JP6141080B2 - 薄膜圧電素子およびその製造方法、マイクロアクチュエータ、ヘッドジンバルアセンブリおよびそれを備えたディスク駆動装置 - Google Patents

薄膜圧電素子およびその製造方法、マイクロアクチュエータ、ヘッドジンバルアセンブリおよびそれを備えたディスク駆動装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子、より詳しくは薄膜圧電素子およびその製造方法、マイクロアクチュエータ、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)およびそれを備えたディスク駆動装置に関する。
圧電材料は種々の目的にしたがって様々な圧電素子に加工される。とりわけ、圧電材料は、電圧を加えることによって変形を生じるアクチュエータのような機能的な電子部品、または逆に素子の変形から電圧を生成するセンサなどに広く用いられている。
ディスク駆動装置において、そのスライダを微細な動作で作動させるためのアクチュエータに用いられる圧電材料としては、巨大な圧電特性を有する鉛(Pb)ベースの誘電材料、とりわけ、ペロブスカイト型の強誘電体をベースとした“PZT”と呼ばれるチタン酸ジルコン酸鉛、Pb(Zr1−xTi)Oが広く用いられている。そして、圧電材料は、一般に個々の要素からなる焼結酸化物によって形成されている。例えば、PZTのような圧電材料が用いられているマイクロアクチュエータは、特許文献1(JP2011−142154)、特許文献2(JP2006−217719)等に開示されている。
PZTを形成するこのような圧電材料の結晶構造はチタン酸鉛PbTiOと、ジルコン酸鉛PbZrOとの比PbTiO/PbZrOによって変化する。ここで、図1はPZTの状態図を示している。キュリー温度Tは、高温の立方常誘電体相(Pc)と、低温の強誘電体相との境界である。そして、モルフォトロピック相境界(MPB)によって、強誘電体相領域が正方晶相領域(F)を含む領域と、菱面体晶相領域(F)を含む領域との2つの領域に分割されている。結晶構造がモルフォトロピック相境界MPBにあるときは、自発分極の自由エネルギーが極めて高いことが知られており、このことから、このPZTは、最も高い電気機械変換特性と最も高い圧電特性とを備え、その結果、卓越した圧電定数d31またはd33が得られている。
しかしながら、結晶構造がMPBにあるときは、組成を正確にコントロールすることがかなり困難である。したがって、従来の薄膜圧電素子には、Pb(Zr0.52Ti0.48)OまたはPb(Zr0.58Ti0.42)OといったMPBの近傍にある組成が用いられることが多い。図2に示すように、従来の薄膜圧電素子100は、基板101と、基板101の上に形成された2つの電極層102,103と、2つの電極層102,103の間に挟まれた圧電層104とを有している。電極層102,103、圧電層104は、一般に、スパッタリング、レーザアブレーション、ゾル-ゲルコーティングおよび様々な化学気相成長法(CVD)や、有機金属気相成長法(MOCVD)によって堆積されている。具体的には、基板101は、シリコンSiまたは酸化マグネシウムMgoのような別の材料によって形成されている。電極層102,103はプラチナPtや、導電酸化物の酸化ストロンチウムルテニウムSrRuOまたはそれらの化合物、そのほかの導電材料によって形成されている。従来、圧電層104は、MPB近傍の組成を有し、その結晶構造が正方晶相構造または菱面体晶相構造である。そして、単相の圧電層104は、2μm程度の厚さを有している。
しかしながら、こうした単相の圧電素子100の圧電定数は、ますます高くなるストロークを得るための製品の要件としてなお不十分である。さらに、保磁力の強さ(Ec)よりも電界の強さが大きいところで復極が起こる単相構造のために適用される電界の強さが制限されている。従来、より大きな電界の強さが適用されることを可能にするための1つの方法は、圧電素子に対して大きな応力をかけることに関連した保磁力のすり込みによって保磁力の強さを増加させることである。しかしながら、これは、圧電素子が薄片に避けてしまうおそれと、圧電素子の信頼性を損なうおそれとが高くなる事態をもたらしてしまう。より大きな電界の強さが適用されることを可能にするための別の方法は、PZTの厚さを大きくすることである。しかし、これはコストの上昇を引き起こしてしまう。圧電定数と保磁力の強さとに制限があることがベースとなって、アクチュエータやセンサに応用される圧電素子のストロークは不十分であり、これは製造業者の要求を満たすものではなかった。
したがって、以上のような欠点を克服するため、改良された薄膜圧電素子が必要とされていた。
本発明の1つの側面は、高い圧電定数、高められた保磁力の強さおよび良好な熱安定性を獲得することとして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るものであり、さらにそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成する薄膜圧電素子を提供することである。
本発明の他の側面は、高い圧電定数、高められた保磁力の強さおよび良好な熱安定性を獲得することとして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るものであり、さらにそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成する薄膜圧電素子の製造方法を提供することである。
また、本発明の側面は、高い圧電定数、高められた保磁力の強さおよび良好な熱安定性を獲得することとして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るものであり、さらにそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成する薄膜圧電素子を備えたマイクロアクチュエータを提供することである。
