JP6114163B2 - 電極体、及び当該電極体を備える電池 - Google Patents

電極体、及び当該電極体を備える電池 Download PDF

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Description

本発明は、電池に使用された際に当該電池のサイクル特性を向上させる電極体、及び当該電極体を備える電池に関する。
二次電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換し放電を行うことができる他に、放電時と逆方向に電流を流すことにより、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄積(充電)することが可能な電池である。
近年、負極にアルミニウム金属を用いた、アルミニウム電池(アルミニウム二次電池)の研究開発が盛んに行われている。
非特許文献1には、塩化鉄(III)を正極活物質として用いたアルミニウム電池が開示されている。当該文献によれば、当該アルミニウム電池の放電時の全反応式は下記式(A)により表される。
Al+AlCl +3FeCl→AlCl +3FeCl (A)
非特許文献1には、正極に塩化鉄(III)スラリーを、負極に円筒状のアルミニウム金属をそれぞれ用い、さらに正極と負極の間に、電解質として1−メチル−3−エチルイミダゾリウムクロライド及び塩化アルミニウム(III)を用いた電池が開示されている(非特許文献1の「2.Experimantal details」より)。
また特許文献1には、アルミニウム電池に使用される電解質として、イオン性液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMIC)と、塩化アルミニウム(AlCl)とを混合した電解質が開示されている。また特許文献1には、アルミニウム電池の電解液をゲル状にすることが開示されている。特許文献2には、アルミニウムを含有する基体と、この基体表面に形成された高分子化合物層を有する負極が開示されている。また特許文献3には、負極活物質が粉状である場合、負極にゲル電解質が含まれてもよいことが記載されている。
また特許文献4には、アルミニウム電池において、正極活物質層が導電性ポリマーを含有していてもよいこと、また非水電解液がゲル状であってもよいことが記載されている。さらに特許文献5には、アルミニウム電池において、電解質として、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムハロゲン化物と塩化アルミニウムとの混合物を用い、正極活物質として導電性高分子を用い、負極活物質としてアルミニウムを用いることが記載されている。また特許文献6には、アルミニウム電池において、正極活物質として導電性高分子を用いることが記載されている。さらに特許文献7には、アルミニウム電池において、正極活物質として導電性高分子を用い、電解質としてアルミニウムハロゲン化物とアルキルイミダゾリウムハロゲン化物とを混合したものを用いることが記載されている。
特開2003−017058号公報 特開2002−298862号公報 特開2004−206990号公報 特開2003−103347号公報 特開平1−264182号公報 特開平2−005369号公報 特開平1−296572号公報
F.M.Donahue et al.Journal of Applied Electrochemistry 22(1992)230−234
電極活物質として第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物と、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む電解液とを備える電極体では、電極活物質が電解質中に溶出してしまうという問題点がある。その結果、当該電極体が使用された電池では充放電に伴う容量低下が著しい。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、電池に使用された際に当該電池の容量低下を抑制する電極体、及び当該電極体を備える電池を提供することを目的とする。
本発明の電極体は、少なくとも電極活物質層及び電解質層を備える電極体であって、上記電極活物質層が、第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物、及び上記金属塩化物の還元体の少なくとも1つである電極活物質と、第1電解質とを有し、上記電解質層が第2電解質を有し、上記第1電解質がゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つであり、上記第2電解質が塩化物イオン及び有機オニウムカチオンを含むイオン性液体、及び塩化アルミニウム(III)を含むものであることを特徴とする。
本発明において、上記電極活物質層内で、上記電極活物質と、上記第1電解質とが接することが好ましい。
本発明において、上記電極活物質層が、上記電極活物質を含有する第1層と、上記第1層の上記電解質層側の表面に形成され、上記第1電解質を含有する第2層とを有することが好ましい。
本発明において、上記電極活物質層が、イオン性液体を架橋してゲル化したゲル電解質を有することが好ましい。
本発明において、本発明の電極体が、アルミニウム電池用電極体であることが好ましい。
本発明の電池は、負極活物質層、及び上述した電極体を備える電池であって、上記負極活物質層と、上記電極体における上記正極活物質層とは、上記電極体における上記電解質層を間に介在して配置されることを特徴とする。
本発明によれば、第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物、及びその還元体の少なくとも1つである電極活物質を含有する電極活物質層と、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む第2電解質を有する電解質層とを備えた電極体において、電極活物質層がゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つである第1電解質を有することで、電極活物質の電解質への溶出を抑制することができる。その結果、電池に使用された際に当該電池の容量低下を抑制することができる。
本発明に係る電極体の積層構造の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明に係る電池の積層構造の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例1で得られた評価用電池の定電流放電曲線である。 実施例1で得られた評価用電池の定電流充放電曲線である。 比較例1で得られた評価用電池の電気化学評価試験前後の観察結果である。
1.電極体
本発明の電極体は、少なくとも電極活物質層及び電解質層を備える電極体であって、上記電極活物質層が、第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物、及び上記金属塩化物の還元体の少なくとも1つである電極活物質と、第1電解質とを有し、上記電解質層が第2電解質を有し、上記第1電解質がゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つであり、上記第2電解質が塩化物イオン及び有機オニウムカチオンを含むイオン性液体、及び塩化アルミニウム(III)を含むものであることを特徴とする。
一般的に、電気化学デバイスにおいて複数回の充放電を可能とするためには、電気化学的に可逆な酸化還元が可能であることが必要とされる。しかしながら、非特許文献1に記載されたような従来のアルミニウム電池においては、酸化還元が不可逆的に進行するため、電池容量特性に劣る。したがって、非特許文献1に記載されたような従来のアルミニウム電池は、繰り返し充放電可能な電気化学デバイスとしては使用できないと考えられる。
