JP6150647B2 - ブラシレスモータの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシレスモータを、矩形波駆動によりセンサレスで制御する制御装置に関する。
特許文献1には、3相同期電動機において、矩形波駆動におけるパルス電圧の印加によって誘起される非通電相の誘起電圧(パルス誘起電圧)を検出し、この誘起電圧と基準電圧とを比較し、該比較の結果に応じて通電モードを順次切り替えていく、同期電動機のセンサレス駆動システムが開示されている。
特開2009−189176号公報
非通電相のパルス誘起電圧に基づき通電モードの切り替えタイミングを検出するセンサレス制御では、パルス電圧を印加している期間(換言すれば、PWMのオン中)に非通電相の電圧を検出する必要がある。
しかし、ブラシレスモータの制御装置(プロセッサ)において、PWM出力周期毎に非通電相の電圧に基づくセンサレス制御の処理を実施すると、センサレス制御の処理負担が大きく、他の処理が滞ってしまうという問題があった。
なお、センサレス制御の処理には、例えば、電圧データ(AD変換出力)の受取り処理、モータ位置の推定演算、PWM出力パターンの演算などが含まれ、他の処理には、例えば、診断制御、フェイルセーフ処理、他のユニットとの通信処理などが含まれる。
ここで、制御装置(プロセッサ)の処理能力を高くすれば、処理の滞りを抑制することができるものの、制御装置のコスト増になってしまう。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、制御装置(プロセッサ)の処理能力を抑えつつ、センサレス制御の処理以外の処理が滞ることを抑制できる、ブラシレスモータの制御装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明では、パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでのセンサレス制御の処理の実施頻度を、前記パルス電圧を印加する相を切り替える切り替えタイミングで所定頻度に設定し、次の切り替えタイミングに近づくにしたがって前記所定頻度から増加させることを繰り返すようにした。
上記発明によると、センサレス制御の処理の実施頻度を変更する機能を有することで、センサレス制御の処理を休止させる(間引く)処理タイミングを設定することが可能となり、センサレス制御の処理を休止させたときに、センサレス制御の処理以外の処理を進めることができる。
実施形態における油圧ポンプシステムの構成を示すブロック図である。 実施形態におけるモータ制御装置及びブラシレスモータの構成を示す回路図である。 実施形態における制御ユニットの機能ブロック図である。 実施形態における通電パターンを示すタイムチャートである。 実施形態におけるA/D変換及び処理タイミングを示すタイムチャートである。 低速センサレス制御を毎回実施した場合の問題点を説明するためのタイムチャートである。 低速センサレス制御の間引き機能の第1の実施形態を示すフローチャートである。 第1の実施形態における低速センサレス制御の処理の実施タイミングを示すタイムチャートである。 第1の実施形態における処理タイミングと処理内容との相関を示すタイムチャートである。 低速センサレス制御の間引き機能の第2の実施形態を示すフローチャートである。 第2の実施形態における低速センサレス制御の処理の実施タイミングを示すタイムチャートである。 第2実施形態における低速センサレス制御の処理の実施タイミングと、間引き回数nを一定とした場合での低速センサレス制御の処理の実施タイミングとを示すタイムチャートである。 第2の実施形態におけるモータ回転速度に応じて頻度切り替え閾値Vfcの変更した場合の低速センサレス制御の処理の実施タイミングを示すタイムチャートである。 低速センサレス制御の間引き機能の第3の実施形態を示すフローチャートである。 第3の実施形態における低速センサレス制御の処理の実施タイミングを示すタイムチャートである。 第3の実施形態における頻度切り替え時間Tfcの設定方法を説明するためのタイムチャートである。 ブラシレスモータの脱調が発生したときの問題点を説明するためのタイムチャートである。 低速センサレス制御の間引き機能の第4の実施形態を示すフローチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係るブラシレスモータの制御装置の一例として、自動車用の自動変速機の油圧ポンプシステムに適用した例を示す。
図1に示す油圧ポンプシステムは、変速機構(TM)7やアクチュエータ8にオイルを供給するオイルポンプとして、図外のエンジン(内燃機関)の出力により駆動される機械式オイルポンプ6と、モータで駆動される電動オイルポンプ1とを備えている。
そして、電動オイルポンプ1は、例えば、エンジンがアイドルストップによって停止したときに作動され、変速機構7やアクチュエータ8に対するオイルの供給を行い、アイドルストップ中における油圧の低下を抑制する。
電動オイルポンプ1は、ブラシレスモータ(3相同期電動機)2により駆動され、ブラシレスモータ2は、モータ制御装置(MCU)3によって制御される。
モータ制御装置3は、AT制御装置(ATCU)4からの指令に基づいてブラシレスモータ2を制御する。
ブラシレスモータ2で駆動される電動オイルポンプ1は、オイルパン10のオイルを、オイル配管5を介して変速機構7やアクチュエータ8に供給する。
エンジン運転中は、エンジンで駆動される機械式オイルポンプ6が作動し、機械式オイルポンプ6から変速機構7やアクチェータ8に対してオイルが供給され、このとき、ブラシレスモータ2はオフ状態(停止状態)であって、逆止弁11によって電動オイルポンプ1に向かうオイルの流れは遮断される。
一方、エンジンがアイドルストップによって一時的に停止すると、機械式オイルポンプ6が停止しオイル配管9内の油圧が低下するので、エンジンがアイドルストップによって停止するときに、AT制御装置4がモータ起動の指令をモータ制御装置3に送信する。
モータ起動指令を受けたモータ制御装置3は、ブラシレスモータ2を起動させて電動オイルポンプ1を回転させ、電動オイルポンプ1によるオイルの圧送を開始させる。
そして、機械式オイルポンプ6の吐出圧が低下する一方で電動オイルポンプ1の吐出圧が設定圧を越えると、逆止弁11が開弁し、オイルは、オイル配管5、電動オイルポンプ1、逆止弁11、変速機構7、アクチェータ8、オイルパン10の経路を通って循環するようになる。
なお、上記の自動車用自動変速機の油圧ポンプシステムは、ブラシレスモータを適用するシステムの一例であり、ブラシレスモータをアクチュエータとして用いる種々のシステムに本願発明に係る制御装置を適用することができる。
例えば、ブラシレスモータは、ハイブリッド車両などにおいてエンジンの冷却水の循環に用いる電動ウォータポンプを駆動するブラシレスモータとすることができ、ブラシレスモータが駆動する機器をオイルポンプに限定するものではなく、また、ブラシレスモータを自動車に搭載されるモータに限定するものではない。
図2は、ブラシレスモータ2及びモータ制御装置3の一例を示す回路図である。
モータ制御装置3は、モータ駆動回路212と、A/D変換器213aやマイクロプロセッサ(CPU,MPUなど)を備えたマイクロコンピュータ(マイコン)213bなどを含む制御ユニット213とを備え、制御ユニット213はAT制御装置4との間で通信を行う。
ブラシレスモータ2は、3相DCブラシレスモータ(3相同期電動機)であり、U相、V相及びW相の3相巻線215u、215v、215wを、図示省略した円筒状の固定子に備え、該固定子の中央部に形成した空間に永久磁石回転子(ロータ)216を回転可能に備える。
モータ駆動回路212は、逆並列のダイオード218a〜218fを含んでなるスイッチング素子217a〜217fを3相ブリッジ接続した回路と、電源回路219とを有する。スイッチング素子217a〜217fは例えばFETで構成される。
スイッチング素子217a〜217fの制御端子(ゲート端子)は、制御ユニット213に接続され、制御ユニット213は、スイッチング素子217a〜217fのオン、オフをパルス幅変調信号PWMによって制御する。
制御ユニット213によるブラシレスモータ2の駆動制御は、回転子の位置情報を検出するセンサを用いないセンサレスで行われ、更に、モータ回転速度に応じて、正弦波駆動と矩形波駆動とを切り替える。
