本発明に係る便器洗浄装置は、使用者を検知して便器の自動洗浄を行う便器洗浄装置であって、手動で前記便器の洗浄を行う意思洗浄の要求を検知する意思洗浄検知手段と、使用者を検知する使用者検知手段と、便器の洗浄に係る判定を行う便器洗浄判定手段と、を有し、便器洗浄判定手段は、使用者検知手段が前記使用者の検知を開始する検知開始時から使用者検知手段が前記使用者を検知しなくなる検知終了時までの期間である使用者検知期間中に、前記意思洗浄検知手段によって検知された要求に基づく意思洗浄が行われない場合には、前記検知終了時の後に自動洗浄を行うとする第1の判定と、前記検知開始時から第1所定期間が経過した後に前記意思洗浄が行われた場合には、前記検知終了時の後にも自動洗浄を行わないとする第2の判定と、前記第1所定期間中に前記意思洗浄が行われた場合には、前記検知終了時の後に自動洗浄を行うとする第3の判定と、を行うである。これにより、トイレ用擬音装置の代用として意思洗浄が行われた場合であっても、確実に汚物洗浄と節水と実現するものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
[便器洗浄装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の適用例を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の便器洗浄装置1は、便器2への吐水を行うことで便器2を洗浄する。便器洗浄装置1は、給水管3から供給される水を、便器2の洗浄水として、便器2に吐水する。給水管3によって供給される水は、止水栓4を介して流入管5によって便器洗浄装置1に流れ込む。便器洗浄装置1から吐水される洗浄水は、便器2に接続される流出管6により便器2に流れ込む。
図1及び図2に示すように、便器洗浄装置1は、電磁弁11を含む装置本体10と、人体検知センサ12と、コントローラ13と、リモコン装置14とを備える。便器洗浄装置1においては、装置本体10、人体検知センサ12、およびコントローラ13は、略直方体状の外形を有するケーシング15内に設けられる。リモコン装置14は、図1に示すように、例えば便器2が設置される部屋の壁に取り付けられること等により、便器2の使用者(以下単に「使用者」という。)が操作可能な位置に設けられる。
本実施形態の便器洗浄装置1においては、使用者がリモコン装置14において便器洗浄のための操作を行うことによって便器2に洗浄水が吐水される意思洗浄と、意思洗浄が行われなかった場合等に自動的に便器2に洗浄水が吐水される自動洗浄とが行われる。以下、便器洗浄装置1の各部の詳細について説明する。
図2に示すように、装置本体10は、洗浄水の供給を受ける入水口16と、便器2へ吐水される洗浄水の流出口としての出水口17とを有する。入水口16には、給水管3(図1)によって供給される水を便器洗浄装置1に導く流入管5(図1)が接続される。出水口17には、洗浄水を便器2へと導く流出管6(図1)が接続される。
装置本体10においては、給水管3から供給される洗浄水が、流入管5を介して入水口16から流れ込む(矢印A1参照)。入水口16から流れ込んだ洗浄水は、装置本体10内に形成される水の通路を通って、出水口17から流れ出て(矢印A2参照)、流出管6を介して便器2へと供給される。以下の説明では、装置本体10において入水口16と出水口17との間に設けられる洗浄水の通路を「本体内通水路」という。
装置本体10は、ピストンバルブ18を有する。ピストンバルブ18は、本体内通水路において入水口16の下流側に設けられる。ピストンバルブ18は、本体内通水路内において上下方向に移動可能に設けられる。ここで、上下方向とは、便器2が設置される床面に対して略垂直方向、つまり略鉛直方向である。以下の説明では、ピストンバルブ18の移動方向である上下方向を、便器洗浄装置1における上下方向とする。
ピストンバルブ18は、パッキン18aを有する。パッキン18aは、装置本体10においてピストンバルブ18の摺動面として形成される壁面と、ピストンバルブ18の外周面との間をシールする。
