[1]部材の説明
図1〜図5を参照して、本実施形態に係るデッキ構造1(図8〜図10参照)の施工法で用いる部材を説明する。図1は脚部材11、図2は第1フレームユニット21、図3は第2フレームユニット31、図4は第1床板ユニット41、図5は第2床板ユニット51を示している。
<脚部材>
図1に示すように、脚部材11は、施工地盤G(図6参照)と接する基部11aと、第1フレームユニット21(図2参照)、第2フレームユニット31(図3参照)、第1床板ユニット41の台部材43(図4参照)、および第2床板ユニット51の台部材53(図5参照)を支持する支持部11bとを含んでいる。基部11aおよび支持部11bは樹脂製である。
支持部11bは、基部11aに対して螺合しており、回転することにより高さ調節が可能に構成されている。支持部11bは、正方形状の支持面を有し、支持面に複数(図例では8つ)の係合孔11cが形成されている。係合孔11cに係合ピン11dが着脱自在に取り付けられる。取り付けられた係合ピン11dは支持面から上方に立設される。必ずしも常に全ての係合孔11cに係合ピン11dが取り付けられるわけではなく、脚部材11の配置場所に応じて必要な箇所の係合ピン11dのみが取り付けられる。係合ピン11dは、第1フレームユニット21、第2フレームユニット31、第1床板ユニット41の台部材43、および第2床板ユニット51の台部材53を脚部材11に固定するためのものである。
この脚部材11を複数準備する工程は、後述する「[2]デッキ構造の施工法」における<脚部材準備工程>である。
<第1フレームユニット>
図2に示すように、第1フレームユニット21は、相互に平行に延びる一対の第1フレーム部材21aと、第1フレーム部材21aと直交し、第1フレーム部材21a同士を連結する複数(図例では3つ)の第2フレーム部材21bとを含んでいる。
フレーム部材21a,21bは、樹脂製の長尺部材であり、断面形状がロ字状の平断面構造を持った剛性部材である。第2フレーム部材21bは、第1フレーム部材21aの一方の端部(図面において左の端部)と、その端部から他方の端部に向かって第1フレーム部材21aの全長の3分の1の距離だけ離間した部位と、その部位からさらに他方の端部に向かって第1フレーム部材21aの全長の3分の1の距離だけ離間した部位とに配置されている。
第1フレーム部材21aと第2フレーム部材21bとで囲まれる四角形状の領域を第1領域R1とする。第1フレームユニット21は、単独で2つの第1領域R1を有している。
第1フレームユニット21の開いた端部(図面において右の端部)に、例えば他の第1フレームユニット21の閉じた端部が当接すると、第1フレームユニット21は他の第1フレームユニット21と協働して3つ目の第1領域R1を持つことになる(図7の符号R1参照)。
図2(a)に「・」で示すように、第1フレーム部材21aの両端部および第1フレーム部材21aにおける第2フレーム部材21bとの連結部の近傍には、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている。なお、図2(a)の「・」は小径の孔の位置を示すものであり、実際には小径の孔は第1フレーム部材21aの裏面に形成されている。
この第1フレームユニット21を準備する工程は、後述する「[2]デッキ構造の施工法」における<第1フレームユニット準備工程>である。
<第2フレームユニット>
図3に示すように、第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと、第3フレーム部材31aと直交し、第3フレーム部材31aから相互に平行に延びる複数(図例では3つ)の第4フレーム部材31bとを含んでいる。
図2(a)に示す第1フレームユニット21の全幅(=第2フレーム部材21bの長さ+第1フレーム部材21aの幅×2)と、図3(a)に示す第2フレームユニット31の全幅(=第4フレーム部材31bの長さ+第3フレーム部材31aの幅)とは、相互に同じ長さに設定されている。第4フレーム部材31bの長さは、第2フレーム部材21bの長さよりも、第1フレーム部材21aの幅の分だけ長く設定されている。第3フレーム部材31aの長さは、第1フレーム部材21aの長さと、同じ長さに設定されている。
