JP6151611B2 - 透明触感フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タッチパネルなどのペン入力デバイスに利用され、表面のペン入力による書き味(触感)が改善された透明触感フィルム及びその製造方法に関する。
マンマシンインターフェースとしての電子ディスプレイの進歩に伴い、対話型の入力システムが普及し、なかでもタッチパネル(座標入力装置)をディスプレイと一体化した装置がATM(現金自動受払機)、商品管理、アウトワーク(外交、セールス)、案内表示、娯楽機器などで広く使用されている。液晶ディスプレイなどの軽量・薄型ディスプレイでは、キーボードレスにでき、その特長が生きることから、モバイル機器にもタッチパネルが使用されるケースが増えている。タッチパネルは、指やペンなどの入力手段によって所定位置を押圧することにより、コンピュータなどに所定の情報等を入力する装置であり、位置検出の方法により、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などに分類できる。これらの方式のうち、静電容量方式は、静電容量の変化を利用し、位置の検出を行う方式であるが、近年、機能性に優れる点から、ITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネルが、スマートフォン、携帯電話、電子ペーパー、タブレット型パーソナルコンピュータ(PC)、ペンタブレット、遊戯機器などのモバイル機器で採用されて脚光を浴びている。なかでも、近年、入力手段としてペンを利用したペン入力型タッチパネルも普及しており、スマートフォン、電子ペーパー、タブレット型PC、ペンタブレット、遊戯機器、PCなどにおいて利用が増加している。タッチパネルのディスプレイの表面には、用途に応じて、ハードコートフィルム、アンチニュートンリングフィルム、軟質フィルムなどが利用されている。
さらに、近年では、コンピュータ用のポインティングデバイスとしてペン入力を利用するペンタブレットも普及しており、前記タッチパネルも含め、ペン入力デバイスと称されている。また、表示パネルの画素数がフルハイビジョンテレビの4倍ある高解像度のテレビ(4Kテレビ)のディスプレイにタッチパネルを搭載したテレビや、建築分野や医療分野で利用される高解像度のペン入力デバイスも開発されており、これらのデバイスでは、高度な透明性も要求される。
しかし、ペン入力デバイスが様々な用途に普及するにつれて、ペン入力における書き味についても高度な機能が要求されており、例えば、紙に鉛筆で書くような書き味が要求されているが、軟質フィルムでは、抵抗感が大きすぎて、鉛筆のような書き味にはほど遠かった。
一方、ハードコートフィルムやアンチニュートンリングフィルムなどのフィルムにおいて、表面に凹凸構造を形成する方法で、指でのタッチ感(触感)を向上させるフィルムも提案されている。特開2010−153298号公報(特許文献1)には、ポリエステルフィルムからなる基材の片方の面にハードコート層が積層され、他方の面に金属酸化物からなる透明導電層が積層された積層フィルムであって、ハードコート層の領域表面平均粗さが0.08〜0.30μm、KES表面摩擦特性値の平均摩擦係数MIUが0.13〜0.17、摩擦係数の変動MMDが0.006〜0.015であるタッチパネル用積層フィルムが開示されている。この文献には、アクリル系ハードコート液に、平均粒子径2〜7μmの無機又は有機粒子を含有させたハードコート液が開示されている。さらに、前記無機又は有機粒子の割合が硬化樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であること、前記無機又は有機粒子としては、透明性の点から、細孔容積1.7ml/g以上の多孔質シリカ系微粒子が好ましいことが記載されている。
しかし、このフィルムでも、ハードコート層は、微粒子と架橋性ポリマーとで形成されているため、指での触感はある程度改良されるものの、ペン入力に利用した場合、タッチペンが滑りすぎる。特に、ペン入力の書き始めと途中(書いている最中)とで書き味が一定でなく、鉛筆のような書き味にはほど遠かった。さらに、微粒子を含むため、内部ヘイズが発生し、視認性が低下するため、高度な透明性が要求される用途には適さなかった。また、微粒子の脱落により、傷が発生し、書き味も低下する。
特開2010−153298号公報(請求項1、段落[0004][0013][0017])
従って、本発明の目的は、透明性に優れるとともに、ペン入力デバイスにおいて、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できる触感フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ペン入力の書き始め及び途中で書き味が略一定である触感フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、内部ヘイズを抑制でき、高度な透明性を有する触感フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、透明基材フィルムの表面に、線状凸部で規則的に配列された複数の区画を有する特定の網目構造を形成することにより、透明性を向上できるとともに、ペン入力デバイスにおいて、紙に対する鉛筆のような書き味でペンを用いて情報を入力できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の触感フィルムは、透明基材フィルムと、この透明基材フィルムの少なくとも一方の面で網目構造を形成する線状凸部とを含む触感フィルムであって、前記網目構造が、規則的に配列された複数の区画を有し、前記網目構造が形成された表面において、JIS B0610に準拠した転がり円最大高さうねり(W EM )が5〜50μmであり、かつ前記線状凸部が、触感フィルム表面全体に対して5〜80%の面積を占める。本発明の触感フィルムは、JIS K7136に準拠した全光線透過率及びヘイズが、それぞれ85%以上及び30%以下であってもよい。前記網目構造が形成された表面において、有効測定距離を20mmとしたとき、前半10mmの摩擦係数の標準偏差と後半10mmの摩擦係数の標準偏差との比(前者/後者)は0.25〜4であってもよい。前記線状凸部の平均幅及び平均高さは、それぞれ10〜300μm及び1〜20μmであり、かつ各区画の平均径は100〜5000μmであってもよい。前記網目構造は格子状又はハニカム状であってもよい。前記透明基材フィルム及び線状凸部は、透明樹脂で形成されていてもよい。