正弦波駆動は、各相に正弦波電圧を加えてブラシレスモータ2を駆動する方式である。この正弦波駆動では、回転子が回転することによって発生する誘起電圧(速度起電圧)から回転子の位置情報を得る一方、速度起電圧による回転子位置の検出周期の間で、モータ回転速度に基づき回転子位置を推定し、推定した回転子位置とPWMデューティとから、3相出力設定値を算出し、相間電圧の差で電流の向きと強さとを制御して、3相交流電流を流す。
また、矩形波駆動は、3相のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターン(通電モード)を所定の切り替えタイミングに従って順次切り替えることでブラシレスモータ2を駆動する方式である。
この矩形波駆動では、通電相に対するパルス状の電圧印加によって非通電相の誘起される電圧(変圧器起電圧、パルス誘起電圧)から回転子の位置情報を得て、通電モードの切り替えタイミングを検出する。
ここで、正弦波駆動において位置検出のために検出する速度起電圧は、モータ回転速度の低下に伴って出力レベルが低下するため、低回転域では位置検出の精度が低下する。一方、矩形波駆動において位置検出のために検出するパルス誘起電圧は、モータ停止状態を含む低回転域においても位置情報を検出できる。
そこで、制御ユニット213は、正弦波駆動で位置情報を十分な精度で検出できる高回転領域(設定値よりもモータ回転速度が高い領域)では、正弦波駆動でブラシレスモータ2を制御する。
また、制御ユニット213は、正弦波駆動では十分な精度で位置情報を検出できない低回転領域(設定値よりもモータ回転速度が低い領域、起動時を含む)では、矩形波駆動でブラシレスモータ2を制御する。
更に、制御ユニット213は、ブラシレスモータ2のPWM制御において、モータ回転速度の検出値と目標モータ回転速度との偏差に応じてPWM制御のデューティ比を決定することで、実際のモータ回転速度を目標モータ回転速度に近づける。
以下では、制御ユニット213が実施する、ブラシレスモータ2の矩形波駆動制御について詳述する。
図3は、矩形波駆動制御における制御ユニット213の機能ブロック図である。
制御ユニット213は、PWM発生部251、ゲート信号切替部252、通電モード決定部253、比較部254、電圧閾値切替部255、電圧閾値学習部256、非通電相電圧選択部257を備えている。
PWM発生部251は、印加電圧指令(指令電圧)に基づき、パルス幅変調されたPWM波を生成する。
通電モード決定部253は、モータ駆動回路212の通電モード(スイッチングモード)を決定するモード指令信号を順次出力するデバイスであり、比較部254が出力するモード切替トリガ信号をトリガとして通電モードを6通りに切り替える。
尚、通電モードとは、ブラシレスモータ2の3相(U相、V相、W相)のうちでパルス電圧を印加する2相の選択パターンである。
ゲート信号切替部252は、モータ駆動回路212の各スイッチング素子217a〜217fがどのような動作でスイッチングするかを、通電モード決定部253の出力であるモード指令信号に基づいて決定し、該決定に従い6つのゲートパルス信号をモータ駆動回路212に出力する。
電圧閾値切替部255は、非通電相のパルス誘起電圧と閾値との比較に基づく通電モードの切り替え制御における前記閾値を順次切り替えて出力し、閾値の切り替えタイミングは、通電モード決定部253の出力であるモード指令信号に基づき決定される。
非通電相電圧選択部257は、モード指令信号に従い、ブラシレスモータ2の3相端子電圧Vu,Vv,Vwの中から非通電相の電圧の検出値を選択し、比較部254及び電圧閾値学習部256に出力する回路である。
尚、非通電相の端子電圧は、厳密にはグランドGND−端子間の電圧であるが、本実施形態では、中性点の電圧を別途検出し、この中性点の電圧とGND−端子間電圧との差を求めて、端子電圧Vu,Vv,Vwとしている。
比較部254は、電圧閾値切替部257が出力する閾値と非通電相電圧選択部257が出力する非通電相の電圧検出値(パルス誘起電圧の検出値)とを比較することで、通電モードの切り替えタイミングを検出し、係る検出結果に基づき、通電モード決定部253にモード切替トリガを出力する。
また、電圧閾値学習部256は、通電モードの切り替えタイミングの判定に用いる閾値を更新して記憶するデバイスである。
切り替えタイミングの判定のために検出する非通電相のパルス誘起電圧は、ブラシレスモータ2の製造ばらつき、電圧検出回路の検出ばらつきなどによって変動するため、係る誘起電圧のばらつきに対して、閾値として固定値を用いると、通電モードの切り替えタイミングを誤って判定することになってしまう。
そこで、電圧閾値学習部256は、通電モードの切り替えタイミングに相当する磁極位置でのパルス誘起電圧を検出することで、閾値を実際の切り替えタイミングで発生する誘起電圧に近づける補正を行い、電圧閾値切替部257が記憶している閾値を、補正結果に書き換える。
図4は、各通電モードにおける各相への電圧印加状態の一例を示す。
通電モードは、電気角60deg毎に順次切り替えられる6通りの通電モード(1)〜(6)からなり、各通電モード(1)〜(6)において、3相から選択された2相に対してパルス電圧(パルス状の電圧)を印加する。
制御ユニット213は、U相のコイルの角度位置を回転子(磁極)の基準位置(角度=0deg)としたときに、回転子の角度位置(磁極位置)が30degであるときに通電モード(3)から通電モード(4)への切り替えを行い、回転子角度位置が90degであるときに通電モード(4)から通電モード(5)への切り替えを行い、回転子角度位置が150degであるときに通電モード(5)から通電モード(6)への切り替えを行い、回転子角度位置が210degであるときに通電モード(6)から通電モード(1)への切り替えを行い、回転子角度位置が270degであるときに通電モード(1)から通電モード(2)への切り替えを行い、回転子角度位置が330degであるときに通電モード(2)から通電モード(3)への切り替えを行う。
ここで、制御ユニット213の電圧閾値切替部255は、通電モードの切り替えを行う角度での非通電相の電圧(パルス誘起電圧)を閾値として記憶していて、そのときの通電モードに応じた閾値を出力する。
比較部254は、非通電相の電圧(パルス誘起電圧)が閾値に達したときに次の通電モードへの切り替えを実施する角度を検出したことを示す信号を出力し、係る信号に基づき通電モード決定部253は通電モードの切り替えを実行する。
そして、制御ユニット213(ゲート信号切替部252)は、通電モード(1)では、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流す。
また、制御ユニット213は、通電モード(2)では、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、U相からW相に向けて電流を流す。
また、制御ユニット213は、通電モード(3)では、スイッチング素子217c及びスイッチング素子217fをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流す。
また、制御ユニット213は、通電モード(4)では、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217cをオン制御し、他を全てオフとすることで、V相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、V相からU相に向けて電流を流す。
また、制御ユニット213は、通電モード(5)では、スイッチング素子217b及びスイッチング素子217eをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、U相に電圧−Vを印加し、W相からU相に向けて電流を流す。
更に、制御ユニット213は、通電モード(6)では、スイッチング素子217e及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、W相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、W相からV相に向けて電流を流す。
尚、上記通電制御では、制御ユニット213は、例えば通電モード(1)では、スイッチング素子217a及びスイッチング素子217dをオン制御し、他を全てオフとすることで、U相に電圧Vを印加し、V相に電圧−Vを印加し、U相からV相に向けて電流を流す。