さらに、本発明の側面は、薄膜圧電素子と良好な熱安定性を備え、それによって、高い圧電定数、高められた保磁力の強さを獲得することとして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るものであり、さらにそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成するヘッドジンバルアセンブリを提供することである。
本発明のさらにもう一つの側面は、薄膜圧電素子を備え、それによって、高い圧電定数、高められた適用される電界の強さ、良好な熱安定性およびそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成するディスク駆動装置を提供することである。
本発明のさらにもう一つの側面は、薄膜圧電素子を備え、それによって、高い圧電定数、高められた適用される電界の強さ、良好な熱安定性および大きなストロークを達成する微小電気機械システムを提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の薄膜圧電素子は、基板と、その基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有している。圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、その圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、底部電極層が基板上に直に形成され、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成され、第1の圧電層および第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている
また、薄膜圧電素子は、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するようにすることができる。
好ましくは、第1の圧電層および第2の圧電層は、異なったTiの濃度を有している。
好ましくは、第1の圧電層および第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有している。
選択的な実施の形態として、圧電層は、KNaNbO, LiNbO, LiTaO, BaTiO, PbTiOまたはBaSrTiOからなっている。
選択的な実施の形態として、圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2つ以上の層を有していてもよい。
本発明の薄膜圧電素子の製造方法は、基板の供給と、その基板上への底部電極層の堆積と、そして、第1の圧電層および第2の圧電層からなる圧電層の底部電極層上への堆積と、圧電層上への上部電極層の堆積とを有し、第1の圧電層および第2の圧電層は、異なった相構造を有し、圧電層の底部電極層上への堆積において、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、かつ第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、圧電層上への上部電極層の堆積において、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成される点を特徴としている。
また、薄膜圧電素子の製造方法は、圧電層の底部電極層上への堆積において、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するように、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、かつ第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成されるようにすることができる。
好ましくは、第1の圧電層および第2の圧電層は、異なったTiの組成を有している。
上記製造方法の場合、圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなるようにすることもできる。
そして、本発明は、薄膜圧電素子を有するマイクロアクチュエータであって、その薄膜圧電素子は、基板と、その基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有している。その圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、その圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、底部電極層が基板上に直に形成され、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成され、第1の圧電層および第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されているマイクロアクチュエータを提供する。
上記マイクロアクチュエータは、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するようにすることができる。
また、第1の圧電層および第2の圧電層は、異なったTiの組成を有するようにすることもできる。さらに、圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなるようにすることもできる。第1の圧電層および第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有するようにすることもできる。圧電層は、KNaNbO ,LiNbO ,LiTaO ,BaTiO ,PbTiO またはBaSrTiO からなるようにすることもできる。
