JP6159556B2 - 非水系二次電池、並びに非水系二次電池用難燃剤及び添加剤 - Google Patents
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Description
非水電解液は、リチウム塩のような電解質塩と、非水系溶媒とから構成されている。非水系溶媒には、動作環境によらず、高い誘電率を有すること、酸化電位が高いこと、電池中で安定であること等が要求されている。
で表される環状窒素含有化合物を少なくとも含有することを特徴とする非水系二次電池が提供される。
で表される環状窒素含有化合物からなる非水系二次電池用難燃剤が提供される。
で表されるメチレンビススルホネート誘導体とからなる非水系二次電池用添加剤が提供される。
で表されるメチレンビススルホネート誘導体を含有する場合、難燃性が向上し、メチレンビススルホネート誘導体が負極表面に緻密な皮膜を形成するため、更に負荷特性・サイクル特性に優れた非水系二次電池を提供できる。
(環状窒素含有化合物)
一般式(1)の構造の環状窒素含有化合物が難燃性を示す機構は、非水系二次電池の熱暴走(火元が発生する)時に熱により分解し、窒素(N2)ガスを発生し、その結果、周囲の酸素濃度を低下させることにより火元を消す(窒息消火)機構であると発明者等は考えている。そのような機構を実現するために、環状窒素含有化合物は、環ができるだけ多くの窒素原子から構成されていることが必要である。
すなわち、一般式(1)で表される環状窒素含有化合物において、窒素原子に結合する官能基R1に水素原子を選択した場合、電解液中のリチウムイオン(カチオン)により窒素原子に結合した水素原子が脱プロトン化することがある。脱プロトン化後の一般式(1)の化合物はアニオンとなり、錯形成する可能性が生じる。その結果、この錯体により、リチウムイオン二次電池が本来の動作をしない可能性が高くなる、と発明者等は考えている。
高容量である非水系二次電池を得るためには、初回充電時において、主に負極表面における非水電解液の不可逆な反応を抑制することが重要である。更に、良好なサイクル特性を有する非水系二次電池を得るためには、充放電を繰り返した際にも安定であり、かつ緻密な皮膜を形成する必要がある。このような皮膜を形成するために、本発明では、非水電解液中に、以下の一般式(2)の構造のメチレンビススルホネート誘導体が含まれていることが好ましい。この特定構造のメチレンビススルホネート誘導体は、負極活物質中へのリチウムイオンの脱挿入を阻害しない皮膜を負極活物質に形成することができ、皮膜形成剤としての役割を果たすと発明者等は考えている。
環状窒素含有化合物の配合割合は、非水電解液中、好ましくは1〜60体積%(V/V%)の範囲である。1体積%未満では、非水系二次電池の破裂や発火が十分に抑制できないことがある。一方、60体積%を超えると、低温環境において、非水系二次電池の性能が低下することがある。より好ましい配合割合は1〜40体積%の範囲であり、更に好ましい配合割合は5〜20体積%の範囲である。
メチレンビススルホネート誘導体の配合割合は、非水電解液中、好ましくは0.01〜2体積%(V/V%)の範囲である。0.01体積%未満では、充放電特性の改善効果、特にサイクル特性の改善効果が充分でないことがある。一方、2体積%を超えると、満充電の状態で85℃以上の高温にすると、電池特性が大幅に低下し、また、その高温時に電池内部にてガス発生により膨れが生じることがある。より好ましい配合割合は0.05〜1体積%の範囲であり、更に好ましい配合割合は0.075〜0.75体積%の範囲である。
電解質塩としては、通常リチウム塩が使用される。リチウム塩としては、非水電解液に含まれる非水系溶媒に溶解するものであれば特に限定されない。例えばLiClO4、LiCl、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、低級脂肪族カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、4−フェニルホウ酸リチウム等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。電解質塩の好ましい添加量は、非水系溶媒1kgに対して、0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
非水電解液は、有機溶媒(非水系溶媒)、脱水剤、脱酸剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
(i)有機溶媒
上記環状窒素含有化合物が非水系二次電池の動作温度で液状であり、十分な電池特性の非水系二次電池を得ることが可能であれば、これら化合物を有機溶媒として使用できるため、有機溶媒を加えても加えなくてもよい。しかしながら、非水系二次電池の充放電特性、耐低温性等をより向上させる観点から、環状窒素含有化合物は、有機溶媒との混合溶媒とすることが好ましい。
有機溶媒は、カーボネート系溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒中、カーボネート系溶媒の占める割合は、50〜80体積%であることが好ましい。
脱水剤及び脱酸剤としては、例えば従来公知の剤を使用できる。具体的には、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ジブチルスルフィド、ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等が挙げられる。これらを非水系溶媒中に通常0.1重量%以上、5重量%以下の濃度で含有させると、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上できる。
正極は、例えば正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを正極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、正極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜20重量部、結着剤を1〜15重量部、有機溶剤を30〜60重量部とすることができる。
正極活物質としては、例えばLiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4、LiFePO4のリチウム複合酸化物、及びこれら酸化物中の一部の元素を他の元素(例えばFe、Si、Mo、Cu及びZn等)で置換した化合物を用いることができる。二次電池の負荷特性を向上させる観点から、LiFePO4を正極活物質として使用できる。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルピリジン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
