JP6151593B2 - ヒートポンプ式濃縮装置の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は各種調味料、各種エキスあるいは工場廃液等を濃縮するために用いられる装置に関するものであって、特に加熱缶と蒸発缶とが具えられたヒートポンプ式濃縮装置の運転方法に係るものである。
従来より、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を液体原料とし、この液体原料の濃縮を行う装置の一例として、ヒートポンプ式濃縮装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。
このようなヒートポンプ式濃縮装置Cは図1に示すように、加熱缶1と蒸発缶2との間を吹込管路3及び戻り管路4によって接続することにより循環経路を形成し、真空ポンプ5によって循環経路内の雰囲気を抜き出して循環経路内を真空状態とし、前記蒸発缶2内に供給された後、戻り管路4を通じて前記加熱缶1内に配した長管11内に流入した液体を、この長管11の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分L1と蒸気成分S0とを前記蒸発缶2内に吹き込み、この蒸発缶2内においてこれら液体成分L1と蒸気成分S0とを分離して高濃度の液体を得るように構成された装置である。
またヒートポンプ式濃縮装置Cの立ち上げ開始時においては、前記長管11の外側に供給する蒸気として、蒸気供給装置9によって生成された補助蒸気SSが用いられる。
そして、前記蒸発缶2から排出された蒸気成分S0を圧縮機7によって昇温して加熱蒸気S1とし、この加熱蒸気S1を加熱缶1内(長管11の外側)に供給するとともに、補助蒸気SSの供給量を低減して、定常運転に移行するものである。
そしてこのようなヒートポンプ式濃縮装置Cの運転にあたっては、従来、一例として図7に示すフローチャートに従った操作が行われ、複数の制御(一例として以下に示す四種類の制御)が並行して行われている。
まず第一の制御として、蒸発缶2中の圧力(実質的に温度)を測定し、この値に応じて圧縮機7の回転数(インバータの周波数)が制御されるものである(図7中の#6)。
また二の制御として、加熱缶1のドレン温度を測定し、この値に応じて、ヒートポンプ式濃縮装置C内を減圧するための真空ポンプ5の入口側に設けられた(加熱缶1におけるドレン口15と、真空ポンプ5との間に具えられた)排気バルブV15の開度(ガス排気量)が制御されるものである(図7中の#8)。
また第三の制御として、加熱缶1中の圧力(実質的に温度)を測定し、この値に応じて、補助蒸気の供給量を調節するための流量調整バルブV14の開度(補助蒸気供給量)が制御されるものである(図7中の#9)。
また第四の制御として、蒸発缶2内の液量を測定して、ノズル82に供給される液体原料の量を調節するためのバルブV8の開度が制御されるものである(図7中の#4)。
そしてこのような四種の制御が並行して行われることにより、ヒートポンプ式濃縮装置Cにおける加熱缶1内の圧力、蒸発缶2内の圧力、圧縮機7の周波数は、図4中の実線に示すように上昇するものであり、この例では、定常運転が可能な値にまで上昇するのに約200分が必要となっていた。
なおこのようなヒートポンプ式濃縮装置Cは、一般的に24時間連続運転されるものであり、いったん立ち上げてしまえば長時間にわたって停止されることがないため、上述のような立ち上げ時に要する時間は、さほど重要視されていなかったのが実情である。
またヒートポンプ式濃縮装置Cが立ち上げ時に要する時間は、補助蒸気SSの供給速度に依存するものであり、供給速度が高ければ加熱缶1内の温度も上昇し易く、立ち上げ時間を短くすることができる。しかしながら定常時の補助蒸気供給量に比べて多大な供給能力を確保することは、コストや制御の面から現実的ではない。
そこで本出願人は、ヒートポンプ式濃縮装置Cの立ち上げ時の運転を精査したところ、加熱缶1のドレンDの温度が、前記第二の制御における設定値(SP値)よりもかなり低い場合、イナートガスが多く存在するものと誤認され、排気バルブV15を全開にする動作制御が長時間継続され続けてしまい、補助蒸気SSが加熱缶1から過剰に排出されてしまう事態に陥り、この結果、加熱缶1内の圧力の上昇を阻害して、定常運転に至るまでの時間を増大させてしまっているとの知見を得た。
特開2005−111319号公報
