JP6162434B2 - オイルポンプ - Google Patents
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Description
しかしながら、このような配置構成では、一段目ポンプユニット及び二段目ポンプユニットを配置するための幅寸法Wが大きくなり、二つのポンプユニットを収容するハウジングの大型化を招き、小型化が要求されるエンジンやトランスミッション等のオイルポンプとしては適用が困難になる場合があり、それ故に、要求性能を満たしつつも、狭い設置スペースへの適用が容易なオイルポンプが要望されている。
この構成によれば、オイルポンプが例えばエンジン(のオイルパン内のオイルを吸入加圧して供給する状態)に適用された場合において、オイル(潤滑油)は、吸入口から吸い込まれて、二つのポンプユニット(第1ポンプユニット及び第2ポンプユニット)により二段階の加圧過程を経て、吐出口から外部に吐出されて、種々の潤滑領域に向けて圧送される。
ここで、第1アウターロータの第1回転中心線と第2アウターロータの第2回転中心線は、回転軸の軸心線を通る共通の直線上にない(第2回転中心線は、軸心線及び第1回転中心線に直交する直線から軸心線回りに所定角度偏倚した位置に設けられている)ため、回転軸(軸心線)に対して、二つのポンプユニット(第1ポンプユニット及び第2ポンプユニット)を互いに近づけて配置することができ、所望の吐出性能を確保しつつも、部品の集約化により小型化及び幅狭化等を達成することができ、それ故に、艤装性に優れたオイルポンプを得ることができる。
この構成によれば、オイルは、第1ポンプユニットのポンプ作用によりそのポンプ室に吸入口から吸い込まれると共に加圧され、加圧されたオイルは仕切り壁に設けられた中間吐出口から連通路を経て中間吸入口に圧送され、続いて、第2ポンプユニットのポンプ作用によりそのポンプ室に中間吸入口から吸い込まれると共に加圧され、加圧されたオイルは吐出口から外部に吐出されて、種々の潤滑領域に向けて圧送される。
ここで、中間吐出口と中間吸入口は、回転方向において互いに部分的に重なり合うように所定角度偏倚した位置に配置されているため、回転軸の軸心線及び第1ポンプユニットの第1回転中心線に直交する直線から所定角度偏倚した位置に第2ポンプユニットの第2回転中心線を配置しつつも、円滑なオイルの流れを得ることができる。
この構成によれば、第1ポンプユニットにより加圧されたオイルは、中間吐出口→中間吐出室→連通路→中間吸入室→中間吸入口を経て、第2ポンプユニットに吸入されると共に加圧され、ここで、連通路は、中間吐出室と中間吸入室とが重なり合った領域に形成される実質的に厚み(通路長さ)のない開口として形成されるため、通路抵抗及び圧力損失等を低減でき、所望の加圧特性及び吐出性能を得ることができる。
この構成によれば、ロータケースに対して第1ポンプユニット及び第2ポンプユニット(及び回転軸)を組み込み、二つのポンプユニットを組み込んだロータケースをハウジング本体に組み込んでハウジングカバーを取り付けるだけで、全体の組み付け作業を簡単に行うことができる。
この構成によれば、オイルポンプが例えばエンジン(のオイルパン内のオイルを吸入加圧して供給する状態)に適用された場合において、吸入口から吸い込まれた空気混入のオイル(潤滑油)は、第1ポンプユニットにより加圧されつつ排出口から外部に排出されてオイルパンに戻されるため、混入した空気を極力排除したオイルを第2ポンプユニットに圧送することができ、全体としてのポンプ性能を向上させることができる。
この構成によれば、ロータケースにおいて、中間吐出口、中間吐出室、中間吸入口、中間吸入室、及び連通路の全てが形成されるため、必要に応じてロータケースのみを適宜変更するだけで、種々の要求仕様に対応することができる。
この構成によれば、混入した空気を効率良く排出できると共に、所望の高い吐出量を確保でき、ポンプ性能及び耐久性を向上させることができる。
この実施形態に係るオイルポンプは、図1ないし図3に示すように、ハウジングHをなすハウジング本体10及びハウジングカバー20、ハウジングHにより軸心線S回りに回転自在に支持された回転軸30、ハウジングH内に組み込まれたロータケース40、ロータケース40の端面に当接するサイドプレート50、サイドプレート50を軸心線Sの方向においてロータケース40側に付勢するOリング60、ロータケース40内に収容された第1ポンプユニット70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)、軸心線Sの方向において第1ポンプユニット70に隣接してロータケース40内に収容された第2ポンプユニット80(第2インナーロータ81及び第2アウターロータ82)等を備えている。
尚、ロータケース40及びサイドプレート50は、ハウジングHとは別体に形成されているが、第1ポンプユニット70及び第2ポンプユニット80を収容するものとして、ハウジングの一部を構成するものである。
ここで、排出口24は、図1、図2、図5(a)及び図9(a)に示すように、第1ポンプユニット70に臨むように形成されている。
ここでは、空気混入のオイルを排出する排出口24が、第1ポンプユニット70に臨むように形成されているため、オイルに混入している空気(気泡)の密度(質量)が小さく、すなわち、空気を遠心分離の作用でポンプ室の内側に容易に集めることができ、混入した空気を効率良く排出することができる。
