JP6102837B2 - 被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及び被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及び被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル含有量の高い被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子に関し、大気雰囲気下の安定性を向上させた取り扱いしやすい被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、リチウムイオン二次電池の需要が急激に伸びている。リチウムイオン二次電池の正極で充放電に寄与する正極活物質として、リチウム−コバルト酸化物(以下、コバルト系と明記することがある。)が広く用いられている。しかしながら、電池設計の最適化によりコバルト系正極の容量は理論容量と同等程度まで改善され、さらなる高容量化は困難になりつつある。
そこで、従来のコバルト系よりも理論容量の高いリチウム−ニッケル酸化物を用いたリチウム−ニッケル複合酸化物粒子の開発が進められている。しかしながら、純粋なリチウム−ニッケル酸化物は、水や二酸化炭素等に対する反応性の高さから安全性、サイクル特性等に問題があり、実用電池として使用することは困難であった。そこで上記問題の改善策として、コバルト、マンガン、鉄等の遷移金属元素またはアルミニウムを添加したリチウム−ニッケル複合酸化物粒子が開発されている。
リチウム−ニッケル複合酸化物には、ニッケル、マンガン、コバルトがそれぞれ当モル量添加されてなるいわゆる三元系と呼ばれる遷移金属組成Ni0.33Co0.33Mn0.33で表される複合酸化物粒子(以下、三元系と明記することがある。)といわゆるニッケル系と呼ばれるニッケル含有量が0.65モルを超えるリチウム−ニッケル複合酸化物粒子(以下、ニッケル系と明記することがある。)がある。容量の観点からは三元系と比べ、ニッケル含有量の多いニッケル系に大きな優位性がある。
しかしながら、ニッケル系は、水や二酸化炭素等に対する反応性の高さからコバルト系や三元系と比べ環境により敏感であり、空気中の水分や二酸化炭素(CO)をより吸収しやすい特徴がある。水分、二酸化炭素は、粒子表面にそれぞれ水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)といった不純物として堆積され、正極製造工程や電池性能に悪影響を与えることが報告されている。
ところで、正極の製造工程では、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子、導電助剤、バインダーと有機溶媒等を混合した正極合剤スラリーをアルミニウム等の集電体上に塗布・乾燥する工程を経る。一般的に水酸化リチウムは、正極合剤スラリー製造工程において、バインダーと反応しスラリー粘度を急激に上昇させる、またスラリーをゲル化させる原因となることがある。これらの現象は不良や欠陥、正極製造の歩留まりの低下を引き起こし、製品の品質に差を生じさせることがある。また、充放電時、これら不純物は電解液と反応しガスを発生させることがあり、電池の安定性に問題を生じさせかねない。
したがって、ニッケル系を正極活物質として用いる場合、上述した水酸化リチウム(LiOH)等の不純物の発生を防ぐため、その正極製造工程を脱炭酸雰囲気下におけるドライ(低湿度)環境下で行う必要がある。そのため、ニッケル系は理論容量が高くリチウムイオン二次電池の材料として有望であるにも関わらず、その製造環境を維持するために高額な設備導入コスト及びランニングコストが掛かるため、その普及の障壁となっているという問題がある。
このような問題を解決するために、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子表面上にコーティング剤を用いることにより被覆する方法が提案されている。このようなコーティング剤としては、無機系のコーティング剤と有機系のコーティング剤に大別され、無機系のコーティング剤としては酸化チタン、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸コバルト、フッ化リチウムなどの材料が、有機系のコーティング剤としてはヒュームドシリカ、カルボキシメチルセルロース、フッ素含有ポリマーなどの材料が提案されている。
例えば、特許文献1では、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子表面にフッ化リチウム(LiF)またはフッ素含有ポリマー層を形成する方法、また、特許文献2では、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子にフッ素含有ポリマー層を形成し、さらに不純物を中和するためのルイス酸化合物を添加する方法が提案されている。いずれの処理もフッ素系材料を含有するコーティング層によりリチウム−ニッケル複合酸化物粒子表面は疎水性に改質され、水分の吸着を抑制し、水酸化リチウム(LiOH)などの不純物の堆積を抑制することが可能となる。
しかしながら、これらのコーティング方法に用いられる上記のフッ素系材料を含有するコーティング層は、静電引力のみによってリチウム−ニッケル複合酸化物粒子に付着しているに過ぎない。そのため、スラリー製造工程で溶剤として用いるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に再溶解してしまうため、コーティング層がリチウム−ニッケル複合酸化物粒子から脱離しやすい。その結果、脱炭酸雰囲気下におけるドライ(低湿度)環境下で正極を保管しなければならず、ニッケル系において問題とされている不良や欠陥、歩留まりの低下を十分に抑制することができないばかりか、実質的に不純物の発生による電池の安定性の問題を十分に解決することができるものとはなっていなかった。
