JP6135221B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法及びポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
具体的には、各種機械部品、各種電気絶縁性材料、自動車部品、光ディスク等の情報機器材料、ヘルメット等の安全防護材料等、極めて多岐な用途が挙げられる。
このようなポリカーボネート樹脂の製造方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合反応させる溶融法、ジヒドロキシ化合物と塩化カルボニルとを溶剤とアルカリ水溶液との相界面にて反応させる界面法等が知られている。
また、ポリカーボネート樹脂の特性を更に高めるために、他の成分を添加し、含有させる方法が知られている。例えば、溶融流動性と共に、良好な光学特性及び良好な加水分解性を備えたポリカーボネート樹脂の組成物として、特定のホスフィンと脂肪族カルボン酸エステルを含有する組成物が開示されている(特許文献3参照)。
特許文献4には、溶融法で得られるポリカーボネート樹脂に特定量の難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
また、難燃剤を添加した場合に、湿熱下に晒されると透明性が低下する場合があった。
本発明は、長時間紫外線や可視光に曝露される場所で使用した際の、色相や透明性、機械的強度の悪化が抑制され、色調が良好で、かつ難燃性と耐湿熱性が改良されたポリカーボネート樹脂、該ポリカーボネート樹脂を含有する組成物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
[1]炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とをエステル交換触媒の存在下に重縮合反応するポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
前記エステル交換触媒が下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、
を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
式(2)において、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、炭素数4〜炭素数30のアルキル基又はシクロアルキル基を示す。さらに、R7、R8、及びR9のうちの1つ又は2つが、炭素数4〜炭素数30のアルキル基又はシクロアルキル基の場合、残りの2つ又は1つは上記Ph1と同じであってもよい。)
[2]前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、及び長周期型周期表第2族元素の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3]前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と塩基性化合物とのモル比率が、10000:1〜0.1:1である上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4]前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物が、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.1μモル以上1000μモル以下である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[5]前記式(1)のPh1、Ph2、及びPh3が、それぞれ独立に、全て置換基を有する芳香環である上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されたポリカーボネート樹脂であって、
ポリカーボネート樹脂を加水分解した後に測定された、下記一般式(3)〜(7)の総量が、ポリカーボネート樹脂全体に対して、100ppm以上750ppm以下であるポリカーボネート樹脂。
[7]上記[6]に記載のポリカーボネート樹脂に前記(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、
長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、紫外線吸収剤とを、
含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
[8]上記[6]に記載のポリカーボネート樹脂に前記(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、
長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、難燃剤とを、
含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
[9]前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、及び長周期型周期表第2族元素の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[7]又は[8]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[10]前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物の含有量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、1ppm以上100ppm以下である上記[7]乃至[9]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[11]前記一般式(1)で表されるリン化合物が、トリフェニルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン及びトリス(p−ターシャリーブチルフェニル)ホスフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である上記[7]乃至[10]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[12]前記金属元素を有する化合物が、当該金属の炭酸塩及び当該金属の酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である上記[7]乃至[11]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[13]前記金属元素を有する化合物の含有量