JP6140442B2 - Al接合製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Al(アルミニウム)接合製品の製造方法に係り、特に6000系Al合金よりなる材料同士を摩擦撹拌接合した後、その接合材に対して陽極酸化処理を施して、目的とする用途に用いられるAl接合製品を製造する場合における改良された方法に関するものである。
近年、二つの部材の接合されるべき部位に回転工具を回転させながら差し込むことにより、それら被接合部材を溶融させることなく固相接合する摩擦撹拌接合方法が、特表平7−505090号公報等において提案されて以来、接合部における熱の発生が通常の溶融溶接手法より少ないために、熱歪みが発生し難く、且つ溶融してから凝固するという溶融溶接手法特有の相変化を伴わず、固体状態で接合出来ることによる接合部の健全性の点から、注目を受け、特にAl合金材の接合において、かかる摩擦攪拌接合方法が採用される分野は、年々拡大してきている。例えば、軽量化の目的から、Al合金材を用いて、自動車や鉄道車両等の輸送車両構体、IT機器筐体等を製造する際の接合に、上記の摩擦撹拌接合方法が、好適に採用されているのである。
ところで、上記した構体や筐体の設計によっては、Al接合材の接合部位が表面に位置するようになって、その使用時に利用者の目視にさらされることとなることは、よくあることである。このため、そのような表面の意匠性を高めるべく、それら構体や筐体を構成するAl接合材に対して、その接合部位も含んだ状態において、面削やショットブラスト等の表面仕上げ加工が施され、更にその後、意匠性のみならず、耐食性や耐傷付性を確保するために、陽極酸化処理が施され、それによって堅牢な陽極酸化皮膜を、Al接合材の表層に厚く生成せしめることが行なわれている。
そして、そのような陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜は、それの形成素地である母材の金属組織の影響を受けて、その色調を変化し易いことが、知られている。特に、金属組織のうち、結晶粒組織や金属間化合物の分布が不均一な部位が存在すると、そこに形成される陽極酸化皮膜は不均一な色調を呈するようになるのであり、それが、筋状やまだら状の模様となって目視されてしまい、意匠性を損なう結果をもたらすこととなるのである。また、かかる摩擦撹拌接合方法にて得られる接合部位は、固相接合にて形成されるものではあるものの、接合部位周辺の母材との間において、金属組織差を生じる部分であって、その接合後に、面削やショットブラストにより、接合部とその周辺の母材との区別がつかないように仕上げたとしても、後から陽極酸化処理を行なうと、そのような接合部とその周辺の母材との間の金属組織差に起因して、かかる接合部に筋状の模様を呈する色調差が現れ、接合材の意匠性が損なわれるようになるのである。
そこで、そのような問題を解消するために、本発明者等は、先に、特開2011−26657号公報や特開2012−149319号公報等において、JIS規格の5000系Al合金に相当する合金組成を有するAl材を対象として、そのAl合金中に分散する第二相粒子(金属間化合物)の分布状態を制御することにより、陽極酸化皮膜における色調差を解消し得ることを明らかにしたのであり、また特開2011−25275号公報や特開2012−148335号公報等において、第二相粒子(金属間化合物)の分布状態が規制されたAl合金材を用いて、所定の摩擦撹拌接合操作を実施することにより、接合部とその周辺の母材との間で第二相粒子の分布の相違がないようにして、表面の陽極酸化皮膜における色調差の発生を防止し得ることを明らかにした。
しかしながら、それらの公報において種々提案された、Al接合材における色調差の発生防止対策は、何れも、Al−Mg系合金である、JIS規格の5000系Al合金からなるAl材料を対象とするものであって、そのような対策が、他のAl材料の摩擦攪拌接合材において必ずしも有効であるとは言えないことが、本発明者の更なる研究によって明らかとなったのである。即ち、本発明者が、Al−Mg−Si系合金である、JIS規格の6000系Al合金からなる材料を用いて、摩擦攪拌接合して得られたAl接合材について種々検討した結果、5000系Al合金の場合と同様な、金属間化合物の分布状態の制御や金属間化合物の分布状態と、摩擦攪拌接合操作の組み合わせだけでは、そのような6000系Al合金材料から得られた接合材における、接合部の筋状模様の解消には不充分であることが、明らかとなったのである。
特表平7−505090号公報 特開2011−26657号公報 特開2012−149319号公報 特開2011−25275号公報 特開2012−148335号公報
かかる状況下、本発明者による更なる研究の結果、構体や筐体の素材として多用される6000系Al合金からなるAl合金材を摩擦撹拌接合してAl接合材とした後、それを陽極酸化処理してAl接合製品を得るに際して、かかる6000系Al合金中のFeの含有量を制御すると共に、所定の調質を施して、自然時効状態としたAl合金材を用いて、高入熱の摩擦攪拌接合操作を採用することによって、得られるAl接合材における接合部位とその周辺母材との間の、陽極酸化処理後の色調差が効果的に解消され得ることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
従って、本発明の解決課題とするところは、6000系Al合金よりなるAl合金材同士を摩擦撹拌接合した後に、陽極酸化処理してAl接合製品を製造する方法において、その摩擦攪拌接合部とその周辺の母材との間の色調差を解消することにある。
そして、本発明にあっては、そのような課題の解決のために、複数のAl材を摩擦攪拌接合して、一体のAl接合材を得た後、かかるAl接合材を陽極酸化処理して、その表面に陽極酸化皮膜を形成することにより、Al接合製品を製造するに際して、前記Al材として、Feの含有量を0.1質量%以下とした6000系Al合金よりなり、且つT1乃至T4のうちの何れかの調質を施して、自然時効状態としたAl合金材を用いると共に、かかるAl合金材に対して、摩擦攪拌部の温度が500℃〜580℃の範囲内となるようにして、前記摩擦攪拌接合操作を実施することを特徴とするAl接合製品の製造方法を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従うAl接合製品の製造方法の望ましい態様の一つによれば、前記6000系Al合金は、Mg:0.3〜1.5質量%、Si:0.2〜1.2質量%、Cu:0.5質量%以下、Fe:0.1質量%以下、Al及び不可避的不純物:残部からなる組成を有しているものである。
また、本発明の望ましい態様の他の一つによれば、前記Al合金材は、その摩擦攪拌接合に先立って、T1又はT4調質されてなるものである。
このように、本発明に従うAl接合製品の製造方法にあっては、摩擦攪拌接合されるべきAl合金材を与える6000系Al合金のFe含有量を0.1質量%以下に制御し、更にT1乃至T4の調質を施して、自然時効状態としたAl合金材を用いると共に、摩擦攪拌部の温度が500℃〜580℃の範囲内となるようにして、高入熱の摩擦攪拌接合操作を実施することにより、Al−Fe系やAl−Fe−Si系の金属間化合物の粗大化を阻止し、またMg−Si系金属間化合物の析出を効果的に抑制乃至は阻止して、それら金属間化合物が金属組織内に固溶せしめられるようにして、摩擦攪拌接合部とその周辺の母材部との間における金属間化合物の分布が均一となるようにしたのであり、これにより、接合材の表面に陽極酸化皮膜が形成されても、摩擦攪拌接合部位とその周囲の母材部位との間に色調差が生じるようなことが、効果的に阻止され得ることとなったのであり、以て、意匠性に優れたAl接合製品を有利に得ることが出来るのである。
ところで、かかる本発明に従うAl接合製品の製造方法において、摩擦攪拌接合せしめられるAl合金材は、基本的には、JIS規格の6000系Al(アルミニウム)合金であって、Fe含有量が0.1質量%以下であるものにて、構成されている。この合金成分であるFe(鉄)は、Al−Fe系やAl−Fe−Si系からなる金属間化合物を形成するものであり、このFe含有量が0.1質量%を超えるようになると、平均粒径が5μmを超える粗大なAl−Fe系及びAl−Fe−Si系金属間化合物が形成され易くなるのである。因みに、摩擦攪拌接合操作において、回転工具のプローブが差し込まれて形成される摩擦攪拌部における攪拌中心部では、プローブの回転による攪拌によって、粗大なFe含有金属間化合物は優先的に粉砕されるようになるが、撹拌周縁部においては、プローブの回転による撹拌によって粉砕されなかった粗大な金属間化合物も含んだ状態で分散するようになるところから、これが、陽極酸化皮膜の色調差の原因となるのである。このため、本発明にあっては、そのようなAl合金中のFeの含有量が0.1質量%以下となるように制御されるのである。なお、その他の合金成分、例えば、Mg、Si、Cu、Mn、Cr、Zn、Ti等は、通常の6000系Al合金と同様な割合において含有せしめることが可能である。
しかしながら、本発明にあっては、そのようなFe含有量を0.1質量%以下とした6000系Al合金として、特に、Mg:0.3〜1.5質量%、Si:0.2〜1.2質量%、Cu:0.5質量%以下、Fe:0.1質量%以下、Al及び不可避的不純物:残部からなる組成を有するAl合金が、有利に用いられることとなる。このような合金組成のAl合金を用いることにより、本発明の目的がより一層達成され易くなるのである。
そのようなAl合金において、Mg(マグネシウム)は、Mg−Si系化合物による析出効果により、構体や筐体の強度の調整に寄与する成分となるものであり、その含有量が0.3質量%未満では、充分な強度を付与することが困難となる問題があり、一方1.5質量%を超えるようになると、強度が高過ぎて、成形が難しくなる問題がある。より好ましくは、強度の確保と成形の容易性との兼ね合いを考慮して、Mgは、0.4〜1.2質量%、更に好ましくは0.5〜1.2質量%の範囲において用いられることとなる。また、Si(ケイ素)は、上記したMgと同様に、Mg−Si系化合物の析出硬化により、Al合金材の強度の調整に寄与する成分となるものであり、その含有量が、0.2質量%未満では、充分な強度を付与することが困難となるのであり、一方1.2質量%を超えるようになると、強度が高過ぎて、成形が難しくなる問題がある。なお、かかるSiの含有量に関して、好ましくは、強度の確保と成形の容易性との兼ね合いを考慮して、0.3〜1.0質量%、より好ましくは0.4〜0.9質量%の範囲内とされる。更に、Cu(銅)は、陽極酸化処理後の皮膜全体の色調を均質にするために寄与する成分であって、その含有量が0.5質量%を超えるようになると、陽極酸化処理後の皮膜が、Al−Mg−Si−Cu系の微細析出物の影響により、混濁し易くなる問題を惹起するようになる。なお、そのようなCu含有量の好ましい範囲は、0.4質量%以下である。
そして、そのような合金組成を有する6000系Al合金からなるAl合金材は、所定の調質によって自然時効の状態とされた後、摩擦攪拌接合操作に供されることとなるのである。なお、このAl合金材を自然時効状態とする調質には、公知のT1、T2、T3及びT4の各処理のうちの何れかが選択されることとなる。そこにおいて、T1処理(調質)は、熱間圧延や熱間押出の如き熱間加工を施し、そして冷却した後、自然時効させたものであり、例えば押出し材のように高温の製造工程から冷却後、積極的に冷間加工を行なわずに、充分に安定な状態まで自然時効させるようにした処理である。また、T2処理は、熱間加工から冷却後、冷間加工を行ない、更に自然時効させたものであり、例えば押出し材のように高温の製造工程から冷却後、強度の増加のために冷間加工を行ない、更に充分に安定な状態まで自然時効をさせる処理である。更に、T3処理は、溶体化処理の後、冷間加工を行ない、更に自然時効させたものであって、例えば熱間加工から冷却後、溶体化処理し、次いで強度を増加させるための冷間加工を行ない、その後、更に充分に安定な状態まで自然時効させる処理である。加えて、T4処理は、溶体化処理後、自然時効させるものであって、例えば熱間加工から冷却後、溶体化処理し、その後冷間加工を行なうことなく、充分に安定な状態まで自然時効させる処理である。これらの調質の中でも、本発明にあっては、T1処理やT4処理が有利に採用されることとなる。
このように、人工時効を行なうことなく、自然時効状態としたAl合金材の金属組織は、Mg−Si系化合物が全体的に固溶した状態となっているのであり、このため、そのような金属組織を有するAl合金材を用いて、後述の如き、高入熱の摩擦攪拌接合を実施することにより、その接合部と接合部周辺の母材との間におけるMg−Si系化合物の分布状態の均一化がより有効に図られ得て、本発明の目的とする陽極酸化皮膜の色調差の解消が有利に実現され得ることとなるのである。
これに対して、人工時効処理を行なうT5乃至T10の何れかの調質を採用した場合にあっては、Al合金材の金属組織は、Mg−Si系化合物が全体に析出した状態となり、その析出物によって硬化した状態となっているのである。このため、そのような状態にあるAl合金材同士を摩擦撹拌接合すると、その接合部におけるMg−Si系化合物は、摩擦熱により再固溶した状態となって、かかる接合部とその周辺の母材との間におけるMg−Si系化合物の分布状態は大きく異なるものとなるのである。そして、そのような分布状態の差は、その後の自然時効によっても、また、再度人工時効させても、解消されることはないのである。その結果、そのようなMg−Si系化合物の分布状態に差のあるAl接合材を陽極酸化処理すると、接合部とその周辺の母材部分に形成された陽極酸化皮膜において色調差が生じるようになるのである。
そして、本発明にあっては、上述の如きT1乃至T4の何れかの調質が施されて、自然時効状態にあるAl合金材を用いて、その複数を、突き合わせ或いは重ね合わせ、その突き合わせ部位又は重ね合わせ部位に対して、従来と同様な回転工具を用いて、摩擦撹拌接合操作が実施されて、目的とする一体のAl接合材が形成されることとなるが、その際、摩擦攪拌部の温度が500℃〜580℃の範囲内となるような高入熱下において、摩擦攪拌接合操作が進行せしめられることとなるのである。このように、摩擦攪拌部の温度が500℃以上となるような、高入熱の摩擦攪拌接合を採用することにより、摩擦攪拌部(接合部)全域において、Mg−Si系化合物の析出が効果的に抑制されることとなり、接合部周辺の母材との間において、Mg−Si系化合物の分布差がなくなり、そのために、陽極酸化処理後の色調差も惹起されることがないのである。なお、そのような摩擦攪拌部の温度は、更に、540℃以上とされることがより望ましいのである。また、かかる摩擦攪拌部の温度が580℃を超えるようになると、Al合金材(母材)が溶融する恐れが生じるため、摩擦攪拌部の温度の上限は、580℃以下とされることとなる。
一方、このような摩擦撹拌部の温度が500℃未満となる、低入熱の摩擦攪拌接合操作を実施すると、摩擦攪拌部でも、特に摩擦熱の小さな領域となる周縁部において、Mg−Si系化合物の析出が惹起されるようになり、そのために、Mg−Si系化合物の分布差が生じて、陽極酸化処理後の色調差が惹起されるようになるのである。
ところで、かかる摩擦攪拌部の温度は、主として、それを形成する回転工具のピン(プローブ)の回転数と、Al合金材の接合方向への回転工具の移動速度、換言すれば接合速度に依存し、かかる回転数が高くなったり、或いは接合速度が遅くなったりすると、摩擦攪拌部の温度が高くなり、高入熱を得ることが出来るところから、本発明にあっては、それら回転数や接合速度を調節して、摩擦攪拌部の温度が500℃以上となるようにして、摩擦攪拌接合操作が行なわれることとなる。具体的には、そのような摩擦攪拌部の温度を実現すべく、実用的な回転数として2000rpm程度以上が有利に採用され、また接合速度としては1000mm/分程度以下が有利に採用されることとなる。
また、本発明における摩擦攪拌接合操作には、公知の摩擦攪拌接合手法が何れも採用され得るところであり、そして、用いられる回転工具にあっても、公知の各種の構造のもの、例えば特表平7−505090号公報等に開示の如き固定ピン方式、特開2001−259863号公報や特開2011−218363号公報等に開示の如き可動ピン方式、特開2003−154471号公報等に開示の如きボビンツール方式、特開2009−18312号公報に開示の如きセルフリアクティングピン方式等の、各種のタイプの回転工具を利用することが可能である。本発明では、このような回転工具を用いて、複数のAl合金材が線接合せしめられる他、点接合されて、Al接合材を得ることも可能である。
さらに、摩擦攪拌接合せしめられるAl合金材の数にあっても、その2つを突き合わせたり、或いは重ね合わせたりして、その突き合わせ部位や重ね合わせ部位を接合せしめる方式の他、3つ以上のAl合金材を順次組み合わせて(突き合わせ又は重ね合わせ)、その組み合わせ部位を順次接合する方式を採用したり、或いは、3つ以上のAl合金材を重ね合わせたり、或いは突き合わせたりして、その重ね合わせ部位や突き合わせ部位を接合せしめる方式等を採用して、目的とする構造の、一体のAl接合材を形成することが出来るのである。
そして、かくの如く摩擦攪拌接合して得られたAl接合材には、その接合部位も含んだ状態で、面削やショットブラスト等による表面仕上げ加工が、従来と同様にして施された後、更に公知の陽極酸化処理が施されて、Al接合材の表面に、堅牢な陽極酸化皮膜が、従来と同様にして形成されることとなるのであるが、上述の如く、本発明に従って得られたAl接合材には、その接合部とその周辺の母材との間において、Mg−Si系化合物の分布差がない状態とされているところから、かかる形成された陽極酸化皮膜に色調差が生じることはなく、意匠性に優れたAl接合製品を得ることが出来るのである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記表1に示される組成を有するAl合金A及びBを用いて、それぞれ、半連続鋳造法により、200mmφのビレットを造塊した。