JP6161337B2 - 試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダー - Google Patents

試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダー Download PDF

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本発明は、試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダーに関し、特に、特有の応力付与手段を有する試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダーに関する。
透過型電子顕微鏡等の顕微鏡において、試料を観察する際には、例えば、透過型電子顕微鏡の対物ポールピースのギャップ間の限られた空間に挿入する試料ホルダーの先端部(以下、試料クレードルともいう。)は、対物レンズポールピースの限られた空間に挿入し、試料ホルダー軸上で電子線光軸に傾斜される場合があるので、必然的に、試料クレードル部は、出来るだけ薄く作られている。
例えば、電子顕微鏡として、透過型電子顕微鏡を例に説明すると、透過型電子顕微鏡にて観察する試料は、試料クレードル部に装着して観察する。試料クレードルにTEM試料メッシュを装着し固定する為には、試料クレードルは、少なくともクレードル台座部と、試料押さえ部材が必要となる。さらに試料押さえは、クレードル本体に試料メッシュを挟み込む何がしかの固定手段が必要であり、そのため、固定用ネジを配する手段が一般的である(例えば、特許文献1)。そして、応力による転位やクラスターの挙動等を観察するニーズに応じて、これまでナノ領域での引張試験用のホルダーが市販されている。
このような既存の試料ホルダーを用いて、試料の引っ張り試験を行う場合には、例えば、図5のような構成となる。図5は、引張り試験用の試料ホルダーの図である。図5中、51はホルダーフレーム、52は固定点ネジ、53は座金A、54は力点部ネジ、55は座金B、56は試料、57は力点部部材、58は摺動部、59はホルダー軸であり、試料ホルダーは、この他連結部、ハンドル部、アクチュエーターで構成されている。当該引張試験用試料ホルダーは、まず、試料ホルダーの形状に合わせた試料に、穴(両端)を開けた試料をセットしてネジ止めすることで固定する。そして、片側はホルダー本体に固定して、もう一方を力点部部材57に固定し引張ることで試料に引張応力を与えることができる。このとき、ホルダー内部の駆動機構にはモーターやピエゾ素子などをアクチュエーターとして用いて片側から引張り、荷重をかけている。
特開平11−204074号公報
しかしながら、上記特許文献1のものも含め、従来の試料ホルダーにおいては、従来の引張機構はアクチュエーター自体の駆動制御能力が引張荷重に1対1に対応するため、アクチュエーターの制御能力に依存してしまう。したがって、近年の分解能向上に伴い、もっと微細な制御が求められているが、既存のアクチュエーターでは精密な制御は困難であるという問題点を有する。また、既存のホルダーによる観察視野のズレの問題もある。すなわち、既存のホルダーは、片側(力点部部材57)から引張るので視野の中から観察目標点が移動する(一般に「視野が逃げる」とも言う。)。特に、動的観察(一般的に「その場観察」とも言う。)においては、連続的な観察が困難である(視野が逃げてしまい倍率の上げ下げなどをして観察目標を探す必要がある。)。
また、ネジ締めによる歪発生の問題がある。試料を試料ホルダーに装着する際のネジ締めにより、座金A53、または試料56がずれる。したがって、せっかく作った試料にストレスがかかり、最悪、試料装着の時点で破壊される虞がある。基本的には回らないように、座金A53と、試料56は設計されているが、ホルダーフレーム51との間には最低でも、座金A53と、試料56を入れるだけのクリアランスが必要でネジを締めるとクリアランス分動き、試料をねじるストレスがかかる。試料ホルダー長手方向をX、それと垂直方向をYと定義すると、これは、X方向に引張る引張試験では最悪のストレスとなる。
また、試料に空ける固定用の穴にも機械加工によるズレが生じる。穴の大きさにもクリアランスが必要なため、ネジ締めによりホルダーフレーム51の側面のどちらかに中心が移動し、試料を正確におくことは事実不可能であった。(理想的には固定点側が引張軸上に中心があるのが望ましい。)
さらに、機械加工には限界がある。理想的には引張軸上に引張る必要があるが、力点部部材57を摺動可能にするために、摺動部58に最低限のクリアランスを与える必要がある。上述のネジ締めによるひずみの問題、及び機械加工によるずれの問題を抱えたままの場合、試料は、ホルダーフレーム51の片側側面に、力点部部材57が寄せられ、下記の原理により、一軸方向以外に移動する事になる。