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して0.01ppm以上1ppm以下である上記[7]乃至[12]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[14]前記紫外線吸収剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して0.01ppm以上10000ppm以下である上記[7]、及び[9]乃至[13]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[15]前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系、トリアジン系及びマロン酸エステル系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[7]、及び[9]乃至[14]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[16]前記難燃剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、0.001ppm以上25重量%以下である上記[8]乃至[13]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[17]前記難燃剤が、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、燐含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[8]乃至[13]、及び[16]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[18]加水分解した後に測定される、下記一般式(3)〜(7)で表される化合物の総量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、100ppm以上750ppm以下である上記[7]乃至[17]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[19]前記ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が、200ppm以上1200ppm以下である上記[7]乃至[18]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
また、本発明のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物は、長時間の紫外線や可視光に曝露される場所で使用した際においても、色相や透明性、機械的強度の悪化が抑制され、かつ難燃性と耐湿熱性が改良されたものとなる。
なお、本明細書において「〜」と記載している場合、その前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
本発明のポリカーボネート樹脂、及びその製造方法においては、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを原料とし、エステル交換触媒の存在下で重縮合反応してポリカーボネート樹脂を製造する。
(炭酸ジエステル)
ポリカーボネート樹脂の一方の原料である炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
ポリカーボネート樹脂のもう一方の原料であるジヒドロキシ化合物は、分子内に二つの水酸基を有する化合物であり、本発明においては、ジヒドロキシ化合物の中でも、分子内に一つ以上の芳香環を有し、二つの水酸基がそれぞれ芳香環に結合された芳香族ジヒドロキシ化合物を用いるのが好ましい。
エステル交換触媒としては、リン化合物と塩基性化合物とを組み合わせて使用する触媒が挙げられる。
リン化合物としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物が挙げられる
。
置換基としては、炭素数1〜炭素数30のアルキル基、炭素数1〜炭素数30のアルコキシ基、炭素数6〜30のシクロアルキル基、又は芳香環が挙げられる。
一般式(1)で示されるリン化合物の具体的な例としては、下記の式(8)〜(12)に示される化合物が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるリン化合物としては、式(8)、(9)、(13)が特に好ましい。
R7、R8、及びR9のうちの1つ又は2つが、炭素数4〜炭素数30のアルキル基又はシクロアルキル基の場合、残りは上記Ph1であってもよい。すなわち、R7、R8、Ph1の組合せや、R7、Ph1、Ph2の組合せが挙げられる。
上記一般式(1)又は(2)で表されるリン化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、エステル交換触媒中の好ましいリン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン及びトリス(p−ターシャリーブチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
含窒素塩基性化合物としては、塩基性アンモニウム化合物やアミン系化合物等を挙げることができる。
エステル交換触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
次に、ポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。
ポリカーボネート樹脂は、原料であるジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物を混合し、この原料混合物を溶融状態で、前記エステル交換触媒の存在下、重縮合反応装置内で反応させることによって行われる(溶融重縮合法)。この反応工程は、バッチ式、連続式、これらの組合せ等を用いることができる。
重縮合反応の工程は、通常、2段階以上、好ましくは3〜7段の多段方式で連続的に行われる。具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01
Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分であり、好ましくは、5分〜300分、好まくは、温度:180℃〜310℃、圧力:20Torr〜0.05Torr(2.7kPa〜6.7Pa)、平均滞留時間:60分〜150分である。
具体例として、図1においては、3基の竪型反応器11a〜11cと、1基の横型反応器11dが示されている。
