領域での攪拌流速が加速されるため好適である。
シミュレータにて周波数とB2fとの関係を調査した結果である。 電磁攪拌装置ならびに移動磁界ならびに鋳型内溶鋼中での電磁力の形成状況を模式的に示したものである。 周波数により銅板での誘導ロスが変化することで、鋳型内溶鋼中での電磁力の深さ方向分布に違いが生じる機構を模式的に示したものである。 電磁場解析の結果、鋳型内溶鋼中に形成される電磁力について、鋳型銅板表面から電磁力がどのように減衰するかを示したものである。 周波数による電磁力の減衰ならびに凝固シェルにより、実質的に溶鋼中に電磁力が作用する領域を模式的に示したものである。 鋳型内での電磁攪拌装置、浸漬ノズルの位置関係を模式的に示したものであり、(a)は平面図、(b)は正面断面図、(c)は側面断面図である。 本発明の周波数と表皮深さの関係を示したものである。 電磁攪拌装置と直流磁場発生装置を用いて鋳型内流動を制御する方法における位置関係を模式的に示したものである。 電磁攪拌装置と直流磁場発生装置を用いて鋳型内流動を制御する方法において、湯面から深さ方向での攪拌流速の分布を模式的に示したものである。
図2に模式的に示すように、鋳型長辺背面に電磁攪拌装置を設置することで、鋳型内溶鋼中に磁束密度の鋳型厚み方向成分By、誘導電流の鉛直成分Jzならびに、両者の外積の結果得られる電磁力の幅方向成分Fxを形成することで、溶鋼中に移動磁界と同じ方向の推進力が付与される。さらに相対する長辺でそれぞれ逆向きの推進力を付与することで鋳型内湯面近傍の水平断面内で旋回流を形成する方法がひろく用いられている。溶鋼中に形成されるその攪拌領域における電磁力の深さ方向分布については、鉄芯中心が最も強く、上下に対称な分布を有しているものと考えられてきた。加えて、鋳型表面からの厚み方向分布については鋼の電気伝導度と周波数によって決まる表皮深さに従うものと考えられてきた。しかしながら、発明者らの詳細な検討により、周波数ならびに銅板の電気伝導度によって、溶鋼中での電磁力の分布が左右されていることを知見した。
以下、得られた知見について説明する。溶鋼中の電磁力の分布を(1)溶鋼中深さ方向分布(図中z方向分布)と(2)厚み方向分布(y方向分布)の2つに分けて考える。この両者に電磁攪拌コイルと溶鋼の間にある銅板が大きく影響を及ぼす。
先ず(1)の電磁力の深さ方向分布(図2中のz方向分布)について説明する。前述したように、電磁力の深さ方向分布は鉄芯中心に対して対称になるように思えるが、図3に模式的に示すように、鋳型銅板による誘導ロスがかなり大きく、かつコイル中心の上と下で誘導によるロスが異なり、上方のロスが小さいことがわかった。このため、電磁力の分布がより湯面側にシフトする、すなわち、電磁力のピークがコイル中心よりも上方にシフトする。この理由は図3を用いて以下のように説明される。電磁攪拌装置の場合、コイルは鉄芯の周りに縦にまかれるため、電流は上下方向に印加される。そのため、銅板に誘導される電流も銅板の上下方向となる。本発明のように鋳型内湯面近傍で旋回流を形成する方法においては、電磁攪拌装置を鋳型内湯面近傍に設置される。くわえて、鋳型内での湯面高さは鋳型上端から50mm〜200mm程度に位置付けられる。そのため、コイル中心と銅板の上端、下端との距離を考えると、鋳型下端とコイル中心との間の距離が長いため、誘導電流が流れやすい下部において、より誘導ロスが大きくなる。そのため、上部と下部では下部において誘導ロスが大きいため、電磁力のピーク位置が上方にシフトする。この現象は周波数が高いほど顕著である。
