JP6136205B2 - エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ - Google Patents

エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ Download PDF

Info

Publication number
JP6136205B2
JP6136205B2 JP2012249667A JP2012249667A JP6136205B2 JP 6136205 B2 JP6136205 B2 JP 6136205B2 JP 2012249667 A JP2012249667 A JP 2012249667A JP 2012249667 A JP2012249667 A JP 2012249667A JP 6136205 B2 JP6136205 B2 JP 6136205B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
epitaxial growth
silicon wafer
growth apparatus
contamination
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012249667A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014099479A (ja
Inventor
佐俣 秀一
秀一 佐俣
栗田 一成
一成 栗田
武 門野
武 門野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumco Corp
Original Assignee
Sumco Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumco Corp filed Critical Sumco Corp
Priority to JP2012249667A priority Critical patent/JP6136205B2/ja
Publication of JP2014099479A publication Critical patent/JP2014099479A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6136205B2 publication Critical patent/JP6136205B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Description

本発明は、エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハに関する。
半導体デバイスの特性を劣化させる要因として、金属汚染が挙げられる。例えば、裏面照射型固体撮像素子では、この素子の基板となるエピタキシャルシリコンウェーハに混入した金属は、固体撮像素子の暗電流を増加させる要因となり、白傷欠陥と呼ばれる欠陥を生じさせる。裏面照射型固体撮像素子は、配線層などをセンサー部よりも下層に配置することで、外からの光をセンサーに直接取り込み、暗所などでもより鮮明な画像や動画を撮影することができるため、近年、デジタルビデオカメラやスマートフォンなどの携帯電話に広く用いられている。そのため、白傷欠陥を極力減らすことが望まれている。
ウェーハの金属汚染の原因の一つに、エピタキシャル成長装置炉内の汚染が挙げられる。すなわち、炉内に不純物となる金属が含まれている場合、エピタキシャル層を成長させる過程で、シリコンウェーハあるいは成長中のエピタキシャル層に炉内の不純物金属が取り込まれてしまう。そのため、エピタキシャル成長装置炉内の汚染の有無やレベルを的確に把握し、汚染が検出された場合には炉内のメンテナンスをする必要がある。
エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法としては、シリコンウェーハなどの汚染評価用ウェーハをエピタキシャル成長装置炉内に配置し、エピタキシャル層を成長させるなどの所定の熱処理を行った後、エピタキシャル層および/または汚染評価用ウェーハ表面に取り込まれた不純物元素の濃度を測定する方法がある。
このようなエピタキシャル層やシリコンウェーハ中の不純物金属の評価方法として、ウェーハライフタイム測定(WLT)や表面光起電力法(SPV)、深準位過渡分光法(DLTS:Deep Level Transient Spectroscopy)、および化学分析法が挙げられる。
しかし、WLT法は不純物に対し高感度ではあるものの不純物元素の同定と定量ができない。また、SPV法はp型シリコン単結晶基板中のFe濃度に関しては高感度に定量測定ができるが、Fe以外の元素の同定や定量はできず、また、シリコン単結晶基板がn型の場合には適用できない。DLTS法も一部の不純物金属の同定、定量には適しているが、全ての不純物金属の同定、定量を行うのは困難である。
ここで、化学分析法は、不純物回収方法と分析装置の組み合わせを選定することで、ほぼ全ての不純物元素の同定と定量が可能である。特許文献1には、シリコンウェーハにエピタキシャル層を形成し、所定の条件で冷却後、エピタキシャル層の表層を化学分析して、不純物元素の濃度を測定するエピタキシャルウェーハの不純物評価方法が記載されている。また、特許文献2には、シリコンウェーハ上にシリコン酸化膜、ポリシリコン膜、またはアモルファスシリコン膜からなる被膜を形成し、その上にさらにポリシリコン膜を成長させ、その後、ポリシリコン膜と被膜を化学分析して、不純物元素の濃度を測定する方法が記載されている。
特開2011−129570号公報 WO2008/149806
しかしながら、化学分析法では不純物元素を高精度に測定することができないという問題がある。その原因の一つとしては、不純物の拡散が考えられる。すなわち、エピタキシャル成長装置炉内の不純物は、エピタキシャル成長処理時の高温熱処理により、シリコンウェーハあるいは成長中のエピタキシャル層に取り込まれるのみならず、シリコンウェーハの深さ方向に固相拡散する。このため、成長させたエピタキシャル層の表層部やシリコンウェーハの表層部を化学分析しても、実際に炉内から取り込まれた不純物元素の量よりも少ない量しか検出することができない。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを高精度に評価することが可能なエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法、および該方法に用いる汚染評価用テストウェーハを提供することを目的とする。
本発明者らの検討によれば、表層部にゲッタリング層を有するシリコンウェーハを汚染評価用ウェーハとして用い、これをエピタキシャル成長装置炉内に配置して、エピタキシャル層を成長させ、あるいは、それに相当する熱処理を行うと、炉内から汚染評価用ウェーハに取り込まれた不純物は、ゲッタリング層に捕獲され固相拡散が抑制されるので、ゲッタリング層を化学分析することで汚染評価用ウェーハに取り込まれた不純物の濃度を高精度に測定できることを見出した。本発明者らは上記知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法は、シリコンウェーハの表層部をゲッタリング層とする第1工程と、前記シリコンウェーハをエピタキシャル成長装置炉内に配置し、水素雰囲気下で前記シリコンウェーハに対して熱処理を行う第2工程と、前記熱処理後に、前記ゲッタリング層内に存在する不純物元素の濃度を測定し、該測定結果に基づき前記エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを評価する第3工程と、を有することを特徴とする。
