以下、本発明に係るハイブリッド式作業機の実施の形態を、ハイブリッド式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、1はハイブリッド式作業機の代表例としてのハイブリッド式油圧ショベルを示している。ハイブリッド式油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に設けられた旋回軸受装置3と、該旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に基体としての車体を構成する上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5とを含んで構成されている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる左,右の走行用モータ2E,2F(図3参照)によって回転駆動される。一方、トラックフレーム2Aの中央部の上側には、旋回軸受装置3が取付けられている。
作業装置5は、後述する旋回フレーム6の前側に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)からなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
上部旋回体4は、強固な支持構造体をなす旋回フレーム6を含んで構成されている。旋回フレーム6は、旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。このために、旋回フレーム6の下面側には、旋回軸受装置3が取付けられている。一方、旋回フレーム6上には、後述のキャブ7、カウンタウエイト8、エンジン9、アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11、蓄電装置13、旋回用電動モータ14、電力変換装置18、冷却装置25等が設けられている。
7は旋回フレーム6の左前側に設けられたキャブを示している。キャブ7内には、オペレータが着座する運転席が設けられている。運転席の周囲には、後述のコントロールバルブ12に接続された走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
8は旋回フレーム6の後端側に取付けられたカウンタウエイトを示している。カウンタウエイト8は、作業装置5との重量バランスをとるものである。
9はキャブ7とカウンタウエイト8との間に位置して旋回フレーム6上に設けられたエンジンを示している。エンジン9は、例えばディーゼルエンジンにより構成され、ハイブリッド式油圧ショベル1の内燃機関として、上部旋回体4に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン9の出力側には、後述するアシスト発電モータ10と油圧ポンプ11が接続されている。エンジン9の左側(アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11とは反対側)には、ファン9Aが設けられている。このファン9Aは、エンジン9によって回転駆動されることにより、後述する熱交換装置15に外気を冷却風として供給するものである。
10はエンジン9に接続された第1の電動機としてのアシスト発電モータ(発電電動機)を示している。アシスト発電モータ10は、例えば永久磁石型同期電動機を用いて構成され、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行い、または電力が供給されることによりエンジン9の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ10は、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行う発電機機能と、後述の直流母線22A,22B(図3参照)を介して電力が供給されることによりエンジン9の駆動を補助する電動機機能とを有するものである。
アシスト発電モータ10の発電電力は、直流母線22A,22Bを介して、後述する蓄電装置13、旋回用電動モータ14に供給され、蓄電装置13の充電(蓄電)、旋回用電動モータ14の駆動が行われる。一方、エンジン9の駆動を補助するときは、アシスト発電モータ10は、蓄電装置13に充電された電力(ないし旋回用電動モータ14の回生電力)により駆動される。
ここで、アシスト発電モータ10の外殻を構成するケーシング10Aには、後述の冷却水が流通する冷却水流路としてのウォータジャケット(図示せず)が形成されている。アシスト発電モータ10のウォータジャケットは、後述する冷却管路29の一部を構成するもので、このウォータジャケット内を冷却水が流通することにより、アシスト発電モータ10の冷却を行う構成となっている。
11は後述の作動油タンク16と共に油圧源を構成する(複数の)油圧ポンプを示している。油圧ポンプ11は、例えば斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプ等によって構成され、エンジン9により駆動されるものである。油圧ポンプ11は、各油圧アクチュエータ、即ち、下部走行体2の走行用モータ2E,2F、作業装置5のブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fを駆動するための動力源として、作動油タンク16内の作動油を昇圧して後述のコントロールバルブ12に向けて吐出する。
12は旋回フレーム6上に設けられたコントロールバルブを示している。コントロールバルブ12は、各油圧アクチュエータ(走行用モータ2E,2F、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5F)を制御する複数個の油圧制御弁により構成されている。コントロールバルブ12は、油圧ポンプ11から供給される圧油の供給と排出を、操作レバーの操作に応じて切換え、この操作に対応した油圧アクチュエータ2E,2F,5D,5E,5Fに圧油を供給するものである。
13は旋回フレーム6上に設けられた蓄電装置を示している。蓄電装置13は、例えば電気二重層のキャパシタを用いて構成されている。蓄電装置13は、アシスト発電モータ10による発電電力、後述する旋回用電動モータ14による旋回減速時の発電電力(回生電力)を充電(蓄電)し、または、充電された電力をアシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14に放電(給電)するものである。