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、特に立ち上げ時の補助蒸気が加熱缶から不用意に排出されてしまうことを防ぐことにより、補助蒸気の無駄を排除し、過剰設計を排除しながらも、起動時間の短縮及び起動の安定化を実現することのできる、新規なヒートポンプ式濃縮装置の運転方法の開発を技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法は、加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、真空ポンプによって循環経路内の雰囲気を抜き出して循環経路内を真空状態とし、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る装置であって、前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮機によって昇温して蒸気とし、この蒸気を加熱缶内に供給するように構成されたヒートポンプ式濃縮装置の運転において、前記ヒートポンプ式濃縮装置の立ち上げ開始時には、前記圧縮機を起動することなく、真空ポンプを起動するとともに、加熱缶内に補助蒸気を供給するものであり、蒸発缶内の圧力が所望の値にまで低下した時点で、加熱缶におけるドレン口と真空ポンプとの間に具えられた排気バルブの開度が、時間の経過とともに減少するように調節する制御を開始し、更にこの時点で、圧縮機の運転制御を開始するものであり、その後、圧縮機の運転周波数が所定の値にまで上昇した時点で、前記排気バルブの開度を調節する制御を、加熱缶のドレン温度に基づいた制御に変更するとともに、補助蒸気供給バルブの開度制御を開始することを特徴として成るものである。
また請求項2記載のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法は、加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、真空ポンプによって循環経路内の雰囲気を抜き出して循環経路内を真空状態とし、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る装置であって、前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮機によって昇温して蒸気とし、この蒸気を加熱缶内に供給するように構成されたヒートポンプ式濃縮装置の運転において、前記ヒートポンプ式濃縮装置の立ち上げ開始時には、前記圧縮機を起動することなく、真空ポンプを起動するとともに、加熱缶内に補助蒸気を供給するものであり、蒸発缶内の圧力が所望の値にまで低下した時点で、加熱缶におけるドレン口と真空ポンプとの間に具えられた排気バルブの開度を、加熱缶内の圧力に基づいて調節する制御を開始し、更にこの時点で、圧縮機の運転制御を開始するものであり、その後、圧縮機の運転周波数が所定の値にまで上昇した時点で、前記排気バルブの開度を調節する制御を、加熱缶のドレン温度に基づいた制御に変更するとともに、補助蒸気供給バルブの開度制御を開始することを特徴として成るものである。
更にまた請求項3記載のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法は、前記要件に加え、前記排気バルブの開度の下限値を設定することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1記載の発明によれば、特に立ち上げ時の補助蒸気が加熱缶から不用意に排出されてしまうことを防ぐことにより、蒸気の無駄を排除し、補助蒸気の供給を複数系統にする等の過剰設計を排除しながらも、起動時間の短縮及び起動の安定化を実現することができる。この結果、ランニングコストを低減することができる。
また請求項2記載の発明によれば、特に立ち上げ時の補助蒸気が加熱缶から不用意に排出されてしまうことを防ぐことにより、蒸気の無駄を排除し、補助蒸気の供給を複数系統にする等の過剰設計を排除しながらも、起動時間の短縮及び起動の安定化を実現することができる。この結果、ランニングコストを低減することができる。
更にまた請求項3記載の発明によれば、定常運転時のイナートガスの排気不良を防止して、正確な圧力を測定することができる。
本発明の適用対象であるヒートポンプ式濃縮装置全体を骨格的に示す側面図である。 本発明のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法の流れを示すフローチャートである。 本発明によって立ち上げ運転が行われているときのヒートポンプ式濃縮装置の状態を示すタイムラインである。 本発明のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法並び従来のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法による蒸発缶の圧力、加熱缶の圧力、圧縮機を駆動するインバータの周波数を比較するためのグラフである。 本発明の他の実施例によって立ち上げ運転が行われているときのヒートポンプ式濃縮装置の状態を示すタイムラインである。 従来の方法によって立ち上げ運転が行われているときのヒートポンプ式濃縮装置の状態を示すタイムラインである。 従来のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法の流れを示すフローチャートである。