電極活物質として特定の金属元素を含有する金属塩化物を用い、電解質としてイオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を用いた従来のアルミニウム電池が電気化学的に不可逆である理由は、以下の通りである。
後述する実施例における、電極活物質の電解質への溶出性の試験において示すように、イオン性液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド及び塩化アルミニウム(III)を含む電解質に対する電極活物質の溶出量は著しく大きいことが実証された。
ここで、本発明における溶出とは、電解質への電極活物質の分散と、電解質への電極活物質の溶解とを総じて示すものである。
電解質に対する電極活物質の溶出量が著しく大きい場合に、電気化学デバイス中における酸化還元反応が不可逆になる原因は以下のように推定される。
イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む電解質では、有機オニウムカチオンと、塩化アルミニウム由来のアニオンとが存在する。塩化アルミニウム由来のアニオンとしては、AlCl 、AlCl 、AlCl10 等が挙げられる。電極活物質として使用される金属塩化物は、電解質中の塩化アルミニウム由来のアニオンに含まれる塩素と、クーロン力により強く相互作用し、その結果、錯体様の物質としてイオン性液体中に溶出するものと考えられる。
ここで、電極活物質が電解質へ分散する場合、電解質中へ分散した電極活物質は、電極活物質層中の他の電極活物質から離れて存在するため、電極反応に寄与できなくなる。そのため、電解質の分散が進行すると電極活物質層上の集電可能な電極活物質が減少すると考えられる。
また電極活物質が電解質へ溶解する場合、電解質へ溶解し、電解質中を泳動する電極活物質は、対向する電極の表面で還元され、自己放電を起こす。この自己放電は、電極活物質由来のイオンの自己拡散が、一般的な電気化学デバイス内における程度に高く、且つ、電極活物質の還元電位が対向する電極の平衡電位より高い場合には、顕著に発生する。
粘性の高い電解質を用いた場合には、当該電極活物質に由来するイオンが泳動する速度が遅くなるため、電気化学デバイスにおける充放電速度の著しい減衰が生じる。その結果、特に定電位酸化の場合には過電圧の急速な上昇が起こり、副次的により高電位において電解質の分解反応を引き起こすため、電気化学デバイスが不可逆的に劣化する。
本発明者らは、このような知見に基づいて上記課題を見出し、鋭意検討を重ねた結果、電極活物質の電解質中への溶出を抑制しない限り、電気化学的に可逆な酸化還元反応を起こす電気化学デバイスの設計は困難であるとの結論に至った。
そこで、本発明者らは、電極活物質として第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物及びその還元体の少なくとも1つを用いる電極活物質層と、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む第2電解質を有する電解質層とを備えた電極体において、電極活物質層がゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つである第1電解質を有することで、電極活物質の電解質層への溶出を抑制できることを見出した。その結果、当該電極体を使用して電池を作製するところ、電池の容量低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
ここで、電極活物質層がゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つである第1電解質を有することで、特定の金属元素を含有する金属塩化物またはその還元体である電極活物質の電解質層への溶出を抑制できる推定メカニズムとしては、次のように考えられる。
上述したように、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む第2電解質を有する電解質層では、塩化アルミニウム(III)由来のアニオン(例えばAlCl 等)と金属塩化物等の電極活物質との間で、両者の親和的なクーロン力による相互作用のため、電極活物質が電解質層へ安定的に分散される。電極活物質層が上述したような第1電解質を有するところ、電極活物質が流動性の比較的低い第1電解質と接することで、電極活物質の溶出(電極活物質層からの脱落や流出等)を物理的に抑制でき、電極活物質の電解質層への溶出性は著しく低下すると推測される。本発明は、上述した溶出の中でも特に電極活物質の電解質層への分散抑制に効果的であると考えられる。
本発明の電極体は、少なくとも電極活物質層及び電解質層を備える。本発明の電極体は、当該電極活物質層及び電解質層に加えて、通常、電極集電体や、当該電極集電体に接続された電極リードを備えていてもよい。
以下、本発明に使用される電極活物質層及び電解質層、本発明に使用できる電極集電体、並びに、本発明の電極体の製造方法について、順に説明する。
(1)電極活物質層
本発明に使用される電極活物質層は、金属塩化物及び上記金属塩化物の還元体からなる群より選ばれる少なくとも1つの電極活物質と、第1電解質とを有するものである。
(i)電極活物質
本発明で使用される電極活物質は、電極活物質は、第3族〜第14族に属する金属元素を含有するものであれば特に限定されないが、例えばバナジウム、チタン、鉛、タングステン、ニッケル、ニオブを含有するものであることが好ましく、中でもバナジウム、鉛、タングステン、ニッケルを含有するものであることが好ましく、さらにバナジウムを含有するものであることが特に好ましい。
このような電極活物質としては、具体的に、塩化バナジウム(III)(VCl)、塩化バナジウム(II)(VCl)、塩化鉛(II)(PbCl)、塩化タングステン(II)(WCl)、塩化ニッケル(II)(NiCl)、塩化チタン(III)(TiCl)、塩化チタン(II)(TiCl)若しくは塩化ニオブ(V)(NbCl)、又は、これら金属塩化物の還元体であるバナジウム(V)、鉛(Pb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)若しくはニオブ(Nb)を含有する。本発明に係る電極体が電池に使用された際に、上記電極活物質は、当該電池の充電状態において、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(II)(VCl)、塩化鉛(II)、塩化タングステン(II)、塩化ニッケル(II)、塩化チタン(III)、塩化チタン(II)又は塩化ニオブ(V)となる。これらの電極活物質は、1種類のみ配合されていてもよいし、2種類以上組み合わせて配合されていてもよい。
まず、正極活物質として塩化バナジウム(III)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
塩化バナジウム(III)を含む正極においては、放電の際、下記半反応式(B−Ia)及び(B−Ib)により表される2段階反応が進行する。なおカッコ内は、後述する実施例1の電池に関する実験結果より推測される、各反応の平衡電位である。
VCl+AlCl +e→VCl+2AlCl (1.1V vs.Al3+/Al) (B−Ia)
VCl+2AlCl +2e→V+4AlCl (0.6V vs.Al3+/Al) (B−Ib)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(B−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (B−II)
以上の式(B−Ia)、(B−Ib)、及び式(B−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(B−III)により表される。なお、当該全反応式(B−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