ここで、引張応力ベクトルの定義(既存のホルダー)について補足すると、既存のホルダーではアクチュエーターが引張る方向は、理想的には試料ホルダー長手方向(X方向)と一致するが、後述するようにY方向にも応力が働く。したがって、X方向にかかる引張応力ベクトルをtx、Y方向にかかる引張応力ベクトルをtyと定義することができる。
図8は、引張軸方向とベクトル合成を示すが、力点部部材57に引張一軸方向の力(引張ベクトル:tx)を加えると、引張られる範囲にはtxに垂直なtyの力が加わることになる。理想的な一軸引張方向以外の影響を受けていることになり、ナノ領域での引張試験は、目的ではない歪の影響を受けた状態で観察することになる。
そこで、上記問題点を解決すべく、本発明は、観察視野のズレを少なくすることが可能な試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者は、試料ホルダーを分析し、鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、本発明の試料ホルダー先端部は、試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジと、前記試料及び/又は試料メッシュを前記設置用カートリッジへ固定する第一の固定手段と、前記試料へ少なくとも2つの方向から引張り応力を与えることが可能な引張り応力付与手段と、を含む試料ホルダー先端部であって、前記引っ張り応力付与手段が、試料ホルダーの長手方向に駆動可能な駆動軸に設けられた凸部と、前記設置用カートリッジに設けられた凹部と、からなることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、試料ホルダーへ固定するための第二の固定手段を有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記第一の固定手段が、接着剤、蒸着、デポジション、又はボンディングであることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記引っ張り応力付与手段が、試料ホルダーの長手方向に駆動可能な駆動軸に設けられた凸部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジに設けられた凹部と、からなることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記凹部には、前記試料及び/又は試料メッシュを設置する設置部位を有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記凹部の開口部分は、テ―パ―面を有し、前記凸部は、前記テ―パ―面の凹部に対応する楔状部材を有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、少なくとも1つのスリットを有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーは、本発明の試料ホルダー先端部を有することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる視野の逃げを大幅に改善可能な試料ホルダー先端部及び当該試料ホルダー先端部を有する試料ホルダーを提供することが可能であるという有利な効果を奏する。
図1は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部を用いた場合の試料等を取り付ける様子を示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部を示す図である。 図3(a)は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部のカートリッジが斜めに取り付けられた場合を示す図である。図3(b)は、本発明の一実施態様において、カートリッジの向きを楔状凸部が修正している様子を示す図である。 図4は、本発明の一実施態様において、微小角での引っ張り方向を示す図である。 図5は、従来の試料ホルダー先端部を示す図である。 図6は、従来の試料ホルダーによる観察視野のずれを示す図である。図6(a)は、引張り前を示し、図6(b)は、引張り後を示す。 図7は、ネジ締めによるひずみを示す図である。図7(a)は、理想的な試料位置を示し、図7(b)は、ネジ締めによる歪を示す。 図8は、引張軸方向とベクトル合成を示す図である。図8(a)は、傾いて取り付けられた試料を示し、図8(b)は、引張り後のねじれとベクトルを示す。
