JP6128866B2 - ギアードモータ - Google Patents
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Description
このようなギアードモータでは減速歯車列を有してモータの出力を増大させるようにしているが、全体をコンパクトなものとするため、減速歯車列には樹脂製で小形の歯車を使用するものが多い。
ここで、使用者がモータの停止状態で便座等を急に開閉したり、モータによる駆動方向と逆方向に便座等を開閉した場合には、モータや各ギア、その支持軸あるいは支持ボス等に過大な力がかかり、破損が生じるおそれがある。この対策として、所定以上のトルクが加わったときに相対回転するトルクリミッタが減速歯車列内に組み込まれる。
このようなトルクリミッタを備えるギアードモータとしては、例えば特開2006−95120号公報に開示されたようなものがある。
しかしながら、単なる摩擦力ではトルク伝達限界が明確でなく変動しやすいため、作動の安定性、信頼性が低い。
このため、弾性アームとカムを組み合わせたラチェットでトルクリミッタを構成することが考えられる。これによれば、弾性アームの変形特性とカムの傾斜に基づいて精度良くトルク伝達限界を設定でき安定した作動が期待できる。
したがって本発明は、ラチェットを用いて安定したトルクリミッタを備え、信頼性の高いギアードモータを提供することを目的とする。
図1は実施の形態の外観を示し、(a)は前方斜め上からの斜視図、(b)は前方斜め下からの斜視図、そして(c)は後方斜め下からの斜視図である。
すなわち、以下の実施の形態の説明においては、図1の(a)における左手前側を前方、右奥側を後方、左奥側を右方、右手前側を左方、そして上側を上方とする。
ギアードモータ1は、それぞれ樹脂製のアッパカバー10、ミドルカバー30、アッパハウジング40、ロアハウジング70およびロアカバー110からなるケース7内に後述するDCモータ2と減速ギア列6と角度センサ180を収容して構成される。ケース7の平面形は前辺が丸みを帯びた略矩形である。
ロアハウジング70の底壁71には、便蓋等のヒンジ軸と接続する不図示の出力軸部材を挿通させる出力孔84が開口する。
ロアカバー110はロアハウジング70の底壁71の出力孔84まわりを除く一部を覆っている。
取り付け部14a、14bは周壁(前壁12a、左壁12b、右壁12c、後壁12d)が形成する略矩形の輪郭内にフランジ状に設定されている。
アッパカバー10とアッパハウジング40(およびミドルカバー30)は取り付け部14a、14bにおいてネジ8a、8bにより共締めでロアハウジング70と結合される。
アッパカバー10の周壁における取り付け部14a、14bの上方部分は、ネジ8a、8bを締め付けるドライバの通過スペースとして、天壁11まで延びる凹部23となっている。
ロアハウジング70の後壁72dは幅(左右)方向中間部が上下にわたって膨出した堤部74を有する。
ケース7内部のDCモータ2および角度センサ180からの外部配線107が堤部74の下端側部から引き出される。
アッパハウジング40の後部には、ネジ29で下面側に取り付けられたDCモータ2のピニオンギア120が上面側に突出し、左寄りに配置され支持軸124に支持された第1ギア121の大径歯車121aがピニオンギア120と噛み合っている。
第1ギア121の小径歯車121bとアッパハウジング40の前部に配置され支持軸127に支持された第2ギア126の大径歯車126aが噛み合い、第2ギア126の小径歯車126bと右寄りに配置され支持軸149に支持された第3ギア130の大径歯車130aが噛み合っている。
第1ギア121は大径歯車121aから上方に小径歯車121bが延びて、大径歯車121aから小径歯車121bまでを軸孔122が貫通している。
大径歯車121aの下端面には軸孔122の開口を囲む細幅のリング突起123が形成され、小径歯車121bの上端面にも同様に軸孔122の開口を囲むリング突起123が形成されている。
とくに詳細図示はしないが、後述する第2ギア126の小径歯車126bの下端面、第3ギア130の小径歯車130bの下端面、そして第4ギア150の大径歯車150aの上端面および小径歯車150bの下端面にも、それぞれの軸孔の開口を囲む同様のリング突起が形成されている。