装置本体10において、ピストンバルブ18の上側には、背圧室19が設けられている。背圧室19は、ピストンバルブ18の内部に形成される連通路18bを介して入水口16と連通する。ピストンバルブ18の下側には、二次側水路20が設けられている。二次側水路20に流れ込む水は、出水口17から流れ出る。入水口16と二次側水路20とは、ピストンバルブ18が最下端に位置することで非連通状態となり、ピストンバルブ18が最下端の位置から上昇することで連通状態となる。
背圧室19は、バイパス流路21によって二次側水路20に連通する。このバイパス流路21に、電磁弁11が設けられる。電磁弁11は、バイパス流路21の開閉を行う。つまり、電磁弁11の開閉により、バイパス流路21を介する背圧室19と二次側水路20との連通状態・非連通状態が切り換えられる。
このような構成を備える装置本体10においては、次のようにして、便器2への洗浄水の吐水が行われる。電磁弁11が閉じている状態では、給水管3から流入管5を介して入水口16に流れ込む水が、ピストンバルブ18の連通路18bを介して、電磁弁11の上流側の背圧室19に流れ込み、背圧室19内に溜まる。
背圧室19内に水が溜まることにより、背圧室19内の水圧によって背圧室19内の圧力が二次側水路20内の圧力よりも高くなってピストンバルブ18が押し下げられる。これにより、入水口16と二次側水路20との間がピストンバルブ18によって閉じられる(非連通状態となる)。つまり、電磁弁11が閉じている状態においては、入水口16から流れこむ水が電磁弁11とピストンバルブ18とによってせき止められ、出水口17からの吐水は行われない。
このように電磁弁11が閉状態であり、入水口16と二次側水路20との間がピストンバルブ18によって閉じられている状態から、電磁弁11が開状態とされると、背圧室19内の水がバイパス流路21を介して二次側水路20に流れ込む。これにより、背圧室19内の圧力が低下し、入水口16内の水によりパッキン18aが押し上げられることで、ピストンバルブ18が上昇(背圧室19側に移動)する。ピストンバルブ18が上昇することで、入水口16と二次側水路20とが連通状態となり、入水口16に流れ込む水が、二次側水路20へと流れ、出水口17から流れ出て便器2に供給される。
そして、電磁弁11の開弁によって出水口17から水が流れ出ている状態から、電磁弁11が閉じられることで、入水口16から流れ込む水の一部は、ピストンバルブ18の連通路18bから背圧室19に流れ込み、背圧室19に溜まり始める。これにより、背圧室19内の圧力が上昇するとともに二次側水路20内の圧力が低下し、ピストンバルブ18が押し下げられる。そして、最終的には入水口16と二次側水路20との間がピストンバルブ18によって閉じられ、出水口17からの吐水が行われない止水状態となる。
このような電磁弁11の開閉による便器2への洗浄水の吐水においては、電磁弁11の開時間(厳密には励磁時間)の制御により、便器2へ吐水される洗浄水の水量が調整される。したがって、電磁弁11の開時間は、小便洗浄の場合に比べて大便洗浄の場合の方が長い。
このように、本実施形態の便器洗浄装置1においては、装置本体10が有する電磁弁11は、本体内通水路の開閉を行うための開閉弁であり、便器2に吐水される洗浄水の供給通路を開閉する洗浄弁として機能する。電磁弁11の開閉によって、本体内通水路の開閉、つまり便器洗浄装置1の吐水状態と止水状態とが切り換わる。
電磁弁11の開閉動作は、コントローラ13によって制御される。このため、電磁弁11は、コントローラ13に接続される。電磁弁11は、コントローラ13からの制御信号に従って電気的に制御され、バイパス流路21の開閉を行う。電磁弁11によるバイパス流路21の開閉は、上述したような本体内通水路の開閉をともなう。
人体検知センサ12は、使用者を検知する人体検知部として機能する。人体検知センサ12は、使用者の存在を自動で検知する非接触センサである。本実施形態では、人体検知センサ12は、赤外線センサである。このため、人体検知センサ12は、赤外線を発光する発光素子と、発光した赤外線の反射光を受光する受光素子とを有する。
