JP6115203B2 - ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、重縮合触媒として使用するアンチモン化合物に起因する析出粒子及び微量異物が少なく、透明性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を連続製造する方法に関するものである。
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂は、機械的性質および化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フィルム、シートおよび中空成形体などに広く使用されている。
一般にポリエステル樹脂組成物、特にポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法としては、テレフタル酸などのジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール又はこれを主体とするグリコールとからエステル化反応物を製造し、このエステル化反応物を重縮合触媒の存在下、高温、高真空下で重縮合する方法により製造されている。
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造する際の重縮合触媒としては、従来からゲルマニウム化合物、チタン化合物、アンチモン化合物などが用いられているが、安価でかつ触媒活性が優れているアンチモン化合物が最も広く使用されている。しかしながら、アンチモン化合物を重縮合触媒として用いると、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造段階で析出し、最終的に得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に不溶な析出粒子として生成しやすく、さらにその添加方法によってはポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に不溶なアンチモン化合物の微量異物が発生してしまい、これらアンチモン化合物に起因する粒子はポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を成形加工した際に欠点を生じさせる。
特に、近年では磁気記録媒体用途や偏光板離型用途のフィルムなどでは高度の表面平滑化や薄膜化が求められ、ポリエチレンテレフタレート樹脂中の異物を極度に低減する必要があり、前記した重縮合触媒であるアンチモン化合物に起因する粒子はこのようなフィルム表面の粗大な突起の形成や透明性を悪化させるため好ましくない。
例えば、特許文献1には、ナトリウム及び鉄の酸化物を含有する三酸化アンチモンを使用する方法が提案されている。しかし、この方法はアンチモン化合物の析出粒子の発生を抑制できるものの、アンチモン化合物の微量異物の低減については不十分であり、満足できるものではなかった。
特許文献2には、シリカなどの不活性無機粒子を添加する方法が提案されている。しかし、この方法はアンチモン化合物に起因する析出粒子及びアンチモン化合物の微量異物を微細化できるものの、微細な粒子が増加し、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の透明性を低下させるため、これらを両立させる観点からは満足できるものではなかった。
特開平9−291141号公報 特開昭64−69623号公報
本発明の目的は、これら従来の欠点を解消せしめ、重縮合触媒として使用するアンチモン化合物に起因する析出粒子(A)及び微量異物(B)が少なく、透明性(ヘイズ)に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法を提供することである。
上記課題は、テレフタル酸又はこれを主体とする酸成分とエチレングリコール又はこれを主体とするグリコールとを少なくとも2槽からなるエステル化反応槽でエステル化反応を行い、次いで重縮合反応を行うことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を連続的に製造する方法において、重縮合触媒としてアンチモン化合物をグリコール溶液として第2槽以降のエステル化反応槽に、添加口から0.3m/s以上の流速で連続的に添加することを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法によって達成される。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、重縮合触媒としてアンチモン化合物を使用し、アンチモン化合物に起因する析出粒子(A)及び微量異物(B)が少なく、透明性(ヘイズ)に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の連続製造を可能にするものである。
本発明において製造されるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の構成成分としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸又はこれを主体とした酸成分、ジオール成分としてエチレングリコール又はこれを主体としたグリコール成分が挙げられる。
また、本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、カルボン酸成分の20モル%以下であれば、テレフタル酸及びこれを主体とする酸成分以外のジカルボン酸の1種又は2種以上を共重合成分として含むことができ、また同様にグリコール成分の20モル%以下であれば、エチレングリコール又はこれを主体とするグリコール成分以外のグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として含むことができる。さらに熱可塑性を損なわない程度であれば三官能以上の多官能性化合物を共重合成分として含んでいても良い。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は連続重縮合法において、少なくとも2槽からなるエステル化反応槽を用いてエステル化反応を行うことが必要であり、さらには少なくとも3槽のエステル化反応槽でエステル化反応を行うことが好ましい。1槽のみのエステル化反応槽でエステル化反応を行う場合、エステル化反応の効率が著しく低下し、経済性を損なう。エステル化反応槽の数の上限については、特に限定されるものではないが、本発明においてはエステル化反応の効率の点から5槽以下とすることが好ましい。重縮合反応については、少なくとも2槽からなる重縮合反応槽で重縮合反応を行うことが好ましい。重縮合反応槽の数の上限については、特に限定されるものではないが、本発明においては重縮合反応の効率の点から、3槽以下とすることが好ましい。
