JP6102874B2 - 多気筒エンジンの排気装置 - Google Patents

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Description

複数の気筒と、1つの気筒あるいは排気順序が互いに連続しない複数の気筒にそれぞれ接続されて各気筒から排出されたガスが導入される独立排気通路と、これら独立排気通路を通ったガスをエンジン外部に排出する排気管本体とを備えた多気筒エンジンの排気装置に関する。
従来から、自動車等のエンジンにおいて、エンジントルクを高めることを目的とした排気装置の開発が行なわれている。
その一つとして、特許文献1のように、排気通路の流路面積を変更することでエンジントルクを高めるようにしたものがある。
この特許文献1には、排気順序が互いに連続しない複数の気筒にそれぞれ接続された独立排気通路の下流側部分に、上流から順に、各独立排気通路とそれぞれ独立して連通するガス通路が内側に形成されるとともに流路面積が下流側ほど小さくなる絞り部と、これらガス通路を通過した排気が内側で合流するとともに流路面積が上下流方向に一定の合流部と、流路面積が下流側ほど大きくなるディフューザー部とを有し、上記絞り部内のガス通路の流路面積を変更可能とした装置であって、所定の運転領域において、上記各ガス通路の流路面積を最大面積よりも小さくするとともに、各気筒の吸気弁の開弁期間と排気弁の開弁期間とが所定のオーバーラップ期間重複し、かつ、排気順序が連続する気筒間において一方の気筒の上記オーバーラップ期間が他方の気筒の排気弁が開弁している時期に重複するように吸気弁および排気弁を駆動させる一方、他の運転領域では上記各ガス通路の流路面積を最大面積とするものが開示されている。
この装置によれば、所定の運転領域では、上記絞り部内のガス通路の流路面積が小さく絞られることで、所定の気筒から排出された排気の速度を高めてこの気筒と排気順序が連続する他の気筒にエゼクタ効果によって高い負圧を生じさせ、これにより、この他の気筒の掃気を促進することができるとともに、他の運転領域では、上記絞り部内のガス通路の流路面積が大きくされることで排気抵抗を小さく抑えて、これにより、エンジントルクを高めることができる。
特開2009−97335号公報
しかしながら、上記特許文献1の装置では、上記絞り部の流路面積を変更するために、独立排気通路に接続される内管と、上記合流部と上記ディフューザー部と一体化された外管であって、上記内管を囲み内管との間に内管内部と連通するガス通路を区画する外管とで絞り部を構成し、これら外管と合流部とディフューザー部とを上下流方向に変位させて内管と外管との間の距離を離間させることで、これら管間の通路の流路面積すなわち絞り部内の各ガス通路の流路面積を変更させており、外管と合流部とディフューザー部全体を上下流方向に変位させねばならない。そのため、これら全体の変位量分排気通路が大型化してしまうという問題や、これらを変位させるための大型のアクチュエータが必要になる、また、これに伴い排気系全体の重量が過大になるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑み、排気系部品の小型化および軽量化を実現しつつエンジントルクを高めることができる多気筒エンジンの排気装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の気筒と、1つの気筒あるいは排気順序が互いに連続しない複数の気筒にそれぞれ接続されて各気筒から排出されたガスが導入される独立排気通路と、これら独立排気通路を通ったガスをエンジン外部に排出する排気管本体とを備えた多気筒エンジンの排気装置おいて、上記各独立排気通路から下流側に延びてこれら独立排気通路から排出された排気がそれぞれ独立して流入する複数のノズル部内通路が内側に形成されたノズル部と、上記ノズル部の下流側に上下流方向にスライド変位可能に設けられて、当該ノズル部を通過したガスが流入する通路が内側に形成され、上流側にスライド変位したときに上記各独立排気通路から流出したガスが通過する通路の流路面積を縮小し、下流側にスライド変位したときに当該各独立排気通路から流出したガスが通過する通路の流路面積を拡大するスライド部と、上記スライド部の下流側に設けられて、上記スライド部を通過したガスが流入する通路が内側に形成されているとともに当該通路の流路面積が下流に向かうに従って大きくなるよう構成されたディフューザー部と、上記各独立排気通路と上記排気管本体との間に介在して、上記ノズル部と上記スライド部と上記ディフューザー部とを内側に収容した状態で上記独立排気通路および排気管本体に接続されるアウターシェルとを備え、上記ディフューザー部は、上記スライド部をスライド変位可能に支持した状態で上記アウターシェルに固定されていることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置を提供する(請求項1)。
本発明によれば、スライド部を下流側の位置とすることで、独立排気通路から流出するガスが通過する通路の流路面積を大きくし、これにより、排気抵抗を小さく抑えてエンジントルクを高めることができるとともに、スライド部を上流側の位置とすることで、上記通路の流路面積を小さくして、これにより、排気の流速を高めて気筒内の掃気性を高めることができ、簡単な構成でエンジントルクを適正に確保することができる。
しかも、本発明では、ディフューザー部が排気管本体に接続されるアウターシェルに固定されており、スライド部のみがスライド変位することで各独立排気通路から排出された排気が通過する通路の流路面積が変更されるので、ディフューザー部をスライド部とともに変位させる場合に比べて変位部分ひいては排気系部品を小型化および軽量化することができるとともに、ディフューザー部がスライド部をスライド変位可能に支持していることで、この変位部分(スライド部)を安定して支持することができる。
本発明において、上記スライド部は、その下流端部が上記ディフューザー部の内側に挿入されることで当該ディフューザー部に支持されているのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、スライド部をディフューザー部によって安定してスライド可能に支持することができるとともに、排気を円滑にディフューザー部に流入させることができる。
