以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態において印刷設定装置1として機能するMFP(Multifunction peripheral)100の外観構成の一例を示す図である。このMFP100は、スキャン機能やプリント機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク機能、電子メール送受信機能などの様々な機能を備えており、出力時の印刷設定を行う際に印刷設定装置1として機能する。このMFP100は、装置本体の上部に、スキャンジョブを実行するときに動作するスキャナ部2を備えている。スキャナ部2は、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取部2aと、画像読取部2aに対して原稿を1枚ずつ自動搬送する原稿搬送部2bとを備えて構成され、ユーザーによってセットされた原稿を読み取って画像データを生成する。また印刷設定装置1は、装置本体の中央下部に、プリントジョブを実行するときに動作するプリンタ部3を備えている。プリンタ部3は、入力する画像データに基づいて電子写真方式などによる画像形成を行って出力する画像形成部3aと、その画像形成部3aに対して印刷用紙などのシート材を1枚ずつ給紙搬送する給紙搬送部3bとを備えて構成され、ユーザーによって指定された画像データに基づいて印刷出力を行う。
また、MFP100の正面側には、ユーザーがMFP100を使用する際にユーザーインタフェースとして機能する操作パネル4が設けられている。この操作パネル4は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部5と、ユーザーが操作入力を行うための操作部6とを備えている。表示部5は、例えば所定の画面サイズを有するカラー液晶ディスプレイなどで構成され、様々な表示画面を表示することができる。操作部6は、表示部5の画面上に配置されるタッチセンサ6aと、表示部5の画面周囲に配置される複数の押しボタン式の操作キー6bとを備えて構成される。したがって、ユーザーは、表示部5に表示される表示画面を参照しながら、操作部6に対して様々な入力操作を行うことにより、MFP100に対してジョブの実行のための設定操作を行ったり、或いはジョブの実行を指示したりすることができる。
表示部5の画面上に配置されるタッチセンサ6aは、ユーザーによるシングルタッチ操作だけでなく、マルチタッチ操作も検出することができるものである。シングルタッチ操作とは、表示部5の表示画面上の1点をタッチする操作であり、例えばシングルタップやダブルタップ、ロングタップ、スライド、フリック、ドラッグなどの操作が含まれる。マルチタッチ操作は、表示部5の表示画面上の複数点を同時にタッチする操作であり、例えばピンチインやピンチアウトなどのピンチ操作やローテーション操作などが含まれる。このタッチセンサ6aは、表示部5の表示画面上における少なくとも1点がタッチされると、そのタッチ位置を特定することができると共に、その後、そのタッチ状態のリリースや、タッチ位置の移動を検出することができるようになっている。そのため、ユーザーは、表示部5の表示画面に対して様々なジェスチャ操作を行いながらジョブの設定などを行うことが可能である。
尚、表示部5の画面周囲に配置される操作キー6bは、例えばジョブの名称が付されたキーや、0から9の数字が付されたテンキーなどで構成される。それらの操作キー6bは、単にユーザーによる押し込み操作だけを検知するものである。
図2は、MFP100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。MFP100は、上述したスキャナ部2、プリンタ部3、操作パネル4の他、図2に示すように、制御部10と、FAX部20と、ネットワークインタフェース21と、無線インタフェース22と、記憶装置23とを備えており、それら各部がデータバス19を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
制御部10は、図2に示す操作パネル4、スキャナ部2、プリンタ部3、FAX部20、ネットワークインタフェース21、無線インタフェース22および記憶装置23のそれぞれを統括的に制御するものである。FAX部20は、図示を省略する公衆電話回線を介してFAXデータの送受信を行うものである。ネットワークインタフェース21は、MFP100をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するためのインタフェースである。無線インタフェース22は、外部の装置とNFC(Near Field Communication)などによる無線通信を行うためのインタフェースである。記憶装置23は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶手段であり、ネットワークを介して受信する画像データや、スキャナ部2によって生成された画像データ、その他の印刷対象データを一時的に保存しておくことができる。