本発明には、透明基材フィルムの少なくとも一方の面に線状凸部前駆体を印刷する印刷工程を含む前記触感フィルムの製造方法も含まれる。
本発明では、透明基材フィルムの表面に、線状凸部で形成され、かつ規則的に配列された複数の区画を有する特定の網目構造が形成されているため、透明性を向上できるとともに、ペン入力デバイスにおいて、紙に対する鉛筆のような書き味でペンを用いて情報を入力できる。特に、ペン入力の書き始め及び途中で書き味(動作距離に対する摩擦係数のプロファイル)を一定に調整できるため、微妙なペン入力が可能となり、高度な機能を有するペン入力デバイスにも対応できる。さらに、微粒子を含まないため、内部ヘイズを抑制でき、高度な透明性を実現できる。
図1は、紙に6B鉛筆を摺動させたときの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図2は、紙にHB鉛筆を摺動させたときの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図3は、実施例1で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図4は、実施例2で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図5は、実施例3で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図6は、実施例4で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図7は、実施例5で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図8は、実施例6で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図9は、実施例7で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図10は、実施例8で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図11は、比較例1で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。 図12は、比較例2で得られた触感フィルムの動作距離に対する摩擦係数のグラフである。
[触感フィルム]
本発明の触感フィルムは、透明基材フィルムの少なくとも一方の面(例えば、ディスプレイの最表面に位置する側の片面)に線状凸部が網目構造を形成している。この網目構造は、触感フィルム表面において、規則的に配列された複数の閉じた区画を有するため、ペンが確実に区画を規定する線状凸部を横断し、ペン入力の書き始め及び途中で(ペン入力の間)、動作距離に対する摩擦係数のプロファイルを略一定に調整できるため、ペン入力デバイスのディスプレイに利用すると、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できる。
(透明基材フィルム)
透明基材フィルムは、透明材料で形成されていればよく、用途に応じて選択でき、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの高分子が挙げられる。これらのうち、セルロースエステル、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などが汎用される。
セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート(TAC)などのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4アシレートなどが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリアルキレンアリレートなどが挙げられる。ポリイミド樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
これらのうち、耐熱性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC2−4アルキレンアリレートが好ましい。また、線状凸部を金属材料で形成する場合など、高い耐熱性が要求される場合には、ポリイミド樹脂が好ましい。さらに、有機材料で形成された基材フィルムは、二軸延伸したフィルムであってもよい。
透明基材フィルムは、線状凸部との密着性を向上させるために、少なくとも線状凸部を形成する側の表面に易接着層を有していてもよい。易接着層は、通常、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などの慣用の接着性樹脂で形成されており、例えば、透明基材フィルムがポリエステル樹脂である場合、接着性樹脂は、低分子量のポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂などであってもよい。
透明基材フィルムは表面処理されていてもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。
透明基材フィルムは、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、着色剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、分散剤、抗菌剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、透明基材フィルムは、表面の凸部を形成しない粒径や割合であれば、粒状充填剤を含んでいてもよいが、透明樹脂で形成されている場合、内部ヘイズを抑制できる点からも、粒状充填剤(微粒子)を含まないのが好ましく、光の波長よりも大きなサイズの他の添加剤も含まないのが好ましい。
透明基材フィルムの厚み(平均厚み)は、用途に応じて、10μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは30〜200μm程度である。
(線状凸部)
線状凸部は、触感フィルム表面において、規則的に配列された複数の区画を有する網目構造を形成する。すなわち、本発明の触感フィルムでは、線状凸部が閉じた区画を形成するため、ペン入力デバイスにおいて、ペンが確実に区画を規定する線状凸部を横断するため、ペンの書き味を向上できる。
本発明では、ペン入力デバイスにおいて、紙に対する鉛筆のような書き味でペンを用いて情報を入力するため、前記線状凸部(網目構造を構成する線状凸部)は、触感フィルム表面において、所定の面積で形成されている。具体的には、触感フィルム表面全体に対して線状凸部の占める面積割合(表面積ではなく、平面写真に基づく仮想面積割合)は5〜80%であり、好ましくは8〜60%(例えば、10〜50%)、さらに好ましくは12〜40%(特に15〜30%)程度である。線状凸部の面積割合が小さすぎると、ペン入力による摩擦係数が小さくなるため、書き味が低下し、多すぎると、ペン入力の書き始めと途中とで書き味が異なる。なお、本発明では、線状凸部の面積割合は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
線状凸部で形成された網目構造としては、規則的に配列された複数の区画を有していればよく、各区画の形状は、特に限定されず、曲線を含む形状であってもよいが、均一で規則的な形状を形成し易い点から、直線で形成された形状が好ましく、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、八角形状などの多角形状などが挙げられる。これらの形状は、二種以上の形状を組み合わせてもよいが、区画の大きさを統一できる点から、単一の形状が好ましい。さらに、各区画の形状は、異方形状であってもよいが、ペン入力の方向に左右されず均一で安定な書き味が得られる点から、正方形や正六角形などの略等方形状が好ましい。さらに、生産性や書き味に優れる点から、縦方向及び横方向に対称な正方形状が特に好ましい。
網目構造は、前記形状の区画を有すればよく、前述の理由から、格子状、ハニカム状が好ましく、格子状が特に好ましい。触感フィルムにおける網目構造の向きも特に限定されず、例えば、長方形状又は正方形状の透明触感フィルムに格子状の網目構造を形成した場合、線状凸部の長手方向と透明触感フィルムの四辺の方向に対して平行(又は垂直)方向であってもよく、四辺の方向に対して斜め方向(例えば、約45°などの所定の角度で交差する方向)であってもよい。
各区画の大きさは、異なっていてもよいが(例えば、異なる大きさの区画を規則的に配列してもよいが)、均一で安定した書き味が得られる点から、同一の大きさが好ましい。各区画の平均径は100〜5000μm程度の範囲から選択でき、例えば、150〜4000μm、好ましくは200〜3000μm、さらに好ましくは300〜2000μm(特に500〜1000μm)程度である。区画の平均径が小さすぎると、ペン入力の書き始めと途中とで書き味が異なる。一方、大きすぎると、ペン入力による摩擦係数が小さくなるため、書き味が低下する。
なお、本発明では、各区画の平均径とは、各区画の形状が長径と短径とを有する形状の場合(縦方向と横方向とで長さが異なる形状の場合)、長径と短径との平均長さを意味し、各区画の形状が正方形状の場合、一辺の長さを意味する。
線状凸部の平均幅は10〜300μm程度の範囲から選択でき、例えば、15〜250μm、好ましくは20〜200μm(特に30〜150μm)程度である。平均幅が小さすぎると、ペン入力による摩擦係数が小さくなるため、書き味が低下する。一方、大きすぎても、ペン入力による摩擦係数が小さくなるため、書き味が低下する。
線状凸部の平均高さは1〜20μm程度の範囲から選択でき、例えば、1.5〜15μm、好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは2.5〜8μm(特に3〜5μm)程度である。平均高さが小さすぎると、ペン入力による摩擦係数が小さくなるため、書き味が低下する。一方、大きすぎると、ペンが引っ掛かりすぎるため、書き味が低下する。
なお、本発明では、各区画の平均径、線状凸部の平均幅及び平均高さは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
線状凸部で形成された網目構造は、透明基材フィルムの少なくとも一方の面に形成されていればよく、透明基材フィルムの少なくとも一方の面に直接形成されていてもよく、透明基材フィルムの上に形成された他の層(後述する多孔質層など)の上に形成されていてもよい。さらに、線状凸部は、透明基材フィルムに直接形成される場合、鋳型を用いる方法、切削加工、エッチングなどにより、透明基材フィルムと一体化した同一の材料(透明材料)で形成されていてもよいが、簡便性や生産性などの点から、透明基材フィルムとは異なる材料を用いて印刷により形成するのが好ましい。他の層の上に線状凸部を形成する場合も、通常、印刷により他の層とは異なる材料で形成される。
