JP6143010B2 - 鉄損特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には、鉄損特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、変圧器やモータの鉄心材料として広く用いられている軟磁性材料であり、中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位がGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積し、磁気特性に優れているため、主として大型の変圧器の鉄心等に使用されている。変圧器における無負荷損(エネルギーロス)を低減するためには、鉄損が低いことが必要である。
方向性電磁鋼板において、鉄損を低減する方法としては、Si含有量の増加や、板厚の低減、結晶方位の配向性向上、鋼板表面への張力付与、鋼板表面の平滑化、二次再結晶組織の細粒化などが有効であることが知られている。
これらの方法のうち、二次再結晶粒を細粒化する技術として、一次再結晶焼鈍時に急速加熱したり、一次再結晶焼鈍直前に急速加熱する熱処理を施したりすることで、一次再結晶集合組織を改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、最終板厚まで圧延した冷延板を一次再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)する際、PH2O/PH2が0.2以下の非酸化性雰囲気中で、100℃/s以上で700℃以上の温度に急速加熱することで、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。また、特許文献2には、雰囲気中の酸素濃度を500ppm以下とし、かつ、加熱速度100℃/s以上で800〜950℃に急速加熱し、続いて急速加熱後の温度より低い775〜840℃の温度に保定し、さらに、815〜875℃の温度に保定することで、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。また、特許文献3には、600℃以上の温度域を95℃/s以上の昇温速度で800℃以上に加熱し、この温度域の雰囲気を適正に制御することによって、被膜特性と磁気特性に優れる電磁鋼板を得る技術が開示されている。さらに、特許文献4には、熱延板中のAlNとしてのN量を25ppm以下に制限し、かつ、脱炭焼鈍時に加熱速度80℃/s以上で700℃以上まで加熱することで、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。
急速加熱することで一次再結晶集合組織を改善するこれらの技術は、急速加熱する温度範囲を室温から700℃以上とし、昇温速度を一定速度以上に規定するものである。この技術思想は、再結晶温度近傍までを短時間で昇温することで、通常の加熱速度であれば優先的に形成されるγファイバー(<111>//ND方位)の発達を抑制し、二次再結晶の核となる{110}<001>組織(Goss組織)の発生を促進することで、一次再結晶集合組織を改善しようとするものである。そして、この技術の適用により、二次再結晶後の結晶粒(Goss方位粒)が細粒化し、鉄損特性が改善される。
さらなる低鉄損を実現する技術としては、鋼板表面に対して物理的な手法で不均一性を導入し、磁区の幅を細分化することで鉄損を低減する技術、いわゆる、「磁区細分化技術」が開発されている。たとえば、特許文献5には、最終製品板にレーザーを照射し、鋼板表層に高転位密度領域を導入することによって磁区幅を狭くし、鉄損を低減する技術が提案されている。また、特許文献6には、最終製品板に電子ビームを照射することによって磁区幅を制御する技術が提案されている。
特開平07−062436号公報 特開平10−298653号公報 特開2003−027194号公報 特開平10−130729号公報 特公昭57−002252号公報 特公平06−072266号公報
しかしながら、発明者らの知見によれば、一次再結晶焼鈍の昇温速度を大きくすることで二次再結晶粒は細粒化するものの、二次再結晶粒の方位集積度が低下し、鉄損改善効果が安定して得られないという問題があった。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、一次再結晶焼鈍の加熱過程における昇温パターンと磁区細分化処理条件を最適化することで、安定して低鉄損を実現可能とした方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた。その結果、一次再結晶焼鈍において急速加熱する際、回復が起こる温度域で所定の回数および時間の保定処理し、次いで、初期酸化が起こる温度域で再び所定の回数および時間の保定処理することで、優れた磁気特性を得ることができること、さらに、上記保定処理に加えて、磁区細分化処理を施すことで、より優れた磁気特性を達成し得ることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜1.0mass%を含有し、かつ、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、あるいは、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍または脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程の200〜700℃の区間を50℃/s以上で急速加熱する際、250〜500℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜7秒となるよう施し、さらに、前記250〜500℃間の保定処理とは異なる500〜700℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜3秒間となるよう施すとともに、冷間圧延後のいずれかの工程で、鋼板表面に圧延方向と交差する方向に、連続的または断続的な線状溝を形成して、もしくは、電子ビームを連続的または断続的に照射して線状歪領域を付与して磁区細分化処理するときの前記線状溝または線状歪領域の圧延方向の間隔W(mm)と、前記250〜500℃間における合計保定処理時間t(s)とが、下記式;