本発明の試料ホルダー先端部は、試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジと、試料を載せるための試料メッシュと、前記試料及び/又は試料メッシュを前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジへ固定する第一の固定手段と、前記試料へ少なくとも2つの方向から引張り応力を与えることが可能な引張り応力付与手段と、を含むことを特徴とする。試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、試料及び/又は試料メッシュを設置、固定するためのカートリッジである。通常試料メッシュ上に試料を載せて観察するので、試料メッシュを試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジに設置、固定してもよい。なお、試料メッシュを使用せずに、試料を直接カートリッジへ装着、固定することも可能である。この場合、試料メッシュは必須ではない。すなわち、特にメッシュ乗せる必要は無く、観察したい点が、試料装着で破壊しない構造であればH型やI型で切り出した試料をPIPSなどで観察点を薄膜化した試料であれば問題はない。
なお、試料メッシュを使用しない場合の態様において、本発明の試料ホルダー先端部は、試料装着用カートリッジと、前記試料を前記試料装着用カートリッジへ固定する第一の固定手段と、前記試料へ少なくとも2つの方向から引張り応力を与えることが可能な引張り応力付与手段と、を含むことを特徴とする。
試料又は試料メッシュを前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジへ固定する第一の固定手段としては、特に限定されず、例えば、ネジ、接着剤、蒸着、デポジション、又はボンディング等により固定することができる。
なお、デポジションとは、金属あるいはカーボンなどによる成膜をいう。例えば、真空中で、Focused Ion Beam(FIB)の光軸へ、金属やカーボンの分子を含みむガスを、流し込むと、FIBが照射されたところに金属やカーボンが蓄積し、成膜効果が生じる。例えば、Focused Ion Beam(FIB)とは、数keV〜30keVのエネルギーを持った細いガリウムイオンビームのことであり、通称「デポ」と称されるものである。ナノレベルでの溶接的イメージで接着する手法である。また、ボンディング(ワイヤ・ボンディング(Wire Bonding))とは、一般的な溶接と原理は同じだが、微小領域に特化した溶着手法を意味する。トランジスタ、集積回路上の電極と、プリント基板、半導体パッケージの電極などを、接続する事で有名原理は直径十数マイクロメートルから数百マイクロメートルの金、アルミニウム、銅などのワイヤを用いて、目的のところに押付けて、電流を瞬間的に流し、前途ワイヤを溶かし溶着される。μレベルでの溶接的イメージで接着する手法である。本発明においては、エポキシやトールシールなど、市販の接着剤を用いても良い。
また、前記カートリッジの材質についても特に限定されない。大きく二つ用途に分けて考えるとすれば、出来るだけ引き裂く応力に反発しない軟質な材料が望ましい場合には、例えば、アルミを、逆に、楔を開くのをやめ、戻りを観察した場合は、靭性、復元力の強い材料、例えば、燐青銅を用いることができる。いずれにしても、電子顕微鏡での観察において磁性の影響は大敵であるので、前記カートリッジの材質は、非磁性であることは言うまでもない。
試料へ少なくとも2つの方向から引張り応力を与えることが可能な引張り応力付与手段としては特に限定されないが、少なくとも引張る力と、押す力とのいずれかを利用することができる。引張る力を利用する例は、従来にも存在するが、一つの方向からの引張り力に依存するため、位置ずれが容易に発生しやすい。したがって、試料ホルダー先端部からも引張り力を分散させて、試料の両側から引張り力を与えることにより位置ずれを解消可能である。但し、装置が複雑化、高コスト化する虞があるため、低コスト化、装置の簡便化等の観点から、押す力を利用することが好ましい。例えば、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記引っ張り応力付与手段が、試料ホルダーの長手方向を軸とする軸方向に駆動可能な駆動軸に設けられた凸部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジに設けられた凹部と、からなることを特徴とする。
ここで、引張応力ベクトルの定義について説明すると、本発明の一例においては、試料ホルダーのホルダー軸を長手方向とすると、長手方向(X方向)の力を得て長手方向に垂直な方向(Y方向)に引張り応力を与えることができる。
