JP6136489B2 - 多層構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性及び燃料バリア性に優れた多層構造体に関する。
従来、ポリオレフィン製のホース、チューブ及びパイプ等の筒状成形体は、その耐薬品性の高さから幅広い用途に使用されており、例えば、各家屋に水道水を供給するための水道配管として使用されている。
各家屋に水道水を供給する際、水道本管から各家屋までの地中に水道配管が埋設されている。ポリオレフィン製の中でもポリエチレン製の筒状成形体は、軽量で柔軟性に優れ、巻き芯に巻き付けて水道配管を埋める現場に運ぶのに好適である等の理由から、水道配管には通常、ポリエチレン管が用いられ、広く普及している。
一方で、灯油配管等の燃料配管も地中に埋設されており、この燃料配管は主に銅製のものが多く、燃料配管の劣化に起因して土中に燃料の漏れが僅かに生じることがある。そのため、地中に埋設されている水道配管付近に燃料配管が埋設されている場合、ポリエチレン管中の水に燃料配管から漏れた燃料が浸透し、水道水に燃料臭がつくという問題が生じている。
上記問題を解決するために、例えば特許文献1では、樹脂層と金属層が積層された金属ラミネートフィルムを水道配管用保護カバーとし、地中に埋設される水道配管を上記水道配管用保護カバーで被覆する手法が提案されている。
特許第4230060号公報
しかしながら、上記手法では、一度成形した配管に更に保護カバーを覆う加工を施す必要があるため、水道配管の生産性に劣り、作業も煩雑となり実用的とはいい難い。そのため、保護カバー等を必要とせずに水道配管単独の燃料バリア性が求められている。
そこで本発明は、ポリオレフィン製の優れた柔軟性を有しつつ、水道配管に適用できる柔軟性及び燃料バリア性に優れた多層構造体を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリオレフィン層と特定のポリエーテルポリアミド層とを有する多層構造とすることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の多層構造体に関する。
<1> ポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有する多層構造体であって、上記ポリエーテルポリアミド層(B)が、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むポリエーテルポリアミド(b)を含有する多層構造体。
(式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。)
<2> 多層構造体が筒状成形体である、上記多層構造体。
<3> 水道配管である上記多層構造体。
本発明は、ポリオレフィン製筒状成形体の優れた柔軟性を有しつつ、柔軟性及び燃料バリア性に優れた多層構造体を提供することができ、更に多層構造体の上記特性を有する水道配管を提供することができる。
本発明の多層構造体は、少なくともポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を構成層として有するものであり、以下に具体的態様の例について説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、本発明の多層構造体の効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨であり、具体的には、各層を構成する成分全体の約80質量%以上、好ましくは90質量%以上100質量%以下の範囲を占める成分である。ただし、「主成分とする」とは、上記含有量に特定するものではない。
[ポリオレフィン層(A)]
ポリオレフィン層(A)は、ポリオレフィン樹脂を主成分として含む層である。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができ、単独重合体であっても共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂の中でも柔軟性、耐候性、耐塩素性を有する点からポリエチレンが好ましい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等を用いることができる。
また、共重合体としては、エチレン又はプロピレンと、これらと共重合することができる単量体との共重合体を用いることができ、エチレン又はプロピレンと共重合することができる単量体として、例えばα−オレフィン、スチレン類、ジエン類、環状化合物、酸素原子含有化合物等が挙げられる。
上記α−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。上記スチレン類としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等が挙げられる。上記ジエン類としては、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等が挙げられる。上記環状化合物としては、ノルボルネン、シクロペンテン等が挙げられる。酸素原子含有化合物としては、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等が挙げられる。これら共重合することができる単量体は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、エチレンとプロピレンとの共重合体であってもよい。
共重合体は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであってもよい。
またポリオレフィン樹脂には、少量のアクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体によって変性された変性ポリオレフィン樹脂が含まれていてもよい。変性は、通常、共重合又はグラフト変性によって行われる。
[ポリエーテルポリアミド層(B)]
ポリエーテルポリアミド層(B)は、ポリエーテルポリアミド(b)を主成分として含む層である。ポリエーテルポリアミド(b)は、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含む、ポリエーテルポリアミドである。
本発明の多層構造体は上記ポリエーテルポリアミド層(B)を含むことで、ポリオレフィン層の柔軟性を損なわず、優れた燃料バリア性を発現することができる。
式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。
(ジアミン構成単位)
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含む。
上記ジアミン構成単位中における、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位の合計含有量は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、より更に好ましくは90〜100モル%である。
〈ポリエーテルジアミン化合物(b−1)〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位を含む。上記一般式(1)における(x+z)は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20であり、より更に好ましくは2〜15である。また、yは1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。x、y、zの値が上記範囲より大きい場合、溶融重合の反応途中に生成するキシリレンジアミンとジカルボン酸とからなるオリゴマーやポリマーとの相溶性が低くなり、重合反応が進行しづらくなる。