また、本発明において、上記ノズル部は、下流に向かうに従って当該ノズル部の軸に近づく方向に傾斜して延びるノズル部側傾斜部を備え、上記ノズル部側傾斜部には、上記各ノズル部内通路の内側と外側とを連通する複数の開口部が形成されており、上記スライド部は、上記ノズル部を囲み且つ上記ノズル部側傾斜部に沿うように傾斜して延びるとともに上記ノズル部側傾斜部との間に上記各ノズル部内通路から上記各開口部を介して排出されたガスが流通する通路を区画するスライド部側傾斜部と、当該スライド部側傾斜部から下流に延びて少なくとも下流側部分の流路面積が一定となるストレート部とを備え、上記ディフューザー部は、上記ストレート部の下流端部を支持しているのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、スライド部のスライド変位によってノズル部側傾斜部とスライド部側傾斜部との離間量を変更させるという簡単な構成で、独立排気通路から流出するガスが通過する通路の流路面積を容易に変更することができるとともに、ストレート部において各独立排気通路から排出されたガスの流れを安定化させることができる。
また、前記構成において、上記ノズル部側傾斜部は、上記スライド部が最も上流側の位置にスライド変位された状態において、上記スライド部側傾斜部の内側面に当接する形状を有し、上記アウターシェルは、上記スライド部が最も下流側の位置にスライド変位された状態において上記スライド部側傾斜部の外側面に当接する形状を有するのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、スライド部の最上流位置および最下流位置をノズル部側傾斜部およびアウターシェルによって容易に位置決めすることができるとともに、スライド部を最上流あるいは最下流位置にて安定して支持することができる。
ここで、排気弁が排気行程に加えて吸気行程中にも開弁されるいわゆる排気二度開きを実施するエンジンでは、気筒から一旦導出した排気が気筒に向かって逆流し、流路面積が下流に向かうに従って大きくなるよう構成されたディフューザー部にこの逆流した排気の圧力が加えられる。そのため、ディフューザー部を変位可能とした場合には振動等が生じるおそれがある。あるいは、この振動を回避するために、ディフューザー部の支持を強固にする必要が生じる。これに対して、本発明では、上記のようにディフューザー部が排気管本体に接続されたアウターシェルに固定されているため、排気の圧力を受けてもディフューザー部が振動等するのを回避することができる。
従って、本発明において、エンジンの運転領域のうち特定の領域に設定された特定領域において、上記各気筒の排気弁は排気行程に加えて吸気行程中にも開弁されるよう構成されていれば、効果的である(請求項5)。
また、本発明は、上記スライド部をスライド変位させるスライド部駆動手段と、上記スライド部駆動手段を含むエンジンの各部を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、エンジンの運転領域のうち所定の領域に設定された第1領域において、上記スライド部駆動手段によって上記スライド部を最も下流側の位置よりも上流側の位置にするとともに、上記各気筒の吸気弁および排気弁の開弁期間が所定のオーバーラップ期間重複し、かつ、排気順序が連続する気筒間において一方の気筒の上記オーバーラップ期間が他方の気筒の排気弁の開弁期間と重複するように各気筒の吸気弁および排気弁を制御する一方、エンジンの運転領域のうち上記第1領域を除く第2領域において、上記スライド部駆動手段によって上記スライド部を最も下流側の位置にするものに適用されるのが好ましい(請求項6)。
このようにすれば、第1領域において排気抵抗を小さくしてエンジントルクを高めることができるとともに、第2領域において排気の流速を高めて高いエゼクタ効果によって所定の気筒から排出された排気によって他の気筒の掃気を促進することができる。
以上説明したように、本発明によれば、排気系部品の小型化および軽量化を実現しつつエンジントルクを高めることができる。
本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置の概略側面図である。 本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置の概略正面図である。 ノズル部の下流端部を示す図である。 図4のV矢視図である。 スライド部が最上流位置にある状態のアウターシェル内部を示した図である。 スライド部が最下流位置にある状態のアウターシェル内部を示した図である。 スライド部が最上流位置にある状態のアウターシェル内部の断面図である。 スライド部が最下流位置にある状態のアウターシェル内部の断面図である。 本発明の実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置の制御系を説明するための図である。 吸気弁および排気弁のバルブタイミングを説明するための図である。 本発明の実施形態に係るスライド部の制御領域および排気二度開きの実施領域を示した図である。
(1)装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る多気筒エンジンの排気装置100の概略構成図である。図2は、図1の概略側面図である。図3は、図1の概略正面図である。なお、図1では、後述するスライドアクチュエータ70の図示は省略している。
エンジン本体1の内部には複数の気筒12が形成されている。本実施形態では、エンジン本体1は、4つの気筒12が直列に並ぶ直列4気筒のエンジンであり、図1に示すように、第1気筒12a,第2気筒12b,第3気筒12c,第4気筒12dが形成されている。
エンジン本体1は4サイクルエンジンであって、図11に示すように、各気筒12a〜12dにおいて、180℃Aずつずれたタイミングで気筒内の混合気に点火が行われて、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程がそれぞれ180℃Aずつずれるように構成されている。本実施形態では、第1気筒12a→第3気筒12c→第4気筒12d→第2気筒12bの順に点火が行われてこの順に排気行程等が実施される。
シリンダヘッド9には、各気筒12内に臨むようにそれぞれ上記混合気に点火を行う点火プラグ15が取り付けられている。