また図2に示すように、制御部10は、CPU11と、ROM12と、RAM14とを備えて構成される。CPU11は、印刷設定装置1に電源が投入されることに伴い、ROM12に格納されているプログラム13を読み出して実行する。これにより、制御部10は、上述したように各部の制御動作を開始する。特に、CPU11は、MFP100においてジョブが実行される際に各部の動作を制御するだけでなく、ユーザーが操作パネル4に対して印刷出力時の印刷設定操作を行う際には、プログラム13に基づく処理を行うことにより、MFP100を印刷設定装置1として機能させる。このとき、CPU11は、印刷設定操作時にユーザーインタフェースとなる操作パネル4の動作などを統括的に制御する。すなわち、CPU11は、操作パネル4の表示部5に表示する表示画面を切り替える制御を行うと共に、タッチセンサ6a及び操作キー6bによってユーザーの入力操作が検出された場合に、その入力操作がどのような操作イベントであるかを特定し、その特定した操作イベントに対応する制御を実行する。操作イベントとは、ユーザーの入力操作によって発生するイベントであり、例えばタッチセンサ6aに対する入力操作ではシングルタップ、ダブルタップ、ロングタップ、スライド、フリック、ドラッグ、ピンチイン、ピンチアウト、ローテーションなどの複数の操作イベントが存在する。
ROM12は不揮発性のメモリであり、上述したプログラム13の他、様々なデータなどが記憶される。ROM12に記憶されるプログラム13には、操作パネル4の基本アプリケーションであるオペレーティングシステムや、ユーザーが利用する複数のアプリケーションプログラム等が含まれる。RAM14は、CPU11による作業用の記憶領域を提供するメモリであり、例えばCPU11がプログラム13を実行することにより発生する一時的なデータ等を記憶する。
次に図3は、CPU11がMFP100を印刷設定装置1として機能させるときに実現される機能ブロックの一例を示す図である。図3に示すように、CPU11は、表示制御部32、操作検出部34及び印刷設定部35として機能する。表示制御部32、操作検知部34及び印刷設定部35は、それぞれが連携して動作することにより、ユーザーがNin1設定や拡大連写設定を行うときの操作性を向上させるものである。
表示制御部32は、ユーザーの指示に基づいて記憶装置23に保存されている印刷対象データを読み出し、当該印刷対象データに含まれる画像を選択して表示部5へ出力することにより、その選択した画像を表示部5にプレビュー表示するものである。例えば、ユーザーが複数ページ分の画像を含む印刷対象データに含まれる1又は複数ページ分の画像を1枚の印刷用紙などの記録シートに割り付ける処理(Nin1設定)を指示した場合、表示制御部32は、Nin1設定の初期画面を選択して表示部5に表示する。その後、表示制御部32は、印刷設定部35からの指示に基づいて表示部5の表示画面を逐次更新していく。
操作検出部34は、操作パネル4のタッチセンサ6aが表示画面に対するユーザーの入力操作(タッチ操作)を検出した場合に、その入力操作に対応する操作イベントを特定する処理部である。例えば処理手順の一例として、タッチセンサ6aによってユーザーのタッチ操作が検出されると、そのタイミングで操作検出部34は、表示画面上のタッチ位置及びタッチ位置の移動から操作イベントを判定するルーチンを起動することにより、ユーザーのタッチ位置及びタッチ位置の移動に対応する操作イベントを判定する。
印刷設定部35は、ユーザーが操作パネル4に対する操作を行った場合に、その操作に基づき表示部5における表示状態を更新すると共に、印刷対象データに対する印刷設定を行う処理部である。すなわち、タッチセンサ6aに対するNin1設定や拡大連写設定を指示するタッチ操作が行われ、操作検出部34によりタッチ位置及びタッチ位置の移動が検出されると、印刷設定部は、表示部5の表示画面上に表示されている印刷出力画像の表示数を、タッチ位置、並びにタッチ位置の移動方向及び移動量に応じて増加又は減少させる。ここで印刷出力画像とは、記録シート1枚に対し、印刷対象データに含まれる1ページ分又は複数ページ分の画像がどのように割り付けられた状態で印刷出力が行われるかをプレビュー表示するための画像である。したがって、1つの印刷出力画像は、プリントジョブの実行によって出力される記録シート1枚に対応している。このような印刷出力画像は、表示部5の表示画面上に表示される。