これに対し、制御ユニット213が、下段のスイッチング素子217dの駆動するPWM波と逆位相のPWM波で上段のスイッチング素子217cを駆動し、下段のスイッチング素子217dがオンであるときに、上段のスイッチング素子217cをオフし、下段のスイッチング素子217dをオフしたときに、上段のスイッチング素子217cをオンする相補制御方式で、各通電モード(1)〜(6)の通電制御を行うことができる。
上記のように、6つの通電モード(1)〜(6)を、電気角60deg毎に切り替えることで、各スイッチング素子217a〜217fを、240deg毎に120deg間通電することから、図4に示すような通電方式は120度通電方式と呼ばれる。
また、AT制御装置4は、ブラシレスモータ2の印加電圧の指令値を、例えば以下のようにして決定する。
AT制御装置4は、例えば、オイル温度などに基づいてブラシレスモータ2の目標モータ回転数(rpm)を演算し、目標回転数と実際のモータ回転数(rpm)とに基づいて印加電圧(入力電圧)の指令値を演算する。
詳細には、AT制御装置4は、目標モータ回転数と実際のモータ回転数との偏差に基づく比例積分制御(PI制御)によって、下式に従い印加電圧(入力電圧)の指令値を決定する。
印加電圧=回転数偏差*比例ゲイン+回転数偏差積分値*積分ゲイン
回転数偏差=目標回転数−実回転数
但し、印加電圧の指令値の決定方法を、目標モータ回転数に基づくものに限定するものではなく、例えば、電動オイルポンプ1の目標吐出圧と実吐出圧との偏差に基づき、印加電圧の指令値を決定する方法や、要求トルクに基づき印加電圧の指令値を決定する方法など、公知の決定方法を適宜採用できる。
また、目標値に実際値を近づけるための印加電圧の演算処理を、比例積分制御に限定するものではなく、比例積分微分制御(PID制御)など公知の演算処理方法を適宜採用できる。
次に、A/D変換器213aによる非通電相の電圧(パルス誘起電圧)のAD変換タイミングを説明する。
制御ユニット213のA/D変換器213aは、非通電相の電圧のアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御ユニット213のマイコン213bは、A/D変換器213aから出力されるデジタル信号としての電圧値と閾値とを比較して通電モードの切り替え制御を行う。
図5は、A/D変換器213aのサンプリングタイミングの一例を示す。
図5には、回転子角度位置が330degから30degまでの間の通電モード(3)、回転子角度位置が30degから90degまでの間の通電モード(4)、回転子角度位置が90degから150degまでの間の通電モード(5)それぞれにおける各相の電圧を示してある。また、図5に示す例では、パルス幅変調制御における出力周波数(PWM出力周波数)を12kHzとする。
例えば、通電モード(3)では、V相にパルス幅変調動作によって指示電圧に相当する電圧Vを印加し、W相に電圧−Vを印加し、V相からW相に向けて電流を流すから、電圧検出相(非通電相)はU相であり、このU相の端子電圧を、V相上段のスイッチング素子217fのオン期間でAD変換を行わせる。
つまり、PWM出力のオン中にA/D変換器213aにおけるサンプリングを行わせる必要があり、A/D変換器213aのサンプリング周期を、PWM出力周期83.3μs(12kHz)に同期させる。
図6は、A/D変換器213aのサンプリングタイミングの一例を詳細に示す図である。
図6に示す例では、PWM制御においてキャリア周期毎に増減を繰り返すPWMカウンタの谷、換言すれば、PWMカウンタ値が減少から増大に転じる点であってパルス印加電圧のパルス幅の中央付近(時刻t1、t3、t5、t7)を、電圧のA/D変換タイミング(A/D変換の開始タイミング)とする。
なお、図6に示す例では、PWM出力のオン中におけるA/D変換タイミングを、パルス幅の中央付近とするが、係るタイミングに限定するものではなく、例えば、パルスの立ち上がりからディレイ時間が経過した時点をA/D変換タイミングとすることができる。前記のディレイ時間は、パルスの立ち上がり直後における電圧の振れ期間が経過してからA/D変換させるために設けられる。
ところで、図6に示す例では、A/D変換器213aが、PWMカウンタの谷毎にそのときの非通電相の電圧をA/D変換して次の変換タイミングまでデジタル出力を保持する。
そして、制御ユニット213は、例えば、変換タイミングからPWM出力周期の半周期後であるPWMカウンタの山(時刻t2、t4、t6)毎の割り込み処理によって、最新の非通電相の電圧検出値のデジタルデータを読み込んで、センサレスによる矩形波駆動制御(以下、低速センサレス制御という)を実施する。
この場合、処理周期(83.3μs=PWM出力周期)に占める低速センサレス制御の処理時間の割合が高く、低速センサレス制御の処理以外の処理(以下、他の処理という)が滞る場合がある。
なお、低速センサレス制御の処理には、A/D変換データの受取り処理(電圧計測処理)、電圧閾値の設定処理、A/D変換データ(実パルス誘起電圧)と閾値との比較処理(回転子位置の推定処理)、PWM出力パターン(通電モード、パルス幅)の決定処理、PWM出力処理などのブラシレスモータ2のPWM制御における一連の処理が含まれる。また、他の処理は、例えば、故障診断処理、故障診断結果に基づくフェイルセーフ処理、他のユニットとの通信処理などのPWM制御以外の処理である。
制御ユニット213は、PWM出力周期に同期する処理タイミングでの低速センサレス制御の処理の実施頻度を変更する機能(以下、間引き機能という)を有し、PWM出力周期に同期する低速センサレス制御の処理を間引いて実施することで、他の処理が滞ることを抑制する。
つまり、制御ユニット213は、PWM出力周期に同期する処理タイミングになっても、低速センサレス制御の処理を実施しない場合を設定することで、処理タイミング毎に低速センサレス制御を実施する場合よりも実施頻度を低下させ、低速センサレス制御の処理のための負担を軽減し、その分他の処理を実行できるようにする。
従って、他の処理が滞ることで、故障発生の検出が遅れたり、故障発生に基づくフェイルセーフの実施が遅れたりすることを抑制できる。
また、他の処理が滞ることで他のユニットへの信号送信が遅れ、制御ユニット213の故障が他のユニットにおいて誤って検出されたり、他のユニットからの信号受信が遅れることで、制御遅れが生じたりすることを抑制できる。
図7のフローチャートは、制御ユニット213の間引き機能を具体化した第1の実施形態を示す。この図7のフローチャートに示すルーチンは、制御ユニット213が、PWM出力周期毎(例えば、PWMカウンタの山毎)の処理タイミングにおいて割り込み実行する。
まず、ステップS101において、制御ユニット213は、低速センサレス制御の処理タイミングであるか否かを、間引きカウンタCT(間引きカウンタCT≧0)に基づき検出する。
ここで、制御ユニット213は、間引きカウンタCT=0であるときに低速センサレス制御の処理タイミングを検出し、低速センサレス制御の処理タイミングを検出すると、ステップS103以降で、低速センサレス制御を実行する。
一方、制御ユニット213は、間引きカウンタCT≠0であるときに低速センサレス制御を休止する間引きタイミングを検出し、間引きタイミングである場合は、ステップS102にて、間引きカウンタCTの値を1だけ減少させる処理を実施する。
PWM出力周期のN(N≧2)回に1回の割合で低速センサレス制御を実施する間引きを行う場合、低速センサレス制御を実施する毎に間引きカウンタCTに間引き回数n=N−1がセットされ、nは、低速センサレス制御を休止する回数を示すことになる。
なお、間引き回数n≧0であり、間引き回数n=0は、PWM出力周期に同期する処理タイミング毎に低速センサレス制御を実施することを示し、係る状態は、間引きがキャンセルされた状態であって、間引き回数nが増加するほど低速センサレス制御の実施頻度が低下することになる。
例えば、間引き回数n=1とする場合、制御ユニット213は、低速センサレス制御を実施したときに間引きカウンタCT=1にセットし、次の処理タイミングで、間引きカウンタCT=1であることからステップS102において間引きカウンタCT=0に更新し、次の次の処理タイミングで間引きカウンタCT=0であることをステップS101で検出すると、ステップS103以降に進んで低速センサレス制御を実施する。
つまり、n=1の場合、低速センサレス制御を実施すると、次のPWM出力周期では低速センサレス制御が休止され(間引かれ)、次の次のPWM出力周期で低速センサレス制御を実施することを繰り返し、PWM出力周期(処理タイミング)の2回に1回の割合で低速センサレス制御が実施されることになる。