シリンダヘッド9には、2つの吸気ポート17および2つの排気ポート18が形成されている。吸気ポート17は、各気筒12内に吸気を導入するためのものである。排気ポート18は、各気筒12内から排気を排出するためのものである。各吸気ポート17には、これら吸気ポート17を開閉して吸気ポート17と気筒12内部とを連通あるいは遮断するための吸気弁19が設けられている。各排気ポート18には、これら排気ポート18を開閉してこれら排気ポート18と気筒12内部とを連通あるいは遮断するための排気弁20が設けられている。吸気弁19は、吸気弁駆動機構30により駆動されて吸気ポート17を開閉し、排気弁20は、排気弁駆動機構40により駆動されて排気ポート18を開閉する。
吸気弁駆動機構30は、吸気弁19に連結された吸気カムシャフト31と、吸気VVT(Valiable Valve Timing)32とを有している。吸気カムシャフト31は、周知のチェーン/スプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフトに連結されており、クランクシャフトの回転に伴い回転して吸気弁19を開閉駆動する。吸気VVT32は、吸気カムシャフト31と同軸に配置されてクランクシャフトにより直接駆動される所定の被駆動軸と吸気カムシャフト31との間の位相差を変更して、これによりクランクシャフトと吸気カムシャフト31との間の位相差すなわち吸気弁19のバルブタイミングを変更する。吸気VVT32としては、液圧式のものや電磁式のもの等が用いられる。
排気弁駆動機構40は、吸気弁駆動機構30とほぼ同様の構造を有しており、排気弁20およびクランクシャフトに連結された排気カムシャフト41と、排気カムシャフト41とクランクシャフトとの位相差を変更することで排気弁20のバルブタイミングを変更する排気VVT42とを有している。
ただし、本実施形態では、排気VVT42は、排気弁20が排気行程に加えて吸気行程でも開弁するいわゆる排気二度開きを実現可能に構成されている。この排気二度開きは、高温の既燃ガスを気筒12内に残留させていわゆる内部EGRを行うために実施される。すなわち、排気二度開きが実施されて吸気行程中にも排気弁20が開弁していると、排気行程で一旦排気ポート18に排出された排気が吸気行程中に気筒12内に逆流して排気すなわち高温の既燃ガスが気筒12内に残留する。
なお、本実施形態では、吸気VVT32および排気VVT42は、吸気弁19および排気弁20の開弁期間及びリフト量つまりバルブ・プロファイルをそれぞれ一定に保ったまま、吸気弁19および排気弁20の開弁時期と閉弁時期とをそれぞれ変更する。
(2)排気系の構成
本実施形態に係る排気系の構成について次に説明する。
本実施形態では、エンジン本体1から排出された排気をエンジン外部に排出するための排気系の装置として、複数の独立排気通路52と、エンジン外部に排気を排出するための排気管本体80と、これら独立排気通路52と排気管本体80との間に介在する動圧排気部60と、後述するように動圧排気部60に含まれるスライド部62をスライド変位させるためのスライドアクチュエータ(スライド部駆動手段)70とが設けられている。
排気管本体80は、内側に1つの通路が形成された略円筒状部材である。各気筒12から排出された排気は、後述するように、それぞれ独立して各独立排気通路52を通過した後、動圧排気部60内で合流し、その後、排気管本体80を通ってエンジン外部に排出される。なお、排気管本体80には、触媒装置やマフラー等が配置されている。
(2−1)独立排気通路の構成
各独立排気通路52は、図1等に示すように、それぞれ各気筒12の排気ポート18から下流に延びる管状部材である。これら独立排気通路52は、上記動圧排気部60の上流端に向かってそれぞれ延びており、動圧排気部60の上流端付近で集合している。
(2−2)動圧排気部の構成
動圧排気部60は、各独立排気通路52から排出されたガスの流速を高めるためのものであり、全体として、その流路面積が、下流側に向かって小さくなっていった後、一定で延び、その後、下流側に向かって大きくなるような形状を有している。
動圧排気部60は、独立排気通路52と排気管本体80とに接続・固定される筒状のアウターシェル61と、このアウターシェル61の内側にそれぞれ収容されるノズル部64、スライド部62、ディフューザー部63とを有する。ノズル部64、スライド部62、ディフューザー部63は、この順で上流から順に配置されている。
図4は、ノズル部64の下流端部を示した図である。図5は、図4のV矢視図である。図6,7は、それぞれアウターシェル61の内部を示した図である(破線の一部省略)。図8,9は、それぞれアウターシェル61内部の断面図である。ここで、後述するように、スライド部62は上下流方向にスライド変位可能であり、図6および図8はスライド部が最上流位置にある状態を示したもの、図7および図9はスライド部が最下流位置にある状態を示したものである。図1〜図3およびこれらの図4〜図9を用いて、動圧排気部60の各部の構成について以下に説明する。
(2−2−1)ノズル部64の構成
図8等に示すように、ノズル部64は、上下流方向に延びる管状部材である。このノズル部64は、アウターシェル61の上流端において各独立排気通路52の下流端から下流に延びている。このノズル部64の内側には、各独立排気通路52にそれぞれ対応する位置に設けられて、各独立排気通路52から排出された排気がそれぞれ独立して流入する複数のノズル部内通路64aが形成されている。本実施形態では、4つの独立排気通路52に対応して4つのノズル部内通路64aが形成されている。図4等に示すように、各ノズル部内通路64aは、同一の構造を有しており、軸x回りに互いに等間隔(90°間隔)に並んでいる。
本実施形態では、ノズル部内通路64aを構成する4本の管状部材が集合することでノズル部64が構成されているとともに、これら管状部材が各独立排気通路52と一体に形成されている。すなわち、本実施形態では、各排気ポートにそれぞれ独立して接続される管状部材の下流端がノズル部64として機能し、この下流端よりも上流側の部分が独立排気通路52として機能している。