内周面42は、第1ポンプユニット70の第1アウターロータ72を第1回転中心線S1回りに回動(摺動)自在に内接させる寸法に形成されている。
内周面43は、第2ポンプユニット80の第2アウターロータ82を第2回転中心線S2回りに回動(摺動)自在に内接させる寸法に形成されている。
中間吐出口44bは、第1ポンプユニット70により加圧されたオイルを吐出するものであり、仕切り壁44の一方の端面に開口している。
中間吐出室44cは、中間吐出口44bの下流側に連続して、仕切り壁44を前方側から後方側に深さW1だけ肉抜きした凹状に形成されている。
中間吸入口44eは、第2ポンプユニット80が第1ポンプユニット70により加圧されたオイルを吸入するものであり、仕切り壁44の他方の端面に開口している。
中間吸入室44dは、中間吸入口44eの上流側に連続して、仕切り壁44を後方側から前方側に深さW2だけ肉抜きした凹状に形成されている。
また、中間吐出室44cと中間吸入室44dとは、回転軸30の軸心線S方向における仕切り壁44の厚さを二分する深さW1,W2(すなわち、Wh=W1+W2)に形成されている。
連通路44fは、中間吐出室44cと中間吸入室44dとが回転方向において重なり合った領域において、必要とされる通路面積を確保しつつ、実質的に厚み(通路長さ)のない開口として形成されている。
ここで、中間吐出口44bと中間吸入口44eは、回転方向において互いに所定角度偏倚した位置に配置されているため、回転軸30の軸心線S及び第1ポンプユニット70の第1回転中心線S1に直交する直線L1から所定角度偏倚した位置に第2ポンプユニット80の第2回転中心線S2を配置しつつも、円滑なオイルの流れを得ることができる。
特に、加圧されたオイルが、中間吐出口44b→中間吐出室44c→連通路44f→中間吸入室44d→中間吸入口44eを経て第2ポンプユニット80に吸入される際に、中間吐出室44c及び中間吸入室44dの両空間が形成されると共に連通路44fが実質的に厚み(通路長さ)のない開口として形成されるため、通路抵抗及び圧力損失等を低減でき、所望の加圧特性及び吐出性能を得ることができる。
そして、サイドプレート50は、ハウジング本体10の位置決め穴16に嵌合された位置決めピンを位置決め孔53に通して、端面13との間にOリング60を挟み込むようにしてハウジング本体10に組み付けられるようになっている。
第1インナーロータ71は、回転軸30の軸部33を嵌合させる嵌合孔71aを有すると共にその外周に4つの山及び谷(凹み)をもつ外歯車として形成されている。
第1アウターロータ72は、ロータケース40の内周面42に摺動自在に嵌合される外周面72aを有すると共にその内周において第1インナーロータ71の4つの山(外歯)及び谷(凹み)と噛み合う5つの山(内歯)及び谷(凹み)をもつ内歯車として形成されている。
第2インナーロータ81は、回転軸30の軸部34を嵌合させる嵌合孔81aを有すると共に外周に4つの山及び谷(凹み)をもつ外歯車として形成されている。
第2アウターロータ82は、ロータケース40の内周面43に摺動自在に嵌合される外周面82aを有すると共に内周において第2インナーロータ81の4つの山(外歯)及び谷(凹み)と噛み合う5つの山(内歯)及び谷(凹み)をもつ内歯車として形成されている。
具体的には、図10に示すように、従来の手法を適用した場合、図10(a)に示すように幅寸法WOLDとなるのに対して、本発明を適用した場合、図10(b)に示すように幅寸法WNEW(<WOLD)とすることができ、部品の集約化により小型化及び幅狭化等を達成することができる。
また、ロータケース40を採用し、ロータケース40において、中間吐出口44b、中間吐出室44c、中間吸入口44e、中間吸入室44d、及び連通路44fの全てが形成されるため、必要に応じてロータケースのみを適宜変更するだけで、種々の要求仕様に対応することができる。
先ず、エンジンにより回転軸30が回転駆動されると、第1ポンプユニット70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)が、図9(a)において時計回りに回転することにより、オイルが、吸入通路14→吸入口23を経て、第1ポンプユニット70のポンプ室P内に吸い込まれる。
そして、第1ポンプユニット70の連続的な回転により、ポンプ室Pに吸入されたオイルは加圧され、この加圧過程で空気混入オイルが、所定の排出量として積極的に排出口24から外部に排出され、さらに、残りのオイルが、中間吐出口44b→中間吐出室44c→連通路44f→中間吸入室44d→中間吸入口44eを経て、第2ポンプユニット80に向けて、所定の吐出圧に昇圧されて吐出(供給)される。
そして、第2ポンプユニット80の連続的な回転により、ポンプ室Pに吸入されたオイルは加圧され、吐出口52→吐出通路15を経て、外部の潤滑領域に向けて、所定の吐出圧かつ所定の吐出量にて吐出(供給)される。
上記実施形態においては、第1ポンプユニット70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)及び第2ポンプユニット80(第2インナーロータ81及び第2アウターロータ82)を備えた二段のトロコイド式ポンプにおいて、本発明を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、内接ギヤ(インンボリュート)式のインナーロータ及びアウターロータ等を備えた構成において、本発明を適用してもよい。
