JP6149712B2 - Cu配線保護膜、及びCu合金スパッタリングターゲット - Google Patents

Cu配線保護膜、及びCu合金スパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、たとえば、ITO膜をセンサーとして用いる静電容量型タッチパネルにおいて、ITOと駆動ドライバーの間を結ぶCu配線を保護するための保護膜、及び該保護膜をスパッタリングで形成するためのCu合金スパッタリングターゲットに関する。
最近、スマートフォンやタブレットに、静電容量型タッチパネルが広く採用されている。これはガラスやフィルム基材の上に、ITOでX−Y極のパターンを形成し、電極間に指などが近づくことで静電容量が変化し位置検出を行うものである。
このITOと駆動ドライバー間は配線で接続されている。この配線材料にはAgペーストやAl、Moなどが用いられている。近年、タッチパネルの動作も、単一からジェスチャー動作(拡大、縮小、移動)が行われるようになり、更なる高速化が求められている。またパネルの大画面化に対応するため、さらなる狭額縁化も求められている。そこで従来のAgペーストから、微細化が可能なAlやMo膜がスパッタリングで成膜されている。
しかし、Mo膜は高価であり、スパッタ効率も悪いため、生産性にも問題がある。また、Al膜の場合は、配線に流れる電流密度が大きくなることにより金属原子・空孔が移動する現象(エレクトロマイグレーション)が生じ、また、配線にかかる引張応力を緩和させようと金属原子・空孔が移動する現象(ストレスマイグレーション)も生じる。これらエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションによるボイドの発生により、抵抗値の増加、更にはボイドの発生により断線する問題があり信頼性が問題となっている。
そのため、配線材のコスト低減や低抵抗化の観点から、AlやMo膜より安価で低い抵抗値を持つ配線材が求められ、Cuを配線材に用いる要求が強くなっている。しかし、Cuは酸化しやすく、耐候性に問題がある。そのため、Cu配線材の上に保護膜を設けるのが一般的である。
保護膜に要求される特性として、高い耐食性や良好なエッチング特性など求められる。それらの問題を解決するために、たとえば、下記の特許文献に記載された技術が開示されている。
特許文献1では、ディスプレー用TFT素子を構成する配線材で、CuにPt、Ir、Pd、Smを0.01から0.5原子%含有するか、又は、CuにNi、Pt、Ir、Rd、Ru、Cr、Nb、Wを0.01から0.5原子%含有させることで、ガラスとの密着に優れるCu合金配線膜が得られることが開示されている。しかし、上記組成では十分な耐候性が得られない。
特許文献2では、Cu電極の保護膜として、Co、Mo、Mnを含有するNiCu合金スパッタリングターゲット材が開示されている。しかしながら、Niは耐食性に優れた材料であることから、パターン形成加工時のウェットエッチング処理時にはCuの保護膜であるCuNi合金が残渣として残り、電極としての特性を損なう。
特許文献3では、Cu電極保護膜の形成に用いられるNiCu合金スパッタリングターゲット材が開示されている。しかし、上記特許文献2と同様に、Niを多く含む組成であるので、エッチングに特殊な薬液を用いる必要がある。
特許文献4では、シリコン(Si)半導体層上に、銅(Cu)合金からなる電極が設けられた接合電極構造であって、前記半導体層と前記電極との界面に、当該界面自体の熱拡散領域からなるオーミックコンタクト層を備えたことを特徴とする接合電極構造が開示されている。しかし、上記組成では十分な耐候性が得られない。
WO2008/069214号国際公開パンフレット 特開2011−052304号公報 特開2012−193444号公報 特開2010−263033号公報
近年、配線パターンが複雑になり、保護膜の上にさらにITOを成膜する場合がある。その際にその保護膜とITO膜の仕事関数が違うと、ショットキー接続になり配線として用いることができない場合がある。保護膜とITO膜がオーミック接続となるためには、保護膜の仕事関数がITO膜の仕事関数よりも低いことが重要となる。しかし、これまで、仕事関数がITO膜よりも低く、さらに高い耐食性や良好なエッチング特性を同時に満たす保護膜は得られておらず、特に、ITO膜との接続に着目した合金組成は上記いずれの特許文献にも開示も示唆もない。
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、Cu配線の保護膜として用いられ、ITO膜の仕事関数とほぼ同じ値を持ち、耐酸化性及び耐食性に優れたCu配線保護膜と、該保護膜を形成するためのCu合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
CuNi合金は耐候性に優れるため、Cu配線保護膜として従来用いられてきた。しかし、ITO膜よりも仕事関数が高いため、ITO膜との接続がオーミック接続とならずに問題となっていた。上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を進めた結果、CuNi合金に、さらにMgを添加することで、耐候性を保ちつつCu合金の仕事関数を調整することが可能とあることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の発明は、Niが15質量%から46質量%、Mgが3質量%から35質量%、Cuが50質量%から65%質量のCu合金であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つことを特徴とするCu配線保護膜である。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であるCu配線保護膜である。