また、印刷設定部35は、ユーザーによるタッチ操作が行われ、表示部5の表示画面上の印刷出力画像が増加又は減少することに応じて、1枚の記録シートに割り付けるページ数を更新することにより印刷設定を更新する。例えば、55ページ分の印刷対象データについてユーザーによるNin1設定が指示され、ユーザーのタッチ位置の移動方向及び移動量から、印刷出力画像の表示数が1枚から7枚に更新された場合、印刷設定部35は、7枚の記録シートに55ページ分の印刷対象データを印刷できるよう、1枚の記録シートに割り付けるページ数を8枚に更新する。
さらに、印刷設定部35は、ユーザーのタッチ位置の移動前の始点からの移動距離に比例して、印刷出力画像の表示数を増加又は減少させてもよい。具体的な表示例については、後述する。
次に本実施形態において表示部5に表示されるNin1設定の表示画面G1の具体例を示しつつ、Nin1設定について説明する。
図4(a)は、Nin1設定の初期画面の一例を示す図である。印刷設定部35は、ユーザーによりNin1設定の指示がなされると、初期画面として、Nin1設定のデフォルト値に基づいて、印刷対象データに含まれる全ページ分の画像が1枚の記録シートに割り付けられた状態の印刷出力画像T1を表示する。印刷設定を更新する場合には、図4(b)に示すように、印刷出力画像T1上の2点をタッチした状態で、例えば中心点C1を軸として矢印F1方向にローテーション操作を行う。ここで、ローテーションとは、印刷出力画面上の2点をタッチした状態で、それら2点のタッチ位置又はいずれか一方のタッチ位置を回転させていくように移動させる操作を指すものである。図4(b)において、印刷出力画像T1上の2点のタッチ位置は、中心点C1を軸として回転する。また、これに限られず、2点のタッチ位置のうちの1点を中心点C1としてローテーション操作が行われるものでもよい。ローテーション操作が行われると、操作検出部34は、最初のタッチ位置を始点として、タッチ位置の回転方向及び回転角度を検出し、印刷設定部35は、検出された回転方向及び回転角度に応じて印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる。そして、この印刷出力画像の表示数に応じて印刷対象データの割付を更新することにより印刷設定を更新する。
図5は、Nin1設定による印刷設定の更新の一例を示す図である。図5(a)では、印刷出力画像T5乃至T11が表示画面G1上に表示されており、印刷出力画像T5に印刷対象データに含まれる画像が8枚表示されている。すなわち、図5(a)の印刷設定の例では、7枚の記録シートに印刷対象データが印刷されるよう印刷設定が更新されており、各記録シートには、8ページずつ画像が割り付けられている(8in1)。図5(b)では、印刷出力画像T15乃至T29が表示画面G1上に表示されており、印刷出力画像T15に印刷対象データに含まれる画像が4枚表示されている。すなわち、図5(b)の印刷設定の例では、15枚の記録シートに印刷対象データが印刷されるよう印刷設定が更新されており、各記録シートには、4ページずつ画像が割り付けられている(4in1)。
このように、ローテーション操作によるタッチ位置の回転方向及び回転角度に応じて、表示部5に表示される印刷出力画像の表示数が増加又は減少する。本実施形態の場合、時計回りの方向に回転角度が増加するとそれに応じて印刷出力画像の表示数も増加し、回転角度が減少するとそれに応じて印刷出力画像の表示数も減少する。そして、印刷出力画像の表示数に応じて、印刷設定部35は印刷対象データに含まれる画像の割付を更新することにより印刷設定を更新する。
また、例えば図5(b)に示す印刷出力画像が表示されている状態において、印刷出力画像T15乃至T29上の2点をタッチし、タッチ位置を反時計回りに回転させると、回転角度の増加に応じて印刷出力画像の表示数が減少し、回転角度の減少に応じて印刷出力画像の表示数が増加する。そして、印刷主力画像の表示数に応じて、印刷設定部35は印刷対象データに含まれる画像の割付を更新することにより印刷設定を更新する。
このように、ローテーション操作によりタッチ位置の回転方向及び回転角度に応じて印刷出力画像の表示数が増加又は減少し、それに応じて印刷対象データに含まれる画像の割付が更新されるため、簡便なタッチ操作によりNin1設定を実行することができ、Nin1設定の実行における効率性を図ることが可能となる。また、表示画面G1上に、印刷出力画像と各印刷出力画像への印刷対象データに含まれる画像の割付状態が常時表示されるため、所望の割付状態となるよう容易に調整することが可能となる。
