実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体を露光するための光源として主走査方向に発光素子が配列された線状光源が用いられ、その線状光源の発光タイミングを調整することにより副走査方向の画像の位置の微調整を行う。その発光タイミングの調整に際しての制御が、本実施形態に係る主な特徴である。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、それらのプログラムに従ったCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD14等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113Y等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの軸間距離の誤差、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの平行度誤差、光書き込み装置111内でのLEDA130の設置誤差、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kへの静電潜像の書き込みタイミング誤差、装置内温度変化や経時劣化による搬送ベルトの伸縮等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ等が知られている。
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターン、及び濃度補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画されたパターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。
図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109Y、109M、109C及び109Kの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。パターン検知センサ117の詳細及び位置ずれ補正の態様については、後に詳述する。
このような描画パラメータ補正において搬送ベルト105上に描画された補正用パターンのトナーを除去し、搬送ベルト105によって搬送される用紙が汚れないようにするため、ベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図3に示すように、駆動ローラ107の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト105の表面に付着したトナーを掻きとる顕色剤除去部である。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(Light‐emitting diode Array)130Y、130M、130C、130K(以降、総じてLEDA130とする)から照射される。
LEDA130は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、コントローラ20から入力された描画情報に基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光書き込み装置111においてLEDA130を制御する光書き込み制御部201の機能構成と、LEDA130及びコントローラ20との接続関係を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、光書き込み装置111全体の動作を制御するCPU202、主記憶装置としてのRAM203、ラインメモリ204、205及びLED書き込み制御回路210を含む。また、LED書き込み制御回路210は、周波数変換部211、画像処理部212、スキュー補正部213及びLEDA制御部214を含む。
このように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、図1において説明したハードウェア構成と同様に、記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM203にロードされ、CPU202がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
また、以降の説明においては、LEDA130に対する光書き込み制御部201の構成及び機能について説明するが、図3、図4において説明したように、LEDA130は感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に対応して設けられておいる。従って、光書き込み制御部201は、各色のLEDA130及び感光体ドラム109毎に制御を行う機能を有する。
LEDA書き込み制御回路210は、コントローラ20から入力される描画情報に基づいてLEDA130の発光を制御する制御回路であり、集積回路等のハードウェアによって構成され、CPU202の制御に従って動作する。周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報をLEDA書き込み制御回路210の動作周波数に対応させて出力する。そのため、周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報を、周波数変換用に設けられたラインメモリ204に一次的に格納し、LEDA書き込み制御回路210の動作周波数に従って出力する。