ここで、凹部としているが、当該凹部は、その一部に試料設置部位又は試料メッシュ設置部位を含み、スリットを有していてもよい。すなわち、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記凹部には、前記試料及び/又は試料メッシュを設置する設置部位を有することを特徴とする。凹部の開口の形状は特に限定されない。開口部を有すれば、当該開口部へ、前記凹の一部と対応する部分を有する凸部を挿入することで、引張方向(例えば、図2の20)への引張り応力を与えることができるからである。このような本発明の一実施態様においては、既存のホルダーと引張方向が90度違うことになる。なお、凹部としているが、開口を有していれば足り、厳密に凹状である必要はなく、開口を有していれば、どのような形状であってもよい。後述態様においては、略鍵型の凹部を紹介しており、とりわけスリット部を有する対応においては、前記略鍵型形状の凹部の奥にスリットを有している。しかしながら、本発明は、このような鍵形状の凹部の態様に限定されない。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、試料ホルダーへ固定するための第二の固定手段を有することを特徴とする。第二の固定手段としては、特に限定されず、例えば、ネジ、接着剤、蒸着、デポジション、ボンディング等により固定することができる。前記第二の固定手段近傍のY方向の幅と、適合する試料ホルダーフレームの幅とは、前記カートリッジの設置や除去を容易に行うには、ゆとりがある方が良いが、観察視野ずれを軽減する観点からは、設置可能な程度に近い幅とすることができる。これに対して、凹部の開口部を形成する部分の幅と、適合する試料ホルダーフレームの幅とは、多少の間隙23(図2の23)を有することが、引張り方向への引張り力を効果的に与えるという観点から望ましい。もっとも、カートリッジに使用する部材、例えば弾性部材の使用によっては、それほど間隙を設けなくても、少なくとも2つの方向の引張り応力を付与できる場合もある。このような態様も本発明に含まれる。なお、間隙の大きさについては、引張り試験に要求される試料の引張り度合いによって、カートリッジ毎に適宜変更することが可能である。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記凹部の開口部分は、テ―パ―面を有し、前記凸部は、前記テ―パ―面の凹部を受ける楔状部材を有することを特徴とする。テーパー面は、凹部の一部に有していればよい。凹部のテ―パ―面と、凸部のテ―パ―面受け部とが適合すれば、テ―パ面の位置は特に限定されない。図2の態様によれば、中央に配置しているが、中央に限定されず、両端に配置して、少なくとも2方向の引張り応力を付与してもよい。なお、テ―パ―面を構成する角度についても、引張り試験に要求される試料の引張り度合いによって、カートリッジ毎に適宜変更することが可能である。なお、楔状のものと、当該楔状に適合する部分とを用いた態様以外に、2方向から引張り応力を与えることができるものとして、例えば、押付けるものは、楔形状で有る必要は無く、球体でも良い。したがって、押付ける方の形状は問わない。
また、本発明の試料ホルダー先端部の好ましい実施態様において、前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、少なくとも1つのスリットを有することを特徴とする。スリットを有していると、より引張り応力を試料に付与することが可能となる。
次に、本発明の試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジについて説明する。試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジについては、上述の本発明の試料ホルダー先端部において説明した、試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジの説明、凹部の説明、スリットの説明等をそのまま引用することができる。すなわち、本発明の試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、例えば、凹部を有することができ、スリットを有することができるが、これらを含めて、上述の本発明の試料ホルダー先端部において、構成要件の一部として説明している、試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジの説明を、本発明のカートリッジにおいて、総てそのまま引用することが可能である。
また、本発明の試料ホルダーは、本発明の試料ホルダー先端部からなることを特徴とする。試料ホルダー先端部については、上述したものをそのまま引用することができる。