フレーム部材31a,31bは、樹脂製の長尺部材であり、断面形状がロ字状の平断面構造を持った剛性部材である。第4フレーム部材31bは、第3フレーム部材31aの一方の端部(図面において左の端部)と、その端部から他方の端部に向かって第3フレーム部材31aの全長の3分の1の距離だけ離間した部位と、その部位からさらに他方の端部に向かって第3フレーム部材31aの全長の3分の1の距離だけ離間した部位とに配置されている。
前述のように(図2参照)、第1フレームユニット21は、一対の第1フレーム部材21aと3つの第2フレーム部材21bとにより四角形状に組まれており、単独で2つの第1領域R1を有しているが、この第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと3つの第4フレーム部材31bとにより四角形状の1辺(図面において下の辺)が開いている。
第2フレームユニット31の開いた辺(図面において下の辺)に、例えば第1フレームユニット21の第1フレーム部材21aが当接すると、第2フレームユニット31は第1フレームユニット21と協働して2つの第2領域R2(第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bと第1フレーム部材21aとで囲まれる四角形状の領域をいう)を持つことになる(図7の符号R2参照)。
さらに、この状態で、第2フレームユニット31の開いた端部(図面において右の端部)に、例えば他の第2フレームユニット31の閉じた端部が当接すると、第2フレームユニット31は他の第2フレームユニット31と協働して3つ目の第2領域R2を持つことになる(図7の符号R2参照)。
第2フレームユニット31の開いた辺(図面において下の辺)に、他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aが当接すると、第2フレームユニット31は他の第2フレームユニット31と協働して2つの第3領域R3(第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bと他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aとで囲まれる四角形状の領域をいう)を持つことになる(図7の符号R3参照)。
さらに、この状態で、第2フレームユニット31の開いた端部(図面において右の端部)に、例えば他の第2フレームユニット31の閉じた端部が当接すると、第2フレームユニット31は他の第2フレームユニット31と協働して3つ目の第3領域R3を持つことになる(図7の符号R3参照)。
図3(a)に「・」で示すように、第3フレーム部材31aの両端部および第3フレーム部材31aにおける第4フレーム部材31bとの連結部の近傍には、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている。なお、図3(a)の「・」は小径の孔の位置を示すものであり、実際には小径の孔は第3フレーム部材31aの裏面に形成されている。
この第2フレームユニット31を準備する工程は、後述する「[2]デッキ構造の施工法」における<第2フレームユニット準備工程>である。
<第1床板ユニット>
図4に示すように、第1床板ユニット41は、平板状の床板部材42と、床板部材42の裏面に設けられた所定長さおよび所定高さの台部材43とを含んでいる。床板部材42および台部材43は樹脂製である。
床板部材42は、3つの長方形状の床板構成部材42aが連結されて平面視で略正方形状に形成されている。床板部材42は、上記第1領域R1を覆うことが可能な面積を有している。すなわち、床板部材42の縦の長さ(3つの床板構成部材42aの連結方向の長さ)は、図2(a)に示す第1フレームユニット21の全幅(=第2フレーム部材21bの長さ+第1フレーム部材21aの幅×2)と略同じ長さに設定されている。また、床板部材42の横の長さ(床板構成部材42aの長手方向の長さ)は、図2(a)に示す第1フレームユニット21の第2フレーム部材21b間の間隔(ピッチ)と略同じ長さに設定されている。もっとも、本実施形態では、床板部材42は略正方形状に形成されているので、床板部材42の縦の長さと横の長さとは略等しい。
台部材43は、所定長さを有する長尺部材であり、断面形状が矩形の四角柱状である。台部材43は、床板部材42の縦の長さ方向に延びるように配置されて、床板部材42の裏面にビスで固定されている。具体的に、相互に平行に配置された一対の台部材43が所定の間隔を空けて床板部材42の裏面に組み付けられている。