人体検知センサ12は、ケーシング15内において、赤外線を送受する側が使用者の方向を向くように配置される。ケーシング15には、使用者が位置する側の壁面に、人体検知センサ12による赤外線の送受を確保するための検知窓12aが設けられている(図1参照)。
本実施形態では、人体検知センサ12により、便器2の便座2aに着座している使用者の存在の有無が検知される。したがって、便座2aに着座している使用者は、人体検知センサ12の検知範囲内に位置する。そして、人体検知センサ12によれば、使用者が人体検知センサ12の検知範囲内に存在すること、および便座2aに着座している使用者が離座し、人体検知センサ12の検知範囲から出たことが検知される。本実施形態では、使用者が人体検知センサ12の検知範囲から出たことが検知されたことを、使用者の離座が検知されたこととする。
人体検知センサ12は、コントローラ13に接続される。人体検知センサ12から出力される信号が、コントローラ13に入力され、コントローラ13により、使用者の存在・非存在が検知される。
なお、本実施形態では、人体検知センサ12は赤外線センサであるが、使用者を検知する人体検知部としては、赤外線センサのほか、公知の非接触センサや接触センサ等の各種センサを採用することができる。また、使用者を検知する人体検知部は、本実施形態の人体検知センサ12のように、装置本体10等とともにケーシング15に収納されることなく、例えば便座2aに一体的に内蔵される構成等であってもよい。
コントローラ13は、人体検知センサ12からの検知信号を受け、電磁弁11の開閉動作を制御する制御部として機能する。具体的には、コントローラ13は、人体検知センサ12から出力される信号や、リモコン装置14における操作等に基づいて、電磁弁11の動作を制御する。このため、コントローラ13には、人体検知センサ12からの検知信号、およびリモコン装置14からの操作信号が入力される。また、コントローラ13からは、電磁弁11に対する制御信号が出力される。
コントローラ13は、データ通信用のバス等により互いに接続されるCPU(Central Processing Unit)やメモリや入出力インターフェイス等の各種機能部分を有する。コントローラ13は、入出力インターフェイスとして、人体検知センサ12およびリモコン装置14からの入力信号を受けるための入力インターフェイス、ならびに電磁弁11に対する制御信号を出力するための出力インターフェイスを有する。
コントローラ13は、制御プログラムや後述するような自動洗浄についての制御に用いられる各種データ等を記憶する記憶部13aを有する。記憶部13aは、例えばCPUに接続されるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等により構成される。コントローラ13が有するCPUは、制御プログラム等に従って所定の演算を行う演算部として機能する。なお、コントローラ13は、図示せぬACアダプタを介して電力の供給を受ける。
リモコン装置14は、コントローラ13に電磁弁11の開閉動作を制御するための操作信号を供給する操作部として機能する。具体的には、リモコン装置14は、コントローラ13に供給する操作信号として、赤外線信号を発信する。このため、リモコン装置14は、赤外線信号を発信する発信部22を有する。本実施形態では、リモコン装置14は、図1に示すように、矩形厚板状の外形を有し、設置された状態で上側となる両側の角部の2箇所に、発信部22が設けられている。
一方、図2に示すように、装置本体10においては、リモコン装置14の発信部22から発信された赤外線信号を受信する受信部23が設けられる。受信部23は、コントローラ13に接続され、受信部23により受信された赤外線信号は、電気信号に変換される等してコントローラ13に入力される。
リモコン装置14は、便器洗浄、つまり便器2への洗浄水の吐水を行うための操作スイッチとして、洗浄スイッチ24を有する。洗浄スイッチ24が使用者等によって操作されることで、上述したように電磁弁11が開いて便器洗浄装置1が吐水状態となり、入水口16から便器2への洗浄水の吐水が行われる。本実施形態では、洗浄スイッチ24は、大便洗浄用のスイッチとする。ただし、図示は省略するが、リモコン装置14は、例えば小便洗浄用のスイッチ等、他の操作スイッチも有する。