以下本発明のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法について説明するものであり、まずはじめにヒートポンプ式濃縮装置についてその構成を図面を参照しながら説明し、続いてこの装置の作動態様と併せて本発明のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法について説明する。
図中符号Cで示すものが本発明の適用対象であるヒートポンプ式濃縮装置であり、このものは加熱缶1と蒸発缶2との間が吹込管路3及び戻り管路4によって接続され、循環経路が形成されて成るものである。そして前記加熱缶1内に配された長管11内に、液体原料L0を流入させ、この長管11の外側に供給された加熱媒体からの伝導熱によって液体原料L0を沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった状態の液体成分L1と蒸気成分S0とを前記蒸発缶2内に吹き込み、この蒸発缶2内においてこれら液体成分L1と蒸気成分S0との分離が行われるものである。
なお前記長管11の外部に供給される加熱媒体としては、立ち上げ時には補助蒸気SSが用いられ、定常運転時には主に蒸発缶2において分離された蒸気成分S0を圧縮機7によって昇温した加熱蒸気S1が用いられる。
以下ヒートポンプ式濃縮装置Cを構成する諸部材について詳しく説明する。
まず前記加熱缶1について説明すると、このものは機密性が確保された筐体10内に、金属等の耐熱素材から成る管路である長管11を複数本具えるものであり、この長管11の下端部を筐体10下部に形成した給液口12と連通状態とし、一方、長管11の上端部を筐体10上部に形成した排出口13に連通状態として成るものである。
また前記筐体10の側周部分には、蒸気口14及びドレン口15が形成される。なお給液口12から長管11を通って排出口13に至る流路と、蒸気口14から筐体10内を通ってドレン口15に至る流路とは、双方を流れる流体が互いに干渉しないようになっており、双方の流路間では熱エネルギーのみが移動するように構成されている。
更にまた前記加熱缶1に形成された蒸気口14には蒸気供給装置9が管路によって接続されるものであり、この管路には流量調整バルブV14が具えられる。
次に前記蒸発缶2について説明すると、このものは一例として円筒部の下部に逆円錐部が接続された中空部材である筐体20の上部に排気口21が形成され、側周部に流入口22が形成され、下部に排出口23が形成されて成るものである。また筐体20の下部には液面センサ25が具えられている。
更にまた筐体20内にはノズル82が配されるものであり、このノズル82から給液タンク8に貯留された液体原料L0が噴出される。なおノズル82による液体原料L0の噴出量の調節は、給液タンク8とノズル82との間に具えられたバルブV8の開度を調節することにより行われる。
そして前記加熱缶1における排出口13と、蒸発缶2における流入口22との間は吹込管路3によって連通状態に接続され、また前記加熱缶1における給液口12と、蒸発缶2における排出口23との間は戻り管路4によって連通状態に接続される。この結果、蒸発缶2、戻り管路4、長管11及び吹込管路3を要素とした循環経路が形成されるものである。
なお前記戻り管路4には濃縮液排出口41が形成されるものであり、バルブ42を開放することにより、濃縮された液体成分L1を外部に排出できるように構成されている。
また加熱缶1におけるドレン口15には、ドレンタンク16、バルブV16及び真空ポンプ5が具えられた管路が接続されるものであり、更にドレンタンク16及びバルブV16と並列に排気バルブV15が具えられた管路がバイパス状に具えられている。
また前記蒸発缶2における排気口21と、加熱缶1における蒸気口14との間には、圧縮機7が設けられるものであり、この圧縮機7としては、一例としてインバータモータMによって駆動される吐出圧力0. 2MPaG程度のルーツブロワが適用される。なおこの実施例では三葉タイプのロータ71を具えたルーツブロワが採用されるが、二葉タイプのもの等を適用することもできる。また圧縮機7のケーシングは適宜冷却水によって冷却されるものとする。
また前記蒸発缶2における排気口21と圧縮機7との間は管路72によって接続されるものであり、この管路72における圧縮機7と蒸発缶2との間にはデミスタ76が具えられる。
なお図示は省略するが、前記液体原料L0を予熱器によって昇温した後に、蒸発缶2内に供給するようにしてもよく、この場合、予熱器において、前記加熱缶1から排出される未凝縮ガスS2及びドレンDと、液体原料L0との間で熱交換が行われるような形態を採ることが好ましい。