他の材料としては、透明材料に限定されず、非透明材料、例えば、金属材料(金、銀、銅など)などであってもよいが、触感フィルムの透明性を向上できる点から、透明材料が好ましい。透明材料としては、透明基材フィルムの項で例示された透明樹脂であってもよいが、線幅の小さい網目構造を形成し易い点から、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、透明性及び強度のバランスに優れる点から、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタンなどが好ましい。
光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性ポリエステル、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの光硬化性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、透明性及び強度のバランスに優れる点から、光硬化性アクリル系樹脂が好ましい。
本発明では、透明性、耐久性及び生産性に優れる点から、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化可能な光硬化性アクリル系樹脂が特に好ましい。
光硬化性アクリル系樹脂としては、分子内に2以上(例えば、2〜8程度)の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが汎用され、例えば、2〜8官能(メタ)アクリレート、2官能以上のオリゴマー又は樹脂などが含まれる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノール類のC2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート;アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
3官能以上(3〜8官能程度)の(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに、これらの多官能(メタ)アクリレートにおいて、多価アルコールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシド)の付加体であってもよい。これらの多官能(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
2官能以上のオリゴマー又は樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートが汎用される。
これらの光硬化性アクリル系樹脂のうち、強度及び硬度が高く、耐久性を向上でき、かつ表面におけるペンの滑り性を向上できる点から、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上(特に4〜8官能)の(メタ)アクリレートが好ましい。
光硬化性アクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、触感を向上させる点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、500以上であってもよく、例えば、500〜10000、好ましくは600〜9000、さらに好ましくは700〜8000(特に1000〜5000)程度であってもよい。分子量が小さすぎると、触感が低下し、分子量が大きすぎると、成膜性や取り扱い性が低下する。
線状凸部が硬化性樹脂で形成されている場合、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物などの熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤には、慣用の光増感剤や光重合促進剤(例えば、第三級アミン類など)が含まれていてもよい。重合開始剤の割合は、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であってもよい。
硬化性樹脂(硬化前の硬化性樹脂)は、塗工性などの点から、さらに溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は、バインダー成分(前記ビニル系化合物や熱可塑性エラストマーなど)の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、セロソルブ類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、イソプロパノールなどのアルコール類、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが汎用される。硬化性樹脂は、さらに透明基材フィルムの項で例示された添加剤を含んでいてもよい。
(他の層)
本発明の触感フィルムは、多孔質層を介して線状凸部が形成されていてもよい。多孔質層を介在させることにより、線幅の細い線状凸部を容易に形成できるとともに、金属材料で形成された線状凸部に対する密着性も向上できる。一方、高い透明性が要求される用途では、多孔質を介在させることなく、透明基材に線状凸部を直接形成してもよい。