リモコン装置14は、駆動電力の供給を受けるための電池を内蔵する。ただし、リモコン装置14の駆動電力は、便器洗浄装置1の外部に設けられる電源から供給されてもよい。また、本実施形態では、リモコン装置14からコントローラ13に供給される操作信号は、赤外線信号であるが、この方式に限定されない。リモコン装置14からの操作信号としては、例えば、他の波長の電磁波を利用した信号や、超音波を利用した信号や、有線方式により送信される信号等であってもよい。
続いて、本実施形態の便器洗浄装置1によって実現される各機能について説明する。
[便器洗浄装置の機能構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の機能構成を示すブロック図である。なお、図3では、前述と同様の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
図3に示すように、便器洗浄装置1は、便器洗浄制御装置100、意思洗浄検知装置200を有する構成である。
便器洗浄制御装置100は、便器洗浄判定手段110、便器洗浄手段120、使用者検知判定手段130、使用者検知手段140を有し、便器2(図1参照)の洗浄に係る各種制御を行う。
便器洗浄判定手段110は、後述する使用者検知判定手段130による判定結果や意思洗浄検知判定手段210による判定結果に基づいて、便器2の自動洗浄を行うか又は意思洗浄を行うか等の便器2の洗浄に係る判定を行う。具体的な判定方法については図4や図6を用いて後述する。この便器洗浄判定手段110は、例えば図2のコントローラ13によって実現される。
便器洗浄手段120は、便器洗浄判定手段110によって便器2の洗浄を行うと判定された場合に、便器2の洗浄を行う。この便器洗浄手段120は、例えば図2の電磁弁11である。
使用者検知判定手段130は、後述する使用者検知手段140による検知結果に基づいて、使用者を検知したか否か、すなわち使用者の検知・非検知を判定する。この使用者検知判定手段130は、例えば図2のコントローラ13によって実現される。
使用者検知手段140は、便座2a(図1参照)に着座している使用者の存在の有無を検知する。この使用者検知手段140は、例えば図2の人体検知センサ12によって実現される。
一方、意思洗浄検知装置200は、意思洗浄検知判定手段210、意思洗浄検知手段220を有する。
意思洗浄検知装置200は、使用者による意思洗浄の要求を検知する装置である。この意思洗浄検知装置200は、例えば図1や図2のリモコン装置14である。使用者はリモコン装置14を用いて便器を意思洗浄するための操作を行う。
意思洗浄検知判定手段210は、後述する意思洗浄検知手段220による検知結果に基づいて、意思洗浄の要求を検知したか否かを判定し、判定結果を便器洗浄判定手段110に送信する。この意思洗浄検知判定手段210は、例えばリモコン装置14に組み込まれた回路等によって実現される。
意思洗浄検知手段220は、手動で便器2の洗浄を行う意思洗浄の要求を検知する。この意思洗浄検知手段220は、例えば図2の洗浄スイッチ24によって実現される。
以上に示す機能構成により、本実施形態の便器洗浄装置1では、意思洗浄検知装置200が使用者による便器洗浄のための操作を検知することによって便器2に洗浄水が吐水される意思洗浄と、使用者検知手段140が使用者を検知して自動的に便器2に洗浄水が吐水される自動洗浄とが行われる。
以下、本実施形態の便器洗浄装置1において行われる具体的な制御内容について、適宜図3を参照しながら説明する。
[便器洗浄装置1の第一制御ロジック]
図4は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の第一制御ロジックを示すフローチャートである。図5は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の第一制御ロジック実行時のタイムチャートである。ここでは、本実施形態に係る便器洗浄装置1の動作の第一の例について説明する。