印刷出力画像の表示数の増加量又は減少量は、タッチ位置の回転方向及び回転角度に加えて、印刷対象データに含まれる画像のページ数に応じて決定されてもよい。例えば、ローテーション操作により、タッチ位置が時計回りの方向に90度回転したときには8in1設定を行い、180度回転したときには4in1設定を行う、というように、回転角度に応じてNin1設定の設定値が予め定められている場合、印刷対象データに含まれるページ数に応じてその回転角度範囲内に表示すべき印刷出力画像の枚数が変わる。具体例を挙げると、印刷対象データに含まれるページ数が16ページのとき、ユーザーがタッチ位置を時計回りの方向に90度回転させる操作を行うと、8in1設定が行われるため、ローテーション操作の始点位置と終点位置とにおいて合計2枚の印刷出力画像が表示され、それら2枚の印刷対象画像に対して16ページ分の画像が8in1で割り付けられた状態となる。これに対し、印刷対象データに含まれるページ数が32ページのとき、ユーザーがタッチ位置を時計回りの方向に90度回転させる操作を行うと、上記と同様に8in1設定が行われるため、ローテーション操作の始点位置と終点位置との間に合計4枚に印刷出力画像が表示され、それら4枚の印刷対象画像に対して32ページ分の画像が8in1で割り付けられた状態となる。したがって、タッチ位置の回転角度(移動量)に応じてNin1設定の設定値が予め定められているときには、その回転角度に応じて印刷出力画像の表示数の増加量又は減少量を決定する際、上述したように、その増加量又は減少量を印刷対象データに含まれる画像のページ数に応じて決定する。
これとは異なり、印刷設定部35は、タッチ位置の回転方向及び回転角度に比例又は反比例して印刷出力画像が増加又は減少する場合において、印刷出力画像の表示数に応じて印刷対象データに含まれる画像の割付状態を更新してもよい。すなわち、印刷設定部35において、タッチ位置がある方向に所定角度移動する毎に印刷出力画像の表示数を1枚ずつ増加し、これとは逆の方向に所定角度移動する毎に印刷出力画像の表示数を1枚ずつ減少する構成を備え、印刷対象データのページ数に応じて画像の割付状態を更新する。例えば、時計回り方向にタッチ位置が10度回転する毎に印刷出力画像の表示数を1枚ずつ増加し、これに対して反時計回り方向に10度回転する毎に印刷出力画像の表示数を1枚ずつ減少する構成において、印刷対象データに含まれる画像が80ページである場合、Nin1設定の初期画面において、タッチ位置を時計回り方向に40度回転すると、印刷出力画像の表示数は4枚となる。そして、これに応じて、印刷対象データに含まれる全ての画像を4枚の印刷出力画像に割り付けられるように、各印刷出力画像に20枚の画像を割り付けて割付状態を更新する(20in1)。
次に、上記のようなNin1設定におけるCPU11での具体的な処理手順について説明する。図6は、印刷設定装置1のCPU11によって行われるNin1設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザーがタッチセンサ6a又は操作キー6bの操作を通じてNin1設定を開始する旨の指示をすると(ステップS1)、印刷設定部35が起動する(ステップS2)。そして、印刷設定部35が起動すると、表示制御部32は表示部5の表示画面G1上にNin1設定の初期画面を表示する(ステップS3)。この初期画面では、図4(a)に示したとおり、印刷対象データに含まれる複数ページ分の画像が1枚の記録シートに割り付けられた状態でのプレビュー表示が行われる。表示部5にNin1設定の初期画面が表示されると、CPU11は、ユーザーによるNin1設定に関するタッチ操作を受け付け可能な状態となり、タッチセンサ6aによりタッチ操作が検出されるまで待機する状態となる(ステップS4)。
ユーザーによるタッチ操作が検出されると(ステップS4でYES)、CPU11は、タッチ操作がNin1設定の終了を指示するものか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、例えば前記タッチ操作が、Nin1設定をキャンセルする指示であったり、Nin1設定の内容を確定する指示であるなどの場合には(ステップS5でYES)、CPU11は、Nin1設定に関する処理を終了する。
これに対して、タッチセンサ6aにより検出されたタッチ操作がNin1設定の終了を指示するものでない場合には(ステップS5でNO)、検出されたタッチ操作がローテーションか否かを判断する(ステップS6)。操作検出部34が検出されたタッチ操作をローテーションであると判断した場合には(ステップS6でYES)、操作検出部34は最初のタッチ位置からの回転方向及び回転角度を検出する(ステップS7)。そして、印刷設定部35は、検出された回転方向及び回転角度に応じて表示部5に表示された印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる(ステップS8)。さらに、印刷設定部35は、増加又は減少した印刷出力画像の表示数に応じて、印刷対象データに含まれる1ページ又は複数ページ分の画像を印刷用紙等の記録シート1枚に割り付けることにより、割付状態を更新する(ステップS9)。