Al+AlCl +VCl→AlCl +V (B−III)
上記全反応式(B−III)に対する逆反応、すなわち、放電状態から満充電状態までの反応は、やや遅いと考えられる。
なお、正極活物質としてバナジウム金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化バナジウム(III)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((B−III)の逆反応)から開始される。
後述する実施例における、電気化学的評価試験後の観察によれば、ゲル電解質を含む電極活物質層を備える電池では、電解質に対する塩化バナジウム(III)の溶出に起因した電解質の変色が観察されないことが分かった。これより、電極活物質層が上述した塩化バナジウム(III)およびゲル電解質を含有することで、塩化バナジウム(III)の電解質への溶出が抑制できることが実証された。
次に、正極活物質として塩化鉛(II)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
当該電池の正極においては、放電の際、下記半反応式(C−I)により表される反応が進行する。
PbCl+2AlCl +2e→Pb+4AlCl (C−I)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(C−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (C−II)
以上の式(C−I)及び式(C−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(C−III)により表される。なお、当該全反応式(C−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
2Al+2AlCl +3PbCl→2AlCl +3Pb (C−III)
なお、正極活物質として鉛金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化鉛(II)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((C−III)の逆反応)から開始される。
続いて、正極活物質として塩化タングステン(II)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
当該電池の正極においては、放電の際、下記半反応式(D−I)により表される反応が進行する。
WCl+2AlCl +2e→W+4AlCl (D−I)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(D−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (D−II)
以上の式(D−I)及び式(D−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(D−III)により表される。なお、当該全反応式(D−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
2Al+2AlCl +3WCl→2AlCl +3W (D−III)
なお、正極活物質としてタングステン金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化タングステン(II)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((D−III)の逆反応)から開始される。
次に、正極活物質として塩化ニッケル(II)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
当該電池の正極においては、放電の際、下記半反応式(E−I)により表される反応が進行する。
NiCl+2AlCl +2e→Ni+4AlCl (E−I)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(E−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (E−II)
以上の式(E−I)及び式(E−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(E−III)により表される。なお、当該全反応式(E−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
2Al+2AlCl +3NiCl→2AlCl +3Ni (E−III)
なお、正極活物質としてニッケル金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化ニッケル(II)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((E−III)の逆反応)から開始される。
次に、正極活物質として塩化チタン(III)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
塩化チタン(III)を含む正極においては、放電の際、下記半反応式(F−Ia)及び(F−Ib)により表される2段階反応が進行する。
TiCl+AlCl +e→TiCl+2AlCl (F−Ia)
TiCl+2AlCl +2e→Ti+4AlCl (F−Ib)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(F−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (F−II)
以上の式(F−Ia)、(F−Ib)、及び式(F−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(F−III)により表される。なお、当該全反応式(F−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
Al+AlCl +TiCl→AlCl +Ti (F−III)
なお、正極活物質としてチタン金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化チタン(III)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((F−III)の逆反応)から開始される。
最後に、正極活物質として塩化ニオブ(V)を含む電池における電気化学反応について検討する。なお、以下の検討において、当該電池は、負極としてアルミニウム金属を備え、さらに電解質中に塩化アルミニウム(III)を含む電池であるものとする。
当該電池の正極においては、放電の際、下記半反応式(G−I)により表される反応が進行する。
NbCl+5AlCl +5e→Nb+10AlCl (G−I)
また、当該電池の負極においては、放電の際、下記半反応式(G−II)により表される反応が進行する。
Al+7AlCl →4AlCl +3e (G−II)
以上の式(G−I)及び式(G−II)より、当該電池における、満充電状態から放電状態までの反応は、下記全反応式(G−III)により表される。なお、当該全反応式(G−III)におけるアニオンに対するカウンターカチオンとしては、例えば、後述する有機オニウムカチオン等が挙げられる。
5Al+5AlCl +3NbCl→5AlCl +3Nb (G−III)
なお、正極活物質としてニオブ金属を含む電極体を用いた電池においては、正極活物質として塩化ニオブ(V)を含む電極体を用いた電池とは逆に、充電反応((G−III)の逆反応)から開始される。
