JP6149573B2 - 薄片状黒鉛の製造方法 - Google Patents

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本発明は、薄片状黒鉛の製造方法及び薄片状黒鉛分散液に関する。
薄片状黒鉛(グラフェンともいう。)は、高導電性で高熱伝導性を有している。そのため、薄片状黒鉛を原料として、高性能の導電膜や熱伝導膜を製膜する試みが行われてきた。薄片状黒鉛を原料とした導電膜や熱伝導膜の製膜方法としては、化学気相成長法(CVD法)や塗布法等が知られているが、特に塗布法は低コストである点で注目されている。原料である薄片状黒鉛は、薄片状黒鉛が多数積み重なった黒鉛(グラファイト)から剥離して得ることができる。
例えば特許文献1には、黒鉛から薄片状黒鉛を得るための技術として、黒鉛を酸化して得られ、比誘電率15以上の液体に分散可能である、炭素からなる骨格を持つ薄膜状粒子と、50重量%以上の割合で水に溶解する比誘電率15未満の化合物を50重量%以上含有する分散媒とを含む薄膜状粒子の分散液が提案されている。この技術によれば、ポリスチレン、ポリカーボネートなど多くの種類の高分子材料を溶解させることが可能であり、その結果、薄膜状粒子をそれらの高分子材料に均一に高分散させた高分子複合材料を容易に作製することができるとされている。
また、特許文献2には、厚さが薄く高アスペクト比でかつ様々な表面化学的性質を備えた均一な薄片状黒鉛微粒子を製造する技術として、アルカリ性反応剤又はアルカリ性反応剤を含む混合物の存在下で粒状黒鉛に機械的摩耗処理を施す工程、黒鉛粒子を挿入用溶媒に曝して黒鉛の炭素層間に該溶媒を浸透させる工程、および、黒鉛粒子の分散液に超音波エネルギーをナノ構造物質の形成に十分な時間供給する工程を有する方法が提案されている。この技術によれば、アルカリ性反応剤の存在下での機械的摩耗処理によって、微細フレーク状黒鉛の周囲が化学酸化し、粒状黒鉛の分割が促進されるとされ、次いで、表面が酸化された炭素粒子との良好な親和性によって黒鉛結晶子の層間領域内部に溶媒分子が均一に浸透して、溶媒の挿入が進み、その結果、分散液への超音波エネルギーの供給を引き続いて行うと、追加的に多くの分割が起きて、ナノ構造物質が形成されるとされている。
また、特許文献3には、大量にしかも繊維の凝集が少ないカーボン材料を効率よく製造することができるカーボン材料を製造するための技術として、凝集してなるカーボン材料を流体の乱流エネルギー等の物理的解砕方法により高分散化する技術が提案されている。この技術によれば、流体の乱流エネルギー等を用いることで、カーボン材料を構成するグラフェンシート構造までを破壊することなく、凝集した繊維をバラバラにとき解くことができるとされている。
また、非特許文献1には、黒鉛を溶媒中でバスタイプ超音波処理することによって薄片状黒鉛を得ることができるとされている。また、非特許文献2には、メラミンと黒鉛の混合物を粉体状態でボールミル処理し、薄片状黒鉛を得る方法が知られている。
特開2005−53773号公報 特開2013−100219号公報 特開2007−230816号公報
Nature Nanotechnology, Vol.3, 563-568(2008). Chem.Commun., 47, 10936-10938(2011).
