JP6111587B2 - 導電性基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性基板の製造方法に関するものである。
従来、基材上に導電性の配線を施した回路基板の製造には、金属箔を貼り合せた基材上にフォトレジストを塗布し、所望の回路パターンを露光し、ケミカルエッチングによりパターンを形成する方法等が用いられてきた。上記フォトレジスト法によれば、導電性の配線として金属箔を用いるため、体積抵抗率が小さく、高性能の導電性基板を製造することができる。一方、当該方法は工程数が多く、煩雑であるとともに、フォトレジスト材料を要する等の欠点があった。
これに対し、金属粒子を分散させた金属粒子分散体を用いて、スクリーン印刷やインクジェット印刷などの印刷プロセスにより、基材に直接パターンを印刷し、金属粒子を焼結させることにより、回路パターンを形成する手法が注目されている。基材に直接パターンを印刷する手法によれば、従来のフォトレジスト法等と比較して、生産性が飛躍的に向上する。
金属粒子は、微細化することにより、劇的に融点が低下することが知られている。これは、金属粒子の粒径が小さくなるのに伴って、粒子の比表面積が増加し、表面エネルギーが増大することによるものである。この効果を利用すれば、金属粒子同士の焼結を従来よりも低温で進行させることができ、従来用いることが困難であった、耐熱性の低い樹脂基材に対しても、印刷による回路形成が可能となると期待された。しかしながら、金属粒子の粒径が小さいほど、分散性や分散安定性が良好な分散体を調製することは困難であった。
特許文献1には、インクジェット印刷方式を利用して、導電性金属ペーストにより回路パターンを形成する方法が記載されている。特許文献1では、金属超微粒子が互いに直接接触しない状態とするため、当該金属超微粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な窒素、酸素、硫黄原子を含む基を有する化合物により、金属超微粒子を被覆する手法が記載されている。金属表面の被膜に利用される窒素、酸素、硫黄原子を含む基を有する化合物としては、アルキルアミン、アルカンチオール、アルカンジオール等が挙げられている。特許文献1では、導電性金属ペーストの焼成を行う際に、当該アルキルアミン等が金属表面離脱するように、具体的には、炭素数が4〜20の比較的低分子の化合物が挙げられている。
しかしながら、特許文献1の手法は、低分子量の化合物を用いて金属粒子を分散するものであり、金属粒子の分散安定性が不十分であった。金属粒子の分散安定性が不十分な場合、焼成しても良好な導電性を有する金属膜は得られない。
特許文献2には、金属酸化物又は金属水酸化物の微粒子を含有する分散液からなるプリント配線基板形成用インクによって基板上にパターンを描画し、当該金属酸化物又は金属水酸化物の微粒子の少なくとも一部を還元することにより、導電パターンを形成する方法が開示されている。特許文献2の手法によれば、エネルギー照射によって、又はエネルギー照射と還元剤を組み合わせることによって、上記金属酸化物等の微粒子を還元する。上記エネルギー照射の手法としては、レーザービーム、電子ビーム、イオンビーム、熱線が挙げられている。しかしながら、特許文献2では低分子量の還元剤を用いているため、上記のような高出力のエネルギー照射の際、当該還元剤が突沸し、金属膜が損傷する場合があった。
特許文献3には、特定の金属粒子と、特定のポリエステル骨格を有する高分子分散剤と、分散媒を含有する金属粒子分散体が記載されている。
特許文献3によれば、上記特定の高分子分散剤が金属粒子の分散性に高い効果を示し、しかも後の焼結工程で容易に揮散されると記載されている。
特開2002−324966号公報 特開2004−253794号公報 国際公開第2011/040189号パンフレット
金属粒子の分散性や分散安定性を向上するために、分散剤として高分子分散剤を用いて金属粒子を分散させた場合には、特に低温で焼成したときや、短時間で焼成したときに、金属膜に当該高分子分散剤が残存することがあり、得られた基板の体積抵抗率が高くなり、導電性基板として十分な性能が得られない場合があった。
金属粒子を焼成することにより金属膜を得る手法においては、その焼成温度と金属粒子の酸化が課題であった。すなわち分散剤除去のために長時間高温で焼成すると金属粒子の酸化による焼結阻害が起こりやすくなる。また、低耐熱性の基材を用いた導電性基板も求められている。そのため、低温、或いは短時間で金属粒子の焼成を行いながら、優れた導電性を有する導電性基板の製造方法が求められている。
本発明は、このような状況下になされたものであり、焼成後の膜中における有機成分の残存が少なく、優れた導電性を有する導電性基板が得られる、導電性基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属粒子と特定の分散剤とを含む導電性基板用金属粒子分散体を用いて塗膜を形成し、パルス光を用いて当該塗膜を焼成処理することにより、金属の酸化が抑制され、有機物が残存しにくく、優れた導電性を有する金属膜が得られるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係る導電性基板の製造方法は、金属粒子と、下記一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤と、溶剤とを含有する導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程と、
基材上に、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を塗布して、塗膜を形成する工程と、
パルス光を照射することにより、前記塗膜を焼成処理し、金属粒子焼結膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
Figure 0006111587
(一般式(I)中、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は下記一般式(III)で表される基を表し、複数あるRは同一であっても異なってもよい。但し、複数あるRのうち少なくとも1個は一般式(III)で示される基である。)
Figure 0006111587