まずステップ1及びステップ2において、便器洗浄装置1は、初期設定として、意思洗浄ありフラグをクリアし(S1)、自動洗浄確定フラグをクリアする(S2)。
これら意思洗浄ありフラグ及び自動洗浄確定フラグは、コントローラ13の記憶部13a(図2参照)に記録される変数データである。意思洗浄ありフラグは、意思洗浄が行われた場合にTrue(1)がセットされ、フラグがクリアされた場合にFalse(0)がセットされる。一方、自動洗浄確定フラグは、自動洗浄を行うことが確定した場合にTrue(1)がセットされ、フラグがクリアされた場合にFalse(0)がセットされる。便器洗浄判定手段110(図3参照)が、これらのフラグのセット及びクリアを行う。
その後ステップ3において、便器洗浄装置1は、使用者が検知されたか否かを判定する(S3)。ここでは、使用者検知判定手段130が使用者検知手段140による検知結果に基づいて、使用者が検知されたか否かを判定する。
便器洗浄装置1は、使用者が検知されていないと判定した場合(S3でNO)、ステップ3に戻って処理を繰り返す。一方、使用者が検知されたと判定した場合(S3でYES)、ステップ4に進む。なお、ステップ3でYESの場合が図5の時刻t0に相当し、使用者が非検知から検知になる。
ステップ4に進むと、便器洗浄装置1は、タイマT1、(T1+T2)をセットする(S4)。ここでは、便器洗浄判定手段110(図3参照)が、タイマT1、(T1+T2)をセットするとともに、セットされたT1、(T1+T2)の時間計測を開始する。
なお、ステップ4におけるT1とは、自動洗浄を行うか否かを確定するための閾値となる時間(以下、「自動洗浄確定時間T1」ともいう。)である。使用者検知手段140が使用者の検知を開始する検知開始時(図5の時刻t0)から使用者検知手段140が使用者を検知しなくなる検知終了時(図5の時刻t14)までの期間である使用者検知期間(図5の時刻t0〜t14)が、自動洗浄確定時間T1よりも長い場合には、便器洗浄装置1は、原則的に検知終了時の後に自動洗浄を行う。一方、使用者検知期間が自動洗浄確定時間T1よりも短い場合には、便器洗浄装置1は検知終了時の後に自動洗浄を行わない。自動洗浄確定時間T1には、例えば10秒がセットされる。なお、自動洗浄確定時間T1は特許請求の範囲における「所定期間」に相当する。
一方、ステップ4における(T1+T2)とは、後述するステップ8で実行される意思洗浄が、音姫(トイレ用擬音装置)の代用であるか汚物洗浄目的かを識別するための閾値となる時間(以下、「音姫閾値時間(T1+T2)」ともいう。)である。検知開始時から自動洗浄確定時間T1が経過した時(図5の時刻t11)から音姫閾値時間(T1+T2)が経過する時(図5の時刻t13)までの間に意思洗浄が行われた場合には、便器洗浄装置1は、当該意思洗浄が音姫の代用として行われたものとみなして、別途自動洗浄を行う。一方、音姫閾値時間(T1+T2)が経過する時(図5の時刻t13)の後に意思洗浄が行われた場合には、便器洗浄装置1は、当該意思洗浄が汚物洗浄目的であると判定し、検知終了時の後に自動洗浄を行わない。T2には、例えば30秒がセットされる。すなわち、音姫閾値時間(T1+T2)には、例えば10+30=40秒がセットされる。なお、音姫閾値時間(T1+T2)は特許請求の範囲における「第1所定期間」に相当する。
ステップ5に進むと、便器洗浄装置1は、自動洗浄確定時間T1が経過したか否かを判定する(S5)。自動洗浄確定時間T1が経過したと判定した場合(S5でYES)、自動洗浄確定フラグをセットする(S6)。なお、ステップ5でYESの場合が図5に示す時刻t11に相当する。
一方、便器洗浄装置1は、自動洗浄確定時間T1が経過していないと判定した場合(S5でNO)、何も処理を行わずにステップ7に進む。便器洗浄判定手段110(図3参照)が、これらステップ5、6の処理を行う。
ステップ7に進むと、便器洗浄装置1は、意思洗浄要求があったか否かを判定する(S7)。ここでは、意思洗浄検知判定手段210が意思洗浄検知手段220による検知結果に基づいて、意思洗浄の要求があったか否かを判定する。