台部材43の長さは、第2フレーム部材21bの長さと同じか若干短い長さに設定されている。一対の台部材43の外側の側面間の長さは、相互に隣接する第2フレーム部材21bの対向面間の間隔と同じか若干短い長さに設定されている。この第1床板ユニット41は、第1フレームユニット21への配置に適している。つまり、第1床板ユニット41を第1フレームユニット21に配置すると、台部材43の長さが第2フレーム部材21bの長さと略同じであるため、その配置にガタツキが生じない。これに対し、第1床板ユニット41を第2フレームユニット31に配置すると、台部材43の長さが第4フレーム部材31bの長さよりも短いため、その配置にガタツキが生じる。
台部材43の高さは、第1フレーム部材21aや第2フレーム部材21bの高さと同じか若干高い高さに設定されている。
図4(a)に「・」で示すように、台部材43の両端部には、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている。なお、図4(a)の「・」は小径の孔の位置を示すものであり、実際には小径の孔は台部材43の裏面に形成されている。
この第1床板ユニット41を準備する工程は、後述する「[2]デッキ構造の施工法」における<第1床板ユニット準備工程>である。
<第2床板ユニット>
図5に示すように、第2床板ユニット51は、平板状の床板部材52と、床板部材52の裏面に設けられた所定長さおよび所定高さの台部材53とを含んでいる。床板部材52および台部材53は樹脂製である。
床板部材52は、3つの長方形状の床板構成部材52aが連結されて平面視で略正方形状に形成されている。床板部材52は、上記第2領域R2および第3領域R3を覆うことが可能な面積を有している。すなわち、床板部材52の縦の長さ(3つの床板構成部材52aの連結方向の長さ)は、図3(a)に示す第2フレームユニット31の全幅(=第4フレーム部材31bの長さ+第3フレーム部材31aの幅)と略同じ長さに設定されている。また、床板部材52の横の長さ(床板構成部材52aの長手方向の長さ)は、図3(a)に示す第2フレームユニット31の第4フレーム部材31b間の間隔(ピッチ)と略同じ長さに設定されている。もっとも、本実施形態では、床板部材52は略正方形状に形成されているので、床板部材52の縦の長さと横の長さとは略等しい。
台部材53は、所定長さを有する長尺部材であり、断面形状が矩形の四角柱状である。台部材53は、床板部材52の縦の長さ方向に延びるように配置されて、床板部材52の裏面にビスで固定されている。具体的に、相互に平行に配置された一対の台部材53が所定の間隔を空けて床板部材52の裏面に組み付けられている。
台部材53の長さは、第4フレーム部材31bの長さと同じか若干短い長さに設定されている。一対の台部材53の外側の側面間の長さは、相互に隣接する第4フレーム部材31bの対向面間の間隔と同じか若干短い長さに設定されている。この第2床板ユニット51は、第2フレームユニット31への配置に適している。つまり、第2床板ユニット51を第2フレームユニット31に配置すると、台部材53の長さが第4フレーム部材31bの長さと略同じであるため、その配置にガタツキが生じない。これに対し、第2床板ユニット51を第1フレームユニット21に配置しようとしても、台部材53の長さが第2フレーム部材21bの長さよりも長いため、配置することができない。
台部材53の高さは、第3フレーム部材31aや第4フレーム部材31bの高さと同じか若干高い高さに設定されている。
図5(a)に「・」で示すように、台部材53の両端部には、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている。なお、図5(a)の「・」は小径の孔の位置を示すものであり、実際には小径の孔は台部材53の裏面に形成されている。
この第2床板ユニット51を準備する工程は、後述する「[2]デッキ構造の施工法」における<第2床板ユニット準備工程>である。
[2]デッキ構造の施工法
図6〜図10を参照して、本実施形態に係るデッキ構造1の施工法を説明する。ただし、前述した<脚部材準備工程>、<第1フレームユニット準備工程>、<第2フレームユニット準備工程>、<第1床板ユニット準備工程>、および<第2床板ユニット準備工程>は説明を省略する。
<脚部材並置工程>