しかしながら、特許文献1,2の技術は、薄片状黒鉛が黒鉛から剥離する際に酸化するので、薄片状黒鉛の導電性が低下し、例えば酸化薄片状黒鉛を塗布した後に還元しても十分に還元しきれず、10Ω/□オーダーと導電性が低いことがある。
特許文献3の技術は、乱流エネルギー等の物理的解砕方法によって、薄片状黒鉛を酸化させないで黒鉛から剥離する方法であるが、この方法は、分散剤を使用しないので分散処理に時間がかかり、大量に処理できない等の問題がある。
また、非特許文献1の技術は、バスタイプ超音波処理での薄片状黒鉛の分散処理に時間がかかり、大量に処理できない等の問題がある。また、粉体状態で保管した場合の分散能が保持できないおそれがある。また、非特許文献2には、メラミンを除去することについての記載はなく、さらに、粉体状態で保管した場合の分散能が保持できないおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛を効率的に製造できる方法を提供することにある。また、本発明の目的は、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛の分散液を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法は、黒鉛と前記黒鉛を分散するための固体分散剤とを混合する工程と、前記混合処理した混合物に、前記固体分散剤を溶解させる溶解用溶媒を加えて薄片状黒鉛を分離する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法において、前記固体分散剤が、トリアジン環を構造内に含む有機化合物であることが好ましい。
本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法において、前記溶解用溶媒を温水とし、前記分離は超音波を照射して行うことが好ましい。
本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法において、前記混合を、機械的な粉砕処理で行うことが好ましい。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る薄片状黒鉛分散液は、酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内の薄片状黒鉛を溶媒に分散してなることを特徴とする。
本発明によれば、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛を効率的に製造できるとともに、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛の分散液を提供することができる。
粉体をDMFに混合した後の分散状態の結果である。(A)の上段は黒鉛とメラミンを混合粉砕した後にDMF中に投入したものであり、(A)の下段はその後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。(B)の上段はグラフェンフレークとメラミンを混合粉砕した後にDMF中に投入したものであり、(B)の下段はその後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。(C)の上段は黒鉛を粉砕した後にDMF中に投入したものであり、(C)の下段はその後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。(D)の上段はグラフェンフレークを粉砕した後にDMF中に投入したものであり、(D)の下段はその後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。(E)は(A)の5日後の分散状態であり、(F)は(B)の5日後の分散状態である。
本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法及び薄片状黒鉛分散液について詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で各種の形態をとることができる。
[薄片状黒鉛の製造方法]
本発明に係る薄片状黒鉛の製造方法は、黒鉛とその黒鉛を分散するための固体分散剤とを混合する工程と、混合処理した混合物に、前記した固体分散剤を溶解させる溶解用溶媒を加えて薄片状黒鉛を分離する工程とを有している。
この製造方法は、黒鉛と固体分散剤とを混合した後、その固体分散剤を溶解させる溶解用溶媒を加えて薄片状黒鉛を分離して薄片状黒鉛を製造する方法である。この方法で得た薄片状黒鉛は、従来のような積極的な酸化工程を経ることなく製造される。その結果、酸化の度合いを低く抑えた状態で薄片状黒鉛を分離することができるので、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛を効率的に製造することができる。