ここで、蓄電装置13の外殻を構成するケーシング13Aには、後述の冷却水が流通する冷却水流路としてのウォータジャケット(図示せず)が形成されている。蓄電装置13のウォータジャケットは、後述する冷却管路29の一部を構成するもので、このウォータジャケット内を冷却水が流通することにより、蓄電装置13の冷却を行う構成となっている。なお、蓄電装置13としては、キャパシタ以外にも、例えばリチュウムイオンバッテリ等のバッテリを用いることもできる。
14は旋回フレーム6の中央に設けられた第2の電動機としての旋回用電動モータを示している。旋回用電動モータ14は、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回させるもので、減速機構(図示せず)を介して、旋回軸受装置3(の内輪の内歯)に噛合した歯車(図示せず)を回転駆動する。これにより、旋回軸受装置3を介して下部走行体2上で上部旋回体4を旋回動作することができる。
旋回用電動モータ14は、例えば永久磁石型同期電動機を用いて構成され、蓄電装置13の電力により駆動される。さらに、旋回用電動モータ14は、旋回動作を減速するときに発生するエネルギを電気エネルギに変換し発電を行う。即ち、旋回用電動モータ14は、後述の直流母線22A,22Bを介して電力が供給されることにより上部旋回体4を旋回させる電動機機能と、旋回減速時に上部旋回体4の運動エネルギ(回転エネルギ)を電気エネルギに変換(回生発電)する発電機機能とを有するものである。旋回用電動モータ14の発電電力(回生電力)は、直流母線22A,22Bを介して、蓄電装置13、アシスト発電モータ10に供給され、蓄電装置13の充電(蓄電)、アシスト発電モータ10の駆動が行われる。
ここで、旋回用電動モータ14の外殻を構成するケーシング14Aには、後述の冷却水が流通する冷却水流路としてのウォータジャケット(図示せず)が形成されている。旋回用電動モータ14のウォータジャケットは、後述する冷却管路29の一部を構成するもので、このウォータジャケット内を冷却水が流通することにより、旋回用電動モータ14の冷却を行う構成となっている。
15はエンジン9の左側に設けられた熱交換装置を示している。熱交換装置15は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ等により構成されている。本実施の形態では、油圧ショベル1の電動システムを冷却する後述の冷却装置25は、エンジン冷却水や作動油等を冷却するための熱交換装置15とは別系統で設けられている。即ち、冷却装置25のラジエータ27は、熱交換装置15とは別体に設けられている。なお、図示は省略するが、冷却装置25のラジエータ27を、熱交換装置15とユニット化してもよい。
16は例えば旋回フレーム6の右側に設けられた作動油タンクで、この作動油タンク16は、油圧ポンプ11に供給する作動油を貯えるものである。17は作動油タンク16の近傍に位置して旋回フレーム6上に設けられた燃料タンクで、この燃料タンク17は、エンジン9に供給する燃料を貯えるものである。
次に、油圧ショベル1の電動システムの構成について説明する。
図3に示すように、油圧ショベル1の電動システムは、上述したアシスト発電モータ10、蓄電装置13、旋回用電動モータ14に加えて、後述する第1のインバータ19,第2のインバータ20、チョッパ21等によって構成されている。この場合、第1のインバータ19と第2のインバータ20とチョッパ21は、例えば、電力変換装置(パワーコントロールユニット)18としてまとめて(ユニット化して)上部旋回体4に搭載されている。
電力変換装置18の外殻を構成するケーシング18Aには、後述の冷却水が流通する冷却水流路としてのウォータジャケットが形成されている。電力変換装置18のウォータジャケットは、第1のインバータ19を冷却するウォータジャケットと、第2のインバータ20を冷却するウォータジャケットとが別系統で形成されている。これら各ウォータジャケットは、それぞれ後述する冷却管路29の一部を構成するもので、それぞれのウォータジャケット内を冷却水が流通することにより、第1のインバータ19または第2のインバータ20の冷却を行う構成となっている。
19はアシスト発電モータ10に電気的に接続された第1のインバータを示している。第1のインバータ19は、アシスト発電モータ10の駆動を制御するものである。具体的には、第1のインバータ19は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子を用いて構成され、後述する一対の直流母線22A,22Bに接続されている。第1のインバータ19のスイッチング素子は、そのオン/オフが制御部19Aによって制御される。アシスト発電モータ10の発電時には、第1のインバータ19は、アシスト発電モータ10による発電電力を直流電力に変換して直流母線22A,22Bに供給する。一方、アシスト発電モータ10のモータ駆動時には、第1のインバータ19は、直流母線22A,22Bの直流電力から三相交流電力を生成し、アシスト発電モータ10に供給する。
20は旋回用電動モータ14に電気的に接続された第2のインバータを示している。第2のインバータ20は、旋回用電動モータ14の駆動を制御するものである。具体的には、第2のインバータ20は、第1のインバータ19とほぼ同様に、複数のスイッチング素子を用いて構成され、後述する一対の直流母線22A,22Bに接続されている。第2のインバータ20のスイッチング素子は、そのオン/オフが制御部20Aによって制御される。旋回用電動モータ14の旋回駆動時には、第2のインバータ20は、直流母線22A,22Bの直流電力から三相交流電力を生成し、旋回用電動モータ14に供給する。一方、旋回用電動モータ14の旋回減速時(回生時)には、第2のインバータ20は、旋回用電動モータ14による回生電力を直流電力に変換して直流母線22A,22Bに供給する。
