JP6152746B2 - ボールねじ - Google Patents
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Description
先ず、第1の発明は、外周面に螺旋状のねじ山を備えたねじ軸と、ねじ軸が挿通されたねじナットと、ねじ軸のねじ山に沿いながら移動可能とされた転動体と、を備えたボールねじであって、前記転動体は所定の荷重が入力されると、転動体とねじ軸のねじ山との接触面積が大きくなるように変形可能であり、前記転動体は、概ね球状とされているとともに、前記転動体の外周面から中心に向けて延びている穴部を有していることを特徴とする。
図1に示すように、本実施の形態のボールねじ1は、ねじ軸2とねじナット3との間に、転動体4であるボールが複数個介挿されている。ボールねじ1は、その内部において当該ボールが転動可能である。より具体的には、ボールねじ1は、ねじ軸2に設けられたねじ軸溝23と、ねじナット3に設けられたねじナット溝31と、が区画する空間、及びリターンパイプ(図示せず)内の空間を通路として、ボールが循環するように移動可能とされている。通常の使用態様でかけられる程度の荷重がねじナット3にかけられたとしても、図1においてその一部を拡大して示すように、転動体4は略球形をとどめており、ねじ山21と転動体4との接触面積は比較的小さいものにとどめられている。
一方、通常の使用態様ではかけられないような比較的大きな荷重がねじナット3にかけられた際には、転動体4が変形する。特に転動体4はねじ山21との接触面積が大きくなるように変形する(図2参照)。
本実施の形態においては、当該剛性の転動体4とするために、全体として略球形状ではあるが、複数の穴部41を設けた構造としている(図3参照)。穴部41は、穴の無い鋼球の一部を削ることで形成している。本実施の形態においては、穴部41は転動体4の中心から所定の距離だけ離れた位置までの深さとなるように削られている(図4参照)。また、穴部41は、転動体4の略中心に重心が形成されるように設けられている。
なお、金属のみから構成している転動体4の場合、塑性変形となり、その後ボールねじ1としての機能が正常に発揮できなくなるが、それでも、本発明の目的は果たしている。
また、本実施の形態のボールねじ1であれば、ねじ軸2を大型にすることや、ねじ軸2の剛性を極度に高めること無く、ねじ軸2のねじ山21が破損されることを抑制することが可能となり得る。
また、本実施の形態のボールねじ1であれば、ボールを変形させるためにエネルギーが使用されるため、ねじ軸2を変形させようとするエネルギーを低下させることが可能となる。したがって、ねじ軸2の山部が破壊されることを抑制することが可能である。
また、本実施の形態のボールねじ1であれば、転動体4の軽量化を図ることが可能である。
より具体的には、例えば間隔保持具5は図5に示したような帯状の部材5aであり、所定間隔で設けた保持孔5aaを備えている。ボールねじ1は帯状の部材5aに設けられた保持孔5aaに嵌められていることにより、転動体4の位置を規制しつつ、転動体4が転動可能に構成されている。
本態様においては、転動体4同士が間隔をあけて配置されているため、ねじ軸2及びねじナット3に挟まれて転動体4が変形する場合においても、隣接する転動体4の存在により転動体4の変形が妨げられることが抑制されるため、よりいっそう、適切に変形することが可能となり得る。
また、保持孔5aa内に転動体4が配置されている通常の状態において、転動体4と保持孔5aaの内周面との間には隙間領域が形成されている。当該隙間領域は通常時においては転動体4が進入することができない領域であり、転動体4が変形した際にのみ進入可能な領域である。当該隙間領域は隣接する転動体4側に形成されているため、間隔保持具5の存在に関わらず、転動体4を適切に変形させることが可能となり得る。
なお、間隔保持具5は図5に示したような態様に限ることは無く、図6に示したように、転動体4同士の間に受け部材5bを配置することも可能である。つまり、受け部材5bの両側面で異なる転動体4を受けるようにすることも可能である。この場合、間隔保持具5である受け部材5bを複数用いて、転動体4同士が接しない構成を形成している。なお、受け部材5bを用いた場合でも、帯状の部材5aで形成したような隙間領域を転動体4と間隔保持具5との間に設けることも可能である。
