以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態にかかる水洗大便器を表す模式的斜視図である。
図1(a)および図1(b)に表したように、本実施形態にかかる水洗大便器10は、便器本体100と、排水ソケット200と、を備える。
便器本体100は、ボウル部110と、排水トラップ部120と、を有する。ボウル部110は、使用者から***された汚物や尿などを受けることができる。排水トラップ部120は、ボウル部110に接続され、汚物を排水管50に排出することができる。また、排水トラップ部120は、ボウル部110に溜水を形成し、例えば排水管50から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防止する。なお、図示しない便座が、便器本体100の上面において便器本体100に対して回動自在に軸支されている。
排水ソケット200は、便器本体100の内部に設けられ、排水トラップ部120の下流端121と、排水管50の上流端と、を接続する。排水ソケット200は、排水ソケット本体210と、パッキン220と、操作部230と、を有する。パッキン220は、排水ソケット本体210の上端部に設けられ、例えばゴムなどの弾力性を有する材料により形成されている。また、パッキン220は、上下方向に貫通する貫通孔を有する。排水トラップ部120の下流端121は、パッキン220の貫通孔に挿入され保持されている。
なお、本願明細書においては、図示しない便座に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、便座に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器本体100の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、後方を向いて便器本体100の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
操作部230は、例えば、便器本体100の後方部の内部から左側方の外部へ突出している。後に詳述するように、使用者は、便器本体100の外部から操作部230を操作することにより、排水ソケット本体210の内部に設けられた開閉弁(開閉手段)を動かすことができる。なお、操作部230が便器本体100の外部へ突出する方向は、特に限定されるわけではなく、操作部230は、例えば便器本体100の後方部の内部から右側方の外部へ突出していてもよい。
図2は、本実施形態にかかる水洗大便器を表す模式的断面図である。
また、図3は、本実施形態にかかる水洗大便器の要部構成を表すブロック図である。
なお、図2(a)および図2(b)は、図1に表した切断面A−Aにおける模式的断面図である。図2(a)は、本実施形態の開閉弁が開いた状態を表す模式的断面図である。図2(b)は、本実施形態の開閉弁が閉じた状態を表す模式的断面図である。図3は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
まず、図3を参照しつつ本実施形態にかかる水洗大便器10の要部構成について説明する。
便器本体100の後方には、洗浄水供給手段150が配置されている。洗浄水供給手段150は、以下のように、供給電力により電気的に駆動されボウル部110に洗浄水を供給することができる。
洗浄水供給手段150には、定流量弁155と、電磁弁(給水手段)156と、リム吐水用バキュームブレーカ164と、が設けられている。さらに、給水路151には、貯水タンク177への給水とリム吐水とを切り替える切替弁157と、貯水タンク177と、加圧ポンプ(給水手段)173と、ジェット吐水用バキュームブレーカ166と、水抜栓171と、が内蔵されている。また、洗浄水供給手段150には、電磁弁156の開閉操作、切替弁157の切換操作、及び、加圧ポンプ173の回転数や作動時間等を制御するコントローラ174が内蔵されている。
定流量弁155は、止水栓152、ストレーナ153、及び分岐金具154を介して流入した洗浄水を、所定の流量以下に絞るためのものである。本実施形態においては、この定流量弁155は、洗浄水の流量を16リットル/分以下に制限するようになっている。また、定流量弁155を通過した洗浄水は、電磁弁156に流入し、電磁弁156を通過した洗浄水は、切替弁157により、リム吐水口113又は貯水タンク177に供給されるようになっている。
電磁弁156は、コントローラ174の制御信号により開閉され、供給された洗浄水を切替弁157に流入させ、又は停止させるようになっている。
また、切替弁157は、コントローラ174の制御信号により切り替えられ、電磁弁156を介して流入した洗浄水をリム吐水口113から吐出させ、又は、貯水タンク177に流入させるようになっている。
リム吐水用バキュームブレーカ164は、切替弁157を通過した洗浄水をリム吐水口113へ導くリム側給水路159の途中に配置され、洗浄水のリム吐水口113からの逆流を防止している。また、リム吐水用バキュームブレーカ164は、ボウル部110の上端面よりも上方に配置され、これにより、逆流を確実に防止している。さらに、リム吐水用バキュームブレーカ164の大気開放部から溢れた洗浄水は、戻り管路165を通ってフロート式逆止弁169を介して貯水タンク177に流入するようになっている。
貯水タンク177は、ジェット吐水口111から吐水すべき洗浄水を貯水するように構成されている。なお、本実施形態において、貯水タンク177は、約2.5リットルの内容積を有する。
さらに、本実施形態においては、タンク側給水路161の先端(下端)はフロート式逆止弁167に接続されており、貯水タンク177からタンク側給水路161への逆流を防止している。また、貯水タンク177の内部には、上端フロートスイッチ175及び下端フロートスイッチ176が配置されており、貯水タンク177内の水位を検出できるようになっている。上端フロートスイッチ175は、貯水タンク177内の水位が所定の貯水水位に達するとオンに切り替わり、コントローラ174はこれを検知して、電磁弁156を閉鎖させる。一方、下端フロートスイッチ176は、貯水タンク177内の水位が所定の水位まで低下するとオンに切り替わり、コントローラ174はこれを検知して、加圧ポンプ173を停止させる。
加圧ポンプ173は、貯水タンク177に貯水された洗浄水を加圧して、ジェット吐水口111から吐出させるためのものである。加圧ポンプ173は、貯水タンク177から延びるポンプ側給水路162により接続され、貯水タンク177内に貯水された洗浄水を加圧する。なお、本実施形態においては、加圧ポンプ173は、貯水タンク177内の洗浄水を加圧して、洗浄水を最大約120リットル/分の流量でジェット吐水口111から吐出させるようになっている。
また、加圧ポンプ173よりも下方の、貯水タンク177の下端部付近の高さにおいて、水抜栓171が配置されている。このため、水抜栓171を開放することにより、メンテナンス時等に貯水タンク177内及び加圧ポンプ173内の洗浄水を排出することができる。また、加圧ポンプ173の下方には、水受けトレイ172が配置されており、結露した水滴や漏水を受けるようになっている。