21は一端が蓄電装置13に接続され他端が一対の直流母線22A,22Bに接続されたチョッパを示している。チョッパ21とインバータ19,20とは、一対の直流母線22A,22Bを介して互いに電気的に接続される。チョッパ21は、例えばIGBT等からなる複数のスイッチング素子とリアクトルとを備える。チョッパ21は、制御部21Aによってスイッチング素子のオン/オフが制御される。そして、蓄電装置13の充電時には、チョッパ21は、降圧回路(降圧チョッパ)として機能し、例えば直流母線22A,22Bの直流電圧を降圧して蓄電装置13に供給する。一方、蓄電装置13の放電時には、チョッパ21は、昇圧回路(昇圧チョッパ)として機能し、蓄電装置13から供給される直流電圧を昇圧して直流母線22A,22Bに供給する。
インバータ19,20およびチョッパ21は、正極側(プラス側)と負極側(マイナス側)で一対の直流母線22A,22Bを通じて相互に接続されている。直流母線22A,22Bには、平滑用のコンデンサ(図示せず)が接続されると共に、例えば数百V程度の所定の直流電圧が印加される。
一方、制御部19A〜21Aは、通信線23を通じて制御装置(C/U)24に電気的に相互に接続され、CAN(Control Area Network)を構成する。制御装置24は、操作指令信号等のような各種の信号を用いて、制御部19A〜21Aに対する制御指令を生成し、モータ10,14の駆動制御、電動システムの異常監視、エネルギーマネジメント等の制御を行う。さらに、制御装置24は、後述するように、冷却装置25の制御、具体的には、冷却装置25の切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の流量(吐出流量)の制御(電動ポンプの制御)、ファン用モータ28Bの回転速度制御(電動モータの制御)等も行う。
次に、油圧ショベル1の電動システムの冷却を行う冷却装置25について、図2、図4および図5を用いて説明する。なお、図4は、冷却水の循環経路が並列の接続状態を、図5は、冷却水の循環経路が直列の接続状態を、それぞれ示している。
25は蓄電装置13、第1のインバータ19、アシスト発電モータ10、第2のインバータ20および旋回用電動モータ14を冷却水の循環により冷却する冷却装置を示している。本実施の形態では、冷却装置25は、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じて、第1のインバータ19および第2のインバータ20の冷却水量を個別に制御する構成となっている。このために、冷却装置25は、後述の冷却ポンプ26と、ラジエータ27と、ファン装置28と、冷却管路29と、切換弁30,31と、前述の制御装置24とを含んで構成されている。冷却管路29の途中には、冷却液としての冷却水を貯溜するリザーバタンク(図示せず)が設けられている。
26は冷却液としての冷却水を循環させる冷却ポンプ(ウォータポンプ)を示している。冷却ポンプ26は、例えば、循環する冷却水の流量(循環流量)の調整が可能な電動ウォータポンプ(電動ポンプ)等を用いて構成されている。冷却ポンプ26は、制御装置24により、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じてその流量が調整される。具体的には、冷却ポンプ26は、例えば、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力が大きい程、冷却水の流量を大きくし、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力が小さい程、冷却水の流量を小さくする。
27は冷却水を冷却するラジエータを示している。ラジエータ27は、蓄電装置13、第1のインバータ19、アシスト発電モータ10、第2のインバータ20および旋回用電動モータ14を冷却して温度上昇した冷却水を冷却するものである。ラジエータ27には、後述するファン装置28(の冷却ファン28A)が対面して設けられている。
28はラジエータ27に冷却風を送風するファン装置を示している。ファン装置28は、ラジエータ27に対面して設けられた冷却ファン28Aと、該冷却ファン28Aを回転駆動するファン用モータ28Bとを含んで構成されている。ファン用モータ28Bは、例えば、回転速度の調整が可能な電動モータ、油圧モータ等を用いて構成されている。ファン用モータ28Bは、制御装置24により、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じてその回転速度、即ち、冷却ファン28Aによるファン風量が調整される。具体的には、ファン用モータ28Bは、例えば、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力が大きい程、ファン風量を大きくし、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力が小さい程、ファン風量を小さくする。回転速度の調整は、油圧モータ等を用いてもよい。
29は蓄電装置13、第1のインバータ19、第2のインバータ20、ラジエータ27および冷却ポンプ26を接続する冷却管路を示している。冷却管路29は、冷却ポンプ26と蓄電装置13とを接続する吐出管路29Aと、蓄電装置13とラジエータ27との間で第1のインバータ19とアシスト発電モータ10とを接続する第1の電動機用冷却管路29Bと、蓄電装置13とラジエータ27との間で第2のインバータ20と旋回用電動モータ14とを接続する第2の電動機用冷却管路29Cと、ラジエータ27と冷却ポンプ26とを接続するポンプ供給管路29Dとを含んで構成されている。
冷却管路29の途中で蓄電装置13の下流側には、冷却水の流れ方向の上流側から順に、後述する上流側切換弁30と下流側切換弁31が設けられている。蓄電装置13と上流側切換弁30は、上流側接続管路29Eで接続されている。上流側切換弁30と下流側切換弁31は、第1の電動機用冷却管路29Bと切換弁接続管路29Fとで接続されている。この場合、第1の電動機用冷却管路29Bの上流側は、上流側切換弁30に接続され、第1の電動機用冷却管路29Bの下流側は、下流側切換弁31に接続されている。切換弁接続管路29Fの上流側は、上流側切換弁30に接続され、切換弁接続管路29Fの下流側は、下流側切換弁31に接続されている。
一方、下流側切換弁31とラジエータ27は、第2の電動機用冷却管路29C、および、ラジエータ接続管路29Gにより接続されている。この場合、第2の電動機用冷却管路29Cの上流側は、下流側切換弁31に接続され、第2の電動機用冷却管路29Cの下流側は、ラジエータ接続管路29Gの途中に接続(合流)されている。ラジエータ接続管路29Gの上流側は、下流側切換弁31に接続され、ラジエータ接続管路29Gの下流側は、ラジエータ27に接続されている。