一方、相対的に周波数が低い条件では、図3下段に示すように誘導ロスが全体的に小さくなる。またその誘導ロスが小さくなる効果は誘導が大きいコイル下部で大きい。その結果、上、下部のロス分はともに小さくなるものの、その減少代は下部の方が大きいため、電磁力のピークが下方にシフトする。すなわち、周波数によって電磁力の深さ方向分布に違いが生じる。
次に、電磁場解析ソフトを用いて電磁攪拌装置によって溶鋼中に形成される電磁力の厚み方向分布(図2中のy方向分布)を調査した。評価に当たって、溶鋼中の電気伝導度については溶鋼の電気伝導度(7.22×105S/m)を用い、透磁率を4π×10-7N/A2、印加周波数を4.5Hzとし、深さ方向(図2中のz方向)コイル中心部における電磁力(N/m3)のy方向分布を算出した。結果を図4のプロット(■)に示す。図4の横軸は凝固シェル表面からのy方向距離である。また、プロット(■)を指数関数として近似した結果、図4の実線を得ることができた。実線は、
F=5944.2×exp(−24.82×y) (ii)
となり、相関係数はR2=0.9898であった。
従来、電磁攪拌装置によって励起される鋳型内溶鋼中の磁力B及び電流Iの厚みy方向分布は、一般的に導電体(この場合は溶鋼)の電気伝導度σ、透磁率μ、印加磁場角速度ωによってきまる表皮深さδ1を用いて、以下のように定まると考えられていた。なお、表皮深さδとは、値が1/eに減衰する距離を意味する。
B=B0×exp(−y/δ1) (iii)
I=I0×exp(−y/δ1) (iv)
δ1=√(2/σωμ) (v)
ここで、B0、I0はy=0における磁力及び電流である。また図4の縦軸は電磁力であり、電磁力=磁場×電流のため、電磁力表皮深さδ2は電流と磁場の表皮深さδ1の1/2となる。
δ2=√(1/2σωμ) (vi)
そこで、電磁力Fについて、
F=F0×exp(−y/δ2) (vii)
を同じ図4に破線としてプロットした。すると、電磁場解析ソフトの評価結果である■プロットは、破線よりもはるかに短い距離で電磁力が減衰していることが判明した。図4には、(vi)式の電磁力表皮深さδ2を算出する際に用いる電気伝導度として、溶鋼ではなく銅板の電気伝導度を用い、(vii)式を算出した結果を一点鎖線で示している。解析結果をみると溶鋼ではなく鋳型の銅板の電気伝導度で決まる表皮深さによって厚み方向の分布が決まっていることを見出した。すなわち、銅板があるためにより銅板近傍に電磁力が集中していることを意味する。鋼と銅では約20倍電気伝導度が異なるため、鋳型銅板近傍には約20倍の周波数の磁場を印加したのと同じ電磁場の浸透深さとなる。すなわち、電磁攪拌装置によって銅板を介して溶鋼中に形成される電磁力は鋳型表面近傍に集中することになる。
加えて、湯面からの深さ方向距離zが増すにつれて凝固シェル厚は厚くなる。図5に模式的に示すように、電磁力の分布によっては、凝固シェル中には電磁力が作用するものの、凝固シェルよりも内側の溶鋼中には電磁力が作用しない場合が生じうる。図5には、高周波数における電磁力表皮深さδ2 Hと低周波数における電磁力表皮深さδ2 Lが図示されている。図5によると、低周波数の場合には、鋳型の深さ方向(図2中のz方向)全域において電磁力表皮深さδ2 Lは凝固シェルの厚さよりも厚くなっているが、高周波数の場合には、鋳型の下半分においては電磁力表皮深さδ2 Hが凝固シェルの厚さよりも薄くなっており、この部分では凝固シェル内側の溶鋼に電磁力が及ばないものと推認される。そのため、電磁力の表皮深さと凝固シェル厚を考慮して、電磁撹拌装置の印加周波数や鋳造条件を決める必要があることを意味する。
