図1は、電気掃除機の外観斜視図を示している。図1において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1にサイクロン方式の集塵装置10が着脱自在に備えられており、掃除機本体1は吸引ホース2を介して手元ハンドル3と接続され、手元ハンドル3は延長管6を介して吸口体7と接続されている。掃除機本体1には掃除機本体1を自在に移動できる車輪11が備えられている。後述するが、集塵装置10は、第一の塵埃分離部21と、塵埃収容部22と、からなる。
また、手元ハンドル3には、掃除機本体1に内蔵して備えられている電動送風機14(図2参照)の制御や、吸口体7に設けられている電動回転ブラシ(図示せず)の駆動制御を行う操作部4を備えている。操作部4には、運転を開始する(強・中・弱)ボタンや運転を停止する(切)ボタンを配置した操作ボタン5が備えられている。
図2は、掃除機本体1の略中央の断面図を示している。掃除機本体1はプラスチック等の材料で形成された筺体11における前部にホース取り付け口11aを形成し、その内部に吸引力を発生するケース16に収納された電動送風機14を配置すると共に、排気を清浄化するプリーツ状の高捕塵フィルタ29を配置してある。高捕塵フィルタ29と電動送風機14とはダクト28で流体的に接続されている。
掃除機本体1の前側上部には集塵装置10が前下がりに傾斜した状態で着脱自在に載置されており、集塵装置10は一方がホース取り付け口11aに流体的に接続され、他方が電動送風機14に流体的に接続されている。
ここで、サイクロン方式の集塵装置10は概ね第一の塵埃分離部21と塵埃収容部22より構成され、第一の塵埃分離部21がホース取り付け口11aに流体的に接続され、塵埃収容部22が電動送風機14に流体的に接続されるように構成されている。なお、本実施形態では、第一の塵埃分離部21と塵埃収容部22は分離できる構成として説明してあるが、一体化して構成されていても良い。
以下の説明では、第一の塵埃分離部21と塵埃収容部22が分離できる実施形態について説明するが、一体的に構成されたものであっても、第一の塵埃分離部21と塵埃収容部22の夫々が一体化されるだけなので実質的に同様の構成となる。
吸口体7から吸引された塵埃を含む空気は、図2に示す矢印のようにホース取り付け口11aを介して集塵装置10を流れ、集塵装置10に設けた捕塵フィルタ13を経て、ダクト28を介し、電動送風機14、高捕塵フィルタ29を経由して筺体11の外部に(掃除機本体1の外部に)排出されるようになっている。高捕塵フィルタ29は、捕塵フィルタ13で捕集できなかった微小な塵埃や電動送風機14のカーボンブラシ(図示せず)の摩耗屑を取り除き、ほぼ塵埃を含まないきれいな空気にして掃除機本体1の外部へ排気する。なお、図2では図示していないが掃除機本体1の外郭を形成する筺体11の内側には電力を供給するためのコードリール8を設けてある。
図3は第一の実施形態を示すブロック図である。
吸口体7から吸い込んだ塵埃を含んだ空気は、第一の塵埃分離部21に入り、塵埃と空気とに分離される。第一の分離部21の後流は、主流と副流とに分かれる。主流は、流れ101である。副流は、流れ102である。第一の塵埃分離部21により塵埃と分離された空気は、流れ101に従い、補塵フィルタ13に至る。対して、第一の塵埃分離部21により分離された塵埃は、流れ102に従い、補塵容器(第一の塵埃収容部)12に補塵される。補塵容器(第一の塵埃収容部)12で補塵されなかった小さな塵埃は、引き続き流れ102に従い、第二の塵埃分離部90へと至る。第二の塵埃分離部90では、第一の塵埃分離部12と同様に塵埃と空気とに分離される。第二の塵埃分離部90により塵埃と分離された空気は、流れ102bに従い、補塵フィルタ13に至る。対して、第二の塵埃分離部90により分離された塵埃は、微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96に至り、微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96で補塵しきれなかった塵埃は再度第二の塵埃分離部90へと至る。
次に、第一の実施形態における第一の塵埃分離部21について図2、および図4を用いて説明する。図4は集塵装置10を掃除機本体1から取り外した状態での外観斜視図を示す。