特開2013−179063号公報 特表2011−511402号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、大気雰囲気下で取り扱うことができ、且つ電池特性に悪影響がない電子伝導体及びリチウムイオン伝導体の被膜を得ることのできる、被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の表面に、高分子が三次元架橋することで溶液への高い溶出抑制能を有し、且つイオン導電性を併せもつ非電子伝導性高分子と電子伝導性とイオン伝導性を併せもつ電子伝導性高分子を被覆することで大気安定性が向上し、且つ電池特性に悪影響しない被覆ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子を見出した。また、当該被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、正極合剤スラリーを混練した際にも、粒子表面からコーティング層が剥がれ落ちることがない。そのため、作製された正極を保管する際、大気中の水分や炭酸ガスにより生じる不純物の生成を抑制できる、つまり材料取り扱い時、輸送時、保管時、電極作製および電池製造時における大気雰囲気下での取り扱いを可能とする好適な被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち第一の発明は、 ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の表面に、非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物が被覆されており、前記非電子伝導性高分子がシラン変性された重合体又は共重合体であるリチウムイオン電池正極活物質用の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第二の発明は、前記非電子伝導性高分子がシラン変性ポリエーテル系樹脂、シラン変性ポリエステル系樹脂、シラン変性ポリフェノール系樹脂、シラン変性ポリウレタン系樹脂、シラン変性エポキシ系樹脂、及びシラン変性ポリアミド系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体である第一の発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第三の発明は、前記電子伝導性高分子がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体である第一又は第二の発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第四の発明は、前記高分子組成物の被覆量が、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子に対して0.05〜5.0重量%である第一から第三のいずれかの発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第五の発明は、前記高分子組成物の全量における非電子伝導性高分子の含有量が30〜80重量%である第一から第四のいずれかの発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第六の発明は、前記リチウム−ニッケル複合酸化物が下記一般式(1)で表される第一から第五のいずれかの発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
LiNi(1−y−z) ・・・(1)
(式中、xは0.80〜1.10、yは0.01〜0.20、zは0.01〜0.15、1−y−zは0.65を超える値であって、Mは、CoまたはMnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示し、NはAl、InまたはSnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)
第七の発明は、5〜20μmの平均粒径を有する球状粒子である第一から第六のいずれかの発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
第八の発明は、前記非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子を溶解する良溶媒に溶解させて被覆用樹脂溶液とする工程と、前記被膜用樹脂溶液に、前記非電子伝導性高分子及び前記電子伝導性高分子を溶解しない貧溶媒であって、前記良溶媒よりも蒸発速度の遅い貧溶媒を添加する工程と、前記被膜用樹脂溶液に、前記リチウム−ニッケル複合酸化物粒子を添加してスラリーとする工程と、前記スラリーから良溶媒及び貧溶媒を除去する工程を含む第一から第七のいずれかの発明に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の製造方法である。
本発明では、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子をコアに、非電子伝導性高分子がシラン変性ポリエーテル系樹脂、シラン変性ポリエステル系樹脂、シラン変性ポリフェノール系樹脂、シラン変性ポリウレタン系樹脂、シラン変性エポキシ系樹脂、シラン変性ポリアミド系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体及び導電性高分子の混合体である高分子組成物で被覆されるシェルをもつ被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子を製造することにより、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子表面に良好な電子伝導性とリチウムイオン伝導性を併せもち、且つ水分、炭酸ガスの透過を抑制できる膜で被覆された優れた被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及びその製造方法である。
この被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、これまで炭酸ガス濃度、水分濃度が厳しく管理された正極製造設備に変わり、コバルト系、三元系で用いられてきた製造設備も流用できる、高容量リチウムイオン電池用複合酸化物正極活物質として提供できる。
実施例及び比較例の1週間静置した場合における粒子重量当たりの変化率である。 サイクル試験前のインピーダンス試験によるCole−Coleプロットである。
以下に本発明の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子とその製造方法について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の詳細な説明によって限定的に解釈されるものではない。本発明において、一次粒子が凝集した二次粒子をリチウム−ニッケル複合酸化物粒子と呼ぶ場合がある。