また本発明における電極活物質の形状としては、例えば、粒子形状(真球状、楕円球状等)、薄膜形状等を挙げることができる。電極活物質が粒子形状である場合、その平均粒子径は、例えば0.01μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。電極活物質層における電極活物質の含有量は、例えば10体積%〜99体積%の範囲内であることが好ましく、20体積%〜99体積%の範囲内であることがより好ましい。
(ii)第1電解質
本発明に使用される第1電解質は、電極活物質層が有するものであり、通常、ゲル電解質及び固体電解質の少なくとも1つである。本発明においては、中でもゲル電解質であることが好ましい。
本発明で使用されるゲル電解質としては、上述した電極活物質の電解質層への溶出を抑制できるものであれば特に限定されないが、イオン伝導性を有するものであることが好ましく、具体的には、イオン性液体をゲル化したものであることが好ましい。イオン伝導性の低下を最小限度に抑えることができるからである。
このようなゲル電解質は、通常、イオン性液体と、ゲル化剤とからなるものである。
ここで、イオン性液体は、塩化物イオン及び有機オニウムカチオンを有するものであれば特に限定されるものではなく、後述する電解質層に含まれるものと同一であってもよく、異なるものであってもよい。なお、イオン性液体については、後述する「2.電解質層」で詳述する。
またゲル化剤としては、イオン性液体をゲル化できるものであれば特に限定されないが、例えば架橋反応を利用してイオン性液体をゲル化させるゲル化剤を好適に用いることができる。このようなゲル化剤は、通常、イオノマーと、架橋剤とを有するものである。
上記イオノマーとしては、後述する架橋剤と組み合わせて用いることで、イオン性液体をゲル化したゲル電解質を得られるものであれば特に限定されないが、通常、高分子鎖を主鎖として有するものが用いられる。本発明においては、例えば、ビニル系高分子、フルオロエチレン系高分子等の長鎖アルキルを主鎖として有するものが挙げられ、中でもビニル系高分子を主鎖として有するものを好適に用いることができる。
またイオノマーは、例えば、ピリジニウムカチオン構造、4級アンモニウムカチオン構造、イミダゾリウムカチオン構造等を側鎖として有するものであることが好ましく、中でもピリジニウムカチオン構造を側鎖として有するものであることが好ましい。このようなイオノマーとしては、具体的に、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリビニルピリジン等を挙げることができる。
また本発明においては、イオノマーの重量平均分子量が、例えば1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。なお、イオノマーの重量平均分子量は、下記の測定条件でゲルパーミエーションクロマトフラフィ(GPC)測定で求めることができる。
[測定条件]
測定装置:株式会社島津製作所製GPCシステム
カラム:GPC KF−803(SHODEX)300mm×8mm(内径)、3本
ガードカラム:GPC−800P 10mm×4.6mm(内径)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン(GCグレード)
流量:0.7mL/min
圧力:2.9×10−2Pa
検出器:示差屈折検出器
標準物質:東ソー株式会社製TSK標準ポリスチレン
上記架橋剤としては、上記イオノマーと組み合わせて用いることで、イオン性液体をゲル化したゲル電解質を得られるものであれば特に限定されるものではない。本発明においては、例えば、フッ化アルキルスルホニル基、カルボキシル基、ハロゲン化物基、二トリル基等を有するアルカン等を挙げることができ、中でもフッ化アルキルスルホニル基を有するアルカン(例えば両端にフッ化アルキルスルホニルを有するアルカン)を好適に使用することができる。
このような架橋剤としては、具体的に、N,N,N’,N’−テトラ(トリフルオロメタンスルホニル)ドデカン−1,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(トリフルオロメタンスルホニル)ヘキサン−1,6−ジアミン等を挙げることができる。
また架橋剤の分子量としては、例えば、420〜800の範囲内であることが好ましい。
また本発明においては、熱によって転位するゲル化剤を用いることもできる。このようなゲル化剤は、1つまたは2つ以上のアニオンまたはカチオン構造を有する官能基を有することが好ましく、中でも当該官能基がイオン性液体の構成要素である有機オニウムカチオンや有機アニオンであることが好ましい。
また電極活物質層における第1電解質の含有量は、電極活物質の電解質層への溶出を抑制できる程度であれば特に限定されるものではなく、目的とする電極体の形態等に応じて適宜調整されるものである。具体的には、0.1体積%〜90体積%の範囲内であることが好ましい。
(iii)電極活物質層
本発明における電極活物質層は、上述した電極活物質及び第1電解質を有するものであれば特に限定されないが、電極活物質が第1電解質を介して電解質層と接することが好ましい。電極活物質が第1電解質を介して電解質層と接する態様の一例としては、電極活物質層内で、電極活物質及び第1電解質が接する態様が挙げられる(図1(a)参照)。具体的には、電極活物質層孔内に第1電解質であるゲル電解質が充填している態様や、電極活物質が第1電解質に被覆されている態様等を挙げることができる。また、電極活物質が第1電解質を介して電解質層と接する態様の他の例としては、例えば、電極活物質層が、電極活物質を含有する第1層と、第1層の前記電解質層側の表面に形成され、第1電解質を含有する第2層とを有する態様等を挙げることができる(図1(b)参照)。
本発明における電極活物質層は、上述した電極活物質、第1電解質の他に、導電補剤及び結着剤のうち少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。
本発明に使用される導電補剤は、導電性を有し、且つ、上述した電極反応を阻害するものでなければ特に限定されない。本発明に使用される導電補剤としては、例えば炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー及び金属多孔体等を挙げることができる。炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良い。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等を挙げることができる。
電極活物質層における導電性材料の含有割合としては、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以下、中でも1質量%〜40質量%であることが好ましい。
本発明に使用される結着剤は、電極活物質層中の結着力を高め、且つ、上述した電極反応を阻害するものでなければ特に限定されない。本発明に使用される結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ化物ポリマーや、スチレン・ブタジエンゴム(SBRゴム)等のゴム系樹脂等を挙げることができる。
電極活物質層における結着剤の含有割合としては、特に限定されるものではないが、例えば30質量%以下、中でも1質量%〜20質量%であることが好ましい。
本発明に用いられる電極活物質層の厚さは、電池の用途等により異なるものであるが、例えば1〜500μmであることが好ましい。
(2)電解質層
本発明に使用される電解質層は、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む第2電解質を含有する。
ここで、本発明に使用されるイオン性液体は、塩化物イオン及び有機オニウムカチオンを含む。ここで、有機オニウムカチオンとは、中性のヘテロ原子をその構造中に含む有機カチオンのことであり、且つ、当該ヘテロ原子に対し、正電荷をもつ1価のアルキル基(カルボカチオン)が配位することにより、原子価が1つ増えて正に帯電した有機カチオンのことである。