画像処理部212は、周波数変換されて出力された画像データに対して、諸々の画像処理を行う。画像処理部212が行う画像処理としては、画像サイズの変更やトリミング処理並びに内部パターンの付加等がある。また、次段の処理モジュールであるスキュー補正部213への画像データの出力タイミングを制御することにより、コントローラ20から入力された解像度単位での主走査方向の位置ずれ補正を行う。この主走査方向の位置ずれ補正は、CPU202によるLEDA書き込み制御回路210へのレジスタ設定に従って行われる。
更に、画像処理部212は、周波数変換部211から多階調の画像情報として入力される描画情報を、有色/無色の二階調に変換し、最終的にLEDA130を発光制御するための画素情報を生成する二値化処理を行う。本実施形態に係る二値化処理において、画像処理部212は、周波数変換部211から入力される4ビットの画素データに基づき、予め生成されて光書き込み制御部201内の記憶媒体に格納された階調変換テーブルを参照し、最終的にLEDA130を発光制御するための画素情報を生成する。尚、本実施形態においては、コントローラ20から4ビットの画素データが入力される場合を例とするが、これは一例であり、例えば、8ビット等の更に多階調のデータや、2ビットのような少階調のデータであっても良い。
ここで、本実施形態に係る画像処理部212は、二値化処理に際して、主走査方向の解像度変倍も実行する。そのため、画像処理部212は、周波数変換部211から入力された1画素4ビットの画素データを、解像度の変倍率に応じて分割して出力する。
また、画像処理部212は、上述した補正用パターンの生成を制御する。その場合、画像処理部212は、書込み制御部201に設けられている図示しない記憶媒体からパターンを描画するための情報を取得し、パターンを構成する画素の情報を描画情報として出力する。
スキュー補正部213は、LEDA130と感光体ドラム109との配置による誤差等、様々な要因によって生じる画像のスキューを補正する。スキュー補正に関するパラメータ値は光書き込み制御部201に含まれる記憶装置に記憶されており、CPU202の制御によってスキュー補正部213に設定される。スキュー補正部213は、画像処理部212から入力された画像データをラインメモリ205に主走査ライン毎に格納し、設定されたパラメータ値に従ってラインメモリ205から画像データを読み出すことによりスキュー補正を実行する。
スキュー補正部213は、ラインメモリ205に複数の主走査ライン分の画素データが格納された状態において、補正するべき画像の傾きに応じて、主走査ライン上の所定の位置において画素データを読み出すラインをシフトする。例えば、1ライン目から画素データを読み出していた場合において、主走査ライン上の所定の位置(以降、「シフト位置」とする)において、画素データを読み出す主走査ラインを2ライン目に切り替える。このような処理により、画像の傾きを補正することが可能となる。
LEDA制御部214は、スキュー補正部213から出力される画素情報に基づき、動作周波数に従ってLEDA130の発光を制御する。即ち、LEDA制御部214が、光書込み制御装置として機能する。LEDA制御部214は、上述した位置ずれ補正の結果に従い、LEDA130の発光タイミングを調整することによって副走査方向の画像位置の微調整を行う。このLEDA130による発光タイミングの調整態様が、本実施形態に係る要旨の1つである。
また、本実施形態に係るLEDA制御部214は、LEDA130を主走査ライン毎に点灯制御する周期を調整することにより、出力される画像の副走査方向の変倍処理を行う。この処理も、本実施形態に係る光書き込み制御部201の特徴的な処理である。
次に、位置ずれ補正用パターンを用いた位置ずれ補正動作について説明する。先ず、本実施形態に係る位置ずれ補正動作において描画される補正用パターンについて説明する。図6は、本実施形態に係る位置ずれ補正動作において描画される補正用パターンであり、LEDA130によって搬送ベルト105上に描画されるマーク(以降、「位置ずれ補正用マーク」とする)を示す図である。
図6に示すように、位置ずれ補正用マーク400は、副走査方向に様々なパターンが並べられている位置ずれ補正用パターン列401が、主走査方向に複数(本実施形態においては2つ)並べられて構成されている。尚、図6において、実線が感光体ドラム109K、点線は感光体ドラム109Y、破線は感光体ドラム109C、一点鎖線は感光体ドラム109Mによって夫々描画されたパターンを示す。
図6に示すように、パターン検知センサ117は、主走査方向に複数(本実施形態においては2つ)のセンサ素子170を有し、夫々の位置ずれ補正用パターン列401は、夫々のセンサ素子170に対応した位置に描画されている。これにより、光書き込み制御部201は、主走査方向の複数の位置でパターンの検出を行うことが可能となり、描画される画像のスキューを補正することが可能となる。また、複数のセンサ素子170に基づく検知結果を平均することにより、補正精度を向上することができる。
図6に示すように、位置ずれ補正用パターン列401は、全***置補正用パターン411とドラム間隔補正用パターン412を含む。また、図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、繰り返し描画されている。