−t+2<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
を満たすよう、Wとtのいずれか1以上を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
また、本発明は、C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含有し、さらに、Al:0.015mass%未満、N:0.0050mass%未満、Se:0.0070mass%未満およびS:0.0050mass%未満含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍または脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、前記一次再結晶焼鈍の加熱過程の200〜700℃の区間を50℃/s以上で急速加熱する際、250〜500℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜7秒となるよう施し、さらに、前記250〜500℃間の保定処理とは異なる500〜700℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜3秒間となるよう施すとともに、冷間圧延後のいずれかの工程で、鋼板表面に圧延方向と交差する方向に、連続的または断続的な線状溝を形成して、もしくは、電子ビームを連続的または断続的に照射して線状歪領域を付与して磁区細分化処理するときの前記線状溝または線状歪領域の圧延方向の間隔W(mm)と、前記250〜500℃間における合計保定処理時間t(s)とが、下記式;
−t+2<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
を満たすよう、Wとtのいずれか1以上を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法に用いる上記鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、一次再結晶焼鈍の加熱過程で急速加熱する際、回復が起こる温度域および初期酸化が起こる温度域での保定処理条件を適正化することで、磁区細分化処理の効果を最大限に発現させることができるので、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板を安定して提供することが可能となる。
一次再結晶焼鈍の加熱過程における昇温パターンを説明する図である。 一次再結晶焼鈍の加熱途中における保定処理時間tと、磁区細分化の圧延方向の間隔Wが鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。
まず、本発明を開発する契機となった実験について説明する。
<実験1>
C:0.035mass%、Si:3.20mass%、Mn:0.07mass%、Al:0.020mass%、N:0.011mass%、S:0.0030mass%、Cu:0.05mass%、Sb:0.031mass%、P:0.039mass%およびMo:0.030mass%を含有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃に加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1025℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して1.5mmの中間板厚とし、1100℃×30秒の中間焼鈍を施した後、二次冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板コイルとした。
次いで、上記冷延板コイルの長さ方向中央部から、板幅方向に幅100mm×長さ500mmの試験片を複数枚採取し、ラボの加熱試験機で、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で850℃×80秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。なお、上記一次再結晶焼鈍では、850℃までの加熱過程における200〜700℃間の昇温速度を100℃/sとし、さらにその加熱途中で、400℃でt秒間、600℃でt秒間保定する保定処理を施した。ここで、上記t秒間は種々に変化させる一方、t秒は1秒で一定とした。なお、上記tおよびtは、図1に示したように、それぞれ250〜500℃間および500〜700℃間で施した保定処理の合計処理時間であり、また、上記昇温速度は、200℃から700℃に到達するまでの時間から上記tおよびtを除いた時間における平均昇温速度((700℃−200℃)/(t秒+t秒+t秒))のことをいう(以降、同様)。
その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶させた後、水素雰囲気下で1200℃×5時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施し、最後に、鋼板表面にリン酸塩系のガラス質絶縁被膜を塗布・焼き付けた後、該鋼板表面に電子ビームを照射し、圧延方向の間隔Wを種々に変化させて線状の歪領域を付与する磁区細分化処理を、各条件で10枚ずつに施した。