30,31は冷却管路29の途中に設けられた切換弁としての上流側切換弁と下流側切換弁とを示している。上流側切換弁30と下流側切換弁31は、第1のインバータ19と第2のインバータ20とに対する冷却水の流れの方向を切換えるものである。この場合、切換弁30,31は、第1の電動機用冷却管路29Bの上流側と第2の電動機用冷却管路29Cの上流側にそれぞれ設けられている。
ここで、上流側切換弁30は、例えば3ポート3位置の電磁切換弁により構成され、上流側切換弁30には、吐出管路29Aの下流側が接続されると共に、第1の電動機用冷却管路29Bの上流側と切換弁接続管路29Fの上流側が接続されている。上流側切換弁30は、吐出管路29Aと第1の電動機用冷却管路29Bとを接続する切換位置(A)と、吐出管路29Aと第1の電動機用冷却管路29Bおよび切換弁接続管路29Fとを接続する切換位置(B)と、吐出管路29Aと切換弁接続管路29Fとを接続する切換位置(C)とを有している。
一方、下流側切換弁31は、例えば4ポート2位置の電磁切換弁により構成され、下流側切換弁31には、第1の電動機用冷却管路29Bの下流側と切換弁接続管路29Fの下流側が接続されると共に、第2の電動機用冷却管路29Cの上流側とラジエータ接続管路29Gの上流側が接続されている。下流側切換弁31は、第1の電動機用冷却管路29Bとラジエータ接続管路29Gとを接続すると共に切換弁接続管路29Fと第2の電動機用冷却管路29Cを接続する切換位置(D)と、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cを接続する切換位置(E)とを有している。
例えば、図4に示すように、上流側切換弁30を切換位置(B)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(D)にすると、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとが並列に接続される並列接続位置となる。図5に示すように、上流側切換弁30を切換位置(A)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(E)にすると、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとが直列に接続される直列接続位置となる。なお、上流側切換弁30を切換位置(B)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(E)にしても、直列に接続される直列接続位置となる。
一方、上流側切換弁30を切換位置(A)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(D)にすると、第1の電動機用冷却管路29Bのみに冷却水が流れる切換位置となる。上流側切換弁30を切換位置(C)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(D)にすると、第2の電動機用冷却管路29Cのみに冷却水が流れる切換位置となる。さらに、上流側切換弁30を切換位置(C)にすると共に下流側切換弁31を切換位置(E)にすると、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとの両方に冷却水が流れない切換位置となる。
上流側切換弁30と下流側切換弁31は、制御装置24に接続され、該制御装置24により、その切換位置が切換えられる。即ち、上流側切換弁30と下流側切換弁31は、制御装置24により、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じて、並列接続位置と、直列接続位置と、第1の電動機用冷却管路29Bのみに冷却水が流れる切換位置と、第2の電動機用冷却管路29Cのみに冷却水が流れる切換位置とのうちの何れかに切換えられる。これにより、第1のインバータ19(第1の電動機用冷却管路29B)と第2のインバータ20(第2の電動機用冷却管路29C)とに対する冷却水の流れの方向が切換えられ、第1のインバータ19と第2のインバータ20に流れる冷却水量を個別に制御することができる。
32はアシスト発電モータ10に設けられた温度センサを示している。温度センサ32は、アシスト発電モータ10の温度を検出するもので、例えばサーミスタ等の温度検出器により構成されている。温度センサ32は、制御装置24に接続され、温度センサ32で検出したアシスト発電モータ10の温度は、検出信号(例えば、抵抗値の変化)として制御装置24に出力される。アシスト発電モータ10の温度は、冷却装置25の切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の制御(流量制御)、ファン用モータ28Bの制御(冷却ファン28Aの風量制御)に用いられる。
33は旋回用電動モータ14に設けられた温度センサを示している。34は第1のインバータ19に設けられた温度センサを示している。35は第2のインバータ20に設けられた温度センサを示している。これら各温度センサ33,34,35も、アシスト発電モータ10の温度センサ32と同様に、測定対象物(旋回用電動モータ14、第1のインバータ19、第2のインバータ20)の温度を検出し、その温度を、検出信号(例えば、抵抗値の変化)として制御装置24に出力する。これら各温度センサ33,34,35により検出された温度は、アシスト発電モータ10の温度と同様に、冷却装置25の切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の制御(流量制御)、ファン用モータ28Bの制御(冷却ファン28Aの風量制御)に用いられる。
36は冷却水の温度を検出する水温センサ(液温検出器)を示している。水温センサ36は、冷却管路29のうち、ラジエータ27の下流側で冷却ポンプ26の上流側となるポンプ供給管路29Dに設けられている。水温センサ36は、ラジエータ27で冷却された冷却水の温度(水温)を検出し、その温度(水温)を、検出信号として制御装置24に出力する。水温センサ36により検出された水温も、温度センサ32−35により検出された温度と同様に、冷却装置25の切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の制御(流量制御)、ファン用モータ28Bの制御(冷却ファン28Aの風量制御)に用いられる。