また、上記一般式(1)における−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。
ポリエーテルジアミン化合物(b−1)の数平均分子量は、好ましくは180〜5700、より好ましくは200〜4000、更に好ましくは300〜3000、より更に好ましくは400〜2000、より更に好ましくは500〜1800である。ポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量が上記範囲内であれば、柔軟性やゴム弾性等の機能を発現するポリマーを得ることができる。
上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)は、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表されるポリエーテルジアミン化合物であることが好ましい。
一般式(1−1)中、x1+z1は1〜60、y1は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
一般式(1−2)中、x2+z2は1〜60、y2は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
上記一般式(1−1)における(x1+z1)の数値は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20であり、より更に好ましくは2〜15である。また、y1の数値は1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
上記一般式(1−2)における(x2+z2)の数値は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20であり、より更に好ましくは2〜15である。また、y2の数値は1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
なお、これらのポリエーテルジアミン化合物(b−1)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(1−1)で表されるポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量は、好ましくは204〜7000、より好ましくは250〜5000、更に好ましくは300〜3500、より更に好ましくは400〜2500、より更に好ましくは500〜1800である。
上記一般式(1−2)で表されるポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量は、好ましくは180〜5700、より好ましくは200〜4000、更に好ましくは300〜3000、より更に好ましくは400〜2000、より更に好ましくは500〜1800である。
〈キシリレンジアミン(b−2)〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、キシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含む。キシリレンジアミン(b−2)としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物が好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物がより好ましく、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物が更に好ましい。
キシリレンジアミン(b−2)がメタキシリレンジアミンに由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは、柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れたものとなる。
キシリレンジアミン(b−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物に由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れ、更に高耐熱性、高弾性率を示す。
キシリレンジアミン(b−2)として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物を用いる場合には、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは5〜70モル%である。パラキシリレンジアミンの割合が上記範囲であれば、得られるポリエーテルポリアミドの融点が、該ポリエーテルポリアミドの分解温度に近接せず好ましい。
ポリエーテルポリアミド(b)のジアミン構成単位中におけるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位の割合は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは5〜25モル%である。ポリエーテルポリアミド(b)のジアミン構成単位中におけるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位の割合が上記範囲内であれば、得られるポリエーテルポリアミド樹脂は、柔軟性、燃料バリア性に優れたものとなる。
〈その他のジアミン化合物〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、前記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(ジカルボン酸構成単位)
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含む。
上記ジカルボン酸構成単位中における、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%である。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらの中でも結晶性、高弾性の観点から、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに柔軟性の観点からセバシン酸がより好ましい。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
〈その他のジカルボン酸〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とイソフタル酸との混合物を使用する場合、ポリエーテルポリアミド(b)の耐熱性及び成形加工性を向上させることができる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とイソフタル酸とのモル比(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)/イソフタル酸)は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
(ポリエーテルポリアミド(b)の物性)