以上述べた知見をもとに、電磁攪拌装置によって鋳型内溶鋼中で形成される攪拌領域を鋳造条件に応じて適切な領域となるようにしたうえで鋳造を行うことで、電磁攪拌の効果を最大限享受した鋳造ができる。具体的には、鋳型銅板電気伝導度σ、鋳型銅板厚みDCu、鋳造速度Vc、ノズル浸漬深さLとの関係から決まる関係式を満足するように調整すればよい。具体的には、
Cu<√(1/(2σωμ))<DCu+k√(L/Vc) (i)
ここで、ω=2πfは角周波数(rad/s)、fは電磁攪拌装置の印加周波数(Hz)、μは真空の透磁率(N/A2)、kは凝固シェル成長速度係数である。
なお、√(1/(2σωμ))は電流又は磁場の表皮深さδ1の1/2の値であり、電磁力の表皮深さδ2を意味する。また表皮厚さは、鋳片表面からではなく、鋳型銅板の電磁コイル側表面を原点として定めている。上述のとおり、表皮深さを算出する際の電気伝導度として鋳型銅板電気伝導度σを用いている。
凝固シェル成長速度係数kについては、非特許文献1に記載されているように、鋳型銅板厚み、冷却水量、二次冷却条件、用いる連続鋳造パウダー等によって変化するが、およそ1.8〜3.2cm/min1/2の範囲となる。具体的には、鋳造中に鋳型内溶鋼にサルファーを添加し、鋳片のサルファープリントを採取することで定めることができる。
先ず、銅板厚みDCuよりも電磁力の表皮深さを厚くする必要がある。これは、電磁力が溶鋼に浸透するための必須条件であり、この条件によって周波数の最大値が規定される。上記(i)式の左辺と中辺の不等式を満たすことにより、上記条件を達成することができる。
次に、電磁攪拌装置による溶鋼の撹拌流と、浸漬ノズルから吐出したノズル吐出流との干渉を極力回避する必要がある。これは、ノズル吐出流を挟んで旋回流が形成されるとそのどちらか一方の旋回流と逆向きの流れとなり干渉を引き起こすためである。そのため、望ましくはノズル吐出流を旋回流が形成される領域よりも下方に設置することが好ましい。図6は、鋳型内での電磁攪拌装置、浸漬ノズルの位置関係を模式的に示したものであり、(a)は平面図、(b)は正面断面図、(c)は側面断面図である。図6(c)に示すように、浸漬ノズル吐出孔の上端位置から湯面までの浸漬深さはLである。そして、浸漬深さLにおける凝固シェル厚DSHは、
SH=k√(L/Vc) (viii)
で表すことができる。ここで、Vcは鋳造速度、kは凝固シェル成長速度係数である。そして、浸漬深さLにおける凝固シェル厚DSHにおいて、電磁攪拌装置による電磁力が凝固シェル内側の溶鋼に及ばないように調整すれば、電磁攪拌装置による溶鋼の撹拌流と、浸漬ノズルから吐出したノズル吐出流との干渉を回避することができる。前述のとおり、電磁場解析ソフトを用いた解析結果によると、鋳型内溶鋼中における電磁力の減衰状況は、電気伝導度として鋳型銅板の電気伝導度を用いた場合の減衰状況に近いことが判明した。従って、δ2=√(1/(2σωμ))のσに銅板の電気伝導度を用いた場合の表皮深さが、DCu+DSHよりも小さい値となれば、浸漬深さLにおいて電磁攪拌の効果が及ばないこととなる。即ち、上記(i)式の中辺と右辺の不等式を満足すればいい。この条件を満足する周波数が周波数の下限値となる。
結果の一例を図7に示す。図7の横軸は電磁攪拌装置の印加周波数、縦軸は鋳型銅板の電磁コイル側表面からの厚み方向距離(図中「表皮深さ」と表示している。)である。太い実線は、δ2=√(1/(2σωμ))のσに銅板の電気伝導度を用いた場合の表皮深さを意味する。すなわち、太線>細線の条件で電磁攪拌装置によって印加された電磁力が溶鋼中に作用することを意味している。ここで銅板の電気伝導度は銅板材質(銅板合金種類)によって変化する。