(一般式(II)、及び一般式(III)中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び、遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシ基を除いた残基を表す。)
本発明の導電性基板の製造方法においては、前記パルス光が、キセノンランプのパルス光であることが、金属の酸化が抑制され、有機物が残存しにくい点から好ましい。
本発明の導電性基板の製造方法においては、前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることが、導電性に優れる点から好ましい。
本発明によれば、焼成後の膜中における有機成分の残存が少なく、優れた導電性を有する導電性基板が得られる、導電性基板の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の製造方法により得られる導電性基板の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る導電性基板の製造方法について説明する。
本発明に係る導電性基板の製造方法は、金属粒子と、下記一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤と、溶剤とを含有する導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程と、基材上に、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を塗布して、塗膜を形成する工程と、パルス光を照射することにより、前記塗膜を焼成処理する工程とを有することを特徴とする。
Figure 0006111587
(一般式(I)中、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は下記一般式(III)で表される基を表し、複数あるRは同一であっても異なってもよい。但し、複数あるRのうち少なくとも1個は一般式(III)で示される基である。)
Figure 0006111587
(一般式(II)、及び一般式(III)中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び、遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシ基を除いた残基を表す。)
本発明の製造方法によれば、焼成後の膜中における有機成分の残存が少なく、優れた導電性を有する導電性基板が得られる、導電性基板の製造方法を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、表面の膜荒れが低減された導電性基板を得ることができる。
上記特定の組み合わせにより、上記のような特定の効果を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが、以下のように推定される。
従来、金属粒子分散体は、焼結時に有機成分が残存するのを抑制するために、比較的低分子量の分散剤が用いられてきた。しかしながら、低分子量の分散剤では、分散性や分散安定性が不十分であった。また、低分子量の分散剤では、パルス光で焼成すると成分の突沸により膜が損傷しやすく、金属膜に膜荒れが生じてしまう。このように表面に膜荒れが生じた金属膜は良好な導電性が得られない。
それに対して、本発明において用いられる金属粒子分散体は、分散剤として、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を用いて金属粒子を分散させることにより、分散剤中の窒素部位が、金属粒子に強く吸着することで安定化することにより、金属粒子同士の凝集が生じにくく、分散性及び分散安定性に優れるものである。
また、上記特定の分散剤を用いると、低温焼成により金属膜を形成した場合であっても、分散剤の残存が少なく、表面の膜荒れが低減され、得られた金属膜は体積抵抗率が低く優れた導電性を有するものとなる。このメカニズムは未解明ではあるが、上記特定の分散剤を用いると、従来の高分子分散剤と比べて、金属粒子の分散性が向上し、分散粒子が小さくなることにより融着しやすくなることが推定される。また、上記特定の分散剤は、一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位が、還元性や、酸化抑制効果を有しているのではないかと推定される。更に上記特定の分散剤を用いた金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜は、均一性、平滑性が良好になるため、均一に焼結が進行することが推定される。これらの相乗効果で、優れた導電性を達成できると推定される。更に、上記特定の分散剤は、パルス光の照射により、容易に分解乃至揮発しやすく、金属膜に残存しにくいため、極短時間のパルス光の照射であっても容易に焼結させることができることから、この点においても金属粒子の酸化を抑制できるものと推定される。
本発明の導電性基板の製造方法は、少なくとも、導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程と、塗膜を形成する工程と、焼成処理する工程とを有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような本発明の導電性基板の製造方法の各工程について、順に説明する。
<導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程>
本工程は、金属粒子と、下記一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤と、溶剤とを含有する導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程である。
Figure 0006111587
(一般式(I)中、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は下記一般式(III)で表される基を表し、複数あるRは同一であっても異なってもよい。但し、複数あるRのうち少なくとも1個は一般式(III)で示される基である。)
Figure 0006111587
(一般式(II)、及び一般式(III)中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び、遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシ基を除いた残基を表す。)