同様に、間引き回数n=2の場合、制御ユニット213は、低速センサレス制御を実施すると、2回連続で低速センサレス制御を休止した(間引いた)後、低速センサレス制御を実施することを繰り返すことで、PWM出力周期(処理タイミング)の3回に1回の割合で低速センサレス制御を実施する。
換言すれば、制御ユニット213が間引き機能を実施した場合、低速センサレス制御の実施周期は、PWM出力周期のN倍に延びることになる。
ここで、間引き回数nの値を大きくするほど、低速センサレス制御の実施頻度が低下し実施周期が延びることになり、間引き回数nの値を大きくするほど、通電モードの切り替え周期内における低速センサレス制御の実施回数を低下させることになる一方、間引き回数nの値を大きくするほど、制御ユニット213の処理負荷が抑制され、他の処理を実施できる時間が長くなる。
そこで、制御ユニット213は、ブラシレスモータ2の低速センサレス制御の制御性への影響を十分に小さくでき、かつ、他の処理の実施に十分な時間が確保できるような間引き回数n(制御要求頻度)を設定する。
なお、モータ回転速度が高い場合、通電モードの切り替え間隔時間が短くなり、切り替え間隔でのPWM出力回数が減るので、低速センサレス制御を通電モードの切り替え間隔で一定回数以上実施させるために、間引き回数nを、モータ回転速度が高いほど小さく変更することができる。
制御ユニット213は、ステップS101で間引きカウンタCT=0を検出すると、ステップS103にて、そのときの非通電相の電圧検出値であるA/D変換データの受取り処理(電圧計測処理)を実施し、次いで、ステップS104にて、A/D変換データ(実パルス誘起電圧)と閾値との比較処理(回転子位置の推定処理)を実施し、ステップS105にて、PWM出力パターン(通電モード、パルス幅)の決定処理を行う。
上記のステップS103〜ステップS105での処理が、低速センサレス制御に相当する。
制御ユニット213は、ステップS103〜ステップS105にて低速センサレス制御を実施すると、ステップS106で、間引きカウンタCTの値を0から間引き回数nにリセットする処理を行う。
以下では、間引き回数nとモータ回転速度との相関を詳細に説明する。
例えば、ブラシレスモータ2の最大回転数(rpm)が3000rpmで、モータ極対数が3で、通電モードが6パターンであるとすると、最大回転数での通電モードの切り替え間隔Tmc(μs)は、Tmc=60÷3000÷6÷3=1111.1(μs)となる。
そして、PWM出力周期を83.3μsとすると、最大回転数での通電モードの切り替え間隔TmcにおけるPWM出力回数(=処理タイミング)は13.3回となり、間引きを行わない場合、低速センサレス制御の処理を13回実施できることになる。
ここで、間引き機能がブラシレスモータ2の制御性に影響を与えないために、例えば、非通電相の電圧が閾値に達する前と達した後に低速センサレス制御を行い、また、ノイズ影響を抑制するために、非通電相の電圧が閾値に達したことを2回連続して検出した場合に通電モードの切り替えを行わせるとすると、通電パターンの切り替え間隔Tmcで低速センサレス制御を最低4回実施することが必要となる。
そして、最大回転数であるときの13回のPWM出力回数のうちで、4回だけ低速センサレス制御を実施させるとすると、PWM出力周期の3回に1回の割合で低速センサレス制御を実施することになり、この場合の間引き回数nは2となる。つまり、間引き回数n=2は、3000rpmにおける低速センサレス制御の実施頻度の要求(制御要求頻度)を示すことになり、この間引き回数n以下であれば、低速センサレス制御を必要最低回数以上実施させることができる。
上記のように、通電パターンの切り替え間隔Tmcで最低必要回数(制御要求頻度)だけ低速センサレス制御を実施させるとすると、モータ回転速度が低下して通電パターンの切り替え間隔Tmcが長くなり、切り替え間隔TmcにおけるPWM出力回数が増えれば、それだけ間引き回数nを増やすことができることになる。
上記の設定方法に基づくモータ回転速度に対する間引き回数n(制御要求頻度)の設定例を表1に示す。
表1に示した回転数域毎の間引き回数n以下の間引き回数nを設定すれば、ブラシレスモータ2の回転速度が変化しても、通電パターンの切り替え間隔Tmcで必要最小回数(4回)以上の回数だけ低速センサレス制御を実施させることができる。
なお、間引き回数nの設定に用いるモータ回転速度を、実モータ回転速度と目標モータ回転速度との高い方とすることで、モータ回転速度の過渡状態などにおいても必要な最小実施回数だけ低速センサレス制御を実施させることができる。
また、ブラシレスモータ2を起動するときで、実モータ回転速度が未確定の場合には、目標モータ回転速度を用いて間引き回数nを設定させることができ、また、ブラシレスモータ2の最大回転速度に基づいて間引き回数nを設定させれば、必要な最小実施回数を確保できることになる。
図8のタイムチャートは、図7のフローチャートに示し処理を実施した場合における非通電相の電圧と、低速センサレス制御の処理の実施タイミングとの相関を、間引き回数n=1とした場合を例として示す。
図8に示す間引き回数n=1とした間引きでは、制御ユニット213は、PWM出力周期の2回に1回の割合で低速センサレス制御を実施し、低速センサレス制御を実施した周期(時刻t1)で通電モードの切り替えを行う角度位置を検出すると、通電モードを次の通電モードに切り替える処理を実行し、切り替え後の通電モードに従ってPWM出力パターンを決定する。
また、図9のタイムチャートは、図7のフローチャートに示し処理を制御ユニット213が実施した場合における、PWMカウンタ、A/D変換状態、制御ユニット213のプロセッサにおける処理内容の相関を、間引き回数n=1とした場合を例として示す。
A/D変換器213aは、PWMカウンタの谷(時刻t1、t3、t5、t7)毎にマイコン213bから出力される変換トリガ信号に基づき、電圧のサンプリング(A/D変換)を実施する。
一方、マイコン213bによる低速センサレス制御は、PWM出力周期の2回に1回の割合で実施され、図9の場合、時刻t2、t6が低速センサレス制御を実施する処理タイミングであり、時刻t4が低速センサレス制御を休止する処理タイミングである。
そして、例えば、PWMカウンタの山(時刻t2、t6)を開始タイミングとして低速センサレス制御を実施すると、低速センサレス制御を終了したタイミング(時刻t3A)から、次にPWMカウンタの山が検出されるまでの間(時刻t3A〜時刻t4)、他の処理を実施する。
一方、低速センサレス制御を休止して間引く処理タイミング(時刻t4)では、初期に間引きカウンタの更新(ステップS102)など短時間で終了する間引き機能のための処理を行うものの、その後、他の処理に移行することで、他の処理を十分に進めることができる処理時間が得られる。
換言すれば、低速センサレス制御をPWM出力周期の2回に1回の割合で実施することで、PWM出力周期の2回に1回の割合で他の処理が十分な処理時間で実施されることになり、他の処理が滞ることを抑制できる。
図10のフローチャートは、低速センサレス制御の間引き機能を具体化した第2の実施形態を示し、この図10のフローチャートに示すルーチンは、制御ユニット213(マイコン213b)によってPWM出力周期毎(例えば、PWMカウンタの山毎)に割り込みによって実行される。
第2の実施形態は、処理タイミングにおける低速センサレス制御の実施頻度、つまり、間引き回数nの値を、通電モードの切り替え周期の間で変更する点が、第1の実施形態と異なる。
即ち、第2の実施形態では、通電モードの切り替えを行った後、次の通電モードの切り替えタイミングに近づくと、つまり、非通電相の電圧が閾値に近づくと、低速センサレス制御の実施頻度を増加させる(間引き回数nの値を減少させる)。
これにより、通電モードの切り替えタイミングに近づく前は、制御ユニット213の処理負荷を軽減して他の処理を進めることができ、また、通電モードの切り替えタイミングが近づくと低速センサレス制御の実施周期が短くなるから、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制できる。
図10のフローチャートにおいて、制御ユニット213は、ステップS201〜ステップS205にてステップS101〜ステップS105と同様な処理を行う。
一方、制御ユニット213は、ステップS203〜ステップS205にて低速センサレス制御を実施すると、ステップS206以降で第2の実施形態の特徴となる処理を行う。
制御ユニット213は、ステップS206にて、通電モードの切り替えを行った後に非通電相の電圧が低速センサレス制御の実施頻度(間引き回数n)を変更するための頻度切り替え閾値Vfcに達したか否かを検出する。