斯くして得た磁区細分化処理後の試験片について、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定して10枚の平均値を求め、その値を、その製品コイルの代表値とし、その結果を、図2に、保定処理時間tおよび磁区細分化の間隔Wと鉄損W17/50との関係として示した。この図から、保定処理時間tと、電子ビーム照射で形成した歪領域の鋼板圧延方向の間隔Wには、良好な鉄損が得られる最適な範囲がある、すなわち、下記式;
−t+2<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
を満たす範囲で鉄損特性が良好となることがわかる。中でも、間隔Wが2〜5mmの範囲がより好ましい。
上記式を満たす範囲で良好な鉄損特性を示す理由について、発明者らは以下のように考えている。
急速加熱処理は、前述したように、再結晶集合組織におけるγファイバー(<111>//ND方位)の発達を抑制し、二次再結晶の核となる{110}<001>組織の発生を促進する効果がある。というのは、一般に、<111>//ND方位には、冷間圧延時に多くの歪が導入されるため、他の方位と比較して蓄積される歪エネルギーが高い状態にある。そのため、通常の昇温速度で加熱する一次再結晶焼鈍では、蓄積された歪エネルギーが高い<111>//ND方位の圧延組織から優先的に再結晶を起こす。再結晶では、通常、<111>//ND方位の圧延組織からは<111>//ND方位粒が出現する。そのため、再結晶後の組織は<111>//ND方位が主方位となる。
しかし、急速加熱を行うと、再結晶によって放出されるエネルギーよりも多くの熱エネルギーが付与されることから、比較的蓄積された歪エネルギーの低いGoss方位でも再結晶が起こり得るようになり、相対的に再結晶後の<111>//ND方位が減少し、Goss方位({110}<001>)が増加する。Goss方位が多くなると、二次再結晶においても多くのGoss方位粒が出現するため、二次再結晶粒の粒径が小さくなり、鉄損が低減する。これが、従来技術の急速加熱を行う理由である。
しかし、<111>//ND方位は、二次再結晶方位の先鋭化に必要な方位であり、急速加熱で<111>//ND方位が低下すると、二次再結晶後の{110}<001>方位集積度が低下するというデメリットも考えられる。
そこで、上記実験で、良好な鉄損特性が得られた試験片の一次再結晶集合組織を調査したところ、二次再結晶粒の{110}<001>方位先鋭化に必要な{111}<112>方位はそれほど減少せず、それ以外の<111>//ND方位が大きく減少していることがわかった。
この結果から、詳細なメカニズムは明らかではないが、一次再結晶焼鈍の加熱過程の250〜500℃間での保定処理中に回復が進行し、<111>//ND方位は、回復による歪エネルギーの低下によって再結晶の駆動力を失い、一次再結晶集合組織ではその強度が低下したが、{111}<112>方位は、回復ではさほど減少しなかったため、一次再結晶集合組織での<111>//ND方位における{111}<112>方位の割合が高まり、二次再結晶での{110}<001>方位集積度が向上したものと推定される。
また、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を行う際のもう一つのデメリットとしては、昇温中の初期酸化に費やす時間が短くなるため、一次再結晶焼鈍後のサブスケール構造が変化し、仕上焼鈍中に被膜不良を起こし、その影響で二次再結晶不良が生じて磁気特性が劣化することが考えられる。しかし、上記実験においては、加熱途中の600℃の温度でも保定処理を施していることから、急速加熱でも適正な初期酸化がなされて、被膜不良が防止され、磁性も良好となったものと考えられる。
この推定メカニズムからは、一次再結晶焼鈍で急速加熱を行う場合には、昇温途中において、少なくとも2つの温度域での保定処理が必要である、すなわち、一つ目は、回復が起こる250〜500℃の温度域、2つ目は初期酸化が活発になる500〜700℃の温度域で保定処理する必要があると考えられる。
一つ目の回復が起こる温度域(250〜500℃)での保定処理時間は、回復に必要な0.5秒以上とすることが必要である。しかし、回復しすぎると、その後昇温しても再結晶しなくなるおそれがあるため、7秒以下に抑える必要がある。好ましくは5秒以内である。なお、保定処理回数は、上記処理時間内であれば、複数回行ってもよいが、回数が多くなると、合計の保定処理時間が長くなり、上記と同じ理由で再結晶しなくなるおそれがあるので、4回以内に収めることが望ましい。なお、本発明では、この温度域(250〜500℃)における保定処理の合計処理時間をtで表す。
一方、二つ目の初期酸化が起こる温度域(500〜700℃)での保定処理時間は、初期酸化に必要な0.5秒以上とすることが必要である。しかし、この温度域は再結晶が起こる温度域でもあり、ここでの再結晶は極力回避する必要があることから、3秒以内とすることが必要である。なお、保定処理回数は、上記処理時間内であれば、複数回行ってもよいが、上記と同じ理由から2回以内に抑えることが望ましい。なお、本発明では、この温度域(500〜700℃)における保定処理の合計処理時間をtで表す。
さらに、200〜500℃の回復域で保定処理する合計処理時間tと磁区細分化の圧延方法の間隔Wに、鉄損特性上、最適範囲が存在する理由については、以下のように考えている。
250〜500℃間で保定処理を施すことで、{110}<001>方位の集積度は高まるが、二次再結晶を起こす結晶粒の数が低減するため、保定しない場合と比べて、二次再結晶粒が大きくなる。そこで、磁区細分化処理を施すことで、鉄損を低減することができる。