周壁下端の取り付け部14aにはネジ8aを貫通させる取付け孔15aが貫通し、取り付け部14bにはネジ8bを貫通させる取付け孔15bが貫通している。取付け孔15aの径は取付け孔15bよりも大きい。
アッパカバー10の天壁11には、第1ギア121の支持軸124を支持するための支持ボス16、第2ギア126の支持軸127を支持するための支持ボス18、および第3ギア130の支持軸149を支持するための支持ボス20が設けられている。
支持ボス16、18、20の下端面には支持軸124、127、149の上端が挿入される軸穴17、19、21が開口している。
支持ボス20の下部は第2ギア126の大径歯車126aとの干渉を避けるため、一部切り欠かれている。
また、ケース7を構成する各部材には、剛性確保のため、それぞれ複数のリブが形成されているが、これについては説明を省く。
ミドルカバー30はアッパハウジング40の左前部に重ねられている。
ミドルカバー30の前端部にはアッパカバー10の取付け孔15aに対応する取付け孔32aを有する取り付け部31aが設けられ、左端部にはアッパカバー10の取付け孔15bに対応する取付け孔32bを有する取り付け部31bが設けられている。
アッパハウジング40にはアッパカバー10の取付け孔15aに対応する取付け孔42aを有する取り付け部41aと、取付け孔15bに対応する取付け孔42bを有する取り付け部41bとが設けられている。
ミドルカバー30の取り付け部31aから取り付け部31bに至る区間の周縁は所定量切り欠かれ、これに対応するアッパハウジング40の周縁も同様に切り欠かれている。
ミドルカバー30の当該区間にはアッパカバー10の周壁下端が延び、アッパハウジング40の当該区間にはロアハウジング70の周壁上端が延びてカバーする。
アッパハウジング40にはさらにモータ軸貫通孔44の前方左寄りに第1ギア121の支持軸124を支持するための支持ボス46が立ち上がり、支持ボス46の上端面には支持軸の下端が挿入される軸穴47が開口している。
アッパハウジング40の前後方向中央の右寄りには第3ギア130を貫通させるギア貫通孔48が設けられている。
支持ボス46とギア貫通孔48の中間位置に位置決めピン49が形成され、ミドルカバー30の後端部にはこれに整合する位置決め孔35が形成されている。これにより、アッパハウジング40に形成された第1ギア121の支持ボス46(軸穴47)とミドルカバー30に形成された第2ギア126の支持ボス33(軸穴34)間の位置精度が確保される。
図6に示すように、アッパハウジング40の上面側の前部には略円形の凹部50が形成され、凹部50の底壁51からは円筒部52が立ち上がっている。
円筒部52の略前後方向で対向する2箇所には、上端から底壁51近傍まで延びる所定幅の切込み53(53a、53b)が形成されている。
円筒部52は下方に延びて、アッパハウジング40の下面から所定長さ突出する。円筒部52における切込み53の下端より下部は上部よりも小径とされ、出力ギア155の上部軸受け部55となっている。
リング溝36には径方向にブリッジが横切っている。すなわち、円筒部52の一方の切込み53aに対応する位置に当該切込み53aに受入可能な小幅のブリッジ37aが設けられ、他方の切込み53bに対応する位置には当該切込み53bの幅よりも大きい大幅のブリッジ37bが設けられている。大幅のブリッジ37bは上面側の支持ボス33の下面に相当する位置に設定してある。
先の図6に示すように、アッパハウジング40の円筒部52上端には切込み53bを中央にしてミドルカバー30の大幅のブリッジ37bを受け入れる幅の切り欠き54が形成されている。
アッパハウジング40の下面については後述する。
アッパハウジング40の下側において、第3ギア130の小径歯車130bとケース7の前部右寄りに配置され支持軸151に支持された第4ギア150の大径歯車150aが噛み合い、第4ギア150の小径歯車150bと前部左寄りに配置された出力ギア155が噛み合っている。
アッパハウジング40下面の後部はDCモータ2を収容するモータ上部収容部60となっている。