製造された薄片状黒鉛は、−OH基又は−COOH基が薄片状黒鉛に結合することによって酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内になっており、酸化の度合いが低く抑えられている。
以下、薄片状黒鉛の製造方法の各工程を説明する。
(混合工程)
混合工程は、黒鉛とその黒鉛を分散するための固体分散剤とを混合する工程である。
黒鉛としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、高配向性熱分解黒鉛等を使用でき、特に天然黒鉛が好ましい。天然黒鉛は、土状黒鉛と鱗状黒鉛とに分類されるが、特に鱗状黒鉛が好ましい。鱗状黒鉛は、灰分が少なく、純度が高いためである。黒鉛を粉砕したグラフェンフレークが近年XGscience社から商品化されており、これを原料に用いることもできる。また、これらの黒鉛の層間を予め広げた膨張黒鉛を用いることもできる。黒鉛の大きさは、特に限定されないが、最終的に得ようとする薄片状黒鉛の大きさに応じて選択される。通常、数μmから数百μm程度の粒子径であることが好ましい。こうした黒鉛は、従来のように、酸化剤のイオンを黒鉛の層間に侵入させて層間化合物を生成し、その後に水を加えることで層間化合物を加水分解して酸化黒鉛にするという酸化工程は施されない。
固体分散剤は、黒鉛を分散するためのものであり、黒鉛とともに混合されたときに黒鉛を構成する最表面のグラフェンに吸着し、その吸着力が黒鉛内の層間結合力よりも強いため、その後の分離処理によって、薄片状黒鉛を容易に分離するように作用する。薄片状黒鉛が分離した黒鉛の表面には、新たな固体分散剤が吸着し、上記のようにして黒鉛の薄層化が促進される。固体分散剤としては、トリアジン環を構造内に含む有機化合物を挙げることができる。トリアジン環を構造内に含む有機化合物は、黒鉛を構成するグラフェンとトリアジン環とが強力に吸着する性質を有すると考えられる。有機化合物としては、メラミン、シアヌル酸、1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
メラミンやシアヌル酸のような有機化合物は、温水等の溶解用溶媒に容易に溶解するので、後述する分離工程によって、薄片状黒鉛と容易に分離できる。分離後の薄片状黒鉛は、薄片状黒鉛を分散する一般的な溶媒であるDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の溶媒(分散溶媒)に分散させることができる。また、薄片状黒鉛の粉体状態で保管した場合であっても、凝集せずに分散能を保持することができる。これは分離工程で薄片状黒鉛が一部酸化されたためと考えられる。
固体分散剤は、市販のものを購入して用いることができ、その大きさも特に限定されない。例えば、市販品のメラミン粉体をそのまま用いてもよいし、メノウ乳鉢等ですり潰してから用いてもよく、特に限定されない。
混合は、黒鉛と固体分散剤とを混ぜる工程であり、黒鉛を構成するグラフェンの層間に固体分散剤を挿入するための手段である。混合手段としては、ボールミル等の機械的な粉砕処理を好ましく挙げることができる。ボールミルによる混合は、黒鉛と固体分散剤とを効果的に衝突させることができていると考えられ、その結果、黒鉛を構成するグラフェンの層間に固体分散剤を挿入させたり、黒鉛の層間を剥離させたりするように作用すると考えられる。ボールミル等以外の混合手段としては、ミキサーミル、ペイントシェーカー、遊星ボールミル、アジテーター、ビーズミル等を挙げることができる。混合手段は、前記した作用を生じさせる程度の条件に設定されることが望ましく、その条件は、主に黒鉛の種類や大きさ等によって適当な条件に設定できる。例えば、後述の実施例で示す遊星ボールミルでの混合では、400rpm程度又はそれ以上の条件で混合することが好ましい。
(分離工程)
分離工程は、上記した混合工程で処理した混合物に、前記した固体分散剤を溶解させる溶解用溶媒を加えて薄片状黒鉛を分離する工程である。混合工程後の黒鉛と固体分散剤とは混合物になっており、上記したように、黒鉛を構成するグラフェンの層間に固体分散剤が挿入された状態になっていると考えられる。
溶解用溶媒は、そうした混合物中の固体分散剤を溶解するための溶媒である。この溶解用溶媒により、混合物中の固体分散剤を溶解して薄片状黒鉛を分離することができる。また、溶解用溶媒は、−OH基又は−COOH基を有するものであることが好ましい。そうした−OH基又は−COOH基が薄片状黒鉛に結合することにより、薄片状黒鉛の分散性を向上させることができる。そうした基を有する溶解用溶媒としては、水、メタノール、エタノール等を挙げることができる。
溶解用溶媒として水を用いる場合は、温水が用いられる。温水の温度については、固体分散剤の種類によっても異なるが、例えばメラミンの場合には70℃〜95℃程度であればメラミンを容易に溶解することができる。また、シアヌル酸の場合には80℃から95℃程度であればシアヌル酸を容易に溶解することができる。