まず、図6に示すように、施工地盤Gの上に複数の脚部材11を並置する。本実施形態では、28個の脚部材11が4列×7段に並置される。図面上、横方向に延びる並びを列、縦方向に延びる並びを段という。そして、図面上、下から上に向かって順に第1列、第2列…、左から右に向かって順に第1段、第2段…とする。
脚部材11は正方形状の支持面を上方に向けて略等間隔に縦横に並べられる。第1フレームユニット21、第2フレームユニット31、第1床板ユニット41の台部材43、および第2床板ユニット51の台部材53を脚部材11に固定するため、支持面に形成された8つの係合孔11c(図6の「・」参照)のうちのいくつかに係合ピン11dが取り付けられている。取り付けられた係合ピン11dは支持面から上方に立設されている。
<フレームユニット配置工程>
次に、図6および図7に示すように、脚部材11の支持面の上に第1フレームユニット21および第2フレームユニット31を載置する。本実施形態では、6つのフレームユニット21,31が3列×2段に載置される。
具体的に、第1列・第1〜4段の脚部材11と第2列・第1〜4段の脚部材11とに第1列・第1段のフレームユニットとして1つ目の第1フレームユニット21が載置され、第1列・第4〜7段の脚部材11と第2列・第4〜7段の脚部材11とに第1列・第2段のフレームユニットとして2つ目の第1フレームユニット21が載置される。
同様に、第2列・第1〜4段の脚部材11と第3列・第1〜4段の脚部材11とに第2列・第1段のフレームユニットとして1つ目の第2フレームユニット31が載置され、第2列・第4〜7段の脚部材11と第3列・第4〜7段の脚部材11とに第2列・第2段のフレームユニットとして2つ目の第2フレームユニット31が載置される。
さらに、第3列・第1〜4段の脚部材11と第4列・第1〜4段の脚部材11とに第3列・第1段のフレームユニットとして3つ目の第2フレームユニット31が載置され、第3列・第4〜7段の脚部材11と第4列・第4〜7段の脚部材11とに第3列・第2段のフレームユニットとして4つ目の第2フレームユニット31が載置される。
これにより、第1列の第1フレームユニット21と第2列の第2フレームユニット31との間では、第1フレーム部材21aと第3フレーム部材31aとが相互に平行に延びかつ第4フレーム部材31bの突端部(第4フレーム部材31bにおける反第3フレーム部材31a側の端部をいう)が第1フレーム部材21aに当接するように第1フレームユニット21および第2フレームユニット31が配置される。
また、第2列の第2フレームユニット31と第3列の第2フレームユニット31との間では、2つの第3フレーム部材31aが相互に平行に延びかつ第4フレーム部材31bの突端部が他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aに当接するように2つの第2フレームユニット31が配置される。
さらに、第1段のフレームユニット21,31と第2段のフレームユニット21,31との間では、第1段のフレームユニット21,31の開いた端部に第2段のフレームユニット21,31の閉じた端部が当接する。
以上により、脚部材11の支持面の上に格子状の支持体2が形成される。この支持体2は、6つの第1領域R1と6つの第2領域R2と6つの第3領域R3とを有する。厳密には、図6および図7において最も右の領域はフレーム部材で囲まれていないので第1領域R1〜第3領域R3とはいえないが、右の端部にフレーム部材21b,31bを有するフレームユニット21,31を用いれば済むことなので、本実施形態では、最も右の領域も第1領域R1〜第3領域R3に含める。
脚部材11は、各フレームユニット21,31の端部、角部、第1フレーム部材21aと第2フレーム部材21bとの連結部、第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bとの連結部、相互に隣接するフレームユニット21,31間の当接部などに配置される。
その際、各フレームユニット21,31には、図7に「・」で示した箇所に、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている(図2(a)および図3(a)参照)。そして、脚部材11の支持面には、上記孔に対応する箇所に係合ピン11dが取り付けられている。脚部材11の支持面の上に載置されたフレームユニット21,31は、脚部材11側の係合ピン11dがフレームユニット21,31側の上記孔に嵌入することにより、脚部材11に固定される。なお、図7のフレームユニット21,31の「・」は小径の孔の位置を示すものであり、実際には小径の孔はフレーム部材21a,31aの裏面に形成されている。