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、150℃で1時間大気加熱処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内であるCu配線保護膜である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明において、5%食塩水で24時間塩水処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内であるCu配線保護膜である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明において、250℃で1時間大気加熱処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内であるCu配線保護膜である。
本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが31質量%、Mgが7質量%、Cuが62質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であるCu配線保護膜である。
本発明の第7の発明は、Niが15質量%から46質量%、Mgが3質量%から35質量%、Cuが50質量%から65%質量のCu合金であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つことを特徴とするCu合金スパッタリングターゲットである。
本発明の第8の発明は、第7の発明において、前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点A’と、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であるCu合金スパッタリングターゲットである。
静電容量型タッチパネルに用いられるITO膜上に積層される保護膜の構成、具体的には、当該保護膜上にITO膜が形成されるようなCu配線/Cu配線保護膜/ITO膜の積層構成を備えるパターン配線において、ITO膜との接続がオーミック接続であり、かつ、エッチング性、耐酸化性及び耐食性に優れたCu配線保護膜と、該保護膜を形成するためのCu合金スパッタリングターゲットを提供できる。
実施例におけるNi−Mg−Cu合金組成を示す平面三角座標である。
以下、本発明のCu配線保護膜及びCu合金スパッタリングターゲットについて、その実施形態について詳細に説明する。
<Cu配線保護膜>
本発明のCu配線保護膜は、Niが15質量%から46質量%、Mgが3質量%から35質量%、Cuが50質量%から65%質量のCu合金であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つCu合金であり、好ましくは、
Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であるCu合金である。上記組成範囲の合金とすることで、ITO膜との仕事関数の差が減少してITO膜との接続がオーミック接続になり、かつ、エッチング性、耐酸化性及び耐食性に優れた配線材料保護膜となるものである。
合金に用いるCuは、例えば、硫酸銅溶液等の電解液中で電気分解により陰極に海綿状又は樹枝状の形状のCuを析出させて製造されるものを使用できる。なお、Cuは、これらの方法以外で製造されたものを使用してもよい。
CuとNiとMgの組成は、Niが15質量%から46質量%、Mgが3質量%から35質量%、Cuが50質量%から65%質量のCu合金であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つCu合金であり、好ましくは、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成である。
この組成範囲について図1を用いて説明する。図1は後述する実施例における、Ni−Mg−Cu合金組成を示す平面三角座標である。図1の三角座標は、Niが50質量%を頂点として0質量%まで、Mgが50質量%を頂点として0質量%まで、Cuが100質量%を頂点として50質量%まで、の3成分の組成を表し、3成分の合計は常に100%となる。
このなかで、本発明のCu合金の組成範囲、すなわちITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つCu合金の組成範囲は、図1の点線より下の範囲となる。このことは、図1の実施例と比較例との関係から明らかである。
上記のCu合金の好ましい組成範囲としては、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成である。これは、図1における点A、B、Cを結ぶ三角形の領域内を意味する。
ここで、Cuは主に導電性、Niは主に耐食性、Mgは主にエッチング性の改善や仕事関数を調整する金属として選択している。この組成内では、150℃で加熱しても保護膜の変色が抑制され、エッチングやITO膜とのオーミック接続にも問題を生じない。
特に、Niが31質量%、Mgが7質量%、Cuが62質量%からなる点A’と、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成の場合には、ITO膜の低抵抗化のため、耐熱基板を用いて大気加熱温度を250℃とした場合でも保護膜の変色が抑制されるので組成範囲としてより好ましい。
なお、本発明においては、上記の仕事関数の値を満たす範囲内においては、他の元素を含んでいてもよい。たとえばCuとは90質量%以上がCuであることを意味し、残部にはMg以外に、AlやTiなどを含んでもよいが、これらはMgより少ないことが好ましく、より好ましくはすべてがCuである。なお、本発明におけるCuには、本発明に係る合金由来の、Cu、Ni、Mgなどの金属以外の不可避的不純物は含む意味である。なお、上記のNi−Mg−Cu合金の組成は、他の元素が存在する場合には、これを除いてNi−Mg−Cuのみで上記の組成範囲内であれば本発明の範囲内である。
得られたCu配線保護膜の仕事関数は、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の値を持つ。好ましくは0eVから−0.1eVの範囲の値である。Cu配線保護膜の仕事関数がITO膜の仕事関数よりも大きい時、接触前のITO膜の方がフェルミ準位が高いため、接触によってITO膜の電子がCu配線保護膜に流れ込んでフェルミ準位が一致する。ITO膜の内部エネルギー準位は仕事関数の差だけ下がる。Cu配線保護膜と接したITO膜界面では電子が金属に流れ込んだため正にイオン化したドナーが残って空間電荷を形成し、電位障壁を生じて、オーミック接続とならない。そのため、Cu配線保護膜とITO膜の仕事関数をできるだけ一致させることが好ましい。
また、Cu配線保護膜として用いるため、耐酸化性及び耐食性に優れる必要がある。実施例記載の方法によって、大気中、150℃で加熱したとき、又は、5%食塩水に24時間浸漬したときのCu配線保護膜の650nmにおける反射率変化が20%以下であることが好ましい。変化が大きい程、外観変化が顕著となる。より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。さらに、基板にガラスなどの耐熱性の高いものを用いた場合、ITO膜の抵抗値を下げるために、より高温で処理される場合がある。その場合、大気中、250℃で加熱したときのCu配線保護膜の650nmにおける反射率変化が20%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
<Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法>
以上のようなCu合金配線保護膜は、スパッタリングにより製造される。スパッタリングターゲットは、Cu合金配線保護膜と同じ組成で製造される。製造方法は、先ず、CuやNi、Mgの元素を、スパッタリングターゲットにおいて、Niが15質量%から46質量%、Mgが3質量%から35質量%、Cuが50質量%から65%質量のCu合金であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持つCu合金であり、好ましくは、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cと、を結んだ三角形の領域内の組成となるように配合する。次に、配合した原料を溶解・鋳造法で合金化させる。合金化する際の温度は、1300〜1600℃程度とすることが好ましい。また、使用する坩堝は、特に指定は無いが黒鉛坩堝は好ましくない。黒鉛坩堝を用いた場合には、1300℃位で添加元素であるNiに浸炭するため、得られる鋳塊の品位が低下するおそれがある。溶解・鋳造法により得られる鋳塊品は、均一な組成分布であり、また塑性加工が容易となる。
次に、得られた鋳塊を用いてスパッタリングターゲットを製造する。スパッタリングターゲットに加工する加工方法は何でも良く、熱間鍛造、冷間鍛造でも良く、また、ワイヤーカットでの切り出しでの加工でもよく、板材に形成する。得られた板材は、スパッタリングの冶具であるバッキングプレートにロウ材を用いて貼付けることで、Cu合金スパッタリングターゲットを得ることができる。なお、Cu合金スパッタリングターゲットとは、平面研削やボンディング等のスパッタリングターゲット仕上げ工程前のスパッタリングターゲット材の状態も含むものである。
<配線の形成方法>
本発明のCu合金スパッタリングターゲットを用いて形成される配線は以下の方法により作製される。まず、ITO基板上に、配線材であるCuをスパッタリングなどにより成膜する。Cu膜の厚さは任意であるが、通常、50〜500nm程度である。
次にスパッタリングターゲットを、本発明のCu合金スパッタリングターゲットに変更して、スパッタリングにより保護膜を形成する。保護膜の厚さは、20から40nmである。20nmより薄いと、保護膜としての機能が十分に得られない場合がある。また、40nmより厚くなると生産性が低下するので好ましくない。
保護膜の上に、ITO膜をスパッタリングで形成後、配線パターンに沿ってエッチングされる。本発明の保護膜はCuと同等のエッチング性を持つため、エッチング液には、従来公知の塩化第二鉄を用いることができる。このように、本発明のCu配線保護膜は、Cu配線/Cu配線保護膜/ITO膜の構成に好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Niを21質量%、Mgを19質量%、残部がCuとなるように出発原料を秤量し、溶解炉として高周波誘導真空溶解炉(富士電波工業株式会社製)用い、アルミナ坩堝に原料を投入してAr雰囲気で1450℃まで加熱し、鉄製の鋳型に鋳造した。
次に、得られた鋳塊について表面の異物をグラインダー等で除去した後、熱間圧延にて900℃まで加熱し、鋳塊を80%まで圧下させて板状に加工した。そして、得られた板材をワイヤーカットにて直径φ6インチに切り出し、切り出した板材を平面研削にて厚さ5mmに加工した。その後、ロウ材にInを用いてバッキングプレートに貼付け、スパッタリングターゲットを作製した。