一例として、ES40Aの銅板(銅板厚みが25mm)を用いて鋳造速度1m/分、浸漬深さ350mmの条件で鋳造を行うにあたっては、周波数2.5Hzで(i)式の中辺と右辺がおよそ等しくなり、周波数5.5Hzで(i)式の左辺と中辺とが等しくなることから、周波数2.5Hzより大で5.5Hz未満の周波数が前述した関係式を満足する。同図中、湯面からの距離が異なる線を追記しているが、ノズル浸漬深さまで攪拌領域を確保したい場合には周波数2.5Hzを、電磁攪拌装置の鉄芯(コア)下端までを攪拌領域としたい場合には周波数3Hzを選択する必要があることを示している。すなわち、周波数を調整することで、鋳型内溶鋼プール中のどこまでを攪拌領域として設定するか条件設定ができる。鋳型銅板の電気伝導度を調整して条件設定ができる。すなわち、本発明を用いることで、鋳型内での凝固シェルの存在も考慮した上で実質的な鋳型内溶鋼プール中での攪拌領域を自由度高く調整でき、その結果、求められる鋳片品位に応じて最も好ましい形に鋳型内流動をつくりだすことができる。
本発明は、水平断面内で旋回流を形成する電磁攪拌装置を鋳型内湯面近傍に設置し、連鋳鋳型内流動を制御する。ここで電磁攪拌装置を鋳型内湯面近傍に設置するとは、電磁攪拌装置の鉄芯上端を、鋳型内湯面の上下50mm範囲内に設けることで実現することができる。望ましくはコア厚の1/2以内である。
さらに、本発明は、図8に模式的に示すように電磁攪拌装置の下側に直流磁界を発生させる装置と組み合わせることで、浸漬ノズルからの吐出流を制動させつつ電磁撹拌装置によって鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を付与しながら鋳造する方法においても適用できる。この直流磁界発生装置を組み合わせて使う条件においては、図9に模式的に示すように、直流磁界によって撹拌流の一部が制動されるため、攪拌範囲が制限されていたが、本発明により電磁攪拌装置の周波数を低くする、あるいは銅板電気伝導度を下げることで、攪拌流をできるだけ広範囲にわたって付与することができる。
転炉での精錬と還流式真空脱ガス装置での処理ならびに合金添加により極低炭素鋼を溶製した。この溶鋼を厚み280mm、幅1800mmのスラブに鋳造した。銅板厚み、材質が異なる鋳型を準備し、電磁攪拌装置の周波数、鋳造速度、ノズルの浸漬深さが異なる条件で鋳造を行った。なお、電磁攪拌装置鉄芯の鋳造方向厚み(コア厚)は0.2mであり、鉄芯上端が鋳型内湯面位置となるように設置した。電磁攪拌推力を80mmFe/mとした。さらに、電磁攪拌装置の下側に鋳型全幅にわたってほぼ一様な磁束密度分布を有する直流磁界を鋳型厚み方向に印加する直流磁界発生装置も併せて用いて鋳造を行った。
条件ならびに結果は表1に示した。ともに鋳造速度は1,1.5,2m/minでノズル内にArガスを10Nl/min流した。なお、凝固シェル厚の推算にあたり、k:凝固シェル成長速度係数(cm/min1/2)=2.0cm/min1/2とした。
表1中の「直流磁界発生装置」欄に「0.5T」と表示されている条件では、直流磁界発生装置も併せて用い、印加される直流磁場の磁束密度を0.5テスラとした。同欄が「−」のものは直流磁界発生装置を用いていない。
鋳片表層部の気泡・介在物個数については、全幅×鋳造方向長さ200mmのサンプルを鋳片の上面、下面それぞれから切り出し、全幅×長さ200mmの表面内における気泡・介在物を表面から1mmおきに10mmまで研削し、100μm以上の気泡・介在物個数を調査し、その個数総和を指数化したものを欠陥指数とした。電磁力を印加しない条件を10としてその比で表示し、欠陥指数4以下が良好、それ以上を不良とした。表1において、電磁力指標を求める際に銅板の電気伝導度が必要となるが、表1の下欄に示した常温での電気伝導度の値を用いた。