また、前記ゲッタリング層は、前記シリコンウェーハに構成元素として炭素を含むクラスターイオンを照射して得た該クラスターイオンの構成元素の固溶層である。
前記第3工程は、前記シリコンウェーハの少なくとも前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行うことが好ましい。
一実施形態において前記第2工程は、エピタキシャル成長処理時に行う熱処理シーケンスを模擬した熱処理条件により行うことが好ましい。この場合、当該熱処理シーケンスを複数回行うことができる。
他の実施形態において前記第2工程では、前記熱処理の際にソースガスを供給して、前記ゲッタリング層上にエピタキシャル層を成長させてもよい。この場合、前記第3工程は、前記エピタキシャル層および前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行うことができる。あるいは、前記エピタキシャル層を除去した後、前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行うこともできる。
前記第2工程の後、前記第3工程の前に、前記エピタキシャル成長装置とは別の熱処理装置により、前記シリコンウェーハに対して第2の熱処理を行うことが好ましい。
本発明のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価に用いられるテストウェーハは、表層部にゲッタリング層を有するシリコンウェーハであることを特徴とする。
このゲッタリング層は、前記シリコンウェーハに構成元素として炭素を含むクラスターイオンを照射して得た該クラスターイオンの構成元素の固溶層である。
本発明のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法または汚染評価用テストウェーハによれば、エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを高精度に評価することができる。
(A)〜(E)は、本発明の一実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法の各工程を説明する模式図である。 (A)〜(E)は、本発明の他の実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法の各工程を説明する模式図である。 (A)〜(F)は、本発明のさらに他の実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法の各工程を説明する模式図である。 (A)および(B)は、参考例によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法において用いる汚染評価用テストウェーハ200を示す模式図である。 (A)はクラスターイオンを照射する場合の照射メカニズムを説明する模式図、(B)はモノマーイオンを注入する場合の注入メカニズムを説明する模式図である。 実施例1−1、比較例1−1、および実施例1−2における化学分析の結果を示すグラフであり、(A)はMo濃度、(B)はFe濃度を示す。 実施例2−1、比較例2−1、実施例2−2、および実施例2−3における化学分析の結果を示すグラフであり、(A)はMo濃度、(B)はFe濃度を示す。 シリコンウェーハにモノマーイオンを注入した場合、および、シリコンウェーハにクラスターイオンを照射した場合における、SIMS測定で得られた炭素濃度プロファイルである。 (A)はシリコンウェーハにクラスターイオンを照射したエピタキシャルシリコンウェーハ、(B)はシリコンウェーハにモノマーイオンを注入したエピタキシャルシリコンウェーハの、SIMS測定による炭素濃度プロファイルおよびゲッタリング能力評価後のCuの濃度プロファイルである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、図2,3では説明の便宜上、実際の厚さの割合とは異なり、シリコンウェーハ10に対してエピタキシャル層20の厚さを誇張して示す。
(第1実施形態:エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法)
本発明の第1実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法を、図1を参照して説明する。本方法では、まずシリコンウェーハ10の表層部をゲッタリング層とする。具体的には、図1(A),(B)に示すように、シリコンウェーハ10の表面10Aにクラスターイオン12を照射して、シリコンウェーハ10の表層部にクラスターイオン12の構成元素が固溶してなる固溶層16を形成する。本実施形態では、この固溶層16がゲッタリング層となり、この状態のシリコンウェーハを汚染評価用テストウェーハ100として、以後の工程で用いる。
次に、図1(C)に示すように、シリコンウェーハ10をエピタキシャル成長装置30の炉内に配置し、水素雰囲気下でシリコンウェーハ10に対して熱処理を行う。本実施形態では、熱処理の際にソースガスを供給せず、エピタキシャル層は形成しない。この熱処理は、エピタキシャル成長処理時に行う熱処理シーケンスと同様の熱処理条件により行う。この工程では、エピタキシャル成長装置30の炉内が不純物元素22で汚染されている場合、その汚染の程度に応じて、不純物元素22はシリコンウェーハ10の表面に取り込まれる。取り込まれた不純物元素22は、ゲッタリング層としての固溶層16に捕獲され、シリコンウェーハ10の深さ方向への固相拡散は抑制される。
最後に、図1(E)に示すように、固溶層16内に存在する不純物元素22の濃度を測定し、該測定結果に基づきエピタキシャル成長装置30の炉内の汚染度合いを評価する。すなわち、測定に基づいて、エピタキシャル成長装置30の炉内を汚染している不純物元素が同定でき、その汚染の程度が把握できる。
(第2実施形態:エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法)
次に、本発明の第2実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法を、図2を参照して説明する。本方法は、汚染評価用テストウェーハ100を作製する工程(図2(A),(B))までは、図1と同様である。
次に、図2(C)に示すように、シリコンウェーハ10をエピタキシャル成長装置30の炉内に配置し、水素雰囲気下でシリコンウェーハ10に対して熱処理を行う。本実施形態では、熱処理の際にソースガスを供給して、固溶層16上にエピタキシャル層20を成長させる。この工程では、エピタキシャル成長装置30の炉内が不純物元素22で汚染されている場合、その汚染の程度に応じて、不純物元素22は固溶層16またはエピタキシャル層20に取り込まれる。エピタキシャル層20に取り込まれた不純物元素のうち、Fe,Ni,Cu,Cr,Zn,Mgなどの拡散速度の速い元素は、大部分がエピタキシャル層20から固溶層16に拡散し、ゲッタリング層としての固溶層16に捕獲され、シリコンウェーハ10の深さ方向への固相拡散は抑制される。Mo,Ti,W,Vなどの拡散速度の遅い元素は、固溶層16に拡散し捕獲されるものと、エピタキシャル層20に残存するものとに分かれるが、固溶層16に捕獲された不純物のシリコンウェーハ10の深さ方向への固相拡散は抑制される。