第一の塵埃分離部21は外筒30、内筒31、外筒蓋32で構成されている。外筒30は、上面が開口し、他端面である底面30aは一部開口した容器であり、底面30aの流入口30bには導入管30cを備えている。外筒30の上面には、外筒蓋32が着脱可能なヒンジ32aで接続しており第一の塵埃分離部21に汚れが付着した際、外筒30から外筒蓋32を簡単に取り外すことができ、水洗いが可能である。外筒蓋32には、貫通した二つの流路を備えており、上面(図面上側)に主流第一流路出口50、および副流第一流路出口60を備えている。また、構造の詳細は省略するが、外筒蓋32の上面の主流第一流路出口50、副流第一流路出口60、および外筒蓋32外周の下面にはパッキングを備えており、上面のパッキングは第一の塵埃分離部21と塵埃収容部22との接続部の気密を保ち、下面のパッキングは外筒30と外筒蓋32の気密を保っている。
外筒30および外筒蓋32からなる空間には、内筒31が内包されている。内筒31は、底面側は閉塞され、他端面は開口し、内筒31の内側には空間31aを有している。内筒31の開口側は外筒蓋32に接続され、内筒31と外筒蓋32との間は隙間がないようにゴム部材などで気密を保っている。これは、隙間に塵埃が挟まることを防止するためである。内筒31の開口側には流出口31bを備え、流出口31bは外筒蓋32に備える主流第一流路出口50と連通している。
内筒31底面側の閉塞部31cは、略円筒状の内筒31の空間31aに向かって窪ませた部分(窪み部33)があり、窪み部33に開口部33aを設けることで閉塞部31cは略三日月形状をしている。この窪み部33により、空気流に旋回成分を与え、開口部33aから内筒31の外周と外筒30内壁面からなる空間に流出する。
内筒31の円筒面(側面)には、貫通孔34を設けている。貫通孔34は、内筒31の内側に生成された空間31aと連通し、空間31aから流出口31b、外筒蓋32に備える主流第一流路出口50へと連通している。この貫通孔34から、主流第一流路出口50までの流路を主流第一流路110と呼ぶ。貫通孔34は複数の孔で構成されており、貫通孔34の合計開口面積は主流第一流路出口50の面積と略同等、若しくはそれ以上としている。また、貫通孔34によって、内筒31はフィルタ機能を有し、貫通孔34より大きな塵埃が内筒31の内側の空間31aへ流入することがないようにしている。第一の実施形態における内筒31は、円筒部分も含め樹脂で構成されているが、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀、銅)や抗菌物質を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成しても良い。前述したように、閉塞部31cを略三日月形状にしているのは、貫通孔34後流部分の内筒34の空間31aを大きく保つためであり、貫通孔34の通気抵抗を小さくするためである。また、閉塞部31cは外筒30の底面30aと接しているが、底面30aの流入口30bを塞ぐことのない形状である。内筒31の底面には閉塞部31cを有しているが、閉塞せずに内筒31の空間31aと連通させても構わない。言い換えると、内筒31の両端面が開口していても良い。閉塞部31cを有している場合は、外筒30の底面30aと面で接し、更に外筒30の底面30aを窪ませて嵌合するようにしている。内筒31の底面を開口させる場合は、外筒30の底面30aとの隙間から直接塵埃が流入しないように、シール部材などを設ければ良い。このように、内筒31の両端面を開口することで、第一の塵埃分離部21が汚れた際に掃除がしやすく、また水洗いしても水が抜けやすく乾きやすいため、手入れ性が向上する。
また、内筒31には、内筒31と一体構造になっている塵埃収容部入口35を備えており、外筒蓋32に設けている副流第一流路出口60と連通している。この塵埃収容部入口35から、副流第一流路出口60までの流路を副流第一流路130と呼ぶ。
このような構造の第一の塵埃分離部21を備えることで、空気は次のような流れとなる。図2を用いて、掃除機運転時の空気の流れを説明する。
操作部4に設けられた操作ボタン5により使用者が運転を開始すると、電動送風機14が回転し空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、第一の塵埃分離部21の導入管30bを経て外筒30の底面30aに設けた流入口30bから外筒30内部に流入し、内筒31に設けた窪み部33により旋回成分を与えられる。これにより、内筒31と外筒30との間の空間を旋回する空気流となる。空気流は、流れ100に示す旋回流から、流れ101に示す主流と、流れ102に示す副流に分かれる。第一の塵埃分離部21は、吸口体7から吸込んだ塵埃を含む空気を最初に遠心分離する分離部であり、流れ101は主に空気を、流れ102は塵埃を多く含んだ空気を搬送する。