これに対して、検出されたタッチ操作がローテーションでないと判断した場合には(ステップS6でNO)、CPU11は、当該タッチ操作がピンチアウト又はピンチインか否かを判断する(ステップS10)。ここで、ピンチアウトとは、印刷出力画像上の2点をタッチした状態で当該2点のタッチ位置の距離を拡大する操作を指すものとする。また、ピンチインとは、印刷出力画像上の2点をタッチした状態で当該2点のタッチ位置の距離を縮小する操作を指すものとする。すなわち、ピンチアウトとピンチインとは、2点のタッチ位置の移動方向が異なる。
タッチ操作がピンチアウト又はピンチインでないと判断した場合には(ステップS10でNO)、ステップS4に戻り、再びユーザーによるタッチ操作が検出されるまで待機する状態となる(ステップS4)。これに対して、タッチ操作がピンチアウト又はピンチインであると判断した場合には(ステップS10でYES)、ピンチアウト処理又はピンチイン処理を行う(ステップS11)。次に、ピンチアウト処理又はピンチイン処理について説明する。
図7は、ピンチアウト処理又はピンチイン処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。上述したとおり、ピンチアウトとピンチインとは、2点のタッチ位置の移動方向が異なる。そこで、操作検出部34は、2点のタッチ位置の移動方向によって、ピンチアウト又はピンチインが行われたことを検出する(ステップS11)。そして、操作検出部34がピンチアウト操作又はピンチイン操作を検出した場合、CPU11は、当該ピンチアウト操作又はピンチイン操作が1つの印刷出力画像内で行われたのか、又は複数の印刷出力画像に跨って行われたのかを判断する(ステップS20)。ピンチアウト又はピンチイン操作が複数の印刷出力画像に跨って行われたと判断した場合(ステップS20でNO)、操作検出部34が2点のタッチ位置間の距離の変化量を検出し(ステップS21)、検出されたタッチ位置間の距離の変化量に応じて、印刷設定部35は印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる(ステップS22)。そして、増加又は減少した印刷出力画像の表示数に応じて、印刷対象データに含まれる画像の割付状態を更新することにより印刷設定を更新する(ステップS23)。上記処理手順に基づく具体的なピンチアウト処理又はピンチイン処理については、図8及び図9を用いて後ほど詳述する。
これに対して、ピンチアウト又はピンチイン操作が1つの印刷出力画像内で行われたと判断した場合には(ステップS20でYES)、操作検出部34が2点のタッチ位置間の距離の変化量を検出し(ステップS24)、2点のタッチ位置間の距離の変化量が増加している場合に、所定の変化量に達すると、1つの印刷出力画像内に割り付けられた印刷対象データ中に空白ページを挿入する。逆に、2点のタッチ位置間の距離の変化量が減少している場合に、所定の変化量に達すると、空白ページを削除する(ステップS25)。これに伴い、印刷対象データに含まれる画像の割付状態を更新することにより印刷設定を更新する(ステップS26)。上記処理手順に基づく具体的な空白ページの挿入又は削除処理については、図10及び図11を用いて後ほど詳述する。
図8は、複数の印刷出力画像に跨ってピンチアウト操作が行われた場合の表示画面の更新の一例を示す図である。例えば、表示部5の表示画面G1における印刷出力画像T33及びT34の2つの印刷出力画像に跨って2点のタッチ位置が検出されピンチアウト操作が行われた場合、タッチ位置間の距離の変化量に応じて印刷出力画像T33とT34の間に新たに印刷出力画像T37とT38を挿入し、印刷出力画像T33とT34との間における印刷出力画像の表示数は4つに増加する。そして、これに応じて、印刷出力画像T33乃至T34の間における印刷対象データに含まれる画像の割付状態が更新され、印刷設定が更新される。例えば、従前印刷出力画像T33及びT34にはそれぞれ8ページの画像が割り付けられていた場合(8in1)、印刷出力画像T33上の1点と印刷出力画像T34上の1点をタッチ位置としてピンチアウト操作がされ、タッチ位置間の距離の変化量に応じて印刷出力画像T37及びT38が挿入された結果、印刷出力画像T33乃至T34の間においてそれぞれ4ページの画像が割り付けられる(4in1)。
