JP6153245B2 - 褐斑病抵抗性キュウリ植物、ならびに褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法 - Google Patents

褐斑病抵抗性キュウリ植物、ならびに褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、褐斑病抵抗性キュウリ植物、ならびに、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法に関する。
キュウリ褐斑病は、糸状菌の一種であるCorynespora cassiicolaによって引き起こされる病害である。褐斑病に罹病したキュウリ植物は、葉に円形の褐色または黒色の斑点を生じ、この病害が進行すると、葉の黄化または落葉が生じ、果実収量が大きく低下する。褐斑病の発生は、世界中で認められており、高温多湿の条件下で発生しやすいことから、特に、日本においては、施設栽培で甚大な被害となっており、その防除に、多大な労力およびコストを費やしている。
うどんこ病は、褐斑病と並ぶキュウリの重要病害であり、Sphaerotheca fuligineaErysiphe polygoniおよびLeveillula tauricaによって引き起こされる病害である。特に、日本におけるうどんこ病は、Sphaerotheca fuligineaによって引き起こされるものが一般的である。うどんこ病の病徴は、主に葉において発生し、キュウリの収量および品質を低下させることである。そして、うどんこ病は、春および秋に特に多く発生し、冬春期の温室栽培では有効なうどんこ病抵抗性の品種がないため、その防除に、多大な労力およびコストを費やしている。
このため、褐斑病およびうどんこ病の両方に対して抵抗性を備えるキュウリの育成が、従来から望まれており、様々な品種の育成が試みられている。
しかしながら、現存する褐斑病抵抗性の品種において、その抵抗性遺伝子座の遺伝様式は劣性である。このため、抵抗性遺伝子座を導入する育種を行い、流通される一般的なF1品種を育成するには、両親系統に、前記抵抗性遺伝子座を持たせる必要があり、さらに、劣性遺伝子のため、抵抗性の選抜効率が悪いという問題がある。さらに、前記褐斑病抵抗性遺伝子を備える植物体は、うどんこ病に対して罹病性であり、すなわち、うどんこ病の罹病性と褐斑病の抵抗性との間、および、うどんこ病の抵抗性と褐斑病の罹病性との間には、強い連鎖があることが、従来から知られている。このため、前記両病害に対する抵抗性を備えるキュウリを育成することは、極めて困難となっている。
欧米で一般的に育成されているスライス型の品種Wisconsin2757およびMarketmore97等は、褐斑病とうどんこ病の両方に対して抵抗性を備えるとの研究報告がある。しかしながら、これらの品種の抵抗性は、十分ではない。また、一般的に短形白イボと呼ばれる日本型のキュウリについては、前記両病害に対して十分な抵抗性を備える品種は報告がない(非特許文献1〜4)。
一方、遺伝子組換え技術によって、前記両病害に対する抵抗性を備える品種を開発する方法もあるが、消費者の観点から、安全性に対する不安感は依然として高い。したがって、遺伝子組換え技術を用いることなく、前記両病害に対する抵抗性を備える品種が提供されることが、強く求められている。
Lane et al., HortScience. 1985; 20: 593 (Abstract) Henry et al., Cucurbit Genetics Cooperative Report 10:1 (article 1) 1987 Jason Cavatorta et al., HortScience. 2007; 42(3):707-709 Morishita, M et al., J. Japan. Soc. Hort. Sci. 2002; 71(1): 94-100
そこで、本発明は、新たな褐斑病抵抗性キュウリ植物、ならびに、それを用いた褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、第6染色体上に褐斑病抵抗性遺伝子座を有することを特徴とする。
本発明の褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法は、
下記(a)および(b)工程を含むことを特徴とする。
(a)前記本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物と、うどんこ病抵抗性キュウリ植物とを交雑する工程
(b)前記(a)工程より得られたキュウリ植物またはその後代系統から、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を備えるキュウリ植物を選抜する工程
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物によれば、褐斑病はもちろんのこと、さらに、うどんこ病抵抗性キュウリ植物と交雑することによって、褐斑病およびうどんこ病の両方に対して優れた抵抗性を示すキュウリ植物を得ることができる。これにより、褐斑病およびうどんこ病の発生による収量低下および農薬使用の増加等に伴う労力およびコスト軽減が大きく図れ、また、消費者のニーズに適したキュウリ植物の提供が可能となる。