便器洗浄装置1は、意思洗浄の要求があったと判定した場合(S7でYES)、意思洗浄を実行する(S8)。ステップ8では、便器洗浄判定手段110が、意思洗浄検知判定手段210の意思洗浄の要求があったという判定に基づいて、便器2の洗浄を行うと判定する。その後、便器洗浄手段120が便器2の洗浄を行う。なお、このステップ8が例えば図5に示す時刻t12に相当する。
その後ステップ9において、便器洗浄装置1は、音姫閾値時間(T1+T2)が経過したか否かを判定する(S9)。音姫閾値時間(T1+T2)が経過したと判定した場合(S9でYES)、意思洗浄ありフラグをセットする(S10)。一方、意思洗浄要求がなかったと判定した場合(S7でNO)、又は、意思洗浄が行われた場合であっても、音姫閾値時間(T1+T2)が経過していないと判定した場合(S9でNO)、何も処理を行わずにステップ11に進む。便器洗浄判定手段110(図3参照)が、これらステップ7〜10の処理を行う。
以上のように、便器洗浄装置1は、検知開始時から検知終了時までの期間である使用者検知期間中(図5の時刻t0〜t14)に意思洗浄が行われない場合(S7でNO)、意思洗浄ありフラグをセットしない。これにより、検知終了時の後に自動洗浄を行う(S13でNO)という判定をしている(第1の判定)。
また便器洗浄装置1は、音姫閾値時間(T1+T2)が経過した後に意思洗浄が行われた場合(S9でYES)、当該意思洗浄が汚物洗浄目的であると判定し、意思洗浄ありフラグをセットする。これにより、検知終了時の後には自動洗浄を行わない(S13でYES)という判定をしている(第2の判定)。
さらに便器洗浄装置1は、音姫閾値時間(T1+T2)が経過する前に意思洗浄が行われた場合(S9でNO)、当該意思洗浄が音姫の代用として行われたものとみなして、意思洗浄ありフラグをセットしない。これにより、検知終了時の後に自動洗浄を行う(S13でNO)という判定をしている(第3の判定)。
以上の第1の判定〜第3の判定に示すように、便器洗浄装置1は、使用者の検知開始時から意思洗浄が行われるまでの期間を計測することによって、意思洗浄が***音等を隠蔽する等の汚物洗浄以外の目的か否かを識別した上で、自動洗浄の要否を判定している。そのため、確実な汚物洗浄と節水とを両立することができる。
ステップ11に進むと、便器洗浄装置1は、使用者が非検知であるか否かを判定する(S11)。ここでは、使用者検知判定手段130が使用者検知手段140による検知結果に基づいて、使用者が非検知であるか否かを判定する。
便器洗浄装置1は、使用者が非検知ではない、すなわち使用者が検知されていると判定した場合(S11でNO)、ステップ5に戻って処理を繰り返す。一方、使用者が非検知であると判定した場合(S11でYES)、ステップ12に進んで、自動洗浄確定フラグがセットされているか否かを判定する(S12)。なお、ステップ11でYESの場合が図5に示す時刻t14に相当し、使用者が検知から非検知になる。
便器洗浄装置1は、自動洗浄確定フラグがセットされていると判定した場合(S12でYES)、ステップ13に進んで、意思洗浄ありフラグがセットされているか否かを判定する(S13)。意思洗浄ありフラグがセットされていない場合(S13でNO)、自動洗浄を実行し(S14)、再びステップ1に戻る。ステップ14では、便器洗浄判定手段110が、自動洗浄確定フラグがセットされていることに基づいて、便器2の洗浄を行うと判定する。その後、便器洗浄手段120が便器2の洗浄を行う。なお、このステップ14が図5に示す時刻t15に相当する。
一方、便器洗浄装置1は、自動洗浄確定フラグがセットされていないと判定した場合(S12でNO)又は意思洗浄ありフラグがセットされていると判定した場合(S13でYES)、自動洗浄を行うことなく再びステップ1に戻る。
以上、図4及び図5を用いて便器洗浄装置1の第一制御ロジック実行時の動作について説明してきた。このように便器洗浄装置1は、検知開始時から自動洗浄確定時間T1が経過した時(図5の時刻t11)から、音姫閾値時間(T1+T2)が経過する時(図5の時刻t13)までの間に意思洗浄が行われたか否かに応じて、実行された意思洗浄が音姫を代用とするものか又は汚物洗浄を目的としているかを識別し、自動洗浄を行うか否かを判定している。具体的には、実行された意思洗浄が音姫を代用とするものとみなした場合にのみ、自動洗浄を行うと判定する。そのため、確実な汚物洗浄と節水とを両立することができる。
また、ステップ5でNO且つステップ11でYESの場合、すなわち使用者検知期間が自動洗浄確定時間T1よりも短い場合には、便器洗浄装置1は、検知終了時の後に自動洗浄を行わない。このように、使用者の検知開始時から検知終了時までの使用者検知期間の長さを判断基準として、自動洗浄を行うか否かを判定している。そのため、自動洗浄確定時間T1が音姫閾値時間(T1+T2)よりも大幅に短く設定される等の場合であっても、不要な洗浄を防ぎ、節水を図ることができる。
[便器洗浄装置1の第二制御ロジック]
図6は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の第二制御ロジックを示すフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態に係る便器洗浄装置の第二制御ロジック実行時のタイムチャートである。ここでは、本実施形態に係る便器洗浄装置1の動作の第二の例について説明する。
なお、以下の説明において、前述の第一制御ロジックと同様の処理については同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
ステップ3において使用者が検知されたと判定した場合(S3でYES)、ステップ24に進んで、便器洗浄装置1は、意思洗浄要求があったか否かを判定する(S24)。ここでは、意思洗浄検知判定手段210が意思洗浄検知手段220による検知結果に基づいて、意思洗浄の要求があったか否かを判定する。
便器洗浄装置1は、意思洗浄の要求があったと判定した場合(S24でYES)、意思洗浄を実行する(S25)。ステップ25では、便器洗浄判定手段110が、意思洗浄検知判定手段210の意思洗浄の要求があったという判定に基づいて、便器2の洗浄を行うと判定する。その後、便器洗浄手段120が便器2の洗浄を行う。なお、このステップ25が図7に示す時刻t21〜t22に相当する。
その後ステップ26に進んで、便器洗浄装置1は、意思洗浄ありフラグをセットし(S26)、自動洗浄確定フラグをクリアし(S27)、タイマT3をセットする(S28)。便器洗浄判定手段110(図3参照)が、これらステップ26〜28の処理を行う。特にステップ28では、タイマT3をセットするとともに、セットされたT3の時間計測を開始する。
なお、ステップ28におけるT3とは、ステップ25で実行された意思洗浄が汚物洗浄目的か否かを識別するための閾値となる時間である。最後に意思洗浄が実行されてから使用者が非検知になる検知終了時までの間(図7の時刻t22〜t23)がT3以上の場合には、便器洗浄装置1は、最後に実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的とするものではないと判定し、検知終了時の後に自動洗浄を行う。時刻t22〜t23がT3より短い場合には、便器洗浄装置1は、最後に実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的とするものであると判定し、検知終了時の後に自動洗浄を行わない。T3には、例えば30秒がセットされる。なお、このタイマT3は特許請求の範囲における「第2所定期間」に相当する。
一方、ステップ24において、便器洗浄装置1は、意思洗浄の要求がなかったと判定した場合(S24でNO)、これらステップ25〜28を実行せずにステップ29に進む。
ステップ29に進むと、便器洗浄装置1は、意思洗浄ありフラグがセットされたか否かを判定する(S29)。また、意思洗浄ありフラグがセットされている場合(S29でYES)、T3が経過したか否かを判定する(S30)。
便器洗浄装置1は、意思洗浄ありフラグがセットされ、T3の時間が経過したと判定した場合(S29でYES且つS30でYES)、又は、意思洗浄ありフラグがセットされていない場合(S29でNO)、自動洗浄確定フラグをセットする(S31)。一方、意思洗浄ありフラグがセットされ、且つ、T3の時間が経過していない場合(S29でYES且つS30でNO)、何も処理を行わずにステップ32に進む。便器洗浄判定手段110(図3参照)が、これらステップ29〜31の処理を行う。
以上に示すステップ29〜31の処理により、便器洗浄装置1は、少なくとも一度の意思洗浄が実行され、最後の意思洗浄が実行されてからT3以上の時間が経過した場合(S29でYES且つS30でYES)、最後に実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的とするものではないと判定し、自動洗浄を行うために自動洗浄確定フラグをセットしている(S31)。また、意思洗浄が一度も実行されていない場合(S29でNO)、自動洗浄を行うために自動洗浄確定フラグをセットしている(S31)。一方、意思洗浄が実行されたものの、最後の意思洗浄が実行されてからT3の時間が経過していない場合(S30でNO)、最後に実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的とするものであると判定し、自動洗浄を行わないため、自動洗浄確定フラグをクリアした状態を維持する。
このように便器洗浄装置1は、意思洗浄が実行されてから使用者が非検知になる検知終了時までの期間がT3以上か否かを判定することによって、実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的としているか否かを識別している。そのため、確実な汚物洗浄と節水とを両立することができる。
その後ステップ32において、便器洗浄装置1は、使用者が非検知であるか否かを判定する(S32)。ここでは、使用者検知判定手段130が使用者検知手段140による検知結果に基づいて、使用者が非検知であるか否かを判定する。
便器洗浄装置1は、使用者が非検知ではない、すなわち使用者が検知されていると判定した場合(S32でNO)、ステップ24に戻って処理を繰り返す。一方、使用者が非検知であると判定した場合(S32でYES)、ステップ33に進んで、自動洗浄確定フラグがセットされているか否かを判定する(S33)。なお、ステップ32でYESの場合が図7に示す時刻t23に相当し、使用者が検知から非検知になる。
便器洗浄装置1は、自動洗浄確定フラグがセットされていると判定した場合(S33でYES)、ステップ34に進んで、自動洗浄を実行し(S34)、再びステップ1に戻る。ステップ34では、便器洗浄判定手段110が、自動洗浄確定フラグがセットされていることに基づいて、便器2の洗浄を行うと判定する。その後、便器洗浄手段120が便器2の洗浄を行う。なお、このステップ34が図7に示す時刻t24に相当する。
一方、便器洗浄装置1は、自動洗浄確定フラグがセットされていないと判定した場合(S33でNO)、自動洗浄を行うことなく再びステップ1に戻る。
以上、図6及び図7を用いて便器洗浄装置1の第二制御ロジック実行時の動作について説明してきた。このように便器洗浄装置1は、最後に意思洗浄が実行されてから使用者が非検知となるまでの時間に応じて、実行された意思洗浄が汚物洗浄を目的としているか否かを識別し、自動洗浄を行うか否かを判定している。そのため、確実な汚物洗浄と節水とを両立することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、上記の第一制御ロジックと第二制御ロジックとを組み合わせることにより、便器洗浄装置1(便器洗浄判定手段110)は、第1の制御ロジックの第3の判定(S9でNO)を行った場合において、第二の制御ロジックのステップ28〜34の処理を行ってもよい。この場合、意思洗浄から検知終了時までの間がT3以上の場合は自動洗浄を行い、意思洗浄から検知終了時までの間がT3より短い場合は自動洗浄を行わない、と判定する(S30)。このように意思洗浄を行ってから使用者が非検知となるまでの期間を計測することによって、意思洗浄が汚物洗浄目的か否かを識別した上で、自動洗浄の要否を判定している。そのため、確実な汚物洗浄と節水とを両立することができる。