図9は、複数の印刷出力画像に跨ってピンチイン操作が行われた場合の一例を示す図である。例えば、表示部5の表示画面G1に表示された印刷出力画像T31乃至T34に跨って2点のタッチ位置が検出されピンチイン操作が行われた場合、タッチ位置間の距離の変化量に応じて印刷出力画像T32及びT33が消滅する結果、印刷出力画像の表示数は2つに減少する。そして、これに応じて、印刷出力画像T31からT34の間における印刷対象データに含まれる画像の割付状態が更新され、印刷設定が更新される。例えば、従前印刷出力画像T31からT34の間にはそれぞれ8ページの画像が割り付けられていた場合(8in1)、印刷出力画像T31上の1点と印刷出力画像T34上の1点をタッチ位置としてピンチイン操作がされ、タッチ位置間の距離の変化量に応じて印刷出力画像T32及びT33が削除された結果、印刷出力画像T31及びT34にそれぞれ16ページの画像が割り付けられる(16in1)。
このように複数の印刷対象画像に跨ってピンチアウト又はピンチイン操作が行われることにより、2点のタッチ位置の移動方向及び2点のタッチ位置間の距離の変化量に応じて当該複数の印刷出力画像における表示数が増加又は減少する。そして、これに応じて当該複数の印刷出力画像内において、印刷対象データに含まれる画像の割付状態が変更され、印刷設定が更新される。すなわち、ピンチアウト又はピンチイン操作の範囲外の印刷出力画像における画像の割付状態について変更を加えることなく、所望の部分についてのみ印刷出力画像における画像の割付状態を更新することが可能となる。なお、印刷出力画像の表示数は、ピンチアウト又はピンチイン操作による2点のタッチ位置間の距離の変化量の増加又は減少に比例して、増加又は減少する。
図10は、1つの印刷出力画像内でピンチアウト操作が行われた場合の一例を示す図である。例えば、印刷出力画像T40内に割り付けられた印刷対象データに含まれる画像D1及びD2においてそれぞれ1点のタッチ位置が検出され、これらのタッチ位置の間の距離が増加する方向に移動し、タッチ位置間の距離の変化量が所定の量に達すると、画像D1の直後のページに新たに空白の画像D3が挿入され、これに伴い画像D2の割付位置が更新される。すなわち、印刷出力画像T40上に画像D3が挿入されることによって空白ページが発生し、他方、画像D2は、印刷出力画像T40から印刷出力画像T41上に割付位置が更新される。そして、これに応じて印刷設定が更新されるのである。
図11は、1つの印刷出力画像内でピンチイン操作が行われた場合の一例を示す図である。例えば、印刷出力画像T40内に割り付けられた印刷対象データに含まれる画像D1及び空白ページに該当する画像D2においてそれぞれ1点のタッチ位置が検出され、これらのタッチ位置の間の距離が減少する方向に移動し、タッチ位置間の距離の変化量が所定の量に達すると、空白ページに該当する画像D2が削除される。他方、画像D2の直後に位置していた画像D3の割付位置が、印刷対象データD2が存在していた位置に更新され、これに応じて印刷設定が更新される。
このように、1つの印刷出力画像内でピンチアウト又はピンチイン操作を行うことにより、印刷出力画像に割り付けられた画像と画像の間に空白ページを挿入し、又は画像と画像との間に存在する空白ページを削除することができる。そのため、1枚の印刷出力画像に割り付ける原稿の割付状況を、例えば原稿の区切りなどに応じて効率的に調整できる。
本実施形態において、2本の指をローテーション操作することによりNin1設定における印刷出力画像の変更を行い、印刷設定の更新を行うことを説明した。しかし、本実施形態において、図12に示すように、表示部5上の表示画面G2に表示された印刷出力画像T50上の1点をタッチし、スライド操作することによりNin1設定における印刷出力画像の変更を行い、印刷設定の更新をするよう構成してもよい。或いは、印刷出力画像T50上の1点をタッチし、フリック操作することによりNin1設定における印刷出力画像の変更を行い、印刷設定の更新をするよう構成してもよい。ここで、スライド操作とは、ユーザーが画面上の点をタッチした状態のまま、そのタッチ位置を移動させる操作をいう。また、フリック操作とは、ユーザーが画面上の点をタッチした状態のまま、そのタッチ位置を移動させながら画面上からリリースする操作をいう。図12に示すように、スライド操作又はフリック操作により印刷出力画像T50上の1点をタッチし、タッチ位置の移動方向及び移動距離に応じてNin1設定を実行できるため、印刷出力画像上の2点をタッチしてNin1設定を実行する場合と比較してより操作を簡素化できる。
次に、印刷設定装置1のCPU11によって行われる拡大連写設定の処理手順及び具体例について説明する。図13は、CPU11によって行われる拡大連写設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。拡大連写設定とは、上述したとおり、印刷対象データに含まれる1枚の画像を複数に分割し、各分割画像を拡大して複数枚の記録シートに分割して割り付ける設定である。