最後に、図2(E)に示すように、本実施形態ではエピタキシャル層20および固溶層16内に存在する不純物元素22の濃度を測定し、該測定結果に基づきエピタキシャル成長装置30の炉内の汚染度合いを評価する。
(第3実施形態:エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法)
次に、本発明の第3実施形態によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法を、図3を参照して説明する。本方法は、エピタキシャル層20を成長させる工程(図3(C))までは、図2と同様である。
本実施形態では、図3(E)に示すように、エピタキシャル層20を除去した後、図1(F)に示すように、固溶層16内に存在する不純物元素22の濃度を測定し、該測定結果に基づきエピタキシャル成長装置30の炉内の汚染度合いを評価する。
参考例:エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法)
次に、参考例によるエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法を、図4を参照して説明する。本方法では、図4(A),(B)に示すように、シリコンウェーハ10の表面10Aにモノマーイオン(シングルイオン)14を注入して、シリコンウェーハ10の表層部にモノマーイオン14の構成元素が注入された注入層18を形成する。本参考例では、この注入層18がゲッタリング層となり、この状態のシリコンウェーハを汚染評価用テストウェーハ200として、以後の工程で用いる。
以後の工程は、第1〜第3工程で説明したいずれの工程をとっても良く、ゲッタリング層としての注入層18あるいはそれに加えてエピタキシャル層20内に存在する不純物元素の濃度を測定し、該測定結果に基づきエピタキシャル成長装置の炉内の汚染度合いを評価する。
(汚染評価方法の詳細な説明)
ここで、これらの実施形態に共通する本発明の特徴は、図1(B)、図2(B)、図3(B)および図4(B)に示したように、表層部に固溶層16や注入層18のようなゲッタリング層を形成したシリコンウェーハを汚染評価用テストウェーハとして用いて、エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価を行うことである。
この特徴の技術的意義を、本発明の作用効果とともに説明する。ゲッタリング層のないシリコンウェーハを用いて上記の評価工程を行った場合、エピタキシャル成長装置の炉内からシリコンウェーハまたはエピタキシャル層に取り込まれる不純物の固相拡散が問題となる。すなわち、拡散速度の速い元素は、シリコンウェーハの深さ方向に固相拡散し、シリコンウェーハの表層部やエピタキシャル層に残存する元素の比率はかなり低い。また、拡散速度の遅い元素についても、一部は拡散し、その濃度分布は、シリコンウェーハの表層部あるいはエピタキシャル層側では高く、シリコンウェーハの深さ方向に向かうにつれて低くなる。このため、シリコンウェーハの表層部を化学分析した場合には、エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価を高精度に行うことができない。
一方、本発明においては、既述のように固溶層16や注入層18のようなゲッタリング層が不純物を捕獲し、シリコンウェーハ内での固相拡散を抑制する。このため、ゲッタリング層を化学分析することで汚染評価用ウェーハに取り込まれた不純物の濃度を高精度に測定でき、その結果、エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを高精度に評価することができる。
ここで、本発明において、図1(E)、図2(E)および図3(E)に示す不純物元素の濃度測定は、例えば誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)や原子吸光分析法(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)のような化学分析によるものとするのが好ましい。具体的には、ゲッタリング層16,18またはそれに加えてエピタキシャル層20を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行う。ゲッタリング層やエピタキシャル層の溶解には、フッ化水素酸と硝酸との混酸を用いることができるが、高感度分析には同じ混酸のガスを用いる気相エッチングが好ましい。エッチング後の反応物の回収はフッ化水素酸などに酸化剤を添加した回収溶液で汚染評価用ウェーハの表面を走査する方法で可能である。このようにして得た回収液中の不純物元素をICP−MSなどで分析するものである。
シリコンウェーハ10としては、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。また、より高いゲッタリング能力を得るために、炭素および/または窒素を添加してもよい。さらに、任意の不純物を添加して、n型またはp型としてもよい。また、エピタキシャル成長装置炉内の汚染を高感度に評価するため、ウェーハライフタイム測定を行った際のライフタイム値が1000μ秒以上の高純度ウェーハを用いることが好ましい。
次に、本発明において重要なゲッタリング層について詳細に説明する。ゲッタリング層としては、図1〜図3で示したように、シリコンウェーハ10にクラスターイオン12を照射して得た該クラスターイオンの構成元素の固溶層16や、図4で示したように、シリコンウェーハ10にモノマーイオン14を注入して得た該モノマーイオンの構成元素の注入層18が挙げられる。
シリコンウェーハ10に、例えば炭素のモノマーイオン14を注入する場合、図5(B)に示すように、モノマーイオン14は、シリコンウェーハを構成するシリコン原子を弾き飛ばし、シリコンウェーハ中の所定深さ位置に注入される。注入深さは、注入イオンの構成元素の種類およびイオンの加速電圧に依存する。この場合、シリコンウェーハの深さ方向における炭素の濃度プロファイルは、比較的ブロードになり、注入された炭素が局所的に存在する領域(すなわち、注入層18)の厚みは、概ね0.5〜1μm程度となる(後述の図8参照)。なお、モノマーイオン注入後にエピタキシャル層20を形成する過程で、注入された炭素が熱により拡散するため、エピタキシャル層20形成後の炭素の濃度プロファイルは、炭素が局所的に存在するピークの両側に、ブロードな拡散領域が形成される。しかし、注入層18の厚みは大きく変化しない(後述の図9(B)参照)。
モノマーイオンにより注入する元素は、注入層18をゲッタリング層として機能させることができるものであればよく、炭素、ホウ素、リン、砒素などを挙げることができる。しかし、より高いゲッタリング能力を得る観点から、モノマーイオンの構成元素は炭素であることが好ましい。格子位置の炭素原子は共有結合半径がシリコン単結晶と比較して小さいため、シリコン結晶格子の収縮場が形成されるため、格子間の不純物を引き付けるゲッタリング能力が高い。