ノズル部64は、上流側部分64bが軸xを中心軸とする略円筒形をなし、下流側部分64cが軸xを中心として下流に向かうに従って縮径する略円錐台形状をなす外形を有しており、ノズル部64の下流側部分には、下流に向かうに従って中心軸x側に傾斜するよう構成されたノズル部側傾斜部64cが設けられている。これに伴い各ノズル部内通路64aの流路面積すなわちノズル部64の流路面積は、下流側の方が上流側よりも小さくなっている。詳細には、この流路面積は、下流側に向けて一定とされた後、下流に向かうに従って小さくされている。ノズル部64の下流端の内径は、例えば、ノズル部64の上流端の内径の約半分に設定されている。
このようにノズル部64の下流側部分の流路面積が下流に向かうに従って小さくされていることで、各独立排気通路52から排出された排気の流速は、ノズル部内通路64aの通過中に高められる。
図4および図5に示すように、ノズル部側傾斜部64cのうち各ノズル部内通路62aの通路壁を構成する部分には、それぞれ各ノズル部内通路64aの内側と外側とを連通する開口部64dが形成されている。開口部64dは、ズル部64の中心軸X回りに均等に(90°間隔で)設けられている。本実施形態では、ノズル部側傾斜部64cの一部が、下流端から上流に向かって略半円状に切り欠かれることで開口部64dが形成されている。ここで、ノズル部側傾斜部64cが、上記のように下流に向かうに従って中心軸x側に傾斜していることから、開口部64dは下流向きに開口している。
(2−2−2)スライド部62の構成
スライド部62は、ノズル部64と同軸で上下流方向に延びる管状部材であり、スライド部62の内側には、1つの通路が形成されている。このスライド部62は、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気が通過する通路の流路面積を変更するために、スライドアクチュエータ70により駆動されて上下流方向にスライド変位する。
スライド部62は、軸xを中心軸とする円筒状を有し流路面積一定で上下流方向に延びる上流端部分62aと、この上流端部分62aから下流に延びるスライド部側傾斜部62bと、スライド部側傾斜部62bから下流に延びるストレート部62cとからなる。ノズル部64のうちノズル部側傾斜部64cを含む下流側部分は、このスライド部62の上流端部分62aとスライド部側傾斜部62bとに囲まれている。すなわち、スライド部62は、ノズル部64の下流側部分を囲んだ状態で、このノズル部64の途中部分からノズル部64の下流端よりも下流側の位置まで延びている。
スライド部側傾斜部62bは、ノズル部側傾斜部64cに沿って延びる形状を有している。すなわち、スライド部側傾斜部62bは、軸xを中心として下流に向かうに従って縮径する略円錐台形状をなす外形を有しており、下流に向かうに従って軸x側に傾斜している。これに伴い、スライド部側傾斜部62bの流路面積は下流側ほど小さくなっている。
スライド部側傾斜部62bが上記のようにノズル部側傾斜部64cに沿って延びて下流に向かうに従って軸x側に傾斜する形状を有していることで、図6および図8に示すように、スライド部62は、スライド部側傾斜部62bとノズル部側傾斜部64cとが接触(当接)する位置よりも上流側へスライド変位できないようになっており、本実施形態では、これらが接触する位置を、スライド部62の最上流位置としている。本実施形態では、この最上流位置にある状態において、スライド部側傾斜部62bはノズル部側傾斜部64cの全体と接触する。
ここで、このようにスライド部62が上記最上流位置にある状態では、スライド部側傾斜部62bはノズル部側傾斜部64cのほぼ全体と接触する結果、図8の矢印に示すように、スライド部側傾斜部62bによってノズル部側傾斜部64cの各開口部64dは塞がれる。従って、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気は、開口部64dからノズル部外に流出することなくノズル部内通路64aを通過し、ノズル部内通路64aの下流端から下流に流れていく。
一方、図9に示すように、スライド部62が上記最上流位置から下流側にスライド変位すると、スライド部側傾斜部62bはノズル部側傾斜部64cから下流側に離間し、これに伴い、これら傾斜部62b,64c間には通路が区画されるとともに、各開口部64dは開放される。そのため、スライド部62が上記最上流位置から下流側にスライド変位した状態では、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気の一部は、このスライド部側傾斜部62bとノズル部側傾斜部64cとで区画された通路(以下、外部通路という場合がある)を通って下流に流れていく。すなわち、図9の矢印で示すように、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気は、ノズル部内通路64aに加えてこの外部通路を通過する。
このように、本実施形態では、スライド部62の位置が、上記最上流位置と、これよりも下流側の位置とに変位することで、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気が通過する通路が、ノズル部内通路64aのみと、ノズル部内通路64aおよび外部通路とに切り替えられ、これにより、この排気が通過する通路の流路面積が切り替えられる。すなわち、スライド部62の位置が最上流位置とされることで、排気が通過する通路の流路面積は最小とされ、スライド部62の位置が最上流位置よも下流側とされることで、この流路面積が最小よりも大きくされる。そして、この流路面積の切替に伴って、ノズル部内通路64aから下流に排出される排気の速度が切り替えられる。具体的には、スライド部62の位置が最上流位置とされて上記排気が通過する通路の流路面積が最小とされると、この排気がズル部内通路64aから下流に排出される速度は高くされる。一方、スライド部62の位置が最下流位置とされて上記排気が通過する通路の流路面積が最大とされると、この排気がズル部内通路64aから下流に排出される速度は低く抑えられる。
ここで、各ノズル部内通路64aは各独立排気通路52とそれぞれ個別に連通している。そのため、ノズル部内通路64a内の排気は他のノズル部内通路64a内の排気と混合することなく流下する。これに対して、スライド部側傾斜部とノズル部側傾斜部との間の空間は、軸x回り全周で連通している。しかしながら、上記のように開口部64dが下流向きに開口していることから、外部通路においても、独立排気通路52およびノズル部内通路64aを通過したガスは、他のこれら通路52、64aを通過した排気とほとんど混合することなく、独立して流下する。
ストレート部62cは、各独立排気通路52からそれぞれ排出されてノズル部内通路64aあるいはノズル部内通路64aおよび外部通路を独立して通過した排気、すなわち、各気筒12A〜2Dから排出された排気が、内側で混合する部分である。
ストレート部62cは、各気筒12A〜2Dから排出された排気が内側で十分に混合して良好に整流化されるように、その下流端部分の流路面積が一定とされている。
本実施形態では、ストレート部62cの上流側部分は、下流側ほど流路面積が小さくなるよう構成される一方、下流側部分は、流路面積一定で下流側に延びている。具体的には、ストレート部62cの上流側部分は、軸xを中心として下流に向かうに従って縮径する略円錐台形状をなす外形を有しており、ストレート部62cの下流側部分は、円筒状を有している。ストレート部62cの上流側部分は、スライド部側傾斜部62bに連続して延びおり、ストレート部62cの下流側部分は、この上流側部分の下流端から流路面積一定で延びている。
(2−2−3)ディフューザー部の構成
ディフューザー部63は、下流に向かうに従って流路面積が拡大するよう構成されている。本実施形態では、ディフューザー部63の上流端部63aは略円筒状の外形を有し、この上流端部63aよりも下流側の部分63bは軸xを中心とする略円錐台形状の外形を有している。
ディフューザー部63の内側には上流からストレート部62cの下流端部が挿通されており、ストレート部62cひいてはスライド部62は、ディフューザー部63によりスライド可能に支持されている。本実施形態では、上記略円筒状のディフューザー部63の上流端部63aにスライド部62c(ストレート部62c)の下流端部が挿入されている。ディフューザー部63の上流端の内径は、ストレート部62cの下流端の外径よりもわずかに大きい寸法に設定されており、スライド部62の変位時には、ストレート部62cの下流端部が、ディフューザー部63内において、このディフューザー部63の内側面に沿って上下流方向に移動する。
ディフューザー部63は、上記のようにスライド部62をスライド変位可能に支持した状態で、アウターシェル61に固定されている。本実施形態では、ディフューザー部63は、アウターシェル61に溶接されている。
(2−3)アウターシェルの構成
上記のように、アウターシェル61は、ノズル部64、スライド部62、ディフューザー部63を内側に収容する管状部材であり、図6等に示すように、アウターシェル61は、これらの外形に沿う外形を有している。具体的には、アウターシェルは、上流から順に、第1部分61a、第2部分61b、第3部分62c、第4部分61dとからなる。
第1部分61aは、ノズル部64およびノズル部64を囲むスライド部62の上流側部分を囲んでおり、これらの外形に沿って延びている。
第2部分61bは、スライド部62のスライド部側傾斜部62bおよびこれに連続して傾斜するストレート部62cの上流側部分を囲んでおり、これらの外形に沿って延びている。すなわち、第2部分61bは、スライド部側傾斜部62bおよびストレート部62xcの上流側部分と平行に延びて、下流に向かうに従って中心軸x側に傾斜している。
第3部分61cは、ストレート部62cの略円筒状の下流側部分を囲んでおり、この外形に沿って延びている。
第4部分61dは、ディフューザー部63を囲んでおり、この外形に沿って略円錐台形状の外形を有している。ディフューザー部63は、この第4部分62dに固定されている。
ここで、上記第2部分61bは、図7に示すように、スライド部が最下流位置に配置された状態においてスライド部側傾斜部62bに下流側から接触(当接する)ように設けられている。すなわち、第2部分61bは、スライド部62の変位量分、スライド部側傾斜部62bから、スライド部62の変位量分(最上流位置と最下流位置との距離分)下流側に離間した位置において、スライド部側傾斜部62bと略平行に延びている。
(3)スライドアクチュエータ
スライド部62をスライド変位させるためのスライドアクチュエータ70について次に説明する。
本実施形態では、スライドアクチュエータ70は、ダイアフラム式である。スライドアクチュエータ70は、図3、図6等に示すように、ダイアフラム本体71と、ダイアフラム本体71から所定の方向に延びてダイアフラム本体71によってこのダイアフラム本体71と接離する方向にスライド変位される第1シャフト72と、第1シャフト72の先端(反ダイアフラム本体側)に接続されるレバー部74と、レバー部75に固定される第2シャフト73と、第2シャフト73の先端(反レバー部側)に接続されるとともにスライド部62に接続されるフォーク部74とを備える。
図2等に示すように、第1シャフト72は、アウターシェル61の軸xと平行な方向に延びている。
レバー部75は、板状部材であり、上下方向に延びている。第1シャフト72は、このレバー部75の上端付近に固定されている。
第2シャフト73は、円柱部材であり、レバー部75からアウターシェル61に向かって延びている。第2シャフト73は、レバー部75の上下中央付近に固定されている。
図6等に示すように、フォーク部74は、アウターシェル61の内側に収容されてスライド部62の外側面に設けられたフランジ部に取り付けられる半円状のフォーク部本体75aと、このフォーク部本体75aの中央からアウターシェル61を貫通してアウターシェル61外に延びる接続部75bとを有する。フォーク部74はこの接続部75bにおいて、第2シャフト73の先端に固定されている。
以上のように構成されたスライドアクチュエータ70では、ダイアフラム本体71によって第1シャフト72がスライド変位されると、レバー部75が第2シャフト73の中心軸が通る部分を支点として搖動し、これに伴い第2シャフト73がその中心軸を中心として回転し、この第2シャフト73の回転に伴ってフォーク部74がその接続部75bを支点として回動することで、スライド部72をスライド変位させる。具体的には、図6に示す状態から第1シャフト72がスライド変位すると、レバー部75の搖動、第2シャフト73の回転、第2シャフト73の回転に伴い、フォーク部74は、接続部75bを支点として回動して、図7に示す状態となる。
ここで、本実施形態では、ダイアフラム本体71は、オンオフ制御され、第1シャフト72の位置を第1の位置と第2の位置との2つの位置で切り替えるようになっており、これに伴いスライド部62は、その位置が最上流位置と最下流位置との2つの位置で切り替えられるようになっている。例えば、本実施形態では、スライドアクチュエータ70がオンとされることで、スライド部62は最上流位置とされ、オフとされることで、スライド部62は最下流位置とされる。