最初の竪型反応器11aに原料混合物Aの溶融物が供給され、前記エステル交換触媒の存在下で、重縮合反応が開始される。次いで、竪型反応器11b、竪型反応器11c、及び横型反応器11dに、溶融物が順次送られ、重縮合反応を進行させる。この際、フェノールが副生するが、これは熱交換器で液化され、フェノールタンク13に送られる。フェノールタンク13中のフェノールは、適宜処理され、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル化合物等の原料として再利用される。
上記重縮合反応の工程で得られたポリカーボネート樹脂は、脱揮後、冷却される。
竪型及び横型の反応器としては、例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。なかでも、反応器としては、攪拌槽型反応装置、二軸横型攪拌反応装置が好ましい。
横型反応器の攪拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業社製)、バイボラック(住友重機械工業社製)、メガネ翼、格子翼(日立製作所社製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。なかでも、メガネ翼、格子翼(日立製作所社製)等の二軸タイプの撹拌翼が好ましく用いられる。
上記の方法により製造されたポリカーボネート樹脂は、加水分解すると、下記の一般式(3)〜(7)に示されるような副生成物を生成し、これらの副生成物は樹脂中に含有される。
これらの副生成物は、前記のポリカーボネート樹脂を加水分解した後に定量分析することにより、含有量を測定することができる。
これらの副生成物の含有量の総量は、前記ポリカーボネート樹脂全体に対して、750ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。750ppmより多いと、色調の悪化を生じる場合がある。一方、この総量の下限は、0ppmであることが好ましいが、現実的には困難であり、製品色調の観点からは、100ppmくらいであれば許容される。
また、ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、15000ppm以下が好ましく、1200ppm以下がより好ましく、800ppm以下がさらに好ましく、600ppm以下が最も好ましい。また、200ppm以上が好ましく、300ppm以上がより好ましい。末端水酸基量が多すぎても少なすぎても、長時間紫外線や可視光に曝露される場所で使用した際の、色相や透明性、機械的強度の悪化抑制が不十分となるおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記ポリカーボネート樹脂に、下記一般式(1)で表されるリン化合物及び/又は下記一般式(2)で表されるリン化合物と、第1族元素(水素を除く)の化合物、第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、紫外線吸収剤及び/又は難燃剤とを含有するものである。
よい芳香環を示す。該置換基は、炭素数1〜炭素数30のアルキル基、炭素数1〜炭素数30のアルコキシ基、炭素数6〜炭素数30のシクロアルキル基、又は芳香環を示す。
また、式(2)において、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、炭素数4〜炭素数
30のアルキル基又はシクロアルキル基を示す。
香環の場合、残りは上記R7と同じであってもよい。
加えて、R7、R8、及びR9のうちの1つ又は2つが、炭素数4〜炭素数30のアルキ
ル基又はシクロアルキル基の場合、残りは上記Ph1と同じであってもよい。)
以下、ポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂としては、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合させる溶融法やジヒドロキシ化合物と塩化カルボニルとを溶剤とアルカリ水溶液との相界面にて反応させる界面法で得られる種々のポリカーボネート樹脂が使用できる。とりわけ、本発明は、前者の炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とをエステル交換触媒の存在下で重縮合して得られるポリカーボネート樹脂に好適に適用される。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、(ジヒドロキシ化合物)として、上記した通りであり、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物)
リン化合物としては、以下の式(1)及び/又は(2)で表される化合物が挙げられる。
R9は、いずれも上記した定義と同様である。
一般式(1)で示されるリン化合物の例としては、上記の式(8)〜(12)に示される化合物が挙げられる。
また、式(1)としては、Ph1、Ph2、及びPh3は、前記の要件を満たし、かつ、
置換基を介してリン原子を2つ有する二量体の化合物であってもよい。このような化合物の例としては、上記の式(13)〜(16)に示される化合物が挙げられる。
これらの中でも、前記一般式(1)で表される化合物がトリフェニルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン及びトリス(p−ターシャリーブチルフェニル)ホスフィンからなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
R7、R8、及びR9のうちの1つ又は2つが、炭素数4〜炭素数30のアルキル基又は
シクロアルキル基の場合、残りは上記Ph1及び/又はPh2と同じであってもよい。すなわち、R7、R8、Ph1の組合せや、R7、Ph1、Ph2の組み合わせであってもよい。
一般式(2)で示されるリン化合物の例としては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、上記式(17)〜(21)に示される化合物等が挙げられる。
を介してリン原子を2つ有する二量体の化合物であってもよい。このような化合物の例としては、上記式(22)〜(23)に示される化合物が挙げられる。
これらの中でも、一般式(2)で表される化合物が、トリブチルホスフィンであることが特に好ましい。
の、色相や透明性、機械的強度の悪化抑制が不十分となる場合がある。100ppmを超えると成形時にブリードアウトして外観不良が発生したり、分解ガスが多量に発生するおそれがある。
塩基性化合物としては、第1族元素(水素を除く)の化合物、第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物であり、第1族元素(水素を除く)の化合物及び第2族元素の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