次に、制御装置24が行う冷却装置25の制御について説明する。
制御装置24は、第1のインバータ19およびアシスト発電モータ10の冷却と第2のインバータ20および旋回用電動モータ14の冷却とを効率的に行うことができるように、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じて、冷却装置25の切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の制御(流量制御)、ファン用モータ28Bの制御(冷却ファン28Aの風量制御)を行うものである。このために、制御装置24(の入力側)には、冷却装置25の運転状態を検知するための状態検出器、即ち、温度センサ32−35と水温センサ36が(電気的に)接続されている。一方、制御装置24(の出力側)には、冷却装置25の冷却水の流れの方向を切換える切換弁30,31、冷却水を循環させる冷却ポンプ26、冷却ファン28Aを回転するファン用モータ28Bが(電気的に)接続されている。
ここで、制御装置24は、アシスト発電モータ10の出力、旋回用電動モータ14の出力、アシスト発電モータ10の温度、旋回用電動モータ14の温度、第1のインバータ19の温度、第2のインバータ20の温度に基づいて、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19に供給する冷却水の水量と、旋回用電動モータ14および第2のインバータ20に供給する冷却水の水量とを演算(算出)する。この場合、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19に供給する冷却水の水量(第1の電動機用冷却管路29Bの水量)を決定するパラメータを、冷却パラメータX1とする。旋回用電動モータ14および第2のインバータ20に供給する冷却水の水量(第2の電動機用冷却管路29Cの水量)を決定するパラメータを、冷却パラメータX2とする。これら冷却パラメータX1,X2は、値が大きくなる程、冷却を必要としている(冷却水を多く供給する必要がある)ことを表す変数となる。
図6は、冷却パラメータX1を算出するためのブロック線図を示している。ここで、アシスト発電モータ10の出力演算値をL1とし、アシスト発電モータ10の温度を検出する温度センサ32の温度出力値をT11とし、第1のインバータ19の温度を検出する温度センサ34の温度出力値をT12とする。制御装置24は、アシスト発電モータ10の出力演算値L1に、ゲインKL1を乗じた値A1(=KL1・L1)を算出する。この値A1は、アシスト発電モータ10の発生熱量レベルを表す。
一方、制御装置24は、アシスト発電モータ10の温度出力値T11とこの値に対するワーニング限界閾値TA11との差(の絶対値)ΔT11に、ゲインKT11を乗じた値B11(=KT11・ΔT11)を算出する。これと共に、制御装置24は、第1のインバータ19の温度出力値T12とこの値に対するワーニング限界閾値TA12との差(の絶対値)ΔT12に、ゲインKT12を乗じた値B12(=KT12・ΔT12)を算出する。制御装置24は、これらの値B11と値B12とから、これらの最大値B1を算出(出力)する。この最大値B1は、アシスト発電モータ10と第1のインバータ19の熱的余裕度を表す。
制御装置24は、アシスト発電モータ10の発生熱量レベルを表すA1と、アシスト発電モータ10と第1のインバータ19の熱的余裕度を表すB1との差を、冷却パラメータX1(=A1−B1)として算出する。冷却パラメータX1の値が大きい程、アシスト発電モータ10と第1のインバータ19の冷却が必要になる。
一方、図7は、冷却パラメータX2を算出するためのブロック線図を示している。ここで、旋回用電動モータ14の出力演算値をL2とし、旋回用電動モータ14の温度を検出する温度センサ33の温度出力値をT21とし、第2のインバータ20の温度を検出する温度センサ35の温度出力値をT22とする。制御装置24は、旋回用電動モータ14の出力演算値L2に、ゲインKL2を乗じた値A1(=KL2・L2)を算出する。この値A2は、旋回用電動モータ14の発生熱量レベルを表す。
一方、制御装置24は、旋回用電動モータ14の温度出力値T21とこの値に対するワーニング限界閾値TA21との差(の絶対値)ΔT21に、ゲインKT21を乗じた値B21(=KT21・ΔT21)を算出する。これと共に、制御装置24は、第2のインバータ20の温度出力値T22とこの値に対するワーニング限界閾値TA22との差(の絶対値)ΔT22に、ゲインKT22を乗じた値B22(=KT22・ΔT22)を算出する。制御装置24は、これらの値B21と値B22とから、これらの最大値B2を算出(出力)する。この最大値B2は、旋回用電動モータ14と第2のインバータ20の熱的余裕度を表す。
制御装置24は、旋回用電動モータ14の発生熱量レベルを表すA2と、旋回用電動モータ14と第2のインバータ20の熱的余裕度を表すB2との差を、冷却パラメータX2(=A2−B2)として算出する。冷却パラメータX2の値が大きい程、旋回用電動モータ14と第2のインバータ20の冷却が必要になる。
制御装置24は、算出した冷却パラメータX1、X2に基づいて、切換弁30,31の切換え制御を行う。即ち、制御装置24は、冷却パラメータX1,X2に基づいて、切換弁30,31を、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとが並列に接続される並列接続位置と、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとが直列に接続される直列接続位置と、第1の電動機用冷却管路29Bのみに冷却水が流れる切換位置と、第2の電動機用冷却管路29Cのみに冷却水が流れる切換位置とのうちの何れかに切換える。このような切換弁30,31の切換え制御、即ち、制御装置24により実行される図8に示す処理については、後述する。