まず、ユーザーがタッチセンサ6a又は操作キー6bを操作することにより拡大連写設定を指示すると(ステップS30)、印刷設定部35が起動して(ステップS31)、表示制御部32を通じて表示部5の表示画面上に拡大連写設定の初期画面を表示する(ステップS32)。表示部5に拡大連写設定の初期画面が表示されると、CPU11は、ユーザーによる拡大連写に関するタッチ操作を受け付け可能な状態となり、タッチセンサ6aによりタッチ操作が検出されるまで待機する状態となる(ステップS33)。
ユーザーによるタッチ操作が検出されると(ステップS33でYES)、CPU11は、タッチ操作が拡大連写設定の終了を指示するものか否かを判断する(ステップS34)。すなわち、例えば前記タッチ操作が、拡大連写設定をキャンセルする指示であったり、拡大連写設定の内容を確定する指示であるなどの場合には、CPU11は、拡大連写に関する処理を終了する。
これに対して、タッチセンサ6aにより検出されたタッチ操作が拡大連写設定の終了を指示するものでない場合には(ステップS34でNO)、検出されたタッチ操作がスライド操作か否かを判断する(ステップS35)。操作検出部34において、検出されたタッチ操作がスライド操作ではないと判断した場合には(ステップS35でNO)、ステップS33に戻り、再びユーザーによるタッチ操作が検出されるまで待機する状態となる(ステップS33)。これに対して、操作検出部34において、検出されたタッチ操作がスライド操作であると判断した場合には(ステップS35でYES)、最初のタッチ位置からの移動距離及び移動方向を検出する(ステップS36)。そして、印刷設定部35は、検出された移動距離及び移動方向に応じて表示部5に表示された印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる(ステップS37)。さらに、印刷設定部35は、増加又は減少した印刷出力画像の表示数に応じて、印刷対象データに含まれる1ページの画像を分割し、分割された各画像を印刷用紙等の記録シート複数枚に割り付けることにより、割付状態を更新する(ステップS38)。
次に、本実施形態における拡大連写設定の表示画面G10の具体例を図14乃至16に示しつつ、拡大連写設定について説明する。
図14(a)は、拡大連写設定の初期画面の一例を示す図である。印刷設定部35は、ユーザーにより拡大連写設定の指示がなされると、初期画面として印刷対象データに含まれる1ページ分の画像D60からなる印刷出力画像T60を表示する。拡大連写設定による印刷設定の更新をする場合、表示画面G10に表示される印刷出力画像T60上の1点をタッチした状態で所望の方向にスライド操作を行う。スライド操作が行われると、操作検出部34は、最初のタッチ位置を始点として、タッチ位置の移動方向及び移動距離を検出し、印刷設定部35は、検出された移動方向及び移動距離に応じて印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる。そして、この印刷出力画像の表示数に応じて画像D60を分割して複数の記録シートに割り付けることにより割付状態を更新する。
図14(b)の例において、タッチ位置から矢印F5方向にスライド操作が検出されると、印刷設定部35は、矢印F5方向への移動距離に応じて、印刷出力画像の表示数を縦横同数にて増加させ、印刷出力画像T61乃至T64を表示する。そして、印刷出力画像T61乃至T64に対し、画像D60を分割して割り付けることにより割付状態を更新する。もっとも、縦横同数の印刷出力画像を増加するのは、画像D60の縦横サイズの比率を維持しつつ拡大連写設定を行うためである。そこで、印刷対象データに含まれる画像の縦横サイズの比率を維持することなく、例えば横方向にスライド操作が行われた場合に、横方向にのみ印刷出力画像を増加するというオプションを設けてもよい。
図15の例において、表示画面G10に表示される印刷出力画像T70の1点のタッチ位置から矢印F6方向にスライド操作が検出されると、印刷設定部35は、矢印F6方向への移動距離に応じて、印刷出力画像の表示数を縦横同数にて増加させ、印刷出力画像T71乃至T74を表示する。そして、印刷出力画像T71乃至T74に対し、画像D70を分割して割り付けることにより割付状態を更新する。もっとも、縦横同数の印刷出力画像を増加するのは、画像D70の縦横サイズの比率を維持しつつ拡大連写設定を行うためである。そこで、印刷対象データに含まれる画像の縦横サイズの比率を維持することなく、例えば縦方向にのみ印刷出力画像を増加するというオプションを設けてもよい。