一方、加圧ポンプ173の流出口は、ジェット側給水路163を介して、ボウル部110の底部のジェット吐水口111に接続されている。このジェット側給水路163の途中は、上方に向けて凸型に形成されており、この凸型部分の最も高い部分であるジェット側給水路頂部163aは、貯水タンク177からジェット吐水口111に至る洗浄水管路の中で最も高い部分になっている。さらに、図3に表したように、ジェット側給水路163のジェット側給水路頂部163aよりも下流側は、前述したジェット吐水口111と同じレベル(高さ)に設定されている。
ジェット側給水路163には、一端にオーバーフロー口168aを有するオーバーフロー流路168が接続されている。オーバーフロー口168aは、上端フロートスイッチ175よりも上方に設けられている。貯水タンク177内の水位が上端フロートスイッチ175よりも高くなった場合には、貯水タンク177内の水は、オーバーフロー口168aからオーバーフロー流路168に流入し、加圧ポンプ173により加圧され、フラッパー弁178を介してジェット吐水口111から吐出される。
ジェット吐水用バキュームブレーカ166は、切替弁157を通過した洗浄水を貯水タンク177へ導くタンク側給水路161の途中に配置され、洗浄水の貯水タンク177からの逆流を防止している。また、ジェット吐水用バキュームブレーカ166の大気開放部から溢れた洗浄水は、戻り管路165を通ってフロート式逆止弁169を介して貯水タンク177に流入するようになっている。
コントローラ174は、使用者による便器洗浄スイッチ(図示せず)の操作により、電磁弁156、切替弁157、加圧ポンプ173を順次作動させ、リム吐水口113及びジェット吐水口111からの吐水を順次開始させて、ボウル部110を洗浄する。さらに、コントローラ174は、洗浄終了後、電磁弁156を開放し、切替弁157を貯水タンク177側に切り替えて洗浄水を貯水タンク177に補給する。貯水タンク177内の水位が上昇し、上端フロートスイッチ175が規定の貯水量を検出すると、コントローラ174は、電磁弁156を閉鎖して給水を停止する。
図3に表した本実施形態においては、切替弁157を切替えることにより、リム側給水路159を経由してリム吐水口113に洗浄水を供給し、また、タンク側給水路161を経由してフロート式逆止弁167を介して貯水タンク177に洗浄水を補給するようにしている。
これに対して、本実施形態においては、変形例として、図3に表した電磁弁156及び切替弁157に代えて、リム吐水用電磁弁及びタンク給水用電磁弁を設けるようにしても良い。具体的には、このリム吐水用電磁弁は、定流量弁155の下流側に設けられ、リム側給水路159に接続されている。また、タンク給水用電磁弁は、定流量弁155の下流側に設けられ、タンク側給水路161に接続されている。さらに、これらのリム吐水用電磁弁及びタンク給水用電磁弁の開閉操作(ON及びOFF操作)は、コントローラ174からの制御信号により行われる。
次に、本実施形態にかかる水洗大便器10の作用(動作)について説明する。
待機状態において、便器洗浄スイッチ(図示せず)が操作されると、1回目のリム吐水(前リム洗浄)が開始される。即ち、使用者が便器洗浄スイッチ(図示せず)を操作すると、コントローラ174は電磁弁156に信号を送って開放させると共に、切替弁157をリム吐水口113の側に切り替え、水道の給水圧力によりリム吐水口113から洗浄水を吐出させる。電磁弁156が開放されると、水道から供給された洗浄水が止水栓152、ストレーナ153、分岐金具154を経て定流量弁155に流入する。定流量弁155では、水道の給水圧力が高い場合には、通過する洗浄水の流量が所定流量に制限され、給水圧力が低い場合には、洗浄水は流れを制限されることなくそのまま通過される。定流量弁155を通過した洗浄水は、電磁弁156、切替弁157を通過し、リム吐水用バキュームブレーカ164、リム側給水路159を通って、ボウル部110の上部の後方左側に開口したリム吐水口113から吐出される。リム吐水口113から吐出された洗浄水は、ボウル部110内を旋回しながら下方へ流下し、ボウル部110の内壁面が洗浄される。
その後、ジェット吐水が開始されるが、この間もリム吐水口113からは洗浄水の吐水が続いている。
まず、コントローラ174は、加圧ポンプ173に信号を送ってこれを起動させる。加圧ポンプ173が起動されると、貯水タンク177内に貯水されていた洗浄水は、加圧ポンプ173に流入し、加圧される。加圧ポンプ173によって加圧された洗浄水は、ジェット側給水路163のジェット側給水路頂部163aを通って、ボウル部110の底部に開口したジェット吐水口111から吐出される。
ジェット吐水口111から吐出された洗浄水は排水トラップ部120内に流入し、排水トラップ部120を満水にしてサイホン現象を引き起こす。このサイホン現象により、ボウル部110内の溜水及び汚物は、排水トラップ部120に吸引され、排水管50から排出される。
加圧ポンプ173によってジェット吐水口111から洗浄水が吐出されると、貯水タンク177内の水位が降下し、下端フロートスイッチ176がONになる。下端フロートスイッチ176がONになると、コントローラ174は、貯水タンク177内に貯水されていた洗浄水が無くなったことを検知し、加圧ポンプ173に信号を送ってこれを停止させ、ジェット吐水を終了させる。継続的に行われているリム吐水口113からの吐水によりボウル部110内の溜水の水位は上昇し、所定のリム吐水時間経過後、ボウル部110内は所定の溜水水位に到達する。
リム吐水終了後、貯水タンク177の洗浄水が補給される。このとき、前述したように、コントローラ174は、電磁弁156を開放状態に保持した状態で、切替弁157に信号を送って、これを貯水タンク177側に切り替え、洗浄水は、貯水タンク177内に流入する。
貯水タンク177内に洗浄水が補給され、貯水タンク177内の水位が規定の貯水水位に達すると、上端フロートスイッチ175がONになる。上端フロートスイッチ175がONになると、コントローラ174は電磁弁156に信号を送り、これを閉鎖させる。また、コントローラ174は、切替弁157に信号を送って、これをリム吐水口113の側に切り替える。そして、水洗大便器10は、待機状態となる。
以上説明したように、本実施形態にかかる水洗大便器10は、コントローラ174からの信号により電磁弁156、切替弁157、および加圧ポンプ173などの動作を制御し、リム吐水口113あるいはジェット吐水口111から洗浄水を吐出させて便器洗浄を行う。ここで、停電になると、コントローラ174、電磁弁156、切替弁157、および加圧ポンプ173などの動作が停止し、便器洗浄自体を行うことが困難となる。例えば、使用者は、バケツ等で水を汲み、便器本体100のボウル部110にバケツ等で汲んだ水を流し込む必要がある。そのため、手間と時間がかかる。これは、高齢者や疾病者に対しては好ましいものではない。