さらに、制御装置24は、冷却パラメータX1、X2に基づいて、冷却ポンプ26の流量(冷却装置25内を循環する冷却水の流量)の調整を行う。具体的には、図9に示すように、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が大きくなる程、冷却水の循環流量を大きくする。一方、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が小さくなる程、冷却水の循環流量を小さくする。これにより、冷却対象となるアシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14、第1のインバータ19、第2のインバータ20の冷却を効率的に行うことができる。
なお、図9では、冷却水の循環流量と冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)との関係は、その和が小さいときは傾き0で、その和が所定値を超えて大きくなると正の傾きとなっている。傾き0から正の傾きに変化する所定値(冷却パラメータX1とX2の和)は、例えば、後述する閾値XAに設定することができる。
制御装置24は、冷却パラメータX1、X2に基づいて、ファン用モータ28Bの回転速度(冷却ファン28Aのファン風量)の調整を行う。具体的には、図10に示すように、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が大きくなる程、冷却ファン28Aによるファン風量を大きくする。一方、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が小さくなる程、冷却ファン28Aによるファン風量を小さくする。このため、この面からも、冷却対象となるアシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14、第1のインバータ19、第2のインバータ20の冷却を効率的に行うことができる。
なお、図10では、ファン風量と冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)との関係は、その和が小さいときは傾き0で、その和が所定値を超えて大きくなると正の傾きとなっている。傾き0から正の傾きに変化する所定値(冷却パラメータX1とX2の和)は、例えば、後述する閾値XAに設定することができる。
実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗して運転席に着座する。この状態で走行用の操作レバー(いずれも図示せず)を操作することにより、コントロールバルブ12から下部走行体2の走行用モータ2E,2Fに圧油を供給し、左,右の駆動輪2Bを駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席に着座したオペレータは、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5を俯仰動させたりして土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、油圧ショベル1の運転時には、アシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14等が駆動されるから、これらアシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14、これらを制御する第1のインバータ19、第2のインバータ20、運転状況に応じて充電と放電とが行われる蓄電装置13等が発熱して温度上昇する。そこで、冷却装置25は、冷却ポンプ26を駆動し、冷却水を循環させることにより、アシスト発電モータ10、旋回用電動モータ14、第1のインバータ19、第2のインバータ20、蓄電装置13等の冷却を行う。この場合、冷却装置25は、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じて(冷却パラメータX1、X2に応じて)、切換弁30,31の切換え制御、冷却ポンプ26の制御(流量制御)、ファン用モータ28Bの制御(冷却ファン28Aの風量制御)を行う。
そこで、制御装置24により行われる切換弁30,31の切換え制御の処理について、図8の流れ図を用いて説明する。なお、図8の処理は、制御装置24に通電している間、制御装置24により所定の制御時間毎に(所定のサンプリング周波数で)繰り返し実行される。
アクセサリON、または、エンジン9の始動(イグニッションON)により、制御装置24に通電が開始され、図8の処理動作がスタートすると、ステップ1では、図6のブロック線図と図7のブロック線図とに基づいて冷却パラメータX1、X2をそれぞれ算出すると共に、この算出された冷却パラメータX1、X2を入力する(読込む)。続くステップ2では、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)と閾値XAと比較する。具体的には、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が閾値XA以上(X1+X2≧XA)であるか否かを判定する。
閾値XAは、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力が大きく、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを並列に接続する必要があるか否かを判定するための判定値となるものである。閾値XAは、冷却パラメータX1とX2の和がこれ以上大きくなると、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却とを並列接続により行う必要があると判定するための境界値となるように、予め実験、計算、シミュレーション等により求め、制御装置24に記憶させておく。
ステップ2で、「YES」、即ち、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が閾値XA以上であると判定された場合は、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却との両方を、積極的に行う必要があると考えられる。そこで、この場合は、ステップ3に進み、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを並列に接続する。即ち、ステップ3では、図4に示すように、制御装置24からの指令により、上流側切換弁30を切換位置(B)に切換えると共に、下流側切換弁31を切換位置(D)に切換える。これにより、冷却ポンプ26から吐出され蓄電装置13を通過した冷却水は、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとに並列に流れる。