そして圧力センサP1が、そのセンシング部を加熱缶1の筐体10内に位置させるように具えられ、また圧力センサP2が、そのセンシング部を蒸発缶2の筐体20内に位置させるように具えられる。またドレン口15とドレンタンク16とを結ぶ管路には、ドレンDの温度を測定するための温度センサTが具えられる。
またドレンタンク16には、ドレンDの液面の高さを検知するための液面センサ17が具えられる。
そしてこれら圧力センサP1、圧力センサP2、温度センサT、液面センサ17及び液面センサ25は適宜の制御装置(図示省略)に接続されている。
本発明の適用対象であるヒートポンプ式濃縮装置Cは、一例として上述したように構成されるものであり、以下、本発明のヒートポンプ式濃縮装置Cの運転方法について、図2に示すフローチャート及ぶ図3に示すタイムラインに沿って説明する。
〔起動〕
まず排気バルブV15の開度を最大とし(#1)、次いで真空ポンプ5の運転を開始して(#2)ヒートポンプ式濃縮装置Cにおける循環系内の減圧を図るものであり、加熱缶1、蒸発缶2と、これらを結ぶ管路、機器内を減圧する。このとき圧縮機7の起動は行われない。
このような状態で、バルブV8の開度を調節して、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を液体原料L0として蒸発缶2に投入する。この際、蒸発缶2内は減圧下であり、大気圧よりも低圧であるため、バルブV8を開くだけで液体原料L0が蒸発缶2内に吸引(投入)される。なお、このように低圧を利用した吸引ではなく、適宜ポンプを利用して液体原料L0を投入するようにしてもよい。
この後、液面センサ25によって蒸発缶2内の液量が測定され、バルブV8の開度の制御が行われることにより、ノズル82に供給される液体原料L0の量が調節される(#3)。
次いで、加熱缶1に対して補助蒸気SSの供給が行われるものであり(#4)、また流量調整バルブV14の開度を最大となるように制御し、補助蒸気SSの流量が最大とされる。
そして適宜の制御装置によって、圧力センサP1の測定値、圧力センサP2の測定値、温度センサTの測定値及び液面センサ17の測定値が監視される。
なお、排気バルブV15の開度が最大とされるため、起動時のイナートガスの排気不良を防止して、正確な圧力を測定することができる。
〔トリガーポイントt1〕
やがて、真空ポンプ5の運転により低下している蒸発缶2内の圧力が、所定の値(この実施例では一例として20kPa)にまで低下したことが確認された時点((#5)、t1=50min)で、排気バルブV15の開度が変更される(#6)。具体的には、トリガーポイントt1から、後述するトリガーポイントt2までの間は、排気バルブV15の開度が時間の経過とともに、事前に設定した開度まで減少していくような制御が適用される。具体的には、例えば経過時間と排気バルブV15の開度との関係を事前に図示しない制御装置に具えられるプログラマブルロジックコントローラ(以下PLCと略)に設定しておき、このPLC内で設定された時間により排気バルブV15の開度を制御するものであり、この変化が図3に模式的に示されている。
なお図3には、排気バルブV15の開度が時間の経過とともにリニアに減少していく実施例を示したが、図5に示すように、排気バルブV15の開度が時間の経過とともに段階的に減少していくような制御を行うことも可能である。
またこの時点(t1=50min)で、圧縮機7の運転制御が開始されるものであり(#7)、圧力センサP2の測定値(蒸発缶2内の圧力)に基づいた、圧縮機7の運転周波数制御が開始されるものである。
具体的には、蒸発缶2内が事前に設定した目標となる圧力になるように、圧力の設定値を徐々に変化させる一方で、インバータモータMの回転数は、事前に設定した最大回転数まで増加させる制御であると同時に、事前に設定した時間当りの回転数の増減量に従い回転数を増加・減少させる制御が併用して行われる。
これら蒸発缶2内の圧力の設定値と、実際の蒸発缶2内の圧力に応じて、インバータモータMの回転数を増減する制御が実施される。
インバータモータMの回転数は、インバータモータMがインバータの運転周波数に比例して駆動されるので、後述する図4においては圧縮機周波数の変化を示しているが、この変化は実質的に、インバータモータMの回転数の変化を意味するものとなる。
〔トリガーポイントt2〕
上述のような制御によって、蒸発缶2内の圧力は上昇し、圧縮機7の運転周波数が増大し、これにともなって補助蒸気SSの供給量が減少してゆく。
やがて圧縮機7の運転周波数が所定の値にまで上昇した時点(t2=160min)で(#8)、温度センサTの測定値に基づいた排気バルブV15の開度の制御が開始される(#9)。具体的には、ドレンDの温度が、このt2時点に適用される事前に設定された設定温度よりも、低い場合には排気バルブV15の開度を大きくし、逆に高い場合には開度を小さくするPID制御が行われる。