Figure 0006164040
ES40A、ES50A、ES60Aは銅板材質を示し、数値が高くなるほど電気伝導度が高い。
表1において、比較例1〜比較例4は、鋳型銅板材質ES40Aを用いて鋳造を行ったもので、鋳造速度が1m/分、1.5m/分、2m/分の条件で鋳造した、その際、比較例1,3では周波数を2Hzとした。その結果、欠陥指数が多くパウダー巻き込みが多く観察された。ノズル吐出流と撹拌流との干渉による巻き込みの結果と推定された。電磁力指標についても、『鋳型銅板厚とノズル浸漬深さ位置での凝固シェル厚との和』と比較して大きく、内部まで攪拌が浸透した結果と推定された。一方、比較例2,4においては、周波数8Hzの条件で鋳造を行ったが、欠陥指数が多かったが、この場合は電磁力表皮深さが鋳型銅板厚み以下となっており、攪拌が十分に作用していない結果と推定された。比較例5〜比較例8では銅板の電気伝導度がさらに高いES50A、ES60Aを用いて鋳造を行った。また、電磁攪拌の周波数は比較例5,6では8Hzとし、比較例7,8では6Hzとして鋳造を行った。なお、比較例6,8では幅方向に一様な磁場を鋳型厚み方向に印加可能な直流磁場発生装置を用いて鋳造を行った。比較例5〜8いずれの条件においても、電磁力の表皮深さが銅板厚み以下となっており、攪拌流速不足により欠陥指数が高くなった。その傾向は比較例6,8の直流磁界発生装置を印加した条件で顕著に見られた。一方、比較例9では比較例1の条件で周波数を3Hzとし、さらに浸漬深さを200mmとした条件で鋳造したものである。この条件においては、電磁力の表皮深さδ2が『鋳型銅板厚DCuとノズル浸漬深さ位置での凝固シェル厚DSHとの和』以上となっており、比較例1と同様に電磁力が内部まで浸透しノズル吐出流との干渉が生じ、欠陥指数が多くなった。一方、発明例1〜8では、鋳型銅板材質、鋳造速度、直流磁界発生装置の有無を変化させて鋳造した。その際、電磁力の浸透深さδ2が銅板厚みより大で『鋳型銅板厚DCuとノズル浸漬深さ位置での凝固シェル厚DSHとの和』未満となる周波数とすることでいずれの条件においても良好な欠陥指数となった。
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 電磁攪拌装置
4 吐出口
5 鉄芯(コア)
6 コイル
8 直流磁界発生装置
10 溶鋼
11 吐出流
12 旋回流
13 移動磁界
14 電磁力(ローレンツ力)

Claims (2)

  1. 水平断面内で旋回流を形成する電磁攪拌装置を鋳型内湯面近傍に設置し、連鋳鋳型内流動を制御する鋼の連続鋳造方法において、鋳型銅板厚みDCu、鋳造速度Vc、ノズル浸漬深さL、電磁攪拌装置の印加周波数f、銅板電気伝導度σを以下の関係式を満足するように調整することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    Cu<√(1/(2σωμ))<DCu+k√(L/Vc) (i)
    ここで、ω=2πfは角周波数(rad/s)、μは真空の透磁率(N/A2)、kは凝固シェル成長速度係数である。
  2. 請求項1において、水平断面内で旋回流を形成する電磁攪拌装置よりも下側に幅方向に一様な磁束密度分布を有する直流磁界を鋳型厚み方向に付与する直流磁界発生装置と併せて使用することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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