JP6133762B2 - フランジ接合部補強治具 - Google Patents
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Description
また、両フランジ部に曲げ方向或いは引張方向の力が作用した場合でも、両フランジ部の離間を防止し、内部を通流する流体の漏洩を確実に防止できる構成とすることが望まれる。
同様に、両フランジ部の一方が流体機器の一端側に形成されたフランジ部である場合には、当該両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、フランジ接合部補強治具が流体機器の他端側に形成されたフランジ部に干渉し、装着が不良或いは不能となる可能性もある。
さらに、ボルトの先端がフランジ部の外側面に当接すると当該外側面に傷がつき腐食等の原因になるとともに、当該傷を防止するためにボルトの先端に保護部材を装着すると、当該ボルトがコ字形状部材の管軸方向の外方側部位に突出する突出代が大きくなり、当該外方側部位に大きな作業用空間を形成しなければフランジ接合部補強治具の両フランジ部への装着が、より一層不能或いは不良となる可能性がある。
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成され、
少なくとも一方の挟持部材の押圧部を、前記内嵌合部又は前記外嵌合部に対して前記両フランジ部の径方向に進退自在な進退手段を備えた点にある。
これにより、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態で、両フランジ部に曲げ方向(径方向)への力が作用した場合でも、締結手段の締結部位に加えて、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位でも当該力を受け止めることができ、締結手段の締結部位に掛かる応力の低減を図ることができる。従って、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度を向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
これにより、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に接続された空気弁や補修弁等の流体機器の外径が当該フランジ部に接続される流体管の外径よりも大径で、しかも、流体機器と当該フランジ部とが流体管の管軸方向において近接する場合であっても、一方の挟持部材の押圧部を両フランジ部の径方向外方側に適宜引退させることで、当該押圧部が流体機器に干渉しない状態で両挟持部材を両フランジ部に装着することができる。また、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に空気弁等の流体機器が接続されていない場合には、当該一方の挟持部材の押圧部を両フランジ部の径方向内方側に適宜進入させることで、当該押圧部を所期の装着位置に装着させることができる。なお、当該押圧部を両フランジ部の径方向に進退させることは、フランジ接合部補強治具を両フランジ部に装着する際のみならず、両フランジ部への装着前、装着中、装着後、或いは、離脱後であってもよく、また、両フランジ部の一方に流体機器が接続されている場合でも接続されていない場合であってもよい。
よって、両フランジ部に容易且つ確実に装着できるとともに、両フランジ部を含む流体管路を所定の耐震性能を備えた耐震管路に補強でき、しかも、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止して止水性能を向上できる。
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通されている点にある。
また、進退部材が内嵌合部又は外嵌合部において両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔に挿通され、且つ、締結手段の締結ボルトが内嵌合部の筒状内部空間内においてフランジ接合方向で進退部材に開口形成される貫通孔に挿通されるので、両フランジ部の径方向における進退部材の進退を保持孔により保持案内された状態で良好に行うことができ、しかも、進退部材を筒状内部空間内に挿通しても締結ボルトの締結が阻害されることがなくなる。
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通され、
前記貫通孔が、前記両フランジ部の径方向に沿った長孔に形成され、
少なくとも前記最大進入位置規制部及び前記最大引退位置規制部の一方が前記長孔により構成されている点にある。