(4)制御系
次に、本実施形態に係る装置の制御系統について説明する。本実施形態の装置は、その各部が図10に示されるECU(エンジン制御ユニット、制御手段)90によって統括的に制御される。ECU90は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
エンジンおよび車両には、その各部の状態量を検出するための複数のセンサが設けられており、各センサからの情報がECU90に入力されるようになっている。
例えば、エンジン回転数を特定するためのクランク軸15の回転角度(クランク角)および回転速度を検出するクランク角センサSW2や、各気筒12に吸入される空気(新気量)を検出するための吸気量センサSW4等が設けられている。
ECU90は、これらのセンサSW2、SW4等と電気的に接続されており、これらセンサから入力される信号に基づいて、エンジン回転数NE,吸気量ひいてはエンジン負荷Tといった種々の情報を取得する。そして、ECU90は、上記各センサSW2、SW4等からの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつ、装置の各部を制御する。
本実施形態では、ECU90は、吸排気系の制御に関する機能的要素として、運転領域判定部91、吸排気制御部92、アクチュエータ制御部93を有している。
本実施形態では、吸排気系に係る制御領域として、図12に示すエンジン回転数が低くエンジン負荷が高い低速高負荷領域(第1領域)A1と、エンジン回転数が低くエンジン負荷が低い低速低負荷領域(第2領域、特定領域)A2と、エンジン回転数が高くエンジン負荷が高い高速領域(第2領域)A3とが設定されている。
運転領域判定部91は、上記領域A1〜A3のうちいずれの運転領域でエンジンが運転されているかを判定する部分である。
吸排気制御部92は、吸気VVT32および排気VVT42を制御して、吸気弁19および排気弁20の開閉タイミングを変更する部分である。
アクチュエータ制御部93は、スライドアクチュエータ70を制御して、スライド部62の位置を変更する部分である。
(5)制御内容
各運転領域で実施される制御内容について説明する。
(5−1)低速高負荷領域A1
低速高負荷領域A1では、図11に示すように、排気弁20の開弁期間と吸気弁19の開弁期間とが、吸気上死点(TDC)を挟んでオーバーラップし、かつ、排気弁20が他の気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に開弁を開始するように、吸排気制御部92により吸排気VVT32、42が制御される。また、低速高負荷領域A1では、スライド部62が最上流位置となるように、アクチュエータ制御部93によりスライドアクチュエータ70が制御される。具体的には、低速高負荷領域A1では、アクチュエータ制御部93は、スライドアクチュエータ70をオフとする。
以上の制御は、主として、エゼクタ効果を高めて、このエゼクタ効果により各気筒12内の掃気を促進してエンジントルクを確保することを目的として実施される。
具体的には、スライド部62が最上流位置とされると、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気が通過する通路はノズル部内通路64aのみとされ、この排気が通過する通路の流路面積は最小とされる。そして、各独立排気通路52から排出された排気がスライド部62のストレート部62c内に流入する速度が高められる。このようにノズル部64からストレート部62cに排気が高速で導出されると、隣接する他のガス通路すなわち他のノズル部内通路64aにはエゼクタ効果により高い負圧が生成される。すなわち、所定の気筒(排気行程にある気筒)12の排気弁20が開弁してこの気筒12から独立排気通路52およびノズル部内通路62aを通ってストレート部62cに排気が高速で排出されることに伴い、他の気筒に接続されるノズル部内通路62aひいてはこの気筒に接続される独立排気通路52および排気ポート18には高い負圧が生成される。そして、このように排気行程にある気筒12以外の気筒12の排気ポート18に高い負圧が生成される状態で、排気弁20の開弁期間と吸気弁19の開弁期間とを吸気上死点(TDC)を挟んでオーバーラップさせ、かつ、排気弁20を他の気筒12のオーバーラップ期間T_O/L中に開弁させれば、排気順序がこの排気行程にある気筒12の1つ前に設定された他の気筒(吸気行程にある気筒)の排気ポート18に上記高い負圧を作用させて、この吸気行程にある気筒12内の残留ガスを排気ポート18側に吸い出すことができ、吸気行程にある気筒12内の掃気を促進することができる。そこで、低速高負荷領域A1では、上記制御を実施し、これにより、掃気を促進して、吸気効率を高めて高いエンジントルクを確保する。なお、掃気が促進されると気筒12内の残留ガス量が少なく抑えられ、ノッキングが抑制される。そのため、この掃気の促進によって点火時期の進角化が可能となることによっても、高いエンジントルクが確保される。
(5−2)低速低負荷領域A2
低速低負荷領域A2では、スライド部62が最下流位置となるように、アクチュエータ制御部93によりスライドアクチュエータ70が制御される。具体的には、低速高負荷領域A1では、アクチュエータ制御部93は、スライドアクチュエータ70をONとされる。また、低速低負荷領域A2では、排気二度開きが実施される。すなわち、排気弁20が吸気行程に加えて排気行程でも開弁するように、吸排気制御部92により排気VV42が制御される。
以上の制御は、主として、気筒12内に残留ガス量を確保して、吸気のポンピングロスを抑制するとともに、燃焼温度を低く抑えて冷却損失の増大を抑制し、これにより、適正なエンジントルクを確保することを目的として実施される。
すなわち、低速低負荷領域A2では、吸気圧が低く筒内ガス量が少ない。そのため、エゼクタ効果により高い掃気が行われて、これに伴い、気筒12内の残留ガス量が少なくなると、吸気のポンピングロスが増大する、また、燃焼温度が増大して冷却損失が増大する。