ここで、本発明の試料ホルダー先端部の一実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
図面を参照して、本発明の試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジ、試料ホルダー先端部、及び前記試料ホルダー先端部を有する試料ホルダーの一実施態様を説明すれば以下の通りである。
図1は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部(本発明のカートリッジも必然的に含んでいる。本明細書において同じ。)を用いた場合の試料等を取り付ける様子を示す斜視図である。図1中、1は凸部(例えば、楔状凸部)、2は凸部駆動軸、3はカートリッジ(本発明のカートリッジでもある。)、4は第二の固定手段、5は試料ホルダー軸、6はフレーム、7はカートリッジ受け部(例えば、テーパー受け面)、8は凹部(例えば、テーパー面を有する)、9はスリット、10は固定手段受け部、11は試料及び/又は試料メッシュ設置部位を、それぞれ示す。図1の本発明の一例における態様によれば、主として、楔と、楔駆動軸と、試料を取り付けるカートリッジと、カートリッジを固定する固定ネジと、ホルダー軸と、フレームとで構成されている。楔状凸部は特に、テーパー受ける斜面であるテーパー受け面7を有している。カートリッジ3は、例えば、テーパー面8、引張を行うためのスリット9、ネジ受け部10で構成されている。図において、丸点線部11は試料及び/又は試料メッシュの固定位置を示している。
図2は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部(本発明のカートリッジも必然的に含んでいる。本明細書において同じ。)を上から見た概略図である。図2中、1は凸部(例えば、楔状凸部)、2は凸部駆動軸、3はカートリッジ、4は第二の固定手段、5は試料ホルダー軸、6はフレーム、7はカートリッジ受け部(例えば、テーパー受け面を有する)、8は凹部(例えば、テーパー面を有する)、9はスリット、20は引張方向、21は第一の固定手段、22は試料メッシュ、23は引張り応力付与用の間隙を、それぞれ示す。
この態様においては、カートリッジ3に試料を直接ボンディングで固定することができる。固定方法をボンディングとすることで、試料にストレスをかけるのを回避することができる。したがって、ボンディング等による固定においては、ネジ締めによる歪の問題、すなわち、ネジ締め毎に試料や試料固定冶具等がずれることによる歪を回避することが可能となる。
また、本発明においては、視野の逃げについて、改善が期待できる。従来の片側のみの一つの方向から引張り応力を付与する機構と異なり、試料を両側から、好ましくはほぼ同じ力で引張る(図2の20の方向へ応力が働く。)ことが可能であるので、視野の逃げが大幅に改善され、その場観察が可能になるという効果を有する。なお、凸部1には適選な材料強度が必要なので適切な厚みが必要である。図は最適な形状の一例を示している。
また、図3(a)は、本発明の一実施態様における試料ホルダー先端部のカートリッジが斜めに取り付けられた場合を示す図である。図3(a)の上側の間隙23の方が下側の間隙23より広く、斜めに取り付けられているのが分かる。図3(b)は、本発明の一実施態様において、カートリッジの向きを楔状凸部が修正している様子を示す図である。図3(a)のような状態でカートリッジが試料ホルダーに設置されても、凹部のテ―パ―面に対応する、凸部のテ―パ―面によって首尾よく修正することが可能であることが図から分かる。
すなわち、本発明の一態様において、カートリッジ方向を適宜修正可能である。カートリッジ3はネジ受け部10の部分でネジ止めされ回転するため、正確にカートリッジ3の側面とフレーム6が水平になるように取り付けることは難しい。しかしながら、最悪少し回転していても、ずれている方向のテ―パ―面8にテ―パ―受け面7が先にあたりセンタリングをするため、自動的に方向が修正される。荷重は、テ―パ―面8の両側にテ―パ―受け面7が当たるまで試料にかからない構造にすることができる。したがって、機械加工に起因する図8に示すような目的ではない歪の問題は解消される。
本発明の一実施態様における原理について説明すると以下のようである。丸点線部11上に試料及び/又は試料メッシュを固定し、凸部1を長手方向から挿入する。カートリッジ3の開口を形成する両プレートに試料及び/又は試料メッシュをボンディングする。凸部1を凹部に挿入する力を得て、カートリッジの開口部、スリットがある場合には、スリット9が押し広げられ、試料が引き裂かれるような形態をとる。このとき、理想的には引張方向がY方向となり、既存の引張ホルダーの引張方向と90°回転した方向に引張りを行う。