上記導電性基板用金属粒子分散体は、金属粒子を上記特定の分散剤を用いて分散することにより、金属粒子の分散性及び分散安定性に優れる。また、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体は、後述するパルス光による焼成処理時に分解乃至揮散しやすく、焼結後の金属膜には残存しにくい。また、ポリアリルアミン誘導体が有するアミノ基や、アミド結合由来の窒素原子が、焼成時に分解して金属粒子の酸化を抑制する、或いは還元する効果を有するものと推定される。
本工程により得られる導電性基板用金属粒子分散体は、少なくとも金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、導電性基板用金属粒子分散体の各成分について順に説明する。
(金属粒子)
本発明において金属粒子は、焼成後に導電性を生じる金属粒子の中から適宜選択すればよい。金属の種類としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、スズ、鉄、クロム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、インジウム、亜鉛、モリブデン、マンガン、チタン、アルミニウム等が挙げられる。なお、本発明において金属粒子とは、金属状態の粒子に加えて、合金状態の粒子や、金属化合物の粒子等も含まれるものである。また、例えば、金属状態の粒子の表面が酸化されて金属酸化物となっている場合や、2種以上の金属がコアシェル構造を形成している場合等のように、1つの粒子中に、金属、合金、及び金属化合物の1種以上が含まれていてもよいものである。
金属粒子としては、中でも、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持できる点から、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることが好ましく、金、銀、銅及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることがより好ましい。
上記金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物等が挙げられる。これらの金属化合物は、焼成時に分解されて、金属状態となるものが好ましい。銀を有する金属化合物としては、例えば、酸化銀、有機銀化合物等が挙げられる。また、銅を有する金属化合物としては、例えば、酸化第一銅、酸化第二銅、及びこれらの混合物などの銅酸化物等が挙げられる。
また、合金としては、例えば、銅−ニッケル合金、銀−パラジウム合金、銅−スズ合金、銀−銅合金、銅−マンガン合金等が挙げられる。
上記金属粒子は、有機保護剤によって表面が被覆されているものであってもよい。
金属粒子は、上記金属、合金、及び金属化合物粒子の1種以上を含む金属粒子のうち、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記金属粒子の調製方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、メカノケミカル法などにより金属粉を粉砕する物理的な方法;化学気相法(CVD法)や蒸着法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法等を用いて金属粒子を得ることができる。
例えば、蒸着法では、高真空下で分散剤を含む低蒸気圧液体中に加熱蒸発した金属の蒸気を接触させて微粒子を製造する。
また、化学還元法の1種としては、錯化剤及び有機保護剤の存在下で、金属酸化物と還元剤とを溶媒中で混合して生成する方法が挙げられる。
上記錯化剤とは、当該錯化剤が有する配位子のドナー原子と、金属イオン又は金属原子とが結合して、金属錯体化合物を形成するものである。上記ドナー原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好適に挙げられる。窒素原子がドナー原子である錯化剤としては、例えば、アミン類、イミダゾール及びピリジン等の窒素含有複素環式化合物類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記有機保護剤は、精製した金属粒子の分散安定化剤や、粒径制御のために用いられるものであり、具体的には、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等のタンパク質系;デンプン、デキストリン等の天然高分子;ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系;ポリビニルアルコール等の親水性合成高分子の他、脂肪酸、アルキルアミン等の比較的低分子量の化合物であってもよい。中でも、分散安定性の点からは、タンパク質系の有機保護剤が好ましい。
なお、上記の方法の他、市販の金属粒子を適宜用いることができる。
金属粒子の平均一次粒径は、用途に応じて適宜設定すればよいものであるが、通常、1〜1000nmの範囲で設定される。中でも、低粘度で分散性、分散安定性に優れ、沈降物を生じにくい点から、金属粒子の平均一次粒径が2〜500nmであることが好ましい。
なお、上記金属粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)、走査型(SEM)又は走査透過型(STEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明の導電性基板用金属粒子分散体において、金属粒子の含有量は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、分散性の点から、金属粒子分散体の全量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、更に、20〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。本発明においては、後述する分散剤と組み合わせて用いることにより、従来に比べて金属粒子の含有量を高めた場合であっても、金属粒子の分散性や分散安定性に優れ、沈降物を生じにくいものとすることができる。
(分散剤)