中でも、前記金属元素を有する化合物が、当該金属の炭酸塩及び当該金属の酢酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
また、第2族元素としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらの金属元素を有する化合物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の水酸化物、炭酸塩等の無機化合物;これらのアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。中でも、前記金属元素を有する化合物が、当該金属元素の炭酸塩及び当該金属元素の酢酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収能を有する化合物であれば特に限定されず、紫外線吸収能を有する有機化合物及び無機化合物が挙げられる。なかでも有機化合物はポリカーボネート樹脂との親和性を確保しやすく、均一に分散しやすいので好ましい。
紫外線吸収能を有する有機化合物の分子量は特に限定されないが、通常200以上、好ましくは250以上である。また。通常600以下、好ましくは450以下、より好ましくは400以下である。分子量が過度に小さいと、長期間使用での耐紫外線性能の低下を引き起こす可能性がある。分子量が過度に大きいと、長期間使用での樹脂組成物の透明性低下を引き起こす可能性がある。
る。これらは、単独で用いても、2種以上で用いてもよい。
マロン酸エステル系化合物としては、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、テトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネートなどが挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製、SanduvorVSU)等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して0.01ppm以上10000ppm以下であり、好ましくは0.01ppm以上5000ppm以下、更に好ましくは0.01ppm以上3000ppm以下である。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると色調の改良効果を発揮することができない可能性がある。多すぎると成形時にブリードアウトして外観不良が発生したり、分解ガスが多量に発生するおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤を添加したポリカーボネート樹脂組成物とした場合に、さらに顕著な難燃性の効果を発揮する。
使用する難燃剤としては、例えば、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、燐含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、スルホン酸金属塩系難燃剤が好ましい。
スルホン酸金属塩系難燃剤は、1種又は2種以上を混合して使用することもできる。スルホン酸金属塩としては、芳香族スルホンスルホン酸金属塩、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩等が挙げられる。
スルホン酸金属塩系難燃剤は、前記ポリカーボネート樹脂組成物に対し、好ましくは0.001ppm(重量ppm、以下同じ。)〜0.1重量%、より好ましくは0.002ppm〜0.05重量%、更に好ましくは0.004ppm〜0.01重量%添加される。
ブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸ナトリウム、4,4'−ジブロモジフェニ
ル−スルホン−3−スルホン酸カリウム、4−クロロー4'−ニトロジフェニルスルホン
−3−スルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸ジナトリウ
ム、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸ジカリウム等が挙げられる。
燐含有化合物系難燃剤としては、赤燐、被覆された赤燐、ポリリン酸塩系化合物、リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、リン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホス
フェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等が挙げられる。
珪素含有化合物系難燃剤としては、例えば、シリコーンワニス、ケイ素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基とからなるシリコーン樹脂、主鎖が分岐構造で、かつ含有する有機官能基中に芳香族基を持つシリコーン化合物、シリカ粉末の表面に官能基を有していてもよいポリジオルガノシロキサン重合体を担持させたシリコーン粉末、オルガノポリシロキサン−ポリカーボネート共重合体等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、加水分解すると、上記一般式(3)〜(7)に示されるような化合物を生成し、これらの副生成物を樹脂組成物中に含有することになる。
線吸収剤及び/又は難燃剤とを、例えば、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。更に、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリカーボネート樹脂組成物に、通常用いられる核剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料等が含まれても差し支えない。
各評価方法について、以下にまとめて記す。
(1)粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液(濃度(C)は0.6g/dl)を調製し、ウベローデ粘度計を用いて、この溶液の温度20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
(2)色相(プレートYI)
射出成型機(日本製鋼所社製、J100SS−2)を用いて、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのプレートを射出成形した。該プレートについて、カラーテスター(スガ試験機社製、 SC−1−CH)で、
色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式により、黄色度の指標であるYI値を計算した。このYI値が正に大きいほど、黄色に着色していることを示す。