また、モノマーイオンを複数回注入して、複数種類の元素を注入しても良い。特に、炭素に加えて、ホウ素、リン、砒素およびアンチモンからなる群より選択された1または2以上のドーパント元素を照射することが好ましい。元素の種類により効率的にゲッタリング可能な不純物金属の種類が異なるため、2種以上の元素を注入することにより、より幅広い不純物金属を効率的にゲッタリングできる。例えば、炭素の場合、ニッケルを効率的にゲッタリングすることができ、ホウ素の場合、銅、鉄を効率的にゲッタリングすることができる。
モノマーイオン14の加速電圧は、一般的に150〜2000keV/atomとし、その範囲で適宜設定すればよい。また、モノマーイオン14のドーズ量も特に限定されないが、例えば1×1013〜1×1016atoms/cmとすることができる。
ここで、本発明者らは、図4で示したモノマーイオン注入による注入層18よりも、図1〜図3で示したクラスターイオン照射による固溶層16の方が、高いゲッタリング能力を発揮することを見出した。
クラスターイオン12を照射した結果形成される固溶層16は、クラスターイオン12の構成元素がシリコンウェーハ表面の結晶の格子間位置または置換位置に固溶して局所的に存在する領域であり、ゲッタリングサイトとして働く。その理由は、以下のように推測される。すなわち、クラスターイオンの形態で照射された炭素やホウ素などの元素は、シリコン単結晶の置換位置・格子間位置に高密度で局在する。そして、シリコン単結晶の平衡濃度以上にまで炭素やホウ素を固溶すると、重金属の固溶度(遷移金属の飽和溶解度)が極めて増加することが実験的に確認された。つまり、平衡濃度以上にまで固溶した炭素やホウ素により重金属の固溶度が増加し、これにより重金属に対する捕獲率が顕著に増加したものと考えられる。
なお、本明細書において「クラスターイオン」とは、原子または分子が複数集合して塊となったクラスターに正電荷または負電荷を与え、イオン化したものを意味する。クラスターは、複数(通常2〜2000個程度)の原子または分子が互いに結合した塊状の集団である。
シリコンウェーハ10に、例えば炭素とホウ素からなるクラスターイオン12を照射する場合、図5(A)に示すように、クラスターイオン12は、シリコンウェーハに照射されるとそのエネルギーで瞬間的に1350〜1400℃程度の高温状態となり、シリコンが融解する。その後、シリコンは急速に冷却され、シリコンウェーハ中の表層部に炭素およびホウ素が固溶する。すなわち、本明細書における「固溶層」とは、照射するイオンの構成元素がシリコンウェーハ表層部の結晶の格子間位置または置換位置に固溶した層を意味する。この場合、シリコンウェーハの深さ方向における炭素およびホウ素の濃度プロファイルは、クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズに依存するが、モノマーイオンの場合に比べてシャープになり、照射された炭素およびホウ素が局所的に存在する領域(すなわち、固溶層16)の厚みは、概ね500nm以下の領域(例えば50〜400nm程度)となる(後述の図8参照)。なお、クラスターイオンの形態で照射された元素は、エピタキシャル層20の形成過程で多少の熱拡散は起こる。このため、エピタキシャル層20形成後の炭素およびホウ素の濃度プロファイルは、これらの元素が局所的に存在するピークの両側に、ブロードな拡散領域が形成される。しかし、固溶層16の厚みは大きく変化しない(後述の図9(A)参照)。
このように、クラスターイオン12を照射することにより、炭素およびホウ素の析出領域を局所的にかつ高濃度にすることができる。しかも、シリコンウェーハの表面近傍に固溶層16が形成されるため、より近接ゲッタリングが可能となる。その結果、より高いゲッタリング能力を得ることができるものと考えられる。
そのため、本発明においてゲッタリング層を固溶層16とすることによって、エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いをより高精度に評価することができる。また、モノマーイオン注入による注入層18よりも固溶層16の方が薄いので、化学分析の際のエッチング量を少なくすることができる。このため、より短時間で分析を行うことができ、さらに、化学分析の際のエッチング量が多いほど分析精度が低くなることから、より高精度の分析が可能となる。
クラスターイオン12は結合様式によって多種のクラスターが存在し、例えば以下の文献に記載されるような公知の方法で生成することができる。ガスクラスタービームの生成法として、(1)特開平9−41138号公報、(2)特開平4−354865号公報、イオンビームの生成法として、(1)荷電粒子ビーム工学:石川 順三:ISBN978-4-339-00734-3 :コロナ社、(2)電子・イオンビーム工学:電気学会:ISBN4-88686-217-9 :オーム社、(3)クラスターイオンビーム基礎と応用:ISBN4-526-05765-7:日刊工業新聞社。また、一般的に、正電荷のクラスターイオンの発生にはニールセン型イオン源あるいはカウフマン型イオン源が用いられ、負電荷のクラスターイオンの発生には体積生成法を用いた大電流負イオン源が用いられる。
以下で、クラスターイオンの照射条件について説明する。まず、照射する元素は特に限定されず、炭素、ホウ素、リン、砒素などを挙げることができる。しかし、より高いゲッタリング能力を得る観点から、クラスターイオンが、構成元素として炭素を含むことが好ましい。格子位置の炭素原子は共有結合半径がシリコン単結晶と比較して小さいため、シリコン結晶格子の収縮場が形成されるため、格子間の不純物を引き付けるゲッタリング能力が高い。
また、より幅広い不純物金属を効率的にゲッタリングする観点から、構成元素として炭素を含む2種以上の元素を含むことがより好ましい。特に、炭素に加えて、ホウ素、リン、砒素およびアンチモンからなる群より選択された1または2以上のドーパント元素を照射することが好ましい。
イオン化させる化合物も特に限定されないが、イオン化が可能な炭素源化合物としては、エタン、メタン、二酸化炭素(CO)などを用いることができ、イオン化が可能なホウ素源化合物としては、ジボラン、デカボラン(B1014)などを用いることができる。例えば、ジベンジルとデカボランを混合したガスを材料ガスとした場合、炭素、ホウ素および水素が集合した水素化合物クラスターを生成することができる。また、シクロヘキサン(C12)を材料ガスとすれば、炭素および水素からなるクラスターイオンを生成することができる。炭素源化合物としては特に、ピレン(C1610)、ジベンジル(C1414)などより生成したクラスターC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いることが好ましい。小サイズのクラスターイオンビームを制御し易いためである。
次に、クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズは、固溶層16における各構成元素の深さ方向の濃度プロファイルのピークの位置に影響を与える。本実施形態では、より高いゲッタリング能力を得る観点から、シリコンウェーハ10の表面10Aからの深さが150nm以下の範囲内に、固溶層16における各構成元素の深さ方向の濃度プロファイルのピークが位置するように、クラスターイオン12を照射する。