褐斑病の発病指数を示す図である。 褐斑病の発病度と、AFLPマーカーのマーカー多型との関係を示す図である。 褐斑病の発病度と、AFLPマーカーのマーカー多型との関係を示す図である。 褐斑病菌の接種試験の結果を示す図である。 うどんこ病菌の接種試験の結果を示す図である。
(1)褐斑病抵抗性キュウリ植物
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前述のように、第6染色体上に褐斑病抵抗性遺伝子座を有することを特徴とする。
本発明において、「キュウリ植物」は、Cucumis sativus L.である。
前記キュウリ植物のタイプは、特に制限されず、例えば、短形白イボ、四葉、英国温室型、スライス型、ベイトアルファ型等、どのタイプのキュウリでも良いが、短形白イボ型キュウリが好ましい。
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、キュウリ褐斑病に抵抗性を示す。キュウリ褐斑病の病原体は、特に制限されず、Corynespora cassiicolaがあげられる。
本発明において、「褐斑病抵抗性」は、例えば、「褐斑病耐性」ともいう。前記抵抗性は、例えば、褐斑病の発生および進行に対する阻害能または抑制能を意味し、具体的に、例えば、病害の未発生、発生した病害の進行の停止、および、発生した病害の進行の抑制(阻害ともいう)等のいずれでもよい。病害の未発生、進行の停止および抑制は、例えば、細胞への病原体の感染自体の抑制によるものでもよいし、感染細胞における病原体の増殖の抑制によるものでもよいし、感染した細胞から他の細胞への病原体の感染(拡散ともいう)の抑制等によるものでもよい。
本発明において、前記褐斑病抵抗性は、第6染色体上の前記褐斑病抵抗性遺伝子座によってもたらされる。本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前記褐斑病抵抗性遺伝子座を第6染色体上に有するが、例えば、第6染色体に代えて、第5染色体以外の染色体上、つまり、第1染色体、第2染色体、第3染色体、第4染色体および第7染色体のいずれかの染色体上に有してもよい。
褐斑病抵抗性遺伝子座とは、褐斑病抵抗性を供与する量的形質遺伝子座または遺伝子領域を意味する。前記量的形質遺伝子座(Quantitative Traits Loci;QTL)は、一般に、量的形質の発現に関与する染色体領域を意味する。QTLは、染色体上の特定の座を示す分子マーカーを使用して規定できる。前記分子マーカーを使用してQTLを規定する技術は、当該技術分野において周知である。
本発明において、前記褐斑病抵抗性遺伝子座の規定に使用する分子マーカーは、特に制限されない。前記分子マーカーは、例えば、AFLP(分子増幅断片長多型、amplified fragment length polymorphism)マーカー、RFLP(restriction fragment length polymorphism)マーカー、SNP(single nucleotide polymorphism)マーカー、マイクロサテライトマーカー、SCAR(sequence−characterized amplified region)マーカーおよびCAPS(cleaved amplified plymorphic sequence)マーカー等があげられる。
前記AFLPマーカーは、特に制限されず、例えば、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512等があげられる。前記マーカーは、それぞれ、スラッシュ(/)の前後に示す二つのプライマーを用いた核酸増幅(例えば、PCR法)により、ハイフン(−)の後ろに示す数値(塩基長)の増幅産物が生成されることを示す。一例をあげると、E15/M62−102の場合、プライマーE15とM62とを使用した核酸増幅により、102bpの増幅産物が生成されることを示す。なお、これらの各AFLPマーカーの表記は、当該技術分野における当業者であれば、本願の出願時の技術常識から理解可能である。また、前記各プライマーの配列は、後述する実施例に示す通りである。
前記AFLPマーカーによって前記褐斑病抵抗性遺伝子座を規定する場合、本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前記褐斑病抵抗性遺伝子座が、第5染色体以外の染色体、好ましくは第6染色体上に、前記AFPLマーカーを有していることが好ましい。本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前記AFPLマーカーのうち、いずれか1個を有してもよいし、2個以上、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個全てを有してもよい。
前記褐斑病抵抗性の程度は、例えば、下記文献に記載の方法に準じて、発病度により表わすことができる。
『キュウリ褐斑病の発生生態と防除に関する研究』大分県農業技術センター特別研究報告 第2号 別刷p11−13(発行年1993年)
この方法による前記発病度の算出は、後述する実施例1の記載を援用でき、例えば、発病度2.1以下を耐病性、発病度3.1以上を罹病性と設定できる。