(3)色相(ペレットYI)
ポリカーボネート樹脂ペレットの色相は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製の分光測色計(CM−5)を用いた。測定条件は、測定径30mm、SCEを選択した。シャーレ測定用校正ガラス(CM−A212)を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックス(CM−A124)をかぶせてゼロ校正を行い、続いて、内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。白色校正板(CM−A210)を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。ペレットの色相測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから、再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。YI値が小さいほど樹脂の黄色味が少なく、色調に優れることを意味する。
(4)ポリカーボネート樹脂に含まれる前記一般式(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される化合物の含有量の測定
ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mlに溶解した後、メタノール45ml及び25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mlを加え、70℃で30分間撹拌して加水分解した(塩化メチレン溶液)。その後、この塩化メチレン溶液に6規定の塩酸を加え、
溶液のpHを2程度とし、純水にて100mlとなるように調整した。
液体クロマトグラフィー及び測定条件は以下の通りである。
液体クロマトグラフィー:島津製作所社製のLC−10AD、
カラム:YMC PACK ODS−AM M−307−3、
4.6mmID×75mmL、
検出器:UV280nm、
溶離液:(A)0.05%トリフルオロ酢酸水溶液 、及び(B)メタノール
グラジェント条件:0分(Bが40%)、25分(Bが95%)、
前記一般式(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される化合物の含有量は、ビスフェノールAにより作成した検量線に基づき、各々のピーク面積より算出した。
(5)末端水酸基濃度
ポリカーボネート樹脂0.1gを塩化メチレン10mlに溶解し、これに酢酸(和光純薬工業社製、試薬特級)の5%塩化メチレン溶液5mlと、四塩化チタン(和光純薬工業社製、試薬特級)の2.5%塩化メチレン溶液10mlを加えて発色させ、分光光度計(島津製作所社製、「UV160型」)を使用し、546nmの波長での吸光度を測定した。別に、樹脂製造時に使用した二価フェノールの塩化メチレン溶液を使用して吸光係数を求め、サンプル中の末端水酸基濃度を定量した。
(6)ポリカーボネート樹脂組成物中のリン化合物の含有量
ポリカーボネート樹脂組成物1gを塩化メチレン10mlに溶解し、この溶液をガスクロマトグラフィーにて分析し、リン化合物の含有量を求めた。
ガスクロマトグラフィー:AGILENT社製のHP6890、
カラム:J&W社製のDB−1、30m×0.25mm×0.25μm、
検出器:FPD、
カラム流量:1.5mL/min。
(7)ポリカーボネート樹脂組成物中の紫外線吸収剤の含有量
ポリカーボネート樹脂組成物0.2gを塩化メチレン1mlに溶解し、この溶液の1H−NMRスペクトル(溶媒:重クロロホルム)を、NMR(日本分光社製、AL400)を用いて測定し、紫外線吸収剤由来のシグナル強度から、ポリカーボネート樹脂組成物中の紫外線吸収剤の含有量を求めた。
(8)耐候試験後のプレートYI
射出成型機(日本製鋼所社製、J100SS−2)を用いて、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、ポリカーボネート樹脂組成物を厚み3mm、縦60mm、横60mmのプレートに射出成形した。該プレートについて、アトラス社製のキセノンウェザオメータ−(Ci4000)を用いて促進暴露試験(ブラックパネル温度70℃、相対湿度50%、120分サイクル18分間噴霧)を行い、試験後のプレートYI値を上記(2)と同様に測定し、計算により求めた。
(9)ポリカーボネート樹脂組成物中の難燃剤の含有量
ポリカーボネート樹脂組成物0.2gを塩化メチレン1mlに溶解し、この溶液の1H−NMRスペクトル(溶媒:重クロロホロム)をNMR(日本分光社製、AL400)を用いて測定し、難燃剤由来のシグナル強度からポリカーボネート樹脂組成物中の難燃剤の含有量を求めた。
(10)耐湿熱試験後のプレートYI
ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを120℃、4時間通風乾燥機で乾燥した後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)を用い、金型温度90℃の条件下にて、厚
み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を射出成形した。成形条件はバレル温度280℃、成形サイクル37秒、スクリュー回転数90rpmとした。このポリカーボネート樹脂成形体を気相部につり下げた状態で、オートクレーブを使用し、耐湿熱試験(120℃、飽和蒸気圧下で100時間処理)を実施した。処理後のプレートについて、プレートYI値を上記(2)と同様に測定し、計算により求めた。
(11)ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性試験 (V−2判定)
ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを120℃で、4時間通風乾燥機で乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製、J50E2)を用い、金型温度90℃の条件下にて、UL規格に従い、厚み3.6mmのポリカーボネート樹脂燃焼試験片を射出成形した。成形条件は、バレル温度280℃、成形サイクル37秒、スクリュー回転数90rpmとした。この燃焼試験片について、UL規格94の20mm垂直燃焼試験を行い、V−2に合格のものを「○」、V−2不合格のものを「×」とした。結果は、表1に示した。
・BPA:ビスフェノールA(三菱化学社製)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
・TPP:トリフェニルホスフィン
(実施例1−1〜1−11、及び比較例1−1〜1−5)
[実施例1−1]
図2に示すように、竪型攪拌反応器2基及び横型攪拌反応器2基を有する連続製造装置により、以下の条件でポリカーボネート樹脂を製造した。