ポリエーテルポリアミド(b)は、キシリレンジアミン(b−2)と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とから形成される高結晶性のポリアミドブロックをハードセグメントとし、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)由来のポリエーテルブロックをソフトセグメントとすることで、溶融成形性及び成形加工性に優れる。更に得られたポリエーテルポリアミドは強靭性、柔軟性、結晶性、耐熱性等に優れる。
ポリエーテルポリアミド(b)の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。相対粘度は、試料0.2gを96%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリエーテルポリアミド(b)の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜260℃の範囲である。融点は、示差走査熱量計を用いて測定される。
ポリエーテルポリアミド(b)の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは100%以上、より好ましくは200%以上、更に好ましくは250%以上、更に好ましくは300%以上である。
ポリエーテルポリアミド(b)の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械強度の観点から、好ましくは100MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは300MPa以上、更に好ましくは400MPa以上、更に好ましくは500MPa以上である。
引張弾性率及び引張破断伸び率の測定は、JIS K7161に準じて行われる。
ポリエーテルポリアミド(b)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000〜50000、より好ましくは3000〜30000、更に好ましくは5000〜25000、より更に好ましくは7000〜22000である。
なお、ポリエーテルポリアミド(b)の数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
(ポリエーテルポリアミド(b)の製造)
ポリエーテルポリアミド(b)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリエーテルポリアミド(b)を製造することができる。また、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリエーテルポリアミド(b)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
この際、ジアミン成分のうち、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)については、ジカルボン酸成分とともに予め反応槽内に仕込んでおいてもよい。ポリエーテルジアミン化合物(b−1)を予め反応槽内に仕込んでおくことで、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)の熱劣化を抑制することができる。その場合もまた、反応系を均一な液状態で保つために、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)以外のジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)と、ジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)とのモル比(ジアミン成分/ジカルボン酸成分)は、好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.93〜1.07の範囲、更に好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは0.97〜1.02の範囲である。モル比が上記範囲内であれば、高分子量化が進行しやすくなる。
重合温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは160〜280℃、更に好ましくは170〜270℃である。重合温度が上記温度範囲内であれば、重合反応が速やかに進行する。また、モノマーや重合途中のオリゴマー、ポリマー等の熱分解が起こりにくいため、得られるポリエーテルポリアミドの性状が良好なものとなる。
重合時間は、ジアミン成分を滴下し始めてから通常1〜5時間である。重合時間を上記範囲内とすることにより、ポリエーテルポリアミド(b)の分子量を十分に上げることができ、更に得られたポリエーテルポリアミド(b)の着色を抑えることができる。
ポリエーテルポリアミド(b)は、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが好ましい。溶融重縮合法としては、常圧で溶融させたジカルボン酸成分中にジアミン成分を滴下し、縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
ポリエーテルポリアミド(b)の重縮合系内には、その特性が阻害されない範囲で、リン原子含有化合物を添加できる。添加できるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、良好な外観及び成形加工性の観点から、ポリエーテルポリアミド(b)中のリン原子濃度換算で、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜1000ppm、更に好ましくは10〜1000ppmである。
また、ポリエーテルポリアミド(b)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリマーの着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリマーのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が0.5〜1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95であり、更に好ましくは0.6〜0.9である。上記範囲内であると、リン原子含有化合物のアミド化反応促進を適度に抑制する効果があり、反応を抑制しすぎることにより重縮合反応速度が低下し、ポリマーの熱履歴が増加してポリマーのゲル化が増大することを避けることができる。
溶融重縮合で得られたポリエーテルポリアミド(b)は、一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。
[層構成及び成形方法]
本発明の多層構造体は、ポリオレフィン層(A)(以下、(A)層と略記することがある)及びポリエーテルポリアミド層(B)(以下、(B)層と略記することがある)を、それぞれ1層又は2層以上有することができる。具体的には、以下に示すような層構成が挙げられ、押出機を用いて多層ダイにより共押出する層構成であることが好ましい。
(1)2種2層構成;具体的には、(A)層/(B)層、(B)層/(A)層など。
(2)2種3層構成;具体的には、(A)層/(B)層/(A)層、(B)層/(A)層/(B)層など。
(3)2種4層構成;具体的には、(A)層/(B)層/(A)層/(B)層、(B)層/(A)層/(B)層/(A)層など。
なお、本明細書において、多層構造体が筒状成形体である場合、例えばX/Y/Zの表記は、ことわりのない限り内側からX、Y、Zの順に積層していることを示す。また、多層構造体が(A)層を複数層有する場合、複数の(A)層は同一でも異なっていてもよく、(B)層についても同様である。