またこの時点(t2=160min)で、圧力センサP1の測定値に基づいた流量調整バルブV14の開度の制御が開始されるものであり(#10)、具体的には、加熱缶1の圧力が、事前に設定した圧力よりも低い場合には流量調整バルブV14の開度を大きくし、逆に高い場合には流量調整バルブV14の開度を小さくするPID制御が行われる。
以上のような運転が行われることにより、ノズル82から蒸発缶2内に供給された液体原料L0は、戻り管路4を経由して加熱缶1における長管11内に供給され、蒸気で加熱され長管11内部で沸騰し、発生した蒸気成分S0が長管11内を上昇する際に液体成分L1を引き上げることとなる。これら蒸気成分S0と液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込み、続いて蒸発缶2における流入口22から筐体20内に流入する。
そしてこの筐体20内において蒸気成分S0と液体成分L1とは分離されるものであり、蒸気成分S0は排気口21から圧縮機7に至り、ここで昇温され、加熱缶1における蒸気口14に供給される。なおこの際、蒸気成分S0中に含まれるミストや粉塵などはデミスタ76によって除去される。
一方、前記液体成分L1は筐体20の下部に溜まり、ここから戻り管路4を経由して加熱缶1における給液口12に供給される。
このような運転を継続することにより、濃縮された液体成分L1は前記ノズル82から供給された新たな液体原料L0を伴って再び加熱缶1における長管11内に位置することとなり、更なる濃縮が行われるものである。
そして以上のような操作を継続し、液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ42が開放され、濃縮された状態の液体成分L1が外部に排出されるものである。
また液体原料L0の濃縮運転が継続されると、加熱缶1内及び蒸発缶2内にイナートガスが生じるが、このようなイナートガスは排気バルブV15を経由して真空ポンプ5によって外部に排出されるため、イナートガスの悪影響を排除することができる。
なお前記蒸発缶2、加熱缶1内に生じるイナートガスを抜き出すことができるように、前記排気バルブV15の最低操作量を設定するものであり、具体的には、イナートガスは不可避的に生じるため、排気バルブV15が完全に閉状態にならないように最低限の開度は常に確保されるよう、開度の下限値(一例として20%)が事前に設定されている。
なお、以上の運転の間、ドレンDはドレンタンク16に溜まり、液面センサ17が検知するドレンDの液量に応じてバルブV16が開閉され、バルブV16が開かれるとドレンDは真空ポンプ5に吸引され外部に排出される。
〔本発明の運転方法と従来の運転方法との比較〕
ここで発明の背景で述べた従来の制御方法によるヒートポンプ式濃縮装置Cの運転と、本発明の制御方法によるヒートポンプ式濃縮装置Cの運転との比較を行う。
従来の制御方法によるヒートポンプ式濃縮装置Cの運転方法は、図7に示すフローチャートに従って行われ、図6に示すタイムラインに示すような状態となる
具体的には、図2に示された本発明の制御方法を示すフローチャートの、#6「V15制御開始」工程を排除したものが従来の制御方法を示すフローチャートとなる。
一方、このような一見僅かな制御方法の相違によって、ヒートポンプ式濃縮装置Cの状態は大きく異なるものであり、図4に示されているように、従来手法による場合、圧縮機7の運転周波数が所定の値にまで上昇するのに要する時間(t3=200min)は、本発明による場合(t2=160min)と比べて40分も遅くなってしまうことが判る。
また図4において、本発明による場合のグラフと、従来手法による場合のグラフとを比較すると、従来手法によるグラフの上下変動が激しくなっていることが判る。これは、従来手法においては、蒸発缶2内の圧力と圧縮機7の回転数に関する制御、加熱缶1からのドレン温度による排気バルブV15の開度の制御および加熱缶1内の圧力と流量調整バルブV14の開度の制御が独立して行われるが、これらは互いに系内の圧力と温度を通じて影響を与え合っていることが原因であると考えられる。また起動時は系内には空気が多量に存在し、更に系の温度は低温であることから、このような従来手法による制御では系の変化と相互の影響、更にはそれに対応する制御が時間差を持って現れることも、グラフの上下変動が激しくなっている原因であると考えられる。
また補助蒸気SSの流量に着目すると、従来手法による場合のt0からt3までの流量は、本発明による場合のt0からt3までの流量の200%以上となっている。
このようなことから、本発明の運転方法は、補助蒸気SSの無駄遣いを防止することにより、ヒートポンプ式濃縮装置Cの立ち上げ時に要する時間を短縮することができるものであって、従来手法によるヒートポンプ式濃縮装置Cの運転方法を用いた場合よりも、稼働率を向上することができるものであることが分かる。