頻度切り替え閾値Vfcは、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる閾値Vmcがプラスの電圧であれば、閾値Vmcよりも所定値だけ低い電圧に設定され、閾値Vmcがマイナスの電圧であれば、閾値Vmcよりも所定値だけ高い電圧に設定される。換言すれば、頻度切り替え閾値Vfcの絶対値は、通電モードの切り替えタイミングの検出に用いる閾値Vmcの絶対値よりも小さく、通電モードの切り替え後に非通電相の電圧が閾値Vmcに達する前に達する電圧である。
ここで、通電モードの切り替えを行ってから非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達するまでの間である場合、制御ユニット213は、ステップS207にて、間引きカウンタCTに間引き回数n1(n1≧1)をセットする。間引き回数n1は、制御要求頻度で低速センサレス制御を実施できる、表1に示した間引き回数nとすることができる。
一方、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達した後であって通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに達するまでの間である場合(Vfc≦非通電相の電圧<Vmc、若しくは、Vmc<非通電相の電圧≦Vfc)、制御ユニット213は、ステップS208にて間引きカウンタCTに間引き回数n2をセットする。ここで、n1>n2≧0であり、例えば、n1=2、n2=0とすることができる。
即ち、非通電相の電圧が通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに近づき、通電モードの切り替えタイミングが近くなると、それまでよりも低速センサレス制御の実施頻度を上げ(間引き回数nを減らし)、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制する。
また、通電モードの切り替えタイミングに近づく前は、低速センサレス制御の実施頻度を低くても、通電モードの切り替えタイミングの検出が遅れることにはならず、他の処理を進められることになる。
従って、第2の実施形態では、他の処理の実施時間を十分に得ることができると共に、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを可及的に小さくすることができる。
なお、間引き回数n2は、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを十分に小さくすることができる値として設定され、間引き回数n1は、モータ制御に影響を与えず、他の処理を十分に進められる値として設定される。
図11のタイムチャートは、図10のフローチャートに示した処理を制御ユニット213が実施した場合における、各相の電圧、低速センサレス制御の実施タイミングとの相関を、n1=1、n2=0とした場合を例として示す。
図11に示した例では、通電モードの切り替えを行ったときに(時刻t1、時刻t3)、間引き回数nがn=n1=1に設定され、低速センサレス制御を実施すると、次の処理周期で低速センサレス制御を休止することを繰り返す。ここで、低速センサレス制御が休止されるPWM出力周期においては、制御ユニット213の処理負荷が軽減され他の処理を進められることになる。
一方、通電モードの切り替えタイミングが近づいていることを、非通電相の電圧と頻度切り替え閾値Vfcとの比較に基づいて時刻t2、t4で検出すると、間引き回数nが、それまでのn=n1=1からn=n2=0に変更され、処理タイミングの2回に1回の割合での低速センサレス制御の実施頻度が毎回実施に切り替わるから、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制できる。
また、図12(A)のタイムチャートは、図10のフローチャートに示し処理を制御ユニット213が実施した場合における非通電相の電圧と、低速センサレス制御の実施タイミングとの相関を、n1=2、n2=0とした場合を例として示す。
図12(A)に示した例では、通電モードの切り替えを行ったとき(時刻t1)に、間引き回数nがn=n1=2に設定され、低速センサレス制御を実施すると、次の周期及び次の次ぎの周期で低速センサレス制御を連続して休止することを繰り返す。ここで、低速センサレス制御が休止されるPWM出力周期においては、制御ユニット213の処理負荷が軽減され他の処理を進められることになる。
図12(A)は、非通電相の電圧が通電モードの切り替えタイミングに近づくに従って低下し、閾値Vmcにまで低下したときに切り替えタイミングが検出される例であり、頻度切り替え閾値Vfcは、通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcよりも高い値に設定してある。
図12(A)に示す例では、間引き回数n=2の状態で、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達したことが検出されると(時刻t2)、間引き回数nがn=n2=0に切り替えられ、PWM出力周期毎に低速センサレス制御が繰り返されるようにする。即ち、PWM出力周期毎に低速センサレス制御が繰り返される状態で、制御ユニット213による通電モードの切り替えタイミングの検出が行われることになり、通電モードの切り替えタイミングの検出が遅れることを抑制できる。
一方、図12(B)には、非通電相の電圧と頻度切り替え閾値Vfcとの比較に基づく間引き回数nの変更を行わずに、間引き回数nをn=n1=2に固定した場合を例示してある。
間引き回数n=2に固定した場合、制御ユニット213による通電モードの切り替えタイミングの検出は、間引き回数n=2の状態で行われることになり、低速センサレス制御を実施した次のPWM出力周期(時刻t3)でサンプリングされた非通電相の電圧が、通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに達していたとしても、次に低速センサレス制御が実施されるまで(時刻t4まで)、通電モードの切り替えが遅延されることになる。
これに対し、図12(A)に示すように、通電モードの切り替えタイミングに近づいたときに間引き回数nを減少させて例えば間引き回数n=0にすれば、非通電相の電圧がサンプリングされる毎に低速センサレス制御が実施されるから、通電モードの切り替えタイミングの遅れを抑制でき、時刻t3にて通電モードの切り替えを実施することができる。
また、頻度切り替え閾値Vfc、換言すれば、頻度切り替え閾値Vfcと通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcとの差は、固定値とすることができる他、モータ回転速度に応じて可変に設定することができる。
モータ回転速度が高い場合には非通電相の電圧の変化速度が速くなり、頻度切り替え閾値を一定とすると、頻度切り替え閾値Vfcに非通電相の電圧が達してから通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに達するまでの時間が、低回転速度であるときに比べて短くなり、頻度を上げた状態で低速センサレス制御を十分な回数実施できずに、ブラシレスモータ2の制御性が低下する可能性がある。
ここで、高回転速度であるときに、頻度を上げた状態での低速センサレス制御を十分な回数だけ実施できるように頻度切り替え閾値Vfcを設定すると、モータ回転速度が低く非通電相の電圧の変化速度が遅くなったときに、頻度を上げた状態での低速センサレス制御の実施回数が過剰になり、他の処理を進めることができる時間が無用に低速センサレス制御に使用されることになってしまう。
そこで、モータ回転速度が高いほど、頻度切り替え閾値Vfcと通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcとの差ΔVを拡大し、換言すれば、頻度切り替え閾値Vfcの絶対値をより小さく変更し、モータ回転速度が高くなっても、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達してからの低速センサレス制御の実施回数が所定回数を超えるようにする。
このように、モータ回転速度に応じて頻度切り替え閾値Vfcを可変に設定すれば、モータ回転速度が低いときに、制御ユニット213の処理負荷を軽減して他の処理を進めることができる時間を十分に得られると共に、モータ回転速度が高くなったときに、低速センサレス制御の実施回数が過小になって制御性が低下することを抑制できる。
