JP6121303B2 - メカニカルリング共振器 - Google Patents

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Description

本発明は、環状の薄膜機械構造を有するメカニカルリング共振器に関するものである。
微小な機械構造を有する微小機械振動子は、センサや信号処理デバイスへの利用・応用が検討されている(非特許文献1,2)。微小機械振動子は、主に単一の梁構造から構成されており、梁への駆動によって発生する機械振動を利用している。しかしながら、この機械振動は、梁部のみで発生する局所的な振動であるため、その情報を読み出すには電気や光信号への変換が必要となる。それゆえ、電気信号のみで複雑な処理を行う電気集積回路といったような多数の電気素子を一つにまとめたシステムや、光信号のみで複雑な処理を行う光集積回路といったような多数の光素子を一つにまとめたシステムは、機械素子においては実現されていない。
これまでに、センサやスイッチを始め、メモリや基本論理回路、増幅器などといった単体の機能を実現する機械素子は数多く研究開発されてきたが、それら機械素子を機械的な信号で以て繋げる「導波路」という、最も基本的な機械素子が存在しなかった。
J.L.Arlett,E.B.Myers,and M.L.Roukes,"Comparative advantages of mechanical biosensors",Nature Nanotechnology,Vol.6,p.203-215,2011 I.Mahboob,E.Flurin,K.Nishiguchi,A.Fujiwara,and H.Yamaguchi,"Interconnect-free parallel logic circuits in a single mechanical resonator",Nature Communications,2.198,2011
電気配線や光ワイヤ等は、電磁波(電子、光子)の導波路と言える。一方で、機械振動(フォノン)の導波路としては、表面弾性波(Surface acoustic wave,以下SAW)デバイスがある。SAWデバイスでは、デバイス表面に設置された櫛形電極(Interdigital transducer, 以下IDT)を通して圧電的に機械振動が誘起され、この機械振動が伝搬波となり表面を拡散していく。
しかしながら、SAWデバイスで誘起される機械振動は、振動源となるIDTの電極長手方向と垂直な方向のみに伝搬が許され、機械振動を途中で曲げる、止めるといったような制御は困難であった。また、表面弾性波の指向性も低く、伝搬が進むにつれて表面弾性波が空間的に拡がるという問題もあった。さらに、SAWデバイスの表面弾性波と、梁構造の機械振動子の局所的な機械振動とでは、同一の周波数帯域において運動量(波数)が大きく異なるため、SAWデバイスと機械振動子との間で機械振動エネルギーの受け渡しができないという問題もあった。以上のように、既存で唯一の機械振動導波路であるSAWデバイスは、集積回路で用いられる電気配線や光ワイヤのように、伝搬波の操作性や他の機能素子との整合性を有した導波路ではなかった。
機械素子との整合性を有する導波路を実現できれば、複数の機械素子間を導波路で直接機械的に繋げることができる。さらに、導波路は広域な伝搬バンドを有し、横方向だけでなく縦方向(進行方向)への強い閉じ込め効果も有しているため、複数の機械振動伝搬波を同時に取り扱うことを可能にする。それゆえ、このような特長をもつ導波路をファブリ・ペロー(Fabry-Perot:FP)共振器のような一つの共振器としてみなすことで、機械振動を制御要素として用いた新奇の高周波(Radio frequency:RF)信号処理デバイスを構築することもできる。ただし、直線導波路を基にした共振器構造では、その閉じ込め効果(Q値)が低く、また、外部から共振器内への機械振動の入出力が難しい等、機能や構造の点で様々な問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、機械素子との整合性を有する導波路を実現し、この導波路を用いて、高いQ値を有し機械振動の効率的な入出力が可能な共振器を実現することを目的とする。