ピーク位置を当該深さの範囲に設定するために必要な条件として、クラスターイオンとしてC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いる場合、炭素1原子あたりの加速電圧は、0keV/atom超え50keV/atom以下とし、好ましくは、40keV/atom以下とする。また、クラスターサイズは2〜100個、好ましくは60個以下、より好ましくは50個以下とする。
なお、加速電圧の調整には、(1)静電加速、(2)高周波加速の2方法が一般的に用いられる。前者の方法としては、複数の電極を等間隔に並べ、それらの間に等しい電圧を印加して、軸方向に等加速電界を作る方法がある。後者の方法としては、イオンを直線状に走らせながら高周波を用いて加速する線形ライナック法がある。また、本明細書において「クラスターサイズ」とは、1つのクラスターを構成する原子または分子の個数を意味する。クラスターサイズの調整は、ノズルから噴出されるガスのガス圧力および真空容器の圧力、イオン化する際のフィラメントへ印加する電圧などを調整することにより行うことができる。なお、クラスターサイズは、四重極高周波電界による質量分析またはタイムオブフライト質量分析によりクラスター個数分布を求め、クラスター個数の平均値をとることにより求めることができる。
また、クラスターイオンのドーズ量は、イオン照射時間を制御することにより調整することができる。本実施形態では、クラスターイオン12の炭素のドーズ量は1×1013〜1×1016atoms/cmとし、好ましくは5×1015atoms/cm以下とする。1×1013atoms/cm未満の場合、ゲッタリング能力を十分に得ることができない可能性があり、1×1016atoms/cm超えの場合、エピタキシャル層20の表面に大きなダメージを与えるおそれがあるからである。
クラスターイオン照射による固溶層16では、SIMS(二次イオン質量分析計)にて測定した、クラスターイオンの構成元素の深さ方向の濃度プロファイルとして、以下のようなものが得られる。まず、モノマーイオン注入に比べて、クラスターイオン照射の場合、照射元素の析出領域を局所的かつ高濃度にすることができるため、固溶層16における構成元素の濃度プロファイルの半値幅Wは、100nm以下、あるいは85nm以下とすることができる。下限としては10nmと設定することができる。また、濃度プロファイルのピーク濃度は、1×1017〜1×1022atoms/cmの範囲内となる。
図2(C)および図3(C)に示すエピタキシャル層20としては、シリコンエピタキシャル層が挙げられ、一般的な条件により形成することができる。例えば、水素をキャリアガスとして、ジクロロシラン、トリクロロシランなどのソースガスをチャンバー内に導入し、使用するソースガスによっても成長温度は異なるが、概ね1000〜1200℃の範囲の温度でCVD法によりシリコンウェーハ10上にエピタキシャル層20を成長させることができる。また、任意のドーパントガスも導入して、p型またはn型のエピタキシャル層としてもよい。
エピタキシャル成長時の標準的な熱処理シーケンスは以下のとおりである。まず、炉内を水素雰囲気とし、600〜900℃の炉内温度で半導体ウェーハ10を炉内に投入し、1〜15℃/秒の昇温レートで1000〜1200℃の範囲の第1の所定温度にまで昇温させ、その温度で所定時間、例えば30秒〜1分の間保持する水素ベークを行う。その後、同様に1000〜1200℃の範囲の所定の第2の温度に昇温/降温し、その温度で所定時間エピタキシャル成長を行う。その後、650〜800℃まで降温する。第1の温度と第2の温度とは同じでもよい。この熱処理シーケンスは複数回行ってもよいが、エピタキシャル層20の厚さは10μm以下とすることが好ましく、特に5μm以下とすることが好ましい。10μm超えの場合、拡散の遅い不純物のゲッタリング層への拡散が少なくなる可能性があり、5μm超えの場合、エピタキシャル層とゲッタリング層を同時に分析することが困難となる可能性があるからである。
また、ソースガスを流さないこと以外はエピタキシャル成長処理時の熱処理シーケンスと同様の熱処理を行えば、図1(C)の実施態様となる。この場合、この熱処理シーケンスを複数回行うと、ゲッタリング層のエッチング量を増やすことなく、不純物の取り込み量を増やしてより高精度の分析ができるので好ましい。
ここで、図1(D)、図2(D)および図3(D)に示すように、エピタキシャル成長装置30での熱処理の後、不純物元素の濃度測定の前に、エピタキシャル成長装置30とは別の熱処理装置40により、シリコンウェーハ10に対して第2の熱処理を行ってもよい。この熱処理により、シリコンウェーハの表面10Aとは反対側の裏面から取り込まれた不純物元素のうち、Fe,Ni,Cu,Cr,Mgなどの拡散速度の速い元素については、ゲッタリング層16,18へと拡散させることができ、より高精度の分析が可能となる。この第2の熱処理の条件は特に限定されないが、非酸化性、酸化性あるいは還元性雰囲気下で、雰囲気温度が800〜1100℃であり、該雰囲気温度での保持時間は例えば10秒〜100時間の条件で、分析の対象となる不純物がゲッタリング層まで十分に拡散する温度・時間で行うことが好ましい。
最後に、第1〜第3実施形態の効果上の相違について説明する。第1実施形態は、ゲッタリング層16,18に不純物元素22が直接取り込まれ、化学分析の際に溶解する部分がゲッタリング層のみでよいことからエッチング量も少ない。このため、拡散速度が速い元素も遅い元素も短時間かつ最も高精度に分析することができるため最も好ましい。
第2実施形態は、エピタキシャル層20とゲッタリング層16,18に不純物元素が取り込まれ、その両方を化学分析するので、拡散速度が速い元素も遅い元素も高精度に分析することができるため好ましい。
第3実施形態は、エピタキシャル層20とゲッタリング層16,18に不純物元素が取り込まれ、ゲッタリング層16,18のみを化学分析するので、拡散速度が速い元素のみに絞って短時間かつ高精度な分析をする際に適している。この場合、図3(D)に示す第2の熱処理をすれば、エピタキシャル層20中の拡散速度が遅い不純物元素もゲッタリング層16,18に拡散し、捕獲されるので、拡散速度が速い元素も遅い元素も高精度に分析することができるため好ましい。なお、第2の熱処理の条件は、エピタキシャル層20の厚さや、不純物元素の拡散係数を考慮して、適宜設定することができる。代表的な不純物金属の拡散係数(1000℃、1時間の熱処理での拡散距離(m))を示すと、拡散速度の速い金属の例として、Fe:6.89×10−4,Cr:4.45×10−4,Cu:4.10×10−3,Ni:2.67×10−3、拡散速度の遅い金属の例として、W:5.69×10−8,Mo:6.57×10−6,Ti:2.04×10−6である。
(実験例1)
(実施例1−1)
CZ単結晶シリコンインゴットから得たn型シリコンウェーハ(直径:300mmm、厚さ:725μm、ドーパント:リン、比抵抗10Ωcm)を用意した。次に、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、ジベンジル(C1414)よりCのクラスターイオンを生成し、ドーズ量9.0×1013Clusters/cm(炭素換算で4.5×1014atoms/cm)、炭素1原子あたりの加速電圧14.8keV/atomの条件で、シリコンウェーハの表面に照射し、シリコンウェーハの表層部を固溶層とした。
次に、シリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)の炉内に搬送し、水素ガスのみを供給して、シリコンウェーハに対して1100℃で2分の熱処理を行った。なお本発明の効果を調べるため、熱処理はエピタキシャル成長装置のメンテナンス直後の立上げ時において金属不純物の比較的多い状態で行った。
SIMS測定にてシリコンウェーハの深さ方向の炭素濃度プロファイルを得たところ、固溶層の厚さ(炭素のピーク幅)は350nmであった。そこで、シリコンウェーハの表層1μmをフッ化水素酸および硝酸を用いた混酸ガスにより気相でエッチングし、エッチング後の反応物をフッ化水素酸に酸化剤を添加した回収液で回収し、回収液中の金属不純物濃度をICP−MSで分析した。
(比較例1−1)
クラスターイオンの照射を行わないこと以外は実施例1−1と同様の手順で実験を行った。
(実施例1−2)
エピタキシャル成長装置での熱処理の後に、シリコンウェーハを縦型熱処理装置(日立国際電気社製)に搬送し、シリコンウェーハに対して、窒素ガス雰囲気下、1000℃で30分の熱処理を施したこと以外は、実施例1−1と同様の手順で実験を行った。
<評価結果>
ICP−MSの測定結果として、拡散の遅い金属を代表してMoの分析結果を図6(A)に、拡散の速い金属を代表してFeの分析結果を図6(B)に示す。図6(A)から明らかなように、実施例1−1,1−2では比較例1−1に比べて検出されたMo濃度は高かった。これは、比較例1−1において、Moは拡散の遅いものの、一部のMoが、エピタキシャル成長装置での熱処理によってシリコンウェーハの表面から1μm以上深くまで拡散してしまう一方、実施例1−1,1−2においては固溶層にMoが捕獲され、その拡散が抑制されたためである。仮に比較例1−1において、より多くのMoを検出するべくエッチング深さを深くしても、エッチング時間が掛かるだけでなく、溶解液の回収が困難になるため、比較例1−1では高精度の分析は難しい。
また、図6(B)から明らかなように、Feの場合、比較例1−1では検出限界以下であった。Feは拡散が非常に速く、エピタキシャル成長装置での熱処理によってシリコンウェーハの深くまで拡散し、表層部のFe濃度が大幅に低下したためである。一方、実施例1−1,1−2ではいずれもFeが検出できた。特に、エピタキシャル成長装置での熱処理後に、追加の熱処理を行った実施例1−2では、実施例1−1よりも検出されたFe濃度は高かった。これは、追加熱処理により、シリコンウェーハの裏面からのFeも固溶層に捕獲できたためと考えられる。
(実験例2)
(実施例2−1)
CZ単結晶シリコンインゴットから得たn型シリコンウェーハ(直径:300mmm、厚さ:725μm、ドーパント:リン、比抵抗10Ωcm)を用意した。次に、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、ジベンジル(C1414)よりCのクラスターイオンを生成し、ドーズ量9.0×1013Clusters/cm(炭素換算で4.5×1014atoms/cm)、炭素1原子あたりの加速電圧14.8keV/atomの条件で、シリコンウェーハの表面に照射し、シリコンウェーハの表層部を固溶層とした。
次に、シリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)の炉内に搬送し、1200℃で30秒間の水素ベーク後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガス、ジボランガスをドーパントガスとして、1100℃で2分間のエピタキシャル成長を行い、シリコンウェーハ上にp型シリコンエピタキシャル層(厚さ:4μm、比抵抗:20Ωcm)を形成し、エピタキシャルシリコンウェーハを作製した。なお本発明の効果を調べるため、エピタキシャル成長は、エピタキシャル成長装置のメンテナンス直後の立上げ時において金属不純物の比較的多い状態で行った。
SIMS測定にてシリコンウェーハの深さ方向の炭素濃度プロファイルを得たところ、固溶層の厚さ(炭素のピーク幅)は350nmであった。そこで、エピタキシャル層とシリコンウェーハの表層1μmの計5μmをフッ化水素酸および硝酸を用いた混酸ガスにより気相でエッチングし、エッチング後の反応物をフッ化水素酸に酸化剤を添加した回収液で回収し、回収液中の金属不純物濃度をICP−MSで分析した。
(比較例2−1)
クラスターイオンの照射を行わないこと以外は実施例2−1と同様の手順で実験を行った。
(実施例2−2)
エピタキシャル成長装置での熱処理の後に、エピタキシャルシリコンウェーハを縦型熱処理装置(日立国際電気社製)に搬送し、エピタキシャルシリコンウェーハに対して、窒素ガス雰囲気下、1000℃で30分の熱処理を施したこと以外は、実施例2−1と同様の手順で実験を行った。
(実施例2−3)
エピタキシャル層をフッ化水素酸および硝酸によりエッチング・除去した後、シリコンウェーハの表層1μmのみをフッ化水素酸および硝酸を用いた混酸ガスにより気相でエッチングし、エッチング後の反応物をフッ化水素酸に酸化剤を添加した回収液で回収し、回収液中の金属不純物濃度をICP−MSで分析したこと以外は、実施例2−2と同様の手順で実験を行った。
<評価結果>
ICP−MSの測定結果として、拡散の遅い金属を代表してMoの分析結果を図7(A)に、拡散の速い金属を代表してFeの分析結果を図7(B)に示す。図7(A)から明らかなように、実施例2−1〜2−3では比較例2−1に比べて検出されたMo濃度は高かった。これは、比較例2−1において、Moは拡散の遅いものの、一部のMoが、エピタキシャル成長の際にシリコンウェーハの表面から1μm以上深くまで拡散してしまう一方、実施例2−1〜2−3においては固溶層にMoが捕獲され、その拡散が抑制されたためである。仮に比較例2−1において、より多くのMoを検出するべくエッチング深さを深くしても、エッチング時間が掛かるだけでなく、溶解液の回収が困難になるため、比較例1−1では高精度の分析は難しい。また、実施例2−3では、検出されたMo濃度は実施例2−1,2−2と同程度であったが、エッチング量が少なく済むため、安定した分析が可能になった。
また、図7(B)から明らかなように、Feの場合、比較例2−1では検出限界以下であった。Feは拡散が非常に速く、エピタキシャル成長の際にシリコンウェーハの深くまで拡散し、表層部のFe濃度が大幅に低下したためである。一方、実施例2−1〜2−3ではいずれもFeが検出できた。特に、エピタキシャル成長後に、追加の熱処理を行った実施例2−2,2−3では、実施例2−1よりも検出されたFe濃度は高かった。これは、追加熱処理により、シリコンウェーハの裏面からのFeも固溶層に捕獲できたためと考えられる。
これら実験例1,2から明らかなように、本発明を用いることにより、拡散の遅い不純物に対しては検出精度が向上するだけでなく、拡散が速く従来では検出することのできなかった不純物も検出することができることが分かった。本実験例ではMoとFeについて示したが、他の不純物、例えば拡散の遅いTi,W,Vなどや拡散の速いNi,Cu,Cr,Zn,Mgなども同様に高感度に分析できる。
(参考実験例)
次に、モノマーイオン注入による注入層よりも、クラスターイオン照射による固溶層の方が高いゲッタリング能力を発揮することを、以下の実験例にて示す。
(参考実験例1)
エピタキシャル層の膜厚を3μmとした以外は、既述の実施例2−1で作製したのと同じ手順で、クラスターイオン照射による固溶層を有するシリコンエピタキシャルウェーハを作製した。
(参考実験例2)