従来技術に係る全***置補正用パターン411は、図6に示すように、感光体ドラム109Yによって描画された線であって主走査方向に平行な線である。全***置補正用パターン411は、画像の全体の副走査方向のずれ、即ち用紙に対する画像の転写位置を補正するためのカウント値を得るために描画されるパターンである。また、全***置補正用パターン411は、パターン検知センサ117による検知結果を取得する光書き込み制御部201が、ドラム間隔補正用パターン412を検知する際の検知タイミングを補正するためにも用いられる。
全***置補正用パターン411を用いた全***置補正においては、光書き込み制御部201が、パターン検知センサ117による全***置補正用パターン411の読取信号に基づき、書き込み開始タイミングの補正動作を行う。
ドラム間隔補正用パターン412は、各色の感光体ドラム109における描画タイミングのずれ、即ち、各色の画像が重ね合わせられる重ね合わせ位置を補正するためのカウント値を得るために描画されるパターンである。図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414を含む。図6に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、CMYK各色のパターンが一組となって構成される副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414が繰り返されることによって構成される。
光書き込み制御部201は、パターン検知センサ117による、副走査方向補正用パターン413の読取信号に基づき、感光体ドラム109K、109M、109C、109Y夫々の副走査方向の位置ずれ補正を行い、主走査方向補正用パターン414の読取信号に基づき、上記各感光体ドラムの主走査方向の位置ずれ補正を行う。
ここで、光書き込み制御部201による位置ずれ補正、即ち、パターン検知センサ117による読み取り信号に基づく補正値の生成態様について、図7を参照して説明する。図7は、全***置補正用パターン411及びドラム間隔補正用パターン412の検知タイミングを示す図である。図7に示すように、全***置補正用パターン411の検知期間tY0は、感光体ドラム109Yによって描画された夫々の線が読み取られる手前のタイミングである検知開始タイミングt0からの検知期間である。
また、ドラム間隔補正用パターン412に含まれる副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414の検知期間tY、tK、tM、tCは、一組のパターンが読み取られる手前のタイミングである検知開始タイミングt1、t2からの検知期間である。
光書き込み制御部201は、図7に示す全***置補正用パターン411の検知期間tY0や、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414の検知期間tY、tK、tM、tCに対する基準値を記憶している。換言すると、光書き込み制御部201は、画像形成装置各部の詳細な構成が設計通りである場合の全***置補正用パターン411の検知期間tY0や、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414の検知期間tY、tK、tM、tCの理論値が基準値として格納されている。
即ち、光書き込み制御部201は、上述した夫々の基準値と、図7に示す検知期間tY0、tY、tK、tM、tCとの差異を計算することにより、自身が搭載されている画像形成装置の設計値からのずれを求め、そのずれに基づいてLEDA130の発光タイミングを補正するための補正値を算出する。
また、全***置補正用パターン411の検知期間tY0に対する基準値は、図7に示す検知開始タイミングt1、t2のタイミングを補正するためにも用いられる。即ち、光書き込み制御部201は、全***置補正用パターン411の検知期間tY0と、それに対する基準値との差異に基づき、図7に示す検知開始タイミングt1、t2のタイミングを補正するための補正値を算出する。これにより、ドラム間隔補正用パターン412の検知期間の精度を向上することが可能である。
次に、本実施形態に係るLEDA130及びLEDA130に含まれる発光素子であるLED光源の構成について説明する。図8は、本実施形態に係るLEDA130を模式的に示す図であり、LEDA130に含まれるLED素子の配置を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係るLEDA130においては、光源素子である複数のLED素子131が主走査方向、即ち、図8における左右方向に配列されている。また、複数のLED素子131は、主走査方向に直交する方向である副走査方向に徐々にずらされ、8個毎に元の位置に戻るように配置されている。このような配置により、時間がずらされた点灯タイミングに対応している。
図9(a)〜(h)は、LEDA130に含まれるLED素子131の点灯態様を示す図であり、黒で塗りつぶされたLED素子131が発光制御対象であることを示している。図9(a)〜(h)の順で、各LED素子131が点灯制御される。図9(a)〜(h)に示すように、副走査方向に徐々にずらされて配置されたLED素子131が順次点灯制御されることにより、感光体上の副走査方向の露光位置は常に同一となり、副走査方向にずれることなく画像が形成される。