本発明のヘッドジンバルアセンブリは、サスペンションと、そのサスペンションによって支持されているスライダと、スライダを作動させるためのサスペンション上に形成された薄膜圧電素子とを有している。そして、薄膜圧電素子は、基板と、その基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、その圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、その圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、その第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、底部電極層が基板上に直に形成され、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成され、第1の圧電層および第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている。
また、上記ヘッドジンバルアセンブリは、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するようにすることができる。
本発明のディスク駆動装置は、ヘッドジンバルアセンブリと、ヘッドジンバルアセンブリに接続される駆動アームと、ディスクと、そのディスクを回転させるスピンドルモータとを有している。そのヘッドジンバルアセンブリは、サスペンションと、そのサスペンションによって支持されているスライダと、スライダを作動させるためのサスペンション上に形成された薄膜圧電素子とを有している。そして、薄膜圧電素子は、基板と、その基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有している。圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、その圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、その第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、底部電極層が基板上に直に形成され、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成され、第1の圧電層および第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている。
また、上記ディスク駆動装置は、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するようにすることもできる。
本発明の微小電気機械システムは、基板と、その基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有する膜圧電素子を有している。圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、その圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、底部電極層が基板上に直に形成され、第1の圧電層が底部電極層上に直に形成され、第2の圧電層が第1の圧電層上に直に形成され、上部電極層が第2の圧電層上に直に形成され、第1の圧電層および第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている。
上記微小電気機械システムは、第1の圧電層および第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ第2の圧電層が正方晶相構造を有するようにすることもできる。
また、第1の圧電層および第2の圧電層は、異なったTiの組成を有するようにすることができる。圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなるようにすることができる。第1の圧電層および第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有するようにすることができる。圧電層は、KNaNbO , LiNbO , LiTaO , BaTiO , PbTiO またはBaSrTiO からなるようにすることができる。
従来技術との比較において、本発明は、第1、第2の圧電層の組成において異なった相構造を有する薄膜圧電素子を提供する。その薄膜圧電素子は、AC電圧が薄膜圧電素子に適用されたときに電荷が2つの圧電層に蓄積され、それにより、薄膜圧電素子の保磁力の強さが高められ、そして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るものであり、したがって、圧電定数d31およびd33を高めることができる。さらに、本発明の薄膜圧電素子における復極電圧が従来の薄膜圧電素子よりも著しく大きくなり、これによって、より大きなストロークを得ることができ、より大きなストロークを必要とするより大きなデバイスに応用することができる。さらにまた、高温または低温条件下における本発明の復極電圧が従来の薄膜圧電素子の復極電圧よりもより安定し、復極電圧曲線において顕著な降下が現れないため、薄膜圧電素子の動作電圧をより大きくすることが可能となり、これにより、より大きなストロークが達成されている。一方、本発明は、高温条件下において良好な熱安定性を達成することができる。
本発明におけるその他の側面、特徴および有利な効果は、この開示事項の一部であって本発明の原理を一例として図示している添付図面に関連している以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明の様々な実施の形態は、添付されている図面によって、容易に理解することができる。そのような図面において、
従来のPZT材料の状態図である。 従来の薄膜圧電素子の断面図である。 本発明の一実施の形態にかかる薄膜圧電素子を示している。 本発明の薄膜圧電素子と、従来の薄膜圧電素子とにおけるX線回折の結果を対比した図である。 本発明の薄膜圧電素子と、従来の薄膜圧電素子とにおけるAC電圧を加えているときの分極オフセットを対比した図である。 本発明の薄膜圧電素子と、従来の薄膜圧電素子とにおけるAC電圧を加えているときのストロークを対比した図である。 本発明の薄膜圧電素子と、従来の薄膜圧電素子とにおける特定の温度範囲での復極電圧の変化を対比した図である。 本発明の薄膜圧電素子と、従来の薄膜圧電素子とにおける特定の温度範囲での分極の変化を対比した図である。 本発明の一実施形態にかかる薄膜圧電素子の製造方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる薄膜圧電素子を有するヘッドジンバルアセンブリを示している。 本発明の一実施形態にかかる薄膜圧電素子を有するディスク駆動装置を示している。