先ず、各反応器を表1−1のとおり、予め反応条件に応じた反応液温度、及び器内圧力に設定した。次に別途、原料調製工程にて窒素ガス雰囲気下、BPAとDPCとを一定のモル比(BPA/DPC=1.025)で混合し、155℃に加熱して、原料混合溶融液を得た。
第1竪型攪拌反応器6aの平均滞留時間が48分になるように、器底部のポリマー排出ラインに設けたバルブ(図示せず)の開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型攪拌反応器6a内に触媒供給口1dから触媒としてトリフェニルホスフィンと炭酸セシウムのフェノール水溶液(フェノールと水の比率は、容積比で90/10)を、ジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン200μmol、炭酸セシウム0.2μmolの割合で連続供給した。
第4横型攪拌反応器6dから抜き出された溶融ポリカーボネート樹脂は、ギヤポンプ4
cにより二軸押出機15aに移送された。該二軸押出機(日本製鋼所社製、2軸押出機TEX30α:L/D=42)は3つのベント口を有し、真空ポンプを用いてベント口より脱揮を行った。
排出される樹脂は、ストランドの形態で水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ストランド化からペレット化までの工程は、クリーンルーム内で実施された。続いて、ペレットは気力移送によって、製品ホッパー16dに送られた。
また、比較例1−2〜1−5の結果は、表1−3にまとめて示した。
[実施例1−2]
触媒を、トリフェニルホスフィンと酢酸カルシウムのフェノール水溶液(フェノールと水の比率は、容積比で90/90)とし、供給量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン200μmol、酢酸カルシウム1μmolの割合とした以外は実施例1−1と同様に行った。
反応器攪拌機、反応器加熱装置、反応器圧力調整装置を付帯した内容量150mlのガラス製反応器に、BPA116.71g(約0.51mol)、及びDPC116.09(約0.54mol)を投入し、触媒としてトリフェニルホスフィン及び炭酸セシウムのフェノール水溶液を、ジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン100μmol、炭酸セシウム0.15μmolの割合となるように添加して混合物を調製した。
その後、反応器外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応器内圧力を絶対圧で13.3kPa(100Torr)から399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。その後、反応器外部温度を280℃に昇温、反応器内の絶対圧を30Pa(約0.2Torr)まで減圧し、重縮合反応を行った。反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
[実施例1−4]
触媒の添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン200μ
mol、炭酸セシウム0.2μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒の添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン10μmol、炭酸セシウム0.1μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
[実施例1−6]
触媒を、トリフェニルホスフィンと酢酸カルシウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン100μmol、酢酸カルシウム0.5μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、トリフェニルホスフィンと酢酸カルシウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン200μmol、酢酸カルシウム0.5μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
[実施例1−8]
触媒を、トリフェニルホスフィンと酢酸カルシウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン10μmol、酢酸カルシウム0.5μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、トリフェニルホスフィンと炭酸カリウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリフェニルホスフィン100μmol、炭酸カリウム0.1μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンと炭酸カリウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン100μmol、炭酸カリウム0.1μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンと酢酸カリウムのフェノール水溶液とし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン100μmol、酢酸カリウム0.2μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、炭酸セシウムの水溶液のみとし、供給量をジヒドロキシ化合物1molに対し、炭酸セシウム0.6μmolの割合とした以外は実施例1−1と同様に行った。
[比較例1−2]
触媒を、炭酸セシウムの水溶液のみとし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、0.5μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
触媒を、炭酸ナトリウムの水溶液のみとし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、0.5μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
[比較例1−4]
触媒を、酢酸カルシウムのフェノール水溶液のみとし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、2.0μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
[比較例1−5]