ロアハウジング70の周壁には、その内面から内側に膨出してアッパカバー10の各取付け孔15a、15bに対応するネジ穴78a、78bを上端面に開口させた取り付け部77a、77bが設けられている。
なお、各取り付け部77a、77bの上端面は周壁の上端に位置し、アッパハウジング40を重ねたときアッパハウジング40の取り付け部41a、41bの下面が着座するように設定してある。
取り付け部77aのネジ穴78aの開口は突出リング79で囲まれており、アッパカバー10の取付け孔15a、ミドルカバー30の取付け孔32aおよびアッパハウジング40の取付け孔42aの各内径はこの突出リング79の外経と整合するように設定してあり、各取付け孔が突出リング79に嵌ることにより、アッパカバー10、ミドルカバー30、アッパハウジング40およびロアハウジング70が互いに位置決めされる。
底壁71の前左寄りには出力ギア155に対する円形凹部状の下部軸受け部82が設けられ、下部軸受け部82の下端壁83の中央は出力孔84が貫通している。出力孔84は、出力ギア155の後述する連結穴161へ出力軸部材を挿入可能とするように、連結穴161よりわずかに大きい径を有している(図16、図19参照)。
下部軸受け部82に隣接して、底壁71の前右寄りには第4ギア150の支持軸151を支持する支持ボス90が設けられ、その上端面に軸穴91が開口している。
支持ボス85が立ち上がっている第1領域S1は、下部軸受け部82が開口し支持ボス90が形成されている第2領域S2よりも上方にオフセットして、その下側に空間を形成している。このオフセットによる段差部は、支持ボス85と支持ボス90間に挟まれた所定範囲にわたって切り欠き窓88とされて、上下空間を連通させている。
なお、参考のため、図11には切り欠き窓88に臨む後述のセンサ歯車187を示している。
第1領域S1の所定範囲に対応する下面側には回転センサの取付座92が設けられ、取付座92の角部がモータ下部収容部80の下端に突出している。
底壁71は、前部から左部にかけての出力孔84を含む所定範囲を除いた領域を、外面(底面)より上方にオフセットさせてロアカバー取り付け面97としている。ロアカバー取り付け面97にはアクセス窓98が開口し、ロアカバー取り付け面97より所定距離上方に位置する取付座92が覗かれる。
取付座92からはピン93a、93bが下方に延びている。ピン93aとピン93bとは径を異ならせてある。
また、取付座92には上方への凹部94が形成され、凹部94の天壁95は上面における第1領域S1の一部を形成し、この天壁95にセンサ歯車187の軸188a(図18参照)を支持する軸穴96が設けられている。切り欠き窓88は凹部94の側壁から天壁95の軸穴96近傍に及んでいる。
ロアカバー取り付け面97の角部4箇所にはネジ穴99a、99bが開口している。そのうち、右前と左後のネジ穴99aは開口端に大径凹部100を有している。
ロアカバー取り付け面97には後壁72d(堤部74)に沿って外部配線107を案内するガイド溝102が形成され、その一端は左右方向略中間位置でシール面97aを横切ってアクセス窓98に連なり、他端が左後部のネジ穴99aの近傍で後壁72dの下端に設けた切り欠き103から外部に開口している。
ロアカバー110はロアハウジング70のロアカバー取り付け面97の輪郭に合わせた外形を有して、角部にはロアハウジング70のネジ穴99a、99bに対応させて、ネジ25を貫通させる取付け孔112a、112bを有する取り付け部111a、111bが設けられている。
右前と左後の取付け孔112aは、その開口端に、ロアハウジング70のネジ穴99aの大径凹部100に対応する突出リング113を備えており、突出リング113と大径凹部100の嵌め合いにより、ロアカバー110がロアハウジング70に対して正確に位置決めされる。
フランジ114の内側には、ロアハウジング70のピン93a、93bに対応する位置に押さえボス115a、115bを設けてある。押さえボス115a、115bの高さは、ロアハウジング70の取付座92に角度センサ180の後述する基板181が取り付けられた状態で、ロアカバー110をロアカバー取り付け面97に取り付けたとき、上端面が基板181の下面に当接するように設定してある。押さえボス115a、115bの上端面にはピン93a、93bを受容する穴116a、116bが開口している。