前記褐斑病抵抗性の程度は、例えば、この他にも、品種登録時の植物抵抗性評価審査基準(http://www.hinsyu.maff.go.jp/info/sinsakijun/botanical_taxon.html#C p31)等により、評価することもできる。
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、一例として、受託番号FERM AP−22245で寄託されたキュウリ植物またはその後代系統があげられる。寄託の情報を以下に示す。
寄託の種類:国内寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基板機構
受託番号:FERM AP−22245
識別のための表示:Takii1
受領日:2012年12月27日
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物について、病害抵抗性以外の特徴、例えば、形質的、生態的特徴等は、特に限定されない。具体例として、短形白イボキュウリの場合、例えば、草姿は、比較的に葉が小さいために栽培管理がしやすく、側枝の発生が多く、また、果実は濃緑色で、その形は円筒形であることが例示できる。
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、さらに、うどんこ病抵抗性を有してもよい。この場合、本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前記両病害に対する抵抗性を有することから、「褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物」と示す場合もある。前記褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物は、前記両病害による被害を防ぐことが可能であり、商品価値が高い。前記褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物は、後述するように、前記褐斑病抵抗性キュウリ植物と、うどんこ病抵抗性キュウリ植物の交雑により得ることができる。なお、この製造方法の詳細は、後述する。
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物によれば、前述のように、親として、うどんこ病抵抗性キュウリ植物と交雑することにより、褐斑病抵抗性とうどんこ病抵抗性とを兼ね備えるF1品種のキュウリ植物を得ることができる。このような、親として使用する本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物は、例えば、前述のような分子マーカーを有するキュウリ植物の選択や、褐斑病菌を接種し、抵抗性のある個体を選択することにより得ることができる。また、親として使用する前記褐斑病抵抗性キュウリ植物は、中でも、前記受託番号で特定されるキュウリ植物またはその後代系統が好ましい。
うどんこ病の病原体は、特に制限されず、例えば、Podoshaera xanthiiErysiphe polygoniLeveillula tauricaErysiphe cichoracearum等があげられる。
本発明において、「うどんこ病抵抗性」は、例えば、「うどんこ病耐性」ともいう。前記抵抗性は、例えば、うどんこ病の発生および進行に対する阻害能または抑制能を意味し、具体的に、病害の未発生、発生した病害の進行の停止、および、発生した病害の進行の抑制(阻害ともいう)等のいずれでもよい。病害の未発生、進行の停止および抑制は、例えば、細胞への病原体の感染自体の抑制によるものでもよいし、感染細胞における病原体の増殖の抑制によるものでもよいし、感染した細胞から他の細胞への病原体の感染(拡散ともいう)の抑制等によるものでもよい。
本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物が、さらに、うどんこ病抵抗性を有する場合、うどんこ病抵抗性は、うどんこ病抵抗性遺伝子座によってもたらされる。本発明において、うどんこ病抵抗性遺伝子座は、例えば、第5染色体上に座乗することが好ましく、一般的に、うどんこ病抵抗性キュウリ植物は、前記うどんこ病抵抗性に最も寄与する抵抗性遺伝子を、第5染色体上に有している(Zhang, S et al., Scientia Agricultura Sinica 2011;2011-17)。
うどんこ病抵抗性遺伝子座とは、うどんこ病抵抗性を供与する量的形質遺伝子座または遺伝子領域を意味する。前記うどんこ病抵抗性遺伝子座の規定に使用する分子マーカーは、特に制限されず、例えば、EAACMCAC391-395STS(Sakata, Y et al., Theor. Appl. Genet. 2006;112:243−250)があげられるが、本発明は、これには制限されない。
前記うどんこ病抵抗性の程度は、例えば、前記非特許文献4(Morishita, M et al., J. Japan. Soc. Hort. Sci. 2002;71(1):94-100)、および、Sakata, Y et al., Theor. Appl. Genet. 2006;112:243−250に記載の方法に準じて、発病度により表わすことができる。この方法による前記発病度の算出は、後述する実施例3の記載を援用でき、例えば、発病度3以下を耐病性、発病度7以上を罹病性と設定できる。