分離は、混合物中の固体分散剤を溶解用溶媒で溶解しながら超音波を照射して、層状の黒鉛から薄片状黒鉛を剥離するための手段である。分離手段としては、超音波照射を好ましく挙げることができる。超音波照射は、超音波ホモジナイザーが好ましい。こうした超音波照射は、その照射条件を調整して分離の程度や効率を調整することができる。温水中での超音波照射は、層状黒鉛から薄片状黒鉛を剥離する際に、温水中に含まれる−OH基が薄片状黒鉛に結合させることができる。こうした−OH基等の結合は、分離した薄片状黒鉛に良好な分散性を与えるという効果がある。
(薄片状黒鉛)
薄片状黒鉛は、上記した分離工程によって分離される。具体的には、超音波照射によって層状黒鉛から薄片状黒鉛を剥離した後、温水の投入と濾過によって、温水に溶解した固体分散剤を除去し、さらに水洗を行って、薄片状黒鉛を得ることができる。
薄片状黒鉛は、元素分析における酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内の酸素を含むことによって、固体分散剤を溶解用溶媒(温水等)に溶解して除去した後の薄片状黒鉛を粉体状態で保管した場合であっても、その後に液体中に投入し場合、凝集せずに分散能(再分散性)を保持することができる。この範囲内の酸素含有量を有する薄片状黒鉛は、上記したように、温水中での超音波照射によって容易に達成できる。
温水中での超音波照射では、酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内に容易に調整できるが、超音波照射時間等を短くしたり長くしたり、必要に応じて酸化剤を添加したりして酸素含有量を調整することもできる。薄片状黒鉛の酸素含有量が3原子%未満では、沈殿が生じて分散性が低下することがある。一方、薄片状黒鉛の酸素含有量が8原子%を超えると、分散するけれども、酸化状態の程度が高くなりすぎ、その後に還元処理を行わなければ十分な導電性を得ることができなくなるか、還元処理を行っても十分な導電性を得ることができないことがある。薄片状黒鉛の酸素含有量の測定は、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)付属のエネルギー分散型X線分光法(EDX、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:SU8020)等によって測定することができる。
−OH基や−COOH基等の結合に基づいた再分散性の向上は、薄片状黒鉛を構成する環構造同士のスタックによる凝集が防止されるためと考えられ、−OH基等の官能基導入によって立体障害やsp2(平面)からsp3(立体)に構造が変化したことによると考えられる。しかしながら、従来の手段のように、電気化学剥離の場合のように酸素含有量が十数%(原子%)以上になったり、酸化工程を経た場合のように酸素含有量が二十数%(原子%)以上になったりすると、その後に還元工程を行っても導電性を十分に下げることができないというデメリットがある。本発明は、上記した工程を経ることにより、酸化の度合いを低く抑えて剥離させることで、還元への依存度を低減することができる。
[薄片状黒鉛分散液]
本発明に係る薄片状黒鉛分散液は、酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内の薄片状黒鉛を溶媒に分散してなることに特徴がある。薄片状黒鉛は、上記したとおりであり、酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内である。こうした酸素含有量を有する薄片状黒鉛は、粉体状態で保管した場合であっても、その後に液体中に投入し場合、分散剤を添加しなくても、凝集せずに分散能(再分散性)を保持することができる。
溶媒としては、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)等を挙げることができる。
以上説明したように、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛を効率的に製造できるとともに、高導電性で高熱伝導性の薄片状黒鉛の分散液を提供することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。
[実施例1]
黒鉛(商品名:SN−100、平均径:100μm、SECカーボン株式会社製)0.5gと、メラミン(和光純薬工業株式会社製)2.5gとをボールミル容器内に投入し、さらに10mm径のボールを10個投入した。そのボールミル容器を遊星ボールミル(型式:PM100、株式会社レッチェ製)に装着し、400rpm60分間処理した。得られた黒色粉体を70℃〜80℃に管理された水(温水)中に投入し、出力300Wの超音波ホモジナイザーで30分間処理した後、黒色沈殿物を濾過により回収し、乾燥して実施例1の黒色粉体である薄片状黒鉛を得た。