本発明のメカニカルリング共振器は、基板と、この基板との間に空間をあけて配置された環状の薄膜からなる振動部と、前記基板との間に空間をあけて配置され、かつ前記振動部の環の外縁の一部と結合するように配置された薄膜からなる導波路部と、前記基板上に形成され、機械振動の伝搬方向と垂直な方向から前記振動部および導波路部を支える支持部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のメカニカルリング共振器の1構成例において、前記支持部は、前記振動部の環の外縁もしくは内縁のどちらか一方を支持し、前記振動部の内周側もしくは外周側が自由端となることを特徴とするものである。
また、本発明のメカニカルリング共振器の1構成例は、さらに、前記機械振動の伝搬方向に沿って周期的に配列され、前記導波路部と前記振動部のうち少なくとも一方を、前記機械振動の伝搬方向と垂直な方向に貫通する複数の孔を備えることを特徴とするものである。
また、本発明のメカニカルリング共振器の1構成例において、前記振動部は、円環状で、その内径が振動部の幅よりも大きいことを特徴とするものである。
また、本発明のメカニカルリング共振器の1構成例において、前記振動部となる薄膜および前記導波路部となる薄膜は、圧電材料からなる。前記薄膜が圧電材料からなる構成においては、さらに、前記導波路部となる薄膜の一部の上に形成された電極を備える。
また、本発明のメカニカルリング共振器の1構成例において、前記振動部となる薄膜および前記導波路部となる薄膜は、非圧電材料からなる。前記薄膜が非圧電材料からなる構成においては、さらに、前記導波路部となる薄膜の一部の上に形成された第1の金属膜と、この第1の金属膜の上に形成された圧電材料と、この圧電材料の上に形成された第2の金属膜とからなる積層構造を備える。
本発明によれば、環状の薄膜からなる振動部と、振動部の環の外縁の一部と結合するように配置された薄膜からなる導波路部とを用いることにより、高いQ値を有し機械振動の効率的な入出力が可能なメカニカルリング共振器を実現することができる。本発明では、振動部の平面形状を円形や多角形、楕円、角丸長方形などから選択することで、メカニカルリング共振器のQ値、及び振動部と導波路部間での機械振動の入出力効率を自在に変更することができ、用途に合ったQ値及び入出力効率を有するRF共振器を実現することができる。また、本発明では、圧電材料や非圧電材料など多様な材料によりメカニカルリング共振器を実現できるため、既存のMEMSやCMOS集積システムへの組み込みが可能である。
本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の製造方法を説明する工程図である。 本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の形状例を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の別の形状例を示す平面図である。
[発明の原理]
光学の分野においても、数十年前からFP共振器を利用した光機能デバイスに関する研究が行われているが、機械振動の共振器と同様に、閉じ込め効果の低さや共振器のサイズ等、機能や構造の点で様々な問題を抱えていた。これに対して、近年、FP共振器とは全く異なる構造を有する光共振器が提案・実証され、FP共振器を遙かに凌駕する共振特性が報告されている。それら光共振器の中の一つに、光リング共振器というものがある。光リング共振器は、導波路となる誘電体ナノワイヤ(屈折率n>1)が円を描き閉じたリング構造をしている(文献1「B.E.Little et al.,“Ultra-Compact Si-SiO2 Microring Resonator Optical Channel Dropping Filters”,IEEE Photonics Technology Letters,Vol.10,No.4,p.549-551,1998」、文献2「J.S.Levy et al.,“CMOS-compatible multiple-wavelength oscillator for on-chip optical interconnects”,Nature Photonics,Vol.4,p.37-40,2010」参照)。
光リング共振器への光の入出力は、リングに近接したナノワイヤ導波路を用いて行われる。このナノワイヤ導波路からリングへと近接場効果を介して伝搬する光の波長λが、次式のようなリングの共振条件を満足すれば、光はリング内を周回し、共振を引き起こす(Whisper Galley Mode:WGM)。次式におけるlはリングの円周である。
Figure 0006121303
この光リング共振器のQ値は、105にまで達するという報告もあり(文献2)、FP共振器と比較して、強い閉じ込め効果が期待される。さらに、その共振器サイズもμmスケールで作製でき、チップへの組み込みが可能となっている。