この場合、例えば、制御装置24は、冷却パラメータX1、X2に基づいて、冷却ポンプ26の流量(冷却装置25内を循環する冷却水の流量)の調整、および/または、ファン用モータ28Bの回転速度(冷却ファン28Aのファン風量)の調整を行う。即ち、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が大きくなる程、冷却水の循環流量を大きくする、および/または、冷却ファン28Aによるファン風量を大きくする。一方、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が小さい程、冷却水の循環流量を小さくする、および/または、冷却ファン28Aによるファン風量を小さくする。これにより、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20との両者に、所望の温度で運転するために必要とされる冷却水を過不足なく供給することができる。なお、ステップ3で、並列接続としたならば、リターンを介して、スタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ2で、「NO」、即ち、冷却パラメータX1とX2の和(X1+X2)が閾値XA未満であると判定された場合は、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却とを、並列接続で行う必要がないと考えられる。そこで、この場合は、ステップ4に進む。ステップ4では、冷却パラメータX1とX2のうちの小さい方の値が閾値XB以上であるか否かを判定する。
閾値XBは、並列接続で冷却を行う必要はないが、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却との両方の冷却が必要であるか否かを判定するための判定値である。即ち、閾値XBは、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを直列に接続する必要があるか、それとも、何れか一方にのみ冷却水を供給すればよいかを判定するための判定値となるものである。閾値XBは、冷却パラメータX1とX2のうちの小さい方の値がこれ以上大きくなると、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却との両方の冷却を行う必要があると判定するための境界値となるように、予め実験、計算、シミュレーション等により求め、制御装置24に記憶させておく。
ステップ4で、「YES」、即ち、冷却パラメータX1とX2のうちの小さい方の値が閾値XB以上であると判定された場合は、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却との両方の冷却を行う必要があると考えられる。そこで、この場合は、ステップ5に進み、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを直列に接続する。即ち、ステップ5では、図5に示すように、制御装置24からの指令により、上流側切換弁30を切換位置(A)に切換えると共に、下流側切換弁31を切換位置(E)に切換える。
これにより、冷却ポンプ26から吐出され蓄電装置13を通過した冷却水は、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとに直列に流れる。この場合は、必要に応じて、冷却パラメータX1とX2とのうちの大きい方の値に基づいて、冷却ポンプ26の流量(冷却装置25内を循環する冷却水の流量)の調整、および/または、ファン用モータ28Bの回転速度(冷却ファン28Aのファン風量)の調整を行うことができる。なお、ステップ5で、直列接続としたならば、リターンを介して、スタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ4で、「NO」、即ち、冷却パラメータX1とX2のうちの小さい方の値が閾値XB未満であると判定された場合は、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却と旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却との両方の冷却を行う必要がないと考えられる。そこで、この場合は、ステップ6に進む。ステップ6では、冷却パラメータX1がX2よりも大きい(X1>X2)か否かを判定する。
ステップ6で、「YES」、即ち、冷却パラメータX1がX2よりも大きいと判定された場合は、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却のみを行う必要がある(旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却は必要ない)と考えられる。そこで、この場合は、ステップ7に進み、アシスト発電モータ10および第1のインバータ19(第1の電動機用冷却管路29B)にのみ冷却水が供給されるようにする。即ち、ステップ7では、制御装置24からの指令により、上流側切換弁30を切換位置(A)に切換えると共に、下流側切換弁31を切換位置(D)に切換える。
これにより、冷却ポンプ26から吐出され蓄電装置13を通過した冷却水は、第1の電動機用冷却管路29Bのみに流れる。この場合は、必要に応じて、冷却パラメータX1に基づいて、冷却ポンプ26の流量(冷却装置25内を循環する冷却水の流量)の調整、および/または、ファン用モータ28Bの回転速度(冷却ファン28Aのファン風量)の調整を行うことができる。なお、ステップ7で、切換位置の切換えを行ったならば、リターンを介して、スタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ6で、「NO」、即ち、冷却パラメータX1がX2以下であると判定された場合は、旋回用電動モータ14および第2のインバータ20の冷却のみを行う必要がある(アシスト発電モータ10および第1のインバータ19の冷却は必要ない)と考えられる。そこで、この場合は、ステップ8に進み、旋回用電動モータ14および第2のインバータ20(第2の電動機用冷却管路29C)にのみ冷却水が供給されるようにする。即ち、ステップ8では、制御装置24からの指令により、上流側切換弁30を切換位置(C)に切換えると共に、下流側切換弁31を切換位置(D)に切換える。