本発明において、「植物体」は、植物全体を示す植物個体および前記植物個体の部分のいずれの意味であってもよい。前記植物個体の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記植物体の部分は、例えば、一種類の器官、組織および/または細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織および/または細胞でもよい。
(2)褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物の製造方法
つぎに、本発明の褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物(褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物)の製造方法について説明する。なお、以下の方法は、例示であって、本発明は、これらの方法に制限されない。本発明において、製造方法は、例えば、育成方法ということもできる。
本発明の褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物の製造方法は、前述のように、下記(a)および(b)工程を含むことを特徴とする。
(a)本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物と、うどんこ病抵抗性キュウリ植物とを交雑する工程
(b)前記(a)工程より得られたキュウリ植物またはその後代系統から、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を備えるキュウリ植物を選抜する工程
本発明の製造方法は、前記本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物を親として使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。
前記(a)工程において、第一の親として使用する褐斑病抵抗性キュウリ植物は、前記本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物であればよい。前記褐斑病抵抗性キュウリ植物は、例えば、前述のような受託番号FERM AP−22245で寄託されたキュウリ植物またはその後代系統が好ましい。また、前記褐斑病抵抗性キュウリ植物は、例えば、前記(a)工程に先立って、例えば、被検キュウリ植物(候補キュウリ植物ともいう)から、下記(x)工程により選抜して準備してもよい。
(x)前記本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物を選抜する工程
前記(x)工程において、前記褐斑病抵抗性キュウリ植物の選抜は、例えば、下記(x1)工程および(x2)工程により行うことができる。
(x1)被検キュウリ植物の染色体上における、褐斑病抵抗性遺伝子座の有無を検出する検出工程
(x2)前記褐斑病抵抗性遺伝子座の存在により、前記被検キュウリ植物を、褐斑病抵抗性キュウリ植物として選抜する選抜工程
前記(x)工程における前記褐斑病抵抗性キュウリ植物の選抜は、例えば、前述のような分子マーカーを利用できる。具体的には、前記分子マーカーは、例えば、前述した、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも1つのAFLPマーカーがあげられ、前記AFLPマーカーで特定される前記褐斑病抵抗性キュウリ植物の選抜があげられる。すなわち、前記(x1)工程において、例えば、前記マーカーの有無によって前記褐斑病抵抗性遺伝子座の有無を検出する。これによって、前記(x2)工程において、前記被検キュウリ植物から、前記AFLPマーカーを有するものを、前記褐斑病抵抗性キュウリ植物として選抜できる。
前記(x)工程において、前記分子マーカーとしてAFLPマーカーを使用する場合、例えば、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも1つを検出すればよく、好ましくは2つ以上、すなわち、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは全てについて検出してもよい。
前記褐斑病抵抗性遺伝子座の有無を検出する染色体は、第5染色体以外であればよく、好ましくは、第6染色体である。
また、前記(a)工程において、他方の親として使用するキュウリ植物は、うどんこ病抵抗性を有していればよく、特に制限されない。交雑に使用する前記うどんこ病抵抗キュウリ植物は、例えば、うどんこ病抵抗性の公知キュウリ植物を使用してもよいし、自然発病の有無または病原体の接種により選抜したうどんこ病抵抗性のキュウリ植物を使用してもよく、選抜方法は、何ら制限されない。前記うどんこ病抵抗性の公知キュウリ植物としては、例えば、夏すずみ(タキイ種苗)、つばさ(タキ種苗)等があげられる。
前記(a)工程において、前記褐斑病抵抗性キュウリ植物と前記うどんこ病抵抗性キュウリ植物との交雑方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