なお、かかる鋳造時の冷却速度は、ビレット中央部と表層部との間でバラツキがあるが、概ね1〜3℃/秒であって、それらビレット中央部と表層部との間の鋳造組織差の殆どないビレットを得た。次いで、その得られた200mmφのビレットに対して、550℃の温度で12時間の保持時間による均質化処理を施し、その後、そのままの温度で熱間押出を実施し、厚さ:4mm、幅:60mmのフラットバー状の成形品とした後、冷却し、そして自然時効させることにより、T1調質品を得た。また、かかる熱間押出品を冷却した後、520℃で1時間の溶体化処理を施し、次いで水焼入れを行なった後、自然時効することにより、T4調質品を製造した。更に、そのような焼入れを行なった成形品を、175℃で、8時間の人工時効処理を施すことにより、T5調質品も製造した。
Figure 0006140442
その後、かかる3種の調質材を用いて、それぞれ、切削により、厚さ:3.5mm、幅:50mm、長さ:150mmの板材を複数枚作製し、同じ調質の板材(フラットバー)同士を突き合せて、その突き合せ部を、固定ピン方式の回転工具を用いて、高入熱又は低入熱条件下において摩擦撹拌接合した。なお、固定ピン方式の回転工具は、回転せしめられるロッド状の本体の先端のショルダー面の中心に、所定高さの円錐台形状のプローブ(ピン)を設けて、かかるプローブを、接合部位である突き合わせ部に差し込んで、回転させるようにしたものであって、ここでは、ショルダ直径:10mmφ、プローブ直径:3.5mmφ(根元)、3mmφ(先端)、プローブ高さ:1.3mmのものが用いられた。また、摩擦攪拌接合に際しての回転工具の前進角は、何れも、5°とした。更に、高入熱の摩擦攪拌接合条件としては、回転工具の回転数:2700rpm、接合速度:100mm/分が採用され、また低入熱の摩擦攪拌接合条件としては、回転工具の回転数:1000rpm、接合速度:500mm/分の条件が採用された。そして、かかる高入熱の摩擦攪拌接合操作によって、摩擦攪拌部の温度は540〜550℃となり、また低入熱の摩擦攪拌接合操作では、摩擦撹拌部の温度は450℃以下であった。
そして、かかる摩擦攪拌接合操作にて得られた各々の接合材について、その接合部も含めた接合面を、フライス盤を用いて面削して、その表層を0.5mm削除した後、ショットブラストにより粗面化仕上げを行なって、それぞれの接合材に対応した各種の試験材を得た。その後、それらの試験材について、その接合表面に対して、硫酸による陽極酸化処理を施し、厚さが10μmの陽極酸化皮膜を形成した。そして、その得られた各試験材における陽極酸化皮膜の色調差を目視にて観察し、その結果を、下記表2に示した。
Figure 0006140442
かかる表2の結果から明らかなように、本発明に従う合金AからなるAl合金材のT1調質又はT4調質したものを、高入熱の摩擦攪拌接合操作にて接合して得られたAl接合材(試験材1、3)にあっては、その接合部とそれ以外の部分との間で、陽極酸化皮膜の色調差は認められず、意匠性に優れたものであった。これに対して、合金AからなるAl合金材であっても、T5調質のものを用いたり、或いは低入熱の摩擦攪拌接合操作にて接合したり、或いは、Fe含有量の多い合金BからなるAl合金材を用いたりした場合にあっては、陽極酸化処理された試験材2、4〜12における接合部とそれ以外の部分との間で、陽極酸化皮膜の色調差が存在することが認められた。

Claims (2)

  1. 複数のAl材を摩擦攪拌接合して、一体のAl接合材を得た後、かかるAl接合材を陽極酸化処理して、該Al接合材の表面に陽極酸化皮膜を形成することにより、Al接合製品を製造するに際して、
    前記Al材として、Mg:0.3〜1.5質量%、Si:0.2〜1.2質量%、Cu:0.5質量%以下、Fe:0.1質量%以下、Al及び不可避的不純物:残部からなる組成を有するAl合金よりなり、且つT1乃至T4のうちの何れかの調質を施して、自然時効状態としたAl合金材を用いると共に、かかるAl合金材に対して、摩擦攪拌部の温度が500℃〜580℃の範囲内となるようにして、前記摩擦攪拌接合操作を実施することにより、Al−Fe系及びAl−Fe−Si系金属間化合物の粗大化を阻止し、且つMg−Si系金属間化合物の析出を抑制乃至は阻止しつつ、前記Al接合材を形成し、そしてそのAl接合材に対して、前記陽極酸化処理を実施するようにしたことを特徴とするAl接合製品の製造方法。
  2. 前記Al合金材が、T1又はT4調質されたものである請求項1に記載のAl接合製品の製造方法。
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