本発明に使用される有機オニウムカチオンは、上述した電極反応を阻害するものでなければ特に限定されない。本発明に使用される有機オニウムカチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウム(例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)カチオン、トリアルキルイミダゾリウム(例えば1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム)カチオン、不飽和アルカン基を持つアルキルイミダゾリウム(例えば1−アリル−3−メチルイミダゾリウム)カチオン、アルキルピリジニウム(例えば1−ブチルピリジニウム)カチオン、芳香環にアルキル基を持つアルキルピリジニウム(例えば1−エチル−3−メチルピリジニウム)カチオン、第4級脂肪族アンモニウム(例えばテトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等)カチオン、第4級脂肪族ホスホニウム(例えばテトラメチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等)カチオン、ジアルキルピペリジニウム(例えば1−メチル−1−プロピルピペリジニウム)カチオン、アルキルピロリジニウム(例えば1−エチル−1−メチルピロリジニウム)カチオン、ピラゾニウム(例えば1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾニウム)カチオン、第3級スルホニウム(例えばトリエチルスルホニウム)カチオン、グライム(例えばグアニジウム、エチレングリコール・ジメチルエーテル等)カチオン、または上記カチオン中のアルキル基の代わりにメトキシエチル基等のエーテル基を有するカチオン等を挙げることができる。これらの有機オニウムカチオンは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、これらのカチオンの水酸基置換体や、アリル基置換体等の誘導体を用いてもよい。なお、本発明において利用する上述した電気化学反応(B−III)、(C−III)、(D−III)、及び(E−III)においては、電解質中に含まれるカチオン種の違いによる性能の差は小さい。電解質中に含まれるカチオン種の違いは、本発明においては、溶媒和エネルギー等の差による電気化学反応の平衡電位の差にせいぜい寄与する程度である。
本発明に使用されるイオン性液体としては、具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムクロリド、1−ブチルピリジニウムクロリド、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−オクタデシル−3−イミダゾリウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1,1−ジメチル−1−エチル−メトキシエチルアンモニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリドが例示できる。これらのイオン性液体の中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムクロリド、及び/又は1−ブチルピリジニウムクロリドを使用することが好ましい。
本発明に使用されるイオン性液体としては、塩化物イオンおよび上述した有機オニウムカチオン以外の構成を含有していてもよい。他の構成としては、上述した電気化学反応に影響しないアニオン等を挙げることができ、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタイド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド等のフッ化アルキルスルホン酸系アニオンやメタンスルホン酸等のスルホン酸系アニオン、アセテート、エチル硫酸、チオシアネート、ジブチルリン酸、6フッ化リン酸やトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロ燐酸等リン酸系アニオン、4フッ化ホウ素やテトラシアノホウ酸等ホウ酸系アニオン、6フッ化ヒ素等の無機フッ化物錯体アニオンを含有していてもよい。なお、本発明においては、これらのアニオンから1種類または2種類以上組み合わせて含有していてもよい。
また電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)のモル含有比は、イオン性液体1.0molに対する塩化アルミニウム(III)のモル含有比が、1.0molより大きく2.0mol以下であることが好ましい。中でも、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=1.0mol:1.5mol〜1.0mol:1.9molであることが好ましい。
本発明においては、電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)との含有比に伴い、電解質中のアニオン種も変化する。例えば、電解質中における塩化アルミニウム(III)のモル含有割合が、電解質中におけるイオン性液体のモル含有割合よりも少ない場合には、電解質中におけるアニオンは塩化物アニオン(Cl)が主となる。一方、電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)のモル含有比が、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=1.0mol:1.0mol〜1.0mol:1.4molの場合には、電解質中におけるアニオンはAlCl が主となる。さらに、電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)のモル含有比が、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=1.0mol:1.5mol〜1.0mol:1.9molの場合には、電解質中におけるアニオンはAlCl が主となる。また、電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)のモル含有比が、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=1.0mol:1.95mol〜1.0mol:2.0molの場合には、電解質中にAlCl10 が現れる。アニオン中のアルミニウム核が多いほどルイス酸性が高く、より強く塩化物イオン等の塩基をひきつける。電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)のモル含有比が異なることによって、電極活物質の電解質に対する溶出性、電極活物質と電解質との反応性、及び本発明の電極体を電池に用いた場合の対向する電極におけるアルミニウム金属の析出の有無とその電位がそれぞれ異なる。したがって、塩化物アニオン(Cl)が主となる電解質の組成、AlCl が主となる電解質の組成、AlCl が主となる電解質の組成、及び電解質中にAlCl10 が現れる電解質の組成においては、いずれも、電解質中の化学平衡、電極反応、及び電極と電解質との界面における電気化学反応性は異なる。
上述したイオン性液体:塩化アルミニウム=1.0mol:1.5mol〜1.0mol:1.9molのモル含有比の範囲内においては、電解質中におけるアニオンはAlCl が主となる。当該モル含有比の範囲内においては、上述した電極活物質に対する電解質への溶出性が比較的低く、且つ、電気化学的な酸化還元が起こりやすくなる。