これに対して、本実施形態にかかる水洗大便器10の排水ソケット200は、開閉弁(開閉手段)240を有する。開閉弁240は、通常時(通電時あるいは電力供給時)には、図2(a)に表したように開状態に維持され、排水ソケット本体210の流路断面積を変化させてはいない。一方、開閉弁240は、停電時において、使用者の操作部230(図1参照)の操作により排水ソケット本体210の流路断面積を変化させることができる。
具体的には、開閉弁240は、支持軸243を有し、その支持軸243において排水ソケット本体210に対して回動自在に軸支されている。また、後に詳述するように、開閉弁240の支持軸243は、操作部230と連結されている。そのため、使用者は、操作部230を適宜操作することで、図2(a)に表した矢印A1のように、支持軸243を略中心として開閉弁240を回動させることができる。そして、図2(b)に表したように、使用者は、開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くし、排水ソケット本体210の流路をほぼ閉鎖状態とすることができる。
なお、開閉弁240は、排水ソケット本体210の流路を完全に閉鎖する必要はない。すなわち、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路を閉鎖した状態において、リム吐水口113およびジェット吐水口111から供給される洗浄水によりボウル部110の内部の水位を上昇させることができれば、開閉弁240と排水ソケット本体210の流路との間に隙間が生じていてもよい。
この状態において、使用者は、手動操作または非常用電源により給水手段(電磁弁156あるいは加圧ポンプ173)を動作させ、リム吐水口113あるいはジェット吐水口111からボウル部110へ洗浄水を供給する。非常用電源としては、例えば電池や蓄電池などが挙げられる。このとき、リム吐水口113から供給される洗浄水の流量だけでは、排水トラップ部120を満水にできず、サイホン現象を引き起こすことはできない。また、手動操作または非常用電源による加圧ポンプ173の動作に基づいてジェット吐水口111から供給される洗浄水の流量だけでは、リム吐水口からの洗浄水の供給と同様に、排水トラップ部120を満水にできず、サイホン現象を引き起こすことはできない。
これに対して、前述したように、使用者は、開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くしているため、リム吐水口113およびジェット吐水口111から供給される洗浄水によりボウル部110の内部の水位を上昇させることができる。そして、ボウル部110の内部の水位が所定水位まで上昇した後に、使用者は、操作部230を適宜操作することで、図2(b)に表した矢印A2のように、開閉弁240を回動させる。すると、ボウル部110に滞留した大量の洗浄水が排水トラップ部120に流れ込むことで、排水トラップ部120を満水にしてサイホン現象を引き起こすことができる。
これによれば、停電時あっても大量の洗浄水を排水トラップ部120に流入させることができるため、良好に汚物等を排水管50へ排出することができる。そのため、使用者は、バケツ等で水を汲む作業を行うことなく、簡単に良好な便器洗浄を行うことができる。
なお、本実施形態では、便器本体100がサイホン作用により汚物等を排出するサイホン式の便器である場合を例に挙げて説明した。但し、本実施形態では、便器本体100は、サイホン式の便器に限定されず、サイホン作用を生じないいわゆる「洗い落とし式」の便器であってもよい。便器本体100が洗い落とし式の便器であっても、前述した効果と同様の効果が得られる。以下の説明では、説明の便宜上、便器本体100がサイホン式の便器である場合を例に挙げる。
本実施形態の開閉弁240の構造および動作について、図面を参照しつつさらに説明する。
図4は、本実施形態の開閉弁の近傍を拡大した模式的断面図である。
また、図5は、本実施形態の開閉弁を表す模式的平面図である。
また、図6は、本実施形態の排水ソケット本体と開閉弁との関係を説明する模式図である。
なお、図4(a)は、図2(a)に表した範囲A11を拡大した模式的断面図である。図4(b)は、図2(b)に表した範囲A12を拡大した模式的断面図である。図5(a)は、本実施形態の開閉弁240を上方から眺めた模式的平面図である。図5(b)は、本実施形態の開閉弁240を正面から眺めた模式的平面図である。図5(c)は、本実施形態の開閉弁240を側方から眺めた模式的平面図である。図6(a)は、本実施形態の排水ソケット200を側方から眺めた模式的平面図である。図6(b)は、図6(a)に表した切断面B−Bにおける模式的断面図である。
図5(a)〜図5(c)に表したように、本実施形態の開閉弁240は、弁体241と、支持軸243と、を有する。図6(a)および図6(b)に表したように、支持軸243は、排水ソケット本体210の内側壁(流路内壁)211と係合可能である。そして、開閉弁240は、支持軸243において排水ソケット本体210に対して回動自在に軸支されている。つまり、開閉弁240は、例えば、図4(a)に表した矢印A1および図4(b)に表した矢印A2のように、支持軸243を略中心として上下方向に回動可能である。また、図6(b)に表したように、開閉弁240の支持軸243は、操作部230と連結されている。開閉弁240が支持軸243を略中心として回動することで、弁体241は、排水ソケット本体210の流路断面積を変化させることができる。
図4(a)に表したように、開閉弁240は、通常時には、開状態に維持されている。言い換えれば、開閉弁240は、通常時には、排水ソケット本体210の流路断面を開状態としている。このときに、開閉弁240は、排水管50の近傍すなわち排水ソケット200の下流側に位置している。そのため、供給電力があるときの通常の便器洗浄において、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、汚物等が詰まることを抑えた通常通りの便器洗浄を行うことができる。
また、図4(a)に表したように、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態としているときにおいて、開閉弁240の弁体241は、平面視で排水ソケット本体210の流路断面の中心点を中心として外側に円を描いた円弧状に形成されており、排水ソケット本体210の内側壁211に沿った形状を有する。また、弁体241の表面(洗浄水が流れる側の面)は、排水ソケット本体210の内側壁211の表面と同一面あるいはそれよりも後退した位置の面として設けられている。そのため、供給電力があるときの通常の便器洗浄において、排水ソケット本体210の流路を流れる洗浄水が受ける抵抗を抑制することができる。これにより、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、汚物等が詰まることを抑えた通常通りの便器洗浄を行うことができる。