また、本発明の多層構造体は、その特性から筒状成形体であることが好ましい。筒状成形体としては、例えば、パイプ、ホース、チューブ等の筒状で、中が空洞になったものであり、空洞部分に液体や気体を一方から他方へと移動させることができるものである。
多層構造体が筒状成形体である場合、燃料バリア性、耐候性、耐塩素性等の点から、筒状成形体の空洞部分すなわち内側から、(A)層及び(B)層の順の層構成を少なくとも有することが好ましい。
層構成は筒状成形体の用途に応じ好ましい態様を選択すればよいが、柔軟性と燃料バリア性とのバランス及び経済性の観点から、内側から(A)層/(B)層の2種2層構成及び(A)層/(B)層/(A)層の2種3層構成がより好ましい。
筒状成形体の厚みは、用途に応じ適宜特定すればよい。
ポリエーテルポリアミド層(B)の厚みは、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましい。ポリエーテルポリアミド層(B)の厚みが10μm以上であれば、燃料バリア性の効果が好適に発揮される。
また、筒状成形体の厚みに対するポリエーテルポリアミド層(B)の厚みの割合は、0.005〜0.5であることが好ましく、0.008〜0.2であることがより好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。筒状成形体の厚みに対するポリエーテルポリアミド層(B)の厚みが0.005以上であれば、十分な燃料バリア性を発揮することができ、0.5以下であれば柔軟性と燃料バリア性とのバランスに優れ、筒状成形体とする際の成形性にも優れる。
筒状成形体の成形方法は特に限定されるものではなく、公知の技術を採用して製造することができる。例えば、各層を構成する樹脂ごとにそれぞれ溶融混練し、各溶融樹脂を多層構造に成形できるダイを備えた多層チューブ押出成形機に供給して、常法に従って成形すればよい。また予めポリオレフィン層(A)からなる内層を所定の形状に成形した後、クロスヘッドダイ等から溶融したポリエーテルポリアミド(b)を被覆し、ポリエーテルポリアミド層(B)を設け、内側から(A)層/(B)層の構成としても良く、さらにこの多層構造体に対し、ポリオレフィン(A)層を被覆し、内側から(A)層/(B)層/(A)層の多層構造体としても良い。
ポリオレフィン層(A)の主成分であるポリオレフィン樹脂を溶融混練し、ポリオレフィン層(A)を押出成形する際には、その押出温度を、主成分であるポリオレフィン樹脂の融点以上かつ、主成分であるポリオレフィン樹脂の融点より150℃高い温度以下の範囲に設定することが好ましく、主成分であるポリオレフィン樹脂の融点より20℃高い温度以上かつ、主成分であるポリオレフィン樹脂の融点より120℃高い温度以下に設定することがより好ましい。押出温度をポリオレフィン樹脂の融点以上とすることで、ポリオレフィン樹脂の固化を抑制することができ、ポリオレフィン樹脂の融点より150℃高い温度以下とすることで、ポリオレフィン樹脂の熱劣化を抑制することができる。
ポリエーテルポリアミド層(B)の主成分であるポリエーテルポリアミド(b)を溶融混練し、ポリエーテルポリアミド層(B)を押出成形する際には、その押出温度を、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点以上かつ、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より80℃高い温度以下の範囲に設定することが好ましく、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より10℃以上高い温度かつ、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より60℃高い温度以下の範囲に設定することがより好ましい。押出温度をポリエーテルポリアミド(b)の融点以上とすることで、ポリエーテルポリアミド(b)の固化を抑制することができ、ポリエーテルポリアミド(b)の融点より80℃高い温度以下の範囲に設定することで、ポリエーテルポリアミド(b)の熱劣化を抑制することができる。
多層チューブ押出成形機内でポリオレフィン層(A)とポリエーテルポリアミド層(B)を積層する場合には、積層後の樹脂流路の温度を、ポリエーテルポリアミド(b)の融点以上かつ、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より80℃高い温度以下の範囲に設定することが好ましく、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より10℃以上高い温度かつ、主成分であるポリエーテルポリアミド(b)の融点より60℃高い温度以下の範囲に設定することがより好ましい。積層後の樹脂流路の温度をポリエーテルポリアミド(b)の融点以上とすることで、ポリエーテルポリアミド(b)の固化を抑制することができ、ポリエーテルポリアミド(b)の融点より80℃高い温度以下の範囲に設定することで、ポリエーテルポリアミド(b)の熱劣化を抑制することができる。
また、本発明の多層構造体には、前述のポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)の他に、本発明の効果を損なわず必要に応じた特性を付与するために押出成形可能な樹脂層を設けることができる。
上記樹脂層としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂から形成されるものが挙げられる。
また、本発明の多層構造体を構成する前述のポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)、並びに必要に応じ設けることができる上記樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、フィラー、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、繊維状強化材、可塑剤、潤滑剤、耐熱剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、添加剤の含有量は、その種類に応じた通常の含有量の範囲で用いればよい。
また内側から(A)層/(B)層/(A’)層として積層する場合、内側の(A)層、中間の(B)層、外側の(A’)層とで添加剤の種類、量が異なっても良い。例えば内側の(A)層と外側の(A’)層の着色剤の組み合わせを変え、他の樹脂チューブとの判別を容易にすることもできる。
本発明の多層構造体は、前述のポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有するものであり、ポリオレフィン製の軽量で優れた柔軟性を損なわず、柔軟性及び燃料バリア性に優れる特性を有する。そのため、上記多層構造体は、巻き芯に巻き付けて運搬しても皺寄り等の外観不良が起きず、所望するように曲げて行う配管作業に便利で、また灯油等の燃料の浸透を防ぐための被覆材を必要としない水道配管として、特に供水用の水道配管として好適である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例及び比較例において各種評価は以下の方法により行った。
(1)柔軟性評価
実施例及び比較例で得られた筒状成形体を直径600mmの巻き芯に巻き付けて、23℃にて24時間放置した。その後の筒状成形体を巻き芯から外し、皺寄りが生じているかを目視にて評価した。