前記(b)工程において、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を選抜する対象は、例えば、前記(a)工程より得られたキュウリ植物でもよいし、さらに、そのキュウリ植物から得られた後代系統でもよい。具体的に、前記対象は、例えば、前記(b)工程の交雑によって得られたF1のキュウリ植物でもよいし、その後代系統でもよい。前記後代系統は、例えば、前記(b)工程の交雑によって得られたF1のキュウリ植物の自殖交雑後代または戻し交雑後代でもよいし、前記F1のキュウリ植物と別のキュウリ植物とを交雑することによって得られたキュウリ植物であってもよい。
前記(b)工程において、褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物の選抜は、例えば、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を、直接的または間接的に確認することにより行うことができる。
前記(b)工程において、前記直接的な確認は、得られた前記F1のキュウリ植物またはその後代系統について、例えば、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を、前述のような発病度によって評価することで行える。具体的には、例えば、前記F1のキュウリ植物またはその後代系統に対して、例えば、褐斑病の病原体およびうどんこ病の病原体を、それぞれ接種して、各病害に対する抵抗性を、前記発病度によって評価することで確認できる。この場合、例えば、2.2未満の褐斑病発病度を示し、且つ、3以下のうどんこ病発病度を示す前記F1のキュウリ植物またはその後代系統を、褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物として選抜できる。
また、前記(b)工程において、前記間接的な確認による選抜は、例えば、下記(b1)および(b2)工程によって行うことができる。
(b1)前記(a)工程より得られたキュウリ植物またはその後代系統について、染色体上における、褐斑病抵抗性遺伝子座およびうどんこ病抵抗性遺伝子座の有無を検出する検出工程
(b2)前記褐斑病抵抗性遺伝子座およびうどんこ病抵抗性遺伝子座の存在により、前記(a)工程により得られたキュウリ植物またはその後代系統を、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を備えるキュウリ植物として選抜する選抜工程
前記(b)工程における褐斑病抵抗性キュウリ植物の選別は、例えば、前記(x)工程において説明した方法と同様であり、前記褐斑病抵抗性遺伝子座の有無の検出によって、より具体的には、前記分子マーカーを使用した前記褐斑病抵抗性遺伝子座の有無の検出によって、行うことができる。
前記(b)工程におけるうどんこ病抵抗性キュウリ植物の選別は、例えば、うどんこ病抵抗性遺伝子座の有無の検出、より具体的には、前記分子マーカーを使用した前記うどんこ病抵抗性遺伝子座の有無の検出によって行うことができる。前記うどんこ病抵抗性遺伝子座の有無を検出する染色体は、第5染色体が好ましい。
本発明の製造方法は、前記(b)工程において選抜された褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物を、さらに育成することが好ましい。
このように、前記褐斑病抵抗性および前記うどんこ病抵抗性の両方が確認された前記キュウリ植物またはその後代系統を、褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物として選抜できる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
[実施例1]
新規な褐斑病抵抗性キュウリ植物について、褐斑病抵抗性遺伝子座の遺伝様式の解析を行った。
褐斑病抵抗性キュウリ植物は、受託番号FERM AP−22245で寄託されたキュウリ植物を使用した。以下、この褐斑病抵抗性キュウリ植物を寄託系統という。
前記寄託系統のキュウリ植物と、褐斑病罹病性キュウリ植物「北進(タキイ種苗)」とを交雑することによって、77個体のF2分離集団(以下、77系統という)を得た。さらに、前記77系統をそれぞれ自殖させることによって、自殖後代F3を得た。各系統のF3をそれぞれ10個体使用し、以下に示すように、キュウリ褐斑病菌の接種試験を行った。
キュウリ褐斑病菌の接種試験は、下記文献に記載の方法に準じて行った。
『キュウリ褐斑病の発生生態と防除に関する研究』大分県農業技術センター特別研究報告 第2号 別刷p11−13(発行年1993年)
前記キュウリ褐斑病菌は、滋賀県内の圃場で発生した褐斑病罹病キュウリ植物より培養した、Cca831を使用した。前記菌体をPSA平板培地で8日間培養し、培養後の菌体を採取し、滅菌蒸留水を加え、キムワイプ(日本製紙クレシア社製)でろ過した。ろ過により得られた分生子(胞子)懸濁液を接種源として使用した。
F3の前記各系統10個体を、予め、もみがら燻炭に播種し、殺菌した土壌をつめた1/10,000の1aワグネルポットに鉢植えした。そして、接種試験には、本葉3葉展開期の個体を使用した。まず、噴霧器を使用して、前記分生子懸濁液を、F3の前記各系統10個体の茎葉全体に、均一に噴霧した。その後、27℃、湿度80〜90%、14,000lux、10時間日長に設定した人工気象室で、栽培管理した。接種9日後に、F3の前記各系統について、以下のように発病調査を行った。
発病調査は、前記文献の方法に準じて行い、発病指数は、以下のように分類した。図1に、各発病指数に該当する葉の写真を示す。
発病指数1:1葉の病斑面積率が5%以下で、ごく軽微なカスリ状の微小斑点のみ
発病指数2:1葉の病斑面積率が6〜25%で、小型の褐色病斑を形成
発病指数3:1葉の病斑面積率が26〜50%で、褐色病斑が拡大し、一部で融合
発病指数4:1葉の病斑面積率が51%以上で、褐色病斑の融合が進展し、葉が奇形化
そして、F3の各個体について発病指数を求め、下記式より、それぞれ対応するF2の77系統の各個体の発病度とした。
発病度=[(1×n1)+(2×n2)+(3×n3)+(4×n4)]/調査個体数
前記式において、「1、2、3、4」は、それぞれ発病指数を示し、「n、n、n、n」は、それぞれ、発病指数1、発病指数2、発病指数3、発病指数4の発病葉数を示す。
その結果、F2の発病度と、各発病度に該当する個体の出現頻度の関係は、以下の通りであった。
発病度1.0以上2.2未満:37個体
発病度2.2以上3.0未満:27個体
発病度3.0以上4.0以下:13個体
これら結果から、前記受託系統(受託番号FERM AP−22245)の褐斑病抵抗性の遺伝様式は、不完全優性であることが推測できた。従来のキュウリ植物の褐斑病抵抗性因子は、単因子劣性であることが知られている。このため、前記寄託系統は、新規な褐斑病抵抗性遺伝子座を持つことが明らかとなった。
[実施例2]
前記実施例1におけるF2の77系統について、新規な褐斑病抵抗性遺伝子座の特定を行った。
前記77系統からそれぞれ抽出したDNAについて、以下のプライマーの組合せを用いて、AFLP解析を行った。マーカーの結果は、後述するが、例えば、「AFLPマーカーE12/M51−160」は、プライマーE12およびM51によって増幅される160bpの断片という意味である。
EcoRI部位側のプライマー
E11:GACTGCGTACCAATTCAA(配列番号1)
E12:GACTGCGTACCAATTCAC(配列番号2)
E15:GACTGCGTACCAATTCCA(配列番号3)
MseI部位側のプライマー
M49:GATGAGTCCTGAGTAACAG(配列番号4)
M51:GATGAGTCCTGAGTAACCA(配列番号5)
M54:GATGAGTCCTGAGTAACCT(配列番号6)
M62:GATGAGTCCTGAGTAACTT(配列番号7)
AFLPに使用するプライマー組合せ(primer combination;PC)は、EcoRI/MseIを制限酵素サイトとする48種類の中から、多型を得るのに適した20種類に限定した。そして、前記AFLPのデータを、専用のソフトウェア(CarteBlanche software、キージーン N. V. ワーゲニンゲン、オランダ)により解析し、遺伝子地図作成を行った。193個の共優性的に検出されたマーカーのうち、計166個のマーカーを、少なくとも3つのマーカーを含む10の連鎖群に分けた。遺伝子地図の全長は573.9cMであった。
QTLを特定するため、Windows(登録商標) QTL cartographer 2.0(ワン S., C. J. バステン, Z. B. ツァン, ノースカロライナ州立大学統計学部、USA)を使用した。解析は、単一マーカー分析、間隔マッピングおよび合成間隔マッピングの3種類の統計学的方法により行った。
前記単一マーカー分析(Single Marker Analysis;SMA)は、マーカー位置における個々の遺伝子型と、それらの対応する表現型の値との相関関係を検出する方法である。マーカー位置毎に尤度検定を行い、ピークが閾値を越えたときにQTLが存在するとした。前記SMAでは、閾値を3.5に設定した。
前記間隔マッピング(Interval mapping;IM)は、SMAの延長である。IMでは、2つの隣接するマーカーを使用し、QTLが存在すると仮定した間隔を構築する。そして、尤度検定を行い、QTLの存否を決定する。LOD(検出限界)値は、間隔における各増加段階で計算した。LOD値プロファイルも、ゲノム全体で計算した。IMは、相加的効果および優性的効果のようなパラメータ、因子寄与ならびにいくつかの試験された他の位置パラメータも計算する。ピークが、並べ替え検定による閾値を越えたとき、QTLが存在するとした。IMでは、閾値を3.7に設定した。
前記合成間隔マッピング(Composite Interval Mapping;CIM)は、IMの方法と同じ解析だが、ゲノムの他の領域におけるマーカーからの回帰係数を含めることにより、他のQTLからの分散を考慮する方法である。CIMでは、QTLが存在するとする閾値を3.84とした。
前記3種の解析方法SMA、IM、CIMの全てを行った結果、1つの連鎖群上に、CIMによるLOD値が19.06、SMAおよびIMによるLOD値も12.0以上を示し、閾値を越える領域の間隔が27.2cMであるQTLを、1つ検出した。また、最高LOD値を示したマーカーは、E12/M51−160であった。
前記E12/M51−160に隣接する他の9つのマーカーの結果と、発病度との関係を図2および図3に示す。図2および図3において、「+」は、増幅したこと示し、「−」は、増幅しなかったことを示し、「±」は、増幅量が+と−との中間であったことを示し、「U」は、増幅の有無が不明瞭であったことを示す。図2および図3より、新規な褐斑病抵抗性遺伝子座は、AFLPマーカーE15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512を含む領域に存在することが判明した。なお、図2および図3においては、AFLP解析を行った77個体中、有効でない結果を除いた63個体の結果を示した。
さらに、前記領域の染色体上の位置を知るため、E12/M51−160を示すDNA増幅断片の塩基配列を決定し、ウリ科ゲノムデータベース(http://www.icugi.org/cgi-bin/ICuGI/index.cgi)において、BLAST検索を行った。その結果、前記マーカーE12/M51−160は、第6染色体上に存在することが判明した。すなわち、本発明における、新規な褐斑病抵抗性遺伝子座は、第6染色体上に座上することが明らかになった。
また、図2および図3において、発病度と最も相関が高かったAFLPマーカーE12/M51−160について、発病度とマーカー多型との関係を、表1に示す。なお、AFLPマーカーE12/M51−160について、マーカー多型が明確に判別できる系統は、調査した前記77系統のうち63系統であったため、下記表1では、63系統についての結果を示す。
これらの結果により、褐斑病抵抗性である発病度2.1以下の個体は、全て抵抗性の多型を示したことから、AFLPマーカーE12/M51−160を、育成選抜マーカーとした。
[実施例3]
前記実施例1の褐斑病抵抗性を示す寄託系統と、うどんこ病抵抗性系統のキュウリ植物とを交雑して、褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ植物を育成した。
前記うどんこ病抵抗性キュウリ植物は、「夏すずみ(タキイ種苗)」を使用した。そして、前記寄託系統のキュウリ植物と前記うどんこ病抵抗性キュウリ植物とを交雑することによって、自殖後代F2世代198個体を得た。
そして、前記自殖後代の個体から、AFLP解析によって、AFLPマーカーE12/M51−160をホモ接合型で有する個体51個体を選抜した。この選抜個体の自殖交雑後代F3世代に対して、以下のように、うどんこ病菌の接種試験を行った。
うどんこ病菌の接種試験は、前記非特許文献4(Morishita, M et al., J. Japan. Soc. Hort. Sci. 2002;71(1):94−100)、および、Sakata, Y et al., Theor. Appl. Genet. 2006;112:243−250に記載の方法に準じて行った。
うどんこ病罹病性のキュウリ品種「北進(タキイ種苗)」に感染したP. xanthiiを、単胞子継代培養した。得られた胞子を、接種源として使用した。また、前記自殖交雑後代F3世代510個体(10個体×51系統)を、培養土の入ったプラスチックトレイに播種し、第一本葉展開期の子葉を切り取り、接種した。接種は、5×10/mLに希釈した前記胞子を、子葉全体に、均一に噴霧して行った。その後、26℃、湿度60%、14000lux、16時間の日長に設定した人工気象室で、10日間栽培管理した。接種10日後に、以下のように発病調査を行った。
発病調査は、調査葉の標徴を目視で確認して行った。なお、標徴とは、罹病性植物体に現れる病原体の組織器官のことであり、うどんこ病の場合は白色の粉状に見える。発病指数は、以下のように分類した。
発病指数0:標徴が全くないか、標徴がほとんどない
発病指数1:わずかな標徴のみがある
発病指数2−3:うすい標徴がある
発病指数4−5:厚い標徴がある
発病指数6−7:非常に厚い標徴がある
発病指数8−9:葉全体が標徴で覆われている
そして、F3の各個体について発病指数を求め、下記式より、それぞれ、それぞれ対応するF2の51系統の各個体の発病度とした。
発病度=[(1×n1)+(2×n2)+(3×n3)+(4×n4)+(5×n5)+(6×n6)+(7×n7)+(8×n8)+(9×n9)]/調査個体数
前記式において、「1、2、3、4、5、6、7、8、9」は、それぞれ発病指数を示し、「n、n、n、n、n、n、n、n、n」は、それぞれ、発病指数1、発病指数2、発病指数3、発病指数4、発病指数5、発病指数6、発病指数7、発病指数8および発病指数9の発病葉数を示す。
そして、前記発病度が3以下の前記選抜個体12個体を、褐斑病・うどんこ病両抵抗性系統として選抜した。つぎに、選抜した前記褐斑病・うどんこ病両抵抗性系統のキュウリ植物12個体の中から、雌花の着生率が高く、側枝の発生が多く、葉が小さく、果形が安定しているなど、農業生産や品種改良において優れた形質をもつ1個体を選抜し、収量および草姿が優れるキュウリ植物「Vアーチ(タキイ種苗)」と交雑することによって、自殖後代を得た。そして、得られた前記自殖後代に対して、前述と同様にして、AFLPマーカーE12/M51−160により褐斑病抵抗性個体を選抜した。さらに、選抜された個体の自殖後代を得て、前述と同様にして、うどんこ病菌の接種試験を行い、褐斑病/うどんこ病両抵抗性系統のキュウリ植物を得た。つぎに、これまでに行った手順を4回繰り返して、さらに自殖後代を得た。