図13は、モータ回転速度に応じて頻度切り替え閾値Vfcを変更する構成における、非通電相の電圧と、低速センサレス制御の実施タイミングとの相関を、n1=2、n2=0とした場合を例として示すものであり、図13(A)はモータ回転速度が低い状態、図13(B)はモータ回転速度が高い状態を示す。
図13(A)のモータ回転速度が低い状態では、時刻t1で通電モードの切り替えを行った後、時刻t4で非通電相の電圧が低回転用の頻度切り替え閾値Vfcに達し、間引き回数nがn1からn2に切り替えられ、更に、その後の時刻t5にて非通電相の電圧が通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに達することで、通電モードへの切り替えが行われる。
一方、図13(B)のモータ回転速度が高い状態では、モータ回転速度が13(A)の場合よりも高いことで、図13(A)よりも非通電相の電圧が変化する速度が速い。そして、係るモータ回転速度が高い場合には、低回転用の頻度切り替え閾値Vfcよりも絶対値が小さい高回転用の頻度切り替え閾値Vfcに基づき間引き回数nの切り替えタイミングを検出する。
ここで、図13(B)の例では、時刻t2で非通電相の電圧が高回転用の頻度切り替え閾値Vfcに達し、時刻t2にて間引き回数nが2から0に切り替えられ、更に、時刻t3にて非通電相の電圧が通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcに達したことが検出されて、通電モードの切り替えが実施される。
図13(B)において、モータ回転速度が低い状態と同じ、低回転用の頻度切り替え閾値Vfcに基づき間引き回数nの切り替えを行わせたと仮定すると、間引き回数nの減少方向への変更が遅れて、通電モードの切り替えタイミングに近づくことで、間引き回数nを減少させてから通電モードの切り替えタイミングになるまでの時間が短くなり、間引き回数nを減少させてからの低速センサレス制御の実施回数が少なくなってしまう。
これに対し、低回転用の頻度切り替え閾値Vfcよりも絶対値が小さい高回転用の頻度切り替え閾値Vfcを用いて間引き回数nの変更タイミングを検出させれば、間引き回数nを減少させてから通電モードの切り替えタイミングになるまでの時間として十分な時間を得て、間引き回数nを減少させてからの低速センサレス制御の実施回数を制御性に十分な回数とすることができる。
なお、間引き回数n1、n2の値は、一定値とすることができ、また、第1の実施形態と同様に、モータ回転速度に応じて可変に設定することができる。
図14のフローチャートは、間引き機能を具体化した第3の実施形態を示し、この図14のフローチャートに示すルーチンは、制御ユニット213(マイコン213b)によってPWM出力周期毎(例えば、PWMカウンタの山毎)に割り込みによって実行される。
第3の実施形態は、第2実施形態と同様に、通電モードの切り替えを行った後、次の通電モードの切り替えタイミングに近づくと、低速センサレス制御の実施頻度を増加させる(間引き回数nの値を減少させる)が、第3の実施形態では、次の通電モードの切り替えタイミングに近づいたことを前回の通電モードの切り替えからの経過時間に基づいて検出する点が異なる。
これにより、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制しつつ、他の処理を進めることができる。
図14のフローチャートにおいて、制御ユニット213は、ステップS301〜ステップS305にて、ステップS101〜ステップS105と同様な処理を行う。
一方、制御ユニット213は、ステップS303〜ステップS305において低速センサレス制御を実施すると、ステップS306以降で、第3の実施形態の特徴となる処理を行う。
制御ユニット213は、ステップS306にて、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが、次の通電モードの切り替えタイミングまでの予測時間Tmcよりも設定時間ΔTだけ短い頻度切り替え時間Tfcに達しているか否かを検出する。
前回の通電モードの切り替えタイミングから次の通電モードの切り替えタイミングまでの予測時間Tmcは、そのときのモータ回転速度と、通電モードの切り替え周期の回転角度とから演算することができ、この通電モードの切り替え周期時間Tmcよりも所定時間ΔTだけ短い時間を頻度切り替え時間Tfcとする。
これにより、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tに基づき、次の通電モードの切り替えタイミングに近づいたことを検出できる。
制御ユニット213は、ステップS306にて、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが頻度切り替え時間Tfcに達していないことを検出すると、ステップS307にて、通電モードの切り替えを行った後に非通電相の電圧が低速センサレス制御の実施頻度(間引き回数nの値)を変更するための頻度切り替え閾値Vfcに達したか否かを検出する。
ここで、通電モードの切り替えを行ってから非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達するまでの間である場合、制御ユニット213は、ステップS308にて、間引きカウンタCTに間引き回数n3をセットする。
一方、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達した後である場合、制御ユニット213は、ステップS309にて、間引きカウンタCTに間引き回数n4をセットする。ここで、n3>n4≧1であり、例えば、n3=2、n4=1とすることができる。
上記のステップS307〜ステップS309の処理は、第2の実施形態におけるステップS206〜ステップS208の処理と同様であるが、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達した後の間引き回数n4を1以上とする点が、第2実施形態と異なる。これは、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達した後に、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが頻度切り替え時間Tfcに達したことを検出されたときに、更に、間引き回数nを低下させるための低下代を得るためである。
一方、制御ユニット213は、ステップS306にて、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが頻度切り替え時間Tfcに達したことを検出すると、ステップS310にて、間引きカウンタCTに間引き回数n5をセットする。ここで、n3>n4>n5≧0であり、例えば、n3=2、n4=1、n5=0とすることができる。
即ち、制御ユニット213は、通電モードの切り替えを行った直後は、間引き回数nを最も大きなn3に設定することで、低速センサレス制御の実施頻度を下げて処理負荷を軽減し他の処理を進める。次いで、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達すると、間引き回数nを中間値であるn4にまで下げて低速センサレス制御の実施頻度を増加させることで、通電モードの切り替え制御に備えられるようにする。更に、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが頻度切り替え時間Tfcに達し、通電モードの切り替えタイミングが間近になると、間引き回数nを最小値であるn5に下げて低速センサレス制御の実施頻度を最大とすることで、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制する。
上記の第3の実施形態では、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制できる間引き回数n(例えば、n=0)とする期間を可及的に短くすることが可能となり、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制しつつ、第1、第2実施形態に比べて、通電モードの切り替え周期間での低速センサレス制御の実施頻度を更に下げることが可能となる。
なお、上記の第3の実施形態においても、n3、n4、n5の値、及び、頻度切り替え閾値Vfcを、モータ回転速度に応じて可変に設定することができる。