本発明に用いるエステル化反応槽と重縮合反応槽との型式は特に限定されるものではないが、例えば、エステル化反応槽については、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽などを用い、これら同種または異種の槽を直列する連続槽とすることができる。また重縮合反応槽については、縦型攪拌重縮合槽、横型攪拌重縮合槽などを用いることができ、これら同種または異種の反応槽を直列する連続槽とすることができる。
以下に、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法の具体例について述べる。例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとの反応生成物であるエステル化反応物をエステル化反応槽に予め溶融状態で貯留しておき、テレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.05〜1.5モルになるようにスラリー状にして一定流量で連続的にエステル化反応槽へ供給する。エステル化反応は、少なくとも2槽のエステル化反応槽を直列に連結した装置を用いて、反応によって生成した水を留出させながら行う。例えば、3槽を連続槽でエステル化反応を行う場合は、第1エステル化反応槽では、温度245〜265℃、圧力0.05〜0.15MPaでエステル化反応を行い、次いで第2エステル化反応槽では、温度250〜270℃、圧力0〜0.10MPaでエステル化反応を行い、更に最終エステル化反応槽では、温度255〜275℃、真空度0.101〜0.009MPaでエステル化反応を行う。4槽以上でエステル化反応を行う場合は、上記第1エステル化反応槽と最終エステル化反応槽との中間槽の反応温度及び圧力の条件はその間の条件で順次行うことが、エステル化反応を効率的、かつ円滑に進行できる点で好ましい。
次に得られたエステル化反応物を重縮合反応槽に移送し重縮合反応を行う。重縮合反応は、少なくとも2槽の重縮合反応槽を直列に連結した装置を用いて、反応によって生成したエチレングリコールを留出しながら行う。第1重縮合反応槽では、温度260〜290℃、真空度0.005〜0.001MPaで重縮合反応を行い、最終重縮合反応槽では、温度270〜300℃、真空度0.0005〜0.00005MPaで重縮合反応を行う。3槽以上で重縮合反応を行う場合は、上記第1重縮合反応槽と最終重縮合反応槽との中間槽の反応温度及び真空度の条件はその間の条件で順次行うことが、重縮合反応を効率的、かつ円滑に進行できる点で好ましい。
その後、得られた溶融ポリエチレンテレフタレートは口金よりストランド状に吐出・冷却し、カッターによってペレット化する方法によりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造できる。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は、重縮合触媒としてアンチモン化合物を用いる必要がある。アンチモン化合物は、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、脂肪族カルボン酸のアンチモン塩などが挙げられるが、これらの中でも重縮合反応性、得られるポリマの色調、および安価に入手できることから三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
本発明の特徴は、アンチモン化合物のグリコール溶液の特異な添加条件を採用することによって、アンチモン化合物に起因する析出粒子(A)及び微量異物(B)の抑制を図ることにあり、前記析出粒子(A)及び微量異物(B)を抑制することで、透明性(ヘイズ)に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を製造することが可能である。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法において、上記アンチモン化合物はグリコール溶液として添加する必要がある。この場合のグリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられるが、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質面の影響を考慮すると、エチレングリコールが好ましく用いられる。アンチモン化合物をグリコール溶液として添加すると、アンチモン化合物がポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中に溶解しやすくなるため、アンチモン化合物の微量異物(B)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が良好になる。
アンチモン化合物のグリコール溶液を調製する方法としては、特に限定されるものではないが、アンチモン化合物が溶け残ることのないように調製することが重要であり、100〜200℃に加熱したグリコールにアンチモン化合物を添加して溶解させ、常温まで冷却する方法が好ましい。
グリコール溶液中のアンチモン化合物の濃度は、0.25〜1.25wt%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0wt%である。0.25wt%以上であると、用いるグリコール量が少なく、アンチモン化合物の析出粒子(A)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が良好になる。1.25wt%以下であると、アンチモン化合物の濃度が低く、アンチモン化合物の微量異物(B)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が一層良好になる。