図6(b)に表したように、排水ソケット本体210の外部であって、支持軸243と操作部230との連結部の近傍には、例えばばねなどの付勢手段235(第1の付勢手段)が設けられている。付勢手段235は、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態としているときに、弁体241の表面とは反対の側の背面が排水ソケット本体210の内側壁211と接触するように開閉弁240を付勢している。つまり、付勢手段235は、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向に開閉弁240を付勢している。
そのため、開閉弁240の弁体241が排水ソケット本体210の内側壁211に沿った形状を有するため、供給電力があるときの通常の便器洗浄において、排水ソケット本体210の流路を流れる洗浄水が受ける抵抗をより一層抑制することができる。これにより、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、汚物等が詰まることをより一層抑えた通常通りの便器洗浄を行うことができる。
続いて、図4(a)に表した矢印A1のように、使用者は、操作部230を適宜操作することで支持軸243を略中心として開閉弁240を回動させ、開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くすることができる。ここで、開閉弁240は、支持軸243を略中心として上下方向に回動可能であるため、開閉弁240がしばらく使用されず、弁体241が排水ソケット本体210の内側壁211に固着していても、回動操作により簡単に固着状態を破壊することができる。そのため、停電時には、使用者の手動操作または非常用電源により、開閉弁240の安定した回動動作が可能となり、良好に汚物等を排水管50へ排出することができる。そのため、使用者は、バケツ等で水を汲む作業を行うことなく、簡単に良好な便器洗浄を行うことができる。
また、開閉弁240および排水ソケット本体210は、樹脂により形成されている。そして、開閉弁240を形成する樹脂と、排水ソケット本体210を形成する樹脂と、が互いに接触する。つまり、開閉弁240と排水ソケット本体210とは、例えばゴムなどのパッキンにより密着するわけではない。例えば、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面積を狭くしている状態において、弁体241の一部は、排水ソケット本体210の内側壁と接触している。開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面積を狭くしている状態において、弁体241の他の一部と排水ソケット本体210の内側壁との間には隙間が存在する。
そのため、本実施形態では、弁体241の先端部(支持軸243とは反対側の端部)241aと、排水ソケット本体210の内側壁211と、の間に隙間が存在する。そのため、図4(b)に表した矢印A3のように、排水トラップ部120を通過し排水ソケット本体210に流入した水は、弁体241の先端部241aと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過し排水管50へ排出される。これにより、リム吐水口113およびジェット吐水口111から供給される洗浄水によりボウル部110の内部の水位が上昇するときに、例えば排水トラップ部120のトラップ頂部123(図2(a)および図2(b)参照)に空気が溜まることを抑え、排水トラップ部120の内部の空気を流れやすくすることができる。そのため、排水トラップ部120をより確実に満水にして、より確実にサイホン現象を引き起こすことができる。
なお、図4(b)に表した状態では、弁体241の周縁部が排水ソケット本体210の内側壁211と接触(線接触)しているが、弁体241と排水ソケット本体210の内側壁211との接触状態は、これだけに限定されるわけではない。例えば、水洗大便器10の排出性能に影響を与えない程度の突起部が排水ソケット本体210の内側壁211に設けられ、弁体241の周端部の表面がその突起部に接触(面接触)してもよい。
弁体241の周縁部が排水ソケット本体210の内側壁211と接触(線接触)する場合には、弁体241と排水ソケット本体210の内側壁211との接触部分が固着することを抑制することができる。これにより、開閉弁240のより安定した回動動作が可能となる。また、良好に汚物等を排水管50へ排出することができる。
また、図4(a)に表したように、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態としているときに、支持軸243は、弁体241よりも上方に位置する。つまり、支持軸243から弁体241の先端部241aへ向かう方向は、略下方となっている。そして、図4(a)に表した矢印A1のように、開閉弁240は、支持軸243を略中心として下方から上方へ向かって回動することで、排水ソケット本体210の流路断面積を狭くする。そのため、汚物等が弁体241の先端部241aに引っ掛かったり、開閉弁240が回動したときに汚物等を挟み込んだりすることを抑えることができる。また、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、通常通りの便器洗浄を行うことができる。
また、図4(b)に表したように、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面積を狭くしているときに、支持軸243は、弁体241の先端部241aより上方に位置する。そのため、図4(b)に表した矢印A4のように、排水トラップ部120を通過し弁体241に到達した洗浄水は、支持軸243の方向ではなく先端部241aの方向へ向かって流れる。これにより、汚物等を含む洗浄水が支持軸243の方向へ流れることで、支持軸243に詰まりが生じたり、支持軸243が脆化することを抑えることができる。
図7は、本実施形態のサイホン誘発手段を表す模式図である。
図7(a)は、本実施形態のサイホン誘発手段を表す模式的平面図である。図7(b)は、図7(a)に表した切断面C−Cにおける模式的断面図である。
図3に関して前述したように、本実施形態にかかる水洗大便器10は、サイホン作用により汚物等を排出するサイホン式の便器である。
ここで、図2(a)、図2(b)、図4(a)、および図4(b)に表したように、排水ソケット200は、排水ソケット本体210の内部に設けられたサイホン誘発手段250を有する。サイホン誘発手段250は、開閉弁240の下方に設けられている。また、サイホン誘発手段250は、絞り部251と、突起部253a、253b、253c、253dと、を有する。
絞り部251は、排水ソケット本体210の流路断面積よりも狭い断面積を有する。また、突起部253a、253b、253c、253dは、サイホン誘発手段250の内側壁255から流路の中心へ向かって突出した形状を有する。