図6および図7から明らかなように、脚部材11の支持面の上にフレームユニット21,31が載置された状態において、脚部材11は、平面視で支持体2から外方へ食み出さないように配置される。また、脚部材11の支持面の一部が、平面視で第1領域R1〜第3領域R3の中に残存し、特に第1領域R1〜第3領域R3の角部に残存している。後述するように、次の床板形成工程では、床板ユニット41,52の台部材43,53がこの第1領域R1〜第3領域R3の角部に残存する脚部材11の支持面の上に載置され固定される。
<床板形成工程>
次に、図8〜図10に示すように、支持体2を形成する第1フレームユニット21および第2フレームユニット31に第1床板ユニット41および第2床板ユニット51を配置する。本実施形態では、18個の床板ユニット41,51が3列×6段に配置される。なお、図8は、理解の容易のために、第1〜3段の床板ユニット41,51の床板部材42,52を透視して描いてある。
具体的に、第1列の第1フレームユニット21には、第1領域R1を覆うことが可能な面積を有する床板部材42を含む第1床板ユニット41が配置される。第2列および第3列の第2フレームユニット31には、第2領域R2および第3領域R3を覆うことが可能な面積を有する床板部材52を含む第2床板ユニット51が配置される。
各フレームユニット21,31には、第1フレーム部材21aまたは第3フレーム部材31aの延びる方向に第1領域R1〜第3領域R3が3つずつ並んで形成されている。そのため、1つの領域R1〜R3を1つの床板部材42,52が覆うように、各フレームユニット21,31には、第1フレーム部材21aまたは第3フレーム部材31aの延びる方向に床板ユニット41,51が3つずつ並んで配置される。
以上により、支持体2を形成する第1フレームユニット21および第2フレームユニット31の上に床板部材42,52が連続的に並び、床板3が形成される。このようなフレームユニット21,31に床板ユニット41,51が配置されたユニットの組が6組3列×2段に相互に隣接して配置されることにより、支持体2および床板3が形成され、デッキ構造1が完成する。完成したデッキ構造1には、図示しないが、最終的に、支持体2および床板3の周縁部を隠す幕板(化粧板)が組み付けられる。幕板は、例えば、フレームユニット21,31の適宜の縦面にビスで固定される。
フレームユニット21,31に床板ユニット41,51を配置する際、床板ユニット41,51の台部材43,53は、図8から明らかなように、フレームユニット21,31の中に隙間なく嵌合し、第1領域R1〜第3領域R3にガタツキなくしっくりと収容される。これは、「[1]部材の説明」で述べたように、台部材43,53の長さが、第2フレーム部材21bまたは第4フレーム部材31bの長さと同じか若干短い長さに設定されているからである。また、一対の台部材43,53の外側の側面間の長さが、相互に隣接する第2フレーム部材21bまたは第4フレーム部材31bの対向面間の間隔と同じか若干短い長さに設定されているからである。
フレームユニット21,31に床板ユニット41,51を配置する際、床板ユニット41,51の台部材43,53は、図7から明らかなように、第1領域R1〜第3領域R3の角部に残存する脚部材11の支持面の上に載置される。これは、「[1]部材の説明」で述べたように、台部材43,53の高さが、第1フレーム部材21aや第2フレーム部材21bまたは第3フレーム部材31aや第4フレーム部材31bの高さと同じか若干高い高さに設定されているからである。
特に、本実施形態では、台部材43,53は所定長さを有する長尺部材であるため、相互に隣接する一対の脚部材11間に架け渡されて上記脚部材11の支持面の上に載置される。
台部材43,53は、床板ユニット41,51を脚部材11の支持面の上に支持する際の土台としての機能、各フレーム部材21a,21b,31a,31bと協働して床板ユニット41,51を支持体2に敷設するときの横ブレ(列方向および段方向のブレ)を防止する案内部材としての機能、および床板部材42,53を上方からの荷重に対して裏面から補強する補強部材としての機能を有する。