同様の発想により、薄膜導波路が環状に閉じた構造を用いることで、共振条件によって実現される機械振動の強い閉じ込めや、導波路と共振器間の高効率な機械振動の入出力特性を有するメカニカル共振器の作製が期待される。以上のように、本発明は、メンブレン薄膜を用いたメカニカルリング共振器を実現するものである。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(A)〜図1(C)、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(C)、図4(A)〜図4(C)は本発明の実施の形態に係るメカニカルリング共振器の製造方法を説明する工程図である。図1(A)、図2(A)、図3(A)、図4(A)はメカニカルリング共振器の製造方法を説明する平面図、図1(B)、図2(B)、図3(B)、図4(B)はそれぞれ図1(A)、図2(A)、図3(A)、図4(A)のA−A線断面図、図1(C)、図2(C)、図3(C)、図4(C)はそれぞれ図1(A)、図2(A)、図3(A)、図4(A)のB−B線断面図である。
本実施の形態では、フォトリソグラフィ法もしくは電子ビーム(EB)リソグラフィ法、リン酸またはフッ化水素酸を用いたウェットエッチング法、及び反応性イオンエッチング等の技術を用いて、図1(A)〜図1(C)、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(C)、図4(A)〜図4(C)に示す作製プロセスにより、化合物半導体であるガリウムヒ素(GaAs)/アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)のヘテロ構造から成る薄膜構造を有するメカニカルリング共振器を作製する。
具体的には、GaAs基板100上のGaAs/AlXGa1-XAs多層膜を、フォトリソグラフィ法もしくはEBリソグラフィ法によるレジストパターンニングと、リン酸によるウェットエッチング法もしくは反応性イオンエッチングによるドライエッチング法により加工して、図1(A)〜図1(C)に示すようにリング共振器や導波路の土台となるメサ構造を形成する。ここでは、GaAs基板100上に形成するGaAs/AlXGa1-XAs多層膜として、Al0.65Ga0.35As層101と、Al0.65Ga0.35As層101上に形成されたSiドープGaAs層102と、SiドープGaAs層102上に形成されたAl0.27Ga0.73As層103と、Al0.27Ga0.73As層103上に形成されたGaAs層104とからなる構造を用いた。
次に、機械振動の誘起・検出で用いる電極105a,105bを、フォトリソグラフィ法もしくはEBリソグラフィ法と、真空蒸着法と、リフトオフ法によってメサ構造のGaAs/AlXGa1-XAs多層膜上(GaAs層104上)に形成する(図2(A)〜図2(C))。
そして、メカニカルリング共振器の入出力用導波路部を作製する。具体的には、フォトリソグラフィ法もしくはEBリソグラフィ法と、リン酸によるウェットエッチング法もしくは反応性イオンエッチングによるドライエッチング法によって、メサ構造のGaAs/AlXGa1-XAs多層膜の表面(GaAs層104)からAl0.65Ga0.35As層101(犠牲層)まで届く孔106(106a,106b)を複数個形成する(図3(A)〜図3(C))。
このとき、図3(A)〜図3(C)に示すように、共振器を形成したい位置には、最終工程で形成されるリング薄膜部の内径に等しい直径を有する孔106aを形成し、導波路を形成したい位置には導波路を形成したい方向(図3(A)、図3(C)のX方向)に沿って複数の孔106bを形成する。ただし、孔106aの直径をd1、孔106bの直径をd2、導波路の幅をw2(図4(A))とすると、少なくともd1>w2>d2の関係が成り立つものとする。また、孔106aの端から孔106bの端までの距離s1は、犠牲層エッチングによって作製される導波路の幅w2よりも小さくなるよう設計する(s1<w2)。
最後に、希フッ化水素酸によって犠牲層であるAl0.65Ga0.35As層101のみを、孔106a,106bを中心にして等方的にエッチングすることで、SiドープGaAs層102とAl0.27Ga0.73As層103とGaAs層104とからなる多層膜は、GaAs基板100と離間し、残ったAl0.65Ga0.35As層101によって支持される状態となる(図4(A)〜図4(C))。すなわち、エッチング後に残ったAl0.65Ga0.35As層101は、多層膜を支える支持部となる。