これによれば、絞り部251および突起部253a、253b、253c、253dは、開閉弁240の開弁時において、開閉弁240により滞留された洗浄水を一気にサイホン誘発手段250へ導くことができ、サイホン作用を効率的に発生させることができる。そのため、停電時には、使用者の手動操作または非常用電源により、安定したサイホン作用を発生させることができ、良好に汚物等を排出することができる。そのため、使用者は、バケツ等で水を汲む作業を行うことなく、簡単に良好な便器洗浄を行うことができる。
次に、停電時における便器洗浄の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。 図8は、停電時における便器洗浄の動作の具体例を例示する模式的断面図である。
使用者は、停電時に***行為を行ったときには、図8(a)に表したように、まず、操作部230を操作することで支持軸243を略中心として開閉弁240を回動させ、開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くする。
続いて、使用者は、非常用電源により電磁弁156を動作させる。このとき、図3に関して前述したように、切替弁157は、待機状態においてリム吐水口113の側に切り替えられているため、リム吐水口113からボウル部110へ洗浄水を供給することができる。また、このとき、図6(b)に関して前述したように、開閉弁240は、付勢手段235により排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向に付勢されている。そのため、使用者は、操作部230を保持し、開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くした状態を維持する。
すると、リム吐水口113からボウル部110へ供給される洗浄水の流量は、弁体241の先端部241aと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過する洗浄水の流量よりも多いため、図8(b)に表したように、ボウル部110の内部の水位が上昇する。
なお、使用者は、リム吐水口113からボウル部110への洗浄水の供給を開始した後に、操作部230を操作して開閉弁240により排水ソケット本体210の流路断面積を狭くしてもよい。
続いて、ボウル部110の内部の水位が所定水位まで上昇した後に、使用者は、操作部230を操作することで支持軸243を略中心として開閉弁240を回動させ、排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする。このとき、開閉弁240が付勢手段235により排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向に付勢されているため、使用者は、操作部230から手を離すことで、あるいは操作部230を軽く操作することで、開閉弁240を回動させることができる。すると、図8(c)に表したように、ボウル部110に滞留した大量の洗浄水が排水トラップ部120に流れ込むことで、排水トラップ部120が満水となり、サイホン現象が発生する。
これにより、停電時あっても便器洗浄を行うことができ、良好に汚物等を排水管50へ排出することができる。そのため、使用者は、バケツ等で水を汲む作業を行うことなく、簡単に良好な便器洗浄を行うことができる。
続いて、ボウル部110に滞留した大量の洗浄水が排出され、サイホン現象が終了すると、リム吐水口113からボウル部110へ供給される洗浄水によりボウル部110の内部の水位が上昇する。そして、図8(d)に表したように、ボウル部110の内部の水位が溢流水位まで上昇した後に、使用者は、非常用電源により電磁弁156を動作させ、リム吐水口113からの洗浄水の供給を停止する。これにより、停電時における便器洗浄の動作が完了する。
なお、本実施形態において、開閉弁240を開閉させる手段は、使用者の操作部230の手動操作による手段だけに限定されるわけではない。例えば、非常用電源により駆動可能なモータユニットであって開閉弁240を開閉させるモータユニットなどが設けられていてもよい。
また、開閉弁240を動作させ排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする手段は、使用者の操作部230の手動操作による手段だけに限定されるわけではない。例えば、例えばクラッチ機構などの機械要素が、開閉弁240を動作させ排水ソケット本体210の流路断面を開状態としてもよい。この場合には、クラッチ機構は、滞留した洗浄水の重さにより開閉弁240にかかる荷重が所定値以上となると、開閉弁240を動作させ排水ソケット本体210の流路断面を開状態とすることができる。また、例えば、タイマーが開閉弁240を動作させ排水ソケット本体210の流路断面を開状態としてもよい。このタイマーは、非常用電源により動作するものでもよいし、例えば「ぜんまい」などの機械要素により動作するものでもよい。
また、ボウル部110への洗浄水の給水および止水を実行する手段は、非常用電源により電磁弁156を動作させる手段だけに限定されるわけではない。例えば、使用者の手動操作により電磁弁156の開閉動作が行われてもよい。あるいは、ボウル部110への洗浄水の止水を実行する手段は、タイマーによる手段であってもよい。このタイマーは、非常用電源により動作するものでもよいし、例えば「ぜんまい」などの機械要素により動作するものでもよい。
また、ボウル部110への洗浄水の給水および止水を実行する手段は、電磁弁156だけに限定されるわけではない。例えば、加圧ポンプ173が非常用電源などにより動作し、ジェット吐水口111からボウル部110へ洗浄水を供給してもよい。このとき、加圧ポンプ173の回転数は、供給電力があるときの回転数よりも少なく、ジェット吐水口111から供給される洗浄水の流量は、供給電力があるときの流量よりも少ない。但し、停電時にジェット吐水口111から供給される洗浄水の流量は、弁体241の先端部241aと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過する洗浄水の流量よりも多い。そのため、ボウル部110の内部の水位を上昇させることができる。
次に、他の実施形態の排水ソケットについて、図面を参照しつつ説明する。
図9は、他の実施形態の排水ソケットを表す模式的斜視図である。
図10は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図9(a)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を斜め後方から眺めた模式的斜視図である。図9(b)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を図9(a)に表した矢印A15の方向にみたときの模式的斜視図である。
図10(a)は、本実施形態の水洗大便器10を左側方から眺めた模式的平面図である。図10(b)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を後方から眺めた模試的平面図である。
便器本体100は、図1(a)および図1(b)に関して前述した便器本体100と同様である。