主流である流れ101は、貫通孔34から主流第一流路出口50間の主流第一流路110を経て、後述する塵埃収容部22内に備える主流第二流路120を通過する流れである。また、副流である流れ102は、塵埃収容部入口35から副流第一流路出口60までの副流第一流路130を経て、後述する塵埃収容部22内の捕塵容器(第一の塵埃収容部)12へ至り、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に設けたメッシュ部材15を通過し、後述する第二の塵埃分離部入口91までの副流第二流路140を経て、第二の塵埃分離部90を通過する流れである。副流が通過する第二の塵埃分離部90は、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に設けたメッシュ部材15を通過した微小な塵埃を遠心分離し、捕集する機能を有している。
そして、主流および副流は、塵埃収容部22内の捕塵フィルタ13上流の空間で合流する流れ103となり、電動送風機14へ至る。
次に、塵埃収容部22について図5乃至図7を用いて説明する。図5は塵埃収容部22の外観斜視図を示し、図6は塵埃排出用の開閉蓋24を開放した状態での外観斜視図を示し、図7は捕塵フィルタ13を開放した状態での外観斜視図を示している。
塵埃収容部22は、側面に二つの開口部を有しており、開口部の一方は開閉蓋24により開口部を閉塞し、他方は捕塵フィルタ13により閉塞する。また、側面に有した二つの開口部以外の側面10c(図中左右方向の面)には、後述する第二の塵埃分離部90を備えている。上面部10a(掃除機本体1に載置した場合で上側になる面)には、掃除機本体1から塵埃収容部22を取り外す場合や、塵埃収容部22を持ち運ぶ場合に使用するハンドル25や、開閉蓋24を閉状態に係止する係止クランプを解除するクランプ解除ボタン26が設けられている。また、塵埃収容部22の下面部10b(掃除機本体1に載置した場合で下側になる面)には、前述したように、外筒蓋32の主流第一流路出口50と接続する主流第二流路入口51、および外筒蓋32の副流第一流路出口60と接続する副流第二流路入口61を備えている。図6に示すように、第一の実施形態において、下面部10bは開閉蓋24と一体構造になっており、略L字形状である。下面部10bにはヒンジ22aを備えており、開閉蓋24および下面部10bはヒンジ22aによって回転自在に支持されており、このヒンジ22aを支点にして開閉蓋24および下面部10bが開閉されるものである。このように、開閉蓋24および下面部10bを回転自在に支持することによって、塵埃収容部22から塵埃を排出する場合に塵埃収容部22を傾ければ開閉蓋24が重力方向に垂下するので塵埃を容易に排出することができるものとなる。また、開閉蓋24の一部(或いは全部)には透明なプラスチック材料で作られた覗き窓部41が設けられており、塵埃の堆積量が把握できるようになっている。
図5に示す副流第二流路入口61は、開閉蓋24と連通しており第一の塵埃分離部21と後述する捕塵容器(第一の塵埃収容部)12を繋ぐ連通路62を備えており、第一の塵埃分離部21の副流第二流路出口60と気密を保持した状態で連通している。また、連通路62の進行方向は捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aに対して略平行になっている。言い換えれば容器開口部12aの開口方向と連通路62の進行方向は略直交する関係となっている。開閉蓋24の内周側は円弧状面63を有しているので、連通路62から流出してきた空気の流れは円弧状面63に沿って捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12a側に方向転換して流すようにしている。この円弧状面63は空気の流れを整流するために設けており、この他に断面が台形や三角形となる形状にしても良いものである(図8参照)。つまり、連通路62から捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aに至る間に断面が拡大していく方向に変化していけば良いものである。このようにすれば、連通路62から捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aに至るまで円滑に空気の流れが変化するものである。また、開閉蓋24の形状は集塵装置10の円筒形状に沿った円弧状に形成されているが、塵埃収容部22を直方体状に形成して平板状の開閉蓋24とすることもできるもので、第一の実施形態の基本的な概念はこの構成を含むものである。