正極集電体としては、例えばSUS、アルミニウム等の導電性金属の箔や薄板が挙げられる。
また、負極は、例えば負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを負極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、負極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜15重量部、結着剤を1〜10重量部、有機溶剤を40〜70重量部とすることができる。
負極活物質としては、例えば熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼結体、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピリジン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
負極集電体としては、例えば銅のような金属の箔が挙げられる。
負極と正極との間には、セパレータを介在させてもよい。
セパレータは、通常多孔質フィルムよりなり、耐溶剤性や耐還元性を考慮して材質を選定できる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムあるいは不織布が好適である。このような材質からなるものを単層又は複数層にして用いることができる。複数層の場合は、サイクル特性、低温性能、負荷特性等の観点から少なくとも1枚は不織布を用いることが好ましい。
非水系二次電池は、例えば任意にセパレータを挟んだ負極と正極間に、非水電解液を注入することで得ることができる。また、一対の負極と正極の組を一単位(一セル)として、一単位を複数積層してもよい。
非水系二次電池のその他の構成部材としては、通常使用されている公知の部材を使用できる。
また、非水系二次電池の形態としては、特に制限されず、ボタン型、コイン型、角型、スパイラル構造の円筒型、ラミネート型電池等の種々の形態が挙げられる。これら形態は、その用途に応じて、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)(非プロトン性有機溶媒)に、下記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1がメチル基、R2がエチル基である化合物(5−エチル−1−メチル−1H−テトラゾール)(和光純薬工業株式会社製))を20体積%となるように添加した(混合溶媒80体積%)。
正極活物質としてLiMn2O4を100重量部、導電材としてアセチレンブラックを5重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を7重量部、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)40重量部を、プラネタリーミキサーにより混練することで、分散させて正極形成用ペーストを作製した。作製したペーストを塗工装置にて正極集電体である厚み20μmの帯状アルミニウム箔の両面に均一に塗工した。尚、アルミニウム箔の端部に、端子接続用の未塗工部を設定した。塗膜を130℃で8時間減圧乾燥して溶剤を除いた後、油圧プレス機を用いてプレスすることで正極を形成した。得られた正極は、所定のサイズに裁断して使用した。
得られた正極と負極とを、セパレータとしてのポリプロピレンの多孔質フィルムを介して積層し、次いで、積層体に前記非水電解液を注液することで、非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を99体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を1体積%としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を95体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を5体積%としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を40体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を60体積%としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、下記式(1−2)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1がメチル基、R2が水素原子である化合物(1−メチル−1H−テトラゾール)(和光純薬工業株式会社製))を5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、下記式(1−3)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1及びR2がn−プロピル基である化合物(1,5−ジ−n−プロピル−1H−テトラゾール))を5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、下記式(1−4)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1がフェニル基、R2がメチル基である化合物(5−メチル−1−フェニル−1H−テトラゾール))を5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、下記式(1−5)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1とR2が5つのメチレン基の結合した環構造を構成する化合物(6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−テトラゾール[1,5−a]アゼピン)(和光純薬工業株式会社製))を5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。
環状窒素含有化合物を使用しないことのほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、下記式(A)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、R1が水素原子、R2がフェニル基である化合物(5−フェニル−1H−テトラゾール)(東京化成社製))を0.5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒99.5体積%)。尚、式(A)の化合物は、ジエチルカーボネートを含む混合溶媒への溶解性が悪く、0.5体積%以上溶解させることは困難であった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1)に、上記式(A)で表される環状窒素含有化合物を5体積%となるように添加したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。尚、式(A)の化合物は、混合溶媒への溶解性が悪く、約1.0体積%以上溶解させることは困難であり、溶け残りは、混合溶媒に固体として存在していた。
正極活物質としてLiFePO4を使用したこと以外は、実施例1〜8及び比較例1〜3と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)(非プロトン性有機溶媒)に、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物と下記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体(一般式(2)において、R3とR4がメチル基である化合物(メチレンビス(メタンスルホネート))(和光純薬工業株式会社製))をそれぞれ20体積%及び0.1体積%となるように添加した(混合溶媒79.9体積%)。
得られた混合溶液を使用したほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を98.9体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を1体積%とし、上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体の体積%を0.1体積%としたほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を94.9体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を5体積%とし、上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体の体積%を0.1体積%としたほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)の体積%を40体積%とし、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物の体積%を59.9体積%とし、上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体の体積%を0.1体積%としたほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物と下記式(2−2)で表されるメチレンビススルホネート誘導体(一般式(2)において、R3とR4がエチル基である化合物(メチレンビス(エタンスルホネート))(和光純薬工業株式会社製))をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物と下記式(2−3)で表されるメチレンビススルホネート誘導体(一般式(2)において、R3とR4がアリル基である化合物(メチレンビス(アリルスルホネート))(和光純薬工業株式会社製))をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−2)で表される環状窒素含有化合物と上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−3)で表される環状窒素含有化合物と上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−4)で表される環状窒素含有化合物と上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(1−5)で表される環状窒素含有化合物と上記式(2−1)で表されるメチレンビススルホネート誘導体をそれぞれ5体積%及び0.1体積%となるように添加したほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒94.9体積%)。
環状窒素含有化合物及びメチレンビススルホネート誘導体を使用しないことのほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物を使用しないことのほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒99.9体積%)。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/2)に、上記式(A)で表される環状窒素含有化合物を0.5体積%となるように添加し、メチレンビススルホネート誘導体を添加しなかったほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒99.5体積%)。尚、式(A)の化合物は、ジエチルカーボネートを含む混合溶媒への溶解性が悪く、0.5体積%以上溶解させることは困難であった。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1)に、上記式(A)で表される環状窒素含有化合物を5体積%となるように添加し、メチレンビススルホネート誘導体を添加しなかったほかは、実施例17と同様に非水系二次電池を作製した(混合溶媒95体積%)。尚、式(A)の化合物は、混合溶媒への溶解性が悪く、約1.0体積%以上溶解させることは困難であり、溶け残りは、混合溶媒に固体として存在していた。
正極活物質としてLiFePO4を使用したこと以外は、実施例17〜26及び比較例7〜10と同様に非水系二次電池を作製した。
実施例1〜36及び比較例1〜14で得られた非水系二次電池について、電池性能試験として、20℃及び60℃における初回放電容量の測定、放電容量維持率の測定、高温保存特性として60℃で20日(480時間)保存後における放電容量維持率及び回復率の測定、安全性試験として釘刺し試験、DSCによる電解液分解温度の測定、並びに電池の負荷特性評価を以下の手順で行った。
0.1CmAレートにて所定の充電電位になるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が所定の放電電位になるまで放電したときの容量を初回放電容量(mAh/g)とする。尚、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
尚、正極活物質LiMn2O4における所定の充電電位は、4.2Vであり、所定の放電電位は、3.0Vである(実施例1〜8、17〜26、比較例1〜3、7〜10)。また、正極活物質LiFePO4における所定の充電電位は、3.8Vであり、所定の放電電位は、2.0Vである(実施例9〜16、27〜36、比較例4〜6、11〜14)。
1CmAレートにて所定の充電電位になるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が所定の放電電位になるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを99回行い、100回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目測定終了後、1CmAレートにて所定の充電電位になるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が所定の放電電位になるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを399回行い、トータル充放電サイクル500回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目、及び500回目の放電容量維持率(%)は、それぞれ、初回放電容量に対する100回目、及び、初回放電容量に対する500回目の放電容量の割合とする。尚、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
尚、正極活物質LiMn2O4における所定の充電電位は、4.2Vであり、所定の放電電位は、3.0Vである(実施例1〜8、17〜26、比較例1〜3、7〜10)。また、正極活物質LiFePO4における所定の充電電位は、3.8Vであり、所定の放電電位は、2.0Vである(実施例9〜16、27〜36、比較例4〜6、11〜14)。
60℃における初回放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、恒温器の温度を60℃一定にすること以外は、20℃における初回放電容量及び放電容量維持率と同様にして測定した値とする。
釘刺し試験は、0.1CmAレートにて所定の充電電位になるまで充電した非水系二次電池に、室温20℃において、直径3mmの釘を速度1mm/sで貫通させた時の状態を確認する試験である。尚、発煙や発火のような異常が生じていない状態を「異常なし」と判定した。
尚、正極活物質LiMn2O4における所定の充電電位は、4.2Vである(実施例1〜8、17〜26、比較例1〜3、7〜10)。また、正極活物質LiFePO4における所定の充電電位は、3.8Vである(実施例9〜16、27〜36、比較例4〜6、11〜14)。
DSCによる電解液の分解温度は、(1−1)〜(1−5)及び(A)で表される環状窒素含有化合物(難燃剤)を含有する電解液5mgをSUS密閉容器に入れ、100℃から350℃になるまで10℃/minの速度で加熱し、示差走査熱量計で分解温度(発熱開始温度)を測定した値である。
ここで、分解温度(発熱開始温度)は、DSC曲線{縦軸:熱流(mW)、横軸:温度(℃)}において、DSC曲線の傾きが+0.1mW/℃に上昇・到達した時の温度を指す。
電解液の分解温度の測定は、以下の理由から行っている。
電解液は、温度を上げすぎると発熱を伴った分解を生じることが知られている。例えば正極と負極との短絡等により異常発熱して電解液の発熱分解が生じると、温度の上昇が加速されるため、電池の破裂や電解液の発火のリスクがより高くなる。発熱を開始する温度(分解温度)が高くなる電解液を開発すれば、上記のリスクを低減することができる。
0.1CmAレートにて3.8Vになるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が2.0Vになるまで放電したときの容量を初回放電容量(mAh/g)とする。
0.1CmAレート、0.3CmAレート、0.5CmAレート、1CmAレート、3CmAレートにて充放電試験を行い、各レートにおける放電容量とする。これらの放電容量を下記式のように初回放電容量で割った放電容量比から負荷特性を評価する。この放電容量比は、パーセンテージが高い方が負荷特性に優れることを意味する。
0.1C=0.1CmAレート時の放電容量/初回放電容量×100
0.3C=0.3CmAレート時の放電容量/初回放電容量×100
0.5C=0.5CmAレート時の放電容量/初回放電容量×100
1.0C=1.0CmAレート時の放電容量/初回放電容量×100
3.0C=3.0CmAレート時の放電容量/初回放電容量×100
試験結果を表1〜8に示す。表中、難燃剤は、環状窒素含有化合物であり、被膜形成剤は、メチレンビススルホネート誘導体を意味する。
電池性能については、実施例17〜36の非水系二次電池は、メチレンビススルホネート誘導体を含むため、比較例1、4、7及び11のメチレンビススルホネート誘導体を含まない非水系二次電池と比較して、向上している。
更に、負荷特性については、実施例9〜16及び27〜36の非水系二次電池は、1.0C時の特性が90%以上であるのに対して、比較例4、11及び12では90%未満であり、向上していることが示されている。
実施例1〜36中の上記式(1−1)〜(1−5)で表される環状窒素含有化合物の内、(1−1)、(1−2)及び(1−5)は、市販品から入手し、(1−3)及び(1−4)は、以下の合成スキームに記載の方法により得た。
アセトニトリル1Lにアジ化ナトリウム84g(1.3mol)を懸濁させ、四塩化ケイ素73g(0.4mol)を滴下し、次いで、4−ヘプタノン49g(0.4mol)を滴下後、室温で74時間反応させた。反応終了後、反応液を水及び塩化メチレンで抽出し、有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより環状窒素含有化合物(1−3)を53g(0.33mol)、収率82%で得た。
1H−NMR(CDCl3):0.95ppm(t,3H),1.01ppm(t,3H),1.85ppm(m,2H),1.91ppm(m,2H),2.78ppm(t,2H),4.19ppm(t,2H).