本実施形態の排水ソケット200aは、便器本体100の内部に設けられ、排水トラップ部120の下流端121と、排水管50の上流端と、を接続する。排水ソケット200aは、排水ソケット本体210と、パッキン220と、操作部230aと、駆動ユニット260aと、を有する。パッキン220は、排水ソケット本体210の上端部に設けられ、例えばゴムなどの弾力性を有する材料により形成されている。また、パッキン220は、上下方向に貫通する貫通孔を有する。排水トラップ部120の下流端121は、パッキン220の貫通孔に挿入され保持されている。
操作部230aは、例えばレリースワイヤなどである。すなわち、図9(a)および図9(b)に表した操作部230aは、アウターチューブ231aと、インナーワイヤ233aと、把持部236aと、を有する。インナーワイヤ233aは、アウターチューブ231aの内部を移動自在に設けられている。例えば、使用者が把持部236aを掴み引っ張ると、インナーワイヤ233aは、アウターチューブ231aの内部から引き出される方向へ移動する。
図9(a)〜図10(b)に表したように、操作部230aは、便器本体100の後方へ引き出されている。なお、図9(a)に表した操作部230aは、説明の便宜上、便器本体100の外部へ引き出されている。図9(b)、図10(a)および図10(b)に表したように、操作部230aが便器本体100に取り付けられた状態では、インナーワイヤ233a、アウターチューブ231aおよび把持部236aは、便器本体100の内部において適宜配置されている。例えば、使用者は、便器本体100の側部に取り付けられたパネル101を取り外すことにより、把持部236aをより容易に掴み操作することができる。駆動ユニット260aについては、後に詳述する。
図11は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図12は、本実施形態の排水ソケットの内部を表す模式的断面図である。
図13は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的斜視図である。
図14は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図11(a)は、操作部が操作される前の駆動ユニットの状態を表す模式的平面図である。図11(b)は、操作部が操作された後の駆動ユニットの状態を表す模式的平面図である。
図12(a)および図12(b)は、図13(a)に表した切断面D−Dにおける模式的断面図である。図12(a)は、排水ソケット本体の流路断面が開状態である場合を表す。図12(b)は、排水ソケット本体の流路断面が閉状態である場合を表す。
図13(a)は、排水ソケットを表す模式的斜視図である。図13(b)は、駆動ユニットおよび開閉弁を拡大して表した模式的斜視図である。図13(b)では、排水ソケット本体210を省略している。
図11(a)および図11(b)に表したように、駆動ユニット260aは、排水ソケット本体210の外側に付設されている。駆動ユニット260aは、ケース部材261aと、伝動部材263aと、連結部材265aと、回動軸267aと、付勢手段269a(第2の付勢手段)と、を有する。ケース部材261aは、操作部230aのアウターチューブ231a、伝動部材263a、連結部材265a、回動軸267aおよび付勢手段269aを保持する。
伝動部材263aは、接続部264aにおいて操作部230aのインナーワイヤ233aと連結されている。伝動部材263aは、インナーワイヤ233aの移動に伴いケース部材261aに案内されて移動する。伝動部材263aは、連結部材265aおよび回動軸267aを介して支持軸243にトルクを加える。連結部材265aは、伝動部材263aと回動軸267aとを連結する。連結部材265aは、例えば金属の板材により形成され、弾性を有する。回動軸267aは、ケース部材261aに対して回動自在に軸支され、開閉弁240の支持軸243と接続されている。開閉弁240は、回動軸267aが回動すると、例えば図12(a)に表した矢印A23あるいは図12(b)に表した矢印A24のように回動する。
付勢手段269aとしては、例えばコイルばねなどが挙げられる。図11(a)および図11(b)に表したように、付勢手段269aの一端は、ケース部材261aと接触している。付勢手段269aの他端は、伝動部材263aと接触している。あるいは、付勢手段269aの他端は、伝動部材263aに取り付けられている。
駆動ユニット260aは、操作部230aの操作(例えば把持部236aの引っ張り動作)を回動軸267aの回動動作に変換する。
すなわち、例えば使用者が操作部230aを操作する(例えば把持部236aを引っ張る)前においては、付勢手段269aは、図11(a)に表した矢印A21の方向へ伝動部材263aを付勢している。これにより、連結部材265aは、図11(a)に表した矢印A25の方向へ回動軸267aを回動させている。このとき、図12(a)に表したように、開閉弁240は、開状態に維持されている。言い換えれば、開閉弁240は、排水ソケット本体210の流路断面を開状態としている。つまり、付勢手段269aは、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向へ伝動部材263aを付勢する。
図12(a)に表したように、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態としているときには、弁体241の背面241bと排水ソケット本体210の内側壁211との間に隙間が存在する。これによれば、排水ソケット本体210の流路を流下する水は、弁体241の背面241bと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過できる。そのため、弁体241の背面241bと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間に入り込んだ汚物等を水で洗い流すことができる。これにより、開閉弁240のより安定した回動動作が可能となる。また、良好に汚物等を排水管50へ排出することができる。
例えば使用者が操作部230aを操作する(例えば把持部236aを引っ張る)と、 操作部230aのインナーワイヤ233aは、伝動部材263aを引っ張る。すると、伝動部材263aは、付勢手段269aから受ける付勢力に対抗しつつ、図11(b)に表した矢印A22の方向へ移動する。すると、連結部材265aは、図11(b)に表した矢印A26の方向へ回動軸267aを回動させる。これにより、図12(a)に表した矢印A23のように、開閉弁240は、支持軸243を略中心として下方から上方へ向かって回動する。
そして、図12(b)に表したように、弁体241の一部は、排水ソケット本体210の内側壁211と接触する。一方で、弁体241の他の一部は、排水ソケット本体210の内側壁211と接触しない。つまり、弁体241の他の一部と排水ソケット本体210の内側壁211との間には、隙間が存在する。
具体的には、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を閉状態としているときには、弁体241の先端部241aは、排水ソケット本体210の内側壁211と接触している。一方で、弁体241の周縁部241cと、排水ソケット本体210の内側壁211と、の間には、隙間が存在する。そのため、図12(b)に表した矢印A27のように、排水トラップ部120を通過し排水ソケット本体210に流入した水は、弁体241の周縁部241cと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過し排水管50へ排出される。
これによれば、ボウル部110の外部に洗浄水が溢れることを抑制することができる。また、支持軸243から比較的遠い先端部241aが排水ソケット本体210の内側壁211と接触することで、弁体241と排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間をより容易に制御することができる。
続いて、例えば使用者が操作部230aの把持部236aから手を離すと、あるいは把持部236aを引っ張っていた力を緩めると、伝動部材263aは、付勢手段269aから受ける付勢力により、図11(a)に表した矢印A21の方向へ移動する。すると、連結部材265aは、図11(a)に表した矢印A25の方向へ回動軸267aを回動させる。これにより、図12(b)に表した矢印A24のように、開閉弁240は、支持軸243を略中心として上方から下方へ向かって回動する。そして、図12(a)に表したように、開閉弁240は、排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする。
このように、開閉弁240は、伝動部材263a、連結部材265aおよび回動軸267aを介して付勢手段269aから付勢力を受け、排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向へ付勢されている。そのため、供給電力があるときの通常の便器洗浄において、排水ソケット本体210の流路を流れる洗浄水が受ける抵抗を抑制することができる。これにより、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、汚物等が詰まることを抑えた通常通りの便器洗浄を行うことができる。
本実施形態の排水ソケット200aによれば、操作部230aの引っ張り動作を回動軸267aの回動動作に変換することができる。つまり、駆動ユニット260aは、開閉弁240の支持軸243に効率的にトルクを加えることができる。これにより、使用者は、より容易な操作により、開閉弁240のより安定した回動動作を行うことができる。
前述したように、連結部材265aは、例えば金属の板材により形成され、弾性を有する。つまり、連結部材265aは、板バネの機能を有する。これによれば、連結部材265aは、例えば伝動部材263a、回動軸267aおよび操作部230aが破損することを抑制することができる。
すなわち、使用者は、弁体241の一部が排水ソケット本体210の内側壁211と接触した後でも、把持部236aを引っ張ることができる。すると、駆動ユニット260aおよび操作部230aが有する各部材には寸法公差や寸法誤差などがあるため、各部材は、過度の荷重を受けて破損するおそれがある。
これに対して、連結部材265aは、板バネの機能を有するため、各部材の寸法公差や寸法誤差を吸収することができる。つまり、連結部材265aは、各部材が受ける荷重を緩和することができる。これにより、駆動ユニット260aおよび操作部230aが有する各部材が破損することを抑制することができる。
次に、さらに他の実施形態の排水ソケットについて、図面を参照しつつ説明する。
図15は、さらに他の実施形態の排水ソケットを表す模式的斜視図である。
図16は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図15(a)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を斜め後方から眺めた模式的斜視図である。図15(b)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を図15(a)に表した矢印A16の方向にみたときの模式的斜視図である。
図16(a)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を左側方から眺めた模式的平面図である。図16(b)は、本実施形態にかかる水洗大便器10を後方から眺めた模式的平面図である。
本実施形態の排水ソケット200bは、トイレ室の床面ではなく壁面などに設けられた排水管50へ汚物等を排出する場合に用いられる。
便器本体100は、図1(a)および図1(b)に関して前述した便器本体100と同様である。
本実施形態の排水ソケット200bは、便器本体100の内部に設けられ、排水トラップ部120の下流端121と、排水管50の上流端と、を接続する。排水ソケット200bは、排水ソケット本体210と、パッキン220と、操作部230bと、駆動ユニット260bと、を有する。排水ソケット200bの他の設置形態は、図9(a)〜図10(b)に関して前述した排水ソケット200aの設置形態と同様である。
操作部230bは、例えばレリースワイヤなどである。すなわち、図15(a)および図15(b)に表した操作部230bは、アウターチューブ231bと、インナーワイヤ233bと、把持部236bと、を有する。インナーワイヤ233bは、アウターチューブ231bの内部を移動自在に設けられている。例えば、使用者が把持部236bを掴み引っ張ると、インナーワイヤ233bは、アウターチューブ231bの内部から引き出される方向へ移動する。
図15(a)〜図16(b)に表したように、操作部230bは、便器本体100の後方へ引き出されている。なお、図15(a)に表した操作部230bは、説明の便宜上、便器本体100の外部へ引き出されている。図15(b)、図16(a)および図16(b)に表したように、操作部230bが便器本体100に取り付けられた状態では、インナーワイヤ233b、アウターチューブ231bおよび把持部236bは、便器本体100の内部において適宜配置されている。例えば、使用者は、便器本体100の側部に取り付けられたパネル101を取り外すことにより、把持部236bをより容易に掴み操作することができる。駆動ユニット260bについては、後に詳述する。
図17は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図18は、本実施形態の排水ソケットの内部を表す模式的断面図である。
図19は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的斜視図である。
図20は、本実施形態の排水ソケットを表す模式的平面図である。
図17(a)は、操作部が操作される前の駆動ユニットの状態を表す模式的平面図である。図17(b)は、操作部が操作された後の駆動ユニットの状態を表す模式的平面図である。
図18(a)および図18(b)は、図19(a)に表した切断面E−Eにおける模式的断面図である。図18(a)は、排水ソケット本体の流路断面が開状態である場合を表す。図18(b)は、排水ソケット本体の流路断面が閉状態である場合を表す。
図19(a)は、排水ソケットを表す模式的斜視図である。図19(b)は、駆動ユニットおよび開閉弁を拡大して表した模式的斜視図である。図19(b)では、排水ソケット本体210を省略している。
図17(a)および図17(b)に表したように、駆動ユニット260bは、排水ソケット本体210の外側に付設されている。駆動ユニット260bは、ケース部材261bと、伝動部材263bと、連結部材265bと、回動軸267bと、付勢手段269b(第2の付勢手段)と、を有する。ケース部材261bは、操作部230bのアウターチューブ231b、伝動部材263b、連結部材265b、回動軸267bおよび付勢手段269bを保持する。
伝動部材263bは、接続部264bにおいて操作部230bのインナーワイヤ233bと連結されている。伝動部材263bは、インナーワイヤ233bの移動に伴いケース部材261bに案内されて移動する。伝動部材263bは、連結部材265bおよび回動軸267bを介して支持軸243にトルクを加える。連結部材265bは、伝動部材263bと回動軸267bとを連結する。連結部材265bは、例えば金属の板材により形成され、弾性を有する。回動軸267bは、ケース部材261bに対して回動自在に軸支され、開閉弁240の支持軸243と接続されている。開閉弁240は、回動軸267bが回動すると、例えば図18(a)に表した矢印A33あるいは図18(b)に表した矢印A34のように回動する。
付勢手段269bとしては、例えばコイルばねなどが挙げられる。図17(a)および図17(b)に表したように、付勢手段269bの一端は、ケース部材261bと接触している。付勢手段269bの他端は、伝動部材263bと接触している。あるいは、付勢手段269bの他端は、伝動部材263bに取り付けられている。
駆動ユニット260bは、操作部230bの操作(例えば把持部236bの引っ張り動作)を回動軸267bの回動動作に変換する。
すなわち、例えば使用者が操作部230bを操作する(例えば把持部236bを引っ張る)前においては、付勢手段269bは、図17(a)に表した矢印A31の方向へ伝動部材263bを付勢している。これにより、連結部材265bは、図17(a)に表した矢印A35の方向へ回動軸267bを回動させている。このとき、図18(a)に表したように、開閉弁240は、開状態に維持されている。言い換えれば、開閉弁240は、排水ソケット本体210の流路断面を開状態としている。つまり、付勢手段269bは、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向へ伝動部材263bを付勢する。
例えば使用者が操作部230bを操作する(例えば把持部236bを引っ張る)と、 操作部230bのインナーワイヤ233bは、伝動部材263bを引っ張る。すると、伝動部材263bは、付勢手段269bから受ける付勢力に対抗しつつ、図17(b)に表した矢印A32の方向へ移動する。すると、連結部材265bは、図17(b)に表した矢印A36の方向へ回動軸267bを回動させる。これにより、図18(a)に表した矢印A33のように、開閉弁240は、支持軸243を略中心として下方から上方へ向かって回動する。
そして、図18(b)に表したように、弁体241の一部は、排水ソケット本体210の内側壁211と接触する。一方で、弁体241の他の一部は、排水ソケット本体210の内側壁211と接触しない。つまり、弁体241の他の一部と排水ソケット本体210の内側壁211との間には、隙間が存在する。
具体的には、開閉弁240が排水ソケット本体210の流路断面を閉状態としているときには、弁体241の先端部241aは、排水ソケット本体210の内側壁211と接触している。一方で、弁体241の周縁部241cと、排水ソケット本体210の内側壁211と、の間には、隙間が存在する。そのため、図18(b)に表した矢印A37のように、排水トラップ部120を通過し排水ソケット本体210に流入した水は、弁体241の周縁部241cと排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間を通過し排水管50へ排出される。
これによれば、ボウル部110の外部に洗浄水が溢れることを抑制することができる。また、支持軸243から比較的遠い先端部241aが排水ソケット本体210の内側壁211と接触することで、弁体241と排水ソケット本体210の内側壁211との間の隙間をより容易に制御することができる。
続いて、例えば使用者が操作部230bの把持部236bから手を離すと、あるいは把持部236bを引っ張っていた力を緩めると、伝動部材263bは、付勢手段269bから受ける付勢力により、図17(a)に表した矢印A31の方向へ移動する。すると、連結部材265bは、図17(a)に表した矢印A35の方向へ回動軸267bを回動させる。これにより、図18(b)に表した矢印A34のように、開閉弁240は、支持軸243を略中心として上方から下方へ向かって回動する。そして、図18(a)に表したように、開閉弁240は、排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする。
このように、開閉弁240は、伝動部材263b、連結部材265bおよび回動軸267bを介して付勢手段269bから付勢力を受け、排水ソケット本体210の流路断面を開状態とする方向へ付勢されている。そのため、供給電力があるときの通常の便器洗浄において、排水ソケット本体210の流路を流れる洗浄水が受ける抵抗を抑制することができる。これにより、水洗大便器10の排出性能に影響を与えることなく、汚物等が詰まることを抑えた通常通りの便器洗浄を行うことができる。
本実施形態の排水ソケット200bによれば、操作部230bの引っ張り動作を回動軸267bの回動動作に変換することができる。つまり、駆動ユニット260bは、開閉弁240の支持軸243に効率的にトルクを加えることができる。これにより、使用者は、より容易な操作により、開閉弁240のより安定した回動動作を行うことができる。
前述したように、連結部材265bは、例えば金属の板材により形成され、弾性を有する。つまり、連結部材265bは、板バネの機能を有する。これによれば、図9〜図14に関して前述した排水ソケット200aと同様に、駆動ユニット260aおよび操作部230aが有する各部材が破損することを抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便器本体100および排水ソケット200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや排水ソケット200の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。