尚、図9(a)〜(h)において示されているのは、点灯制御対象のLED素子であり、黒で塗りつぶされたLED素子が必ず点灯されるわけではない。即ち、出力対象の画像に応じて、点灯制御対象となるLED素子131の画素が有色画素の場合のみ点灯される。有色画素とは、一般的にはCMYKを差すが、透明トナーや黒字に重畳する白トナーであっても良い。
次に、本実施形態に係るLEDA制御部214の具体的な回路構成について、図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係るLEDA制御部214の機能構成及び外部との接続関係を示す図である。図10に示すように、本実施形態に係るLEDA制御部214は、レジスタ301、信号生成部302、データ転送部303及び発光制御部304を含む。
レジスタ301は、CPU202によって設定されるパラメータ値を記憶する記憶部である。図6において説明した位置ずれ補正用マーク400をパターン検知センサ117で読み取ることによって生成された位置ずれ補正用のための補正値は、CPU202によってレジスタ301に設定される。
信号生成部302は、LEDA制御部214の外部から入力される基準クロックCLKに基づき、主走査ライン毎のLEDA130の発光周期を示すライン周期信号LSYNCを生成して出力する。信号生成部302は、CMYK夫々の色毎にLSYNCを生成して出力する。その際、レジスタ301に設定された補正値に基づき、各色のLSYNCのタイミングを調整する。この調整処理が本実施形態に係る要旨の1つである。尚、LSYNCは、ライン毎の画像データの切り替えのためにスキュー補正部213にも入力される。
データ転送部303は、スキュー補正部213から入力される画像データDATAを、信号生成部302から入力されるLSYNCのタイミングに応じてLEDA130に転送する。即ち、本実施形態においては、データ転送部303が画像情報取得部として機能する。発光制御部304は、信号生成部302から入力されるLSYNCのタイミングに応じて、LEDA130を発光制御するためのストローブ信号STRBを出力する。即ち、発光制御部304が、光源制御部として機能する。
図9(a)〜(c)において説明したように、本実施形態に係るLEDA制御部214は、1ライン分に渡って配列されたLED素子131を複数のグループに分けたグループ毎に点灯制御する。即ち、ライン周期信号LSYNCの周期を、LED素子131を分けるグループ数で分割した周期(以降、「分割周期」とする)毎に、夫々のグループのLED素子131を点灯制御する。
そのため、本実施形態に係る発光制御部304は、信号生成部302から入力されるLSYNCの1周期の間に、上述した分割数分の周期のSTRBを出力する。また、上述したように、LEDA130はCMYK各色について設けられている。そのため、発光制御部304は、CMYK各色のLEDA130夫々に対応して設けられている。そして、信号生成部302は、夫々の色に対応した発光制御部304に対してLSYNCを出力する。
LEDA130においては、発光制御部304からSTRBが入力されることにより、データ転送部303から入力されたDATAに従って夫々のLED素子131が選択的に発光する。これにより、感光体ドラム109上が選択的に露光され、画像データに応じた静電潜像が形成される。
次に、本実施形態に係るLEDA130の点灯制御における各LED素子131の発光タイミングについて詳細に説明する。図11は、本実施形態に係る点灯制御の態様を示すタイミングチャートである。上述したように、本実施形態に係る発光制御部304は、LSYNCに応じて1ライン分のLED素子131を点灯制御すると共に、1ライン分のLED素子を複数のグループに分けたグループ毎に、分割周期に応じてLED素子131を点灯制御する。
図11のDATAの立ち上がりに示すように、本実施形態に係るデータ転送部303は、LSYNCの立ち上がりに応じて、LSYNCの周期を8等分した画像転送周期毎にLEDA130に画像転送を行う。尚、本実施形態に係るDATAとしては、CMYKのうち最も点灯制御のタイミングが早い色のLSYNC信号が用いられ、CMYK全色が同時に転送されるが、CMYK各色のLSYNC信号に応じて色毎に画像データの転送を行っても良い。
発光制御部304は、各色についてLSYNCの立ち上がりに応じてSTRBを出力する。図11に示すように、本実施形態に係る発光制御部304は、LSYNCの立ち上がりから期間TDATA遅延したタイミングでSTRBを出力する。本実施形態に係る期間TDATAは、分割周期毎の画像データの転送期間に等しい。換言すると、本実施形態に係る発光制御部304は、LSYNCの立ち上がり後、画像データの転送期間が経過した後にLED素子131を転送させるための信号を出力する。
1回のDATAの立ち上がり期間が完了した後、分割周期毎の次のDATAの立ち上がり期間が完了するまでの間に、STRBの立ち上がりによって画像信号が転送されたグループのLED素子131が点灯制御される。このような処理により、LSYNCの周期毎に8回の発光制御が実行される。尚、本実施形態においては、主走査方向に配列されたLED素子131を8つのグループに分割するため、分割周期はLSYNCの8分の1であるが、これは一例であり、4つのグループに分割する場合は4分の1、3つのグループに分割する場合は3分の1というように、分割数に応じて分割周期が設定される。