多孔質層の平均孔径は、例えば、0.05〜30μm、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.3〜10μm(特に0.5〜5μm)程度である。多孔質層の空孔率は、例えば、10〜90%、好ましくは30〜85%、さらに好ましくは50〜80%(特に60〜75%)程度である。孔径及び空孔率が小さすぎると、線幅の細い線状凸部を形成するのが困難となり、大きすぎると、線状凸部の高さが低くなり、書き味が低下する。
多孔質層は、透明基材フィルムの項で例示された透明樹脂で形成されていてもよく、通常、透明基材フィルムと同一又は同種の透明樹脂で形成されている。例えば、透明基材フィルムがポリイミドで形成されている場合、多孔質層は、ポリアミドイミドなどのポリイミド樹脂であってもよい。
多孔質層も、透明基材フィルムの項で例示された添加剤を含んでいてもよい。
多孔質層の厚み(平均厚み)は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜70μm、さらに好ましくは1〜50μm程度である。
多孔質層の製造方法としては、湿式相転換法、乾式相転換法、溶媒置換速度調整材を用いる方法などの慣用の方法を利用でき、例えば、WO2007/097249号パンフレットに記載の方法などを利用できる。
多孔質層を介在させた後、多孔質層の多孔を塞ぐことにより透明性を向上させてもよい。多孔を塞ぐ方法としては、例えば、多孔質層を形成する透明樹脂を溶解可能な溶媒で多孔質層を膨潤させた後、乾燥などにより溶媒を除去する方法などが挙げられる。さらに、必要に応じて表面を平滑する目的などのために、加熱してもよい。
本発明の触感フィルムは、さらに他の機能層、例えば、透明導電層、アンチニュートンリング層、防眩層、光散乱層、反射防止層、偏光層、位相差層などの層と組み合わせてもよい。
(触感フィルムの表面特性)
本発明の触感フィルムの表面には、前記線状凸部で網目構造が形成されており、網目構造が形成された表面において、有効測定距離を20mmとしたとき、平均摩擦係数は0.05以上であってもよく、例えば、0.08〜0.5、好ましくは0.1〜0.4、さらに好ましくは0.12〜0.3(特に0.15〜0.25)程度である。摩擦係数が低すぎると、滑りすぎる傾向があり、高すぎると、引っ掛かりすぎる。
摩擦係数の標準偏差は0.01以上であってもよく、例えば、0.01〜0.2、好ましくは0.02〜0.15、さらに好ましくは0.03〜0.12(特に0.05〜0.1)程度である。標準偏差が小さすぎると、引っ掛かり感が低下し、標準偏差が大きすぎると、書き味が低下する。
さらに、前半10mmの標準偏差と後半10mmの標準偏差との比(前者/後者)は0.25〜4であってもよく、例えば、0.4〜3、好ましくは0.5〜2.5、さらに好ましくは0.8〜2(特に1〜1.5)程度である。この比がこれらの範囲にあると、ペン入力の書き始め及び途中で(ペン入力の間)、動作距離に対する摩擦係数のプロファイルを略一定に調整できるため、ペン入力デバイスに利用すると、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できる。一方、この比が小さすぎたり、大きすぎると、書き味が低下する。
本明細書では、摩擦係数は、静動摩擦測定機を用いて測定でき、詳細には、後述の実施例に記載された方法で測定できる。
触感フィルムの表面には、網目構造が形成された表面において、JIS B0610に準拠した転がり円最大高さうねり(WEM)が5μm以上(例えば、5〜100μm程度)であり、例えば、5〜50μm、好ましくは8〜40μm、さらに好ましくは10〜30μm(特に12〜20μm)程度である。本発明では、WEMがこのような範囲に調整されているため、ペン入力デバイスにおいて、プラスチックペン(例えば、ポリオキシメチレンで形成されたペン)で入力すると、ペン先が凸部に適度に引っ掛かるためか、ペン入力の書き始め及び途中で書き味を略一定に調整できる。WEMが小さすぎると、ペン入力デバイスにおいて、滑らずに引っ掛かりすぎて、抵抗感が発生する。
本明細書では、転がり円最大高さうねり(WEM)は、JIS B0610に準拠して測定でき、詳細には、後述の実施例に記載された方法で測定できる。
(触感フィルムの他の特性)
本発明の触感フィルムは、JIS K7136に準拠した全光線透過率が70%以上であるが、多孔質層を介在させることなく、透明基材フィルムの表面に線状凸部で網目構造を直接形成した場合には、高度な透明性を実現でき、全光線透過率が85%以上であってもよく、例えば、85〜99.9%、好ましくは86〜99.5%、さらに好ましくは88〜99%(特に、90〜95%)程度である。
本発明の触感フィルムは、微粒子を含まないため、内部ヘイズが抑制されている。そのため、本発明の触感フィルムは、例えば、JIS K7136に準拠したヘイズは、50%以下に調整してもよく、例えば、30%以下(例えば、0.1〜30%)、好ましくは0.3〜25%(例えば、0.5〜20%)、さらに好ましくは1〜15%(特に3〜10%)程度である。本発明では、ヘイズを抑制できるため、高精細表示ディスプレイにも適している。
(触感フィルムの用途)
本発明の触感フィルムは、ディスプレイの最表面に配設するために用いてもよく、ペン入力の書き始め及び途中で書き味を略一定に調整でき、紙に対する鉛筆のような書き味で入力できるため、ペン入力型タッチパネルのディスプレイやペンタブレットなどのペン入力デバイスに利用でき、ディスプレイの最表面に位置するように配設される。特に、本発明の触感フィルムは、透明性及び書き味に優れるため、各種のペン入力型タッチパネル(特にITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネル)のディスプレイ、特に、4Kテレビのディスプレイにタッチパネルを搭載した高解像度のテレビや、建築分野や医療分野で利用される高解像度のペン入力デバイスのディスプレイの操作に適している。