図15のタイムチャートは、図14のフローチャートに示した処理を制御ユニット213が実施した場合における、非通電相の電圧と低速センサレス制御の実施タイミングとの相関を、n3=2、n4=1、n5=0とした場合を例として示す。
図15に示した例では、通電モードの切り替えを行ったとき(時刻t1)に、間引き回数nがn=n3=2に設定され、低速センサレス制御を実施すると、次の周期及び次の次ぎの周期で低速センサレス制御を連続して休止することを繰り返す。ここで、低速センサレス制御が休止されるPWM出力周期においては、制御ユニット213の処理負荷を軽減して他の処理を進められることになる。
図15は、非通電相の電圧が、通電モードの切り替えタイミングに近づくに従って低下し、閾値にまで低下したときに切り替えタイミングが検出される例であり、頻度切り替え閾値Vfcは、通電モードの切り替え判定用の閾値Vmcよりも高い値に設定してある。
間引き回数n=n3=2の状態で、非通電相の電圧が頻度切り替え閾値Vfcに達したことが検出されると(時刻t2)、間引き回数nがn=n4=1に切り替えられ、PWM出力周期毎に低速センサレス制御の実施と休止とを繰り返すようにし、低速センサレス制御の実施頻度を上げて、通電モードの切り替えに備える。
更に、間引き回数n=n4=1の状態で、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが頻度切り替え時間Tfcに達すると(時刻t3)、間引き回数nがn=n5=0に切り替えられ、PWM出力周期毎に低速センサレス制御を実施することで、低速センサレス制御の実施頻度を最大として、通電モードの切り替えタイミングの検出遅れを抑制する。
なお、図14のフローチャートのステップS307及びステップS308の処理を省略し、制御ユニット213が、頻度切り替え時間Tfcに達する前であるときにステップS308の処理を行い、頻度切り替え時間Tfcに達した後であるときにステップS310の処理を行う構成とすることができる。
つまり、間引き回数nの切り替えを、頻度切り替え閾値Vfcを用いずに、頻度切り替え時間Tfcに基づき行わせることができ、更に、頻度切り替え時間Tfcとして長さの異なる複数の時間を設定し、前回の通電モードの切り替えタイミングからの経過時間Tが長くなるに従って、間引き回数nの減少方向の切り替えを2回以上実施させることができる。
ここで、頻度切り替え時間Tfcのモータ回転速度に応じた設定について詳述する。
例えば、モータ回転数(rpm)が1000rpmであるとき、モータ極対数が3で、通電モードが6パターンであるとすると、通電パターンの切り替え間隔Tmc(μs)は、Tmc=60÷3000÷6÷3=3333.3(μs)となる。
そして、PWM出力周期を83.3μsとすると、1000rpmでの通電パターンの切り替え間隔TmcにおけるPWM出力回数は40回となり、前回通電モードの切り替えを行ってからPWM出力周期40回で、通電モードの切り替えタイミングとなる。
ここで、通電モードの切り替え周期における低速センサレス制御の最小実施回数を満たす間引き回数nは、表1に示したように1000rpmで例えば5回であり、係る間引き回数n=5を頻度切り替え時間Tfcに達する前の間引き回数nとする場合の例を、図16のタイムチャートに示してある。
この場合、間引き回数n=5の状態で通電モードの切り替えタイミングになる前に頻度切り替え時間Tfcに達したことを検出させるためには、通電モードの切り替えタイミングから、間引き回数n=5での低速センサレス制御の実施周期(PWM出力周期×(n+1))以上手前を、頻度切り替え時間Tfcだけ経過した時点とする必要がある。
つまり、制御ユニット213は、モータ回転速度から算出される通電パターンの切り替え間隔Tmcから、そのときの間引き回数nでの低速センサレス制御の実施周期以上の時間を減算した時間を、頻度切り替え時間Tfcに設定する。
これにより、通電モードの切り替えタイミングが検出される前に、頻度切り替え時間Tfcの経過を検出させ、間引き回数nを減じた後に通電モードの切り替えタイミングを検出させることができ、切り替えタイミングの検出遅れを抑制しつつ、低速センサレス制御の間引きを実施できる。
なお、頻度切り替え時間Tfcの設定において用いるモータ回転速度のデータは、実モータ回転速度と目標モータ回転速度とのより高い方を採用することで、通電モードの切り替えタイミングが検出される前に頻度切り替え時間Tfcの経過を検出させて、モータ回転速度の過渡状態においても間引き回数nの減少処理を実施させることができる。
また、実モータ回転速度と目標モータ回転速度との乖離が大きい場合や、ブラシレスモータ2の起動時など、次回の通電モードの切り替えタイミングまでの時間の予測精度が大きく低下する場合、誤って頻度切り替え時間Tfcを過剰に短く設定すると、間引き回数nの減少設定が過剰に早まることで、低速センサレス制御の処理で他の処理が進まない処理負荷の高い状態が長く継続することになる。
従って、次回の通電モードの切り替えタイミングまでの時間の予測精度が大きく低下する条件で、他の処理の実施機会を確保することを優先する場合には、頻度切り替え時間Tfcを大幅に長い時間に設定するなどして、実質的に頻度切り替え時間Tfcによる間引き回数nの減少方向への切り替えをキャンセルすることができる。これにより、間引き回数nが減少された状態が過剰に長く継続されることを抑制できる。
ところで、ブラシレスモータ2の負荷の急変やモータロックなどによって脱調が発生した場合に、制御ユニット213は、通電モードの切り替えが所定時間を超えて行われていないことに基づいて、モータ停止(脱調)を検出するが、前記所定時間は、例えば、数百ms程度の長い時間に設定される。
このため、第3実施形態のように、頻度切り替え時間Tfcの経過に基づき間引き回数nを減少させる場合には、間引き回数nを減少させてからモータ停止(脱調)が検出されるまでの時間が長く、この間、低速センサレス制御が短い周期で繰り返し実施されることで、他の処理が進まない処理負荷の高い状態が続くことになる。
図17のタイムチャートは、ブラシレスモータ2の脱調の発生によって、低速センサレス制御が短い周期で繰り返される状態(処理負荷が高い状態)が継続する様子を示す。
図17は、通電モードの切り替え直後は間引き回数nが2に設定され、この間引き回数n=2の状態での時刻t1にて脱調が発生した例である。
時刻t1にて脱調が発生しても、制御ユニット213がモータ停止(脱調)を検出するまでには時間を要し、モータ停止(脱調)が検出される前に、制御ユニット213は、時刻t2で頻度切り替え時間Tfcに達したことを検出することで間引き回数nを0に減少させる。
ここで、脱調によってモータが停止しており、間引き回数nを0に減少させた後も非通電相の電圧は変化せず閾値Vmcに達しないので、通電モードの切り替えが行われず、従って、間引き回数nを2に戻す処理も行われない。結果、モータ停止(脱調)が検出されるまで、間引き回数nを0とする状態が継続されることになる。
図18のフローチャートは、間引き機能を具体化した第4の実施形態であって、前述した脱調発生によって処理負荷の高い状態が継続することを抑制するための対策を備えた実施形態を示し、この図18のフローチャートに示すルーチンは、制御ユニット213(マイコン213b)によってPWM出力周期毎(例えば、PWMカウンタの山毎)に割り込みによって実行される。
なお、図18のフローチャートにおいて、ステップS401〜ステップS405では、図14のフローチャートのステップS301〜ステップS305と同様な処理を行い、ステップS407〜ステップS411では、図14のフローチャートのステップS306〜ステップS310と同様な処理を行う。
そして、脱調発生したときの対策として、図14のフローチャートに示したルーチンに対してステップS406及びステップS412を付加した点が異なる。
図18のフローチャートに示すルーチンでは、制御ユニット213は、低速センサレス制御(ステップS403〜ステップS405)を実施する毎に、ステップS406にて、予測される通電モードの切り替えタイミングを過ぎてから所定時間が経過したか否かを検出する。
制御ユニット213は、そのときのモータ回転速度から前回の通電モードの切り替えを行ったタイミングからの次ぎの切り替えタイミングまでの時間Tesを予測し、ステップS406では、予測した時間Tes+所定時間Tαが、前回の切り替えタイミングから経過しているか否かを検出する。