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成され、
前記両挟持部材の押圧部が前記両フランジ部の径方向において相互に偏倚した位置において前記両フランジ部の外側面に当て付けられた状態で、前記両挾持部材が前記締結手段により締付固定操作可能に構成されている点にある。
これにより、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態で、両フランジ部に曲げ方向(径方向)への力が作用した場合でも、締結手段の締結部位に加えて、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位でも当該力を受け止めることができ、締結手段の締結部位に掛かる応力の低減を図ることができる。従って、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度を向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
これにより、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に接続された空気弁や補修弁等の流体機器の外径が当該一方のフランジ部に接続される流体管の外径よりも大径で、しかも、流体機器と当該一方のフランジ部とが流体管の管軸方向において近接する場合であっても、両フランジ部の径方向外方側に適宜引退した構成である一方の挟持部材の押圧部(外方側押圧部)が流体機器に干渉しない状態で、両挟持部材を両フランジ部に装着することができ、しかも、両フランジ部のうち空気弁等の流体機器が接続されていない他方のフランジ部には、両フランジ部の径方向内方側に適宜進入した構成である他方の挟持部材の押圧部(内方側押圧部)が所期の位置でフランジ部の外側面に当て付けられる状態で、両挟持部材を両フランジ部に装着することができる。
よって、両フランジ部に容易且つ確実に装着できるとともに、両フランジ部を含む流体管路を所定の耐震性能を備えた耐震管路に補強でき、しかも、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止して止水性能を向上できる。
少なくとも一方の挟持部材の押圧部が前記フランジ部の外側面における前記密封部材に対応する部位に位置する状態で、前記両挾持部材が前記締結手段により締付固定操作可能に構成されている点にある。
従って、フランジ接合部補強治具を、両フランジ部に容易に装着できるとともに、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度をより向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩をより確実に防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
また、雌ネジ部が、内嵌合部の内周面における外嵌合部側の一端部に形成されているので、当該雌ネジ部は、内嵌合部と外嵌合部との筒状内部空間に挿通された締結ボルトの頭部に近接した位置に位置することとなる。これにより、雌ネジ部と締結ボルトの雄ネジ部との螺合箇所が、締結ボルトの頭部が外嵌合部と当接する位置に近接することとなり、フランジ接合方向(軸方向)における締結ボルトの頭部と当該螺合箇所との距離を比較的小さくすることができ、両フランジ部に曲げ方向(径方向)或いは引張方向(軸方向)の力が作用した場合でも、締結ボルトの伸びや破壊を良好に防止することができる。即ち、締結ボルトの伸び等を防止できるので、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を良好に防止することができる。また、当該距離を比較的小さくすることができれば、締結ボルトとして汎用のボルトを使用することが可能となり、フランジ接合部補強治具を安価のものとすることができる。
図1及び図2は流体配管系(管路)の途中のフランジ接合部を示し、鋳鉄製の両水道管(流体管の一例)1、1の端部にそれぞれ径方向外方に円板状に延出形成された両フランジ部1A、1Bが、リング状でシート状のガスケット(密封部材の一例)2を両フランジ部1A、1B間に介装させた状態で、複数の連結ボルト4A及び連結ナット4B(本実施形態では、8ヶずつ)により連結されている。両フランジ部1A、1Bには、フランジ接合方向(軸方向)に貫通する複数の貫通孔3(本実施形態では、8ヶ所ずつ)が周方向で等間隔に形成され、これら貫通孔3に連結ボルト4Aが挿通されて、当該連結ボルト4Aの雄ネジ部の先端側に連結ナット4Bが螺合固定される。なお、本実施形態の両フランジ部1A、1Bは、いわゆるRF形フランジである。