Al0.65Ga0.35As層101を孔106aを中心にして等方的にエッチングすると、孔106aの位置のAl0.65Ga0.35As層101に、孔106aの直径d1よりも直径が大きい平面視円形の空間107が形成され、この空間107上の多層膜が平面視円環状の薄膜振動部108となる。エッチング後に残ったAl0.65Ga0.35As層101は、機械振動の伝搬方向(薄膜振動部108の場合は円周方向)と垂直な方向から薄膜振動部108の外縁を支える支持部となる。薄膜振動部108の内周側は、GaAs基板100から浮いた状態の自由端となる。
また、Al0.65Ga0.35As層101をエッチングによって削る距離Dを、孔106bの間隔s2よりも長くすると、孔106bが並ぶ方向に沿ってAl0.65Ga0.35As層101に平面視略矩形の空間109が形成され、この空間109上の多層膜が平面視略矩形の導波路部110となる。エッチング後に残ったAl0.65Ga0.35As層101は、機械振動の伝搬方向(導波路部110の場合は図1(A)〜図1(C)、図2(A)〜図2(C)、図3(A)〜図3(C)、図4(A)〜図4(C)のX方向)と垂直な方向から導波路部110を支える支持部となる。薄膜振動部108と導波路部110は、s1<2D=w2の関係性によって、機械的に結合しており、薄膜振動部108と導波路部110間の機械振動の伝搬が可能となる。
以上の製造方法により、円環状の薄膜振動部108とメンブレンフォノニック導波路である導波路部110とを機械的に結合したメカニカルリング共振器の作製が可能である。本実施の形態では、Al0.65Ga0.35As層101の厚さを3000nm、SiドープGaAs層102の厚さを100nm、Al0.27Ga0.73As層103の厚さを95nm、GaAs層104の厚さを5nm、電極105a,105bの厚さを80nmとしている。また、薄膜振動部108の内径(孔106aの直径d1)を100〜200μm程度、薄膜振動部108の幅w1を10〜30μm程度、導波路部110の幅w2を10〜30μm程度としている。すなわち、薄膜振動部108の内径d1は、薄膜振動部108の幅w1よりも大きい。
次に上述の方法で作製したメカニカルリング共振器の動作について説明する。本実施の形態のメカニカルリング共振器は、圧電特性をもつ材料(本実施の形態では、GaAs、AlGaAs等の化合物半導体)で作製されている。そのため、一端に配置された電極105aとその下のSiドープGaAs層102との間に交流電圧を印加すると、GaAsやAlGaAsの圧電効果によりSiドープGaAs層102とAl0.27Ga0.73As層103とGaAs層104とからなる多層膜内に面内歪みが誘起される。その結果、曲げモーメントが発生し、多層膜に屈折振動が引き起こされる。このように、電極を局所的に配置することで、機械振動を局所的に誘起し、伝搬波を作り出すことができる。誘起された機械振動は、導波路部110に沿って伝搬し、薄膜振動部108に導入され、薄膜振動部108に沿って伝搬する。
薄膜振動部108に導入された機械振動のうち、薄膜振動部108の共振条件を満たす周波数の機械振動だけが残る。薄膜振動部108の共振周波数は、薄膜振動部108の寸法と材質によって決定される。薄膜振動部108に閉じ込められた機械振動は、導波路部110に出力され、導波路部110に沿って伝搬して電極105bに達する。電極105bに達した機械振動伝搬波は、ピエゾ電気効果によって電圧に変換されるので、電極105bを介して電気的に検出することができる。
なお、上記の製造方法では、メカニカルリング共振器の材料として圧電特性を有するGaAs/AlXGa1-XAs多層膜を用いたが、PZTやZnO等の圧電材料の積層構造からなるものは勿論のこと、SiやSiO2を含む非圧電材料を用いてもメカニカルリング共振器の作製が可能である。
PZTやZnO等の圧電性酸化物をメカニカルリング共振器の材料として用いると、それら圧電性酸化物の大きなピエゾ定数のため、電圧による機械振動の効率的な励振・検出が可能となり、メカニカルリング共振器の駆動エネルギーの省電力化が期待される。
一方、SiやSiO2等の非圧電材料をメカニカルリング共振器の材料として用いる場合、上記で説明したような電極のみによる機械振動の誘起は不可能である。この場合、SiやSiO2等の非圧電材料の上に形成される第1の金属膜と、第1の金属膜の上に形成される圧電材料と、圧電材料の上に形成される第2の金属膜とからなる積層構造を電極105a,105bの代わりに形成し、電極105aの位置に形成した積層構造の下側の第1の金属膜と上側の第2の金属膜との間に交流電圧を印加すれば、機械振動の局所励振が実現できる。また、電極105bの位置に形成した積層構造の下側の第1の金属膜と上側の第2の金属膜との間からメカニカルリング共振器の出力を電気的に取り出すことができる。第1、第2の金属膜の材料としては例えばMO、圧電材料としては例えばAlNがある(文献「S.Mohammadi and A.Adibi,“Waveguide-Based Phononic Crystal Micro/Nanomechanical High-Q Resonators”,Journal Of Microelectromechanical Systems,Vol.21,No.2,p.379-384,2012」参照)。SiやSiO2といったIV族半導体とその周辺物質は、既存の電子デバイスやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、光デバイス部品の主要素であり、SiやSiO2等の非圧電材料をメカニカルリング共振器の母材として使用することで、既存技術との高い整合性が得られる。
また、上記の製造方法では、薄膜振動部108と導波路部110の作製において、フッ化水素酸溶液をエッチャントに用いて選択エッチングを行ったが、薄膜振動部及び導波路部を構成する層と犠牲層と基板とからなる積層構造において、犠牲層のみを等方的に除去できるエッチャントであれば、エッチャントはフッ化水素酸溶液に限られるものではない。
さらに、上記の製造方法では、薄膜振動部108と導波路部110の作製のため、基板表側からの選択エッチングを用いていたが、基板裏面からのエッチングでも、基板の種類によっては薄膜振動部108と導波路部110の作製が可能である。上記の製造方法で使用したGaAs基板において、基板裏面からのリン酸ウェットエッチングは、GaAsの結晶異方性のため、等方性エッチングが必要となる円環状の振動部形成が困難であった。しかしながら、結晶異方性のない材料を基板に用いれば、裏面からのエッチングによって薄膜振動部108と導波路部110を形成できる。その場合、犠牲層を含む多層構造を用いなくとも、単層構造においてメカニカルリング共振器は作製可能である。
また、本実施の形態では、メカニカルリング共振器として、平面視円環状の薄膜振動部108を有するものを例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、薄膜振動部108が環状の構造をしていれば、図5(A)に示すような楕円、図5(B)に示すような多角形、図5(C)に示すような角丸長方形など、薄膜振動部108の平面形状は円に限られるものではない。
例えば、円環状の薄膜振動部108を有するメカニカルリング共振器では、その構造上、反射による損失や導波路部110との結合による損失を最低限に抑えることができるため、高いQ値のRF共振器を実現することができる。一方、角丸長方形の薄膜振動部108を有するメカニカルリング共振器では、薄膜振動部108と導波路部110の結合距離を長く確保できるため、より効率的に機械振動の入出力が可能なRF共振器を実現することができる。
以上、詳細を示したように、本実施の形態によれば以下のような効果を奏することができる。
(1)円環状の薄膜振動部108内では、反射による機械振動伝搬の損失を極力抑制できるため、高いQ値を有するRF共振器の作製が期待される。
(2)薄膜振動部108の平面形状を円形や多角形、楕円、角丸長方形などから選択することで、メカニカルリング共振器のQ値、及び薄膜振動部108と導波路部110間での機械振動の入出力効率を自在に変更することができ、用途に合ったQ値及び入出力効率を有するRF共振器を実現することができる。
(3)GaAsを始めとした化合物族半導体に限らず、PZTやZnO等の圧電材料、さらにはSiやGeに代表されるIV族半導体や、カーボン材料、SiO2等のアモルファス絶縁体までと多様な材料によりメカニカルリング共振器を実現できるため、既存のMEMSやCMOS集積システムへの組み込みが可能である。
なお、本発明のメカニカルリング共振器の作製は既存の微細加工技術(EBリソグラフィ、フォトリソグラフィ、ナノインプリント、ドライエッチング、ウェットエッチング、蒸着、スパッタリング、化学気相成長法など)を複数組み合わせて使用することも可能であり、メカニカルリング共振器の作製法は本実施の形態に限定されるものではない。
例えば、本実施の形態では、メサ構造のGaAs/AlXGa1-XAs多層膜の表面(GaAs層104)からAl0.65Ga0.35As層101(犠牲層)まで届く孔106aを形成して、希フッ化水素酸によってAl0.65Ga0.35As層101のみを、孔106aを中心にして等方的にエッチングすることで、薄膜振動部108を形成しているが、孔106aを設けなくてもよい。
孔106aを設けない場合は、上記のように基板裏面からのエッチングによって薄膜振動部108を形成してもよいし、図6に示すようにGaAs/AlXGa1-XAs多層膜の表面(GaAs層104)からAl0.65Ga0.35As層101(犠牲層)まで届く孔106cを、薄膜振動部108を配置したい周方向に沿って複数形成してもよい。希フッ化水素酸によって犠牲層であるAl0.65Ga0.35As層101のみを、孔106cを中心にして等方的にエッチングすれば、導波路部110と同様の形成原理により、孔106cが並ぶ方向に沿ってAl0.65Ga0.35As層101に平面視円環状の空間が形成され、この空間上の多層膜が薄膜振動部108となる。また、孔106bを設けずに、例えば基板裏面からのエッチングによって導波路部110を形成してもよい。
また、本実施の形態では、Al0.65Ga0.35As層101からなる支持部が薄膜振動部108の外縁を支え、薄膜振動部108の内周側がGaAs基板100から浮いた状態の自由端となっているが、これに限るものではなく、支持部が薄膜振動部108の内縁を支え、薄膜振動部108の外周側が自由端となるようにしてもよい。
本発明は、メカニカル共振器に適用することができる。
100…GaAs基板、101…Al0.65Ga0.35As層、102…SiドープGaAs層、103…Al0.27Ga0.73As層、104…GaAs層、105a,105b…電極、106b,106a,106c…孔、107,109…空間、108…薄膜振動部、110…導波路部。

Claims (8)

  1. 基板と、
    この基板との間に空間をあけて配置された環状の薄膜からなる振動部と、
    前記基板との間に空間をあけて配置され、かつ前記振動部の環の外縁の一部と結合するように配置された薄膜からなる導波路部と、
    前記基板上に形成され、機械振動の伝搬方向と垂直な方向から前記振動部および導波路部を支える支持部とを備えることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  2. 請求項1記載のメカニカルリング共振器において、
    前記支持部は、前記振動部の環の外縁もしくは内縁のどちらか一方を支持し、
    前記振動部の内周側もしくは外周側が自由端となることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  3. 請求項1または2記載のメカニカルリング共振器において、
    さらに、前記機械振動の伝搬方向に沿って周期的に配列され、前記導波路部と前記振動部のうち少なくとも一方を、前記機械振動の伝搬方向と垂直な方向に貫通する複数の孔を備えることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメカニカルリング共振器において、
    前記振動部は、円環状で、その内径が振動部の幅よりも大きいことを特徴とするメカニカルリング共振器。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメカニカルリング共振器において、
    前記振動部となる薄膜および前記導波路部となる薄膜は、圧電材料からなることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  6. 請求項5記載のメカニカルリング共振器において、
    さらに、前記導波路部となる薄膜の一部の上に形成された電極を備えることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメカニカルリング共振器において、
    前記振動部となる薄膜および前記導波路部となる薄膜は、非圧電材料からなることを特徴とするメカニカルリング共振器。
  8. 請求項7記載のメカニカルリング共振器において、
    さらに、前記導波路部となる薄膜の一部の上に形成された第1の金属膜と、この第1の金属膜の上に形成された圧電材料と、この圧電材料の上に形成された第2の金属膜とからなる積層構造を備えることを特徴とするメカニカルリング共振器。
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