また、凹部8の勾配と凸部9の長さを変える事でアクチュエーターの力(以降、荷重と称す)を任意の比率で変換し伝達する事ができるので、既存のアクチュエータ―を用いても、精密な制御が可能となる。
例えば、一例として説明すると、凹部の開き角が60°であれば荷重:ty´=1:1/2の比率でアクチュエーターの力を伝達することができる。凸部9の開き角が小さいほどアクチュエーターの押し量に対する広がり量が少なくなる。したがって、凹部の開口を長く、例えば、一部にスリットを有する凹部の場合には、当該スリットを長くすれば試料までの中心距離が増え、さらに広がり量を小さくできる。
また、図4は、本発明の一実施態様において、微小角での引っ張り方向を示す図である。図4中、3はカートリッジ、8は凹部(例えば、テーパー面を有する)、9はスリットを、それぞれ示す。図4を用いて、微小角での引張方向について検討する。まず、引張方向のベクトル(円の接線方向)をty´、それと垂直な方向(円の向心方向)のベクトルをtx´と定義する。カートリッジ3の構造は理論的にはスリットエンド41を中心にRで開いて引張ることになる。一見、Rで開くとRの接線方向と向心方向にベクトルが発生するように思われるが、ナノ領域を観察する場合においては、下記に示すような理由でY方向の一軸のみの引張りが可能となっている。すなわち、引張方向が一軸方向のみになることを説明すると以下の通りである。
式1:ty=ty´COSθ
スリットエンドから試料中心までをRの半径( 数mm程度)とすると、ナノの領域を観察するときの変位角は微小(θ<<1)とみなせるので、
式2:ty=ty´
となる。したがって、ほぼ理想的な一軸引張方向のみの力を負荷することができる。(実際に、半径を4 mmとして100 nm引張ったと仮定すると、角度で約1.4/1000度斜め方向に引張った計算になり、引張方向に垂直な力の影響はほぼないということになる。)
以上のように、本発明によれば、視野ずれをより抑えることが可能なカートリッジ、試料ホルダー先端部を提供することが可能であることが判明した。
このような本発明の試料ホルダー先端部は、引張り試験等における試料の視野ずれを効果的に抑えることが可能であるという有利な効果を奏することから、広範な範囲での分野において有益であることが期待できる。
1 凸部(例えば、楔状凸部)
2 凸部駆動軸
3 カートリッジ
4 第二の固定手段
5 試料ホルダー軸
6 フレーム
7 カートリッジ受け部(例えば、テーパー受け面)
8 凹部(例えば、テーパー面)
9 スリット
10 固定手段受け部
11 試料及び/又は試料メッシュ設置部位
20 引張方向
21 第一の固定手段
22 試料メッシュ
23 引張り応力付与用の間隙
41 スリットエンド
51 試料ホルダーフレーム
52 固定点部ネジ
53 座金A
54 力点部ネジ
55 座金B
56 試料
57 力点部部材
58 摺動部
59 試料ホルダー軸
71 電子線入射軸
72 観察視野のずれ
73 引張方向
74 ベース固定
75 試料メッシュ
76 観察目標点(電子線入射軸上にあり、試料が観察される位置)

Claims (7)

  1. 試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジと、前記試料及び/又は試料メッシュを前記設置用カートリッジへ固定する第一の固定手段と、前記試料へ少なくとも2つの方向から引張り応力を与えることが可能な引張り応力付与手段と、を含む試料ホルダー先端部であって、前記引っ張り応力付与手段が、試料ホルダーの長手方向に駆動可能な駆動軸に設けられた凸部と、前記設置用カートリッジに設けられた凹部と、からなることを特徴とする試料ホルダー先端部。
  2. 前記試料及び/又は試料メッシュ設置用カートリッジは、試料ホルダーへ固定するための第二の固定手段を有する請求項1記載の試料ホルダー先端部。
  3. 前記第一の固定手段が、ネジ、接着剤、蒸着、デポジション、又はボンディングであることを特徴とする請求項1又は2項に記載の試料ホルダー先端部。
  4. 前記凹部には、前記試料及び/又は試料メッシュを設置する設置部位を有する請求項1〜3項のいずれか1項に記載の試料ホルダー先端部。
  5. 前記凹部の開口部分は、テ―パ―面を有し、前記凸部は、前記テ―パ―面の凹部に対応する楔状部材を有する請求項1〜4項のいずれか1項に記載の試料ホルダー先端部。
  6. 前記設置用カートリッジは、少なくとも1つのスリットを有する請求項1〜5項のいずれか1項に記載の試料ホルダー先端部。
  7. 請求項1〜6項のいずれか1項に記載の試料ホルダー先端部を有する試料ホルダー。
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