本発明において、上記濃度範囲であれば、グリコール溶液を移送する配管の途中でグリコールを別途供給し、グリコール溶液を希釈してもよい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法において、アンチモン化合物のグリコール溶液は、第2槽以降のエステル化反応槽に添加することが必要である。第1槽のエステル化反応槽ではエステル化反応物のエステル化反応率が低く、テレフタル酸成分との未反応のグリコールが多いため、アンチモン化合物の析出粒子(A)が増加し、透明性(ヘイズ)が不十分となる。
また、アンチモン化合物のグリコール溶液は、エステル化反応槽の気相部に設置したノズル等の添加装置を介して添加することが好ましい。反応槽の気相部からの添加は、エステル化反応物による添加口の閉塞が起きないため、安定供給の点で有利である。添加装置の形状については特に限定しないが、直線状に噴出するノズルを用いることがアンチモン化合物の微量異物(B)を抑制する点で好ましい。
また、アンチモン化合物のグリコール溶液は、0.3m/s以上の流速で添加口から連続的に添加することが必要であり、さらには0.35m/s以上が好ましい。0.3m/s未満の流速では、エステル化反応物の液面に到達するまでにグリコール溶液が熱負荷を受けてグリコールが蒸散し、グリコール溶液が濃縮されることで、アンチモン化合物の微量異物(B)が増加し、透明性(ヘイズ)が不十分となる。また添加口の周りへのアンチモン化合物の堆積が多くなり、堆積したアンチモン化合物が落下することで、アンチモン化合物の微量異物(B)が増加し、透明性(ヘイズ)が不十分となる。流速の上限については、特に限定されるものではないが、本発明においては1.0m/s以下である。1.0m/sを超える場合は、添加口を非常に細くする必要があり、異物などで詰まりやすくなる。
アンチモン化合物のグリコール溶液の添加口の位置は、グリコール溶液の添加口からエステル化反応物の液面までの距離(L1)とエステル化反応物の液の深さ(L2)との比(L1/L2)が0.07〜0.25であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.20である。0.07以上であると、添加口先端とエステル化反応物との接触を避けることができ、安定供給の点から好ましく、またエステル化反応物への分散が良くなることで、アンチモン化合物の微量異物(B)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が良好になる。0.25以下であると、グリコール溶液がエステル化反応物の液面に到達するまでに受ける熱負荷が減ることで、アンチモン化合物の微量異物(B)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が良好になる。
本発明において、アンチモン化合物のグリコール溶液は、2重構造を有するノズルで添加し、かつ内管と外管との間を水又は窒素で冷却することが好ましい。2重構造を有するノズルであると、ノズルが補強され、グリコール溶液が通過する際の振動によるノズルの軸ぶれを抑制でき、安定供給の点で好ましい。またノズルの内管と外管との間を水又は窒素で冷却すると、グリコール溶液が低温を保った状態でエステル化反応物に添加でき、添加中にグリコールが蒸散しにくくなることで、アンチモン化合物の微量異物(B)を抑制でき、透明性(ヘイズ)が良好になる。本発明において、ノズルの冷却温度は、グリコール溶液中のアンチモン化合物の析出を抑制する点で、20℃からグリコールの沸点までの範囲にすることが好ましい。
アンチモン化合物の添加量は、添加量があまりに少ないと重縮合反応が円滑に進まず、所定の固有粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることが困難になり、一方、多すぎると得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の耐熱性が不良となり、着色などの問題が発生することがあるため、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、アンチモン元素が50〜500ppmであることが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物中には、他の任意の耐熱安定剤、静電剤、消泡剤、酸化防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。これらの添加剤は、エステル化反応工程、重縮合反応工程、成形時の任意の段階で添加することが可能である。
本発明方法で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、重縮合触媒として使用するアンチモン化合物に起因した析出粒子(A)及び微量異物(B)が少なく、透明性(ヘイズ)に優れることから、フィルム成形する際には、従来のフィルムに比べて表面平滑化や薄膜化することが可能であり、磁気記録媒体用途や偏光板離型用途のフィルムに好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は以下の方法で行った。
(1)エステル化反応物のエステル化反応率
エステル化反応率は、下記の方法で、ケン価と酸価とを求め、次式で算出した。
エステル化反応率(%)=(ケン価−酸価)/ケン価×100
ケン価は、エステル化反応物を水酸化カリウム水溶液でアルカリ分解した後、0.5規定の塩酸溶液を用いて、自動滴定装置にて滴定して測定した。また、酸価はエステル化反応物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.1規定の水酸化カリウムのメタノール溶液を用いて、自動滴定装置にて滴定して測定した。
(2)固有粘度
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをo−クロロフェノールに加熱溶解した後、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した。