ただ、開閉蓋24の形状を円弧状に構成することによって電動送風機14によって発生した開閉蓋24の内側の負圧と開閉蓋24の外側の大気圧との間に生じる力に対して変形しにくく、強くなっている。本構成の開閉蓋24によれば円弧形状になっているので剛性を高めることがき、開閉蓋24の厚みを薄くできる。
また、塵埃収容部22の側面部に形成した開口部の面積であるが、これは塵埃の集塵容量によって決められるものであり、塵埃収容部22の長さを一定とした場合では、集塵容量を大きくすると開口部の周方向の幅が小さくなって塵埃の排出が円滑にいかない場合があることから最適な開口部の面積が決められるものである。
塵埃収容部22の内部には捕塵容器(第一の塵埃収容部)12が収納されており、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12は開閉蓋24に臨むように容器開口部12aを備えている。この捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aは、ばね等の弾性体によって塵埃収容部22の外側へ飛び出すように付勢されている。
また、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12は二分割されて第一容器片12bと第二容器片12cとに分けられている。容器開口部12aとは反対側には各容器片12b、12cの底面部が存在し、この各底面部に設けた軸(図示せず)によって各容器片12b、12cが開閉される。
そして、使用者がクランプ解除ボタン26を押下すると、開閉蓋24の内周側に設けたクランプ爪(図示せず)が解除され、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の押す力によって開閉蓋24が開かれる。このときの捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の飛び出す勢いにより捕集した塵埃を排出することができる。捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の形状は本実施形態の形状に限定されるものではなく、少なくとも一つの容器開口部12aを有した立体的な形状であれば良い。つまり、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12は容器開口部12aと反対側に凹んだ形状を有する容器状であれば良い。また、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aの開口面に直交する断面形状は、略四角形状であっても良いし、略円形状であっても良いし、略三角形状であっても良い。捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の断面形状は、容器開口部12aから底面へ向かって、小さくなるのが好ましい。これによって、塵埃が排出される側に向かって断面積が拡がるため、使用者は捕塵容器(第一の塵埃収容部)12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の全体形状は、塵埃を含んだ空気が捕塵容器(第一の塵埃収容部)12を通り抜ける必要から枠体(支骨)によって形成されている。捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aの対向面である底面部および左右側面部は枠体(支骨)の間に金属やナイロンやポリエステルなどで構成されたメッシュ部材15が架け渡されており、これらは被覆またはインサート成形などにより枠体(支骨)に保持されている。各枠体(支骨)に架け渡したメッシュ部材15は、通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有する。
捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容器開口部12aの対向する面を底面とするとこの底面部だけでなく、左右側面部にも通気性を持たせることによって、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の底面に塵埃が堆積しても流路を確保することができ、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12を通過する空気流の圧力損失を低減し、吸込風量の低下を抑制することができる。
また、各枠体(支骨)に架け渡したメッシュ部材15の代わりに使い捨てのちり紙でも良いし、メッシュ部材15とちり紙を組み合わせても良い。例えば、メッシュ部材15の上にちり紙を装着しても良いものである。