その際、台部材43,53には、図4(a)および図5(a)に「・」で示した箇所に、脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔が形成されている。そして、脚部材11の支持面には、上記孔に対応する箇所に係合ピン11dが取り付けられている。脚部材11の支持面の上に載置された台部材43,53は、脚部材11側の係合ピン11dが台部材43,53側の上記孔に嵌入することにより、脚部材11に固定される。
[3]デッキ構造
以上のような施工法で施工されたデッキ構造1(図8〜図10参照)は、次のような構成を有する。
すなわち、デッキ構造1は、格子状の支持体2の上に床板3が敷設された構造である。
デッキ構造1は、第1フレームユニット21と、第2フレームユニット31と、第1床板ユニット41と、第2床板ユニット51とを有する。
第1フレームユニット21は、相互に平行に延びる一対の第1フレーム部材21aと、第1フレーム部材21aと直交し、第1フレーム部材21a同士を連結する3つの第2フレーム部材21bとを含んでいる。
第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと、第3フレーム部材31aと直交し、第3フレーム部材31aから相互に平行に延びる3つの第4フレーム部材31bとを含んでいる。第2フレームユニット31は、第1フレーム部材21aと第3フレーム部材31aとが相互に平行に延び、かつ第4フレーム部材31bの突端部が第1フレーム部材21aに当接するように第1フレームユニット21に対して配置されている。第2フレームユニット31は、第3フレーム部材31aと第3フレーム部材31aとが相互に平行に延び、かつ第4フレーム部材31bの突端部が他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aに当接するように第2フレームユニット31に対して配置されている。
第1床板ユニット41は、第1フレーム部材21aと第2フレーム部材21bとで囲まれる第1領域R1を覆うことが可能な面積を有する平板状の床板部材42を含んでいる。
第2床板ユニット51は、第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bと第1フレーム部材21aとで囲まれる第2領域R2、および第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bと他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aとで囲まれる第3領域R3を覆うことが可能な面積を有する平板状の床板部材52を含んでいる。
第1床板ユニット41および第2床板ユニット51は、床板部材42,52が連続的に並んで床板3を形成するように第1フレームユニット21および第2フレームユニット31にそれぞれ3つずつ配置されている。
[4]作用
以上のように、本実施形態に係るデッキ構造1の施工法は、格子状の支持体2の上に床板3が敷設されたデッキ構造1(図8〜図10)の施工法であって、第1フレームユニット準備工程、第2フレームユニット準備工程、床板ユニット準備工程、フレームユニット配置工程、および床板形成工程、を含む。
第1フレームユニット準備工程は、相互に平行に延びる一対の第1フレーム部材21aと、上記第1フレーム部材21aと直交し上記第1フレーム部材21a同士を連結する複数の第2フレーム部材21bとを含む第1フレームユニット21(図2)を準備する工程である。
第2フレームユニット準備工程は、1つの第3フレーム部材31aと、上記第3フレーム部材31aと直交し上記第3フレーム部材31aから相互に平行に延びる複数の第4フレーム部材31bとを含む第2フレームユニット31(図3)を準備する工程である。
床板ユニット準備工程は、平板状の床板部材42,52を含む床板ユニット41,51(図4および図5)を複数準備する工程である。
フレームユニット配置工程は、上記第1フレーム部材21aと上記第3フレーム部材31aとが相互に平行に延びかつ上記第4フレーム部材31bの突端部が上記第1フレーム部材21aに当接するように上記第1フレームユニット21および上記第2フレームユニット31を配置する工程である(図6および図7)。
床板形成工程は、上記フレームユニット配置工程の後、上記第1フレーム部材21aと上記第2フレーム部材21bとで囲まれる第1領域R1と、上記第3フレーム部材31aと上記第4フレーム部材31bと上記第1フレーム部材21aとで囲まれる第2領域R2とに、各領域R1,R2を覆うように上記床板ユニット41,51をそれぞれ配置することにより、上記第1、第2フレームユニット21,31上に各床板ユニット41,51の床板部材42,52が連続的に並んだ床板3を形成する工程である(図8〜図10)。