また本発明においては、電解質中のイオン性液体及び塩化アルミニウム(III)の総含有量に対する塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)は、イオン性液体や有機オニウムカチオンの種類に応じて適宜調整されるものであり、電解質として機能するものであれば特に限定されない。例えば、イオン性液体として1−エチル−3−メチルクロリド(EMICl又はEMI+Cl−と表記)を用いる場合、塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)は、50.0%<Xであることが好ましく、中でも51.0%≦X≦65.5%の範囲内であることが特に好ましい。
上述した塩化アルミニウム(III)の濃度Xが上記範囲内である場合、電解質中に電気化学的に活性な、塩化アルミニウム(III)由来のアニオンであるAlCl が十分な濃度発生する。そのため、このアニオンを媒介とした負極でのアルミニウムの溶解・析出反応、および正極での金属種の塩化・脱塩化反応が起こりやすくなり、且つ、電極活物質の電解質への溶出性が比較的低くなる。従って本発明の電極体を使用して電池を作製する際に、当該電池が十分に動作できると考えられるからである。
ここで、上述した塩化アルミニウム(III)濃度X(%)は、次式を用いて算出することができる。なお、式中では、イオン性液体である1−エチル−3−メチルクロリドの含有量(mol)を[EMI+Cl−]と表記し、塩化アルミニウム(III)の含有量(mol)を[AlCl]と表記する。
X(%)=[AlCl]/([EMI+Cl−]+[AlCl])×100
本発明においては、上述した塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)に伴い、電解質中のアニオン種も変化する。例えば、塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)が、50%よりも小さい場合には、電解質中におけるアニオンは塩化物アニオン(Cl)が主となる。一方、塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)が、50.0%≦X≦60.0%である場合には、電解質中におけるアニオンはAlCl が主となる。また、塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)が、60.0%≦X≦65.5%である場合には、電解質中におけるアニオンはAlCl が主となる。さらに、塩化アルミニウム(III)の濃度Xが、65.5%≦X≦66.7%である場合には、電解質中にAlCl10 が現れる。
アニオン中のアルミニウム核が多いほどルイス酸性が高く、より強く塩化物イオン等の塩基をひきつける。上述した塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)が異なることによって、電極活物質の電解質に対する溶出性、電極活物質と電解質との反応性、及び本発明の電極体を電池に用いた場合の対向する電極におけるアルミニウム金属の析出の有無とその電位がそれぞれ異なる。したがって、塩化物アニオン(Cl)が主となる電解質の組成、AlCl が主となる電解質の組成、AlCl が主となる電解質の組成、及び電解質中にAlCl10 が現れる電解質の組成においては、いずれも、電解質中の化学平衡、電極反応、及び電極と電解質との界面における電気化学反応性は異なる。
本発明における電解質に対する、上述した電極活物質(例えば塩化バナジウム(III)等)の溶出量は、小さければ小さいほど好ましい。当該溶出量が大きすぎる場合には、電極活物質が当該電解質中に溶出し、その結果、上述したような自己放電が発生して電池が劣化し、電気化学的に不可逆となるおそれがある。
電解質に対する、上述した電極活物質の溶出量としては、電極活物質及び電解質の種類にもよるが、例えば1000μmol/L以下であることが好ましく、100μmol/L以下であることがより好ましく、20μmol/L以下であることが特に好ましい。
本発明における第2電解質は、上述したイオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含有するものであり、通常、液状(液体電解質)である。また、上記第2電解質は、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びアセトニトリル等の有機溶媒を含んでいてもよい。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。カーボネート系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
(3)電極体
本発明に係る電極体は、さらに電極集電体を備えていてもよい。
電極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば白金、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、集電効率に優れるという観点から、電極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。本発明においては、後述する電池ケースが電極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
電極集電体の厚さは、例えば1〜500μmであることが好ましい。
本発明に係る電極体は、例えばアルミニウム電池に用いられることが好ましい。ここで、本発明においては、アルミニウムイオン及びアルミニウムを含有するアニオン(例えば、AlCl 、AlCl 等の塩化アルミニウム(III)由来のアニオン)が電池反応に寄与する電池を示す。
以下、本発明に係る電極体の製造方法の典型例について詳細に述べる。
まず、電極活物質及び第1電解質を有する電極活物質層を作製する。電極活物質の作製方法の一例としては、電極活物質に対し、さらに導電補剤及び/又は結着剤を、適切な含有比となるように混合して電極合剤を準備し、第1層を形成した。第1層の電解質層側表面に、第1電解質を含有する第2層(例えばゲル電解質)を貼りつける等して、電極活物質層を形成する方法を挙げられる。また電極活物質層の形成方法の他の例としては、上述したような電極合剤を準備し成形した後、第1電解質内に含浸させる等の方法で、孔内に第1電解質を充填した電極活物質層を形成する方法が挙げられる。なお、電極集電体を用いる場合には、電極活物質層の一面側(電解質層とは逆側)に積層させればよい。
一方、電解質層としては、上述したイオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=1.0:1.5〜1.0:1.9のモル比で混合した第2電解質を用いる。電解質層の形成方法としては、例えば、成形した電極活物質層上に、電解質をスパチュラ等で薄く均一に塗布する方法や、電解質を電極活物質層上にスプレー塗布する方法等が例示できる。
以上の製造工程においては、酸素濃度0.5ppm以下の低酸素条件下、且つ、露点−85℃以下の低水分条件下で行うことが好ましい。
なお、電極体中の電解質側に負極を積層させることにより、後述する電池を製造することができる。
図1は、本発明に係る電極体の積層構造の典型例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。電極体20は、電極活物質層11と、電解質層12とを備えるものである。図1(a)に示すように、電極活物質層11は、電極活物質を含有する第1層11a、及び第1電解質を含有する第2層を有するものであってもよい。また図1(b)に示すように、電極活物質層11内で、電極活物質1及び第1電解質2が接するものであってもよい。ここで、電極活物質層11は、通常、電極活物質1及び第1電解質2を有するものであり、さらに必要に応じて、導電補剤3と、結着剤4とを有していてもよい。また電解質層12は、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)を含む第2電解質を有するものである。なお、本発明に係る電極体は、必ずしも上記典型例のみに限定されるものではない。また、図1に描かれた各層の厚さは、必ずしも本発明に係る電極体における各層の厚さを反映するものとは限らない。