本発明の様々な好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。同じ参照符号はそれぞれの図面を通して同様の部材を指している。上述したように、本発明は、薄膜圧電素子にかかるものであり、その薄膜圧電素子は、高い圧電定数と、高められた保磁力の強さと、良好な熱的安定性とを獲得し、そして、より大きい電界の強さが復極無しに適用され得るようになり、さらにそれが応用されるデバイスに適した大きなストロークを達成することができるというものである。
図3を参照して、本発明の一実施形態にかかる薄膜圧電素子200は、基板201と、基板201上に形成された圧電薄膜積層部210とを有している。具体的には、圧電薄膜積層部210は、基板201上に形成された底部電極層211と、底部電極層211上に順に形成された第1の圧電層212および第2の圧電層213と、その上をカバーする上部電極層214とを有している。具体的には、基板201は、シリコンSiまたは酸化マグネシウムMgo等の他の材料によって形成されている。そして、底部電極層211と上部電極層214は、プラチナPtや、酸化ストロンチウムルテニウムSrRuOまたはそれらの化合物、そのほかの導電材料といった導電酸化物から形成されている。そして、2つの圧電層212、213の厚さは、0.1μm〜1.5μmの範囲にあり、これは、本実施の形態では、1μmが好ましい。
本実施の形態では、第1の圧電層212および第2の圧電層213は、Pb(ZrTi1−x)Oから形成されている。改良点として、第1の圧電層212および第2の圧電層213は異なった相構造を有している。好ましい実施の形態として、第1の圧電層212は、菱面体晶相構造を有し、例えばその組成は、Pb(Zr0.61Ti0.39)Oとすることができ、その場合のPbTiOと、PbZrOとの比は、0.423となる(PbTiOの中身が42.3mol%であることと同等)。そして、第2の圧電層213は、正方晶相構造を有し、例えばその組成は、Pb(Zr0.58Ti0.42)Oである。その場合のPbTiOと、PbZrOとの比は、0.469である。本実施の形態において、比の組成勾配は0.046である。好ましくは、2つの圧電層212、213における組成勾配は、0.01から0.90の範囲にある。ここで、本発明の薄膜圧電素子200と、従来の薄膜圧電素子100とにおけるX線回折(XRD)の結果を示す曲線が図4に示されている。図4に示すように、本発明の薄膜圧電素子200の曲線には2つの重複ピーク(直線の矢印で示されている)が現れている。言い換えると、薄膜圧電素子200には、2つの相構造が存在している。これに対して、従来の薄膜圧電素子100の曲線には1つのピーク(破線の矢印で示されている)が現れている。これは、単相構造を示している。
上記の代わりに、第1の圧電層212の組成がMPBにおける相構造を有し、第2の圧電層213の組成が菱面体晶相構造または正方晶相構造を有している。本発明において、第1および第2の圧電層212,213の組成は、薄膜圧電素子200が異方性2相構造を確実に保有するようにするためには、双方の相構造が異なるだけではあっても、上記に限定されるものではない。
薄膜圧電素子200が2つの圧電層212,213の組成においての2つの異なった相構造を有することから、AC電圧が薄膜圧電素子200に適用されるときに、電荷が2つの圧電層212,213上に蓄積される。このような電荷の蓄積がドメイン分極の強化に役立ち、圧電定数d31およびd33を高めることにも役立つ。仮に、2つの圧電層212,213における組成勾配が製造途中で増加するとすれば、電荷蓄積の効果はより著しいものとなる。
選択的な実施の形態として、圧電薄膜積層部210は、第3の圧電層またはそれより多くの圧電層を有していてもよい。その場合、異なった圧電層がPb(ZrTi1−x)O材料に適した異なったチタンTiの組成のような異なった組成を有するだけでもよい。
図5は、本発明の薄膜圧電素子200と、従来の薄膜圧電素子100とにおけるAC電圧を加えているときの分極オフセットを対比した図である。図5に示すように、AC電圧が増加するにつれて、本発明の薄膜圧電素子200の分極オフセットは増加している。そして、AC電圧が50vを越えたときに、その分極オフセットは従来の薄膜圧電素子100の分極オフセットよりも著しく大きなものとなる。したがって、薄膜圧電素子200の圧電定数d31およびd33が増加している。
また、図6は、本発明の薄膜圧電素子200と、従来の薄膜圧電素子100とにおけるAC電圧を加えているときのストロークを対比した図である。AC電圧が増加するにつれて、2つの薄膜圧電素子100、200の分極電圧点A,Bが生成される。本発明の薄膜圧電素子200の分極電圧が従来の薄膜圧電素子100の分極電圧よりも著しく大きいということがわかる。その結果として、本発明の薄膜圧電素子200について、より大きな動作電圧や、より大きい電界の強さを適用することが可能となり、その結果、より大きなストロークを獲得することができる。薄膜圧電素子200のストロークが増加するため、薄膜圧電素子200は、大きなストロークを必要とするより大きなデバイスに応用することができる。
さらにまた、図7は、本発明の薄膜圧電素子200と、従来の薄膜圧電素子100とにおけるマイナス40℃から約125℃までの範囲での復極電圧の変化を対比した図である。温度が増加するにつれて、従来の曲線では、復極電圧の著しい降下が現れる。このことは、従来の薄膜圧電素子100では、高温になると、復極電圧のおそれがより高く出てくる、ということを意味している。そのより高いおそれがあることにより、従来の薄膜圧電素子100では、高温動作を可能にする余地を確実に残すため、動作電圧を復極電圧よりもより大きく下げなければならない。このことが、最大ストロークが制限されること、そして減少することを引き起こす。これに対し、本発明では、復極電圧の曲線に、マイナス40℃から約125℃までの範囲において著しい降下がまったく現れない。したがって、薄膜圧電素子200では、従来の薄膜圧電素子100よりも動作電圧をより大きなものとすることができ、これによって、従来の薄膜圧電素子と比べて大きなよりストロークを達成することができる。
図8は、本発明の薄膜圧電素子200と、従来の薄膜圧電素子100とにおけるマイナス40℃から約125℃までの範囲にある温度での分極の変化を対比した図である。図8に示すように、従来の薄膜圧電素子100における分極の変化は著しいものであり、とりわけ従来の薄膜圧電素子100の分極は低温および高温の両端で鋭く降下する。これに対し、本発明の薄膜圧電素子200では、変わり得る温度条件下においても、分極がより安定している。このことは、本発明の薄膜圧電素子200が良好な熱性能を保有し、熱雑音を減少させることを意味している。
本発明の別の実施の形態として、第1の圧電層212および第2の圧電層213は、KNaNbO,LiNbO,LiTaO,BaTiO,PbTiOまたはBaSrTiOの材料で形成することができる。第1の圧電層212および第2の圧電層213は、たとえ2つの圧電層212、213の組成が異なる相構造を有しているだけであっても、これらの材料に限られるものではない。
次に、薄膜圧電素子200の製造方法について説明する。図9は、本発明の一実施形態にかかる薄膜圧電素子200の製造方法のフローチャートである。図9に示すように、その製造方法には、以下のステップ501,502、および503が含まれている。すなわち、まず、ステップ501で基板の供給が行われる。次に、基板上への底部電極層の堆積がステップ502で行われる。さらに、ステップ503で次の工程が行われる。すなわち、第1の圧電層および第2の圧電層を含む圧電層の底部電極層上への堆積と、その圧電層上への上部電極層の堆積とが行われる。この場合、第1の圧電層と、第2の圧電層は異なった相構造を有している。
具体的には、ステップ503において、第1の圧電層および第2の圧電層は、2つの異なったスパッタリングターゲットによって堆積される。ひとつの実施形態として、一方のターゲットがPb(Zr0.61Ti0.39)Oの組成を有し、もう一方のターゲットがPb(Zr0.58Ti0.42)Oの組成を有し、その結果として、2つの圧電層が異なった相構造を有している。具体的には、第1の圧電層および第2の圧電層は、特殊なデポジション(堆積)の配列または事後アニール処理によって形成することができる。
上述した本発明の薄膜圧電素子200は、マイクロアクチュエータ、センサなど、またはその他のデバイスに用いることができる。以下、幾つかの応用例について説明する。
実施の形態として、本発明にかかる薄膜圧電素子200を備えたマイクロアクチュエータは、ディスク駆動装置の分野において、そのディスク駆動装置に搭載されているスライダを作動させるために用いることができる。図10は、薄膜圧電素子200を有するマイクロアクチュエータを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)300を示している。図10を参照すると、本発明の実施の形態にかかるHGA300は、サスペンション390と、サスペンション390上に搭載されたスライダ303とを有している。サスペンション390は、ロードビーム306と、ベースプレート308と、ヒンジ307と、フレクシャ305とを有し、これらのすべてが一つに組み立てられている。ヒンジ307は、ベースプレート308に組み付けるためのマウンティングホール(図示せず)が形成されている。そして、スライダ303はフレクシャ305上に搭載されている。スライダ303は、記録素子および再生素子に接続されている端子を有し、それらの端子が記録および再生端子に接続されていることが知られている。記録素子は、例えば標準的な誘導型の磁性変換器である。再生素子は、高い読み取り感度を有するMR素子、GMR素子またはTMR素子である。
実際の実施に従えば、薄膜圧電素子200(本図面には図示せず)を備えたマイクロアクチュエータは、スライダ303を微細な動きで作動させて良好な再生および記録を達成するため、スライダ303の両側に取り付けられるか、スライダ303近傍のフレクシャ305の上に搭載される。例えば、圧電素子部(図示せず)は、上述したマイクロアクチュエータのように、薄膜圧電素子200と、薄膜圧電素子200の上側および下側にそれぞれ形成された絶縁層(図示せず)とから形成されている。この場合、例えば各圧電素子部は、矩形状に形成されている。各圧電素子部が伸長および収縮することによって、スライダ303の位置がわずかに動く。薄膜圧電素子200は、上述したものと同じ構成を有するから、ここでは、薄膜圧電素子200についての説明は省略する。
また、図11は、本発明の実施の形態に係る薄膜圧電素子200を備えたディスク駆動装置400を示している。ディスク駆動装置400は、HGA300と、HGA300に接続された駆動アーム404と、連続した回転ディスク401と、ディスク401を回転させるスピンドルモータ402と、これらの部材すべてが搭載されているハウジング409とを有している。HGA300は、フレクシャ305を有するサスペンション390と、スライダ303と、上述した薄膜圧電素子200を有するマイクロアクチュエータとを有している。本発明のディスク駆動装置における構造および/または組み立て工程は、当業者にとって周知であるから、その構造および組み立て工程の詳しい説明はここでは省略する。
上述したように、薄膜圧電素子200は、2つの圧電層212,213の組成において2つの異なった相構造を有するため、AC電圧が薄膜圧電素子200に加えられたときに、2つの圧電層212,213に電荷が蓄積される。これにより、薄膜圧電素子200の保磁力の強さを高めることができ、そして、薄膜圧電素子200について、より大きな電界の強さが復極無しに適用され得ることとなり、したがって、圧電定数d31およびd33を高めることができる。さらに、本発明の薄膜圧電素子200における復極電圧が著しく大きなものであり、それによって、より大きなストロークを得ることができ、それ故、薄膜圧電素子200はスライダ303の動作を制御するうえで有益である。その結果、ディスク駆動装置400の性能が改善される。