具体的には、スライド部62が最下流位置にある状態では、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気が通過する通路はノズル部内通路64aと外部通路とされ、この排気が通過する通路の流路面積は最大とされる。そして、各独立排気通路52から排出された排気がスライド部62のストレート部62c内に流入する速度が低く抑えられる。そのため、スライド部62が最下流位置とされれば、エゼクタ効果による掃気性を低く抑えて気筒12内の残留ガス量を多く確保することができる。また、排気二度開きを実施すれば、上記のように、排気行程で一旦排気ポート18に排出された排気を吸気行程中に気筒12内に逆流させることができ、より多くの既燃ガスを気筒12内に残留させることができる。
そこで、低速低負荷領域A2では、上記制御を実施し、これにより、気筒12内の残留ガス量を多く確保して、ポンピングロスおよび冷却損失を低減し、適正なエンジントルクを確保する。
(5−3)高速領域A3
高速領域A3では、スライド部62が最下流位置となるように、アクチュエータ制御部93によりスライドアクチュエータ70が制御される。具体的には、低速高負荷領域A1では、アクチュエータ制御部93は、スライドアクチュエータ70をONとされる。
これは、主として、背圧を低く抑え、これにより掃気性能を高めて、高いエンジントルクを確保することを目的として実施される。
すなわち、高速領域A3では排気流量が大きい。そのため、この領域において排気が通過する通路の流路面積を小さくしたのでは、エゼクタ効果による掃気性能向上効果よりも背圧が高くなることによる掃気性能の悪化が大きくなる。
そこで、高速領域A3では、上記のようにスライド部62を最下流位置とし、独立排気通路52からノズル部内通路64aに流入した排気が通過する通路の流路面積を最大として、これにより背圧を低く抑え、掃気性能を高めて、適正なエンジントルクを確保する。
(6)作用効果
以上のように、本実施形態では、運転領域に応じて各独立排気通路52から排出された排気がそれぞれ独立して通過する通路の流路面積を適正な量に変更することができ、これにより、全領域において掃気性能等を確保して適正なエンジントルクを確保することができる。
しかも、本実施形態では、動圧排気部60のうちディフューザー部63がアウターシェル61に固定されており、動圧排気部60のうちスライド部62のみをスライド変位させることによって上記流路面積の変更を行っているため、この変更を簡単な構成で実現することができる。
具体的には、例えばスライド部62とディフューザー部63とが一体とされてこれらをスライド変位させるよう構成された場合に比べて、変位部分の上下流方向の長さを短くして排気系全体の長さを短くすることができるとともに、変位部分を軽量化して排気系全の軽量化の実現および変位部分を駆動するためのアクチュエータの小型化を実現することができる。
また、上記低速低負荷領域A2等において排気二度開きが行われた場合において、ディフューザー部63が振動等するのを回避することができる。すなわち、排気二度開きでは、上記のように、気筒12から一旦導出した排気が気筒に向かって逆流する。そのため、排気二度開きの実施時には、流路面積が下流に向かうに従って大きくなるよう構成されたディフューザー部63の内側面に、この逆流した排気の圧力が加えられる。そのため、上記例のように、ディフューザー部63を変位可能とした場合には振動等が生じるおそれがある。あるいは、この振動を回避するために、ディフューザー部の支持を強固にする必要が生じる。これに対して、本実施形態では、上記のようにディフューザー部63が排気管本体80に接続されたアウターシェル61に固定されているため、排気から圧力が加えられた場合であってもディフューザー部63が振動等するのを回避することができる。
また、本実施形態では、スライド部62のストレート部62cの下流端部がディフューザー部63の内側に挿入されており、ストレート部62cがディフューザー部63の内側でスライド変位するよう構成されている。そのため、排気がストレート部62cを通過する距離、特に、ストレート部62cのうち流路面積一定とされた下流側部分を通過する距離を確保することができ、このストレート部62cの下流側部分においてこれらガスの混合をより確実に促進することができ、排気の流れを安定化することができる。
また、本実施形態では、スライド部62が最上流位置とされた状態において、スライド部側傾斜部62bとノズル部側傾斜部64cとが接触(当接)するよう構成されている。詳細には、スライド部側傾斜部62bが下流側からノズル部側傾斜部64cに当接するよう構成されている。また、スライド部62が最下流位置とされた状態において、アウターシェル61の第2部分61bがスライド部側傾斜部62bに下流側から接触(当接)するよう構成されている。そのため、スライド部62の最上流位置および最下流位置の位置決めを容易にすることができるとともに、スライド部62を最上流位置および最下流位置にて安定してとどめることができる。
(7)変形例
ここで、上記各制御を実施する運転領域は、上記に限らない。
また、排気二度開きの制御は省略可能である。ただし、上記のように、本実施形態では、ディフューザー部63が排気管本体80に接続されたアウターシェル61に固定されていることで、排気二度開きの実施時においてディフューザー部63が振動等するのを回避することができる。そのため、排気二度開きの制御を実施するものに適用されれば、より効果的である。
また、スライドアクチュエータ70は上記で説明したものに限らない。例えば、ダイアフラム式以外の電磁式のもの等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、スライド部62の位置を最上流位置と最下流位置とで切り替える場合について説明したが、所定の運転領域において、スライド部62をこれら最上流位置と最下流位置との中間位置に制御するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ディフューザー部63によるスライド部62の支持構造として、スライド部62のストレート部62cの下流端部がディフューザー部63の内側に挿入されている場合について説明したが、他の構造を利用してもよい。例えば、ディフューザー部63の上流端を、ストレート部62cの内側に下流側から挿入するように構成してもよい。ただし、上記実施形態のように構成すれば、上記のように、ストレート部62cを排気が通過する距離を確保して排気の流れを良好にすることができる。また、排気がストレート部62cとディフューザー部63との間の隙間から外部に漏えいするのを抑制して、排気を円滑にディフューザー部63に流入させることができる。