鍔状部5Bは、側面視で概略正方形状に形成され、縦断面視で中央部に上記筒状内部空間5cが貫通形成されている。
筒状内部空間5cにおいて、鍔状部5Bが形成された側は開口形成され、鍔状部5Bが形成された側とは反対側は、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aが螺合可能な雌ネジ部5dが、内嵌合部5Aの底部を貫通する状態で開口形成されている。すなわち、雌ネジ部5dは、内嵌合部5Aにおける筒状内部空間5cの内周面5bにおいて、鍔状部5Bが形成された側とは反対側の端部に形成されている。
従って、図6に示すように、締結ボルト7Aが長孔5i及び筒状内部空間5cに挿通されると、進退部材5Cの押圧部5gは、両フランジ1A、1Bの径方向において最大引退位置と最大進入位置との間の所定範囲L内における進退が許容される。ここで、例えば、最大進入位置は、後述する押圧部5gの押圧面5jがフランジ部1Bの外側面1aにおいてガスケット2に対応する部位に設定でき、最大引退位置は、押圧部5gがフランジ部1Bの外側面1aから離脱しない部位に設定できる。
また、外嵌合部6Aの底部には、当該底部を筒状内部空間6cの延出方向(フランジ接合方向(軸方向))に沿って貫通する挿通孔6dが筒状内部空間6cに連通する状態で開口形成されており、挿通孔6dが形成された側とは反対側の筒状内部空間6cの端部は開口形成されている。挿通孔6dは、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを挿入可能で且つ頭部7bを挿通不能に形成されている。なお、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aが挿通孔6dに挿通された状態では、雄ネジ部7aの外周面と挿通孔6dの内周面との間には、所定の隙間が形成される(図6〜図8参照)。
従って、図6に示すように、締結ボルト7Aが長孔6i及び筒状内部空間6cに挿通されると、進退部材6Bの押圧部6gは、両フランジ1A、1Bの径方向において最大引退位置と最大進入位置との間の所定範囲L内における進退が許容される。ここで、例えば、最大進入位置は、後述する押圧部6gの押圧面6jがフランジ部1Aの外側面1aにおいてガスケット2に対応する部位に設定でき、最大引退位置は、押圧部6gの先端がフランジ部1Aに接続された空気弁Vに接触せず且つフランジ部1Aの外側面1aから離脱しない部位に設定できる。
従って、フランジ接合部補強治具Pでは、第1挟持部材5の押圧部5g及び第2挟持部材6の押圧部6gの相対位置を、両フランジ部1A、1Bのフランジ接合方向において適宜調整することができる。
具体的には、図6に示すように、第1挟持部材5の内嵌合部5Aの保持孔5eに進退部材5Cの進退部5fを挿通するとともに、第2挟持部材6の外嵌合部6Aの保持孔6eに進退部材6Bの進退部6fを挿通して、内嵌合部5Aを外嵌合部6A内に嵌合し、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを外嵌合部6Aの挿通孔6dを介して内嵌合部5Aの雌ネジ部5dに螺合した状態において、両フランジ部1A、1Bのフランジ接合方向において内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの嵌合位置(嵌合距離)を所定の移動範囲M内で適宜調節可能に構成されている。これにより、フランジ接合方向における両フランジ部1A、1Bの厚みに応じて、内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位の大きさ(嵌合距離)、及び、両押圧面5j、6jの相対位置(相対間隔)を適宜調整して、両押圧面5j、6jを各別に両フランジ部1A、1Bの外側面1a、1aに当て付けた状態で、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aと内嵌合部5Aの雌ネジ部5dとを螺合固定し、第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両フランジ部1A、1Bに装着することができる。
この際には、内嵌合部5Aの外面5aと外嵌合部6Aの内面6bとが横断面視で相対回転不能な概略正方形状に形成されているので、第1挟持部材5の押圧部5gと第2挟持部材6の押圧部6gとを同方向に延出させた状態で、容易に嵌合させることができる。
また、進退部材5Cを、進退部材5Cの突出部5hが保持孔5eの開口周縁部に当接する程度に挿入し、進退部材6Bを、進退部材6Bの突出部6hが保持孔6eの開口周縁部に当接する程度に挿入しておくと、両進退部材5C、6Bが各保持孔5e、6eから離脱することを良好に防止できる。
これにより、図1、図7及び図8に示すように、一方のフランジ部1Aに接続された空気弁Vの外径が当該フランジ部1Aに接続される水道管1の外径よりも大径で、しかも、空気弁Vと当該フランジ部1Aとが水道管1の管軸方向において近接する場合であっても、第2挟持部材6の押圧部6gをフランジ部1Aの径方向外方側に適宜引退させることで、当該押圧部6gが空気弁Vに干渉しない状態で第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両フランジ部1A、1Bに装着することができる。また、空気弁Vが接続されていない他方のフランジ部1Bにおいては、第1挟持部材5の押圧部5gをフランジ部1Bの径方向内方側に適宜進入させることで、当該押圧部5gの押圧面5jを所期の装着位置であるガスケット2に対応する部位に位置させた状態で装着させることができる。
よって、フランジ部1Aに空気弁Vが接続されている場合であっても第1挟持部材5及び第2挟持部材6を確実に装着することができ、しかも、第1挟持部材5の押圧部5gの押圧面5jによりフランジ接合方向においてフランジ部1Bの外側面1aを介してガスケット2を確実に押圧することができる。
さらに、締付固定した状態では、内嵌合部5Aの雌ネジ部5dが、締結ボルト7Aの頭部7bに近接した位置に位置することから、雌ネジ部5dと締結ボルト7Aの雄ネジ部7aとの螺合箇所が、締結ボルト7Aの頭部7bが外嵌合部6Aの外側面と当接する位置に近接することとなり、フランジ接合方向(軸方向)における締結ボルト7Aの頭部7bと当該螺合箇所との距離を比較的小さくすることができる。これにより、両フランジ部1A、1Bに曲げ方向(径方向)或いは引張方向(軸方向)の力が作用した場合でも、締結ボルト7Aの伸びや破壊を良好に防止することができ、両フランジ部1A,1Bの離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を良好に防止することができる。さらに、雌ネジ部5dを筒状内部空間5c、6c内における内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位に位置させることができ、締結ボルト7Aの長さを比較的短くすることが可能となり、締結ボルト7Aの先端が筒状内部空間5c、6cの外部に突出することを良好に防止することができ、フランジ接合部補強治具Pの外観を損なうことなく省スペース化を図ることができる。
このため、両フランジ部1A、1Bの呼び径や設計圧力に応じて、両フランジ部1A、1Bの肉厚が変更される場合、例えば、図10に示すように、両フランジ部1A、1Bの肉厚よりも厚い肉厚の両フランジ部10A、10Bにフランジ接合部補強治具Pを装着する場合であっても、内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位の大きさ(嵌合距離)を調整(図10では、嵌合距離を小さく調整)することで、第1挟持部材5の押圧部5gの押圧面5jをフランジ部10Aの外側面10aに当接させ且つ第2挟持部材6の押圧部6gの押圧面6jをフランジ部10Bの外側面10aに当接させた状態で、内嵌合部5Aの雌ネジ部5dに締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを螺合させて内嵌合部5A及び外嵌合部6A、ひいては、第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両フランジ部10A、10Bに良好に締付固定することができる。なお、第1挟持部材5の進退部材5C及び第2挟持部材6の進退部材6Bは、両フランジ部10A、10Bの径方向に進退自在に構成されているが、両進退部材5C、6Bの両押圧面5j、6jの夫々は、両フランジ部10A、10Bの外側面10a、10aにおいて、ガスケット(密封部材の一例)10Cに対応する部位(最大進入位置)で当て付けられるように構成されている。即ち、両押圧面5j、6jは、両フランジ10A、10Bの径方向においてほぼ同位置となるように位置が調整されている。なお、両フランジ部10A、10Bは、いわゆるGF形フランジである。
(A)上記実施形態では、第1挟持部材5の内嵌合部5Aを有底筒状に構成し内部に筒状内部空間5cを形成して、内嵌合部5Aの底部に雌ネジ部5dを開口形成するとともに、第2挟持部材6の外嵌合部6Aを有底筒状に構成し内部に筒状内部空間6cを形成して、外嵌合部6Aの底部に挿通孔6dを形成することで、締結手段7を、当該挿通孔6dに挿通され且つ雌ネジ部5dに螺合される締結ボルト7Aと当該雌ネジ部5dとにより構成したが、第1挟持部材5、第2挟持部材6及び締結手段7の構成は、適宜変更することができる。
これにより、内嵌合部60A及び外嵌合部61Aを筒状に形成するだけで、両者にネジ山を形成する必要がないため、フランジ接合部補強治具Pを簡便且つ安価な構成とすることができる。
第1挟持部材70の鍔状部5Bには、当該鍔状部5Bの四辺(四平面)のうちの一辺(一平面)からさらに外方側に延出する押圧部70Aが一体的に形成されている。押圧部70Aは、側面視で若干先窄み形状に形成され、縦断面視で先端側に行くにつれて雌ネジ部5d側に傾斜するテーパー形状に形成され、押圧部70Aのうち雌ネジ部5d側の面の先端部位が、内嵌合部5Aの外面5aと垂直な押圧面70aとして形成されている。
第2挟持部材71の外嵌合部6Aには、外嵌合部6Aの一端部において当該外嵌合部6Aの外面6aの四辺(四平面)のうちの一辺(一平面)からさらに外方側に延出する押圧部71Aが一体的に形成されている。押圧部71Aは、側面視で若干先窄み形状に形成され、縦断面視で先端側に行くにつれて押圧部71Aが形成された側とは反対側に傾斜するテーパー形状に形成され、押圧部71Aのうち挿通孔6dとは反対側の面の先端部位が、外嵌合部6Aの外面6aと垂直な押圧面71aとして形成されている。
そして、両挟持部材70、71の各押圧部70A、71Aが両押圧部70A、71Aの延出方向(両フランジ部1A、1Bの径方向)で相互に偏倚した位置となるように構成され、各押圧部70A、71Aの各押圧面70a、71aが両フランジ部1A、1Bの外側面1a、1aの夫々に当て付けられた状態で、両挾持部材70、71が締結ボルト7Aと雌ネジ部5dとの螺合により締付固定操作可能に構成されている。
これにより、両挟持部材70、71の押圧部70A、71Aを、両フランジ部1A、1Bの径方向において、径方向外方側の位置で当て付けられる外方側押圧部(押圧部71Aの押圧面71a)と、外方側押圧部よりも径方向内方側の位置で当て付けられる内方側押圧部(押圧部70Aの押圧面70a)とから構成することが可能となる。
従って、一方のフランジ部1Aに接続された空気弁Vの外径が当該フランジ部1Aに接続される水道管1の外径よりも大径で、しかも、空気弁Vと当該フランジ部1Aとが水道管1の管軸方向において近接する場合であっても、フランジ部1Aの径方向外方側に適宜引退した構成である第2挟持部材71の押圧部71A(外方側押圧部)が空気弁Vに干渉しない状態で、両挟持部材70、71を両フランジ部1A、1Bに装着することができる。また、空気弁Vが接続されていない他方のフランジ部1Bにおいては、フランジ部1Bの径方向内方側に適宜進入した構成である第1挟持部材70の押圧部70A(内方側押圧部)が所期の位置でフランジ部1Bの外側面1aに当て付けられる状態で、両挟持部材70、71を両フランジ部1A、1Bに装着することができる。なお、第1挟持部材70における押圧部70Aの押圧面70aがフランジ部1Bの外側面に当て付けられる所期の位置は、両フランジ部1A、1B間に介装されるガスケット2に対応する部位に位置させることが好ましい。
例えば、第2挟持部材6の外嵌合部6Aの保持孔6eに進退部材6Bの進退部6fを挿通した状態で、進退部材6Bにおける押圧部6gの押圧面6jをフランジ部1Aの外側面1aに当接させ、外嵌合部6Aをフランジ部1Aの外周面1cの径方向外方側に位置させて、さらに、第1挟持部材5の鍔状部5Bの保持孔5eに進退部材5Cの進退部5fを挿通した状態で、第1挟持部材5の内嵌合部5Aをフランジ接合方向から上記外嵌合部6A内に嵌合させつつ、進退部材5Cにおける押圧部5gの押圧面5jをフランジ部1Bの外側面1aに当接させる。その後、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを外嵌合部6Aの挿通孔6dを介して内嵌合部5Aの雌ネジ部5dに螺合させ、進退部材5C及び進退部材6Bを適宜両フランジ部1A、1Bの径方向に適宜進退させつつ、第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両フランジ部1A、1Bに外嵌装着することもできる。この際、両フランジ部1A、1Bに接続されている流体機器がある場合には、各押圧部5g、6gを両フランジ部1A、1Bの径方向外方側に適宜引退させて流体機器と各押圧部5g、6gとの接触を防止するとともに、流体機器が接続されていない場合でも、各押圧部5g、6gを両フランジ部1A、1Bの径方向内方側に適宜進入させて両フランジ部1A、1B間に存在するガスケット2等の密封部材に対応する位置を確実に押圧する構成とすることができる。
また、押圧部5g、6gを進退手段により両フランジ部1A、1Bの径方向に進退自在に構成する際には、上記実施形態のように、押圧部5gを進退部材5Cに一体形成し、押圧部6gを進退部材6Bに一体形成する構成に限らず、当該径方向において押圧部5gを第1挟持部材5の内嵌合部5Aに対して進退可能或いは押圧部6gを第2挟持部材6の外嵌合部6Aに対して進退可能な構成であれば、適宜採用することができ、例えば、進退部材5C、6Bを省略し、押圧部5gを第1挟持部材5に対して当該径方向に進退自在に構成することもでき、押圧部6gを第2挟持部材6に対して径方向に進退自在に構成することもできる。
さらに、例えば、進退部材5C、6Bを保持孔5e、6eに挿通して、進退部材5C、6Bを保持孔5e、6eに沿って保持案内された状態で進退(摺動)させて、押圧部5g、6gを両フランジ部1A、1Bの径方向に進退させる構成(進退手段)ではなく、押圧部5g、6gをネジ機構等(進退手段)により当該径方向に進退させる構成としてもよい。
1A フランジ部
1B フランジ部
1a 外側面
1c 外周面
2 ガスケット(密封部材)
3 貫通孔
5 第1挟持部材(挟持部材)
5A 内嵌合部
5C 進退部材(進退手段)
5c 筒状内部空間
5d 雌ネジ部(締結手段)
5e 保持孔(進退手段)
5g 押圧部
5h 突出部(最大引退位置規制部)
5i 長孔(最大進入位置規制部、最大引退位置規制部)
6 第2挟持部材(挟持部材)
6A 外嵌合部
6B 進退部材(進退手段)
6a 外面(装着規制部)
6c 筒状内部空間
6e 保持孔
6g 押圧部
6h 突出部(最大引退位置規制部)
6i 長孔(最大進入位置規制部、最大引退位置規制部)
7 締結手段
7A 締結ボルト(締結手段)
10A フランジ部
10B フランジ部
10C ガスケット(密封部材)
62 締結ボルト(締結手段)
62a 突出雄ネジ部
64 締結ナット(締結手段)
P フランジ接合部補強治具
C 凹部
V 空気弁(流体機器)
Claims (5)
- ボルト連結されている両フランジ部の外側面に各別に当接可能な押圧部を備えた一対の挟持部材と、この両挾持部材の押圧部を両フランジ部の外側面に当て付けた状態で当該両挾持部材をフランジ接合方向に引き寄せて締付固定する締結手段とを備えたフランジ接合部補強治具であって、
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成され、
少なくとも一方の挟持部材の押圧部を、前記内嵌合部又は前記外嵌合部に対して前記両フランジ部の径方向に進退自在な進退手段を備えたフランジ接合部補強治具。 - 前記進退手段が前記両フランジ部の径方向に進退自在な状態で前記内嵌合部又は前記外嵌合部に設けられる進退部材を備え、少なくとも一方の挟持部材の押圧部が前記進退部材に設けられている請求項1に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記進退手段が前記内嵌合部又は前記外嵌合部において前記両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔を備え、前記進退部材が前記保持孔に挿通されて前記両フランジ部の径方向に進退自在に構成され、
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通されている請求項2に記載のフランジ接合部補強治具。 - 前記進退手段が、前記両フランジ部の径方向内方側への前記進退部材の進入を最大進入位置に規制する最大進入位置規制部と、前記両フランジ部の径方向外方側への前記進退部材の引退を最大引退位置に規制する最大引退位置規制部とを備えた請求項2又は3に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記進退手段が前記内嵌合部又は前記外嵌合部において前記両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔を備え、前記進退部材が前記保持孔に挿通されて前記両フランジ部の径方向に進退自在に構成され、
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通され、
前記貫通孔が、前記両フランジ部の径方向に沿った長孔に形成され、
少なくとも前記最大進入位置規制部及び前記最大引退位置規制部の一方が前記長孔により構成されている請求項4に記載のフランジ接合部補強治具。
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