上述したように、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12は集塵装置10を掃除機本体1に載置した状態で上下に二分割されている。つまり上半分の第一容器片12bと下半分の第二容器片12cよりなり、夫々は枠体(支骨)から構成されている。
二分割された捕塵容器12は、捕塵容器12の底面部の外側に形成された分割軸(図示せず)によって連結される。よって、捕塵容器12は容器開口部12aの対向面である底面部の分割軸を支点として、捕塵容器12の容器開口部12aが割れるようになっている。尚、捕塵容器12は本実施形態で示す方向に割れるものの他に、横方向に割れるように構成しても基本的には第一の実施形態の概念に含まれるものである。
ただ、捕塵容器12が飛び出した際に第一容器片12bと第二容器片12cが上下に割れる構成となっている。これによって、第二容器片12cがより重力方向に向けて傾斜するので使用者は捕塵容器12内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができ、捕塵容器12の内面に付着した塵埃も容易に剥がし落とすことができる。
開閉蓋24と反対側の側面には、捕塵フィルタ13を備えている。この捕塵フィルタ13は、下端部に設けたヒンジ13aよって開閉可能に支持されている。捕塵フィルタ13は通気面積を拡大するために断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状(山折り)に折られており、山折りの折り線方向は、縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。これは、捕塵フィルタ13の後流側に、捕塵フィルタ13に衝撃を与える除塵機構を備えた場合、折り方向が縦方向の方が捕塵フィルタ13に付着した細塵を下方に落下させて除去し易いからである。なお、山折りの折り線方向が斜めに配置されていても構わない。
捕塵フィルタ13は、図2に示す第一の塵埃分離部21の遠心分離作用によって分離できず、第一の塵埃分離部21の内筒31に備えた貫通孔34を通過した微小な塵埃を捕集する。そして、捕塵フィルタ13を通過した空気は、電動送風機14内に吸引される。
従って、捕塵フィルタ13に微小の塵埃が多く堆積すると、捕塵フィルタ13の圧力損失が大きくなり吸引力が低下する。特許文献1においては、塵埃収容部内が一つの空間で構成されており、先述した捕塵容器(第一の塵埃収容部)12のメッシュ部材15を通過した塵埃は捕塵フィルタ13で捕集する構造となっている。そのため、吸引力が低下しやすく、捕塵フィルタ13の手入れの頻度が多い傾向にある。
そこで、第一の実施形態の特徴とするところは、捕塵フィルタ13への塵埃の堆積量を低減し、吸引力を持続し、また捕塵フィルタ13の手入れを軽減するものである。
具体的には、図8乃至図10に示す塵埃収容部22で説明する。図8は図6に示す塵埃収容部22の略中央の断面図を示し、図9は図8に示すA−A面から見た断面図を示し、図10は、図9に示すB−B面から見た断面図を示す。
先述したように、外筒蓋32に備えた主流第一流路出口50、および副流第一流路出口60は、塵埃収容部22の下面部10bの備えた主流第二流路入口51、および副流第二流路入口61と連通する。主流第一流路出口50と主流第二流路入口51は略同形状で同面積であり、同様に副流第一流路出口60と副流第二流路入口61においても略同形状で同面積である。これは、第一の塵埃分離部21からの空気流を縮流させないためであり、同面積にすることで流れをスムーズにし、圧力損失の増加を抑制している。
次に、主流第二流路120、および副流第二流路140について説明する。図8に示す断面図のように、主流第二流路120と副流第二流路140は、塵埃収容部22内の空間を分割するように形成している。副流第二流路140は、先述した開閉蓋24に備える連通路62から塵埃収容部22の左右に備えた後述する第二の塵埃分離部入口91までの流路である。従って、副流第二流路140には、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12が内包されている。言い換えると、副流第二流路140は捕塵容器(第一の塵埃収容部)12を覆う形状をしている。副流第二流路140側面の一部は、第二の塵埃分離部90の外筒92の外周面で形成され、底面は主流第二流路120と隔てるように流路仕切り板80を備え、上面は上部仕切り板82を備え、第二の塵埃分離部90の上面を塞いでいる。