(3)透明性(ヘイズ)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(60:40wt%)の混合溶媒に加熱溶解した後、ガラスセルに移し、ヘイズメーターを用いて測定した。得られた透明性(ヘイズ)は、0.5%未満のものを良好、0.5〜1.5%のものを合格とし、1.5%を越えるものを不合格とした。
(4)アンチモン化合物起因の析出粒子(A)及び微量異物(B)
ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の試料ペレットをフェノール/1,1,2,2テトラクロロエタン(60:40wt%)の混合溶媒に加熱溶解した後、1μmのメンブレンフィルターで濾過し、白金パラジウムで蒸着して走査電子顕微鏡の反射電子モードで濾上の粒子を探索した。さらに前記粒子について、エネルギー分散X線分光法で元素分析を行い、酸素元素の有無によりアンチモン化合物起因の析出粒子(A)と微量異物(B)とを特定し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物1mg当たりに存在する1μm以上3μm未満の粒子及び3μm以上の粒子の粒子数を算出した。ここで、析出粒子(A)は酸素元素を持たない1μm以上3μm未満のアンチモン粒子、微量異物(B)は酸素元素を持つ3μm以上のアンチモン粒子である。析出粒子(A)の粒子数は、1mg当たり30個未満のものを良好、1mg当たり30〜50個のものを合格、1mg当たり50個を超えるものを不合格とし、微量異物(B)の粒子数は、1mg当たり2個未満を良好、1mg当たり2〜4個を合格とし、1mg当たり4個を超えるものを不合格とした。
[実施例1]
(アンチモン化合物のグリコール溶液の調製)
エチレングリコールと三酸化アンチモンとを調製槽に投入し、攪拌しながら常圧下、温度150℃まで加熱し、4時間処理を実施し溶解した後、常温まで冷却し、濃度が0.75wt%のグリコール溶液を調製した。
(エステル化反応)
第1エステル化反応槽に、反応槽の気相部からテレフタル酸とエチレングリコールとをテレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.1になるようにスラリー状にして連続的に供給し、温度259℃、圧力0.11MPa、滞留時間4.5時間で水を留出させながらエステル化反応を行い、エステル化反応率92%のエステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を連続して第2エステル化反応槽へ移送した。
第2エステル化反応槽は温度261℃、常圧、滞留時間0.6時間でエステル化反応を行い、また同時に、反応槽の気相部から、酢酸マグネシウム4水和物を含むエチレングリコール溶液とリン酸トリメチルを含むエチレングリコール溶液、酢酸リチウム2水和物を含むエチレングリコール溶液を別々に、生成するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、酢酸マグネシウム4水和物として0.055wt%、リン酸トリメチルとして0.02wt%、酢酸リチウム2水和物として0.01wt%となるように連続供給し、エステル化反応率96%のエステル化反応物を得た。得られたエステル化反応物を連続して第3エステル化反応槽へ移送した。
第3エステル化反応槽は温度270℃、真空度0.011MPa、滞留時間0.7時間でエステル化反応を行い、エステル化反応率99%のエステル化反応物を得た。また同時に、アンチモン化合物のグリコール溶液を流速0.37m/sで、添加口からエステル化反応物の液面までの距離(L1)とエステル化反応物の液の深さ(L2)との比(L1/L2)が0.12であるノズルを介し、生成するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して0.0084wt%となるように連続供給した。前記ノズルは2重構造を有し、かつ内管と外管との間を20℃の水で冷却した。得られたエステル化反応物を重縮合反応槽に連続的に移送した。
(重縮合反応)
第1重縮合反応槽は温度282℃、真空度0.0025MPa、滞留時間0.75時間で反応を行い、第2重縮合反応槽に連続的に移送した。
第2重縮合反応槽は温度285℃、真空度0.00032MPa、滞留時間3.5時間で重縮合反応を行い、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の固有粘度が0.625相当の溶融粘度に達した時点で、第1重縮合反応槽からの供給口とは反対方向の反応槽下部にある取り出し口からギアポンプで取り出し、口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状にペレット化し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、固有粘度が0.625、析出粒子(A)が20個/mg、微量異物(B)が0個/mg、透明性(ヘイズ)が0.3%であり、良好であった。
[実施例2]
L1/L2を0.18と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、析出粒子(A)が21個/mg、微量異物(B)が0個/mg、透明性(ヘイズ)が0.3%であり、良好であった。
[実施例3]
グリコール溶液中のアンチモン化合物濃度を0.30wt%と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、析出粒子(A)が29個/mg、微量異物(B)が0個/mg、透明性(ヘイズ)が0.4%であり、良好であった。
[実施例4]
L1/L2を0.08と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、析出粒子(A)が21個/mg、微量異物(B)が1個/mg、透明性(ヘイズ)が0.4%であり、良好であった。
[実施例5]
L1/L2を0.23と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、析出粒子(A)が22個/mg、微量異物(B)が1個/mg、透明性(ヘイズ)が0.4%であり、良好であった。