(2)石油臭気評価(燃料バリア性)
実施例及び比較例で得られた筒状成形体を直径600mmの巻き芯に巻き付けて、灯油で満たした容器内にその半周が灯油に浸漬するように固定し、23℃にて1週間放置した。その後、灯油に浸漬させたままの状態で、筒状成形体内に水道水を入れ、更に24時間放置した後、水道水を抜き出し、抜き出した水道水について灯油の臭気を評価した。
また、製造例及び比較製造例における各種測定は以下の方法により行った。
(1)相対粘度(ηr)
試料0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)数平均分子量(Mn)
まず試料をフェノール/エタノール混合溶媒、及びベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。数平均分子量は、アミノ末端基濃度及びカルボキシル末端基濃度の定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2]:アミノ末端基濃度(μeq/g)
[COOH]:カルボキシル末端基濃度(μeq/g)
(3)示差走査熱量測定(ガラス転移温度、結晶化温度及び融点)
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計(株式会社島津製作所製、商品名:「DSC−60」)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tch及び融点Tmを求めた。
[ポリエーテルアミドの製造]
実施例におけるポリエーテルポリアミド層(B)を形成するポリエーテルアミドとして、以下の製造例で製造したものを使用した。
(製造例1)ポリエーテルポリアミドb1の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸768.55g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6644g及び酢酸ナトリウム0.4628gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)344.18gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)147.50g(モル比(MXDA:PXDA=70:30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)ED−900、米国HUNTSMAN社のカタログによれば、前記一般式(1−2)における−OR1−が−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−であり、x2+z2の概数が6.0、y2の概数が12.5であり、概略分子量は900である)171.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドb1を得た。相対粘度=1.48、[COOH]=66.91μeq/g、[NH2]=82.80μeq/g、Mn=13360、Tg=27.6℃、Tch=72.8℃、Tm=207.6℃。
(製造例2)ポリエーテルポリアミドb2の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸687.65g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6612g及び酢酸ナトリウム0.4605gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)291.74gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)125.03g(モル比(MXDA:PXDA=70:30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)ED−900、詳細は上記と同様)306.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドb2を得た。相対粘度=1.36、[COOH]=66.35μeq/g、[NH2]=74.13μeq/g、Mn=14237、Tg=16.9℃、Tch=52.9℃、Tm=201.9℃。
(製造例3)ポリエーテルポリアミドb3の製造
撹拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸748.33g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6565g及び酢酸ナトリウム0.4572gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)335.12gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)143.62g(モル比(MXDA:PXDA=70:30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、米国HUNTSMAN社のカタログによれば、前記一般式(1−1)における−OR1−が−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−であり、x1+z1の概数が6.0、y1の概数が9.0であり、概略分子量は1000である)185.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドb3を得た。相対粘度=1.45、[COOH]=55.19μeq/g、[NH2]=70.61μeq/g、Mn=15898、Tg=50.3℃、Tch=83.0℃、Tm=208.1℃。
(製造例4)ポリエーテルポリアミドb4の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸657.68g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6626g及び酢酸ナトリウム0.4578gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)407.58gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)174.68g(モル比(MXDA:PXDA=70:30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)ED−900、詳細は上記と同様)202.50gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドb4を得た。相対粘度=1.51、[COOH]=48.53μeq/g、[NH2]=88.72μeq/g、Mn=14572、Tg=59.5℃、Tch=98.0℃、Tm=249.9℃。
比較例において、ポリエーテルポリアミド層(B)に替えて、以下の比較製造例で製造したポリエーテルアミドb5及びポリアミドb6から形成される層を使用した。
(比較製造例1)ポリエーテルポリアミドb5の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器に12−アミノラウリン酸(東京化成工業株式会社製)753.66g、アジピン酸56.84g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.5798g及び酢酸ナトリウム0.4038gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。240℃まで徐々に昇温しながら、そこへポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、詳細は上記と同様)388.89gを滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドb5を得た。相対粘度=1.25、[COOH]=87.27μeq/g、[NH2]=73.12μeq/g、Mn=12470、Tm=165.0℃。