本発明にかかる薄膜圧電素子200は、その最大ストロークがより大きなものであることおよび熱性能が良好であることから、アクチュエータ、センサ、ジャイロスコープ、加速器、無線周波数(RF)共振器、その他のMEMSデバイス等の微小電気機械システム(MEMS、図示せず)に用いることができる。薄膜圧電素子200を備えたMEMSデバイスにおいて、最大ストロークがより大きいことによって、より大きな信号出力を得ることができて電力消費をより小さくすることができる。また、熱性能が良好であることによって、熱雑音、バイアスオフセット、他のドリフトを減少させることができる。
現時点で最も実践的で好ましいと考え得る実施の形態に関連して、本発明を詳述したが、本発明は、開示された実施の形態に限定されるものではなく、それどころか発明の精神および開示の範囲内で様々な変形例および均等配置を包含するものである。

Claims (26)

  1. 基板と、該基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、該圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、該上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、
    該圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、該第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、
    前記底部電極層が前記基板上に直に形成され、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成され、
    前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている薄膜圧電素子。
  2. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有する請求項1記載の薄膜圧電素子。
  3. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、異なったTiの組成を有する請求項2記載の薄膜圧電素子。
  4. 前記圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなる請求項2記載の薄膜圧電素子。
  5. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有する請求項1〜4のいずれか一項記載の薄膜圧電素子。
  6. 前記圧電層は、KNaNbO, LiNbO, LiTaO, BaTiO, PbTiOまたはBaSrTiOからなる請求項1記載の薄膜圧電素子。
  7. 薄膜圧電素子の製造方法であって、
    基板の供給と、
    該基板上への底部電極層の堆積と、第1の圧電層および第2の圧電層からなる圧電層の該底部電極層上への堆積と、該圧電層上への上部電極層の堆積とを有し、
    前記第1の圧電層および第2の圧電層は、異なった相構造を有し、
    前記圧電層の前記底部電極層上への堆積において、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、かつ前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、
    前記圧電層上への上部電極層の堆積において、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成される薄膜圧電素子の製造方法。
  8. 前記圧電層の前記底部電極層上への堆積において、前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有するように、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、かつ前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成される請求項7記載の薄膜圧電素子の製造方法。
  9. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、異なったTiの組成を有する請求項8記載の薄膜圧電素子の製造方法。
  10. 前記圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなる請求項8記載の薄膜圧電素子の製造方法。
  11. 薄膜圧電素子を有するマイクロアクチュエータであって、
    該薄膜圧電素子は、基板と、該基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、該圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、該上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、
    該圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、該第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、
    前記底部電極層が前記基板上に直に形成され、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成され、
    前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されているマイクロアクチュエータ。