ペン入力デバイスで用いられるペン(接触子)は、プラスチックや金属などの硬質材料で形成されていればよく、通常、プラスチックで形成されている。プラスチックとしては、例えば、強度や耐久性などの点から、例えば、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、軽量で強度が高く、耐摩耗性などの耐久性や摺動性にも優れる点から、ポリオキシメチレンなどのポリアセタール樹脂が好ましい。ペン先の形状は、特に限定されないが、通常、曲面形状(R状)である。ペン先の平均径は、特に限定されないが、例えば、0.1〜10mm程度の範囲から選択でき、好ましくは0.3〜8mm、更に好ましくは0.3〜5mm程度であるが、通常、0.5〜3mm(特に0.6〜2mm)程度である。
[触感フィルムの製造方法]
本発明の触感フィルムは、鋳型を用いる方法、切削加工、エッチングなどにより、線状凸部と透明基材フィルムとが一体化したフィルムとして製造してもよいが、簡便性や生産性などの点から、透明基材フィルムの少なくとも一方の面(多孔質層が形成されている場合、多孔質層の上)に線状凸部前駆体を印刷する印刷工程を含む製造方法により製造するのが好ましい。
印刷工程において、線状凸部前駆体を印刷する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などが好ましい。なお、スクリーン印刷法により、透明基材フィルムに線状凸部を直接印刷する場合、通常、印刷後のパターンの幅(線径)は、設定幅よりも大きくなるため、目的の線幅よりも大きい設定幅に調整される。
印刷工程において、透明基材フィルムの上に形成された線状凸部前駆体のパターン(網目状構造)は、通常、固化工程に供される。
固化工程において、線状凸部が硬化性樹脂で形成されている場合、未硬化の硬化性樹脂は、硬化処理に供される。未硬化の硬化性樹脂を含む前駆体が有機溶媒を含有する場合など、塗布後は、必要に応じて乾燥を行ってもよい。乾燥は、例えば、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度の温度で行ってもよい。
硬化処理において、前駆体は、重合開始剤の種類に応じて加熱して硬化させてもよいが、通常、活性エネルギー線を照射することにより硬化できる。活性エネルギー線としては、例えば、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線、電子線(EB)などが利用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm、好ましくは70〜7000mJ/cm、さらに好ましくは100〜5000mJ/cm程度であってもよい。
電子線の場合は、電子線照射装置などの露光源によって、電子線を照射する方法が利用できる。照射量(線量)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、1〜200kGy(グレイ)、好ましくは5〜150kGy、さらに好ましくは10〜100kGy(特に20〜80kGy)程度である。加速電圧は、例えば、10〜1000kV、好ましくは50〜500kV、さらに好ましくは100〜300kV程度である。
なお、活性エネルギー線の照射は、必要であれば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行ってもよい。
線状凸部が金属材料で形成されている場合、線状凸部前駆体は、通常、金属粒子、分散剤及び溶媒を含む金属ペーストであり、金属ペーストを焼成処理に供することにより、金属材料で形成された線状凸部が得られる。焼成処理は、金属材料の種類に応じて、金属粒子を焼結できる温度から選択でき、例えば、150〜300℃、好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは200〜260℃程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた触感フィルムを以下の項目で評価した。
[線状凸部の線幅(平均幅)及び区画の平均径]
CCDカメラ[ライカマイクロシステムズ(株)製「ライカDVM5000」]を用いてサンプルを撮影し、観察画像より、線幅及び区画径を測定した。
[線状凸部の平均高さ、占有面積]
非接触表面形状測定装置[(株)菱化システム製「VertScan2.0」]を用いて、サンプルの表面形状を測定した。さらに、観察画像より、高さ1μm以上(閾値1μm)の粒子解析を行い、凸部の占有面積を算出した。
[光学特性]
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して、ヘイズ(HZ)、全光線透過率(TT)を測定した。
[書き味]
NintendoDS(登録商標)用タッチペンで書き味を評価し、以下の基準で評価した。
○:紙に対する鉛筆の書き味に近い
×:滑り性が大きく、紙に対する鉛筆の書き味とは異なっている。
[転がり円最大高さうねり(WEM)]
JIS B0610に準拠し、表面粗さ形状測定機((株)東京精密製「サーフコム570A」)を用いて、以下の条件で転がり円最大高さうねり(WEM)を測定した。
測定子:うねり測定子(0102505)
測定子の仕様:800μmR、ルビー
駆動速度:3mm/s
λf低減カットオフ値:8mm
測定長さ:15mm。
[摩擦係数]
静動摩擦測定機((株)トリニティーラボ製「ハンディートライボマスターTL201Ts」)を用いて、測定条件(荷重50g重、速度50mm/秒)で摩擦力を測定した。接触子としては、ポリオキシメチレン製ペン(ペン先径0.8mmφ)を使用し、フィルムに対して45°の角度で摺動させた。なお、参考例として、紙((株)カウネット製「コピーペーパー スタンダードタイプ」)に対して鉛筆(三菱鉛筆(株)製「ユニ6B」)及び前記ポリオキシメチレン製ペンを摺動させた。