該粒子表面を被覆する非電子伝導性高分子がシラン変性ポリエーテル系樹脂、シラン変性ポリエステル系樹脂、シラン変性ポリフェノール系樹脂、シラン変性ポリウレタン系樹脂、シラン変性エポキシ系樹脂、シラン変性ポリアミド系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体並びに電子伝導性高分子の混合物で形成される被膜は良好な電子伝導性とイオン伝導性を有することから電池特性に悪影響を及ぼすことがない。また、該重合体もしくは共重合体で被覆された被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、当該重合体又は共重合体がコーティング層として働くため、環境安定性に優れ、コバルト系や三元系と同様の設備で取扱うことができる。そのため、本発明は、優れた環境安定性を備えた被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子である。
1.非電子伝導性高分子
[シラン変性ポリエーテル系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有されるシラン変性ポリエーテル系樹脂としては、特に限定されるものではなく公知のシラン変性ポリエーテルを用いることができる。このシラン変性ポリエーテル樹脂の構造、製造方法は、例えば、特定ポリオキシアルキレングリコールと特定シリケート化合物とを、エステル交換触媒の存在下または不存在下に脱アルコール反応することにより得られることもできる。
特定ポリオキシアルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドを開環重合して得られる単独重合体または共重合体であって、いずれもランダム重合体であってもブロック重合体であってもよい。上記のような直鎖状ポリオキシアルキレングリコールであるが、必要に応じて、炭素数2〜6の低分子ポリオール、片末端が水酸基であるポリオキシアルキレン化合物、分岐構造を持つポリオキシアルキレン化合物などを、10重量%未満の範囲で併用することができる。炭素数2〜6程度の低分子ポリオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の低分子グリコール類、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール等の4価以上のアルコール、N−メチルジエタノールアミン等の3級アミノ基を持つジオール化合物等が挙げられる。
片末端が水酸基である前記ポリオキシアルキレン化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリ(プロピレングリコール−エチレングリコール)共重合体であって、それらの片末端がアセチル基またはアルコキシ基を有し、しかも数平均分子量が3000〜10000のものが例示できる。当該ポリオキシアルキレン化合物は、主として、得られるアルコキシシラン変性ポリエーテルの分子量制御や低粘度化の目的で用いられる。
分岐構造を持つ前記ポリオキシアルキレン化合物としては、ポリプロピレングリコールまたはポリ(プロピレングリコール−エチレングリコール)共重合体とトリイソシアネートとを反応させてなるポリウレタン、あるいはグリセリンやペンタエリスルトールを高分子鎖中に導入して分岐させたポリオキシアルキレンポリオールが例示できる。
特定シリケート化合物としては、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
Si(OR4−m・・・(2)
(式中、mは0または1の整数を示し、Rは炭素数8以下のアルキル基またはアリール基を示す。)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーまたはポリゴマー、そしてシランカップリング剤が挙げられる。
脱アルコール反応に際しては、必ずしも触媒を必要としないが、反応促進の目的で、従来公知のエステル交換触媒を使用することが好ましい。当該触媒としては、例えば、酢酸、パラ−トルエンスルホン酸、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸;リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンなどの金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシドなどが挙げられる。これらのなかでも、特に有機酸、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、酢酸、ジブチル錫ジラウレートなどが有効である。
ポリオキシアルキレングリコールAとシリケート化合物Bの使用割合(A/B)は、通常、重量比で100/(2〜40)の範囲とするのが好ましい。当該使用割合(A/B)において、シリケート化合物Bの使用量が2未満になると、得られるアルコキシシラン変性ポリエーテル硬化物の表面にタックが残る傾向があり、一方、シリケート化合物Bの使用量が40を超えると、アルコキシシラン変性ポリエーテルの硬化時の収縮が大きくなり、ひび割れを起こす場合があるため、いずれの場合も好ましくない。
[シラン変性ポリエステル系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有されるシラン変性ポリエステル系樹脂としては、特に限定されるものではなく公知のシラン変性ポリエステルを用いることができる。このシラン変性ポリエステル樹脂の構造、製造方法は、例えば、ポリエステル樹脂(1)と特定のアルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させて得られる。
ポリエステル樹脂(1)としては、例えば分子末端にカルボキシル基が存在するように調製された公知のポリエステル樹脂を用いることができる。当該ポリエステル樹脂(1)は、公知の方法、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類をカルボン酸基過剰でエステル化反応する方法、あるいは水酸基過剰でエステル化反応または重縮合反応で得られた末端に水酸基を有するポリエステル樹脂に酸無水物を開環付加させて末端をカルボキシル基とする方法などにより合成される。
当該ポリエステル樹脂(1)の構成成分である多価カルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、これらの酸無水物等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸類またはこれらの低級アルコールエステル化物等;イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、これらの酸無水物またはこれらの低級アルコールエステル化物等の芳香族ジカルボン酸類、を例示できる。また、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類、ダイマー酸を水素化して得られるジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等を例示できる。