なお、以下の説明における前後方向、上下方向などの方向は、図7に示したXが前方向、Zが上方向と規定される。例えば、通常、乗員が着座した際に視界に入るほうが前方で、視界に入らない後頭部側が後方となる。
乗物用シート6は、車両用シートであり、乗物用シート6には、ヘッドレスト63とシートバック62とシートクッション61を備えている。シートバック62とシートクッション61には、主として金属で構成されたフレームを骨格として採用している。シートクッション61のフレームであるクッションフレーム61aは、シートバック62のフレームであるバックフレーム62aとリクライニングプレート61bを介して連結されている。
クッションフレーム61aにはリンクプレート66aが傾動可能に接続されている。リンクプレート66aはスライドレール機構65とクッションフレーム61aを連結する部位であり、リンクプレート66aが傾動することにより、クッションフレーム61a、ひいてはシートクッション61が上下動可能に構成されている。
また、後方のリンクプレート66aはクッションフレーム61aの前方側に位置する支持部位と連結された伸縮装置66bを備えており、伸縮装置66b内にはボールねじ1が配置されている(図8参照)。当該ボールねじ1は電動機を介してねじナット3が回転可能に構成されており、図示しないスイッチを操作することで、クッションフレーム61aの上下位置を定めることができるように構成されている。
また、スライドレール機構65にもボールねじ1が配置されている。当該ボールねじ1は電動機を介してねじナット3が回転可能に構成されており、図示しないスイッチを操作することで、アッパレール65aが前後方向に移動し、クッションフレーム61aの前後位置を定めることができるように構成されている。具体的にはロアレール65bに対して、ねじ軸2が固定されており、アッパレール65aに対してねじナット3が回転可能に固定された構成である。したがって、ねじナット3がねじ軸2に対して回転することにより、アッパレール65aとロアレール65bが前後方向に相対移動可能な構成である。
また、乗物の後方から別の乗物に衝突されることによって衝突荷重が生じた場合においても、スライドレール機構65やリフタ機構66に用いたボールねじ1は、ねじ軸2のねじ山21が転動体4から受ける力により破損されることが生じにくい。つまり、衝突荷重により乗物用シート6が固定位置から変位し、乗員が乗物用シート6から押し出されるような事態が生じにくくなる。特に、乗物の衝突に起因する荷重は前後方向に向けて発生する可能性が高いが、ねじ軸2が前後方向に延びるように配置している場合であっても、ねじ軸2のねじ山21の破損が抑制されるため、乗員が保護される可能性を高めることが可能となる。つまり、ねじ軸2が前後方向に延びるように配置することによる利便性を損なうことなく、乗員が保護される可能性を高めることが可能となる。
また、本実施の形態のボールねじ1であれば、ボールが塑性変形するため、変形後にねじ軸2とねじナット3が相対移動できなくなり得る。したがって、乗物用シート6が固定位置から動くことを抑制することが可能となり得る。
例えば、転動体を循環移動可能とするために使用する構造体はリターンパイプに限ることは無い。例えば、エンドキャップや、駒、ガイドプレートなどを用いて転動体をネジナットの一端側から他端側へ移動させるようにすることが可能である。
また、移動機構はシートクッションを前後移動させるためのスライドレール機構や、シートクッションを上下移動させるためのリフタ機構のみではなく、乗員の小腿部を支えるオットマンや、シートの長さを変更させるためのシート長変更機構など各部材を移動させるための機構であれば良く、各所に適応させることが可能である。
また、複数の間隔保持具を使用して間隔を保持する場合においても、転動体と間隔保持具を一つおきに配置する態様に限ることは無い。例えば、複数の転動体を連続して配置した後に間隔保持具を一つ配置するということを繰り返すような態様とすることも可能である。