  12. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有する請求項11記載のマイクロアクチュエータ。
  13. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、異なったTiの組成を有する請求項12記載のマイクロアクチュエータ。
  14. 前記圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなる請求項12記載のマイクロアクチュエータ。
  15. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有する請求項11〜14のいずれか一項記載のマイクロアクチュエータ。
  16. 前記圧電層は、KNaNbO, LiNbO, LiTaO, BaTiO, PbTiOまたはBaSrTiOからなる請求項11記載のマイクロアクチュエータ。
  17. サスペンションと、該サスペンションによって支持されているスライダと、該スライダを作動させるための、該サスペンション上に形成された薄膜圧電素子とを有するヘッドジンバルアセンブリであって、
    該薄膜圧電素子は、
    基板と、
    該基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、該圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、該上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、
    該圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、該第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、
    前記底部電極層が前記基板上に直に形成され、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成され、
    前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されているヘッドジンバルアセンブリ。
  18. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有する請求項17記載のヘッドジンバルアセンブリ。
  19. ヘッドジンバルアセンブリと、該ヘッドジンバルアセンブリに接続される駆動アームと、ディスクと、該ディスクを回転させるスピンドルモータとを有し、
    該ヘッドジンバルアセンブリは、サスペンションと、該サスペンションによって支持されているスライダと、該スライダを作動させるための、該サスペンション上に形成された薄膜圧電素子とを有するディスク駆動装置であって、
    該薄膜圧電素子は、
    基板と、
    該基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、該圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、該上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、
    該圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、該第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、
    前記底部電極層が前記基板上に直に形成され、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成され、
    前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されているディスク駆動装置。
  20. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有する請求項19記載のディスク駆動装置。
  21. 薄膜圧電素子を有する微小電気機械システムであって、
    該薄膜圧電素子は、
    基板と、
    該基板上に形成された圧電薄膜積層部とを有し、該圧電薄膜積層部は、上部電極層と、底部電極層と、該上部電極層および底部電極層の間に挟まれた圧電層とを有し、
    該圧電層は、第1の圧電層および第2の圧電層からなり、該第1の圧電層および第2の圧電層の組成が異なった相構造を有し、
    前記底部電極層が前記基板上に直に形成され、前記第1の圧電層が前記底部電極層上に直に形成され、前記第2の圧電層が前記第1の圧電層上に直に形成され、前記上部電極層が前記第2の圧電層上に直に形成され、
    前記第1の圧電層および前記第2の圧電層は、マイナス40℃から125℃までの温度範囲において、前記圧電層における復極電圧および分極の変化の割合がともに10%を越えない範囲に収まる相構造および組成を有するように形成されている微小電気機械システム。
  22. 前記第1の圧電層および前記第2の圧電層がPb(Zr Ti 1−x )O から形成され、かつZrの組成比がTiの組成比よりも大きく、さらに前記第1の圧電層が菱面体晶相構造を有し、かつ前記第2の圧電層が正方晶相構造を有する請求項21記載の微小電気機械システム。
  23. 前記第1の圧電層および第2の圧電層は、異なったTiの組成を有する請求項22記載の微小電気機械システム。
  24. 前記圧電層は、それぞれ異なったTiの組成を有する2以上の層からなる請求項22記載の微小電気機械システム。
  25. 前記第1の圧電層および第2の圧電層は、0.1μm〜1.5μmの範囲の厚さを有する請求項21〜24のいずれか一項記載の微小電気機械システム
  26. 前記圧電層は、KNaNbO, LiNbO, LiTaO, BaTiO, PbTiOまたはBaSrTiOからなる請求項21記載の微小電気機械システム。
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