当該ポリエステル樹脂(1)を合成する際の上記原料成分の反応割合は、実質的にカルボキシル基および/または酸無水物基が分子末端に残存する割合であれば特に限定されない。特定のアルコキシシラン部分縮合物(2)としては、アルコキシシラン部分縮合物(2)とグリシドールを脱アルコール反応させることにより得られるグリシジルエーテル基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)が例示される。アルコキシシラン部分縮合物(2)としては、下記一般式(2)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーまたはシランカップリング剤を、酸またはアルカリと水との存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
Si(OR4−m・・・(2)
(式中、mは0または1の整数を示し、Rは炭素数8以下のアルキル基またはアリール基を示す。)
上記加水分解性アルコキシシランモノマーとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類等が例示できる。
アルコキシシラン部分縮合物(2)とグリシドールの反応は、例えば、これら各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながら脱アルコール反応を行なう。脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、オキシラン環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガン等の金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらのなかでも、特に、有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等が有効である。
本発明の目的物であるシラン変性ポリエステル樹脂は、例えば、前記ポリエステル樹脂と前記アルコキシシラン部分縮合物(2)とを、反応させて得られる。オキシラン基/酸基の比率は0.5〜1.5が好ましい。0.5より小さい場合には、シリカ成分が少なく高密着性が得られにくくなる傾向がある。1.5より大きい場合には、シリカ成分が多くなりすぎ硬化膜がもろくなる傾向がある。この反応は、主に、該ポリエステル樹脂のカルボキシル基と該アルコキシシラン部分縮合物(2)のグリシジルエーテル基との間で生じる、オキシラン環の開環エステル化反応である。ここで、アルコキシシラン部分縮合物(2)のアルコキシ基自体は、反応系内に存在し得る水分等によって消費されることも考えられるが、通常は開環エステル化反応には関与しないため、シラン変性ポリエステル樹脂中に10%以上残存することになる。当該残存割合は、好ましくは80%以上である。
[シラン変性ポリフェノール系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子に被覆するシラン変性ポリフェノール系樹脂としては、特に限定されるものではなく公知のシラン変性ポリフェノールを用いることができる。このシラン変性ポリフェノール樹脂の製造方法は、例えば、分子鎖両末端にアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサンとフェノール樹脂を加熱下に縮合反応させる方法、分子鎖両末端にアルコキシ基または水酸基を有するオルガノポリシロキサンとフェノール樹脂を加熱下に縮合反応させる方法、フェノール樹脂(1)と、アルコキシシラン部分縮合物(2)を、脱アルコール反応させること方法等が挙げられる。
上記フェノール樹脂(1)としては、フェノール類とアルデヒド類を酸触媒の存在下に反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、またはフェノール類とアルデヒド類をアルカリ触媒の存在下に反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂のいずれも使用できる。
なお、フェノール類(1)としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−ターシャリーブチルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノールなどの各種のものが挙げられる。アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラアキサン等のホルムアルデヒド発生源物質を使用することもできる。
シラン変性ポリフェノール系樹脂の製造に用いられるアルコキシシラン部分縮合物(2)とは、例えば一般式(3)で表される加水分解性アルコキシシラン化合物を部分的に加水分解、縮合して得られるオリゴマー等またはシランカップリング剤を挙げることができる。
Si(OR4−n・・・(3)
(式中、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式で表される加水分解性アルコキシシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒を使用することができる。たとえば、酢酸、パラ−トルエンスルホン酸、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸やリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム、マグネシウム、カルシュウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらのなかでも、特に有機酸系や有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、酢酸、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレートが有効である。
本発明に係るシラン変性ポリフェノール系樹脂のフェノール樹脂(1)とアルコキシシラン部分縮合物(2)の使用割合は、得られるシラン変性フェノール樹脂中に、フェノール性水酸基が残存するような割合であれば、特に制限されない。通常、フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量/加水分解性アルコキシシシラン部分縮合物のアルコキシ基の当量(当量比)を、0.2〜10の範囲にするのが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0の範囲である。ただし、前記当量比は、1付近であると、脱アルコール反応の進行によって溶液の高粘度化やゲル化を招き易いため、脱アルコール反応の進行を調整する必要がある。