クラスターイオンの照射に替えて、COガスから炭素のモノマーイオンを生成し、ドーズ量9.0×1013atoms/cm、加速電圧150keV/atomの条件で、シリコンウェーハ表面に注入したこと以外は、参考実験例1と同様にして、シリコンエピタキシャルウェーハを作製した。
<評価方法および評価結果>
上記参考実験例1,2で作製した各サンプルについて以下の評価を行った。
(1)SIMS測定
まず、クラスターイオンの照射直後と、モノマーイオンの注入直後における、炭素の分布の相違を明らかにするため、参考実験例1,2について、エピタキシャル層形成の前のシリコンウェーハについて、SIMS測定を行った。得られた炭素濃度プロファイルを図8に参考に示す。ここで、図8の横軸の深さはシリコンウェーハの表面をゼロとしている。
次に、参考実験例1,2のエピタキシャルシリコンウェーハについて、SIMS測定を行った。得られた炭素濃度プロファイルを、それぞれ図9(A),(B)に示す。図9(A),(B)の横軸の深さはエピタキシャルシリコンウェーハの表面をゼロとしている。
(2)ゲッタリング能力評価
Cuを例として、ゲッタリング能力の評価を行った。まず、作製した各サンプルのエピタキシャル層表面を、Cu汚染液(1.0×1012/cm)でスピンコート汚染法を用いて故意に汚染し、引き続き900℃、30分の熱処理を施した。その後、SIMS測定を行った。得られたCuの濃度プロファイルを、図9(A),(B)に併せて示す。
<評価結果の考察>
図8に示すように、エピタキシャル層形成前のシリコンウェーハの炭素濃度プロファイルを比較すると、クラスターイオン照射の場合は炭素濃度プロファイルがシャープであり、モノマーイオン注入の場合は炭素濃度プロファイルがブロードである。このことから、エピタキシャル層形成後も、炭素濃度プロファイルの傾向は同様となることが推定される。
実際に、エピタキシャル層を形成したときの炭素濃度プロファイル(図9(A),(B))からもわかるように、クラスターイオン照射により、モノマーイオン注入よりも局所的かつ高濃度の固溶層が形成されている。図9(A)において、炭素濃度プロファイルの半値幅は95nm、ピーク濃度は1.5×1019atoms/cm、ピーク位置はシリコンウェーハの表面から100nm(エピタキシャル層表面から3.1μm)の位置であった。一方、図9(B)において、炭素濃度プロファイルの半値幅は250nm、ピーク濃度は1.0×1019atoms/cm、ピーク位置はシリコンウェーハの表面から300nm(エピタキシャル層表面から3.3μm)の位置であった。そして、Cu濃度プロファイルでは、クラスターイオンを照射した場合の図9(A)の方が、図9(B)の場合よりも、ピーク濃度が高いことから、より多くのCuを捕獲して、高いゲッタリング能力を発揮していることがわかる。
本発明によれば、エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを高精度に評価することが可能なエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハを提供することができる。
10 シリコンウェーハ
10A シリコンウェーハの表面
12 クラスターイオン
14 モノマーイオン
16 固溶層(ゲッタリング層)
18 注入層(ゲッタリング層)
20 エピタキシャル層
22 不純物元素
30 エピタキシャル成長装置
40 熱処理装置
100,200 汚染評価用テストウェーハ

Claims (9)

  1. シリコンウェーハの表層部をゲッタリング層とする第1工程と、
    前記シリコンウェーハをエピタキシャル成長装置炉内に配置し、水素雰囲気下で前記シリコンウェーハに対して熱処理を行う第2工程と、
    前記熱処理後に、前記ゲッタリング層内に存在する不純物元素の濃度を測定し、該測定結果に基づき前記エピタキシャル成長装置炉内の汚染度合いを評価する第3工程と、
    を有し、
    前記ゲッタリング層は、前記シリコンウェーハに構成元素として炭素を含むクラスターイオンを照射して得た該クラスターイオンの構成元素の固溶層であることを特徴とするエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  2. 前記第3工程は、前記シリコンウェーハの少なくとも前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行う請求項1に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  3. 前記第2工程は、エピタキシャル成長処理時に行う熱処理シーケンスを模擬した熱処理条件により行う請求項1または2に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  4. 前記熱処理シーケンスを複数回行う請求項3に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  5. 前記第2工程で、前記熱処理の際にソースガスを供給して、前記ゲッタリング層上にエピタキシャル層を成長させる請求項1または2に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  6. 前記第3工程は、前記エピタキシャル層および前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行う請求項5に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  7. 前記第3工程は、前記エピタキシャル層を除去した後、前記ゲッタリング層を溶解し、回収した溶解液を化学分析することにより行う請求項5に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  8. 前記第2工程の後、前記第3工程の前に、前記エピタキシャル成長装置とは別の熱処理装置により、前記シリコンウェーハに対して第2の熱処理を行う工程をさらに有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法。
  9. エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価に用いられるテストウェーハであって、表層部にゲッタリング層を有するシリコンウェーハであり、
    前記ゲッタリング層は、前記シリコンウェーハに構成元素として炭素を含むクラスターイオンを照射して得た該クラスターイオンの構成元素の固溶層であることを特徴とする汚染評価用テストウェーハ。
JP2012249667A 2012-11-13 2012-11-13 エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ Expired - Fee Related JP6136205B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012249667A JP6136205B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012249667A JP6136205B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014099479A JP2014099479A (ja) 2014-05-29