また、発光制御部304は、各色のLEDA130毎にタイミングが設定されたLSYNCの立ち上がりによって点灯制御、即ち、STRBの出力を行う。夫々のLEDA130毎のLSYNCの立ち上がりタイミングは、最もタイミングの早い色に対応したLSYNCを基準とした遅延量により定められている。図11に示すように、本実施形態においては、搬送ベルト105の搬送方向において最も上流側に配置されている感光体ドラム109Yに対応するLSYNC_Yを基準として、その立ち上がりタイミングからの遅延量TM、TC、TKによって定められている。
基準であるLSYNC_Yのタイミングは、図6において説明した全***置補正用パターン411の読み取り結果に基づく補正によって決定され、レジスタ301に設定される。遅延量TM、TC、TKは、各色の感光体ドラム109の配置関係及び搬送ベルト105の搬送速度によって定まる基準値と、図6において説明した副走査方向補正用パターン413の読み取り結果に基づいて生成された補正値とによって決定されレジスタ301に設定される。
図11に示すように、1周期分の分割周期に対応する点灯タイミングは、画像信号の転送が完了したタイミングt1の後、次の画像信号の転送が完了するタイミングt2までの間T1である。この期間T1は上述した分割周期に等しい。換言すると、図10に示す分割周期の1周期分が、入力された画素情報について点灯制御可能な期間である。
発光制御部304は、図10に示す期間T1を4等分し、CMYK夫々のLEDA130の点灯制御時間に順番に充てることにより、各色のLEDA130の点灯制御期間を互いに異なる期間とし、瞬間的な電力供給量を低減する。このような制御は、遅延量TM、TC、TKの設定によって実現される。即ち、各色の水平同期信号であるLSYNC_Y、LSYNC_M、LSYNC_C及びLSYNC_Kが、夫々の分割周期におけるSTRBのアクティブ期間であるTSTRB、即ち、上述したT1を4等分した期間ずつずれていれば、各色のSTRBが重なることなく制御される。
そのため、遅延量TM、TC、TKの基準値TMdef、TCdef、TKdefは、STRBのアクティブ期間TSTRBを用いて、夫々以下の式(1)〜(3)により決定される。
尚、式(1)〜(3)のnM、nC、nKは、1〜3いずれかの数であり、且つnM、nC、nKは互いに異なる。本実施形態においては、nM=1、nC=2、nK=3である。
遅延量TM、TC、TKの基準値が上記式(1)〜(3)のように決定されることにより、図11に示すようなタイミングでのLEDA130の点灯制御が実現される。尚、遅延量TM、TC、TKの基準値は、上記(1)〜(3)のルールに従って予め決定されており、信号生成部302によって参照可能なように記憶されている。この設定は、CPU202によってレジスタ301に対して行われても良いし、信号生成部302内部の専用の記憶領域に設定されても良い。
具体的には、STRBのアクティブ期間TSTRBは、上述したように分割周期T1を4等分することによって求められる。そして、分割周期T1は、LSYNCの周期をグループ数で分割することによって求められる。従って、信号生成部302は、LSYNCの周期の設定値に基づいてT1及びTSTRBを求めると共に、nM、nC、nKの設定値に基づき、上記式(1)〜(3)に従ってTMdef、TCdef、TKdefを求める。
尚、LSYNCの周期は、CLKのクロック数によってレジスタ301に設定される。このクロック数は、LEDA制御部214による画像の副走査方向の変倍処理とも関連して設定される。これについては後に詳述する。
次に、図6において説明した副走査方向補正用パターン413の読み取り結果に基づいて生成された遅延量TM、TC、TKの補正値について説明する。上述したように、副走査方向補正用パターン413の読み取り結果に基づいて生成されるのは、画像の副走査方向の位置を補正するためのパラメータである。
そして、このパラメータは、LEDA制御部214において、LEDA130を点灯制御するタイミング、即ち、STRBがアクティブとなるタイミングを変更することにより、感光体上に静電潜像が形成される位置を副走査方向にずらすために用いられる。
しかしながら、図11に示すように、STRBがアクティブとなる期間は、各色のLEDA130の点灯期間が互いに異なるように調整されている。そのため、いずれかの色のLSYNCのタイミングをずらすことにより、その色のSTRBのアクティブ期間を調整すると、他の色のSTRBのアクティブ期間と重なってしまい、瞬間的な電力供給量が増加してしまうこととなる。
そのため、本実施形態に係る光書き込み制御部201においては、図12に示すように、分割周期である期間T1を単位としてLSYNCタイミングの調整を行う。そのため、遅延量TM、TC、TKの補正値TMfix、TCfix、TKfixは、分割周期の期間T1を用いて、夫々以下の式(4)〜(6)により決定される。
尚、式(4)〜(6)のnMfix、nCfix、nKfixは、0を含む自然数である。T1は、LSYNCの周期の設定値に基づいて求められるため、実質的には、このnMfix、nCfix、nKfixの値が、副走査方向補正用パターン413の読み取り結果に基づいて設定される補正値である。即ち、本実施形態においてレジスタ301に設定される値のうち、副走査方向補正用パターン413の読み取り結果に基づいて設定される補正値は、このnMfix、nCfix、nKfixの値である。また、nMfix、nCfix、nKfixが0の場合には、補正無しであることを示す。