しかし、二次再結晶粒が比較的大きくなると、その分、二次再結晶粒の圧延方向の粒界間隔が広がることとなり、磁区細分化処理の圧延方向の間隔Wが広い場合には、磁区細分化処理による磁区細分化効果と、粒界による磁区細分化効果の相乗効果が減少することとなる。したがって、250〜500℃の合計の保定時間tを増加させた場合には、二次再結晶粒が大きくなる分、磁区細分化処理の間隔Wを狭くすること必要となる。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の素材に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。
C:0.002〜0.10mass%
Cは、0.002mass%に満たないと、Cによる粒界強化効果が失われ、スラブに割れが生じるなどして、製造に支障を来たすようになる。一方、0.10mass%を超えると、脱炭焼鈍で、Cを磁気時効の起こらない0.005mass%以下に低減することが困難となる。よって、Cは0.002〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは0.010〜0.080mass%の範囲である。
Si:2.0〜8.0mass%
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減するのに必要な元素である。上記効果は、2.0mass%未満では十分ではなく、一方、8.0mass%を超えると、加工性が低下し、圧延して製造することが困難となる。よって、Siは2.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.5mass%の範囲である。
Mn:0.005〜1.0mass%
Mnは、鋼の熱間加工性を改善するために必要な元素である。上記効果は、0.005mass%未満では十分ではなく、一方、1.0mass%を超えると、製品板の磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.005〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.20mass%の範囲である。
上記C,SiおよびMn以外の成分については、二次再結晶を生じさせるために、インヒビターを利用する場合と、しない場合とに分けられる。
まず、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用する場合で、例えば、AlN系インヒビターを利用するときには、AlおよびNを、それぞれAl:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%の範囲で含有させるのが好ましい。また、MnS・MnSe系インヒビターを利用するときには、前述した量のMnと、S:0.002〜0.030mass%および/またはSe:0.003〜0.030mass%を含有させることが好ましい。それぞれ添加量が、上記下限値より少ないと、インヒビター効果が十分に得られず、一方、上限値を超えると、インヒビター成分がスラブ加熱時に未固溶で残存し、インヒビター効果が低減し、十分な磁気特性が得られなくなる。なお、AlN系とMnS・MnSe系のインヒビターを併用してもよいことは勿論である。
一方、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用しない場合には、上述したインヒビター形成成分であるAl,N,SおよびSeの含有量を極力低減し、Al:0.01mass%未満、N:0.0050mass%未満、S:0.0050mass%未満およびSe:0.0030mass%未満に低減した鋼素材を用いるのが好ましい。
本発明の方向性電磁鋼板に用いる鋼素材は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
ただし、磁気特性の改善を目的として、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.10mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.010mass%、Nb:0.0010〜0.010mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を適宜含有していてもよい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
前述した成分組成を有する鋼を常法の精錬プロセスで溶製した後、常法の造塊−分塊圧延法または連続鋳造法で鋼素材(スラブ)を製造してもよいし、あるいは、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片を製造してもよい。上記スラブは、常法に従い、例えば、インヒビター成分を含有する場合には、1400℃程度の温度に再加熱し、一方、インヒビター成分を含まない場合には、1250℃以下の温度に再加熱した後、熱間圧延に供する。なお、インヒビター成分を含有しない場合には、鋳造後、スラブを再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
次いで、熱間圧延して得た熱延板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この熱延板焼鈍の温度は、良好な磁気特性を得るためには、800〜1150℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱間圧延で形成されたバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなり、二次再結晶粒の成長が阻害される。一方、1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎて、やはり、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