触媒を、トリフェニルホスフィンのみとし、添加量をジヒドロキシ化合物1molに対し、10μmolの割合とした以外は実施例1−3と同様に行った。
[実施例2−1]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)181.8kg及びジフェニルカーボネート(DPC)157.7kgに、触媒としてトリフェニルホスフィンをジヒドロキシ化合物1mol当たり50μmolとなるように添加し、さらに炭酸セシウム水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり2.0μmolとなるように添加して、混合物を調製した。次に、該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ及び還流冷却器を具備した内容量400L(リットル)の第1反応器に投入した。
拌動力に応じて攪拌回転数を10rpmとし、第2反応器内の最終的な内部温度は285℃とした。第2反応器の攪拌機が予め決めていた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
このポリカーボネート樹脂ペレットにp−トルエンスルホン酸ブチル2ppm及び紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、シプロ化成社製、商品名「シーソーブ709」)を3000ppm添加し、日本製鋼所社製の二軸押出機(TEX−35α)にて、溶融混練し、単軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターで切断してペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
[実施例2−2〜2−7]
実施例2−1において、第1反応器に供給する触媒としてのリン化合物、及び金属元素を有する化合物の種類と量を表2−1に示したものとした以外は、実施例2−1と同様に、第1反応器、及び第2反応器で2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)の重縮合反応を行った。
このポリカーボネート樹脂ペレットにp−トルエンスルホン酸ブチル2ppm及び紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、シプロ化成社製、商品名「シーソーブ709」)を2600〜5000ppm添加し、実施例2−1と同様に溶融混練後ペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
実施例2−1において、第1反応器に供給する触媒としてのリン化合物(トリフェニルホスフィン)を使用しない以外は、実施例2−1と同様に縮重合反応を行い、ポリカーボネート樹脂ペレット及びポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
[比較例2−2]
実施例5において、得られたポリカーボネート樹脂ペレットに紫外線吸収剤を添加しなかった以外は、実施例5と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
[実施例3−1]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)181.8kg及びジフェニルカーボネート(DPC)157.7kgに、触媒としてトリフェニルホスフィンをジヒドロキシ化合物1mol当たり50μmolとなるように添加し、さらに炭酸セシウム水溶液を炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり0.2μmolとなるよう
に添加して、混合物を調製した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ及び還流冷却器を具備した内容量400Lの第1反応器に投入した。
このポリカーボネート樹脂ペレットにp−トルエンスルホン酸ブチル2ppm及び難燃剤(ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、Arichem社製、商品名「KSS−FR」)を60ppm添加し、日本製鋼所社製の二軸押出機(TEX−35α)にて、溶融混練し、単軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターで切断してペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
表1に示した。
[実施例3−2〜3−6]
実施例3−1において、第1反応器に供給する触媒としてのリン化合物及び金属元素を含む化合物の種類と量を表3−1に示したものとした以外は、実施例3−1と同様に第1反応器、第2反応器で2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)及びジフェニルカーボネート(DPC)の重縮合反応を行った。
このポリカーボネート樹脂のペレットにp−トルエンスルホン酸ブチル2ppm及び難燃剤(ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、Arichem社製、商品名「KSS−FR」)を60ppm〜120ppm添加し、実施例3−1と同様に溶融混練後ペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
実施例3−1において、第1反応器に供給する触媒としてのリン化合物(トリフェニルホスフィン)を使用せず、前記炭酸セシウム水溶液を炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物
1mol当たり0.5μmol用いた以外は、実施例3−1と同様に縮重合反応を行い、ポリカーボネート樹脂ペレット及びポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
実施例3−5において、得られたポリカーボネート樹脂ペレットに難燃剤を添加しなかった以外は、実施例3−5と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
強度及び耐衝撃性等にも優れた特性を有し、各種機械部品、各種電気絶縁性材料、自動車部品、光ディスク等の情報機器材料、ヘルメット等の安全防護材料等の各種用途に利用できる。
1a 原料(炭酸ジエステル)供給口
1b、1c 原料(ジヒドロキシ化合物)供給口
1d 触媒供給口
2a 原料混合槽
3a アンカー型攪拌翼
4a 原料供給ポンプ
4b、4c、4d ギアポンプ
5a 原料フィルター
6a 第1竪型反応器
6b 第2竪型反応器
6c 第3横型反応器
6d 第4横型反応器
7a、7b マックスブレンド翼
7c ハイブリッド翼
7d 2軸メガネ型攪拌翼
8a、8b 内部熱交換器
9a、9b 還流冷却器
10a、10b 還流管
11a、11b、11c、11d 留出管