また、間隔保持具は樹脂製である必要性は無い。例えば金属製とすることも可能であるが、間隔保持具の存在により、転動体の変形に支障が無いようなものであることが好ましいため、転動体よりも変形容易に構成されていることが好ましい。
また、転動体は金属製のボールを使用することに限らず、例えば、比較的硬質なゴム製の転動体を採用することも可能である。弾性力のあるゴムであれば、一度変形しても、復元力が働くため、ボールねじにかけられる荷重によっては、当該荷重がかけられた後にもボールねじの機能を発揮させることが可能となり得る。
また、転動体は材質が軟質である必要性は無く、所望の荷重により所望の態様に変形することができればよい。また、転動体は複数の材料を用いて構成しても良く、例えば、硬質の鋼球の外周面に樹脂などを被覆することも可能である。
また、転動体に穴部を設ける場合、穴の無い球に対して穿設して穴部を形成する方法に限る必要は無い。例えば、穴部を有する球状体が成形できる型枠内で固形化させることにより穴部を設けることや、穴部を形成する部材を転動体の中心核となる部材に対して結合することで設けることなど、様々な手段を採用することが可能である。
また、転動体の中心部を空洞にすることで、所定の荷重により変形可能とすることも可能である。
また、変形した結果、転動体を破壊(分離)させることにより、エネルギーが使用される態様とすることも可能である。この場合、ボールねじにかけられたエネルギーが転動体を破壊させるエネルギーに使用されるため、ねじ軸のねじ山を破損させるためにエネルギーが使用されることを抑制可能である。なお、転動体の破壊後においても、転動体が、ねじ軸とねじナットに掛かり合っている状態となることが好ましいため、転動体の中心側は転動体の外周面側よりも破壊しにくいようにすることが好ましい。
また、穴部を備えた鋼球に対して、鋼球を形成する金属よりも軟質な樹脂などを穴部に封入することも可能である。この場合、転動体としては変形しやすく、更には、通常状態では、より球状に近い形状とすることが可能となる。
また、本実施の形態においては、ねじ軸を固定してねじナットを回転させることで、ねじ軸とねじナットを相対移動させているが、ねじナットを固定してねじ軸を回転させて使用するような構成とすることも可能である。
また、転動体は、ねじ軸のねじ山が破損する前に変形して、転動体とねじ山との接触面積を増加させることが可能なものではあるが、あまりに小さな荷重で変形可能であると、ボールねじとして機能可能な範囲が極度に制限される恐れがあることから、ボールねじ
の通常使用時に、どのような性能が求められるのかを勘案して、転動体の剛性を定めることが好ましい。
また、ボールねじは乗物用シートの前後方向に対して、ねじ軸が延びるように配置することに限ることは無い。例えば、ねじ軸が乗物用シートの上下方向や左右方向に延びるものとすることも可能である。
また、乗物としては、車両であることに限らず、飛行機やヘリコプターなど空中を飛行する乗物や、船舶や潜水艇など海面や海中などを移動する乗物としてもよい。
2 ねじ軸
3 ねじナット
4 転動体
5 間隔保持具
6 乗物用シート
21 ねじ山
65 スライドレール機構
66 リフタ機構
Claims (4)
- 外周面に螺旋状のねじ山を備えたねじ軸と、ねじ軸が挿通されたねじナットと、ねじ軸のねじ山に沿いながら移動可能とされた転動体と、を備えたボールねじであって、前記転動体は所定の荷重が入力されると、転動体とねじ軸のねじ山との接触面積が大きくなるように変形可能であり、
前記転動体は、概ね球状とされているとともに、前記転動体の外周面から中心に向けて延びている穴部を有していることを特徴とするボールねじ。 - 請求項1に記載のボールねじであって、
前記転動体は複数設けられており、前記転動体同士が間隔をあけて配置されていることを特徴とするボールねじ。 - 請求項2に記載のボールねじであって、
前記転動体は転動体よりも変形容易な間隔保持部材を用いて間隔をあけて配置されていることを特徴とするボールねじ。 - 請求項1乃至3の何れかに記載されたボールねじを使用した移動機構を備えることを特徴とする乗物用シート。
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