モータ回転速度の変動や切り替えタイミングの検出遅れなどがあったとしても、ブラシレスモータ2が脱調することなく回転していれば、時間Tes+所定時間Tαが経過する前に非通電相の電圧に基づき通電モードの切り替えタイミングが検出されるように、所定時間Tαを設定する。
従って、時間Tes+所定時間Tαが経過していない場合には、ブラシレスモータ2が脱調していないと推定でき、この場合、制御ユニット213は、ステップS407以降に進んで、次回の通電モードの切り替えタイミングに近づくに従って間引き回数nを減らす制御、つまり、第3実施形態と同様な間引き回数nの変更制御を実施する。
一方、前回の切り替えタイミングから時間Tes+所定時間Tαが経過しても、非通電相の電圧に基づき通電モードの切り替えタイミングが検出されない場合、制御ユニット213は、ステップS412にて、間引き回数nをn3(図17に示す例では、n3=2)、つまり、通電モードの切り替え直後での間引き回数nに戻す制御を行う。
これにより、制御ユニット213がモータ停止(脱調)を検知するまで、制御ユニット213の処理負荷が低い間引き回数n=n3の状態に保持されることになり、処理負荷が高い状態に保持され他の処理が進まない状態が継続することを抑制できる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、モータ回転速度が所定速度を超える場合には、低速センサレス制御の間引きを停止し(通電モードの切り替え周期の全期間で間引き回数nを0とし)、PWM出力周期毎に低速センサレス制御を実施することとし、モータ回転速度が前記所定速度を下回る場合に、低速センサレス制御の間引きを実施することができる。
また、頻度切り替え閾値Vfcや頻度切り替え時間Tfcや所定時間Tαに基づき間引き回数nを切り替える場合には、過渡的に、切り替え前の間引き回数nと切り替え後の間引き回数nとの中間値の間引き回数nでの間引きを実施させることができる。
また、例えば、間引き回数nを2とするときに、平均としてPWM出力周期の3回に1回の割合で低速センサレス制御を行わせることができ、例えば、2回連続で低速センサレス制御を行わせた後、4回連続で低速センサレス制御を休止させることができる。
また、通電モードの切り替えタイミングの手前で間引き回数nを0に設定した場合、通電モードの切り替え直後の複数回の処理タイミングを他の処理の実施期間として定め、間引き回数nの設定に関わらず、低速センサレス制御を休止させることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)
パルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する相を非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えてブラシレスモータを駆動するセンサレス制御を実施する、ブラシレスモータの制御装置であって、
前記パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでの前記センサレス制御の処理の実施頻度を、前記ブラシレスモータの回転速度に応じて変更する、ブラシレスモータの制御装置。
上記発明によると、ブラシレスモータの回転速度が増加することで、パルス電圧を印加する相の切り替え周期における処理タイミングの回数が減り、センサレス制御の処理の実施頻度が一定であると、前記切り替え周期におけるセンサレス制御の処理の実施回数が減る。そこで、ブラシレスモータの回転速度に応じて実施頻度を変更して、前記切り替え周期におけるセンサレス制御の処理の実施回数を調整する。
(ロ)
パルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する相を非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えてブラシレスモータを駆動するセンサレス制御を実施する、ブラシレスモータの制御装置であって、
前記パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでの前記センサレス制御の処理の実施頻度を、前記パルス電圧を印加する相を切り替えてからの経過時間に基づき増加させるとともに、前記実施頻度の増加タイミングを前記ブラシレスモータの回転速度に応じて変更する、ブラシレスモータの制御装置。
上記発明によると、ブラシレスモータの回転速度が変化することで、センサレス制御の処理を所定回数だけ実施するのに要する時間が変化するので、経過時間に基づく実施頻度の増加タイミングをブラシレスモータの回転速度に応じて変更することで、実施頻度を増加させた後でのセンサレス制御の処理を所定回数以上に保持することが可能となる。
(ハ)
パルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する相を非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えてブラシレスモータを駆動するセンサレス制御を実施する、ブラシレスモータの制御装置であって、
前記パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでの前記センサレス制御の処理の実施頻度を、前記パルス電圧を印加する相を切り替えてからの前記パルス誘起電圧に基づき増加させるとともに、前記実施頻度の増加タイミングを前記ブラシレスモータの回転速度に応じて変更する、ブラシレスモータの制御装置。
上記発明によると、ブラシレスモータの回転速度が高くなることで、パルス誘起電圧の変化速度が速くなるので、パルス誘起電圧に基づく前記実施頻度の増加タイミングを前記ブラシレスモータの回転速度に応じて変更することで、実施頻度を増加させた後でのセンサレス制御の処理を所定回数以上に保持することが可能となる。
(ニ)
パルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する相を非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えてブラシレスモータを駆動するセンサレス制御を実施する、ブラシレスモータの制御装置であって、
前記パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでの前記センサレス制御の処理の実施頻度を、前記パルス電圧を印加する相を切り替えるタイミングに近づくにしたがって増加させるとともに、
前記パルス電圧を印加する相の切り替えが所定時間を超えて行われないときに、前記実施頻度を減少させる、ブラシレスモータの制御装置。
上記発明によると、ブラシレスモータの脱調が発生してブラシレスモータが停止すると、パルス電圧を印加する相の切り替えタイミングを検出できず、センサレス制御の処理の実施頻度が増加させた状態のまま保持されることになってしまうので、パルス電圧を印加する相の切り替えが所定時間を超えて行われないときには、脱調の可能性があるものとして実施頻度を減少させ、センサレス制御の処理負荷を軽減させる。
1…電動オイルポンプ、2…ブラシレスモータ、3…モータ制御装置、212…モータ駆動回路、213…制御ユニット、213a…A/D変換器、213b…マイコン、215u,215v,215w…巻線、216…永久磁石回転子、217a〜217f…スイッチング素子

Claims (3)

  1. パルス幅変調信号に応じたパルス電圧を印加する相を非通電相に誘起されるパルス誘起電圧に基づく位置情報に応じて切り替えてブラシレスモータを駆動するセンサレス制御を実施する、ブラシレスモータの制御装置であって、
    前記制御装置は、前記パルス幅変調の出力周期に同期する処理タイミングでの前記センサレス制御の処理の実施頻度を、前記パルス電圧を印加する相を切り替える切り替えタイミングで所定頻度に設定し、次の切り替えタイミングに近づくにしたがって前記所定頻度から増加させることを繰り返す、ブラシレスモータの制御装置。
  2. 前記制御装置は、切り替えタイミングからの経過時間が設定時間に達したとき、又は、切り替えタイミング後に前記パルス誘起電圧が設定電圧に達したときに、前記実施頻度を増加させる、請求項1記載のブラシレスモータの制御装置。
  3. 前記制御装置は、前記設定時間又は前記設定電圧を、前記ブラシレスモータの回転速度が高くなるほど、前記実施頻度を増加させるタイミングが早くなる方向に変更する、請求項2記載のブラシレスモータの制御装置。
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