(比較製造例2)ポリアミドb6の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.2g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6365g及び酢酸ナトリウム0.4434gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)390.89gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)167.53g(モル比(MXDA:PXDA=70:30))の混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリアミドを得た。相対粘度=2.20、[COOH]=81.8μeq/g、[NH2]=26.9μeq/g、Mn=18400、Tg=65.9℃、Tch=100.1℃、Tm=213.8℃。
[実施例1〜4]
ポリオレフィン層(A)を形成するポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ノバテックLL UF240、融点123℃)、及びポリエーテルポリアミド層(B)を形成する前記ポリエーテルポリアミドb1〜b4を表1に示すとおり用い、2台の押出機と、2種3層の多層構造体を形成する流路とを備えた多層チューブ押出成形機にて、表1に示す成形温度で筒状成形体を成形した。
この筒状成形体は、厚み5mmで、内側から(A)層/(B)層/(A)層の層構成であり、筒状成形体の外径は30mm、内径は20mmで、(B)層の厚みは0.2mm、内側及び外側の(A)層の厚みが均等になるように成形した。
得られた筒状成形体について、前述の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ノバテックLL UF240、融点123℃)を用い、1台の押出機からなる単層チューブ押出成形機にて、表1に示す成形温度で筒状成形体を成形した。
この筒状成形体は、厚み5mmで、外径は30mm、内径は20mmとなるように成形した。得られた筒状成形体について、前述の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例2、3]
ポリオレフィン層(A)を形成するポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ノバテックLL UF240、融点123℃)、及びポリエーテルポリアミド層(B)の替わりに設ける中間層を形成する前記ポリエーテルポリアミドb5、ポリアミドb6(表1中、(B)層として記載)を表1に示すとおり用い、2台の押出機と、2種3層の多層構造体を形成する流路とを備えた多層チューブ押出成形機にて、表1に示す成形温度で筒状成形体を成形した。
この筒状成形体は、厚み5mmで、内側から(A)層/(B)層/(A)層の層構成であり、筒状成形体の外系径は30mm、内径は20mmで、(B)層の厚みは0.2mm、内側及び外側の(A)層の厚みが均等になるように成形した。
得られた筒状成形体について、前述の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例1より、従来のポリエチレン単層の筒状成形体は、内部に石油が浸透して水道水に石油臭がつき燃料バリア性に劣ることがわかる。
一方、実施例1〜4では、皺寄りが無く、水道水に石油臭がしないことから、筒状成形体がポリエーテルポリアミド層(B)を有することで、柔軟性と燃料バリア性の両方に優れることがわかる。
また、比較例2及び3から、ポリエーテルポリアミド層(B)の替わりに、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)のいずれかを用いないで製造したポリエーテルポリアミド又はポリアミドからなる層を有していても、柔軟性と燃料バリア性の両方に優れる筒状成形体が得られないことがわかる。
本発明の多層構造体は、ポリオレフィン製の優れた柔軟性を損なわず、柔軟性及び燃料バリア性に優れた多層構造体である。そのため、灯油等の燃料の浸透を防ぐことができるため地中に埋設される水道配管、特に供水用の水道配管として好適である。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン樹脂を80質量%以上含むポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有する多層構造体であって、上記ポリエーテルポリアミド層(B)のポリアミド成分が、ジアミン構成単位とジカルボン酸単位のみからなり、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位からなり、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位からなるポリエーテルポリアミド(b)を含有する多層構造体であって、該多層構造体が筒状成形体の水道配管である多層構造体。


    (式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。)
  2. ポリエーテルジアミン化合物(b−1)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表される、請求項1に記載の多層構造体。


    (一般式(1−1)中、x1+z1は1〜60、y1は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
    一般式(1−2)中、x2+z2は1〜60、y2は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。)
  3. キシリレンジアミン(b−2)が、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物である、請求項1又は2に記載の多層構造体。
  4. α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)が、アジピン酸、セバシン酸及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
  5. ポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を、それぞれ1層又は2層以上有する、請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体。
  6. 内側から、ポリオレフィン層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)の順の層構成を少なくとも有する、請求項1に記載の多層構造体。
  7. 筒状成形体の厚みに対するポリエーテルポリアミド層(B)の厚みの割合が0.005〜0.5である、請求項1又は6に記載の多層構造体。
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