このスパッタリングターゲットを用いてCu配線保護膜をマグネトロンスパッタリングにより成膜した。スパッタリング装置には、ULVAC製スパッタ装置(型番 SH−450)を用いた。スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に取り付け、25mm×50mmのITOが成膜されたガラス基板をスパッタリングスパッタリングターゲットと対向させた位置に取り付け、装置内を真空度が6×10−4Paになるまで真空引きした後、Arガスをガス圧が0.5Paになるまで導入し、ITOが成膜されたガラス基板を30rpmで回転させながら、投入電力を700W、成膜時間を150秒として、厚さ120nmのCu−Ni−Mg合金からなるCu配線保護膜を得た。
得られたCu配線保護膜の組成は、Cu配線保護膜を酸で溶解してICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 型番 SPS3500)で分析したところ、スパッタリングターゲットと同じ組成であった。
(仕事関数の測定)
このCu配線保護膜の仕事関数を光電子分光装置(理研計器社製、型番 AC−2)で測定した。成膜したCu配線保護膜の仕事関数は4.79eVとなりほぼITO膜の4.8eVと同じ値になった。
(耐食性及び耐酸化性の評価)
得られた保護膜の耐食性試験及び耐酸化性試験として、それぞれ塩水浸漬試験と耐熱試験を行った。塩水浸漬試験は、保護膜を5%の食塩水に24時間浸漬し、試験前後の波長650nmにおける表面反射率の変化を分光光度計(日立製作所製、型番 U−4000)で測定した。耐酸化性試験は、Cu配線保護膜を150℃のオーブンに1時間入れ、試験前後の波長650nmにおける表面反射率の変化を同じく分光光度計で測定した。なお、反射変化率とは、試験前−試験後の値を、試験前の値で除した値であり、これを反射率変化(%)として測定し、反射変化率20%以下の場合を○とし、20%超を×として評価した。
(エッチング性の評価)
得られた保護膜のエッチング性は、エッチング液として42°ボーメの塩化第二鉄水溶液を35℃にして、80秒浸漬することによりエッチングを行い、その後、水洗することによりエッチングを行い、エッチング処理後の残渣有無を顕微鏡で確認することにより確認し、残渣無を○、残渣有を×として評価した。
(オーミック接続の評価)
ITO膜(ジオマテック社製)の上に、上述の条件でCu配線保護膜を作製し、V−I特性を調べた。その結果、ITO膜とCu配線保護膜の間はオーミック接続であることが判明した(表1中○で標記。オーミック接続でない場合は×と標記)。これらの評価結果をまとめて表1に示す。
(実施例2から12、比較例1から5)
Ni、Mg、残部Cuの割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、Cu配線保護膜を得て、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。なお、Ni70質量%の比較例5では、Cu配線保護膜を作製しようとしたが、スパッタリングターゲットが磁性を持っているためにスパッタリングができず、Cu配線保護膜を得ることができなかった。
Figure 0006149712
実施例1から12、比較例1から4の組成を、Ni−Mg−Cu合金組成を示す平面三角座標上にプロットしたものを図1に示す。ここで、図1の三角座標は、Niが50質量%を頂点として0質量%まで、Mgが50質量%を頂点として0質量%まで、Cuが100質量%を頂点として50質量%まで、の3成分の組成を表し、3成分の合計は常に100%となっている。
表1及び図1から明らかなように、本発明においては、図1における点線部より下の組成領域において所望の仕事関数が得られることが理解できる。

Claims (6)

  1. 5質量%から46質量%のNi、3質量%から35質量%のMg及び50質量%から65%質量のCuからなるCu合金(但し、不可避的不純物を含む)であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持ち、
    前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であることを特徴とするCu配線保護膜。
  2. 150℃で1時間大気加熱処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内である請求項1に記載のCu配線保護膜。
  3. 5%食塩水で24時間塩水処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内である請求項1に記載のCu配線保護膜。
  4. 250℃で1時間大気加熱処理の前後における、前記Cu配線保護膜表面の650nmにおける反射率変化が、20%以内である請求項1からのいずれかに記載のCu配線保護膜。
  5. 前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが31質量%、Mgが7質量%、Cuが62質量%からなる点A’と、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成である請求項1から4のいずれかに記載のCu配線保護膜。
  6. 5質量%から46質量%のNi、3質量%から35質量%のMg及び50質量%から65%質量のCuからなるCu合金(但し、不可避的不純物を含む)であって、ITO膜の仕事関数に対し、0eVから−0.2eVの範囲の仕事関数の値を持ち、
    前記Cu合金の組成が、Ni−Mg−Cuの平面三角座標において、Niが28質量%、Mgが7質量%、Cuが65質量%からなる点Aと、Niが15質量%、Mgが35質量%、Cuが50質量%からなる点Bと、Niが45質量%、Mgが5質量%、Cuが50質量%からなる点Cとを結んだ三角形の領域内の組成であることを特徴とするCu合金スパッタリングターゲット。
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