図16の例において、表示画面G10に表示される印刷出力画像T80上の1点のタッチ位置から矢印F7方向にスライド操作が検出されると、印刷設定部35は、矢印F7方向への移動距離に応じて、印刷出力画像の表示数を縦横同数にて増加させ、印刷出力画像T81乃至T89を表示する。そして、印刷出力画像T81乃至T89に対し、画像D80を割り付けることにより割付状態を更新する。もっとも、縦横同数の印刷出力画像を増加するのは、画像D80の縦横サイズの比率を維持しつつ拡大連写設定を行うためである。そこで、印刷対象データに含まれる画像の縦横サイズの比率を維持することなく、例えば縦方向及び横方向それぞれの方向への移動距離に応じて、縦方向及び横方向それぞれに印刷出力画像を増加するというオプションを設けてもよい。
このように、スライド操作によるタッチ位置の移動方向及び移動距離に応じて拡大連写の設定が可能であるため、簡便な操作方法により拡大連写設定を実行でき、印刷設定における効率性を図ることができる。
また、表示部5の表示画面G10に常時印刷出力画像及び各印刷出力画像への画像の割付状態が表示されるため、これらの表示を確認しつつ所望の割付状態に調整することが可能となる。
さらに、画像の縦横の比率を維持しつつ、画像を分割して各印刷出力画像に割り付けることができるため、印刷された記録シートを合わせることにより、画像の縦横サイズの比率を維持したままの大型サイズのポスターを作成することが可能となる。もっとも、画像の縦横サイズの比率を維持することなく、画像を分割して各印刷出力画像に割り付けてもよい。この場合、ユーザーは所望の態様により、画像を各印刷出力画像に割り付けることができる。
図17は、上述した実施形態とは別の実施形態を示す図であり、タッチ位置の移動方向により、Nin1設定と拡大連写設定とを切り替えて実行するものである。図17(a)の表示画面G20は、印刷対象データに含まれる画像D90を表示した印刷出力画像T100を構成要素とする。そして、印刷出力画像T100上の任意の1点がタッチ位置として検出され、引き続き例えば矢印F8方向へのスライド操作によるタッチ位置の移動が検出されると、印刷設定部35は、Nin1設定の実行を開始し、矢印F8方向へのタッチ位置の移動距離に応じて印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる。例えば、図17(b)に示すように、矢印F8方向へのタッチ位置の移動が検出されることにより、印刷出力画像T101乃至T107を表示する。そして、印刷出力画像の表示数に応じて、印刷設定部35は印刷対象データに含まれる画像の割付を更新することにより印刷設定を更新する。
これに対し、印刷出力画像T100上の任意の1点がタッチ位置として検出され、引き続き例えば矢印F9方向へのスライド操作によるタッチ位置の移動が検出されると、印刷設定部35は、拡大連写設定の実行を開始する。そして、矢印F9方向へのタッチ位置の移動距離に応じて印刷出力画像の表示数を増加又は減少させる。図17(c)に示すように、矢印F9方向への移動距離に応じて、印刷出力画像の表示数を縦横同数にて増加させ、印刷出力画像T110乃至T113を表示する。そして、印刷出力画像T110乃至T113に対し、画像D90を分割して割り付けることにより割付状態を更新する。もっとも、画像D90の縦横サイズの比率を維持することなく、例えば横方向にのみ印刷出力画像を増加するというオプションを設けてもよい。
このようにタッチ位置の移動方向によりNin1設定と拡大連写設定とを切り替えて実行することにより、一連のタッチ操作によりNin1設定及び拡大連写設定を実行することができるため、効率的な印刷設定が可能となる。
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、印刷設定装置1がMFP100によって構成される場合を例示した。しかし、印刷設定装置1は、MFPに限られるものではなく、デスクトップ型パーソナルコンピュータなどの固定設置型の情報端末や、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット端末或いはスマートフォンなどの可搬型の情報端末も含まれる。なお、上記印刷設定装置1における機能は、MFPや上記情報端末にインストールされるプリンタドライバなどにより実現することも可能である。すなわち、上述したようにCPU11を表示制御部32、操作検出部34及び印刷設定部35として機能させるためのプログラム13は、MFPだけでなく、上記情報端末のようなコンピュータにおいて実行されるものであっても構わない。
また、上記実施形態では、表示部5の表示画面に対する指でのタッチ操作による印刷設定を例示したが、これに限られるものではなく、タッチペンによるタッチ操作なども含まれる。さらに、表示画面への接触がなくともタッチ位置及びタッチ位置の移動が検出できるグローブによる遠隔操作なども含まれる。