この黒色粉体の窒素濃度と酸素濃度を、SEM−EDX測定装置(型式:SU8020、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により測定した。黒色粉体は、窒素を含まず(0原子%)、酸素を6原子%含むことが確認された。窒素が含まれないことは、メラミンが除去されてことを示している。この薄片状黒鉛を室温で1ヶ月保存した後にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に1mg/mLの濃度で分散させたところ、沈殿を生じずに良好に分散した。また、得られた薄片状黒鉛の導電性は、1×10Ω/□(膜厚:42nm)であった。この導電性は、従来の酸化工程を経た場合(例えば特開2005−53773号公報に記載された方法で酸化された薄片状黒鉛を作製し、水分散液をスピンコートによりガラス基板上に塗膜を形成した後に、塗膜をヒドラジン1水和物蒸気に曝すことで還元処理を行う。)の1×10Ω/□(膜厚:38nm)程度のものに比べて著しく導電性が高い。
導電性の測定は、得られた薄片状黒鉛を下記の方法で塗膜化し、次いで表面抵抗と膜厚を測定することで実施した。塗膜化の方法としては、薄片状黒鉛をNMPに1mg/mLの濃度で分散させた後、ラングミュア−ブロジェット膜(LB膜)の作製法と同様に水面上に分散液を滴下し、水面上に形成された黒色膜をガラス基板に移し取って塗膜を形成した。表面抵抗の測定としては、4端子4探針法による抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、型名:ロレスタGP MCP−T610)によって測定した。膜厚の測定としては、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて基板表面と膜の段差を測定することで膜厚を測定した。AFMは、株式会社島津製作所製のナノサーチ顕微鏡(SFT−3500)を使用した。
[比較例1]
実施例1において、メラミンを投入しない他は、実施例1と同様にして比較例1の黒色粉体を得た。この黒色粉体を作製した直後にNMPに1mg/mLの濃度で分散させたところ、ほぼすべて沈殿を生じた。この黒色粉体は、黒鉛から分離した薄片状黒鉛にはなっておらず、未だ十分に剥離できていない黒色粉体であることがわかった。
[分散状態の実験例]
図1は、各粉体をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に混合した後の分散状態の結果である。ここで、黒鉛、メラミン、混合粉砕及び超音波照射は、実施例1と同じである。
図1(A)の上段は、黒鉛とメラミンを混合粉砕した後にDMF中に投入したものであり、図1(A)の下段は、その後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。いずれもDMF中に良好に分散しているのが確認できた。図1(B)の上段は、グラフェンフレークとメラミンを混合粉砕した後にDMF中に投入したものであり、図1(B)の下段はその後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。いずれもDMF中に良好に分散しているのが確認できた。
図1(C)の上段は、黒鉛を粉砕した後にDMF中に投入したものであり、図1(C)の下段は、その後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。メラミンを投入していないために、いずれもDMF中に分散していないのが確認できた。図1(D)の上段は、グラフェンフレークを粉砕した後にDMF中に投入したものであり、図1(D)の下段は、その後にバスタイプの超音波処理(80W)したものである。メラミンを投入していないために、いずれもDMF中に分散していないのが確認できた。
図1(E)は、図1(A)の5日後の分散状態であり、図1(F)は、図1(B)の5日後の分散状態である。図1(A)(B)のいずれも、5日後であっても良好な分散性を示しているのが確認できた。
[酸素含有量の測定例]
実施例1において、得られた黒色粉体を70℃〜80℃に管理された水(温水)中に投入して超音波ホモジナイザーで処理しているが、その処理時間を変化させた。それ以外は実施例1と同様にして薄片状黒鉛を得た。得られた各薄片状黒鉛の元素含有量を実施例1と同様に測定した。その結果を表1に示す。いずれの薄片状黒鉛も、酸素含有量が3原子%以上8原子%以下の範囲内であった。

Claims (3)

  1. 黒鉛と前記黒鉛を分散するための固体分散剤とを混合する工程と、前記混合処理した混合物に、前記固体分散剤を溶解させる溶解用溶媒を加えて薄片状黒鉛を分離する工程とを有し、
    前記溶解用溶媒を温水とし、前記分離は超音波を照射して行うことを特徴とする薄片状黒鉛の製造方法。
  2. 前記固体分散剤が、トリアジン環を構造内に含む有機化合物である、請求項1に記載の薄片状黒鉛の製造方法。
  3. 前記混合を、機械的な粉砕処理で行う、請求項1又は2に記載の薄片状黒鉛の製造方法。
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