上部仕切り板82には、後述する第二の塵埃分離部90の内筒93の内部空間と連通する開口部98を備え、本実施形態では、開口部98を左右に有する。左右の開口部98は、上部空間95で合流し、上部空間95は後方の捕塵フィルタ13に対向するように開口した、第二の塵埃分離部出口99を備えている。また、塵埃収容部22の開閉蓋24側に対向する面に壁面81を有しており、壁面81の左右に第二の塵埃分離部入口91を備えている。図10に示すように、塵埃収容部22を上面から見ると、塵埃収容部22の左右に備える第二の塵埃分離部90は略平行であり、壁面81は第二の塵埃分離部90の外筒92と接線方向に接続している。言い換えると、第二の塵埃分離部90の外筒92側面の最後方に接点を設け、左右の外筒92の接点を繋いだ面が壁面81である。そして、第二の塵埃分離部90には、壁面81を基準に前方を幅方向とする第二の塵埃分離部入口91を備える。第二の塵埃分離部入口91の形状に関しては後述する。このように、第二の塵埃分離部90の外筒92と接線方向に接続する壁面81を基準に第二の塵埃分離部入口91を設けることで、外筒92の内壁面に接線する方向から空気を流入することができ、第二の塵埃分離部90内の空気流に旋回成分を与えることが出来る。また、流路仕切り板80は、主流第二流路120の容積を最も大きく保てるように、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の形状に沿って傾斜している。
このような副流第二流路140の形状により、流れ102はすべて第二の塵埃分離部入口91から第二の塵埃分離部90内に導かれる。
主流第二流路120は、塵埃収容部22の下面部10bに備える主流第二流路入口51から、主流第二流路出口52までの空間である。主流第二流路120においても、側面の一部は、第二の塵埃分離部90の外筒92の外周面で形成され、上面は先述した流路仕切り板80で副流第二流路140と隔てている。主流第二流路出口52の開口面積は、主流第二流路入口51の開口面積と略同等、若しくは大きく設けている。これにより、主流第二流路120の流れ101をスムーズにし、圧力損失の増加を抑制する。
本実施形態では、第二の塵埃分離部90の外筒92の略半分が塵埃収容部22側に収まる形状であり、外観から第二の塵埃分離部90が突出している。塵埃収容部22の外観(幅)を小さくするためには、更に外筒92を塵埃収容部22側に収めれば良い。しかし、本実施形態の第二の塵埃分離部90の位置では、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の幅を小さくする必要があり、集塵容積が低下する。そこで、構造の詳細は省略するが、捕塵フィルタ13を塵埃収容部22に備えず、掃除機本体1内(例えば、ダクト28の上流側または後流側)に備えても良い。このようにすることで、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の容積を変えず、第二の塵埃分離部90を後方に移動し、第二の塵埃分離部90の突出を減らすことができる。また、塵埃収容部22の前後方向を大きくできるならば、捕塵フィルタ12を塵埃収容部22に備えつつ、第二の塵埃分離部90による左右の突出を減らすことができる。
次に、塵埃収容部22に設けた第二の塵埃分離部90について説明する。第二の塵埃分離部90は、底面が開口した筒形状であり、外筒92側面の上部に第二の塵埃分離部出口99、および第二の塵埃分離部入口91を備えている。第二の塵埃分離部出口99、および第二の塵埃分離部入口91は上部仕切り板82で分割されている。外筒92の内部は内筒93を内包し、内筒93は外周部に複数の貫通孔94を備えている。内筒93内部と貫通孔94は連通しており上部仕切り板82の底面と接続している。内筒93内部は、先述した上部仕切り板82の開口部98と連通し、上部空間95と第二の塵埃分離部出口99と連通している。この、第二の塵埃分離部入口91から第二の塵埃分離部出口99までを副流第三流路150と呼ぶ。副流第三流路150は、主流第二流路120と捕塵フィルタ13の上流側で合流し、捕塵フィルタ13へ至る。第二の塵埃分離部90の外筒92の高さH1は、塵埃収容部22の高さと略同等である。