本実施形態によれば、第1フレームユニット21および第2フレームユニット31を配置した後、第1領域R1および第2領域R2に床板ユニット41,51を配置することにより、デッキ構造1が施工される。
本実施形態によれば、第1フレームユニット21は、一対の第1フレーム部材21aと複数の第2フレーム部材21bとにより四角形状に組まれているが(図2)、第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと複数の第4フレーム部材31bとにより四角形状の1辺が開いている(図3)。そのため、第1フレームユニット21および第2フレームユニット31を配置したとき(図6および図7)、第1列の第1フレームユニット21と第2列の第2フレームユニット31との間には第1フレーム部材21aだけが介在し、接する辺のフレーム部材が二重にダブることがなく、デッキ構造1の重量増およびコスト増が抑制される。
以上により、本実施形態によれば、施工現場で構成部材を加工することなくデッキ構造1を施工でき、かつ重量増およびコスト増が抑制されたデッキ構造1の施工法が提供される。
本実施形態においては、上記第2フレームユニット準備工程では、複数の第2フレームユニット31を準備し、上記フレームユニット配置工程では、上記複数の第2フレームユニット31の各第3フレーム部材31aが相互に平行に延びかつ一方の第2フレームユニット31(第3列の第2フレームユニット31)の第4フレーム部材31bの突端部が他方の第2フレームユニット31(第2列の第2フレームユニット31)の第3フレーム部材31aに当接するように上記複数の第2フレームユニット31を配置し(図6および図7)、上記床板形成工程では、上記第1、第2領域R1,R2に加えて、上記一方の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aと第4フレーム部材31bと上記他方の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aとで囲まれる第3領域R3にも上記床板ユニット51(図5)を配置する。
この構成によれば、第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと複数の第4フレーム部材31bとにより四角形状の1辺が開いている(図3)ため、複数の第2フレームユニット31を配置したとき(図6および図7)もまた、第2列の第2フレームユニット31と第3列の第2フレームユニット31との間には第3フレーム部材31aだけが介在し、接する辺のフレーム部材が二重にダブることがなく、デッキ構造1の重量増およびコスト増が抑制される。
本実施形態においては、上記床板ユニット準備工程では、上記床板部材42,52の裏面に所定高さの台部材43,53が設けられた床板ユニット41,51を準備し(図4および図5)、上記フレームユニット配置工程では、施工地盤Gの上に並べた複数の脚部材11の上に第1フレームユニット21および第2フレームユニット31を載置し(図6および図7)、上記床板形成工程では、上記台部材43,53を上記脚部材11の上に載置する(図8)。
この構成によれば、床板部材42,52が台部材43,53および脚部材11を介して施工地盤Gに安定して支持される。
本実施形態においては、上記床板ユニット準備工程では、上記台部材43,53は所定長さの長尺部材である床板ユニット41,51を準備し(図4および図5)、上記床板形成工程では、上記台部材43,53を相互に隣接する脚部材11間に架け渡して上記脚部材11の上に載置する(図8)。
この構成によれば、台部材43,53は床板部材42,52を施工地盤Gに支持するための土台として機能することに加えて、床板部材42,52を上方からの荷重に対して裏面から補強する補強部材としても機能する。
また、本実施形態に係るデッキ構造1は、格子状の支持体2の上に床板3が敷設されたデッキ構造1(図8〜図10)であって、第1フレームユニット21、第2フレームユニット31、および複数の床板ユニット41,51、を有する。