[使用材料]
透明PET基材フィルム:東洋紡(株)製「A4300」、厚み100μm
多孔性透明PI(ポリイミド)基材フィルム:下記方法で調製したフィルム
ポリアミドイミド系樹脂溶液(東洋紡(株)製「バイロマックスHR11NN」、固形分濃度15重量%、溶剤N-メチル-2-ピロリドン、溶液粘度20dPa・s/25℃)100重量部に、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)30重量部を添加して製膜用原液を調製した。この原液を25℃とし、基材であるPETフィルム(帝人デュポン(株)製「HS74AS」、厚み100μm)のAS面(静電気防止処理面)上に、フィルムアプリケーターを使用して、フィルムアプリケーターと基材とのギャップ13μmの条件でキャストした。キャスト後速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。
HZ5%透明基材フィルム:下記方法で調製したフィルム
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂((株)ダイセル製「サイクロマーP(ACA)320M」)4重量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマン社製「CAP−482−20」)2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)16重量部、アクリル系UV硬化性化合物(JSR(株)製「デソライトZ7501」)20重量部、光開始剤(BASF社製「イルガキュア907」)0.5重量部をメチルエチルケトン40重量部と1−ブタノール6重量部、1−メトキシ−2−プロパノール6部、シクロヘキサノン6部の混合溶剤に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いて透明PET基材フィルム(A4300)上に流延した後、95℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を紫外線照射量200mJ/cmで照射し、UV硬化処理した。
HZ13%透明基材フィルム:下記方法で調製したフィルム
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(サイクロマーP(ACA)320M)6重量部、セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20)2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(DPHA)6重量部、シリコーン含有アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・サイテック(株)製「EB1360」)1重量部、光開始剤(イルガキュア907)0.5重量部をメチルエチルケトン25重量部と1−ブタノール12.15重量部の混合溶剤に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いて透明PET基材フィルム(A4300)上に流延した後、90℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約10秒間照射し、UV硬化処理した。
硬化性樹脂A:UV硬化性インク、十条ケミカル(株)製「4100GARLCS」
硬化性樹脂B:ポリウレタンエラストマー(大日精化工業(株)製「ダイアロマーEX002」)と、6官能アクリルUV硬化モノマー(ダイセル・サイテック(株)製「DPHA」)とを質量比1:1で混合した液に、単分散アクリル粒子(積水化成品(株)製「テクポリマーSSX115」、平均粒径15μm)を5質量%の割合で添加した液状組成物。
導電インク:銀ペースト、藤倉化成(株)製「ナノ・ドータイトXA9053」。
実施例1
スクリーン印刷機(東海精機(株)製「SSA−PC250IP」、スクリーン版のサイズ:線径50μm、250メッシュ、)を用いて、印刷速度30mm/秒、印刷圧力0.2MPaの条件で、硬化性樹脂Aを透明PET基材フィルムの片面にスクリーン印刷して格子状パターンを形成し、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、メタルハライドランプ)を用いて、照射量250mJ/cmで紫外線を照射して、硬化処理を行い、格子状パターンを硬化させ、触感フィルムを得た。
実施例2
スクリーン版のサイズを線径50μm、500メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
実施例3
スクリーン版のサイズを線径50μm、1000メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
実施例4
スクリーン版のサイズを線径50μm、1500メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
実施例5
スクリーン版のサイズを線径50μm、2000メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
実施例6
スクリーン印刷機(ニューロング精密工業(株)製「LS−150TVA」、スクリーン版のサイズ:線径20μm、ピッチ300μm)を用いて、印刷速度10mm/秒、印刷圧力0.2MPaの条件で、導電インクを多孔性透明PI基材フィルムの片面にスクリーン印刷して格子状パターンを形成した。印刷後、150℃で30分間保持し、導電インクを硬化させて配線を形成した。使用したインクは、酸化銀が加熱により還元されて銀になるタイプのインクであり、印刷直後は黒色であったが、加熱後には金属銀の光沢を示した。電子顕微鏡で観察したところ、線幅20μmでピッチ(繰り返し間隔)300μmの格子パターンが形成されていた。得られた格子パターン印刷品を用いて、以下の方法で溶剤処理を施して多孔質層の空孔構造を消失させた格子パターン印刷品を製造した。