2.電池
本発明の電池は、負極活物質層及び上記電極体を備える電池であって、前記負極活物質層と、前記電極体における前記正極活物質層とは、前記電極体における前記電解質層を間に介在して配置されることを特徴とする。
本発明の電池においては、上記電極体中の電極活物質層が正極活物質層として使用される。
図2は、本発明に係る電池の積層構造の一例を示し、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。
図2(a)、(b)に示すように、電池30は、正極活物質層21と、負極活物質層22と、当該正極活物質層21及び当該負極活物質層22の間に介在する電解質層23とを備える。正極活物質層21及び電解質層23は、上述した電極体30の電極活物質層11及び電解質層12にそれぞれ対応する。また電池30は、正極活物質層21の集電を行う正極集電体24と、負極活物質層22の集電を行う負極集電体25と、電池ケース26と、セパレータ27とを備える。
なお、図2(a)、(b)に描かれた各層の厚さは、必ずしも本発明に係る電池における各層の厚さを反映するものとは限らない。
本発明に係る電池のうち正極活物質層及び電解質層については、上述した本発明に係る電極体中の電極活物質層及び電解質層と同様である。以下、本発明に係る電池の他の構成要素である負極活物質層、並びに本発明に好適に用いられるセパレータ及び電池ケースについて、詳細に説明する。
本発明に使用される負極活物質層は、アルミニウムイオン又は塩化アルミニウム(III)由来のアニオン(例えばAlCl 、AlCl 等)を可逆的に還元析出、酸化溶解可能な電極であれば特に限定されるものではなく、金属、合金、金属化合物、及び炭素材料のうち少なくともいずれか1つを負極活物質として含有する。
負極活物質として使用できる金属、合金、及び金属化合物としては、具体的には、リチウム等のアルカリ金属元素;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素;チタン等の第4族元素;クロム、タングステン等の第6族元素;マンガン等の第7族元素;鉄及びルテニウム等の第8族元素;ロジウム等の第9族元素;ニッケル、白金及びパラジウムからなる第10族元素;銅及び金等の第11族元素;亜鉛等の第12族元素;アルミニウム等の第13族元素;ケイ素等の第14族元素;を含む金属、合金、及び金属化合物を例示することができる。これらの元素の中でも、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、金、タングステン、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケル、銅、マンガン、クロム、亜鉛、ケイ素、及びチタンのうち少なくともいずれか1つの元素を含むことが好ましい。
負極活物質として使用できる炭素材料としては、多孔質構造を有する炭素材料、多孔質構造を有しない炭素材料が例示できる。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等を挙げることができる。
本発明には、合金負極を用いてもよい。
本発明においては、負極活物質として、アルミニウム金属、アルミニウム合金、及びアルミニウム化合物を用いることがより好ましい。負極活物質として使用できるアルミニウム合金としては、例えば、アルミニウム−バナジウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅合金、及びアルミニウム−リチウム合金等を挙げることができる。また、負極活物質として使用できるアルミニウム化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム(III)、アルミニウム(III)クロリドオキシド、シュウ酸アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、及びヨウ化アルミニウム(III)等を挙げることができる。
本発明においては、負極活物質として、アルミニウム金属を用いることがさらに好ましい。
また、上記負極活物質層は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電性材料及び結着剤の少なくとも一方を含有するものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極活物質層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を含有する負極活物質層とすることができる。なお、負極活物質層の作製に使用できる導電性材料及び結着剤は、上述した電極活物質層の作製に使用できる導電性材料及び結着剤と同様である。
本発明の電池は、負極活物質層自体を負極として使用してもよい。また、本発明の電池は、負極活物質層に加えて、さらに負極集電体、及び当該負極集電体に接続された負極リードを備えていてもよい。
本発明に使用できる負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル、カーボン等を挙げることができる。上記負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本発明においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
本発明に係る電池の一部にセパレータを設けることが好ましい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;及び樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
1.電池の製造
[実施例1]
実施例1の電池の作製は、低酸素条件下(酸素濃度:0.5ppm以下)、且つ、低水分条件下(露点:−85℃以下)のアルゴン雰囲気下で行った。
電極活物質として塩化バナジウム(III)(関東化学株式会社製)、導電補剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック、型番:HS−100)及び結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(三井デュポンフロロケミカル社製)を、電極活物質:導電補剤:結着剤=6:3:1の質量比となるように秤量し、めのう乳鉢を用いて混練して電極合剤を得た。
イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学社製、純度99%、真空中で100℃で精製、EMIC)を用い、当該イオン性液体と塩化アルミニウム(III)(アルドリッチ社製、純度99.999%)を、イオン性液体:塩化アルミニウム(III)=2:3のモル比で混合した。なお、電解質中におけるイオン性液体と塩化アルミニウム(III)との総含有量に対する塩化アルミニウム(III)の濃度X(%)は60%であった。次に、得られた混合液と、イオノマー及び架橋剤を含むゲル化剤と混合した。ここで、イオノマーとしてポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)(関東化学社製)を等容積のアセトニトリルに溶解させた溶液を準備し、イオン性液体及び塩化アルミニウム(III)の混合液1mLに対して当該イオノマー100μLを混合して15分撹拌した。続いて、架橋剤としてN,N,N’,N’−テトラ(トリフルオロメタンスルホニル)ドデカン−1,12−ジアミン50mg(関東化学社製)を混合して10分撹拌して第1電解質形成用溶液を準備した。その後、電極合剤が第1電解質形成用溶液を十分に含浸するように、電極合剤を当該第1電解質形成用溶液に浸漬して90℃で1時間保持し、電極活物質層及び第1電解質を有する電極活物質層を得た。