熱延後あるいは熱延板焼鈍後の鋼板は、1回の冷間圧延または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とする。上記中間焼鈍の焼鈍温度は、900〜1200℃の範囲とするのが好ましい。900℃未満では、中間焼鈍後の再結晶粒が細かくなり、さらに、一次再結晶組織におけるGoss核が減少して製品板の磁気特定が低下する傾向がある。一方、1200℃を超えると、熱延板焼鈍と同様、結晶粒が粗大化し過ぎて、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなるからである。
なお、最終板厚とする冷間圧延(最終冷間圧延)は、<111>//ND方位を十分発達させるため、圧下率を80〜95%とすることが好ましい。また、最終冷間圧延は、鋼板温度を100〜300℃の温度に上昇させて圧延する温間圧延したり、冷間圧延の途中で100〜300℃の温度で時効処理を1回または複数回施したりすることが、一次再結晶集合組織を改善し、磁気特性を向上させるのに有効である。
最終板厚とした冷延板は、その後、一次再結晶焼鈍または脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍における焼鈍温度は、800〜950℃の範囲とするのが好ましく、800〜900℃の範囲で脱炭焼鈍を行う場合は、脱炭反応を速やかに進行させる観点から、雰囲気を湿潤雰囲気とするのが好ましい。なお、一次再結晶焼鈍と脱炭焼鈍を別々に行ってもよい。
ここで、本発明において重要なことは、前述したように、上記一次再結晶焼鈍の加熱過程において、200〜700℃の区間を50℃/s以上で急速加熱するとともに、250〜500℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜7秒間となるよう施した後、さらに、500〜700℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜3秒間となるよう施すことである。
200〜700℃の区間の昇温速度を50℃/s以上とする。その理由は、50℃/s以上とすることで、急速加熱の効果が得られるからである。好ましくは、100〜400℃/sの範囲である。ここで、上記一次再結晶焼鈍の加熱過程における200〜700℃の区間の昇温速度は、先述したように、200℃から700℃に到達するまでの時間から上記tおよびtを除いた時間における平均昇温速度である。
なお、上記保定処理は、250〜500℃間および500〜700℃間のいずれかの温度で行えばよいが、上記温度は必ずしも一定でなくてもよく、±10℃/s以下の温度変化であれば、保定と同様の効果を得ることができるので、±10℃/sの範囲内で昇温もしくは降温してもよい。
上記の一次再結晶焼鈍を施した鋼板は、その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、仕上焼鈍を施し、Goss方位に高度に集積させた二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させる。仕上焼鈍の焼鈍温度は、二次再結晶を発現させるためには800℃以上で行うことが、また、二次再結晶を完了させるためには800℃以上の温度で20時間以上保持することが好ましい。さらに、フォルステライト被膜を形成し、純化処理するためには、1200℃程度の温度まで加熱し、水素雰囲気下で1時間以上保持することが好ましい。
仕上焼鈍後の鋼板は、その後、水洗やブラッシング、酸洗等で、鋼板表面に付着した未反応の焼鈍分離剤を除去した後、平坦化焼鈍を施して形状矯正するのが、鉄損の低減には有効である。これは、仕上焼鈍は、通常、コイル状態で行うため、コイルの巻き癖が付き、これが原因で、鉄損測定時に特性が劣化することがあるためである。
さらに、鋼板を積層して使用する場合には、上記平坦化焼鈍において、あるいは、その前後で、鋼板表面に絶縁被膜を被成することが有効である。特に、鉄損の低減を図るためには、絶縁被膜として、鋼板表面に張力を付与する張力付与被膜を適用するのが好まく、例えば、従来公知の、リン酸塩系の絶縁被膜を適用することができる。なお、その他、バインダーを介して張力被膜を塗布する方法や、物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させる方法を採用すると、被膜密着性に優れかつ著しく鉄損低減効果が大きい絶縁被膜を形成することができるので、より好ましい。
さらに、本発明においては、鉄損をより低減するために、磁区細分化処理を施すことが必須である。磁区細分化処理の方法としては、最終製品板に電子ビームやレーザー、プラズマ等を照射することによって連続的または断続的な線状の熱歪領域を導入する方法や、最終板厚に冷間圧延した後の鋼板表面に、エッチングで連続的または断続的な線状の溝を形成する方法、ケガキやローラー等で連続的または断続的な線状の塑性歪領域を導入する方法等、一般的に行われている方法を用いることができる。
ここで、本発明において重要なことは、前述したように、上記磁区細分化処理によって形成した線状の溝または線状の歪領域の圧延方向の間隔W(mm)と、一次再結晶焼鈍の加熱途中の250〜500℃間における保定処理の合計時間t(s)とが、下記式;
−t+3<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
を満たすよう、Wとtのいずれか1以上を調整する必要があることである。この条件を満たすことにより、磁区細分化により鉄損低減効果を最大限に発現させることが可能となる。