なお、図中117はリブが角度センサ180のセンサ歯車187の軸188b(図18参照)との干渉を避ける逃げ部である。
第3ギア130は、例えばポリアセタール樹脂製の大径歯車130aと、これとは別体の小径歯車130bとからなり、小径歯車130bはさらに大径歯車130aと同一樹脂製のラチェット部材137と焼結金属製のピニオン146からなっている。
大径歯車130aは、環状の端壁132と、端壁132の外周縁から下方に延びるドラム状の外筒131を備え、下方が開口したカップ状である。その外筒131の外周に歯を備えるとともに、端壁132の中央からは中心に軸孔134を有する軸受け部133が下方に延びて内筒133aを形成している。すなわち、軸孔134は端壁132の上端から内筒133aの下端まで連続して形成され、ラジアル方向の軸受として機能する。大径歯車130aは軸孔134に挿通される支持軸149に直接支持されて回転可能である。
端壁132の壁厚限りの軸孔と比較して、内筒133aの分だけ軸孔134が格段に長くなるので、軸心精度が高く、支持軸149に対して倒れ(傾き)が生じない。
端壁132の上面は軸孔134の開口を囲む所定範囲がわずかに突出し、リング突起132aを構成している。なお、第2ギア126の大径歯車126aの径方向端部はリング突起132aの上方まで延びる。
外筒131の内面すなわち大径歯車130aの内周には開口端すなわち外筒131の下端から端壁132の下面までカム面135が形成されている。
基部138の外周からは、とくに図14の(b)に示すように、それぞれ先端に大径歯車130aのカム面135と係合する爪140を備える3本のアーム139が周方向等間隔に同一の周方向に延びている。
アーム139の軸方向位置は基部138の上端と接続部143との間にそれぞれ所定の間隙をもつように設定してある。
なお、大経部142を設けたにもかかわらず基部138の外周は端壁132に達するまで軸方向に延びているので、アーム139は爪140の軸方向の厚みと同じ厚みのまま基部138に連なっている。このため、爪140がカム面135から受ける径方向の力によってアーム139が傾くことによる、基部138に対する爪140の傾きを低減できる。
大経部142の上端面と端壁132の下面が軸方向に対向して大径歯車130aと小径歯車130bの軸方向の位置を規制するスラスト軸受として機能する。
また、大径歯車130aのリング突起132aとアッパカバー10の支持ボス20が軸方向に対向して第3ギア130の軸方向上方への位置を規制するスラスト軸受として機能し、ピニオン146の下側のリング突起148とロアハウジング70の支持ボス85が軸方向に対向して第3ギア130の軸方向下方への位置を規制するスラスト軸受として機能する。
大経部142の上端は爪140およびアーム139の上端より上方まで延びるため、大経部142の上端面が端壁132の下面に当接しても爪140およびアーム139の上端が端壁132の下面に接触しない。
ピニオン146はその上部をラチェット部材137の接続部143に圧入されて、スプライン結合により回り止め部を構成して一体回転可能となっており、小径歯車130bはこのピニオン146が第4ギア150の大径歯車150aと噛み合う。このとき、ピニオン146の歯面のみがスプライン144に圧入され、歯先と歯底はスプライン144と径方向に隙間を有している。
なお、ピニオン146の上端面にもリング突起148を形成し、軸方向対称形としてあるので、ラチェット部材137と結合する際にピニオン146の向きを確認する手間が不要となる。
本実施例では、ラチェット部材137とピニオン146を別体としているので、ピニオン146の特に支持軸149との当接部(軸孔147)を精度よく形成できる。
これにより、通常はロック状態となって小径歯車130bと大径歯車130aが一体に回転するが、大径歯車130aと小径歯車130b間に所定以上の相対回転トルクが加わったときにはアーム139が弾性変形して爪140がカム面135を滑って相対回転するトルクリミッタTLが形成されている。
上記の所定以上の相対回転トルクとしては、便座や便蓋を持ち上げることが可能なトルクより大きなトルクに設定される。
出力ギア155は、それぞれ樹脂製の歯車本体156とアダプタ165とからなる。
図15は出力ギア155を示し、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)は上面図、(d)は下面図、(e)はアダプタ165の斜視図である。
歯車本体156は外周に歯を備える基部157から軸心を一致させて軸方向上方に上部軸158を延ばし、軸方向下方に下部軸160を延ばしている。
上部軸158は筒状で、その内面にスプライン歯159を備えており、また外周の根元には当該上部軸158よりも大径の大径部158aが設けられている。
下部軸160の下端外周は段差を設けてシールリング175を保持するシール保持部160bとなっている。
下部軸160の下端中心には出力軸部材を挿し込むための連結穴161が開口している。とくに図15の(d)に示すように、連結穴161は2面幅部162を有し、2面幅部162の中央には軸方向にキー溝163が形成されている。連結穴161は基部157内にまで延びている。
ヘッド166には、直径線上の外周面にそれぞれ軸方向に延びるピン保持溝169が形成されている。ピン保持溝169は半円断面を有している。
なお、アダプタ165は全長にわたって肉抜き孔170を有している。
アダプタ165は、ヘッド166の下端面が上部軸158の上端面に当接するまで、その接続部167を上部軸158に挿通して、スプライン結合により歯車本体156と一体になる。
DCモータ2は、その上端壁にモータ出力軸3と同軸の円形外周を有する突出部4を備え、突出部4をアッパハウジング40のモータ軸貫通孔44に嵌め込むことにより、モータ出力軸3に嵌め込んだピニオンギア120を位置決めする。
大径歯車121aがピニオンギア120と噛み合う第1ギア121は、アッパカバー10の支持ボス16とアッパハウジング40の支持ボス46とに上下両端を支持された支持軸124まわりに回転可能である。
すなわち、第1、第2、第3ギアの支持軸124、127、149の各上端は共通のケース部材であるアッパカバー10に形成された支持ボスに支持されている。
第4ギア150はアッパハウジング40の支持ボス58とロアハウジング70の支持ボス90とに上下両端を支持された支持軸151まわりに回転可能となっている。
同様に、支持ボス33の上端面と対向する第2ギア126の小径歯車126bの下端面、支持ボス85の上端面と対向する第3ギア130の小径歯車130b(ピニオン146)の下端面、そして第4ギア150の支持ボス90の上端面と対向する小径歯車150bの下端面および支持ボス58の下端面と対向する大径歯車150aの上端面にも、それぞれリング突起が形成されているので、回転時の摩擦が低減する。
すなわち、第3ギア130の場合には、小径歯車130bを構成するピニオン146の下端(リング突起148)がロアハウジング70の支持ボス85の上端面に対向し、大径歯車130aの上端がアッパカバー10の支持ボス20の下端面に対向して軸方向が位置決めされる。
出力ギア155は、下部軸160の下端面が下部軸受け部82の下端壁83に着座し、上部軸158根元の大経部158aの上端面が上部軸受け部55を形成する円筒の下端面と直近で対向して、軸方向位置が規制されている。
出力ギア155の連結穴161には不図示の出力軸部材が挿入され、出力軸部材と出力ギア155は一体的に回転可能となる。
減速ギア列6の各ギアはその回転中心および各支持軸がすべて平行に構成されている。
なお、第1ギア121から第4ギア150を支持する各支持軸124、127、149、151はSUSなどの金属(鋼)製である。
図17はミドルカバー30を外してアダプタ165(ヘッド166)まわりの回転規制機構RLを示す部分上面図である。
ヘッド166とアッパハウジング40の円筒部52間には所定幅Wのリング状間隙が設けられており、円筒部52の外周には金属製の円筒174が嵌め込まれている。
ヘッド166のピン保持溝169にはローラピン172が配置され、円筒部52の切込み53a、53bにもローラピン173が配置されている。半円断面のピン保持溝169に配置されたローラピン172は断面半部がヘッド166の外周面からリング状間隙内に張り出すが、リング状間隙の所定幅Wはローラピン172の略半径相当に設定されており、ローラピン172はピン保持溝169に保持されて脱落することなく出力ギア155の軸心まわりにヘッド166とともに回転する。
ローラピン172と173は径および長さとも同サイズで、軸方向に対称な形状とすれば、管理も容易となり、組み付けミスの心配もない。
なお、図16に示すように、アッパハウジング40の円筒部52はその上端がミドルカバー30下面のリング溝36に収容されて、薄肉でも倒れが生じないようになっている。
また第3ギア130に所定以上のトルクが加わったとき大径歯車130aと小径歯車130b間が相対回転するトルクリミッタTLが形成されているので、DCモータ2の停止状態で便座等を急に開閉したり、DCモータ2による駆動方向と逆方向に便座等を開閉した場合でも、DCモータ2や各ギア、その支持軸あるいは支持ボス等に過大な力がかかることによる破損が防止される。
図18に示すように、角度センサ180は、配線をプリントした剛性の基板181の下にポテンショメータ185を備えるとともに、上下の軸188a、188bを有するセンサ歯車187を備え、下側の軸188bを上方から基板181とポテンショメータ185に貫通させている。
基板181にはロアハウジング70のピン93a、93bに対応するピン孔182a、182b(図19参照)が設けられており、ピン93a、93bにピン孔182a、182bを嵌め込むことにより、第4ギア150に対して角度センサ180が位置決めされる。この際、ピン93aとピン93bは径が異なるので、誤組み付けされることはない。
また、ロアカバー110の押さえボス115a、115bがピン93a、93bを受容して基板181を取付座92に押し付けるので、上下方向にも角度センサ180が位置決めされる。
ロアハウジング70に形成された切り欠き窓88に第4ギア150(小径歯車150b)の下端部が臨んでおり、これにセンサ歯車187が噛み合う。
センサ歯車187の回転中心および軸188a、188bは減速ギア列6の各ギアと平行である。
ポテンショメータ185は内部の不図示のロータリー部がセンサ歯車187の下側の軸188bと一体に回転するようになっており、その回転角度を検出、出力する。具体的にはポテンショメータ185は可変抵抗器であり、センサ歯車187の回転角度、つまり出力ギア155の回転角度に応じた抵抗値となる。
また、減速ギア列6はトルクリミッタTLを含んでいるが、このトルクリミッタTLはセンサ歯車187が噛み合う第4ギア150よりDCモータ2側の第3ギア130に形成されているので、出力ギア155と第4ギア150間に滑りを発生させることはなく、出力ギア155の回転位置を角度センサ180によって常に高精度で検出することができる。
出力孔84には出力ギア155の下部軸160の連結穴161が臨んでいる。
アクセス窓98からは、モータ下部収容部80に保持されたDCモータ2の下端と、基板181をピン93a、93bに取り付けられた角度センサ180とが覗かれる。
なお、図中119はアクセス窓98の周縁に沿ってシール面97a(図12参照)に配置されたシールリングである。
外部配線107は図示省略している。
下部軸160のシール保持部160bにはシールリング175を嵌め込んでおく。
支持軸151、149は圧入でもよい。
そして、支持軸151に第4ギア150を挿通したあと、予めDCモータ2を取り付けたアッパハウジング40を重ねて、その下面側の上部軸受け部55と支持ボス58に出力ギア155の上部軸158と支持軸151の上端を挿入する。非視認作業となるので支持軸151の挿入は非圧入に設定するのが好ましい。支持軸149はアッパハウジング40の上面側に突き出る。
支持軸127、支持軸124をミドルカバー30の支持ボス33、アッパハウジング40の支持ボス46に挿入して支持させる。支持軸124、127は圧入でもよい。
それから、第1ギア121、第2ギア126を支持軸124、支持軸127に順次に挿通して互いに噛み合わせる。
ロアカバー110はネジ25を貫通させる取付け孔112aの突出リング113がロアカバー取り付け面97のネジ穴99aの大径凹部100と嵌合して位置決めされる。これにより、押さえボス115a、115bが容易に取付座92のピン93a、93bを受容して、角度センサ180の基板181を押さえる。
ピニオン146が歯部に該当し、支持軸149が共通の支持軸に該当する。
接続部143のスプライン144とピニオン146とで回り止め部を構成している。
大径歯車130aは端壁132から外筒131を延ばしたドラム状をなして、外筒131の外周に歯を備えるとともに内周にカム面135を備え、端壁132の中央には軸孔134を有する軸受け部133を備え、
小径歯車130bは、基部138とピニオン146とを軸方向に並べるとともに軸孔147を有し、基部138からは先端に爪140を備える弾性のアーム139を周方向に延ばし、
アーム139を大径歯車130aの外筒131内に配置して爪140をカム135に係合させることにより、第3ギア130にラチェット式のトルクリミッタTLが形成され、
大径歯車130aと小径歯車130bはそれぞれの軸孔134、147において共通の支持軸149に直接支持されて、
ピニオン146の歯が第4ギア150と噛み合うものとした。
これにより、大径歯車130aも小径歯車130bもそれぞれ支持軸149に直接支持されているので、相互の傾きが低減される結果、ラチェット式の採用にもかかわらず、アーム139の爪140とカム面135の不整な係合による伝達トルクの変動が抑えられるとともに、前後の第2ギア126や第4ギア150との噛み合いも正常姿勢で滑らかに保持される。(請求項1に対応する効果)
さらに、軸受け部133が、爪140と径方向で重なるまで軸方向に延ばして内筒133aを形成しているので、とくに第3ギア130(1のギア)の軸方向サイズを大きくすることなく軸孔134を長くすることができる。(請求項3に対応する効果)
また、アーム139は爪140の軸方向両端まで延びるので、基部138に対する爪140の傾きを小さくできる。(請求項4に対応する効果)
ラチェット部材137は、アーム139を備えた基部138と、基部138から軸方向に延びて内面にピニオン146の歯に対応するスプライン144を形成した筒状の接続部143とからなり、基部138は支持軸149を貫通させる貫通孔141を有し、
ピニオン146は、軸孔147を有するとともに外周に歯を備え、ラチェット部材137と一体回転可能に回り止めされ、
ピニオン146の軸孔147が前述のように支持軸149に直接支持される構成となっているので、ラチェット部材137は容易に弾性のアーム139を実現できる一方、大径歯車130aよりも減速側(出力側)に位置するピニオン146は強度の高い歯を持たせることができるとともに、軸孔147の内面を高精度にできて支持軸149による支持剛性が高められる。このため、支持軸149と軸孔147の内面の間隔を小さくでき、支持軸149に対する小径歯車130bの傾きが低減される。よって、共通の支持軸149に直接支持された、支軸大径歯車130aと小径歯車130bの相互の傾きが低減される。(請求項5、6に対応する効果)
またピニオン146は全長にわたる外周面に歯を有するとともに、両端にリング突起148を有して軸方向対称形とすることにより、ラチェット部材137に圧入する際にピニオン146の向きを確認する手間が不要となり、作業性が向上する。(請求項10に対応する効果)
また、減速ギア列6はDCモータ2のピニオンギア120と出力ギア155との間に第1ギア121から第4ギア150を備えて5段の減速機構を形成するものとしたが、これに限定されず、任意の段数を選択可能である。
トルクリミッタTLを第3ギア130内に形成したが、これも任意のギアに形成することができる。
また、第3ギア130のピニオン146は金属粉末を成型して焼結して形成したが、切削加工で形成することや樹脂で構成することもできる。
また、第3ギア130の小径歯車130bは、互いに別体のラチェット部材137とピニオン146とからなるものとしたが、必要に応じて例えば樹脂製の一体物とすることもできる。
また、ピニオン146の上部をラチェット部材137の接続部143に圧入してラチェット部材137とピニオン146を一体回転可能としたが、ピニオン146とスプライン144間に微小な隙間が生じてもよい。ただし、ピニオン146とスプライン144を圧入で固定することでピニオン146に対するラチェット部材137の傾きを更に小さくできる。
2 DCモータ(モータ)
6 減速ギア列
7 ケース
126 第2ギア(前段のギア)
130 第3ギア(1のギア)
130a 大径歯車
130b 小径歯車
131 外筒
132 端壁
133 軸受け部
133a 内筒
134 軸孔
135 カム面
137 ラチェット部材
138 基部
139 アーム
140 爪
141 貫通孔
143 接続部
144 スプライン
146 ピニオン(歯部)
147 軸孔
149 支持軸(共通の支持軸)
150 第4ギア(後段のギア)
155 出力ギア
180 角度センサ
187 センサ歯車
TL トルクリミッタ
Claims (10)
- ケース内にモータと、該モータの回転を出力ギアに伝達する減速ギア列とを収納して構成されたギアードモータにおいて、
前記減速ギア列内の1のギアが前段のギアと噛み合う大径歯車と後段のギアと噛み合う小径歯車とを備え、
前記大径歯車は、端壁から外筒を延ばしたドラム状をなして、該外筒の外周に歯を備えるとともに内周にカム面を備え、前記端壁の中央には軸孔を有する軸受け部を備え、前記大径歯車の前記軸受け部が前記外筒内に延びて内筒を形成し、
前記小径歯車は、ラチェット部材とピニオンとを軸方向に並べるとともに軸孔を有し、
前記ラチェット部材は、基部と、前記基部から軸方向に延びる接続部とからなり、前記基部は支持軸を貫通させる貫通孔を有し、
前記ラチェット部材と前記ピニオンは、前記接続部と前記ピニオンの間に構成された回り止め部によって一体回転可能に構成され、
前記ラチェット部材の前記基部からは先端に爪を備える弾性のアームを周方向に延ばし、
前記1のギアは、前記アームを前記大径歯車の前記外筒内に配置して前記爪を前記カム面に係合させることにより、ラチェット式のトルクリミッタが形成され、
前記大径歯車と前記小径歯車はそれぞれの前記軸孔において共通の支持軸に直接支持されていることを特徴とするギアードモータ。 - 前記軸受け部の前記内筒が前記爪と径方向で重なるまで軸方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のギアードモータ。
- 前記アームは、前記爪の軸方向の両端まで延びることを特徴とする請求項1または2に記載のギアードモータ。
- 前記大径歯車が樹脂製で、前記小径歯車の前記ラチェット部材と前記ピニオンは、互いに異なる材質からなり、
前記ピニオンは、軸孔を有するとともに外周に歯を備え、
前記ピニオンの軸孔が前記小径歯車の前記軸孔として前記支持軸に直接支持され、
前記ピニオンの歯が前記後段のギアと噛み合うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のギアードモータ。 - 前記ラチェット部材が樹脂製であり、前記ピニオンが金属製であることを特徴とする請求項4に記載のギアードモータ。
- 前記接続部と前記ピニオンは前記回り止め部で圧入固定され、前記基部の貫通孔が前記支持軸との間に所定の間隙を有していることを特徴とする請求項4または5に記載のギアードモータ。
- 前記基部の貫通孔は前記アームと径方向で重なり、前記基部と前記アームは樹脂で一体成型されることを特徴とする請求項6に記載のギアードモータ。
- 前記接続部は内面に前記ピニオンの歯に対応するスプラインを形成し、該スプラインに前記ピニオンが係合して前記回り止め部を構成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載のギアードモータ。
- 前記ピニオンは軸方向対称形であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のギアードモータ。
- 前記出力ギアの回転角度を検出する角度センサを備え、
該角度センサのセンサ歯車は前記減速ギア列における前記トルクリミッタが形成された前記1のギアよりも後段のギアと噛み合うことを特徴とする請求項1から9のいずれか1に記載のギアードモータ。
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