また、上記実施形態では、各排気ポート18にそれぞれ個別に独立排気通路52が接続されるとともに、これら独立排気通路52がそれぞれ個別にノズル部内通路64aに接続される場合について説明したが、排気順序が互いに連続しない複数の気筒に同一の独立排気通路52およびノズル部内通路64aを接続させてもよい。すなわち、排気順序が互いに連続しない気筒からは、同時に排気が排出されることがないため、構造を簡素化する観点からこれら気筒の独立排気通路52を共通としてもよい。例えば、上記実施形態のような4気筒エンジンでは、第1気筒12aの排気ポート18と第4気筒12dの排気ポート18とを、それぞれ個別に独立排気通路52,52に接続する一方、排気行程が隣り合わず排気順序が連続しない第2気筒12bと第3気筒12cの排気ポート18を、上流端が二股状とされてこの上流端においてそれぞれ第2気筒12bと第3気筒12cの排気ポート18に接続されるように構成された1つの独立排気通路52に接続してもよい。
12 気筒
18排気ポート
19 吸気弁
20 排気弁
52 独立排気通路
61 アウターシェル
62 スライド部
62b スライド部側傾斜部
62c ストレート部
63 ディフューザー部
64 ノズル部
64a ノズル部内通路
64c ノズル部側傾斜部
64d 開口部
70 スライドアクチュエータ(スライド部駆動手段)
80 排気管本体
90 ECU(制御手段)

Claims (6)

  1. 複数の気筒と、1つの気筒あるいは排気順序が互いに連続しない複数の気筒にそれぞれ接続されて各気筒から排出されたガスが導入される独立排気通路と、これら独立排気通路を通ったガスをエンジン外部に排出する排気管本体とを備えた多気筒エンジンの排気装置おいて、
    上記各独立排気通路から下流側に延びてこれら独立排気通路から排出された排気がそれぞれ独立して流入する複数のノズル部内通路が内側に形成されたノズル部と、
    上記ノズル部の下流側に上下流方向にスライド変位可能に設けられて、当該ノズル部を通過したガスが流入する通路が内側に形成され、上流側にスライド変位したときに上記各独立排気通路から流出したガスが通過する通路の流路面積を縮小し、下流側にスライド変位したときに当該各独立排気通路から流出したガスが通過する通路の流路面積を拡大するスライド部と、
    上記スライド部の下流側に設けられて、上記スライド部を通過したガスが流入する通路が内側に形成されているとともに当該通路の流路面積が下流に向かうに従って大きくなるよう構成されたディフューザー部と、
    上記各独立排気通路と上記排気管本体との間に介在して、上記ノズル部と上記スライド部と上記ディフューザー部とを内側に収容した状態で上記独立排気通路および排気管本体に接続されるアウターシェルとを備え、
    上記ディフューザー部は、上記スライド部をスライド変位可能に支持した状態で上記アウターシェルに固定されていることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
  2. 請求項1に記載の多気筒エンジンの排気装置において、
    上記スライド部は、その下流端部が上記ディフューザー部の内側に挿入されることで当該ディフューザー部に支持されていることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
  3. 請求項1または2に記載の多気筒エンジンの排気装置において、
    上記ノズル部は、下流に向かうに従って当該ノズル部の軸に近づく方向に傾斜して延びるノズル部側傾斜部を備え、
    上記ノズル部側傾斜部には、上記各ノズル部内通路の内側と外側とを連通する複数の開口部が形成されており、
    上記スライド部は、上記ノズル部を囲み且つ上記ノズル部側傾斜部に沿うように傾斜して延びるとともに上記ノズル部側傾斜部との間に上記各ノズル部内通路から上記各開口部を介して排出されたガスが流通する通路を区画するスライド部側傾斜部と、当該スライド部側傾斜部から下流に延びて少なくとも下流側部分の流路面積が一定となるストレート部とを備え、
    上記ディフューザー部は、上記ストレート部の下流端部を支持していることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
  4. 請求項3に記載の多気筒エンジンの排気装置において、
    上記ノズル部側傾斜部は、上記スライド部が最も上流側の位置にスライド変位された状態において、上記スライド部側傾斜部の内側面に当接する形状を有し、
    上記アウターシェルは、上記スライド部が最も下流側の位置にスライド変位された状態において上記スライド部側傾斜部の外側面に当接する形状を有することを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多気筒エンジンの排気装置において、
    エンジンの運転領域のうち特定の領域に設定された特定領域において、上記各気筒の排気弁は排気行程に加えて吸気行程中にも開弁されることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多気筒エンジンの排気装置において、
    上記スライド部をスライド変位させるスライド部駆動手段と、
    上記スライド部駆動手段を含むエンジンの各部を制御する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、エンジンの運転領域のうち所定の領域に設定された第1領域において、上記スライド部駆動手段によって上記スライド部を最も下流側の位置よりも上流側の位置にするとともに、上記各気筒の吸気弁および排気弁の開弁期間が所定のオーバーラップ期間重複し、かつ、排気順序が連続する気筒間において一方の気筒の上記オーバーラップ期間が他方の気筒の排気弁の開弁期間と重複するように各気筒の吸気弁および排気弁を制御する一方、エンジンの運転領域のうち上記第1領域を除く第2領域において、上記スライド部駆動手段によって上記スライド部を最も下流側の位置にすることを特徴とする多気筒エンジンの排気装置。
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