各接種試験の結果を、図4および図5に示す。図4および図5は、それぞれ、最終的に得られた前記自殖後代の写真である。図4において、前記自殖後代である褐斑病・うどんこ病両抵抗性系統(発病度1.0)は、罹病性キュウリ品種(発病度4.0)、従来の褐斑病抵抗性キュウリ品種(発病度2.5)、および従来の褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ品種(発病度3.8)よりも、優れた抵抗性を備えていることが確認できた。また、図5において、褐斑病・うどんこ病両抵抗性系統(発病度0)は、罹病性キュウリ品種(発病度9.0)、従来のうどんこ病抵抗性キュウリ品種(発病度1.5)、および褐斑病・うどんこ病両抵抗性キュウリ品種(発病度3.0)よりも優れたうどんこ病抵抗性を備えていることが確認できた。
以上のように、本発明の褐斑病抵抗性キュウリ植物によれば、褐斑病はもちろんのこと、さらに、うどんこ病抵抗性キュウリ植物と交雑することによって、褐斑病およびうどんこ病の両方に対して優れた抵抗性を示すキュウリ植物を得ることができる。これにより、褐斑病およびうどんこ病の発生による収量低下および農薬使用の増加等に伴う労力およびコスト軽減が大きく図れ、また、消費者のニーズに適したキュウリ植物の提供が可能となる。

Claims (11)

  1. 第6染色体上に、受託番号FERM AP−22245で特定されるキュウリ植物の褐斑病抵抗性遺伝子座を有する褐斑病抵抗性キュウリ植物であり、
    前記褐斑病抵抗性キュウリ植物が、受託番号FERM AP−22245で特定されるキュウリ植物またはその後代系統であることを特徴とする褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  2. 前記褐斑病抵抗性遺伝子座が、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも一つのAFLPマーカーを有する、請求項1記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  3. 第6染色体上に、受託番号FERM AP−22245で特定されるキュウリ植物の第6染色体上の褐斑病抵抗性遺伝子座に由来する褐斑病抵抗性遺伝子座を有し、
    前記褐斑病抵抗性遺伝子座が、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも一つのAFLPマーカーを有することを特徴とする褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  4. 前記褐斑病抵抗性キュウリ植物が、植物体またはその部分である、請求項1から3のいずれか一項に記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  5. 前記褐斑病抵抗性キュウリ植物が種子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  6. 前記褐斑病抵抗性キュウリ植物が、さらに、うどんこ病抵抗性を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物。
  7. 下記(a)および(b)工程を含むことを特徴とする褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を示すキュウリ植物の製造方法。
    (a)請求項1〜5のいずれか一項に記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物と、うどんこ病抵抗性キュウリ植物とを交雑する工程
    (b)前記(a)工程より得られたキュウリ植物またはその後代系統から、褐斑病抵抗性およびうどんこ病抵抗性を備えるキュウリ植物を選抜する工程
  8. 前記(a)工程に先立って、下記(x)工程を有する、請求項7記載の製造方法。
    (x)請求項1〜5のいずれか一項に記載の褐斑病抵抗性キュウリ植物を選抜する工程
  9. 前記(x)工程における前記選抜が、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも1つのAFLPマーカーで特定される褐斑病抵抗性キュウリ植物の選抜である、請求項8記載の製造方法。
  10. 前記(b)工程における前記選抜が、E15/M62−102、E12/M62−233、E12/M54−073、E12/M51−062、E12/M51−160、E11/M62−233、E12/M49−170、E12/M62−422、E12/M62−427およびE15/M54−512からなる群から選択された少なくとも1つのAFLPマーカーで特定されるキュウリ植物の選抜である、請求項7から9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記(a)工程の前記褐斑病抵抗性キュウリ植物が、受託番号FERM AP−22245で特定されるキュウリ植物またはその後代系統である、請求項7から10のいずれか一項に記載の製造方法。
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