JP6107465B2 - 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶剤、洗浄剤、冷媒、作動流体、噴射剤およびフッ素樹脂原料等として有用な1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法に関する。
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは大気中で容易に分解しオゾン層を破壊することのない次世代環境適応型フロンであり、分子内に二重結合を含み、シスとトランスの幾何異性体が存在する。以下、フロン類の識別番号および付加記号を用いて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのトランス体を1233E、シス体を1233Z、シス体とトランス体を区別しない場合または混合物は1233と呼ぶことがある。1233Eは発泡剤等に、1233Zは溶媒溶剤等に実用化が進められている。例えば、特許文献1に1233Eを含む発泡剤が、特許文献2に1233Zの精製方法が開示されている。
1233の製造方法について、特許文献3に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、245と呼びことがある)と塩化水素を、気相中で接触させる方法が開示されている。1233の原料である245の合成方法については、特許文献4に1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(以下、240と呼ぶことがある)と、フッ化水素を反応させる方法が開示されている。
一方、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは分子内に二重結合を含み、シスとトランスの幾何異性体が存在する。以下、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのトランス体を1234E、シス体を1234Z、シス体とトランス体を区別しない場合または混合物の場合は1234と呼ぶことがある。
1234E(沸点:−19℃)は冷凍機またはカーエアコン等の冷媒に使用される。1234Z(沸点9℃)は高温域のヒートポンプ用作動流体またはフッ素化プロピン(CF3−CH≡CH)の原料として用いられる。当該フッ素化プロピンは、樹脂用発泡剤、熱伝達用流体または噴射剤として用いられる。特許文献5に気相中、触媒存在下1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を脱フッ化水素反応させて1234を製造する方法であって、触媒としてジルコニウム化合物を金属酸化物または活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒を用いる方法が開示されている。
以下の式に示すように、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を気相で熱分解、脱フッ化水素し、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を製造する。その際、通常、トランス体(1234E)とシス体(1234Z)のいずれかのみを選択的に製造する方法はなく、トランス体(1234E)とシス体(1234Z)の混合物(1234)が製造される。トランス体シス体の生成比は熱力学的平衡に依存する。
Figure 0006107465
本反応において実験結果との相関性がよいといわれている汎関数であるB3LYP/6-311+G**を用い、トランス体(1234E)とシス体(1234Z)のボルツマン分布を計算したところ、図1に示すように温度の上昇に伴い、トランス体(1234E)の生成比が多くなることがわかる。
しかしながら、245の気相中における脱フッ化水素反応は触媒を用いたとしても、200℃以下においては反応速度が遅く、高温においては原料または生成物が分解または炭化する、または反応管の腐食が著しくなる等の懸念がある。1234において、トランス体とシス体の生成比を任意に制御することは難しく、245からトランス体(1234E)またはシス体(1234Z)のいずれかのみを製造することは困難であり、さらに混合物(1234)の生成比は、必ずしも製造者が所望する比にはならないと言う問題があった。
また、以下の式に示すように、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)の工業的な製造工程において、フッ化水素を用いて1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)等の有機物をフッ素化する際は、塩化水素(HCl)が発生し、発生した塩化水素には未反応のフッ化水素(HF)が含まれる。
Figure 0006107465
未反応のフッ化水素を除き、高純度の塩化水素を得るには、フッ化水素を分離しなければならない。しかしながら、それには加圧蒸留塔による分離操作等が行う必要があり、費用対効果の観点から、発生した、フッ化水素を含む塩化水素は中和処理後に廃棄されることが多いという問題があった。
特表2011−504538号公報 特開2010−202640号公報 特開2010−64990号公報 国際公開2001/036355パンフレット 特開2008−19243号公報