これにより、冷却ポンプ26から吐出され蓄電装置13を通過した冷却水は、第2の電動機用冷却管路29Cのみに流れる。この場合は、必要に応じて、冷却パラメータX2に基づいて、冷却ポンプ26の流量(冷却装置25内を循環する冷却水の流量)の調整、および/または、ファン用モータ28Bの回転速度(冷却ファン28Aのファン風量)の調整を行うことができる。なお、ステップ8で、切換位置の切換えを行ったならば、リターンを介して、スタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰り返す。
かくして、本実施の形態によれば、冷却装置25は、冷却管路29の途中に、アシスト発電モータ10の出力と旋回用電動モータ14の出力とに応じて第1のインバータ19と第2のインバータ20とに対する冷却水の流れの方向を切換える切換弁30,31を設ける構成としている。このため、切換弁30,31の切換えにより、第1のインバータ19と第2のインバータ20との両方に冷却水を供給したり、第1のインバータ19と第2のインバータ20とのうちの何れか一方にのみ冷却水を供給することができる。さらには、第1のインバータ19と第2のインバータ20とに冷却水を直列に供給したり、第1のインバータ19と第2のインバータ20とに冷却水を並列に供給することもできる。これにより、冷却が必要な第1のインバータ19および/または第2のインバータ20に対して必要な量の冷却水を供給することができ、第1のインバータ19と第2のインバータ20の冷却を効率的に(高効率で)行うことができる。
本実施の形態によれば、切換弁30,31は、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを直列に接続する直列接続位置と、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを並列に接続する並列接続位置とを有する構成としている。これにより、運転状況に応じて、直列接続と並列接続とを切換え、通水圧損を小さくすることで冷却水量を確保し、冷却水量を個別に制御することができる。この結果、切換弁30,31の切換えにより、第1のインバータ19とアシスト発電モータ10の冷却、および、第2のインバータ20と旋回用電動モータ14の冷却を、効率的に行うことができる。
本実施の形態によれば、冷却ポンプ26を冷却水の流量(循環流量)の調整が可能なものとしている。このため、切換弁30,31の切換えに加えて、冷却ポンプ26により冷却水の流量を調整する(必要水量に応じたポンプ制御を行う)ことで、冷却対象(第1のインバータ19、アシスト発電モータ10、第2のインバータ20、旋回用電動モータ14、蓄電装置13)に対する冷却の調整をより細かく行うことができる。これにより、電力消費を抑制し、冷却効率のさらなる向上を図ることができる。
本実施の形態によれば、冷却ファン28Aを回転するファン用モータ28Bを回転速度の調整が可能なものとしている。このため、切換弁30,31の切換えに加えて、ファン用モータ28Bにより冷却ファンの風量を調整する(熱量に応じたファン風量の制御を行う)ことで、冷却対象(第1のインバータ19、アシスト発電モータ10、第2のインバータ20、旋回用電動モータ14、蓄電装置13)に対する冷却の調整をより細かく行うことができる。これにより、この面からも、電力消費を抑制し、冷却効率のさらなる向上を図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、上流側切換弁30と下流側切換弁31との2個の切換弁により冷却水の流れの方向を切換える構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、1個の切換弁、または、3個以上の切換弁により冷却液の流れの方向を切換える構成としてもよい。
上述した実施の形態では、切換弁30,31は、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを直列に接続する直列接続位置、および、第1の電動機用冷却管路29Bと第2の電動機用冷却管路29Cとを並列に接続する並列接続位置を有する構成とした場合を例に挙げて説明した。即ち、上述した実施の形態では、切換弁30,31は、直列接続位置と並列接続位置との両方の接続位置を有する構成とした場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限らず、例えば、切換弁は、直列接続位置と並列接続位置とのうちの何れか一方の接続位置と、第1の電動機用冷却管路にのみ冷却水が流れる切換位置、および/または、第2の電動機用冷却管路にのみ冷却水が流れる切換位置とを有する構成としてもよい。即ち、切換弁の切換位置は、冷却対象(第1のインバータ、第1の電動機、第2のインバータ、第2の電動機)の熱特性、出力特性、冷却ポンプやラジエータの性能等に応じて、直列接続位置と、並列接続位置と、第1の電動機用冷却管路にのみ冷却水が流れる切換位置と、第2の電動機用冷却管路にのみ冷却水が流れる切換位置とのうちから必要なものを選択して設定することができる。
上述した実施の形態では、アシスト発電モータ10で発電した電力によって上部旋回体4の旋回用電動モータ14を駆動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、アシスト発電モータ(第1の電動機)で発電した電力によって下部走行体の走行用モータ等の他のモータ(第2の電動機)を駆動する構成としてもよい。
上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機として、自走可能な車体(下部走行体2と上部旋回体4)を有するハイブリッド式油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば自走可能なホイール式油圧ショベル、移動式クレーン等の建設機械、ホイールローダ、フォークリフト、ダンプトラック等の作業車両、走行しない基体(本体)に作業装置(荷役装置)が取付けられた設置式のクレーン等、各種の作業機に広く適用することができる。