得られた格子パターン印刷品に、混合溶剤[N-メチル-2-ピロリドン/アセトン(重量比)=1/4]をスプレー(フルプラ社製「ダイヤスプレーエクセレントNO.3530」)で噴霧し全体を均質に濡らした。次いで、自然乾燥させ、ホットプレート(KPI社製「MODEL HP−19U300」)の天板上にポリイミドテープで固定し、60℃で60分間加熱した。このような溶剤処理によりポリアミドイミド多孔質層が透明化され、得られた格子パターン印刷品は、全体としてわずかに黄色がかった透明フィルム上に格子パターンが形成された形態として得られた。
実施例7
線径50μm、1000メッシュのスクリーン版を用いて、硬化性樹脂AをHZ5%の透明基材フィルムの片面にスクリーン印刷する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
実施例8
線径50μm、1000メッシュのスクリーン版を用いて、硬化性樹脂AをHZ13%の透明基材フィルムの片面にスクリーン印刷する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
比較例1
スクリーン版のサイズを線径50μm、150メッシュに変更する以外は実施例1と同様にして触感フィルムを得た。
比較例2
硬化性樹脂Bを用いて、透明PET基材フィルム上にワイヤーバー#14を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、塗工膜を硬化させて、触感フィルムを得た。
得られた触感フィルムの線状凸部サイズ、光学特性、書き味、WEM、摩擦係数を測定した結果を表1に示す。なお、参考例として、紙に鉛筆を摺動させたときの摩擦係数も併せて示す。
Figure 0006151611
表1の結果から明らかなように、実施例の触感フィルムは、比較例の触感フィルムに比べて、光学特性及び機械的特性のバランスに優れている。
さらに、紙に6B鉛筆を摺動させたときの動作距離に対する摩擦係数のグラフを図1に示し、紙にHB鉛筆を摺動させたときの動作距離に対する摩擦係数のグラフを図2に示し、実施例1〜8及び比較例1〜2の触感フィルムにペンを摺動させたときの動作距離に対する摩擦係数のグラフを図3〜12に示す。図1〜12の結果から明らかなように、実施例の触感フィルムは、ペン入力の書き始め及び途中で動作距離に対する摩擦係数のプロファイルが一定であり、紙に鉛筆を摺動させたときのプロファイルに類似するのに対して、比較例1の触感フィルムは、後半の摩擦係数の振幅が小さく、紙に鉛筆を摺動させたときのプロファイルとは大きく異なる。また、比較例2の触感フィルムは、紙に鉛筆を摺動させたときのプロファイルに類似しているものの、ヘイズが高く、光学特性が低い。
本発明の触感フィルムは、ペンを用いて入力される各種のデバイス、例えば、PC、テレビ、携帯電話(スマートフォン)、電子ペーパー、遊技機器、モバイル機器、時計、電卓などの電気・電子又は精密機器の表示部において、表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、有機又は無機EL表示装置など)と組み合わせて用いられるペン入力型タッチパネル(特に、ITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネルのディスプレイ)、ペンタブレットなどのコンピュータ用ポインティングデバイスなどに利用できる。
なかでも、プラスチックペンでの入力を紙に対する鉛筆のような書き味で入力できるため、スマートフォン、携帯電話、電子ペーパー、タブレット型PC、ペンタブレット、遊戯機器、PCなどのペン入力型タッチパネルのディスプレイに有用であり、特に、透明性及び書き味に優れるため、4Kテレビのディスプレイにタッチパネルを搭載した高解像度のテレビや、建築分野や医療分野で利用される高解像度のペン入力デバイスのディスプレイに特に有用である。

Claims (7)

  1. 透明基材フィルムと、この透明基材フィルムの少なくとも一方の面で網目構造を形成する線状凸部とを含む触感フィルムであって、
    前記網目構造が、規則的に配列された複数の区画を有し、
    前記網目構造が形成された表面において、JIS B0610に準拠した転がり円最大高さうねり(W EM )が5〜50μmであり、かつ
    前記線状凸部が、触感フィルム表面全体に対して5〜80%の面積を占める触感フィルム。
  2. JIS K7136に準拠した全光線透過率及びヘイズが、それぞれ85%以上及び30%以下である請求項1記載の触感フィルム。
  3. 網目構造が形成された表面において、有効測定距離を20mmとしたとき、前半10mmの摩擦係数の標準偏差と後半10mmの摩擦係数の標準偏差との比(前者/後者)が0.25〜4である請求項1又は2記載の触感フィルム。
  4. 線状凸部の平均幅及び平均高さが、それぞれ10〜300μm及び1〜20μmであり、かつ各区画の平均径が100〜5000μmである請求項1〜のいずれかに記載の触感フィルム。
  5. 網目構造が格子状又はハニカム状である請求項1〜のいずれかに記載の触感フィルム。
  6. 透明基材フィルム及び線状凸部が、透明樹脂で形成されている請求項1〜のいずれかに記載の触感フィルム。
  7. 透明基材フィルムの少なくとも一方の面に線状凸部前駆体を印刷する印刷工程を含む請求項1〜のいずれかに記載の触感フィルムの製造方法。
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