C:0.050mass%、Si:3.22mass%、Mn:0.12mass%、Al:0.021mass%、Se:0.020mass%およびN:0.009mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造法で製造し、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1040℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して1.5mmの中間板厚とし、1100℃×30秒の中間焼鈍を施し、二次冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板に仕上げた。
次いで、55vol%H−45vol%Nの湿潤雰囲気下で830℃×90秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、上記一次再結晶焼鈍の昇温速度および保定処理条件を表1に示すように変化させた。
次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶させた後、1200℃×5時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施した。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH、昇温時および降温時はNとした。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面にリン酸塩系のガラス質絶縁被膜を塗布・焼き付けた後、鋼板表面の圧延方向と交差する方向に電子ビームを照射して歪領域を付与し、磁区細分化処理を施した。なお、電子ビームの照射条件は150kV、1.0mAとし、ビーム径は0.1mmに制御した。また、歪領域の鋼板圧延方向の間隔Wは、表1に示すように変化させた。
上記のようにして得た磁区細分化処理後の鋼板から、板幅方向に幅100mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し平均値を求めた。ここで、上記試験片はコイル長手方向の両端部と中央部から採取し、最も高い鉄損値をそのコイルの代表値として採用した。その結果を表1に併記した。同表から、本発明を適用することで鉄損の低い方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
Figure 0006143010
C:0.032mass%、Si:3.15mass%、Mn:0.10mass%、Al:0.005mass%、N:0.0030mass%、Se:0.0030mass%およびS:0.0015mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造法で製造した後、1220℃に再加熱し、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1030℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、タンデム圧延機で冷間圧延して最終板厚0.27mmの冷延板とした。
次いで、55vol%H−45vol%Nの湿潤雰囲気下で850℃×90秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、上記一次再結晶焼鈍の昇温速度および保定処理条件を表2に示すように変化させた。
次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶させた後、1200℃×5時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施した。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH、昇温時および降温時はNとした。
次いで、上記仕上焼鈍後の鋼板表面にリン酸塩系のガラス質絶縁被膜を塗布・焼き付けた後、鋼板表面の圧延方向と交差する方向に電子ビームを照射して歪領域を付与し、磁区細分化処理を施した。なお、電子ビームの照射条件は150kV、1.0mAとし、ビーム径は0.1mmに制御した。また、歪領域の鋼板圧延方向の間隔Wは、表2に示すように変化させた。
上記のようにして得た磁区細分化処理後の鋼板から、板幅方向に幅100mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し平均値を求めた。ここで、上記試験片はコイル長手方向の両端部と中央部から採取し、最も高い鉄損値をそのコイルの代表値として採用した。その結果を表2に併記した。同表から、本発明を適用することで鉄損の低い方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
Figure 0006143010
表3に記載の成分組成を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造法で製造し、1400℃の温度に再加熱した後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1020℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、一次冷間圧延して1.5mmの中間板厚とし、1100℃×30秒の中間焼鈍を施し、二次冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板に仕上げた。
その後、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で840℃×60秒の脱炭焼鈍を伴う一次再結晶焼鈍を施した。この際、上記一次再結晶焼鈍の840℃までの加熱過程における200〜700℃間の昇温速度を200℃/sとし、さらにその昇温途中で400℃、570℃の各温度で0.5秒間保持する保定処理を施した。