上記実施形態においては、本発明に係るオイルポンプを自動車等に搭載されるエンジンに適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、エンジン以外の例えば無段変速機(CVT)等にも適用することができる。
10 ハウジング本体(ハウジング)
11 軸受孔
12 内周面
13 端面
14 吸入通路
15 吐出通路
16 位置決め穴
17 接合面
18 ネジ穴
19 位置決め穴
20 ハウジングカバー(ハウジング)
21 軸受孔
22 凹部
23 吸入口
24 排出口
25 円孔
26,27 位置決め穴
30 回転軸
S 軸心線
31 一端部
32 他端部
33,34,35 軸部
40 ロータケース
41 円筒部
42 内周面
43 内周面
44 仕切り壁
44a 軸受孔
44b 中間吐出口
44c 中間吐出室
44d 中間吸入室
44e 中間吸入口
44f 連通路
45,46 端面
45a,45a 位置決め穴
50 サイドプレート
51 円孔
52 吐出口
53 位置決め孔
54 凹部
60 Oリング
70 第1ポンプユニット
P ポンプ室
71 第1インナーロータ
71a 嵌合孔
72 第1アウターロータ
S1 第1回転中心線
72a 外周面
80 第2ポンプユニット
81 第2インナーロータ
81a 嵌合孔
82 第2アウターロータ
S2 第2回転中心線
82a 外周面
Claims (7)
- ハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に支持された回転軸と、前記ハウジングに収容されて,前記回転軸の軸心線回りに回転する第1インナーロータ,及び前記第1インナーロータに連動して前記軸心線から偏倚した第1回転中心線回りに回転する第1アウターロータからなる第1ポンプユニットと、前記ハウジングに収容されて,前記回転軸の軸心線回りに回転する第2インナーロータ,及び前記第2インナーロータに連動して前記軸心線から偏倚した第2回転中心線回りに回転する第2アウターロータからなる第2ポンプユニットと、オイルを外部から吸入する吸入口と、オイルを外部に吐出する吐出口と、前記第1ポンプユニットと前記第2ポンプユニットとの間で一方から他方にオイルを導く連通路と、を備えたオイルポンプであって、
前記第2アウターロータの第2回転中心線は、前記軸心線及び前記第1アウターロータの第1回転中心線に直交する直線から前記軸心線回りに所定角度偏倚した位置に設けられている、
ことを特徴とするオイルポンプ。 - 前記ハウジングは、前記第1ポンプユニットと第2ポンプユニットの間に介在する仕切り壁を含み、
前記吸入口は、前記第1ポンプユニットに臨むように形成され、
前記吐出口は、前記第2ポンプユニットに臨むように形成され、
前記仕切り壁は、前記第1ポンプユニットからオイルを吐出する中間吐出口と、前記中間吐出口に対して回転方向に部分的に重なり合うように所定角度偏倚して形成され前記第2ポンプユニットにオイルを吸入する中間吸入口と、前記中間吐出口と前記中間吸入口を連通させる前記連通路を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。 - 前記中間吐出口には、下流側に向けてオイルを導くべく凹状に形成された中間吐出室が連続して形成され、
前記中間吸入口には、上流側からオイルを導くべく凹状に形成された中間吸入室が連続して形成され、
前記中間吐出室と前記中間吸入室とは、前記回転軸の方向における前記仕切り壁の厚さを二分する深さに形成され、
前記中間吐出室と前記中間吸入室とが回転方向において重なり合った領域に、前記連通路が形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のオイルポンプ。 - 前記ハウジングは、前記第1ポンプユニット及び第2ポンプユニットを収容するロータケースと、前記ロータケースを嵌合させる凹部を有するハウジング本体と、前記ハウジング本体の開口を閉鎖するべく連結されるハウジングカバーとを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のオイルポンプ。 - 前記ハウジングは、空気が混入した空気混入オイルを排出するべく前記第1ポンプユニットに臨むように形成された排出口を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のオイルポンプ。 - 前記排出口は、前記ハウジングカバーに設けられ、
前記中間吐出口、前記中間吐出室、前記中間吸入口、前記中間吸入室、及び前記連通路は、前記ロータケースに設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のオイルポンプ。 - 前記第1ポンプユニット及び第2ポンプユニットは、それぞれ、トロコイド式のインナーロータ及びアウターロータを含む4葉5節からなる、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載のオイルポンプ。
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