JP6120060B2 - 合成樹脂成形品の表面加飾方法及び表面加飾成形品 - Google Patents
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Description
たとえば特許文献1には、ホットスタンプ法を用いてメタリック状の加飾が立体的に施された化粧料容器に係る発明が記載されており、金属調の光沢を表面に付与することにより高級なイメージを付与することができるとしている。
また、キャビティ面への凹模様の刻設工程や、成形時における模様の成形品表面への転写性という点から繊細な模様の形成が難しく、高級感という点でも不満が残る。
ここではまず表面加飾方法について説明し、次に当該加飾方法により実現が可能な表面加飾成形品について説明する。
上記課題を解決するための本発明の主たる加飾方法は、
合成樹脂成形品の表面の所定の領域にオンデマンド機能を有するインクジェット印刷機により印刷層を形成し、
この印刷層により表面の所定の領域を粗面化し、
さらに成形品の表面を印刷層の上から金属薄膜層で被覆し、
前記粗面化した印刷層により金属薄膜層にシボ加工状の表面外観を付与する、
と云うものである。
なお上記構成において、オンデマンド印刷機能を有するインクジェット印刷機とは、予めコンピューターに設定して記憶させたパターンに沿って、印刷インクの種類、成形品の表面の単位面積当たりに吐出する前記印刷インクの液滴数を含む印刷条件を変化そして調整させながら被印刷物に印刷層を形成することが可能なインクジェット印刷機を指す。
なお、上記構成で「粗面化の態様」とは、凹凸の大きさに係る所謂、表面粗度の他にも、ドット状や、縦スジ状や、織物状等の凹凸の形成パターン含む概念である。
また、成形品の表面を金属薄膜層で被覆する範囲は、加飾目的に応じて選択することができ、成形品の表面全体を被覆することも、たとえば外側から見える範囲だけと云うように限定された範囲だけを被覆することもできる。
また、加飾目的に応じて前述したように印刷条件により粗面化の態様を変更することができ、さらに粗面化する個々の領域の中においても粗面化の態様を繊細に変化させることが可能となる。
そして、成形品の表面を印刷層の上から金属薄膜層で被覆することにより、金属薄膜層にシボ加工状の表面外観を付与することができ、メタリック調の外観の変化による繊細な模様を現出させることが可能となる。
また、オンデマンド印刷機によれば繊細な形状も、高い精度で位置合わせをしながら重ね印刷することができ、印刷層を層厚に、所謂、厚盛状に形成すこともでき、金属薄膜層によるメタリック調の加飾効果が相俟って、より立体的な視覚効果を高品位に現出させることができる。
また、金属薄膜層の印刷層への密着性も十分に発揮される。
表面の所定の領域を、オンデマンド機能を有するインクジェット印刷機による印刷層で粗面化したものとし、
印刷層の上から成形品の表面を金属薄膜層で被覆したものとし、
印刷層による粗面化により金属薄膜層にシボ加工状の表面外観が付与されている、と云うものである。
一方、マット状の印刷部分では鏡面状の金属をエッチング加工した部分であるかのような視覚効果が付与される。
勿論、金型面を鏡面仕上げしなくても、非印刷部分と印刷部分で金属薄膜層の光沢性を変化させて模様を現出させることも可能である。
印刷層による粗面化の態様をグラデーション状に変化させ、金属薄膜層によるメタリック調の外観がグラデーション状に変化する構成とする、と云うものである。
図1、2は本発明の表面加飾成形品の一実施例を示し図1は平面図、図2は層構成を示す縦断面図である。
本実施例の加飾成形品において成形品はコンパクト容器の蓋体1で、矩形状の頂壁の表面側の所定の領域に印刷層3を形成し、この印刷層3の上から、頂壁と側壁を含む表面側と裏面側の全領域を金属蒸着膜による金属薄膜層4で被覆し、さらにこの金属薄膜層4を被覆するようにアクリル樹脂系の塗料をUV硬化させて形成した無色透明な保護層5を積層している。
そして、印刷層3の印刷条件により粗面化の態様を変えることにより、金属薄膜層4におけるシボ加工状、あるいはマット状の表面外観を容易に変更することができる。
さらに詳述すると、印刷部分Ra1は頂壁の表面側の、周縁を除く大半の領域を占めており、この印刷部分Ra1の中で、印刷部分Ra2により雪の結晶を現出し、印刷層3が形成されていない鏡面状の非印刷部Rnにより星形を現出するようにしている。
ここで、印刷部分Ra2では、印刷部分Ra1に比較してインクジェット印刷機による成形品の表面の単位面積当たりに吐出する前記印刷インクの液滴数を多くして印刷層3を形成することにより粗面化の程度を緩和して、印刷部分Ra1に比較して高い光沢を有する部分になるようにしている。
なお、図1また後述する図4では粗面化による光沢の変化を黒色の塗潰し濃度で表している。
また、マット状の印刷部分Ra1では鏡面状の金属をエッチング加工した部分であるかのような視覚効果が発揮される。
このヘッド部31の例は6つのヘッドh1、h2、h3、h4、h5、h6を並列状配設したもので各ヘッドには多数のノズル32が配設されており、
この6つのヘッドにシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)、ホワイト(W)、クリア(透明)(Cl)のインクが割り振られている。
そして、ヘッド部31を図中、白抜き矢印で示した方向にスキャンしながら、予めコンピューターに記憶させた吐出パターンに沿って、各ヘッドの各ノズル32から被印刷物の表面に、数pl(ピコリットル)から数10pl(ピコリットル)の印刷インクからなる液滴を吹き付けて印刷する。
そして、単位面積当たりに吐出する印刷インクの液滴数は、たとえば、図3中の各ヘッドh1、h2、h3、h4、h5、h6のうちいくつのヘッドを使用するか、さらには個々のヘッドに配設されている多数のノズル32のうちいくつのノズル32から液滴を吐出させるか等の印刷条件により調整することができる。
また、たとえば異なる種類のインクを前述した6つのヘッドから吐出させることにより、成形体の表面でこれら6種のインクの液滴を重ねることにより、さらに粗面化の程度を微調整することが可能となる。
図4に示されるように、図中、6角形状の非印刷部Rn2と、この非印刷部Rnを縁取る濃度の低い黒色に塗り潰した印刷部分Ra4と、この印刷部分Ra4を縁取る黒色に塗り潰した印刷部分Ra3と、さらにこの印刷部分Ra3を縁取る非印刷部Rn1により亀の甲羅状の図案を現出させたものである。
ここで、印刷部分Ra4では印刷部分Ra3に比較して成形品の表面の単位面積当たりに吐出する液滴数を多くして印刷層3を形成することにより、粗面化の程度を緩和して印刷部分Ra3に比較して高い光沢を有する部分になるようにしており、鏡面状のメタリック調の光沢を有する6角形状の非印刷部Rn2が浮き上がったような3次元的な視覚効果が現出される。
また、非印刷部分Rn1による細い線もくっきりと現出させることができ高品位な加飾性を実現することができる。
たとえば、上記実施例では成形品をコンパクト容器の蓋体としたが、インクジェット印刷機は成形品の表面に非接触で印刷することができ、湾曲面を有するたとえばボトル等の成形品についても十分適用することができる。
また、オンデマンド機能を有するインクジェット印刷機の機能を生かしてシボ加工のパターンをドット状だけでなくスジ状、織物状等さまざまなパターンで現出させることもできる。
3 ;印刷層
4 ;金属薄膜層
5 ;保護層
31;(インクジェット印刷機の)ヘッド部
32;ノズル
h1、h2、h3、h4、h5、h6;ヘッド
Ra(Ra1、Ra2、Ra3、Ra4);印刷部
Rn(Rn1、Rn2);非印刷部
Claims (6)
- 合成樹脂成形品の表面の所定の領域にオンデマンド機能を有するインクジェット印刷機により印刷層(3)を形成し、該印刷層(3)により前記表面の所定の領域を粗面化し、さらに前記印刷層(3)の上から成形品の表面を金属薄膜層(4)で被覆し、前記粗面化した印刷層(3)により金属薄膜層(4)にシボ加工状の表面外観を付与することを特徴とする合成樹脂成形品の表面加飾方法。
- 印刷インクの種類と、成形品の表面の単位面積当たりに吐出する前記印刷インクの液滴数を含む印刷条件の調整により、印刷層(3)による粗面化の態様を調整する構成とした請求項1記載の表面加飾方法。
- 金属薄膜層(4)を金属蒸着膜によるものとした請求項1または2記載の表面加飾方法。
- 表面の所定の領域を、オンデマンド機能を有するインクジェット印刷機による印刷層(3)で粗面化したものとし、前記印刷層(3)の上から成形品の表面を金属薄膜層(4)で被覆したものとし、前記印刷層(3)による粗面化により金属薄膜層(4)にシボ加工状の表面外観が付与されていることを特徴とする表面加飾成形品。
- 印刷層(3)を形成した印刷部分(Ra)と印刷層(3)を形成しない非印刷部分(Rn)で模様を現出する構成とした請求項4記載の表面加飾成形品。
- 印刷層(3)による粗面化の態様をグラデーション状に変化するものとし、金属薄膜層(4)によるメタリック調の表面外観がグラデーション状に変化する構成とした請求項4または5記載の表面加飾成形品。
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