上記式(4)〜(6)のルールに従って補正値nMfix、nCfix、nKfixが決定されることにより、図12に示すように、各色のLSYNCのタイミングが、分割周期T1を単位として調整されることとなる。そのため、上記式(1)〜(3)のルールにより、各色のLEDA130の点灯制御期間が互いに異なるようにされた状態は維持され、瞬間的な電力供給量の低減状態を保つことができる。
次に、LEDA制御部214による副走査方向の変倍処理について説明する。図13(a)〜(c)は、LEDA制御部214による副走査方向の変倍処理の原理を示す図である。図13(a)は、副走査方向の拡大、縮小を行わない場合の例を示す図である。この場合、LSYNCの周期は、信号生成部302に入力される基準クロック信号であるCLKの4000クロック分である。
換言すると、図13(a)の場合、信号生成部302は、CLKの立ち上がりを4000カウントする毎にLSYNCをアクティブにする。また、図13(a)の場合、LSYNCをLED素子131の分割数で割った分割周期T1は、4000クロックの8分の1で500クロックとなる。
図13(b)は、副走査方向に画像を拡大する場合の例を示す図である。図13(b)においては、図13(a)に示す状態に対して、画像を副走査方向に0.2%拡大した場合を示している。この場合、LSYNCの周期は、図13(a)における4000クロック分に対して、0.2%増えた4008クロックである。
換言すると、図13(b)の場合、信号生成部302は、CLKの立ち上がりを4008カウントする毎にLSYNCをアクティブにする。また、図13(b)の場合、LSYNCをLED素子131の分割数で割った分割周期は、4008クロックの8分の1で501クロックとなる。
これにより、図13(b)の場合、夫々の主走査ライン間の間隔は、図13(a)の場合よりも8クロック分広くなる。その結果、感光体ドラム109上に形成される画像の副走査方向のサイズは、主走査ライン毎の間隔が広がった分、拡大されることとなる。
図13(c)は、副走査方向に画像を拡大する場合の例を示す図である。図13(c)においては、図13(a)に示す状態に対して、画像を副走査方向に0.2%縮小した場合を示している。この場合、LSYNCの周期は、図13(a)における4000クロック分に対して、0.2%減った3992クロックである。
換言すると、図13(c)の場合、信号生成部302は、CLKの立ち上がりを3992カウントする毎にLSYNCをアクティブにする。また、図13(c)の場合、LSYNCをLED素子131の分割数で割った分割周期は、3992クロックの8分の1で499クロックとなる。
これにより、図13(c)の場合、夫々の主走査ライン間の間隔は、図13(a)の場合よりも8クロック分狭くなる。その結果、感光体ドラム109上に形成される画像の副走査方向のサイズは、主走査ライン毎の間隔が狭まった分、縮小されることとなる。
このように、本実施形態に係るLEDA制御部214においては、信号生成部302が、LSYNCの周期を調整することにより、画像を副走査方向に変倍する。ここで、図11、図12において説明したように、LSYNCの周期は、LED素子131をグループ分けする際のグループ数で等分され、分割周期T1の元となる。従って、LSYNCの周期に相当するクロック数は、上記グループ数で割り切れる値、即ちグループ数の倍数でなければならない。
従って、本実施形態に係る信号生成部302は、図13(a)の場合における4000クロックのような、LSYNCの周期の基準となるクロック数を、上記グループ数の倍数とすると共に、画像を副走査方向に変倍する場合にLSYNCの周期を調整する場合の最小の単位のクロック数を、上記グループ数に等しいクロック数とする。このクロック数は、本実施形態においてはグループ数が「8」であるため、8クロックである。
このような態様により、LSYNCの周期を調整することによって副走査方向の変倍を行う場合であっても、周期が調整された後のLSYNCをグループ数で割ることにより、余りなく分割周期T1を求めることが可能となる。
仮に、LSYNCのクロック数がグループ数の倍数ではなく、LSYNCのクロック数をグループ数で割った場合に余りが生じる場合、グループ分けされた夫々のLED素子131のグループを点灯制御する間隔が、全てのグループ間で一定にならず、ばらつきが生じることとなる。その結果、最終的に形成される画像において、主走査方向の所定の位置において画像にシフトが発生することとなる。本実施形態に係る制御態様においては、そのような状態を回避することができる。
尚、副走査方向の変倍処理において、より精細な調整を可能とするためには、調整の単位をより細かくする必要があり、好適には1クロック単位での調整が求められる。これに対して、図13(a)〜(c)に示す態様においては、LSYNCをグループ数で分割した分割周期T1を用いる必要があるため、副走査方向の変倍処理における調整の単位をグループ数に等しいクロック数としており、それよりも細かいクロック数での調整が出来ない。
これに対して、信号生成部302に入力される基準クロックであるCLKのクロック周波数が高ければ、副走査方向の変倍単位となるクロック数が8クロックであっても、十分精査な調整が可能となる。例えば、1クロック単位での調整が求められる場合のクロック周波数の8倍の周波数があれば、調整単位が8クロックであっても、元々の周波数の1クロック単位と同等の調整が可能である。
そのような高クロックを実現する方法としては、例えば、LEDA制御部214に入力される前のクロック信号を用いる方法がある。一般的に、LEDA制御部214において必要なクロック周波数は、光書き込み制御部201の他の部位において用いられるクロック周波数よりも低い。そのため、省電力化や、回路の低コスト化等のためにダウンクロックされたクロックがLEDA制御部214に入力されることが一般的である。
即ち、光書き込み制御部201内部には、更に高い周波数のクロック信号が存在することが一般的である。従って、ダウンクロックされる前の高周波クロックをLEDA制御部214に供給することにより、上述したように、8クロック等のグループ数単位であっても、精細な副走査方向の変倍処理を行うことが可能となる。
以上、説明したように、本実施形態に係る光書き込み制御部201を有する画像形成装置1によれば、主走査方向に発光素子が配列された線状光源を用いた光書き込み装置において、配列された複数の発光素子を複数のグループに分割して夫々のグループ毎に異なるタイミングで発光させることにより、瞬間的な電力供給量を低減している。夫々のグループ毎の発光期間は、主走査ライン毎に設定されたライン周期をグループ数で分割した分割周期によって定められる。
そして、CMYK各色の光源の発光タイミングをずらすことによって、瞬間的な電力供給量が更に低減されている。そのため、分割周期を光源数で割ることにより、各色の発光素子を発光させるための1回毎の発光信号のアクティブ期間が求められ、分割周期の1周期の間に、各色の発光信号のアクティブ期間が夫々重ならないように配置される。
更に、各色の発光タイミングをずらすことにより、副走査方向の位置ずれ補正を行う場合には、上述した分割周期を単位として、発光タイミングを調整する。これにより、図12において説明したように、いずれかの色の発光タイミングをずらしたとしても、分割周期の1周期の間に、各色の発光信号のアクティブ期間が夫々重ならないように配置された状態が維持される。
従って、本実施形態に係る光書き込み装置により、主走査方向に発光素子が配列された線状光源を用いる場合において、発光素子を所定範囲毎に分割して順次点灯させることによる瞬間的な電力供給量の低減と、発光タイミングの調整による副走査方向の位置ずれ補正とを両立することが可能となる。
尚、上記実施形態においては、線状光源の例として、LED素子131が主走査方向に配列されたLEDA130を例として説明した。しかしながら、本実施形態に係る要旨は、線状光源を制御する場合に共通するものであり、光源の種類はLED素子に限定されるものではない。光源の種類としては、LED素子の他、有機EL(Electro−Luminescence)素子や、LD(Laser Diode)等を用いることが可能である。
また、上記実施形態においては、STRBのアクティブ期間TSTRBは、分割周期T1を4等分することによって求められる場合を例として説明した。即ち、図13(a)の場合、500クロックを4等分した125クロックがTSTRBとなる。この場合、ある色のSTRBの立ち上がりと、他の色のSTRBの立ち下りとが、1クロックの差もなく隣接することとなる。
ここで、クロック信号の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングは、周波数変調等によってわずかに変動することがある。従って、ある色のSTRBの立ち上がりと、他の色のSTRBの立ち下りとが、1クロックの差もなく隣接している場合、上記要因により立ち上がり若しくは立ち下がりのタイミングがずれると、異なる色のアクティブ期間が重なり、瞬間的な電力供給量が増大してしまう可能性がある。
このような課題は、遅延量TM、TC、TKの基準値TMdef、TCdef、TKdefを、上記式(1)〜(3)において説明したように、T1を4等分したTSTRBを用いて決定すると共に、実際に各色のLED素子131を発光させるためのストローブ信号のアクティブ期間としては、TSTRBを短くした期間T′STRBを用いることにより解決可能である。T′STRBとしては、例えば、TSTRBの95%、90%、85%等の値を用いることができる。
また、T1を4等分したTSTRBを求める場合において、図13(b)、(c)のようにLSYNCの周期を調整した後のT1のクロック数の場合、4等分できない場合があり得る。このような課題は、副走査方向の変倍の為にLSYNCの周波数を調整する際の単位を、上述したグループ数ではなく、グループ数に光源数を乗じた数のクロック数とすれば解決可能である。
上記実施形態の場合、グループ数「8」と光源数「4」とを乗じた「32」クロックを単位としてLSYNCの周期を調整すれば、LSYNCを調整した場合の分割周期T1のクロック数の変動は光源数毎となり、TSTRBを求めるためにT1を光源数で割る際、必ず割り切ることができる。
他方、TSTRBの期間の要件は、好ましくはT1の4等分であるが、少なくとも、T1の4等分程度であって且つ4周期分がT1の期間におさまれば良い。従って、図12において説明したように、副走査方向の変倍の為にLSYNCの周波数を調整する際の単位はグループ数に相当するクロック数のままで、TSTRBは、T1の4分の1以下で最も大きい整数のクロック数としても良い。図13(b)の場合、TSTRBは501/4=125.25のため、125クロックであり、図13(c)の場合、TSTRBは499/4=124.75のため、124クロックである。
実施の形態2.
実施の形態1においては、図13(a)〜(c)において説明したように、画像の副走査方向の変倍のためにLSYNCの周期を調整する際、調整の単位をグループ数に相当するクロック数とすることにより、LED素子131のグループ毎の分割発光のための分割周期T1を求める際、LSYNCの周期をグループ数で割り切れるようにする場合を例として説明した。本実施形態においては、画像の副走査方向の変倍のためにLSYNCの周期を調整する際、調整の単位を1クロック単位で行う態様について説明する。尚、実施の形態1と同一または相当部については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図14は、図13(a)の状態を基準状態とし、LSYNCの周期を1クロック単位で調整する場合の態様を示す図である。この場合、図14に示すように、信号生成部302は、CLKの立ち上がりを4001カウントする毎にLSYNCをアクティブにする。また、図14の場合、LSYNCをLED素子131の分割数で割った分割周期は、4001クロックの8分の1で500.125クロックとなる。本実施形態においては、このような小数点以下のクロックを扱う方法が要旨となる。
図15は、本実施形態に係るLEDA制御部214の機能構成を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係るLEDA制御部214は、図10の態様と略同様の構成を有するが、信号生成部302に入力されるクロック信号が、クロック変換部220を介して入力される点が異なる。
クロック変換部220は、CLKのクロック周波数をダウンクロックして出力するモジュールである。本実施形態においては、高クロック信号である240MHzで入力されるCLKの立ち上がりを8分の1に間引き、30MHzのダウンクロック信号CLK′として出力する。これにより、信号生成部302には、図10の態様と同様に30MHzのCLK′が入力されることとなる。
信号生成部302は、省電力化のため、原則として30MHzのCLK′に基づいて動作する。即ち、図14に示すLSYNC周期は、30MHzのCLK′の4001カウント分である。そして、図14に示す小数点以下のクロックを扱う場合、クロック変換部220が、1クロック分の周期を変調する。これが、本実施形態に係る要旨である。
図16は、小数点以下のクロックを扱う場合の期間の判断態様を示す図であり、図14のように500.125クロックを実現する場合の例を示す図である。この場合、信号生成部302は、クロック変換部220から入力される30MHzのCLK′の500クロック分で分割周期T1を判断する。
これに対して、クロック変換部220は、上述したように原則として240MHzのCLKを8分の1に間引いて30MHzのCLK′を出力するが、500クロック中の1クロックのみ、240MHzのCLKを9分の1に間引いてCLK′を生成する。図16においては、500クロック目が、9分の1に間引かれている。
このような間引き設定は、CPU202によってクロック変換部220に対して行われる。これにより、信号生成部302がCLK′の500クロック分に基づいて判断する分割周期T1は、240MHzのCLKの4001クロック分となり、それを30MHzに換算すると500.125クロックとなる。
図17は、図15とは異なる態様において小数点以下のクロックを扱う場合の、LEDA制御部214の機能構成を示す図である。図17の構成は、図15の構成と略同一であるが、クロック変換部220が変換後のCLK′に加えて元々のCLKを出力する点が異なる。図17におけるクロック変換部220は、図15において説明したようなクロック変調は行わず、240MHzのCLK及び30MHzのCLK′を夫々出力する。
図18は、図17の場合における小数点以下のクロックを扱う場合の期間の判断態様を示す図であり、図14のように500.125クロックを実現する場合の例を示す図である。この場合、信号生成部302は、クロック変換部220から入力される30MHzのCLK′及び240MHzのCLKを使い分けて分割周期T1を判断する。
具体的に、信号生成部302は、30MHzのCLK′を499クロックと、240MHzのCLKの9カウントにより、分割周期T1を判断する。これにより、図16の場合と同様に、分割周期T1は、240MHzのCLKの4001クロック分となり、それを30MHzに換算すると500.125クロックとなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、LSYNCの周期を判断するために用いられるクロック信号CLK′よりも周波数の高いクロック信号であるCLKを用いることにより、CLK′の小数点以下のクロックを扱うことを可能とし、それにより、画像の副走査方向の変倍のためにLSYNCの周期を調整する際、1クロック単位での調整を可能とすることができる。