本発明は、効率的に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、炭素とフッ素の結合(C−Fの結合)は強固なので、それを壊すことは容易でないと思われるところ、意外なことに、触媒存在下1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)と塩化水素を接触させると、環境適応型フロンである1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を効率的に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、触媒存在下、1234と接触させる塩化水素は、少量のフッ化水素を含有する塩化水素がより好適であり、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)から1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を製造する前工程で生成する、未反応のフッ化水素を含む塩化水素を用い、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(1234)の混合物(1234)を1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換できることがわかった。
本発明の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の製造方法において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)またはその関連物質等の製造において発生した、フッ化水素を含む塩化水素を用いることができ、且つ、過剰となったシストランス何れかの1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)の異性体を、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することができる。
すなわち、本発明は、発明1〜12を含む。
[発明1]
気相中、触媒存在下において、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を含む原料組成物と
塩化水素を含む酸組成物を接触させる工程を含む、
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の製造方法。
[発明2]
原料組成物が、さらに1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を含む組成物である、発明1の製造方法。
[発明3]
1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)が、
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)をフッ素化し得られたものである、
発明1または発明2の製造方法。
[発明4]
触媒が、M−X(Mは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、Xは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)および臭素原子(Br)からなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子である)で表わされる結合を含む触媒である、
発明1〜3の製造方法。
[発明5]
触媒が、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)およびニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩または酸化物を含む触媒である、
発明1〜3の製造方法。
[発明6]
触媒が、炭素にアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の化合物が担持された触媒である、
発明1〜3の製造方法。
[発明7]
触媒が固体ルイス酸である、発明1〜3の製造方法。
[発明8]
触媒が予めフッ化水素を接触させたアルミナ触媒である、発明1〜3の製造方法。
[発明9]
酸組成物が、塩化水素とフッ化水素を含む酸組成物である、発明1〜8の製造方法。
[発明10]
酸組成物が、塩化水素とフッ化水素を合わせた量に対し、0.001質量%以上、10質量%以下のフッ化水素を含む酸組成物である、発明9の製造方法。
[発明11]
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)から1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を製造する方法であって、
酸組成物が、さらに、CF3−CH2−CHR12 (R1 、R2は、それぞれ独立に、塩素原子またはフッ素原子である)またはCF3−CH=CHR3(R3は、塩素原子またはフッ素原子である)を製造する工程で発生した塩化水素を含む酸組成物である、発明1〜10の製造方法。
[発明12]
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)から1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を製造する方法であって、
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)をフッ化水素に接触させて、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)と塩化水素を含む第1組成物を得る工程[1]と、
第1組成物から蒸留により、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)と塩化水素を分離する工程[2]と、
工程[2]にて分離された1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を脱フッ化水素反応させて、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を含む第2組成物を得る工程[3]と、
第2組成物と工程[2]にて分離された塩化水素を反応させて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を得る工程[4]と、を含む、
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の製造方法。
本発明により、次世代発泡剤に用いる環境適応型フロンとして注目される1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を効率的に提供する製造方法が提供された。
本発明の製造方法において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)の製造において発生した、フッ化水素を含む塩化水素を用い、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の原料である1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)の製造において余剰となったシス体(1234Z)またはトランス体(1234E)の何れかを、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することが可能となり、1233を効率的且つ経済的に製造することができる。
1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのトランス体(1234E)とシス体(1234Z)のボルツマン分布の計算結果を示す図である。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の製造方法。
本発明は、気相中、触媒存在下において、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を含む原料組成物と、塩化水素を含む酸組成物を接触させる工程を含む、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)の製造方法である。
前記原料組成物は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)に加え、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を含む組成物であってもよい。また、前記酸組成物は塩化水素に加え、フッ化水素を含む酸組成物であってもよい。
本発明の製造方法において、原料となる1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)は任意の方法で製造されたものが使用できる。特に、特許文献5に記載の、触媒存在下、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を脱フッ化水素反応させた1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を原料に使うことが効率的、且つ経済的である。また、当該1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)は、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)をフッ素化し得られたものであることが好ましい。1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)の脱フッ化水素反応の反応物は蒸留後、目的物である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのトランス体(1234E)またはシス体(1234Z)、未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)に分離される。このとき、1234Eと245は容易に蒸留分離できるが、245と1234Zは共沸(様)であり、蒸留分離が困難である。
カーエアコン等の冷媒としては沸点の低いトランス体(1234E、沸点−19℃)の需要が大きい。高温用作動流体またはCF3−CH≡CHの原料としてはシス体(1233Z、沸点9℃)の需要が大きい。通常、製造者は、混合物(1234)を得た後、精密蒸留により蒸留分離してトランス体(1234E)またはシス体(1234Z)を得る。本発明の製造方法を用いると、製造者にとって余剰となったシス体(1234Z)またはトランス体(1234E)のいずれかを1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することができる。
本発明の製造方法を用いれば、特筆すべきことに、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を含む1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)、言い換えれば、245と1234の混合物も、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換できる。即ち、245等の一般式CF3−CH2−CHR12(R1、R2は、それぞれ独立して、フッ素原子もしくは塩素原子である)で表される化合物を含む1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのトランス体(1234E)またはシス体(1234Z)を原料として、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することが可能である。
例えば、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのシス体とトランス体との混合物(1234)の使用済み混合冷媒を発泡剤用の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換する場合も、本発明の製造方法が有効である。本発明の製造方法は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのトランス体(1234E)、シス体(1234Z)、 前記CF3−CH2−CHR12が任意の比率であっても、有用な1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することが可能である。なお、本発明の製造方法の原料である1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは水洗、乾燥したものが好ましく、少量のフッ化水素を含有していてもよい。
本発明に使用可能な塩化水素を含む酸組成物は、超高純度の塩化水素でも、それに純度が劣る工業用の塩化水素でもよい。特に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)の製造において発生した未反応のフッ化水素を含む塩化水素を用いることが好ましい。このような塩化水素は、塩化水素に対しての不純物であるフッ化水素分および有機物分を分離し純度を高めないと商品(有価物)として販売することはできない。純度を高めるには、高価な蒸留塔等の精製設備が必要なので、通常、中和処理して廃棄されることが多い。フッ素化反応で発生するフッ化水素を含む塩化水素を活用することは資源保護および廃棄物の削減ができ好ましい。
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)のフッ素化または前駆体製造工程で発生した、フッ化水素を含む塩化水素に含まれる有機物としての、CF3基を有するC3化合物(炭素数が3つの化合物)は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に誘導できる、または分離できることが多く、本発明の製造方法に原料として用いるに好ましい。具体的には、前記一般式CF3−CH2CHR12(R、Rは、塩素またはフッ素原子である)で表される化合物、または一般式CF3−CH=CHR3(Rは、塩素またはフッ素原子である)で表される化合物を例示することができれ、これら化合物は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)に変換することが可能である。尚、他の工業プロセスにおいて発生した塩化水素も使用可能であるが、含有する不純物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)と分離可能であることと、触媒毒にならないことの確認が必要である。
一般に、腐食性および毒性が強いフッ化水素を少量でも不純物として含む塩化水素は扱い難く、中和後に廃棄されることが多い。しかしながら、特筆すべきことに、フッ化水素を含む塩化水素は、本発明の製造方法に酸組成物として好適に用いることができる。前記した1233に誘導できる炭素数3個の飽和フロン類を含む場合も同様に酸組成物として使用できる。少量のフッ化水素を含有する塩化水素は触媒を活性化する効果があり、本発明の製造方法に用いる触媒は、使用前にフッ化水素で活性化処理した触媒であることが好ましい。
本発明で使用可能な塩化水素は、粗く蒸留しフッ化水素を含有するものでもよい。1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)の製造において発生する、フッ化水素を含む塩化水素は、通常、塩化水素とフッ化水素との混合ガスとして回収されるが、本発明の製造方法に用いる場合は、蒸留で分離したフッ化水素を含む塩化水素からなる留分が使用可能である。好ましいフッ化水素の濃度は、全量に対して、0.001質量%以上、10質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以上、5質量%以下である。
フッ化水素を全く含まない高純度塩化水素も使用可能であるが、上記の範囲のフッ化水素を含有する塩化水素は、本発明の製造方法において、反応における触媒の活性化状態を保つ効果があるので使用するに好ましい。フッ化水素の濃度が、塩化水素とフッ化水素を合わせた量に対して、0.001質量%より少ないと触媒の活性化の効果がなく、10質量%より多くすると反応器が傷む可能性がある。なお、塩化水素とフッ化水素の比率の調整には、乾式の加圧蒸留を行うことが好ましい。
次に、本発明の製造方法における塩化水素/原料組成物比について説明する。ここで記載する「原料組成物」とは、原料であるトランス体(1234E)、シス体(1234Z)、前記CF3CH2CHR12、またはCF3−CH=CHR3成分とする組成物である。「塩化水素/原料組成物比」はモル比であり、塩化水素/原料組成物比は、0.1以上、30以下が好ましい。さらに好ましくは0.5以上、20以下である。モル比が0.1よりも低い場合は、転化率が不十分であったり、有機物のコーキングが促進されたり、触媒が経時的に低下することがあるので好ましくない。また、比が30よりも大きい場合は、塩化水素の回収の負荷が大きい。
また、当業者の所望により、窒素、アルゴン等のイナートガスを添加することも可能である。
本発明の好適な実施形態としては、下記の工程[1]〜[4]により1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)から1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を製造する方法が挙げられる。なお、蒸留等の工程は公知の方法を適用できる。
工程[1]:1,1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)をフッ化水素でフッ素化して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)と塩化水素を含む第1組成物を得る工程。
工程[2]:第1組成物から蒸留により、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(240)と塩化水素を分離する工程。
工程[3]:工程[2]にて分離された1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245)を脱フッ化水素反応させて、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)を含む第2組成物を得る工程。
工程[4]:第2組成物と工程[2]にて分離された塩化水素を反応させて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を得る工程。
2.触媒
次に、本発明の製造方法で用いる触媒について説明する。
該触媒は、金属ハロゲン化物、金属酸化物または金属塩を有効成分とする触媒であることが好ましい。金属ハロゲン化物(M−X、M:金属、X:ハロゲン原子)とは、金属原子MがハロゲンXと結合した化合物であり、金属原子とハロゲン原子が結合した金属−ハロゲン結合(M−X結合)を有するものであることが好ましい。
金属としては、周期律表の4〜15族に属する金属元素を例示することができる。中でも、アルミニウム原子(原子番号13番)と原子番号22番〜78番の遷移金属が好ましい。具体的には、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、ニッケル、銅、コバルト、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、アンチモンまたはタンタルを例示することができる。これら金属は単独で用いてもよいが、複数の金属を用いることが好ましい。また、助触媒として、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウムを添加することが可能である。
上記金属ハロゲン化物において、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、中でもフッ素原子、塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。フッ化水素等で積極的に金属表面の一部もしくは大部分をフッ素化することが有効である。本発明の製造方法のように、原料にハロゲン原子を含むフロン化合物を用いる場合、原料そのものを金属と接触させることにより、金属−ハロゲン化物を形成することもできる。金属と前記の金属−ハロゲン結合を形成させうる原料を同時に用いることで、表面に金属ハロゲン化物を有する触媒となり、本発明の製造方法における反応を速やかに進行させる触媒とすることができる。
金属−ハロゲン結合を有する触媒において、電気陰性度の大きいハロゲン原子Xは金属原子Mの電子を吸引するので、通常、金属原子Mは電子が不足している状態である。このような状態の金属はルイス酸性を示すことが多い。特に、電気陰性度の大きいフッ素原子や塩素原子がXである触媒や、金属−フッ素結合の多い触媒はより強いルイス酸性を示す傾向がある。よって、ルイス酸性を示す触媒も本発明の製造方法に好適な触媒といえる。特に、Xがフッ素原子もしくは塩素原子であり、金属−フッ素結合が多いものは、本反応において好ましい触媒と言える。
本発明の製造方法に用いる触媒として、特に、燐酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウムまたはアルミナ等の金属塩または金属酸化物をフッ素化もしくは塩素化して、表面にAl−F結合を有する金属ハロゲン化物による活性種を生成させた触媒が好ましい。特に、フッ化アルミニウムの粉末を成型した触媒は、予め表面にAl−F結合を有する活性種があるので、そのまま触媒として、本発明の製造方法に好適に使用することができる。フッ化水素と接触させて積極的に活性化処理し、表面にAl−F結合を有する活性種を意図的に生成させることはさらに好ましい。
M−F結合の有無の確認には、EZAFS、XAFS、XRF、XPS、IR、XRDによる機器分析を用いることができる。M−F結合の有無の確認方法としては、反応終了後の触媒を300℃で焼成して表面に物理吸着されたハロゲン原子を除去後、上記のいずれかの分析で金属原子とハロゲン原子を検出する。物理吸着されたハロゲン原子を除去するのに必要な焼成時間は12時間以上、120時間以下が好ましい。また、窒素流通下または減圧下で焼成すると、より効率的に、物理吸着されたハロゲン原子を除去することができる。特に、XAFSやXPSは金属−ハロゲン結合の状態を詳細に分析できるので好ましい。通常、物理吸着されたハロゲンはハロゲン化水素として吸着されていることが多い。
触媒の大きさ(最大径)は、反応に用いる反応管の内径の1/30〜1/3が好ましく、1/20〜1/5がより好ましい。これらの範囲よりも大きいと、原料が触媒と接触せずにすり抜けてしまうことがあり、これらの範囲よりも小さいと、圧力損失が大きくなったり、閉塞したりすることがある。具体的には0.5mm以上、20mm以下、より好ましくは2mm以上、10mm以下の大きさの触媒を用いることが好ましい。
このような大きさの触媒の調製方法として、原子番号が13番から78番の金属酸化物や金属塩等を球状やペレット状に成型する方法を例示することができる。当業者自身が圧縮成型機を用いて、金属酸化物や金属塩等を加圧成型することも可能であるが、アルミナ(γアルミナ、αアルミナ等)、チタニア、ジルコニアを主成分としたペレットまたはボール(球状物)が市販されており、これらを使用することもできる。また、活性炭(ヤシガラ炭、木炭まもしくは泥炭等)またはこれらの金属酸化物を担体として、上記の有効な金属成分を含む溶液を含浸させた含新触媒とする方法も有効である。また、担体は予めフッ化水素等でフッ素化処理した物を用いることが好ましい。
含浸触媒の調製方法は特に限定されないが、硝酸塩、塩化物またはオキシハロゲン化物等の可溶性化合物を溶解した溶液に担体に含浸させるか、スプレーし、次いで乾燥した後、金属塩の担持された担体を加熱下においてフッ化水素、塩化水素、塩化フッ化炭化水素等と接触させることで、担持させた金属または担体の一部または全部をハロゲン修飾させることで得られる。またアルミナ、チタニア、ステンレス鋼等をフッ素化したもの(例えば、フッ素化アルミナ)や活性炭も触媒として使用できる。フッ素化方法はどの様な方法でもよいが、例えば、フッ素化アルミナは乾燥用や触媒担体用として市販されているアルミナに加熱しながら気相でフッ化水素を流通させたり、または常温付近でフッ化水素水溶液をスプレーしたりその水溶液に浸漬し、次いで乾燥することで調製することができる。
常温付近で液体である化合物、例えば、五塩化アンチモン、四塩化スズまたは四塩化チタンなどの場合、そのまま活性炭やアルミナ等に含浸することもできる。
何れの方法で調製した触媒も、使用の前に予めフッ化水素、または含フッ素炭化水素などのフッ素化剤と接触させて活性化させるのは好ましい方法である。
特に推奨される触媒は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、クロム/活性炭、ニッケル/活性炭、鉄/活性炭、アンチモン/活性炭、クロム/アルミナ、クロム/ジルコニアである。反応前にこれらの触媒をフッ化水素との接触により、表面処理し、金属―フッ素結合を生じさせることは本発明の好ましい形態の一つであり、該操作によって得られた触媒は触媒効果が高く、本反応に用いる特に好ましいものである。
3.反応条件
次に、本発明の製造方法における反応の反応条件について説明する。まず、本発明の製造方法の反応における反応方式は、気相流通方式が好ましく、具体的には固定床流通方式、固定床循環方式、流動床流通方式等の反応方式が例示されるが、固定床気相流通方式が簡便である。反応は減圧でも加圧でもよいが、常圧(大気圧)近傍の操業が容易である。
本発明の製造方法における反応の反応温度は、触媒の種類、状態、接触時間に依存するが、200℃以上、500℃以下が好ましい。さらに好ましくは250℃以上、400℃以下である。200℃よりも低い場合は転化率が低くなる。また、400℃より高い場合は、好ましくない副反応が増加する、コーキングが発生する等の原因となる。
また、接触時間は、原料の組成に依存するが、通常0.1秒以上、200秒以下が好ましく、さらに好ましくは2秒以上、150秒以下である。0.1よりも短い場合は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234)の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)への転化率が低くなる、または反応器の圧損が大きくなることがある。
長期間の操業によって、触媒活性が低下した場合は、250℃以上、800℃以下で空気や塩素を用いて接触酸化すると触媒表面についたコーキング物質を除去できる。この時、100%の空気や塩素を用いて酸化を行うと、急激な発熱が起こることがあるので、安全上、イナートガスとしての窒素等で希釈して行うことが望ましい。イナートガスの希釈率はヒートスポットの温度を確認しながら制御することが好ましい。また、酸化処理後、フッ化水素や塩化水素による処理を行うことが好ましい。
気相流通方式の場合、冷却することによって、容易に生成物を回収することができる。冷却温度は−80℃以上、5℃以下が好ましい。−80℃より低い場合は、特殊な冷凍機が必要となるだけでなく、場合によっては、生成物が凝固することがある。また、5℃より高い場合は、捕集効率が低くなることがある。捕集された生成物は、水または塩基性水溶液でフッ素イオンや塩素イオンを洗浄することが好ましい。洗浄方法はバッチ式でも連続式でもよい。アルカリ性水溶液を用いて洗浄する場合、中和熱が発生する可能性があるので、先ず、水で大部分の塩素イオンやフッ素イオンを除去した後、アルカリ性水溶液で洗浄し、アルカリ分の除去のために水洗浄する方法が推奨される。洗浄後のサンプルはゼオライト等の固体脱水剤で乾燥することが好ましい。
一般的に、殆どの有機物は200℃以上、300℃以下で分解するので、本発明のような高温反応は原料や生成物の分解または予期せぬ反応によって、蒸留精製が困難な不純物の副生が懸念される。安全および品質安定を求めることより、特に、作動流体、洗浄剤、溶剤または発泡剤の用途では高純度品が要求されるので、どんなに高収率の反応でも分離困難な物質を副生することは避けるべきである。しかしながら、本反応の製造方法において、前述の好ましい反応条件の範囲内では、実質的に蒸留困難な物質の発生は認められず、容易に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を高純度で得ることができる。
本発明の製造方法に用いる蒸留設備は特に制限されないが、理論段数が10段以上、30段以下のものが好ましい。10段よりも段数が少ないと蒸留収率が低下することがあり、10段よりも段数が多いと、精製において特に問題が無いが、設備費やランニングコストが高くなることがある。トランス体(1233E)の沸点は19℃であるので、蒸留塔の冷媒は−50℃以上、5℃以下である。冷媒温度が−50℃よりも低い場合は特殊な冷凍設備が必要であり、ランニングコストが高くなる、5℃より高いと加圧条件で蒸留しなければ、ロスが増える。より好ましくは−20℃以上、0℃以下である
作動流体、洗浄剤、溶剤または発泡剤等の用途の場合、先に述べた有機純度だけでなく、ハロゲンイオン濃度または水分管理が必要となる。フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオンまたは水分は、作動流体の場合は装置の腐食、金属部品用の洗浄剤の場合は部品の腐食、発泡剤の場合はアミン触媒の被毒の原因となる。言い換えれば、有機純度、ハロゲンイオン濃度、水分が好ましい領域ならば作動流体、洗浄剤、溶剤、発泡剤等の用途に使用可能な品質であると言える。通常、有機純度は99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。水分は100ppm以下が好ましく、さらに好ましくは30ppm以下である。酸分は5ppm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5ppm以下が好ましい。
以下に本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、本実施例によって本発明は限定されるものではない。
ここで、組成分析値の「%」は、反応混合物をガスクロマトグラフィー(検出器:FID)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。なお、表示桁数以下は四捨五入した。例えば、表中の0.00%は0.005面積%未満であることを示している。
調整例1
[触媒の調製]
長さ240mm×内径3/4インチのステンレス鋼(SUS316)製反応管にγ−アルミナビーズ(住化アルケム株式会社製、品番、KHS−46)を36g充填した。ジャケットの温度を50℃に制御し、窒素を供給速度50cc/minで流通させながら、気化器経由でフッ化水素を供給速度0.4g/minで流通させた。アルミナへのフッ化水素の吸着熱および反応熱によって、特に入り口部に発熱が観測され、その発熱帯は徐々に出口方向に移動した。この時、温度が最も高いヒートスポットが400℃を超えた場合、フッ化水素の供給速度を0.1g/minに下げて、局所発熱を抑制した。発熱帯が出口に達した後、ジャケットの設定温度を50℃ずつ350℃まで上げて、上記と同じ作業を繰り返した。
この後、ジャケットの温度を350℃に維持し、フッ化水素の流量をゆっくりと0.7g/minまで上げた。この時のヒートスポットの温度が400℃を超えた場合は、同様にフッ化水素の流量を0.1g/minに下げた。ジャケットの温度350℃、フッ化水素の流量0.4g/minの条件で、実質的にヒートスポットが観測されなくなった時点から、さらに同じ条件で2時間、同条件で触媒の活性化処理を継続し、その後、窒素だけを流通させながら、ヒーターの電源を切り、冷却し、フッ化水素と接触させることで活性化処理したアルミナ触媒を充填した反応管を得た。
実施例1(原料:トランス体(1234E))
アルミナ触媒を充填した前記反応管に窒素を15ml/分で流しながら電気炉で加熱した。反応管および触媒の温度が350℃に達した時、フッ化水素を2.3質量%含む塩化水素を166ml/分の導入速度で気化器を通して反応管に導入した。塩化水素を流通させたまま、1000mlのシリンダーに充填したトランス体(1234E)(99.9GC%、表1に詳細な原料組成を記載)を0.14g/min(27.5ml/min)の供給速度で気化器を通して反応管に導入した。反応管の温度が360℃で定常を確認した後、窒素の導入を止め、出口ガスの分析を行った。サンプリング方法は、下記の通りである。水(10g)を入れた容量100ccのポリエチレン製バッグに出口ガスサンプルを採取し、振って酸を水で吸収した後、オーブンで50℃に加熱し、気相部分をFID検出器のガスクロマトグラフで分析した。反応条件を表1に、結果を表2に示す。
実施例2〜4
実施例1と同様の手順で、表1に示す反応条件でトランス体(1234E)の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)への変換操作を行った。なお、使用する塩化水素は、純度99.99%の塩化水素を使用した。反応条件を表1に、結果を表2に示す。
表2の実施例1〜4に示すように、本発明の製造方法により、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を高い収率で得られた。
実施例5〜9(原料:シス体(1234Z))
使用する原料をシス体(1234Z)とし、実施例1と同様の手順で、表1に示す反応条件でシス体(1234Z)の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)への変換操作を行った実験を行った。実施例5〜9では99.99%の高純度塩化水素を使用し、実施例6では実施例1と同様にフッ化水素を含有する塩化水素を用いた。反応条件を表1に、結果を表2に示す。
表2の実施例5〜9に示すように、本発明の製造方法によれば、原料としてシス体(1234Z)を使用した場合、実施例1〜4と同様に、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)が高い収率で得られた。
実施例10
実施例5の反応条件で、反応を約100時間継続した。ドライアイスで冷却したステンレスシリンダーで生成物を捕集し、氷水で洗浄後、ゼオライトで乾燥して、790gの粗体を得た。これを理論段数20段のガラス製蒸留塔で蒸留した。純度99.9%の留分を実施例11に提供し、38℃から41℃のシス体(1233Z)を主成分とする留分を実施例12に提供した。
実施例11
実施例10の蒸留で得られた純度99.9%のトランス体(1233E)310gの留分を温度10℃の冷蔵庫で保管した。このサンプル100gを超音波洗浄機に入れて、指紋が付いたガラスレンズを100秒間洗浄した。洗浄後、ドライヤーで60秒間乾燥し、目視にて観察したところ、指紋は消失した。
実施例12
実施例10の蒸留における38℃から41℃の留分36g(主成分:シス体(1233Z))を用いて実施例11と同様の実験を行った。その結果、実施例11と同様に、指紋は消失した。
実施例10〜11の結果から、本発明の製造方法において、製造された1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)は、蒸留により、洗浄剤などの用途に使用可能な高純度に精製されたことが確認された。
Figure 0006107465
Figure 0006107465
実施例13
45gのオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO)と5gの五塩化ニオブ(NbCl)を400mlのエタノールに溶かした。この溶液に直径5mm、粒状γ−アルミナ(住化アルケム株式会社製、品名、KHS−46)500mlを浸漬し、一昼夜放置した。次にエタノールをロータリーエバポレーター留去し150℃にて減圧下乾燥した。次いで、調製例1と同様の方法でフッ素化処理を行い、触媒を得た、実施例6と同様の実験を行った。反応条件を表3に、結果を表4に示す。
実施例14
粒状クロミア(日揮触媒化成株式会社製 品名、E01W−1)を用いた以外は、実施例13と同じ実験を行った。粒状クロミアに調製例1と同様の方法でフッ素化処理を行い、触媒を得た。反応条件を表1に、結果を表2に示す。
表4の実施例13,14に示すように、本発明の製造方法によれば、触媒の種類を変更しても、実施例1〜9と同様に、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233)を高い収率で得られた。
Figure 0006107465
Figure 0006107465

Claims (9)

  1. 1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンから1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法であって、
    1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素に接触させて、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと塩化水素を含む第1組成物を得る工程[1]と、
    第1組成物から蒸留により、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと塩化水素を含む組成物に分離する工程[2]と、
    工程[2]にて分離された1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第2組成物を得る工程[3]と、
    第2組成物と工程[2]にて分離された塩化水素を反応させて、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る工程[4]と、を含む、
    1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  2. 1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンから1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法であって、
    1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素に接触させて、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと塩化水素を含む第1組成物を得る工程[1]と、
    第1組成物から蒸留により、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと塩化水素を含む組成物に分離する工程[2]と、
    工程[2]にて分離された1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第2組成物を得る工程[3]と、
    気相中、触媒存在下において、第2組成物と、工程[2]にて分離された塩化水素を含む酸組成物を接触させる工程[4]と、を含む、
    1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  3. 触媒が、M−X(Mは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、Xは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)および臭素原子(Br)からなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子である)で表わされる結合を含む触媒である、
    請求項2に記載の製造方法。
  4. 触媒が、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)およびニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩または酸化物を含む触媒である、
    請求項2に記載の製造方法。
  5. 触媒が、炭素にアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の化合物が担持された触媒である、
    請求項2に記載の製造方法。
  6. 触媒が固体ルイス酸である、請求項2に記載の製造方法。
  7. 触媒が予めフッ化水素を接触させたアルミナ触媒である、請求項2に記載の製造方法。
  8. 酸組成物が、塩化水素とフッ化水素を含む酸組成物である、請求項2乃至請求項7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 酸組成物が、塩化水素とフッ化水素を合わせた量に対し、0.001質量%以上、10質量%以下のフッ化水素を含む酸組成物である、請求項8に記載の製造方法。
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