本発明において用いられる分散剤は、下記一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤である。
Figure 0006111587
(一般式(I)中、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は下記一般式(III)で表される基を表し、複数あるRは同一であっても異なってもよい。但し、複数あるRのうち少なくとも1個は一般式(III)で示される基である。)
Figure 0006111587
(一般式(II)、及び一般式(III)中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び、遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシ基を除いた残基を表す。)
上記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位と、前記金属粒子とが吸着することにより、分散性及び分散安定性が向上するため、金属粒子の分散粒径を小さくすることができる。また、上記分散剤を用いると金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜の平滑性、均一性が優れたものとなる。従って、焼結が均一に進行しやすい。また上記分散剤は、導電性基板を製造する際の焼成処理により分解乃至揮散されやすく、得られた導電性基板は、有機成分の残存が抑制される。しかも、上記分散剤は、パルス光焼成時にも膜荒れを生じにくい。更に、窒素部位が、還元性を有し、焼成時に金属粒子の酸化を抑制するため、焼成後に得られた金属膜は、金属酸化物が少ない。これらの結果、得られた金属膜は導電性に優れるとともに、膜荒れが低減される。
上記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体は、例えばアリルアミン重合体と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる。
更に具体的には、上記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体は、アリルアミン重合体と、遊離のカルボキシル基を有する、下記一般式(IV)または下記一般式(V)で表されるポリエステル、及び下記一般式(VI)または下記一般式(VII)で表されるポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種を用いて、アミノ基とカルボキシル基を反応させて得ることができる。
Figure 0006111587
(一般式(IV)中、Rは、炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、aは2〜100の整数である。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006111587
(一般式(V)中、Rは、炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、C、又はCH=CHを表し、Rは、炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、又はポリアルキレングリコールから2つの水酸基を除いた残基を表し、bは2〜100の整数であり、前記アルキレン基は、鎖中にエーテル結合を有してもよい。複数あるR及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006111587
(一般式(VI)中、Rは、炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、cは2〜100の整数である。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006111587
(一般式(VII)中、Rは、上記一般式(V)におけるRと同様である。Rは、炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を表し、dは2〜100の整数である。複数あるR及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
なお、本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体はアリルアミン重合体に、一般式(IV)と一般式(V)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステル、一般式(VI)と一般式(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリアミド、更に一般式(IV)並びに/又は(V)、及び一般式(VI)並びに/又は(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステルアミドを反応させても製造することができる。
ポリアリルアミン誘導体は、主鎖のアリルアミン重合体として、一般式(I)で表される繰り返し単位を、2〜2500含むことが好ましく、2〜1000含むことがより好ましく、更に2〜300含むことがより好ましい。中でも、主鎖のアリルアミン重合体としては、アリルアミン単独重合体である重合度2〜2500のポリアリルアミンを用いることが好ましく、重合度2〜1000のポリアリルアミンを用いることがより好ましく、更に重合度2〜300のポリアリルアミンを用いることがより好ましい。
本発明においては、重合度2〜1000のポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有する、下記一般式(IV)または(V)で表されるポリエステルおよび下記一般式(VI)または(VII)で表されるポリアミドの1種を単独でまたは2種以上を併用して反応させて得られたポリアリルアミン誘導体が好ましい。
本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体は、中でもRが遊離のカルボン酸を有するポリエステルからカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。また、上記ポリエステルは300〜20000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましく、更に500〜15000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
また、式(I)において、n個のR中、一般式(III)で表される基の割合が60〜95モル%であることが好ましい。
上記ポリアリルアミン誘導体の市販品としてはアジスパーPB821、PB822、PB824、PB880等(味の素ファインテクノ製)を挙げることができる。
本発明において、導電性基板用金属粒子分散体中の分散剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜設定すればよい。中でも、金属粒子100質量部に対して、分散剤が1〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。上記下限値以上であれば、金属粒子の分散性及び分散安定性を向上し、沈降を抑制することができる。また上記上限値以下であれば、有機物の残留がより抑制され、導電性に優れた導電性基板を得ることができる。
(溶剤)
本発明において、金属粒子分散体の溶剤は、金属粒子分散体中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の金属粒子分散体における溶剤の含有量は、該金属粒子分散体の各構成を均一に溶解又は分散することができるものであればよく、特に限定されない。本発明においては、該金属粒子分散体中の固形分含有量が、5〜95質量%の範囲が好ましく、20〜90質量%の範囲がより好ましい。上記範囲であることにより、塗布に適した粘度とすることができる。
(その他の成分)
本発明の金属粒子分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、錯化剤、有機保護剤、還元剤、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤等が挙げられる。また、本発明の効果が損なわれない限り、他の分散剤が含まれていてもよい。
(金属粒子分散体の製造方法)
本発明において、金属粒子分散体の製造方法は、金属粒子が良好に分散できる方法であればよく、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、前記分散剤を前記溶媒に混合、攪拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、金属粒子と、必要に応じて他の成分を混合し、公知の攪拌機、又は分散機等を用いて分散させることによって、金属粒子分散体を調製することができる。
分散処理を行うための分散機としては、超音波分散機、2本ロール、3本ロール等のロールミル、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等が挙げられる。
<塗膜を形成する工程>
本工程は、基材上に、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を塗布して、塗膜を形成する工程である。
(導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液)
導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液は、前記導電性基板用金属粒子分散体をそのまま塗布液とすることもできるが、必要に応じて、溶剤や、その他の成分を加えて塗布液としてもよいものである。
溶剤及びその他の成分としては、例えば、前記導電性基板用金属粒子分散体において挙げられた溶剤や、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤等を用いることができる。更に、本発明の効果が損なわれない範囲で、造膜性、印刷適性や分散性の点から、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の樹脂バインダーを添加してもよい。
(基材)
本発明に用いられる基材は、導電性基板に用いられる基材の中から、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料や、紙などを用いることもできる。前記本発明において用いられる導電性基板用金属微粒子分散体は、従来よりも低温で焼成処理しても導電性に優れた金属膜が得られることから、従来適用が困難であったソーダライムガラスや、高分子材料であっても好適に用いることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ガラス−エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリノルボルネン等のポリシクロオレフィン、液晶性高分子化合物等が挙げられる。
また、基材表面には、前記金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜をパターン状に形成した場合におけるパターンの形状を制御したり、前記金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜との間の密着性を付与するための処理を行ってもよい。基材表面の処理方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、コロナ処理、UV処理、真空紫外ランプ処理、プラズマ処理などのドライ処理、アミン系シランカップリング剤、イミダゾール系シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤処理などの薬液処理、多孔質シリカや、セルロース系受容層などの多孔質膜形成処理、活性エネルギー線硬化型樹脂層、熱硬化型樹脂層、熱可塑性樹脂層などの樹脂層形成処理を行うことができる。当該処理により、基材表面に撥液性を持たせることにより、基材に金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜をパターン状に形成した際、塗布液の濡れ広がりを抑え、高精細なパターンを形成することが可能である。また、基材表面に多孔質膜などのインク受容層を形成することにより、溶媒成分が浸透し、高精細なパターンを形成することが可能である。逆に、基材表面に親液性を持たせることで、基材に対する塗布性を向上させることができる。これらの基材表面の処理は、用途や目的に応じて使い分けることができる。
当該基材の形状は、用途に応じて適宜選択すればよく、平板状であっても、曲面を有するものであってもよいが、通常は平板状である。平板状の基材を用いる場合、当該基材の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば10μm〜1mm程度のものとすることができる。
(塗布方法)
上記塗布液を上記基材上に塗布する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、スロットダイコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷等の方法が挙げられる。中でも、微細なパターニングを行うことができる点から、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷が好ましい。特に、本発明において用いられる金属粒子分散体は、分散性に優れているため、インクジェットの吐出ノズルにつまりが生じたり、吐出曲がりが生じることがないため、インクジェット印刷にも好適に用いることができる。
基材上の塗布液は、印刷後、通常の方法で乾燥してもよい。乾燥後の印刷部分の膜厚は、適宜塗布量や金属粒子の平均一次粒子径等を変化させて制御することができ、用途に応じて適宜調整すればよいものであるが、通常、0.01〜50μmの範囲であり、好ましくは、0.1〜20μmである。
<前記塗膜を焼成処理する工程>
本工程は、パルス光を照射することにより、前記塗膜を焼成処理する工程(以下、パルス光焼成という場合がある。)である。
パルス光焼成とは、パルス光の照射により極めて短時間で焼成する方法である。ここで、本発明においてパルス光とは、点灯時間が比較的短時間の光のことをいい、当該点灯時間をパルス幅という。パルス光の光源は特に限定されないが、キセノン等の希ガスが封入されたフラッシュランプやレーザー等が挙げられる。中でも、紫外線から赤外線までの連続的な波長スペクトルをもつ光を照射することが好ましく、キセノンランプのパルス光であることが好ましく、具体的には、キセノンフラッシュランプを用いることが好ましい。このような光源を用いた場合には、加熱と同時にUV照射を行ったのと同様の効果を得ることができ、極めて短時間で焼成が可能となる。また、このような光源を用いた場合には、パルス幅と照射エネルギーを制御することにより、金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、基材に対する熱の影響を抑えることができる。
本発明において、パルス光のパルス幅は、適宜調整すればよいものであるが、1μs〜10000μsの間で設定されることが好ましく、10μs〜5000μsの範囲内とすることがより好ましい。また、パルス光の1回あたりの照射エネルギーは、0.1J/cm〜100J/cmが好ましく、0.5J/cm〜50J/cmがより好ましい。
パルス光焼成においてパルス光の照射回数は、塗膜の組成や、膜厚、面積などに応じて適宜調整すればよく、照射回数は1回のみであってもよく、2回以上繰り返し行ってもよい。中でも、照射回数を1〜100回とすることが好ましく、1〜50回とすることが好ましい。パルス光を複数回照射する場合には、パルス光の照射間隔は適宜調整すればよい。中でも照射間隔を10μ秒〜2秒の範囲内で設定することが好ましく、100μ秒〜1秒の範囲内に設定することがより好ましい。
パルス光を上記のように設定することにより、基材への影響を抑えるとともに、金属粒子の酸化を抑制することが可能であり、且つ、金属粒子分散体に含まれる分散剤も脱離乃至分解しやすく導電性に優れた導電性基板を得ることができる。
このようなパルス光焼成は、金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、前記塗膜を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な金属粒子焼結膜を形成することができる。パルス光焼成は、パルス光のパルス幅と照射エネルギーを適宜調整することで、加熱温度と処理深さを制御することができる。その結果、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、極めて短時間で焼成が可能であるので、金属粒子の酸化を抑えることができ、導電性に優れた焼結膜を得ることができる。
上記パルス光焼成は、大気中、大気圧下で行うことが可能であるが、不活性雰囲気下、還元雰囲気下、減圧下で行ってもよい。また、塗膜を加熱しながら、パルス光焼成を行ってもよい。
ここのようにして得られた導電性基板の金属膜の厚みは、用途に応じて適宜調整すればよいものであるが、通常、厚みが0.01〜50μm程度であり、0.05nm〜30μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましい。
また、上記金属膜の体積抵抗率は、1.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明の製造方法は、基材上に、金属粒子分散体を含む塗布液をパターン状に塗布して、塗布膜を形成し、該塗布膜を焼成処理して、パターン状の金属膜を形成するパターン状導電性基板の製造方法であってもよい。
本発明の導電性基板の製造方法により得られた導電性基板は、焼結後の有機成分の残存が抑制され、優れた導電性を有する。このような導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(合成例1 銅粒子の製造)
酸化第二銅64gと、有機保護剤としてゼラチン5.1gを650mLの純水に添加し、混合して混合液とした。15%のアンモニア水を用いて、当該混合液のpHを10に調整した後、20分かけて室温から90℃まで昇温した。昇温後、攪拌しながら錯化剤として1%のメルカプト酢酸溶液6.4gと、80%のヒドラジン一水和物75gを150mLの純水に混合した液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させて、銅粒子を得た。得られた銅粒子を走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、平均一次粒径は、50nmであった。
(実施例1 導電性基板1の製造)
(1)金属粒子分散体1の調製
合成例1の銅粒子6質量部、及び一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤(味の素ファインテクノ製、アジスパーPB880)0.45質量部(固形分換算0.45質量部)、PGMEA 8.55質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズ4時間分散し、金属粒子分散体1を得た。
(2)導電性基板1の製造
上記(1)で得られた金属粒子分散体1を、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン300H、東レ・デュポン製、厚さ75μm)上にワイヤーバーで塗布して、100℃で15分乾燥して、膜厚が1μmの塗膜とした。その後、パルスドキセノンランプ装置(SINTERON 2000 (Xenon Corporation製))を用いて、パルス幅500μ秒、印加電圧3.8kVで1回照射して、導電性基板1とした。
(実施例2 導電性基板2の製造)
(1)金属粒子分散体2の調製
実施例1の(1)において、合成例1の銅粒子の代わりに、銀粒子(DOWAエレクトロニクス製、T2S−A06、粒径60nm)3.75質量部とし、アジスパーPB880の代わりに、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む別の分散剤(味の素ファインテクノ製、アジスパーPB821)0.3質量部とした以外は、実施例1と同様にして、金属粒子分散体2を得た。
(2)導電性基板2の製造
実施例1の(2)において、金属粒子分散体1の代わりに、上記金属粒子分散体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性基板2を得た。
(実施例3 導電性基板3の製造)
(1)金属粒子分散体3の調製
実施例1の(1)において、合成例1の銅粒子の代わりに、銀粒子(DOWAエレクトロニクス製、T2S−A06、粒径60nm)3.75質量部とし、アジスパーPB880の代わりに、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む別の分散剤(味の素ファインテクノ製、アジスパーPB824)0.3質量部とした以外は、実施例1と同様にして、金属粒子分散体3を得た。
(2)導電性基板3の製造
実施例1の(2)において、金属粒子分散体1の代わりに、上記金属粒子分散体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性基板3を得た。
(比較例1 比較導電性基板1の製造)
実施例2の(1)で得られた金属粒子分散体2をガラス基板(商品名:OA−10G、日本電気硝子製、厚さ0.7mm)上にワイヤーバーで塗布して、80℃で15分乾燥して、膜厚が2μmの塗膜とした。得られた塗布膜を、300℃、水素3体積%/窒素97体積%の混合ガス雰囲気下で30分焼成し、比較導電性基板1を得た。
(導電性評価)
表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」、PSPタイププローブ)を用いて、上記各実施例及び比較例の導電性基板の金属膜に4探針を接触させ、4探針法によりシート抵抗値を測定した。結果を表1に示す。シート抵抗値が低いほど導電性に優れている。なお、本測定法によるシート抵抗値の測定上限は10Ω/□であった。
Figure 0006111587
[結果のまとめ]
実施例1〜3の結果から、金属粒子と、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤を有する金属粒子分散体を含む塗布液を用いて形成された塗膜を、パルス光を照射して焼成処理することにより、導電性に優れた導電性基板を得ることができた。
また、実施例1〜3により得られた導電性基板を目視で観察したところ、表面の膜荒れは認められなかった。一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤を有する金属粒子分散体を用いることにより、従来、膜荒れが生じ易かったパルス光による焼成処理によっても、膜荒れが生じないことが明らかとなった。
水素ガス焼成を行った、比較例1の導電性基板は、分散剤成分の残留がみられた。一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体は、水素ガスによる焼成では分解しにくいものと推測される。
このような結果から、金属粒子と、一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤とを含む導電性基板用金属微粒子分散体とパルス光焼成を組み合わせることにより、導電性に優れ、表面の膜荒れのない導電性基板が得られることが明らかとなった。
1 基材
2 金属膜
100 基板

Claims (3)

  1. 金属粒子と、下記一般式(I)で表される構成単位を有するポリアリルアミン誘導体を含む分散剤と、溶剤とを含有する導電性基板用金属粒子分散体を準備する工程と、
    基材上に、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を塗布して、塗膜を形成する工程と、
    パルス光を照射することにより、前記塗膜を焼成処理し、金属粒子焼結膜を形成する工程とを有する、導電性基板の製造方法。
    Figure 0006111587
    (一般式(I)中、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は下記一般式(III)で表される基を表し、複数あるRは同一であっても異なってもよい。但し、複数あるRのうち少なくとも1個は一般式(III)で示される基である。)
    Figure 0006111587
    (一般式(II)、及び一般式(III)中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び、遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシ基を除いた残基を表す。)
  2. 前記パルス光が、キセノンランプのパルス光である、請求項1に記載の導電性基板の製造方法。
  3. 前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子である、請求項1又は2に記載の導電性基板の製造方法。
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