次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布、乾燥した後、二次再結晶させた後、1200℃×4時間の純化処理を行う仕上焼鈍を施した。なお、仕上焼鈍の雰囲気は、純化処理する1200℃保定時はH、昇温時および降温時はArとした。
さらに、上記仕上焼鈍後の鋼板表面に、電子ビームを鋼板の圧延方向の間隔Wを4mmとして断続的に照射し、磁区細分化処理を施した。なお、電子ビームの照射条件は、150kV、1.0mAとし、ビーム径は0.1mmに制御した。
上記のようにして得た磁区細分化処理後の鋼板から、板幅方向に幅100mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し平均値を求めた。ここで、上記試験片はコイル長手方向の両端部と中央部から採取し、最も高い鉄損値をそのコイルの代表値として採用した。その結果を表3に併記した。同表から、本発明を適用することで鉄損の低い方向性電磁鋼板が得られることがわかる。
Figure 0006143010

Claims (3)

  1. C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%およびMn:0.005〜1.0mass%を含有し、かつ、Al:0.010〜0.050mass%およびN:0.003〜0.020mass%を含有し、あるいは、Al:0.010〜0.050mass%、N:0.003〜0.020mass%、Se:0.003〜0.030mass%および/またはS:0.002〜0.03mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍または脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記一次再結晶焼鈍の加熱過程の200〜700℃の区間を50℃/s以上で急速加熱する際、250〜500℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜7秒となるよう施し、さらに、前記250〜500℃間の保定処理とは異なる500〜700℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜3秒間となるよう施すとともに、
    冷間圧延後のいずれかの工程で、鋼板表面に圧延方向と交差する方向に、連続的または断続的な線状溝を形成して、もしくは、電子ビームを連続的または断続的に照射して線状歪領域を付与して磁区細分化処理するときの前記線状溝または線状歪領域の圧延方向の間隔W(mm)と、前記250〜500℃間における合計保定処理時間t(s)とが下記式を満たすよう、Wとtのいずれか1以上を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    −t+2<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
  2. C:0.002〜0.10mass%、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含有し、さらに、Al:0.015mass%未満、N:0.0050mass%未満、Se:0.0070mass%未満およびS:0.0050mass%未満含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼素材を熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなくあるいは熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍または脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記一次再結晶焼鈍の加熱過程の200〜700℃の区間を50℃/s以上で急速加熱する際、250〜500℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜7秒となるよう施し、さらに、前記250〜500℃間の保定処理とは異なる500〜700℃間のいずれかの温度で1回以上の保定処理を合計処理時間が0.5〜3秒間となるよう施すとともに、
    冷間圧延後のいずれかの工程で、鋼板表面に圧延方向と交差する方向に、連続的または断続的な線状溝を形成して、もしくは、電子ビームを連続的または断続的に照射して線状歪領域を付与して磁区細分化処理するときの前記線状溝または線状歪領域の圧延方向の間隔W(mm)と、前記250〜500℃間における合計保定処理時間t(s)とが下記式を満たすよう、Wとtのいずれか1以上を調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    −t+2<W<−2.5t+17.5(ただし、t>0)
  3. 上記鋼素材は、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.010〜1.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%、Cu:0.01〜0.50mass%、P:0.005〜0.50mass%、Sb:0.005〜0.50mass%、Sn:0.005〜0.50mass%、Bi:0.005〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.100mass%、B:0.0002〜0.0025mass%、Te:0.0005〜0.0100mass%、Nb:0.0010〜0.0100mass%、V:0.001〜0.010mass%およびTa:0.001〜0.010mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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