得られた電極活物質層を作用極とし、機械的に研磨したアルミニウム箔(純度99.999%)を対極として準備した。上述したイオン性液体であるEMIC及び塩化アルミニウム(III)をイオン性液体:塩化アルミニウム(III)=2:3のモル比で混合した電解質を準備し、作用極及び対極を浸漬して評価用電池を作製した。
[比較例1]
比較例1の電池の作製は、アルゴン雰囲気下(露点:−80℃以下、酸素濃度:1ppm以下)で行った。実施例1と同様に、電極活物質として塩化バナジウム(III)(関東化学株式会社製)、導電補剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック、型番:HS−100)及び結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(三井デュポンフロロケミカル社製)を、電極活物質:導電補剤:結着剤=6:3:1の質量比となるように秤量し、めのう乳鉢を用いて混練して電極合剤を得た。
得られた電極合剤を作用極とし、当該作用極及び対極を電解質に浸漬して評価用電池を作製した。なお、対極及び電解質は実施例1と同様である。
2.電気化学評価試験
2−1.定電流放電
実施例1で得られた評価用電池について、定電流放電による評価を行った。
具体的に、評価用電池の作用極及び対極をポテンシオスタット(Biologic社製、SP−200)に接続し、100μA、0.3V終止として定電流放電を行った。
図3は、実施例1で得られた評価用電池に関する定電流放電曲線、すなわち、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド及び塩化アルミニウム(III)からなる電解質に対する、塩化バナジウム(III)及び第1電解質(ゲル電解質)を有する電極活物質層の100μAにおける定電流放電曲線である。なお、図3における電位は、アルミニウム参照極を基準とする。したがって、以下、電位については、アルミニウム基準(vs.Al3+/Al)により示す。
図3は、縦軸に電圧(V vs.Al3+/Al)、横軸に放電容量(mAh/g)をそれぞれとったグラフである。図3から分かるように、0.87Vおよび0.36Vから始まる2段階のプラトーが観察された。0.87V付近から始まるプラトーは、VCl+e→VCl+Clで表される還元反応に相当するものであり、0.36V付近から始まるプラトーは、VCl+e→V+2Clで表される還元反応に相当するものである。
ここで、例えば、第1電解質を有しない電極活物質層を用いて得られた評価用電池では、電気化学評価試験の結果から、上述した2段階の還元反応の反応電位を1.1V及び0.6Vと推測できた。このような評価用電池で推測される反応電位より、実施例1で得られた評価用電池では、各還元反応の反応電位がそれぞれ0.2V程度低下している。これは、電極活物質層が第1電解質(ゲル電解質)を有することによるイオン伝導の低下と、それに伴う電圧降下によるものであると考えられる。また、通常、高容量を放電する定電位側のプラトー領域の電圧が低下したことにより、0.3V終止条件では十分に放電しきることができたかったために、放電容量が−40mAh/g程度となったと考えられる。
2−2.定電流充放電
実施例1で得られた評価用電池にて、放電後のものを準備した。10μAにて定電流充電した後、1.6Vで終止した。その後、2000秒間開回路とした後、10μAにて定電流放電し0.9Vで終止した。
図4は、実施例1で得られた評価用電池に関する定電流充放電曲線、すなわち、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド及び塩化アルミニウム(III)からなる電解質に対する、塩化バナジウム(III)及び第1電解質(ゲル電解質)を有する電極活物質層の100μAにおける定電流放電曲線である。なお、図4における電位は、アルミニウム参照極を基準とする。したがって、以下、電位については、アルミニウム基準(vs.Al3+/Al)により示す。
図4は、縦軸に電圧(V vs.Al3+/Al)、横軸に時間(s)をそれぞれとったグラフである。図4では、1.3V付近からの充電ショルダーと、1.1V付近での放電プラトーとが観察された。前者の充電ショルダーは、VCl+Cl→VCl+eで表される酸化反応に相当するものであり、後者の放電プラトーは、VCl+e→VCl+Clで表される還元反応に相当するものである。これより、実施例1で得られた評価用電池は、充放電が可能であることが実証された。
2−3.電気化学評価試験前後の評価用電池の観察
図5は、上述した2−1.及び2−2.の電気化学評価試験前後における比較例1で得られた評価用電池の観察結果である。
ここで、実施例1及び比較例1で使用された電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド及び塩化アルミニウム(III)からなる電解質)は、上述した2−1.及び2−2.の電気化学評価試験を行う前には薄く黄味がかった透明であることが観察された。
比較例1で得られた評価用電池について、実施例1と同様の方法で、定電流放電及び定電流充放電を行って再度観察したところ、評価用電池の電解質層が濁った紫色であることが観察された。このような電解質層の変色は、電極活物質が電解質層へ溶出したことによるものと考えられる。また、電気化学評価試験後の比較例1の評価用電池を1週間放置したところ、電解質層中に沈殿が観察された。これは、電解質層中に分散した電極活物質が凝集し沈殿したものと考えられる。
これに対して、実施例1で得られた評価用電池では、電気化学評価試験前後の電解質層に変色は見られなかった。これより、電極活物質層が第1電解質を有することで、電極活物質の電解質層への溶出を抑制可能なことが実証された。
1 電極活物質
2 第1電解質
3 導電補剤
4 結着剤
11 電極活物質層
11a 第1層
11b 第2層
12 電解質層
20 電極体
21 正極活物質層
22 負極活物質層
23 電解質層
24 正極集電体
25 負極集電体
26 電池ケース
27 セパレータ
30 電池

Claims (6)

  1. 少なくとも電極活物質層及び電解質層を備える電極体であって、
    前記電極活物質層が、第3族〜第14族に属する金属元素を含有する金属塩化物、及び前記金属塩化物の還元体の少なくとも1つである電極活物質と、第1電解質とを有し、
    前記電解質層が第2電解質を有し、
    前記第1電解質がゲル電解質であり、
    前記第2電解質が塩化物イオン及び有機オニウムカチオンを含むイオン性液体、及び塩化アルミニウム(III)を含むものであることを特徴とする電極体。
  2. 前記電極活物質層内で、前記電極活物質と、前記第1電解質とが接することを特徴とする請求項1に記載の電極体。
  3. 前記電極活物質層が、前記電極活物質を含有する第1層と、前記第1層の前記電解質層側の表面に形成され、前記第1電解質を含有する第2層とを有することを特徴とする請求項1に記載の電極体。
  4. 前記電極活物質層が、イオン性液体を架橋してゲル化したゲル電解質を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電極体。
  5. 前記電極体がアルミニウム電池用電極体であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電極体。
  6. 負極活物質層及び前記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の電極体を備える電池であって、
    前記負極活物質層と、前記電極体における前記電極活物質層とは、前記電極体における前記電解質層を間に介在して配置されることを特徴とする電池。
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