第1フレームユニット21は、相互に平行に延びる一対の第1フレーム部材21aと、上記第1フレーム部材21aと直交し上記第1フレーム部材21a同士を連結する複数の第2フレーム部材21bとを含んでいる(図2)。
第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと、上記第3フレーム部材31aと直交し上記第3フレーム部材31aから相互に平行に延びる複数の第4フレーム部材31bとを含み(図3)、上記第1フレーム部材21aと上記第3フレーム部材31aとが相互に平行に延びかつ上記第4フレーム部材31bの突端部が上記第1フレーム部材21aに当接するように上記第1フレームユニット21に対して配置されている(図6および図7)。
複数の床板ユニット41,51は、平板状の床板部材42,52を含み(図4および図5)、上記床板部材42,52が上記第1、第2フレームユニット21,31上に連続的に並んだ床板3を形成するように(図8〜図10)、上記第1フレーム部材21aと上記第2フレーム部材21bとで囲まれる第1領域R1(図7および図8)と、上記第3フレーム部材31aと上記第4フレーム部材31bと上記第1フレーム部材21aとで囲まれる第2領域R2(図7および図8)とに、各領域R1,R2を覆うようにそれぞれ配置されている。
本実施形態によれば、デッキ構造1の施工法に係る実施形態と同様、施工現場で構成部材を加工することなく施工でき、かつ重量増およびコスト増が抑制されたデッキ構造1が提供される。
[5]他の実施形態
第1フレームユニット21は、相互に平行に延びる一対の第1フレーム部材21aと、第1フレーム部材21aと直交し第1フレーム部材21a同士を連結する複数の第2フレーム部材21bとを含む限り、図2に示す構造に限定されない。例えば、第2フレーム部材21b間のピッチが一定でなくてもよく、図2において左の端部が開いていてもよく、図2において右の端部が閉じていてもよい。
第2フレームユニット31は、1つの第3フレーム部材31aと、第3フレーム部材31aと直交し第3フレーム部材31aから相互に平行に延びる複数の第4フレーム部材31bとを含む限り、図3に示す構造に限定されない。例えば、第4フレーム部材31b間のピッチが一定でなくてもよく、図3において左の端部に第4フレーム部材31bが配置されていなくてもよく、図3において右の端部に第4フレーム部材31bが配置されていてもよい。
第1フレームユニット21および第2フレームユニット31の配置は、第1フレーム部材21aと第3フレーム部材31aとが相互に平行に延びかつ第4フレーム部材31bの突端部が第1フレーム部材21aに当接する限り、図6および図7に示す配置に限定されない。例えば、図6および図7においてもう一方の第1フレーム部材21aにも第2フレームユニット31の第4フレーム部材31bの突端部を当接させることができる。
複数の第2フレームユニット31の配置は、複数の第3フレーム部材31aが相互に平行に延びかつ第4フレーム部材31bの突端部が他の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aに当接する限り、図6および図7に示す配置に限定されない。例えば、図6および図7において第3列・第2段の第2フレームユニット31の第3フレーム部材31aにのみさらに第4列・第2段の第2フレームユニット31の第4フレーム部材31bの突端部を当接させることができる。
全幅が相互に異なる第1フレームユニット21、全幅が相互に異なる第2フレームユニト31、全長が相互に異なる第1フレームユニット21、全長が相互に異なる第2フレームユニット31、第2フレーム部材21bの数が相互に異なる第1フレームユニット21、第4フレーム部材31bの数が相互に異なる第2フレームユニット31などを種々混在させて配置しても構わない。
台部材43,53は、必ずしも、長尺部材である必要はない。つまり、台部材43,53は、例えば、フレームユニット21,31に床板ユニット41,51を配置する際、第1領域R1〜第3領域R3の角部に同時に位置して脚部材11の支持面の上に載置される4つの柱状部材などとすることもできる。
台部材43,53は、脚部材11の支持面の上に載置される際、必ずしも、脚部材11に固定されなくてもよい。つまり、台部材43,53の裏面に脚部材11の係合ピン11dが嵌入する小径の孔を形成せず、脚部材11の支持面には、上記台部材43,53が載置される箇所に係合ピン11dを取り外しておき、脚部材11の支持面の上に台部材43,53を載置するだけでもよい。