[実施例6]
グリコール溶液中のアンチモン化合物濃度を1.15wt%と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は、析出粒子(A)が21個/mg、微量異物(B)が1個/mg、透明性(ヘイズ)が0.4%であり、良好であった。
[実施例7]
アンチモン化合物のグリコール溶液を添加する反応槽を第2エステル化反応槽に変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。析出粒子(A)が35個/mgと増加したため透明性(ヘイズ)は0.6%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
[実施例8]
グリコール溶液中のアンチモン化合物の濃度を表1と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。グリコール溶液中のアンチモン化合物の濃度を0.20wt%としたことにより、析出粒子(A)が45個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.1%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
[実施例9〜12]
アンチモン化合物のグリコール溶液の添加流速、L1/L2、グリコール溶液中のアンチモン化合物の濃度を表1と変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。
実施例9においてはグリコール溶液の添加流速を0.31m/sとしたことにより、微量異物(B)が2個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は0.7%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
実施例10、11においてはL1/L2をそれぞれ0.04、0.28としたことにより、微量異物(B)が4、3個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.3、1.2%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
実施例12においては、グリコール溶液中のアンチモン化合物濃度を1.30wt%としたことにより、微量異物(B)が3個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.2%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
[実施例13]
アンチモン化合物のグリコール溶液を添加するノズルを1重構造で冷却機能を持たないノズルに変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。微量異物(B)が3個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.2%と低下したが、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は使用できる範囲のものであった。
[比較例1]
アンチモン化合物のグリコール溶液を添加する反応槽を第1エステル化反応槽に変更する以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。析出粒子(A)が56個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.6%と低下し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は不良であった。
[比較例2]
アンチモン化合物のグリコール溶液の添加流速を0.25m/sと変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。微量異物(B)が8個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は1.8%と低下し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は不良であった。
[比較例3]
アンチモン化合物のグリコール溶液の添加流速を0.1m/sとし、コロイダルシリカのエチレングリコールスラリーをアンチモン元素に対して300ppm添加する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。結果を表1及び表2に示す。析出粒子(A)及び微量異物(B)が微細化されることで、析出粒子(A)が68個/mgと増加したため、透明性(ヘイズ)は2.4%と低下し、得られたポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の品質は不良であった。
Figure 0006115203
Figure 0006115203

Claims (2)

  1. テレフタル酸又はこれを主体とする酸成分とエチレングリコール又はこれを主体とするグリコールとを少なくとも2槽からなるエステル化反応槽でエステル化反応を行い、次いで重縮合反応を行うことによりポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を連続的に製造する方法において、重縮合触媒としてアンチモン化合物をグリコール溶液として第2槽以降のエステル化反応槽に、添加口から0.3m/s以上の流速で連続的に添加するに際してグリコール溶液の添加口からエステル化反応物の液面までの距離(L1)とエステル化反応物の液の深さ(L2)との比(L1/L2)が0.07〜0.25であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
  2. グリコール溶液を2重構造を有するノズルで添加し、かつ内管と外管との間を水又は窒素で冷却することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
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