12a、12b、12c、12d 凝縮器
13a、13b、13c、13d 減圧装置
14a 留出液回収タンク
15a 二軸押出機
15b ポリマーフィルター
16a ストランド冷却槽
16b ストランドカッター
16c 空送ブロワー
16d 製品ホッパー
16e 計量器
16f 製品袋(紙袋、フレコンなど)
Claims (19)
- 炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とをエステル交換触媒の存在下に重縮合反応するポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
前記エステル交換触媒が下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、
を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
。該置換基としては、炭素数1〜炭素数30のアルキル基、炭素数1〜炭素数30のアルコキシ基、炭素数6〜炭素数30のシクロアルキル基、又は芳香環を示す。) - 前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、及び長周期型周期表第2族元素の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法
- 前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と塩基性化合物とのモル比率が、10000:1〜0.1:1である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物が、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.1μモル以上1000μモル以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)のPh1、Ph2、及びPh3が、それぞれ独立に、全て置換基を有する芳香環である請求項1乃至4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されたポリカーボネート樹脂に前記(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、
長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、紫外線吸収剤とを添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されたポリカーボネート樹脂に前記(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物と、
長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、長周期型周期表第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物及び含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、難燃剤とを添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族元素(水素は除く)の化合物、及び長周期型周期表第2族元素の化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7又は8に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)及び/又は(2)で表されるリン化合物の含有量が、ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、1ppm以上100ppm以下である請求項7乃至9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)で表されるリン化合物が、トリフェニルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン及びトリス(p−ターシャリーブチルフェニル)ホスフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項7乃至10のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族又は長周期型周期表第2族の金属元素を有する化合物であり、
前記金属元素を有する化合物が、当該金属の炭酸塩及び当該金属の酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項7乃至11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記塩基性化合物が、長周期型周期表第1族又は長周期型周期表第2族の金属元素を有する化合物であり、
前記金属元素を有する化合物の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して0.01ppm以上1ppm以下である請求項7乃至12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して0.01ppm以上10000ppm以下である請求項7、及び9乃至13のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系、トリアジン系及びマロン酸エステル系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7、及び9乃至14のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記難燃剤の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂組成物全体に対して、0.001ppm以上25重量%以下である請求項8乃至13のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記難燃剤が、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、燐含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8乃至13、及び16のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が、200ppm以上1200ppm以下である請求項7乃至18のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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