本実施形態では、主流第二流路入口51と副流第二流路入口61との開口面積比が、およそ2:1と主流第二流路入口51の開口面積の方を大きく設けている。これは、吸引力を持続させるためである。吸引力の低下は、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に塵埃が堆積すると、副流に対し塵埃が抵抗となる場合と、捕塵フィルタ13に塵埃が堆積し主流および副流の抵抗となる場合がある。主流第二流路入口51の面積が副流第二流路入口61の面積よりも小さい(副流の方が多い)場合、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12の塵埃が抵抗となる割合が大きく、吸引力が早く低下する傾向にある。よって、前述したように本実施形態では、主流第二流路入口51面積を副流第二流路入口61面積の約2倍にしているので、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に堆積した塵埃による抵抗を低減することで吸込力を持続する。
また、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12のメッシュ部材15を通過した塵埃は、第一の実施形態の特徴である第二の塵埃分離部90を設けることで捕集することができ、捕塵フィルタ13への塵埃堆積量を低減し、主流および副流の抵抗を低減することで吸引力を持続する。
このような効果を得るために、副流第二流路入口61の開口面積と第二の塵埃分離部入口91の面積(本実施形態において入口2つ分の面積)は略同等、若しくは第二の塵埃分離部入口91の面積の方が大きくなるようにしている。これにより、第二の塵埃分離部90が流れ102の抵抗にならず、主流と副流を流れる流量の割合比を維持できる。また、第二の塵埃分離部出口99の開口面積は、第二の塵埃分離部入口91の略同等、若しくは第二の塵埃分離部出口99の面積の方が大きくなるようにしている。
ここで、本実施形態の具体的な第二の塵埃分離部90の形状について述べる。
第二の塵埃分離部90の外筒92の高さH1は100mm、外筒92の内径はφ41mmで内筒93の外径はφ25mmとしている。内筒93外周面と外筒92内壁面の間には空間が形成され、間隔L1は8mmとなる。内筒93に設けた貫通孔94は、総面積を内筒93の内径面積以上としており、貫通孔94の総面積が流路の最小面積にならないようにしている。これは、第二の塵埃分離部90への流量を確保するためである。また、後述するが第二の塵埃分離部入口91の面積についてもこの考えであり、内筒93の内径面積と第二の塵埃分離部入口91の面積は略同面積である。第二の塵埃分離部入口91は、外筒92側面の上部(上側)に設けており、高さH2は35mm、幅を10mmとし、入口面積は350mm2である。これは、内筒93の内径面積と略同等である。このように、副流第三流路150において、第二の塵埃分離部入口91の面積を基準に、貫通孔94、内筒92の内径面積のいずれも最小面積にならないようにしている。これは、先述したように流量を低下させないためである。また、流量の低下は、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に収まった塵埃を圧縮する力の低下に繋がり、塵埃を収容できる容量が減少する可能性がある。
先述したように、内筒93外周面と外筒92内壁面の間隔L1が8mmであるのに対し、第二の塵埃分離部入口91の幅は10mmである。よって、図10に示すように第二の塵埃分離部入口91を内筒93側へ投影すると、第二の塵埃分離部入口91の幅方向を10mmとしたため、内筒93とのラップ量L2が2mmとなる。これにより、流入した空気が内筒93と接触するため、本実施形態では、内筒93とラップする部分の貫通孔94を塞いでいる。これは、流入した空気が直接貫通孔94を通過しないためである。また、先述した内筒93外周面と外筒92内壁面の間隔L1の8mmに合わせ、第二の塵埃分離部入口91の幅を8mmにしても構わない。その際は、第二の塵埃分離部入口91の高さH2を高くして所定の開口面積を確保すれば良い。本実施形態では、所定の開口面積を350mm2としているため、第二の塵埃分離部入口91の幅8mmの場合、高さH2は約44mmとなる。
また、内筒93の側面に貫通孔94を設けているが、底面が開口した形状でも構わない。その場合、内筒93高さH3は第二の塵埃分離部入口91の高さH2よりも大きくする必要がある。これは、第二の塵埃分離部90に入った流れが直接内筒93の底面に設けた開口に向かい、塵埃が吸引されてしまうのを防止するためである。また、旋回流の乱れも発生し塵埃の分離性能が低下する可能性もある。この旋回流の乱れは、本実施形態のように内筒93の側面に貫通孔94を設けた場合も同じ傾向にある。よって、本実施形態では内筒93の高さH3は第二の塵埃分離部入口91の高さH2よりも高くしている。先述したように、第二の塵埃分離部入口91の幅を8mm、高さH2を約44mmとした場合、内筒93の高さH3は44mm以上にすれば良く、本実施形態では、内筒94の高さH3を45mmとしている。また、内筒底面には傘部97を設け、傘部97の外径は内筒93の外径よりも大きくしている。これにより、一つは内筒93の高さH3を増やす効果、二つ目に第二の塵埃分離部90の微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96に堆積した塵埃が内筒93と外筒92との空間へ戻り難くする効果がある。二つ目の効果は、傘部97の外径を内筒93の外径よりも大きくしたことで、傘部97の外周と外筒92内壁面の間隔が狭くなるため、塵埃が内筒93外周の空間に戻り難くなる。傘部97の高さH4は10mmとしているが、この限りではなく、第二の塵埃分離部90に備える微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の容積が確保できれば良い。
以上のような第一の実施形態において、第二の塵埃分離部90の空気流の流れを図10で説明する。副流第二流路入口51を経た流れ102は、副流第二流路140に備えた捕塵容器(第一の塵埃収容部)12を経て、第二の塵埃分離部入口91から第二の塵埃分離部90内に流入する。流れ102は、外筒92の接線方向から流入され、第二の塵埃分離部90内を旋回する旋回流(流れ102a)となる。捕塵容器(第一の塵埃収容部)12のメッシュ部材15を通過した微小な塵埃は流れ102aにより、外筒92の内壁面側に分離し、第二の塵埃分離部90の下部に設けた微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96に堆積する。一方、塵埃を分離された空気は流れ102bのように内筒93の側面に設けた貫通孔94を通過し、内筒93の内部を通り、開口部98を経て上部空間95へ至る。流れ102bは、主流第二流路110を経た流れ101と合流し流れ103となり、捕塵フィルタ13へ至る。
本実施形態において、各部の大きさ(寸法)は、副流第二流路入口61の開口面積を基準に設定しているが、第二の塵埃分離部90の外筒90直径を基準にしても構わない。例えば、塵埃収容部22の外観(幅)を小さくしたい場合は、外筒92の直径を小さくしても良い。このとき、先述したように、内筒93と外筒92との空間の間隔と、第二の塵埃分離部入口91の幅を同じ程度にしたい場合は、第二の塵埃分離部入口91の高さを大きくすることで第二の塵埃分離部入口91の幅を小さくし、内筒93の大きさを確保することも可能である。その場合、第二の塵埃分離部入口91の高さに合わせ、内筒93の高さも高くする必要があるため、第二の塵埃分離部90の微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の容積が小さくなる。
本実施形態では、第二の塵埃分離部90の微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の容積が小さい場合でも、ごみ捨ての度に微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96内に堆積した微小な塵埃を排出することで、容積の小ささを解決できるような構造としている。先述したように、開閉蓋24は、塵埃収容部22の下面部10bと一体になっており、捕塵容器(第一の塵埃収容部)12に溜まった塵埃を排出する際に、同時に第二の塵埃分離部90の微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の塵埃を排出する。図6に微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の微小な塵埃を排出する構造の一例を示しており、使用者が、クランプ解除ボタン26を押すと、ヒンジ部22aを軸に、微小塵埃収容部(第二の塵埃収容部)96の底面も開口するため塵埃を同時に排出することができる。また、塵埃収容部22の下面部10bの上面には、パッキング24aを備えており、開閉蓋24を閉じた状態で気密を保持している。また、第二の塵埃分離部90の底面を開口することで、内筒93を取り外す構造を設けた場合、内筒93に汚れが付着した場合でも、内筒93を取り外し、掃除を行うことも可能である。
以上のように、塵埃収容部22の空間を分割し、主流第二流路120および副流第二流路140を設け、副流第二流路140の後流に第二の塵埃分離部90を設けることで、塵埃収容部22の後流側に設けた捕塵フィルタ13への塵埃の堆積量を低減し、吸引力の低下を抑制することができる。