JP6136205B2 true JP6136205B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=50941266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012249667A Expired - Fee Related JP6136205B2 (ja) 2012-11-13 2012-11-13 エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6136205B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6327094B2 (ja) 2014-10-02 2018-05-23 株式会社Sumco 気相成長装置の汚染管理方法、エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法
KR101701629B1 (ko) * 2015-07-28 2017-02-01 주식회사 엘지실트론 에피택셜 웨이퍼를 제조하기 위한 리액터의 재가동 준비 방법
CN106898568B (zh) * 2015-12-18 2020-02-11 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 一种腔室纯净度的监测方法
JP6911818B2 (ja) * 2018-06-21 2021-07-28 株式会社Sumco エピタキシャルウェーハの製造条件決定方法およびエピタキシャルウェーハの製造方法
JP7131513B2 (ja) * 2019-09-05 2022-09-06 株式会社Sumco シリコン試料の前処理方法、シリコン試料の金属汚染評価方法、単結晶シリコンインゴット育成工程の評価方法、単結晶シリコンインゴットの製造方法およびシリコンウェーハの製造方法
CN114295789A (zh) * 2021-12-31 2022-04-08 江苏鑫华半导体材料科技有限公司 用于电子级多晶硅生产***的在线监测痕量杂质的方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3680476B2 (ja) * 1997-02-05 2005-08-10 三菱住友シリコン株式会社 熱処理評価用ウェーハおよびこれを用いた熱処理評価方法
JP5087855B2 (ja) * 2006-04-05 2012-12-05 株式会社Sumco 熱処理評価用ウェーハ、熱処理評価方法、および半導体ウェーハの製造方法
JP2007317760A (ja) * 2006-05-24 2007-12-06 Sharp Corp 半導体装置及びその製造方法
JP5120789B2 (ja) * 2007-06-05 2013-01-16 信越半導体株式会社 半導体製造装置の汚染評価方法
JP2010010615A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Sumco Corp 固体撮像素子用シリコン基板およびその製造方法
JP5099023B2 (ja) * 2009-01-27 2012-12-12 信越半導体株式会社 エピタキシャルウエーハの製造方法及び固体撮像素子の製造方法
JP2011044590A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Sumco Corp シリコンウェーハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法
JP2011253983A (ja) * 2010-06-03 2011-12-15 Disco Abrasive Syst Ltd シリコンウェーハへのゲッタリング層付与方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014099479A (ja) 2014-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5673811B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP6070095B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの汚染評価方法およびエピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法
CN107078029B (zh) 半导体外延晶片和其制造方法以及固体摄像元件的制造方法
JP6136205B2 (ja) エピタキシャル成長装置炉内の汚染評価方法および汚染評価用テストウェーハ
JP5799935B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP5799936B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
WO2015104965A1 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
US11935745B2 (en) Semiconductor epitaxial wafer and method of producing semiconductor epitaxial wafer, and method of producing solid-state imaging device
TWI611482B (zh) 半導體磊晶晶圓的製造方法及固體攝像元件的製造方法
JP6107068B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
KR20190017039A (ko) 에피택셜 실리콘 웨이퍼의 제조방법, 에피택셜 실리콘 웨이퍼, 및 고체 촬상 소자의 제조방법
JP6535432B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP6280301B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP6289805B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
TWI657504B (zh) 外延矽晶圓的雜質吸除能力的評估方法和外延矽晶圓
JP6278592B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP2017183736A (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP2017175143A (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160812

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170228

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6136205

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees