JP6127905B2 - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット - Google Patents
活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット Download PDFInfo
- Publication number
- JP6127905B2 JP6127905B2 JP2013220479A JP2013220479A JP6127905B2 JP 6127905 B2 JP6127905 B2 JP 6127905B2 JP 2013220479 A JP2013220479 A JP 2013220479A JP 2013220479 A JP2013220479 A JP 2013220479A JP 6127905 B2 JP6127905 B2 JP 6127905B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- pigment
- initiator
- acrylate
- meth
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Description
ワンパスタイプのインクジェットシステムの様な、生産性が高い印刷方式において、硬化膜中の残留成分を低減し、印刷物のしわやタックの発生を抑制できる方法は無かった。
各インキに含まれる開始剤の380〜410nmにおける光吸収量の総和が50以上であって、かつ、印刷順に従って各インキの前記光吸収量の総和が小さくなるように設計され、
各インキはそれぞれ、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含み、
各インキを、380nm以上450nm未満に極大発光ピークを有するランプで硬化し、その後、300nm以上380nm未満に極大発光ピークを有するランプで硬化する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットの硬化方法に関するものである。
本発明のワンパス方式のインクジェットシステムとは、印刷したいメディアに対して1回で印字(印刷)を完成させる印刷方法であり、印刷スピードが要求される業務用印刷に向いている。近年、従来のオフセット印刷の代替としてインクジェット印刷を使用するにあたり、25m/M、さらには50m/Mなどの高速印刷が期待されている。
このため、上記ワンパス方式のインクジェットシステムに使用される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ(以下、単にインキとも言う。)に求められる性能としては、その印刷速度の速さから、活性エネルギー線に対する高感度性、高周波でのインクジェットヘッドノズルからの吐出安定性等が求められる。
活性エネルギー線に対する高感度性を向上させるには、インキの重合反応速度を速めること、吐出安定性を向上させるには、インキの粘弾性等の物性の調整が重要である。
活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示すが、重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これに限定しない。
ワンパス方式のインクジェットシステムの印刷機に搭載する活性エネルギー線の光源として、利便性や価格などの面から紫外線照射機が使用されることが多い。
具体的には、紫外線長波長側(380nm以上)に最大発光ピークを有するランプを用いてインキ塗膜の深部まで活性エネルギー線を透過させて硬化させ、その後、紫外線短波長側(380nm未満)に最大発光ピークを有するランプで印刷物の表面を硬化させることが好ましい。
前記硬化方法によって、表面が先に硬化されることによる印刷物のしわや、表面が十分に硬化されない事によるタックの発生を抑制することが出来る。
酸素濃度が大気濃度以下とは、具体的には照射環境近辺で酸素濃度計を用いて実測することで確認することができる。手段としては窒素やアルゴンガスなどの不活性ガスを使用することで硬化環境の酸素濃度を制御することができる。特に窒素ガスは、安価に入手可能であるため、好適に用いることができる。
本発明のインキセットとは、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト等から選択される2種以上のインキからなる。
目的とする印刷物を得るために、色再現性の観点から、上記のカラーインキに加えてライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、オレンジ、バイオレット、グリーン等のいわゆる中間色や2次色を用いてもいいし、その他カラーインキを使用しても良い。
一般的には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを使用する場合には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順で印字され、また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順で印字される。
本発明では、以下に述べるインキに含まれる開始剤の光吸収量を満たす限り、上記の制限を受けるものではない。
具体的な計算方法を下記に示す。
光吸収量の総和=開始剤Aの光吸収量+開始剤Bの光吸収量+・・・
開始剤Aの光吸収量=A’×開始剤Aのインキ中の含有量(重量%)
A’は、開始剤Aの380nm〜410nmにおける吸光度積分値を示す。具体的には、開始剤Aのアセトニトリル1重量%溶液において、380nm〜410nmの1nm毎の吸光度の総和である。例えば、開始剤Aの380nmにおける吸光度をA380、381nmにおける吸光度をA381・・・とした場合、
吸光度積分値A’=A380+A381+・・・A409+A410
250nm〜380nmの短波長と比較して380nm〜410nmの長波長の方が塗膜深部まで浸透する。
開始剤の380nm〜410nmの光吸収量が大きいインキを先に印刷することにより、印刷後の硬化時に380nm〜410nmの浸透しやすい光線により、先に印刷したインキもしっかりと硬化し、しわがなく、且つ残留成分も少なくなる。
一方、開始剤の380nm〜410nmの光吸収量が大きいインキを後に印刷するとインキ塗膜面の上が先に硬化することにより奥まで光線が浸透するのを妨げインキ塗膜面の深部が硬化せずしわが発生し、残留成分も多くなる。
インキの硬化反応効率を上げるために、インキ中の開始剤の添加量を増量する方法があるが、本発明はこれに依存しない。
本発明のインキセットに好適に用いられるインキ組成物は、顔料、顔料分散剤、モノマー、開始剤、添加剤等を含む。
なお、粘度の測定は、東機産業社製 TVE25L型粘度計を用いて、25℃環境下で、20rpm時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
なお、表面張力の測定は、協和界面科学社製 自動表面張力計CBVP−Zを用いて、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
インキ組成物に使用される顔料としては、一般的に印刷用途、塗料用途のインク組成物に使用される顔料を用いることができ、発色性、耐光性などの必要用途に応じて選択することができる。例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料、または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、ローダミンレーキ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、ナフトール系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット、レーキ顔料等が挙げられる。
本発明のインキ組成物は、顔料の分散性およびインキの保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加するのが好ましい。顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
中でも、樹脂型顔料分散剤として塩基性官能基をもつものは、高周波数特性に優れ、かつ保存安定性良好な顔料分散体が得られるため好ましい。
モノマーとしては、具体的には、単官能アクリルモノマー、2官能アクリルモノマー、3官能以上のアクリルモノマーなどのアクリルモノマー、またはビニルモノマー、ビニルエーテルモノマー、ビニルエステルモノマー、アクリルとビニルを分子内に包含する異種モノマー、アリルエーテルモノマー、アリルエステルモノマーなどが挙げられる。
2官能モノマーとしては、例えば、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、等が挙げられ、
3官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(またはテトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(またはテトラ) (メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(またはテトラ) (メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。以上の材料は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
具体的には、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等の2官能モノマーが好ましく用いられる。これらモノマーは、比較的低粘度かつ高感度である。そのため、ワンパス方式のインクジェットシステムにおける高速印刷でも安定吐出ができ、かつ硬化後のインキ塗膜中の残留成分の低減や、印刷物のしわやタックが抑制できるため好ましい。
本発明の開始剤とは、光照射により重合反応を開始するラジカル活性種を発生させる化合物全般を示し、光ラジカル重合開始剤に加え、増感剤も含まれる。開始剤としては、硬化速度、硬化塗膜物性、着色材料により自由に選択することができる。
本発明のインクジェットインキには、上記顔料、顔料分散剤、モノマー、開始剤の他に、添加剤を含んでも良い。例えば、重合禁止剤、表面張力調整剤、有機溶剤などが挙げられる。
インキの経時での粘度安定性、経時後の吐出安定性、インクジェット記録装置内での粘度安定性を高めるため、禁止剤を使用することができる。禁止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物が特に好適に使用される。
具体的には、ヒンダードフェノール系化合物として、BASF社製「IRGANOX 1010、1010FF、1035、1035FF、1076、1076FD、1076DWJ、1098、1135、1330、245、245FF、245DWJ、259、3114、565、565DD、295」、精工化学社「BHTスワノックス」「ノンフレックス アルバ、MBP、EBP、CBP、BB」「TBH」、ADEKA社製「AO−20、30、50、50F、70、80、330」、本州化学社製「H−BHT」、エーピーアイ社「ヨシノックス BB、425、930」、フェノチアジン系化合物として、精工化学社製「フェノチアジン」、堺化学工業社製「フェノチアジン」「2−メトキシフェノチアジン」、「2−シアノフェノチアジン」、ヒンダードアミン系化合物として、BASF社製「IRGANOX 5067」「TINUVIN 144、765、770DF、622LD」、精工化学社「ノンフレックス H、F、OD−3、DCD、LAS−P」「ステアラー STAR」「ジフェニルアミン」「4−アミノジフェニルアミン」「4−オキシジフェニルアミン」、エボニックデグサ社製「HO−TEMPO」、日立化成社「ファンクリル 711MM、712HM」、リン系化合物として、BASF社製「トリフェニルホスフィン」「IRGAFOS 168、168FF」、精工化学社「ノンフレックス TNP」、その他の化合物として、BASF社製「IRGASTAB UV−10、22」、精工化学社製「ハイドロキノン」「メトキノン」「トルキノン」「MH」「PBQ」「TBQ」「2,5−ジフェニルーp−ベンゾキノン」、和光純薬社「Q−1300、1301」、RAHN社製「GENORAD 16、18、20」を挙げることができる。
本発明では、印刷媒体への濡れ広がり性を向上させるために表面張力調整剤を加えることができる。
インキ組成物には、低粘度化および基材への濡れ広がり性を向上させるために、有機溶剤を含有させてもよい。有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチルジグリコール、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類があげられる。この中でも、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
有機溶剤の添加量は、硬化性や印刷物の残留成分の観点から、インキ組成物中10重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、5重量%以下が好ましい。これら有機溶剤は一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
<インキの作製>
顔料30部、顔料分散剤15部、モノマーとしてDPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート(BASF社製)を混合したのち、マイクロビーズ型分散機(DCPミル)にて1時間分散し、イエロー分散体を得た。分散にはZrビーズの0.3mm径タイプを体積充填率75%にて実施した。
得られた分散体8.3部に、表1に示す組成になる様に、その他モノマー、開始剤、禁止剤、添加剤を添加し、シェーカーにて6時間振盪し溶解した。得られた液体をポア径0.5ミクロンのPTFEフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去し、インキ組成物を作成した。
(インクジェット印刷物の作成)
調製したインキ組成物を用い、京セラヘッドを積んだインクジェット吐出装置により、周波数20kHz、ヘッド温度43℃、インキ液滴量14plの印字条件で、リンテック社製PET K2411上へ、70%ベタ画像を描画した。
4色のインキセットを吐出する際は、表2に示すような順で印字した。
光源として以下のいずれかを使用し、インキを硬化させることでインクジェット印刷物を得た。
・LED:インテグレーションテクノロジー社製LEDランプ(385nm,10m/sec時積算光566mw/cm2)
・メタハラ:ハリソン東芝ライティング社製160W/cmメタルハライドランプ(365nm)
・コンベア速度50m/min、ワンパスで紫外線硬化させた。
ランプを2個以上使用する際は、表2に示すランプ間距離になるよう設置した。
(硬化膜中に残留する未反応モノマー・開始剤の抽出と量の算出)
CYAN、MAGENTA、YELLOW、BLACKの4色を用いて高精細カラーデジタル標準画像データ(ISO/JIS−SCID JISX 9201準拠 JSA−00001)のサンプル番号5(自転車)を印刷したA4サイズの硬化膜を、基材ごと1cm四方に切断し、密閉した容器に入ったメチルエチルケトン100mlに3日間60℃で浸漬することにより、硬化膜中の残留成分を抽出した。2日後、攪拌して均一化させたメチルエチルケトンを容器内から取り出し、抽出した成分をGCMS(島津製作所製GCMS−QP2010 Plus)およびHPLC(島津製作所製)にて同定した。検出された化合物の検量線を作製して各化合物を定量することにより、硬化膜中に残留する未反応モノマー・開始剤の量を算出した。
硬化膜重量は、以下のように算出した。
硬化膜重量=印刷後の印刷物(硬化膜+基材)重量−印刷前の基材重量
硬化膜中に残留する未反応モノマーの残留率は、以下のように算出した。
モノマー残留率=抽出されたモノマー総量(g)/硬化膜重量(g)
(開始剤残留率)
硬化膜中に残留する未反応開始剤の残留率は、以下のように算出した。
開始剤残留率=抽出された開始剤総量(g)/硬化膜重量(g)
評価基準は以下の通りである。
5:モノマー残留率が0.1%以下、開始剤残留率が4%以下
4:モノマー残留率が0.1%より多く、0.3%以下、開始剤残留率が4%より多く、6%以下
3:モノマー残留率が0.3%より多く、0.4%以下、開始剤残留率が6%より多く、8%以下
2:モノマー残留率が0.4より多く0.5%以下,開始剤残留率が8%より多く10%以下
1:モノマー残留率が0.5%より多い,開始剤残留率が10%より多い
モノマー、及び開始剤残留成分の多い方の評価を点数付けした。
EUPIAガイダンス(EuPIA Guideline on Printing Inks applied to the non-food contact surface of food packaging materials and articles)に従った食品包装用印刷物の評価を各原料に対し実施した結果、食品代用評価液中へのマイグレーション値の下限値を下回るためには、硬化物中に残存するモノマーや開始剤の残留量を一定値以下とすることで基準を満たすことがわかっている。その結果から、本発明においては、モノマー残留率は0.5%以下(評価2以上)、開始剤残留率は10%以下(評価2以上)を、残留実用レベルと判断した。
得られた印刷物を、目視にて以下の様に5段階評価を行った。なお、合格は3以上とする。
5:全くしわがない
4:局所的にしわがみられる
3:1割程度しわがみられる
2:5割程度しわがみられる
1:全体的にしわがみられ、白化している
印刷物を綿棒でこすり、5段階評価を行った。なお、合格は3以上とする。
5:10往復こすっても跡がつかない
4:10往復こすると跡が残る
3:5往復こすると跡が残る
2:5往復こすると下地がみえる
1:2往復こすると下地がみえる
(顔料)
・PY180: Noveperm Yellow P−HG(クラリアント社製、イエロー顔料)
・PR19: Inkjet Magenta E5B02(クラリアント社製、マゼンタ顔料)
・PB15:3: LIONOL BLUE FG−7400−G(トーヨーカラー社製、シアン顔料)
・PB7: Special Black350(デグザ社製、カーボンブラック)
・SP32000: ルーブリゾール社製、塩基性顔料分散剤
(モノマー)
・VEEA: アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製、2官能モノマー)
・DPGDA: ジプロピレングリコールジアクリレート(BASF社製、2官能モノマー)
・DCPA: トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(共栄社化学社製、2官能モノマー)
(開始剤)
・EAB: 4、4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(大同化成工業社製)吸収量48.0
・TPO: 2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製)吸収量11.1
・ESACURONE: オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン〕(Lamberti社製)吸収量2.3
・Irg819: ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)吸収量2.25
・Irg369: 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1吸収量4.38
(禁止剤)
・フェノチアジン: フェノチアジン(精工化学社製)
(添加剤)
・UV3510: BYK−UV3510(BYK Chemie社製)
表2に示す通り、実施例1〜実施例9では残留成分が少なく、印刷物の長期の保存においてもインキ成分の食品への混入が極めて起こりにくいと考えられる上に、しわ、タックがなくインキセットとして好ましい。中でも実施例1、5、7は残留成分、しわ、タックの観点で最適な結果となった。
比較例1ではインキ4の光吸収量が少ない為、内面硬化が進行せず、残留成分が残りしわが発生する。比較例2ではインキ6の光吸収量が非常に多く、表面硬化が先に進行することにより内面硬化の進行が遅く、残留成分が残りしわが発生する。比較例3では、インキ7、9の光吸収量が逆転しており、比較例2インキと同様の影響で残留成分が残る。比較例4では、インキの光吸収量を低い順に印刷した結果であるが、これも残留成分が残り、しわ、タックが発生する。比較例5では、光吸収量が50以下となるインキ10を使用した結果、表面硬化があまく残留成分が残り、タックが発生した。
Claims (2)
- ワンパス方式のインクジェットシステムに用いる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットの硬化方法であって、
各インキに含まれる開始剤の380〜410nmにおける光吸収量の総和が50以上であって、かつ、印刷順に従って各インキの前記光吸収量の総和が小さくなるように設計され、
各インキはそれぞれ、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含み、
各インキを、380nm以上450nm未満に極大発光ピークを有するランプで硬化し、その後、300nm以上380nm未満に極大発光ピークを有するランプで硬化する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセットの硬化方法。 - 請求項1記載のインクジェットインキセットの硬化方法を用いた印刷物の製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013220479A JP6127905B2 (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット |
US15/031,263 US9884973B2 (en) | 2013-10-23 | 2014-10-23 | Active energy ray-curable inkjet ink and ink set |
CN201480058436.4A CN105683310B (zh) | 2013-10-23 | 2014-10-23 | 活性能量射线固化型喷墨油墨及油墨组 |
EP14855308.4A EP3061794B1 (en) | 2013-10-23 | 2014-10-23 | Active energy ray-curable inkjet ink and ink set |
PCT/JP2014/078247 WO2015060397A1 (ja) | 2013-10-23 | 2014-10-23 | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ及びインキセット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013220479A JP6127905B2 (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015081311A JP2015081311A (ja) | 2015-04-27 |
JP6127905B2 true JP6127905B2 (ja) | 2017-05-17 |
Family
ID=53012108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013220479A Expired - Fee Related JP6127905B2 (ja) | 2013-10-23 | 2013-10-23 | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6127905B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6327433B2 (ja) * | 2013-12-13 | 2018-05-23 | Dic株式会社 | 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク及びインクセット |
JP2017048332A (ja) * | 2015-09-03 | 2017-03-09 | 日新製鋼株式会社 | 硬化膜の製造方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB0205151D0 (en) * | 2002-03-05 | 2002-04-17 | Sericol Ltd | An ink-jet ink printing process and ink-jet inks used therein |
JP5640400B2 (ja) * | 2010-03-04 | 2014-12-17 | セイコーエプソン株式会社 | 印刷方法 |
JP5707784B2 (ja) * | 2010-08-30 | 2015-04-30 | セイコーエプソン株式会社 | 画像形成装置、及び、画像形成方法 |
JP2013124333A (ja) * | 2011-12-15 | 2013-06-24 | Konica Minolta Ij Technologies Inc | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及びそれを用いた画像形成方法 |
JP2013180424A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-12 | Fujifilm Corp | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
JP5929410B2 (ja) * | 2012-03-28 | 2016-06-08 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 |
JP5718845B2 (ja) * | 2012-03-30 | 2015-05-13 | 富士フイルム株式会社 | インクジェット記録方法及び印刷物 |
-
2013
- 2013-10-23 JP JP2013220479A patent/JP6127905B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015081311A (ja) | 2015-04-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6120477B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物 | |
EP3061794B1 (en) | Active energy ray-curable inkjet ink and ink set | |
JP5990879B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP5939114B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP5621209B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ | |
JP6134090B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 | |
WO2013031871A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物、及びそれを用いた印刷物 | |
WO2012133694A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物 | |
WO2015136694A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP2012193275A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP5776129B1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP2019172869A (ja) | 光硬化型インクジェット印刷用インク組成物 | |
JP2015183147A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP2019183018A (ja) | 光硬化型インクジェット印刷用インク組成物 | |
JP2019031618A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク組成物 | |
JP5942592B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP5521281B2 (ja) | インキ組成物およびそれを用いた硬化物 | |
WO2023276290A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物 | |
JP6398785B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ | |
JP2008050600A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ | |
JP2008045147A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ | |
JP6127905B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキセット | |
JP2015183149A (ja) | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物 | |
JP5505016B2 (ja) | インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物 | |
JP6265286B2 (ja) | 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160316 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160920 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161024 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20161028 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20161028 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170214 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170214 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170314 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170327 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6127905 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |