JP6105858B2 - パターン形成方法、アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物、及びプリント配線板 - Google Patents

パターン形成方法、アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物、及びプリント配線板 Download PDF

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本発明は、パターン形成方法、その方法に用いるアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物、及びその方法を用いて製造したプリント配線板に関する。
従来、プリント配線板のソルダーレジストに用いられる材料として、アルカリ水溶液により現像が可能な光硬化性樹脂組成物がある。例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂の変性により誘導されたエポキシアクリレート変性樹脂(以下、エポキシアクリレートと略記する場合がある。)を含む光硬化性樹脂組成物が用いられている。
このような光硬化性樹脂組成物を用いるソルダーレジストの形成方法としては、基材に光硬化性樹脂組成物を塗布及び乾燥して樹脂層を形成し、その樹脂層に対して、パターン状に光照射した後、アルカリ現像液で現像することにより形成する方法がある。
一方、特許文献3では、2級水酸基を有する熱硬化性樹脂を含まないことにより、デスミア耐性が向上した組成物が開示されている。この組成物では、例えば、スクリーン印刷により、ソルダーレジストが形成されている。
特開昭61−243869号公報(特許請求の範囲) 特開平3−250012号公報(特許請求の範囲) 特開2004−240233号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1,2のような光硬化性熱硬化性樹脂組成物は、エポキシアクリレートに由来するエステル結合を有するため、十分な硬化特性を得ることが困難である。例えば、デスミア液に対する耐性が十分ではない。
一方、特許文献3のような熱硬化性樹脂組成物では、光硬化性樹脂組成物のような光照射によって選択的に光照射部を硬化させるということができないため、現像によってパターン層を形成できない。従って、特許文献3のような熱硬化性樹脂組成物を用いてパターン層を形成する際には、スクリーン印刷などの印刷方法や、レーザー加工による方法に制限されてしまうという問題がある。
そこで本発明の目的は、熱硬化性樹脂組成物を用いて、現像によるパターン形成が可能、かつ、硬化特性に優れたパターン層を形成可能なパターン形成方法、それに用いるアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物、及びプリント配線板を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成とすることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のパターン形成方法は、基材に、光塩基発生剤を含むアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程(A)、
ネガ型のパターン状に光照射して前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程(B)、及び、
アルカリ現像により未照射部を除去して、ネガ型のパターン層を形成する工程(C)、
を含むことを特徴とするものである。
本発明のパターン形成方法においては、前記工程(B)は、前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物がDSC測定において発熱ピークを生じるように光照射するか、又は、
前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度が、未照射の前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度よりも低くなる、もしくは、前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度が、未照射の前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度よりも低くなるように光照射することが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、前記工程(C)の後に、さらに、紫外線照射工程(D)を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、前記工程(C)の後に、さらに、熱硬化工程(E)を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、さらに、レーザー加工工程(F)を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、さらに、デスミア工程(G)を含むことが好ましい。
本発明のアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物は、上記いずれかのパターン形成方法に用いるアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物であって、
アルカリ現像性樹脂、熱反応性化合物および光塩基発生剤を含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリント配線板は、上記いずれかのパターン形成方法にて形成したパターン層を有することを特徴とするものである。
本発明により、熱硬化性樹脂組成物を用いて、現像によりパターン形成が可能、かつ、硬化特性に優れたパターン層を形成できるパターン形成方法、それに用いる熱硬化性樹脂組成物、及びプリント配線板を提供できる。また、本発明では、ひずみや硬化収縮を抑えたパターン層を形成することができる。
図1は、本発明の実施例1の熱硬化性樹脂組成物からなる層の光照射部又は未照射部についてのDSCチャートを示す図である。 図2は、本発明の実施例9の熱硬化性樹脂組成物からなる層の光照射部又は未照射部についてのDSCチャートを示す図である。 図3は、本発明の実施例32の熱硬化性樹脂組成物からなる層の光照射部又は未照射部についてのDSCチャートを示す図である。 図4は、本発明の実施例36の熱硬化性樹脂組成物からなる層の光照射部又は未照射部についてのDSCチャートを示す図である。 図5は、本発明の実施例50の熱硬化性樹脂組成物からなる層の光照射部又は未照射部についてのDSCチャートを示す図である。 図6は、本発明のパターン形成方法を示す模式図である。
〔パターン形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、基材に、光塩基発生剤を含むアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物(以下、「熱硬化性樹脂組成物」と略記する場合がある。)からなる樹脂層を形成する工程(A)、ネガ型のパターン状の光照射にて熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程(B)、及び、アルカリ現像により未照射部を除去して、ネガ型のパターン層を形成する工程(C)、を含む。
熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を光照射することにより、光照射部表面の光塩基発生剤が活性化して、光塩基発生剤から塩基性物質(以下、「塩基」と略記する場合がある。)が発生する。この発生した塩基によって光塩基発生剤が不安定化して、さらに塩基が発生する。このようにして塩基が発生することにより樹脂層の深部まで化学的に増殖すると考えられる。その後、塩基が、アルカリ現像性樹脂と熱反応性化合物が付加反応する際の触媒として作用しながら、深部まで付加反応が進行するため、光照射部では、深部まで樹脂層が硬化する。そして、アルカリ性水溶液によって現像することにより、未照射部を除去することで、ネガ型のパターン層を形成できる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシの開環反応であるため、光反応で進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
ここで、本発明では、工程(B)の後、樹脂層を加熱する工程(B1)を有することが好ましい。これにより、樹脂層を十分に硬化して、さらに硬化特性に優れたパターン層を得ることができる。
[工程(A)]
工程(A)は、基材に、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程である。工程(A)は、例えば、熱硬化性樹脂組成物を基材に、塗布及び乾燥することにより、樹脂層を形成する工程や、熱硬化性樹脂組成物をドライフィルムの形態にしたものを基材にラミネートする工程である。
熱硬化性樹脂組成物の基材への塗布方法は、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の公知の方法でよい。また、乾燥方法は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による加熱方式の熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風を向流接触させる方法、およびノズルより支持体に吹き付ける方法等、公知の方法でよい。
基材としては、予め回路形成されたプリント配線基材やフレキシブルプリント配線基材の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層基材、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基材、セラミック基材、ウエハ基材等を用いることができる。
[工程(B)]
工程(B)は、ネガ型のパターン状に光照射にて熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程である。工程(B)では、光照射部で発生した塩基により、光塩基発生剤が不安定化し、塩基が化学的に増殖することにより、樹脂層の深部まで十分硬化できる。
工程(B)は、熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度が、未照射の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度よりも低くなる、もしくは、熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度が、未照射の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度よりも低くなるように光照射することが好ましい。
ここで、光照射した熱硬化性樹脂組成物と未照射の熱硬化性樹脂組成物との、DSC測定における発熱開始温度の温度差(ΔT start)とも称する)もしくは発熱ピーク温度の温度差(ΔT peakとも称する)が、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらにより好ましい。
ΔT startもしくはΔT peakが10℃以上であることにより、未照射部がアルカリ現像後に残存してしまういわゆるカブリや、光照射部がアルカリ現像により除去されてしまういわゆる食われの発生を抑制することができる。また、ΔT startもしくはΔT peakが10℃以上であることにより、工程(B1)における加熱温度や加熱時間の範囲を広く採ることができる。
また、熱硬化性樹脂組成物によっては、工程(B)は、熱硬化性樹脂組成物がDSC測定において初めて発熱ピークを生じるように光照射してもよい。
ΔT startとは、同様の組成の熱硬化性樹脂組成物を用意し、一方は光照射した後に、もう一方は光照射せずにそのまま、DSC(示差走査熱量測定、Differential scanning calorimetry)測定をそれぞれ行い、光照射した熱硬化性樹脂組成物の硬化反応の開始を示す発熱開始温度と、未照射の熱硬化性樹脂組成物の発熱開始温度の温度差を指す。ΔT peakは、同様にDSC測定を行った時の、光照射部の熱硬化性樹脂組成物の発熱ピーク温度と、未照射部の熱硬化性樹脂組成物の発熱ピーク温度との温度差をいう。
DSC測定における光照射量は、光照射量を上げていき、熱硬化性樹脂組成物の光照射による発熱ピーク温度のシフトが起こらなくなる(サチュレーション)光照射量である。
光照射に用いられる光照射機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した光照射機、(超)高圧水銀ランプを搭載した光照射機、水銀ショートアークランプを搭載した光照射機、もしくは(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。パターン状の光照射用のマスクは、ネガ型のマスクである。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光又は散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光塩基発生剤を活性化させることができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には100〜1500mJ/cm、好ましくは300〜1500mJ/cmの範囲内とすることができる。
[工程(B1)]
工程(B1)は、加熱により光照射部を硬化する。工程(B1)は、工程(B)で発生した塩基により深部まで硬化できる。
加熱温度は、熱硬化性樹脂組成物のうち光照射部は熱硬化するが、未照射部は熱硬化しない温度であることが好ましい。
例えば、工程(B1)は、未照射の熱硬化性樹脂組成物の発熱開始温度又は発熱ピーク温度よりも低く、かつ、光照射した熱硬化性樹脂組成物の発熱開始温度又は発熱ピーク温度よりも高い温度で加熱することが好ましい。このように加熱することにより、光照射部のみを選択的に硬化することができる。
ここで、加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱温度を80℃以上とすることにより、光照射部を十分に硬化できる。一方、加熱温度を140℃以下とすることにより、光照射部のみを選択的に硬化できる。加熱時間は、例えば、10〜100分である。加熱方法は、上記乾燥方法と同様である。
なお、未照射部では、光塩基発生剤から塩基が発生しないため、熱硬化が抑制される。
[工程(C)]
工程(C)は、アルカリ現像により、未照射部を除去して、ネガ型のパターン層を形成する。
現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等公知の方法によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エタノールアミンなどのアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。
[工程(D)]
本発明のパターン形成方法は、工程(C)の後に、さらに、紫外線照射工程(D)を含むことが好ましい。
工程(D)は、工程(B)のパターン層内で活性化せずに残った光塩基発生剤を活性化して、塩基を発生させる。
工程(D)における紫外線の波長および光照射量(露光量)は、工程(B)と同じであってもよく、異なっていてもよい。光照射量(露光量)は、例えば、150〜2000mJ/cmである。
[工程(E)]
本発明のパターン形成方法は、工程(C)の後に、さらに、熱硬化(ポストキュア)工程(E)を含むことが好ましい。
工程(C)の後に工程(D)と工程(E)をともに行う場合、工程(E)は、工程(D)の後に行うことが好ましい。
工程(E)は、工程(B)、または工程(B)および工程(D)により光塩基発生剤から発生した塩基により、パターン層を十分に熱硬化させる。工程(E)の時点では、未照射部を既に除去しているため、工程(E)は、未照射の熱硬化性樹脂組成物の硬化反応開始温度以上の温度で行うことができる。これにより、パターン層を十分に熱硬化させることができる。加熱温度は、例えば、160℃以上である。
[工程(F)]
本発明のパターン形成方法は、さらに、レーザー加工工程(F)を含んでもよい。レーザー加工により微細な開口部を形成することができる。レーザーは、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザーなど公知のレーザーを用いることができる。
工程(F)は、工程(C)の後、又は、工程(D)、(E)を含む場合は、工程(D)、(E)の後に行うことが好ましい。
[工程(G)]
本発明のパターン形成方法は、さらに、工程(F)の後、デスミア工程(G)を含むことが好ましい。
工程(G)は、スミアを膨潤させて除去されやすくするためのスミア膨潤工程、スミアを除去する除去工程、および除去工程で使用されたデスミア液から生じるスラッジを中和する中和工程を含む。
膨潤工程は、水酸化ナトリウム等のアルカリ薬液を用いて行うもので、デスミア薬液によるスミア除去を容易にするものである。
除去工程は、重クロム酸や過マンガン酸等の酸化剤を含む酸性薬液を用いてスミアを除去する。
中和工程は、水酸化ナトリウム等のアルカリ薬液を用いて、除去工程で使用した酸化剤を還元、除去する。
〔アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物〕
本発明のパターン形成方法に用いる熱硬化性樹脂組成物は、アルカリ現像性樹脂、熱反応性化合物および光塩基発生剤を含む。
ここで、熱硬化性樹脂組成物は、DSC測定における発熱開始温度又は発熱ピーク温度が低温側にシフトするものであるか、又は、光照射して初めてDSC測定において発熱ピークを生じるものであることが好ましい。
[アルカリ現像性樹脂]
アルカリ現像性樹脂は、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂であり、好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ビスフェノールF、ビスフェノールS型フェノール樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物など公知慣用のフェノール樹脂が挙げられる。
また、フェノール樹脂として、ビフェニル骨格、或いはフェニレン骨格、又はその両方の骨格を有する化合物と、フェノール性水酸基含有化合物としてフェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール等とを用いて合成した、様々な骨格を有するフェノール樹脂を用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基含有樹脂としては、公知のカルボキシル基を含む樹脂を用いることができる。カルボキシル基の存在により、樹脂組成物をアルカリ現像性とすることができる。また、カルボキシル基の他に、分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いてもよいが、本発明においては、カルボキシル基含有樹脂として、例えば下記(1)のような、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いることが好ましい。
本発明に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。なお、低級アルキルとは、炭素原子数1〜5のアルキル基を指す。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)上記(2)又は(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)上記(2)又は(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)後述するような多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(8)後述するような多官能(固形)エポキシ樹脂に飽和モノカルボン酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(9)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(10)後述するような多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂を含まない非感光性カルボキシル基含有樹脂。
(12)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(13)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(14)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に飽和モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂を含まない非感光性カルボキシル基含有樹脂。
(15)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(16)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(17)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、飽和モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(18)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(19)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(20)上記(1)〜(19)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。
上記のようなアルカリ現像性樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基やヒロドキシ基等を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能になる。
上記カルボキシル基含有樹脂のヒドロキシル基当量又はカルボキシル基当量は、80〜900g/eq.であることが好ましく、さらに好ましくは、100〜700g/eq.である。ヒドロキシル基当量又はカルボキシル基当量が900g/eq.を超えた場合、パターン層の密着性が得られなかったり、アルカリ現像が困難となることがある。一方、ヒドロキシル基当量又はカルボキシル基当量が80g/eq.未満の場合には、現像液による光照射部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、光照射部と未照射部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となることがあるので好ましくない。また、カルボキシル基当量やフェノール基当量が大きい場合、アルカリ現像性樹脂の含有量が少ない場合でも、現像が可能となるため、好ましい。
また、本発明で用いるアルカリ現像性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、光照射後の樹脂層の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
チオール基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビ スチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられる。
アルカリ現像性樹脂は、カルボキシル基含有樹脂やフェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましい。
また、アルカリ現像性樹脂は、エポキシアクリレートなどの光硬化性構造を有さない非感光性であることが好ましい。このような非感光性アルカリ現像性樹脂は、エポキシアクリレートに由来するエステル結合を有さないので、デスミア液に対する耐性が高い。よって、硬化特性に優れたパターン層を形成できる。また、光硬化性構造を有さないため、ひずみや硬化収縮を抑制できる。
アルカリ現像性樹脂がカルボキシル基含有樹脂の場合、フェノール性樹脂の場合と比べて弱アルカリで現像できる。弱アルカリとしては、炭酸ナトリウム等が挙げられる。弱アルカリで現像することにより、光照射部が現像されてしまうことを抑制できる。また、工程(B)における光照射時間や工程(B1)における加熱時間を短縮できる。
[熱反応性化合物]
熱反応性化合物は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂である。エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他の液状2官能性エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
ここで、熱反応性化合物がベンゼン骨格を有する場合、耐熱性が向上するので、好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物が白色顔料を含有する場合、熱反応性化合物は脂環式骨格であることが好ましい。これにより、光反応性を向上できる。
上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ現像性樹脂との当量比(アルカリ現像性樹脂:熱反応性化合物)が1:0.5〜1:10であることが好ましい。このような配合比から外れる場合、現像が困難となることがある。上記当量比は、1:0.5〜1:5であることがさらに好ましい。
[光塩基発生剤]
光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、上記の熱反応性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
光塩基発生剤として、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。
α―アミノアセトフェノン化合物は分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成する。α−アミノアセトフェノン化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、商品名、BASFジャパン社製)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、商品名、BASFジャパン社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379、商品名、BASFジャパン社製)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物をいずれも使用することができる。オキシムエステル化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する化合物も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
Figure 0006105858
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルで表し、nは0か1の整数である。)
特に、前記一般式中、X、Yが、それぞれメチル基又はエチル基であり、Zはメチル又はフェニルであり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
また、好ましいカルバゾールオキシムエステル化合物として、下記一般式で表すことができる化合物を挙げることもできる。
Figure 0006105858
(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、ニトロ基、ハロゲン原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
は、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または、炭素原子数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。Rは、酸素原子または硫黄原子で連結されていてもよく、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基を表す。Rは、ニトロ基、または、X−C(=O)−で表されるアシル基を表す。Xは、炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基、チエニル基、モルホリノ基、チオフェニル基、または、下記式で示される構造を表す。)
Figure 0006105858
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
アシルオキシイミノ基を有する化合物の具体例としては,O,O’−コハク酸ジアセトフェノンオキシム,O,O’−コハク酸ジナフトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムアクリレートースチレン共重合体などが挙げられる。
N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基を有する化合物の具体例としては、例えば、ジ−N−(p−ホルミルアミノ)ジフェニルメタン、ジ−N(p−アセエチルアミノ)ジフェニルメラン、ジ−N−(p−ベンゾアミド)ジフェニルメタン、4−ホルミルアミノトルイレン、4−アセチルアミノトルイレン、2,4−ジホルミルアミノトルイレン、1−ホルミルアミノナフタレン、1−アセチルアミノナフタレン、1,5−ジホルミルアミノナフタレン、1−ホルミルアミノアントラセン、1,4−ジホルミルアミノアントラセン、1−アセチルアミノアントラセン、1,4−ジホルミルアミノアントラキノン、1,5−ジホルミルアミノアントラキノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジホルミルアミノビフェニル、4,4’−ジホルミルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基を有する化合物の具体例としては、例えば、ビス{{(2−ニトロベンジル)オキシ}カルボニル}ジアミノジフェニルメタン、2,4−ジ{{(2−ニトロベンジル)オキシ}トルイレン、ビス{{(2−ニトロベンジルオキシ)カルボニル}ヘキサン−1,6−ジアミン、m−キシリジン{{(2−ニトロ−4−クロロベンジル)オキシ}アミド}などが挙げられる。
光塩基発生剤としては、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
その他の光塩基発生剤として、
WPBG-018(商品名:9-anthrylmethyl N,N’-diethylcarbamate),WPBG-027(商品名:(E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine),WPBG-082(商品名:guanidinium2-(3-benzoylphenyl)propionate), WPBG-140 (商品名:1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate)等の光塩基発生剤を使用することもできる。
また、特開平11−71450号公報、国際公開2002/051905号、国際公開2008/072651号、特開2003−20339号公報、特開2003−212856号公報、特開2003−344992号公報、特開2007−86763号公報、特開2007−231235号公報、特開2008−3581号公報、特開2008−3582号公報、特開2009−280785、特開2009−080452、特開2010−95686号公報、特開2010−126662号公報、特開2010−185010号公報、特開2010−185036号公報、特開2010−186054号公報、特開2010−186056号公報、特開2010−275388号公報、特開2010−222586、特開2010−084144、特開2011−107199号公報、特開2011−236416、特開2011−080032等の文献記載の光塩基発生剤を使用することもできる。
上記光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱反応性化合物100質量部に対して1〜50質量部であり、さらに好ましくは、1〜40質量部である。1質量部未満の場合、現像が困難になることがあるため好ましくない。
(マレイミド化合物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、マレイミド化合物を含んでもよい。
マレイミド化合物としては、多官能脂肪族/脂環族マレイミド、多官能芳香族マレイミドが挙げられる。多官能脂肪族/脂環族マレイミドとしては、例えば、N,N’−メチレンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸とを脱水エステル化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドエステル化合物;トリス(カーバメートヘキシル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドアルコールとをウレタン化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドウレタン化合物等のイソシアヌル骨格ポリマレイミド類;イソホロンビスウレタンビス(N−エチルマレイミド)、トリエチレングリコールビス(マレイミドエチルカーボネート)、脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリオールとを脱水エステル化、又は脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸エステルと各種脂肪族/脂環族ポリオールとをエステル交換反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類;脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類;脂肪族/脂環族マレイミドアルコールと各種脂肪族/脂環族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドウレタン化合物類等がある。
多官能芳香族マレイミドとしては、マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリオールとを脱水エステル化、又はマレイミドカルボン酸エステルと各種芳香族ポリオールとをエステル交換反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類;マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類;マレイミドアルコールと各種芳香族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる芳香族ポリマレイミドウレタン化合物類等の芳香族多官能マレイミド類等がある。
多官能芳香族マレイミドの具体例としては、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N’−2,6−トリレンビスマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチル−ビフェニレン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジエチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−t−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−s−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕デカン、1,1−ビス〔2−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)−5−t−ブチルフェニル〕−2−メチルプロパン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ジ−s−ブチルベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、4,4’−メチレンビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2−ノニルベンゼン〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−3−メチルベンゼン〕、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔3−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3,5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−エチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、4,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、3,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、4,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、1,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタンなどを挙げることができる。
マレイミド化合物の配合量としては、アルカリ現像性樹脂との当量比(アルカリ現像性樹脂:マレイミド化合物)が1:0.5〜1:10であることが好ましい。このような配合比から外れる場合、現像が困難となる場合がある。上記当量比は、1:0.5〜1:5であることがさらに好ましい。
[高分子樹脂]
上記熱硬化性樹脂組成物には、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に慣用公知の高分子樹脂を配合することができる。高分子樹脂としてはセルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマー、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。
上記高分子樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記高分子樹脂の添加量は、上記熱反応性化合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは、5〜30質量部である。高分子樹脂の配合量が、50質量部を超えた場合、熱硬化性樹脂組成物のデスミア耐性の悪化が懸念されるため好ましくない。
(ブロック共重合体)
ブロック共重合体とは、性質の異なる二種類以上のポリマーが、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体のことである。この範囲内において固体であればよく、この範囲外の温度においても固体であってもよい。上記温度範囲において固体であることによりドライフィルム化したときや基材に塗布し仮乾燥したときのタック性に優れる。
本発明で用いるブロック共重合体としてはA−B−A、あるいはA−B−A’型ブロック共重合体が好ましい。A−B−AあるいはA−B−A’型ブロック共重合体のうち、中央のBがソフトブロックでありガラス転移点Tgが低く、好ましくは0℃未満であり、その両外側A又はA’がハードブロックでありTgが高く、好ましくは0℃以上のポリマー単位により構成されているものが好ましい。ガラス転移点Tgは示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
また、A−B−AあるいはA−B−A’型ブロック共重合体のうち、A又はA’がTgが50℃以上のポリマー単位からなり、BがTgが−20℃以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体がさらに好ましい。
また、A−B−AあるいはA−B−A’型ブロック共重合体のうち、A又はA’が上記熱反応性化合物との相溶性が高いものが好ましく、Bが上記熱反応性化合物との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックスに相溶であり、中央のブロックがマトリックスに不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
A又はA’として、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などを含むことが好ましく、Bとしてポリn−ブチルアクリレート(PBA)、ポリブタジエン(PB)などを含むことが好ましい。また、A又はA’成分の一部にスチレンユニット、水酸基含有ユニット、カルボキシル基含有ユニット、エポキシ含有ユニット、N置換アクリルアミドユニット等に代表される前述に記載したマトリックスと相溶性に優れる親水性ユニットを導入し、更に相溶性を向上させることが可能となる。
また本発明に用いるブロック共重合体としては3元以上のブロック共重合体が好ましく、リビング重合法により合成された分子構造が精密にコントロールされたブロック共重合体が本発明の効果を得る上でより好ましい。これは、リビング重合法により合成されたブロック共重合体は分子量分布が狭く、それぞれのユニットの特徴が明確になったためであると考えられる。用いるブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は3以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、更に好ましくは2.0以下である。
上記のような(メタ)アクリレートポリマーブロックを含むブロック共重合体は、例えば、特開2007−516326号、特開2005−515281号明細書記載の方法、特に、下記式(1)〜(4)のいずれかで表されるアルコキシアミン化合物を開始剤としてY単位を重合した後に、X単位を重合することにより好適に得ることができる。
Figure 0006105858
Figure 0006105858
(式中、nは2を表し、Zは、2価の有機基を表し、好ましくは、1,2−エタンジオキシ、1,3−プロパンジオキシ、1,4−ブタンジオキシ、1,6−ヘキサンジオキシ、1,3,5−トリス(2−エトキシ)シアヌル酸、ポリアミノアミン、例えばポリエチレンアミン、1,3,5−トリス(2−エチルアミノ)シアヌル酸、ポリチオキシ、ホスホネートまたはポリホスホネートの中から選択されるものである。Arは2価のアリール基を表す。)
ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは20,000〜400,000、より好ましくは50,000〜300,000の範囲である。重量平均分子量が20,000未満であると、目的とする強靭性、柔軟性の効果が得られず、熱硬化性樹脂組成物をドライフィルム化した時や基材に塗布し仮乾燥した時のタック性にも劣る。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、印刷性、加工性が著しく悪くなることがある。重量平均分子量が50000以上であると、外部からの衝撃に対する緩和性において優れた効果が得られる。
(エラストマー)
上記熱硬化性樹脂組成物には、官能基を有するエラストマーを添加することができる。官能基を有するエラストマーを加えることで、コーティング性が向上し、塗膜の強度も向上することが期待できる。また、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等を用いることができる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども使用できる。さらには、エポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマーなども使用することができる。また、これらのエラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[無機充填剤]
上記熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含有することが好ましい。無機充填剤は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために使用される。無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。
上記無機充填剤の平均粒径(D50)は1μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.5μmであることがさらに好ましい。平均粒径が1μmを超える場合、パターン層が白濁する恐れがあるため、好ましくない。平均粒径(D50)は、レーザー回折/散乱法により測定することができる。平均粒径が上記範囲にあることにより、屈折率が樹脂成分と近くなり、透過性が向上し、光照射による光塩基発生剤からの塩基の発生効率が上昇する。無機充填剤と、アルカリ現像性樹脂との屈折率差は、0.3以下であることが好ましい。屈折率差を0.3以下とすることにより、光の散乱を抑えて、良好な深部硬化性を得ることができる。ここで、無機充填剤の屈折率は、1.4以上1.8以下であることが好ましい。なお、無機フィラーの屈折率は、JIS K 7105に準拠して測定することができる。
無機充填剤の配合割合は、上記熱硬化性樹脂組成物の全固形分を基準として75質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜60質量%である。無機充填剤の配合割合が75質量%を超えると、組成物の粘度が高くなり、塗布性が低下したり、熱硬化性樹脂組成物の硬化物が脆くなることがある。
[着色剤]
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。
従来、プリント配線板における銅回路のエッジ部では、パターン層の着色力が不十分な場合、パターン層の形成後の熱履歴において、銅が変色し、外観上、薄い部分だけ変色して見える。代表的な熱履歴としてはマーキングの熱硬化、反り直し、実装前の予備加熱、実装などがある。
このため、従来はパターン層に着色剤を多く配合して着色力を高めることにより、銅回路のエッジ部分だけ変色して見えるという問題を解消していた。
しかし、着色剤は、光吸収性を有するため、光が深部にまで透過することを阻害してしまう。その結果、着色剤を含有する組成物では、アンダーカットが生じやすいため、十分な密着性を得ることが難しい。
これに対して、本発明の熱硬化性樹脂組成物では、上述したように、深部まで塩基が化学的に増殖することにより、樹脂層の深部まで十分硬化できる。
従って、本発明の熱硬化性樹脂組成物では、着色剤を含有する場合でも、銅回路の隠蔽性に優れ、かつ、密着性に優れたパターン層を形成できる。
着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
モノアゾ系:PigmentRed 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114,146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269。
ジスアゾ系:PigmentRed 37, 38, 41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2,53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:SolventRed 135、Solvent Red 179、PigmentRed 123、Pigment Red 149、PigmentRed 166、Pigment Red 178、PigmentRed 179、Pigment Red 190、PigmentRed 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:PigmentRed 220、Pigment Red 144、PigmentRed 166、Pigment Red 214、PigmentRed 220、Pigment Red 221、PigmentRed 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:PigmentRed 122、Pigment Red 202、PigmentRed 206、Pigment Red 207、PigmentRed 209。
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなものを挙げることがで
きる:PigmentBlue 15、Pigment Blue 15:1、PigmentBlue 15:2、Pigment Blue 15:3、PigmentBlue 15:4、Pigment Blue 15:6、PigmentBlue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、SolventBlue 35、Solvent Blue 63、SolventBlue 68、Solvent Blue 70、SolventBlue 83、Solvent Blue 87、SolventBlue 94、Solvent Blue 97、SolventBlue 122、Solvent Blue 136、SolventBlue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤:
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:PigmentYellow 93、Pigment Yellow 94、PigmentYellow 95、Pigment Yellow 128、PigmentYellow 155、Pigment Yellow 166、PigmentYellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:PigmentYellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104,105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183。
ジスアゾ系:PigmentYellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174,176, 188, 198。
白色着色剤:
また、本発明においては着色剤として、白色着色剤を用いることもできる。白色着色剤としては、例えば酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしてはルチル型酸化チタンでもアナターゼ型酸化チタンでもよいが、ルチル型チタンを用いることが好ましい。同じ酸化チタンであるアナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度が高く、白色顔料としてよく使用されるが、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒活性を有するために、特にLEDから照射される光により、絶縁性樹脂組成物中の樹脂の変色を引き起こすことがある。これに対し、ルチル型酸化チタンは、白色度はアナターゼ型と比較して若干劣るものの、光活性を殆ど有さないために、酸化チタンの光活性に起因する光による樹脂の劣化(黄変)が顕著に抑制され、また熱に対しても安定である。このため、LEDが実装されたプリント配線板の絶縁層において白色顔料として用いられた場合に、高反射率を長期にわたり維持することができる。
ルチル型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。ルチル型酸化チタンの製造法には、硫酸法と塩素法の2種類あり、本発明では、いずれの製造法により製造されたものも好適に使用することができる。ここで、硫酸法は、イルメナイト鉱石やチタンスラグを原料とし、これを濃硫酸に溶解して鉄分を硫酸鉄として分離し、溶液を加水分解することにより水酸化物の沈殿物を得、これを高温で焼成してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。一方、塩素法は、合成ルチルや天然ルチルを原料とし、これを約1000℃の高温で塩素ガスとカーボンに反応させて四塩化チタンを合成し、これを酸化してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。その中で、塩素法により製造されたルチル型酸化チタンは、特に熱による樹脂の劣化(黄変)の抑制効果が顕著であり、本発明においてより好適に用いられる。
これらの酸化チタンの中でも、表面が含水アルミナ又は水酸化アルミニウムで処理された酸化チタンを用いることが、組成物中での分散性、保存安定性、難燃性の観点から特に好ましい。
黒色着色剤:
本発明に用いられる黒色着色剤としては、公知慣用の黒色着色剤を使用することができる。黒色着色剤としては、C.I.Pigmentblack 6、7、9および18等に示されるカーボンブラック系の顔料、C.I.Pigment black 8、10等に示される黒鉛系の顔料、C.I.Pigmentblack 11、12および27,Pigment Brown 35等で示される酸化鉄系の顔料:例えば戸田工業(株)製KN−370の酸化鉄、三菱マテリアル(株)製13Mのチタンブラック、C.I.Pigmentblack 20等で示されるアンスラキノン系の顔料、C.I.Pigment black 13、25および29等で示される酸化コバルト系の顔料、C.I.Pigmentblack 15および28等で示される酸化銅系の顔料、C.I.Pigment black 14および26等で示されるマンガン系の顔料、C.I.Pigmentblack 23等で示される酸化アンチモン系の顔料、C.I.Pigment black 30等で示される酸化ニッケル系の顔料、C.I.Pigmentblack 31、32で示されるペリレン系の顔料、Pigment Black 1で示されるアニリン系の顔料および硫化モリブデンや硫化ビスマスも好適な顔料として例示できる。これらの顔料は、単独で、または適宜組合せて使用される。特に好ましいのは、カーボンブラックであり例えば、三菱化学(株)製のカーボンブラック、M−40、M−45、M−50、MA−8、MA−100、またペリレン系の顔料は有機顔料の中でも低ハロゲン化に有効である。
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.等がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物中の着色剤の配合量は、前記熱反応性化合物100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜5質量部である。
なお、着色剤が白色の場合、白色着色剤の配合量は、熱反応性化合物100質量部に対して、70質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは、60質量部以下である。
[有機溶剤]
上記熱硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
[光重合性モノマー]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で光重合性モノマーを含んでいてもよい。
光重合性モノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキシド誘導体のモノ又はジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキシド或いはプロピレンオキシド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;及びメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
光重合性モノマーの配合量は、熱硬化性樹脂組成物の溶剤を除く固形分を基準として、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、30質量%以下であり、さらにより好ましくは、15質量%以下である。光重合性モノマーの配合量が50質量%を超える場合、硬化収縮が大きくなるため、反りが大きくなる可能性がある。また、光重合性モノマーが(メタ)アクリレート由来の場合、エステル結合を含む。この場合、デスミア処理によって、エステル結合の加水分解が起こるため、電気特性が低下する可能性がある。
(その他の任意成分)
上記の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、上記の熱硬化性樹脂組成物には、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
また、熱硬化性成分として、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂等を配合してもよい。
さらに、アルカリ現像性樹脂としてフェノール樹脂を含有し、熱反応性化合物としてエポキシ樹脂を含有することで、Tgを高くでき、原料の軟化点に依存すること無くHAST耐性に優れた硬化物が得られる樹脂組成物とすることができる。また、光重合性モノマー(分子内にエチレン性不飽和基を含有し、カルボキシル基含有樹脂を主成分とする光硬化性樹脂組成物において、光硬化を促進するために配合される低分子化合物)を配合しない組成とした場合、タック性に優れる樹脂組成物とすることができる。
従来の光硬化性樹脂組成物では、光硬化反応を室温下で起こす為、硬化時に樹脂組成物のTg(軟化点)が上昇する結果、硬化反応が停止してしまう場合があった。そのため、光硬化性樹脂組成物のTgを低く設計する必要があった。それに対して、本発明のアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応前のTgに制限はなく、高Tgとすることが期待できる。また、本発明のアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物の硬化は、酸素阻害を受けずに硬化することが期待できる。
本発明のプリント配線板は、パターン形成方法にて形成したパターン層を備えることを特徴とするものである。パターン層としては、ソルダーレジスト、層間絶縁層などが挙げられる。本発明のプリント配線板は、パターン層を本発明のパターン形成方法によって形成する以外については、公知の製造方法により製造することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線板のパターン層の形成に有用であり、中でもソルダーレジストや層間絶縁層の材料として有用である。
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
(実施例1〜10)
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
下記表1記載の配合に従って、実施例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
<樹脂層を備えるプリント配線基材の作製>
銅厚15μmで回路が形成されている板厚0.4mmの両面プリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、ロールコーター(ファーネス社)を用い、前記前処理を行ったプリント配線基材に熱硬化性樹脂組成物を乾燥後で20μmになるように両面塗布をおこなった。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30minにて乾燥し、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した。
<現像性(パターニング)、硬化特性評価用基材の作製>
上記で得られた樹脂層を備える基材に対して、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にてネガ型のパターン状に光照射した。光照射量については、DSCによる発熱ピーク温度を参考に下記表2に記載のように設定した。次いで表3に記載の温度条件にて60〜80分間加熱処理を行った。その後、35℃の、3wt% TMAH/5wt%エタノールアミン混合水溶液中に基材を浸漬して3分間現像を行い、現像性およびパターニングの評価を下記基準に従って行った。得られた結果を下記表3に示す。
◎:TMAH/5wt%エタノールアミン混合水溶液に代えて、炭酸ナトリウム水溶液でも、現像が可能。光照射部表面に現像液によるダメージが無く、また未照射部に現像残渣がみられない状態
○:光照射部表面に現像液によるダメージが無く、また未照射部に現像残渣がみられない状態
×:未照射部に現像残渣が確認された。または、未照射部の現像ができなかった状態。
××:光照射部および未照射部ともに完全に溶解した状態。
(レーザー加工性)
上記の現像性(パターニング)の評価をおこなった基材について、更にORC社紫外線照射装置にて1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、ついで熱風循環式乾燥炉にて170℃/60min硬化させた(ポストキュア)。
その後、光照射面にレーザー加工をおこなった。光源はCO2レーザー(日立ビアメカニクス社、光源10.6μm)にて加工した。下記基準に従って評価した。加工性の優劣をつけるために、全て同条件でレーザー加工を行った。
加工径狙いはトップ径65μm/ボトム50μmである。
条件:アパチャー(マスク径):3.1mm/パルス幅20μsec/出力2W/周波数5kHz/ショット数:バースト3ショット
○:狙い加工径との差が±2μm未満
×:狙い加工径との差が±2μm以上
(デスミア耐性)
上記レーザー加工を行った基材について、更に過マンガン酸デスミア水溶液(湿式法)によりデスミア処理を行った。デスミア耐性の評価として、基材表面の表面粗度の確認および、レーザー開口部周辺の状態を下記基準に従って評価をおこなった。表面粗度の確認は、レーザー顕微鏡VK−8500(キーエンス社、測定倍率2000倍、Z軸方向測定ピッチ10nm)により、それぞれの表面粗度Raを測定した。レーザー開口部の観察は、光学顕微鏡によっておこなった。
薬液について(ローム&ハース社)
膨潤 MLB−211 温度80℃/時間10min
過マンガン酸 MLB−213 温度80℃/時間15min
還元 MLB−216 温度50℃/時間5min
評価方法について
◎:過マンガン酸デスミア後の表面粗度Raが0.1μm未満、かつレーザー加工後の加工径との差が2μm以下
○:過マンガン酸デスミア後の表面粗度Raが0.1〜0.3μm以下、かつレーザー加工後の加工径との差が2〜5μm
×:過マンガン酸デスミア後の表面粗度Raが0.3μmを超えるかつレーザー加工後の加工径との差が5μm以上
(隠蔽性/密着性の評価)
上記現像性、硬化特性評価基材の作製に準じて、銅厚15μmで回路が形成されている板厚0.4mmの両面プリント配線基材上に熱硬化性樹脂組成物を形成した。
その後、大気雰囲気下でピーク温度270℃、前記の温度での暴露時間が10sec以上になるよう設定したエアーリフロー(エイテックテクトロン社)を使用し、それぞれの基板にて5サイクルリフロー処理を行い、隠蔽性の評価および密着性の評価を下記基準に従っておこなった。
隠蔽性の評価は、目視にて銅回路の変色の有無の確認を行い、密着性については、クロスカット法(JISK5600)に従いリフロー処理後の基板表面に切れ込みをつけ、テープピールにて硬化塗膜のはがれの確認をおこなった。
○:目視評価にて回路の変色が確認されず、またテープピールによるハガレも確認されなかった。
△:目視評価にて回路の変色が確認されたが、テープピールによるハガレは確認されなかった。
×:目視評価にて回路の変色が確認され、またテープピールによるハガレも確認された。
<DSC測定>
上記で得られた樹脂層を備える基材に対して、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にてネガ型のパターン状に光照射した。それぞれの基材について、光照射量を500mJ/cm、1000mJ/cmとした2パターンの光照射を行った。光照射後、基材上より樹脂層を削りだし、直ちにセイコーインスツルメンツ社DSC−6200において、昇温速度5℃/minにて30〜300℃まで昇温し、光照射部と未照射部それぞれについてDSC測定をおこなった。それぞれについて、得られたDSCチャートより発熱ピーク温度を求めた。結果を下記表2に示す。図1に実施例1の、図2に実施例9の樹脂層のDSCチャートを示す。それぞれの図は、未照射の樹脂層、光照射量1000mJ/cmの樹脂層のDSCチャート図である。実施例1の樹脂層では、光照射によりピークが低温側にシフトした。また、実施例9の樹脂層では、光照射により初めてピークが発現した。
前記方法にて得られたDSCチャートから、光照射部の発熱ピーク温度T peak 1、未照射部の発熱ピーク温度をT peak 2とし、ΔTを以下のように定義した。
ΔT peak=T peak 2−T peak 1
上記定義より、ΔT peakがプラス(正の値)のときは光照射部の発熱ピークが低温側にシフトしていることを表し、光照射をおこなうことで光塩基発生剤が活性化されていることをあらわす。
また、実施例1,9において、紫外線照射直後、ポストキュア前のパターン層に対して、上述したようなDSC測定をおこなった。具体的には、パターン層を光照射量1000mJ/cmで光照射した後更に1000mJ/cmで紫外線照射したパターン層について、DSC測定を行った。
実施例1、9のパターン層について、得られたDSCチャートより発熱ピーク温度を求めた。図1に実施例1の、図2に実施例9のパターン層のDSCチャートを示す。
紫外線照射により、実施例1のパターン層では、発熱量が増大したため、さらに効率的に熱硬化反応が進行していることがわかる。また、紫外線照射により、実施例9のパターン層では、発熱量が増大し、かつ、ピークが低温側にシフトしたため、さらに効率的に熱硬化反応が進行していることがわかる。
Figure 0006105858
※828:Bis−A型液状エポキシ(当量190)、三菱化学社
※HP−4032:ナフトール型エポキシ(当量150)、DIC社
※HP−7200H60:ジシクロペンタジエン型エポキシ(当量265)、DIC社をシクロヘキサノンで溶解。固形分60%
※HF−1M H60:フェノールノボラック(水酸基当量105)、明和化成社をシクロヘキサノンで溶解。固形分60%
※ジョンクリル68 H60:スチレンアクリル酸共重合樹脂、Mw=10000、酸価195、ジョンソンポリマー社
※Irg907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン社
※Irg369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、BASFジャパン社
※Irg379:2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)エタン−1−オン、BASFジャパン社
※OXE−02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、BASFジャパン社
※TPO:ルシリンTPO、BASFジャパン社
Figure 0006105858
※1:光照射部の発熱ピーク温度
※2:未照射部の発熱ピーク温度
※3:T peak 2−T peak 1
※4:実施例9、10では、未照射では発熱ピークが見られず、光照射することで発熱ピークが発現した。
Figure 0006105858
(比較例1〜4)
下記表4に記載の配合で、上記実施例と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製し、基材に塗布して、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を備える基材を作製した。DSC測定の結果を下記表5に示す。
比較例1では、光塩基発生剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様に評価した。
比較例2では、光塩基発生剤の代わりにルシリンTPOを配合した以外は、実施例1と同様に評価した。
比較例3、4については、はじめの光照射を行わずに、表6記載の温度で30分間加熱処理を行った。また、その後の紫外線照射およびポストキュアも行わなかった。比較例4については、上記と同様にデスミア処理を行って硬化特性を評価した。得られた結果を下記表6に示す。
Figure 0006105858
Figure 0006105858
Figure 0006105858
上記表3および表6の結果から、実施例1〜10では、熱反応性化合物、アルカリ現像性樹脂、及び光塩基発生剤からなる熱硬化性樹脂組成物を用いることより、デスミア耐性などの硬化特性に優れ、現像によるパターン形成が可能であることがわかった。一方、比較例1〜4では、パターン形成が困難であった。
(実施例11〜66、比較例5〜7)
実施例11〜66、比較例5〜7において、実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例11では、実施例1と同様に、液状の熱硬化性樹脂組成物をプリント配線基材に直接塗布、乾燥、光照射、加熱処理、アルカリ現像、紫外線照射、熱硬化を順に行った。
実施例12〜66、比較例5〜7においては、熱硬化性樹脂組成物を用いて下記のように、ドライフィルムを作製し、プリント配線基材にラミネートして、プリント配線板を作製した。
<ドライフィルムの作製>
キャリアフィルムとして、38μmの厚みのPETフィルム上に、熱硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて塗布し、その後90℃/30min乾燥しドライフィルムを作製した。熱硬化性樹脂組成物の厚みは乾燥後、約20μmになるように塗布量を調整した。その後、得られたドライフィルムを所定のサイズにスリット加工を行った。
<ラミネート>
銅厚15μmで回路が形成されている両面プリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して前処理を行ったプリント配線基材に、名機社真空ラミネーターMVLP−500を用いてプリント配線板基材上にドライフィルムをラミネートし、樹脂層を備えるプリント配線板を得た。ラミネート条件は温度80℃、圧力5kg/cm/60secでおこなった。
<冷熱サイクル特性の評価>
上記のように過マンガン酸デスミア処理を行ったプリント配線板に対して、更に市販品の無電解ニッケルめっき浴および無電解金メッキ浴を用いて、ニッケル0.5μm、金メッキ0.03μmの条件にてメッキを行い、パターン層に金メッキ処理を施した。得られたプリント配線板について、冷熱サイクル特性評価をおこなった。処理条件は、−65℃で30min、150℃で30minを1サイクルとして、熱履歴を加え2000サイクル経過後で、熱硬化性樹脂組成物の表面およびパターン形成周辺部の状態を光学顕微鏡にて観察し、下記基準に従ってクラックの評価をおこなった。観察パターン数は100穴であった。得られた結果を下記表7〜表14に示す。
(評価方法)
◎:樹脂組成物表面およびパターン層の周辺部にクラック発生なし
○:パターン層の周辺部のクラック発生率30%未満
△:パターン層の周辺部のクラック発生率30%以上
<Bステージ状態の評価(基材への形成時のハンドリング)>
実施例11〜66について、DFのBステージ状態(半硬化状態)の評価を行った。得られた熱硬化性樹脂組成物が形成されているDFの所定のサイズにスリット加工を行い、DFの状態を以下の方法で確認した。
(評価方法)
○:スリット加工後、樹脂層の割れや樹脂の粉落ちが確認されない
△:スリット加工後、樹脂層の割れや、樹脂の粉落ちが確認された。
<熱反応性化合物、マレイミド化合物、及びアルカリ現像性樹脂の屈折率の測定方法>
測定装置:アッペ屈折率計
測定条件:波長589.3nm、温度25℃
Figure 0006105858
Figure 0006105858
Figure 0006105858
Figure 0006105858
Figure 0006105858
Figure 0006105858
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(マレイミド化合物)
UVT−302:マレイミド基を側鎖に有するアクリルポリマー(当量320)、東亞合成社
(アルカリ現像性樹脂)
MEH−7851M H60: ビフェニル/フェノールノボラック(水酸基当量210)、明和化成社をシクロヘキサノンで溶解。固形分60%。
ジョンクリル586 H60: スチレンアクリル酸共重合樹脂、Mw=3100、固形分酸価=108、ジョンソンポリマー社をシクロヘキサノンで溶解。固形分60%
R−2000PG:固形分65%(DIC社製)、エポキシアクリレート構造を有する
(光塩基発生剤)
WPBG−140:1−(アントラキノン−2−イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、和光純薬社
(高分子樹脂)
MAM M52 H30:MMA/nBA/MMAトリブロック共重合物、アルケマ社をシクロヘキサノンで溶解。固形分30%
PB−3600:エポキシ化ポリブタジエンMn=5900、ダイセル化学社
KS−10 H30:ポリビニルブチラール、積水化学社をシクロヘキサノンで溶解。固形分30%
YX8100 BH30:フェノキシ樹脂。三菱化学社。固形分30%SO−C2:
(シリカ)
AO−502:球状アルミナ D50=0.7μm、屈折率=1.76、アドマテックス社
ハイジライトH−42M:水酸化アルミニウムD50=1.0μm、屈折率=1.65、昭和電工社
B−30:硫酸バリウム、D50=0.3μm、屈折率=1.64、堺化学社
(着色剤)
フタロシアニンブルー:C.I. Pigment Blue 15:3
カーボンM−50 カーボンブラック:三菱化学社
CR58 ルチル型酸化チタン:D50=0.28μm、石原産業
クロモフタルイエロー:C.I. Pigment Yellow 147
(その他)
ラロマーLR8863:3官能アクリレートモノマー、BASF社
DA−600:アクリレートモノマー、三洋化成工業社
LUCILINE TPO(BASFジャパン(株))
(実施例1、3、8、9、67における温度/時間違いによる現像可能な条件)
詳細な現像性/パターニング性の評価として、更に上記実施例1、3、8、9、および下記実施例67にて作製したプリント配線板について、光照射後の加熱温度および加熱時間の評価をおこなった。表中に、現像可能な加熱時間の範囲を示す。なお、実施例67は、実施例1の光塩基発生剤の配合部数を10質量部に減らした以外は、実施例1と同様である。
Figure 0006105858
表15に示すように、実施例1、8では、120℃で、20〜40分間加熱した場合現像が良好であった。つまり、実施例1、8では、現像可能な加熱時間の範囲は、20分であった。実施例3では、120℃で、80〜100分間加熱した場合現像が良好であった。つまり、実施例2でも、現像可能な加熱時間の範囲は、20分であった。実施例9,67では、120℃で、60分間又は40分間加熱した場合のみ現像が良好であった。
従って、実施例1、3、8で用いた、分子構造内に窒素原子を複数有する光塩基発生剤では、実施例9の場合よりも、現像可能時間の幅が長いので、プリント配線板の製造が容易となることが分かった。
<光照射直後のDSC測定>
実施例32、36、50で得られた樹脂層を備える基材に対して、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にてネガ型のパターン状に光照射した。それぞれの基材について、光照射量を1000mJ/cmとしてパターンの光照射を行った。光照射後、基材上より樹脂層を削りだし、直ちにセイコーインスツルメンツ社DSC−6200において、昇温速度5℃/minにて30〜300℃まで昇温し、光照射部と未照射部それぞれについてDSC測定をおこなった。また、紫外線照射直後、ポストキュア前の熱硬化性樹脂組成物からなる硬化層に対して、同様にDSC測定をおこなった。
図3〜5は、それぞれ実施例32、36、50における、未照射部、光照射量1000mJ/cmの光照射部、光照射量1000mJ/cmで光照射した後更に1000mJ/cmで紫外線照射した光照射部のDSCチャート図である。
実施例32、36、50の光照射部では、光照射により発熱ピークが低温側にシフトした。
(比較例8)
銅厚15μmで回路が形成されている板厚0.4mmの両面プリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、商品名PSR−4000G23K(太陽インキ製造(株)社、エポキシアクリレート構造を有するアルカリ現像性樹脂を含む光硬化性樹脂組成物)をスクリーン印刷にて、乾燥後で20μmになるように塗布をおこなった。次いで、熱風循環式乾燥炉にて80℃/30minにて乾燥後、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にて、光照射量300mJ/cmにてネガ型のパターン状に光照射した。その後、1wt%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像し、次いで熱風循環式乾燥炉を用いて150℃/60min間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。
その後、上記実施例11と同様にレーザー加工性およびデスミア耐性の評価をおこなった。その結果、レーザー加工性は、「〇」であったが、デスミア耐性は、「×」であった。

Claims (4)

  1. 基材に、エポキシ樹脂と多官能オキセタン化合物とを含む群から選択される熱反応性化合物、及び光塩基発生剤を含むアルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する工程(A)、
    ネガ型のパターン状の光照射にて前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化する工程(B)、
    加熱により前記光照射部を硬化する工程(B1)、
    アルカリ現像により未照射部を除去して、ネガ型のパターン層を形成する工程(C)
    レーザー加工工程(F)、
    及び、
    デスミア工程(G)
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記工程(B)は、前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物がDSC測定において発熱ピークを生じるように光照射するか、又は、
    前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度が、未照射の前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱開始温度よりも低くなる、もしくは、前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度が、未照射の前記アルカリ現像型の熱硬化性樹脂組成物のDSC測定における発熱ピーク温度よりも低くなるように光照射することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記工程(C)の後に、さらに、紫外線照射工程(D)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記工程(C)の後に、さらに、熱硬化工程(E)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
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