また補助蒸気SSの供給能力を過剰に確保する必要がなく、イニシャルコストの増大を回避することができる。
〔他の実施例〕
次に請求項2で定義した運転方法の実施例について説明する。
この実施例で示すヒートポンプ式濃縮装置Cの運転方法は、トリガーポイントt1からトリガーポイントt2までの間に行われる、加熱缶1におけるドレン口15と真空ポンプ5との間に具えられた排気バルブV15の開度を調節する制御を、加熱缶1内の圧力に基づいて行うものである。
具体的には、例えば、PLCには加熱缶1内の圧力と排気バルブV15の開度設定値との数値関係を事前に設定しておき、運転の際には、この数値関係を用いて、実際の圧力センサP1が検知する加熱缶1内の圧力に対応する開度となるように排気バルブV15の開度をPLCからの信号により制御するというものである。
なおこの場合の蒸発缶2内圧力及び補助蒸気SS流量及び圧縮機7の周波数も、図3に示された実施例のタイムラインと同様の変化を示すものとなる。
C ヒートポンプ式濃縮装置
1 加熱缶
10 筐体
11 長管
12 給液口
13 排出口
14 蒸気口
15 ドレン口
16 ドレンタンク
17 液面センサ
2 蒸発缶
20 筐体
21 排気口
22 流入口
23 排出口
25 液面センサ
3 吹込管路
4 戻り管路
41 濃縮液排出口
42 バルブ
5 真空ポンプ
7 圧縮機
71 ロータ
72 管路
76 デミスタ
8 給液タンク
82 ノズル
9 蒸気供給装置
D ドレン
L0 液体原料
L1 液体成分
M インバータモータ
P1 圧力センサ
P2 圧力センサ
S0 蒸気成分
S1 加熱蒸気
S2 未凝縮ガス
SS 補助蒸気
T 温度センサ
V16 バルブ
V8 バルブ
V14 流量調整バルブ
V15 排気バルブ

Claims (3)

  1. 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、真空ポンプによって循環経路内の雰囲気を抜き出して循環経路内を真空状態とし、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る装置であって、
    前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮機によって昇温して蒸気とし、この蒸気を加熱缶内に供給するように構成されたヒートポンプ式濃縮装置の運転において、
    前記ヒートポンプ式濃縮装置の立ち上げ開始時には、前記圧縮機を起動することなく、真空ポンプを起動するとともに、加熱缶内に補助蒸気を供給するものであり、
    蒸発缶内の圧力が所望の値にまで低下した時点で、加熱缶におけるドレン口と真空ポンプとの間に具えられた排気バルブの開度が、時間の経過とともに減少するように調節する制御を開始し、更にこの時点で、圧縮機の運転制御を開始するものであり、
    その後、圧縮機の運転周波数が所定の値にまで上昇した時点で、前記排気バルブの開度を調節する制御を、加熱缶のドレン温度に基づいた制御に変更するとともに、補助蒸気供給バルブの開度制御を開始することを特徴とするヒートポンプ式濃縮装置の運転方法。
  2. 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、真空ポンプによって循環経路内の雰囲気を抜き出して循環経路内を真空状態とし、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る装置であって、
    前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮機によって昇温して蒸気とし、この蒸気を加熱缶内に供給するように構成されたヒートポンプ式濃縮装置の運転において、
    前記ヒートポンプ式濃縮装置の立ち上げ開始時には、前記圧縮機を起動することなく、真空ポンプを起動するとともに、加熱缶内に補助蒸気を供給するものであり、
    蒸発缶内の圧力が所望の値にまで低下した時点で、加熱缶におけるドレン口と真空ポンプとの間に具えられた排気バルブの開度を、加熱缶内の圧力に基づいて調節する制御を開始し、更にこの時点で、圧縮機の運転制御を開始するものであり、
    その後、圧縮機の運転周波数が所定の値にまで上昇した時点で、前記排気バルブの開度を調節する制御を、加熱缶のドレン温度に基づいた制御に変更するとともに、補助蒸気供給バルブの開度制御を開始することを特徴とするヒートポンプ式濃縮装置の運転方法。
  3. 前記排気バルブの開度の下限値を設定することを特徴とする請求項1または2記載のヒートポンプ式濃縮装置の運転方法。
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