アセトニトリル1Lにアジ化ナトリウム84g(1.3mol)を懸濁させ、四塩化ケイ素73g(0.4mol)を滴下し、次いで、アセトフェノン52g(0.4mol)を滴下後、室温で74時間反応させた。反応終了後、反応液を水及び塩化メチレンで抽出し、有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより環状窒素含有化合物(1−4)を38g(0.24mol)、収率60%で得た。
1H−NMR(CDCl3):2.62ppm(s,3H),7.47ppm(m,2H),7.60(m,3H).
化合物(2−1)
炭酸ジメチル(10mL)中、米国特許第4649209号公報記載の方法に従って合成されたメチレンビス(クロロスルフェート)〔ClSO2OCH2OSO2Cl〕1.5g(6.1mmol)及びメタンスルホン酸ピリジニウム塩2.1g(12.0mmol)を55℃で3時間撹拌反応させた。反応終了後、析出したクロロスルホン酸ピリジニウム塩を濾別し、減圧濃縮して薄茶褐色固体を得た。活性炭で吸着処理した後に再結晶で精製することにより、目的物であるメチレンビス(メタンスルホネート)を0.6g(2.9mmol)、収率48%で得た。
1H−NMR(CD3CN):5.80ppm(s,2H),3.19ppm(s,6H).
メタンスルホン酸ピリジニウム塩の代わりにエタンスルホン酸ピリジニウム塩2.3g(12.0mmol)を使用したほかは、上記化合物(2−1)の合成方法と同様の処理を行うことにより、メチレンビス(エタンスルホネート)を0.6g(2.5mmol)、収率41%で得た。
1H−NMR(CDCl3):5.82ppm(s,2H),3.31−3.26ppm(q,4H),1.50−1.46ppm(t,6H).
メタンスルホン酸ピリジニウム塩の代わりにアリルスルホン酸ピリジニウム塩2.4g(12.0mmol)を使用したほかは、上記化合物(2−1)の合成方法と同様の処理を行うことにより、メチレンビス(アリルスルホネート)を0.7g(2.6mmol)、収率43%で得た。
1H−NMR(CD3CN):5.93−5.82ppm(m,2H),5.76ppm(s,2H),5.55−5.49ppm(m,4H),4.06−4.04ppm(d,4H).
メタンスルホン酸ピリジニウム塩の代わりにベンゼンスルホン酸ピリジニウム塩2.8g(12.0mmol)を使用したほかは、上記化合物(2−1)の合成方法と同様の処理を行うことにより、メチレンビス(ベンゼンスルホネート)を1.2g(3.5mmol)、収率58%で得た。
1H−NMR(CD3CN):7.75−7.70ppm(m,6H),7.58−7.53ppm(m,4H),5.82ppm(s,2H).
Claims (9)
- 正極と、負極と、非水電解液とを備え、前記非水電解液中に下記一般式(1)
で表される環状窒素含有化合物を少なくとも含有することを特徴とする非水系二次電池。 - 前記一般式(1)で表される環状窒素含有化合物が、前記非水電解液中に、1〜60体積%含まれる請求項1に記載の非水系二次電池。
- 前記非水電解液中に、更に下記一般式(2)
で表されるメチレンビススルホネート誘導体を含有する請求項1又は2に記載の非水系二次電池。 - 前記一般式(2)におけるR3及びR4で示される低級アルキル基及び低級アルコキシ基が炭素数1〜6のアルキル基及びアルコキシ基であり、前記一般式(2)におけるR3及びR4で示される低級アルケニル基及び低級アルキニル基が炭素数2〜8のアルケニル基及びアルキニル基であり、前記一般式(2)におけるR3及びR4で示される低級アラルキル基が炭素数7〜15のアラルキル基であり、前記一般式(2)におけるR3及びR4で示されるアリール基が炭素数6〜10のアリール基である請求項3に記載の非水系二次電池。
- 前記R3及びR4が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基又はアリール基である請求項3又は4に記載の非水系二次電池。
- 前記一般式(2)で表されるメチレンビススルホネート誘導体が、前記非水電解液中に、0.01〜2体積%含まれる請求項3〜5のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 前記非水電解液が、有機溶媒としてのジエチルカーボネートを含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 一般式(1)
で表される環状窒素含有化合物からなる非水系二次電池用難燃剤。 - 請求項8に記載の非水系二次電池用難燃剤と、下記一般式(2)
で表されるメチレンビススルホネート誘導体とからなる非水系二次電池用添加剤。
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