前記当量比が1未満の場合には、得られるシラン変性フェノール樹脂中のアルコキシシラン部分縮合物(2)の割合が高いため、シリカ含有率が増えるため耐熱性、硬度の観点から好ましい。前記当量比が小さくなると、シラン変性フェノール樹脂のフェノール性水酸基が少なくなるため、その硬化性が落ち、充分な架橋密度の硬化物を得難くなる傾向がある。これらを考慮すれば、前記当量比は0.2以上、さらには0.3以上とするのがより好ましい。
[シラン変性ポリウレタン系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有されるシラン変性ポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく公知のシラン変性ポリウレタンを用いることができる。このシラン変性ポリウレタン系樹脂の製造方法は、例えば、高分子ポリオールとジイソシアネートと鎖伸長剤から得られ、かつエポキシ基と反応性を持つ官能基を有するポリウレタン樹脂(1)と、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(以下、単にエポキシ化合物(A)と略す。)とアルコキシシラン部分縮合物(2)との脱アルコール反応によって得る方法が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)は、高分子ポリオールで構成されるソフトセグメントと、ジイソシアネート、鎖伸長剤および必要により鎖長停止剤で構成されるハードセグメントとからなるものである。
ソフトセグメントを構成する高分子ポリオールとしては、特に限定されず、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールなど各種公知のものが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類またはn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸、ひまし油およびその脂肪酸などとを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類、又は環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類などが挙げられる。なお、低分子グリコールと二塩基酸とから得られる高分子ポリオールの場合には、該グリコール類のうち5モル%までは以下の各種ポリオールに置換することができる。たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、一般に多価アルコールとジメチルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱ウレタン縮合反応または多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応など公知の反応で得られる。これら反応で使用される多価アルコールとしては1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類、1,4−シクロヘキサンジグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを開環重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオ−ルとしては、末端に水酸基を持つポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール、あるいはそれらを水添したものなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)の構成成分であるハードセグメントに用いられるジイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。たとえば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等がその代表例として挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)に使用する鎖伸長剤としては、例えば前記ポリエステルポリオールの項で述べた低分子グリコール類やジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸など分子内にカルボキシル基を持つグリコール類、またエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等のポリアミン類、L−リジン、L−アルギニンなど分子内にカルボキシル基を持つポリアミン類、が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂(1)には、必要に応じ、分子量を調節するために重合停止剤を使用することもできる。重合停止剤としては、たとえば、ジ−n−ブチルアミン、n−ブチルアミン等のアルキルモノアミン類や、D−アラニン、D−グルタミン酸など分子内にカルボキシル基を持つモノアミン類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、グリコール酸など分子内にカルボキシル基を持つアルコール類が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)を製造する方法としては、高分子ポリオールとジイソシアネート化合物ならびに鎖伸長剤及び/又は重合停止剤を、適当な溶媒中で一度に反応させる一段法、高分子ポリオールとジイソシアネート化合物とを、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、高分子ポリオールの末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いでこれを適当な溶媒中で鎖伸長剤および必要に応じて、重合停止剤と反応させる二段法等が挙げられる。
エポキシ化合物(A)としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物(A)としては、分子量が小さいもの程、アルコキシシラン部分縮合物(2)に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。その具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたはフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またアルコキシシラン部分縮合物(2)との反応性も高いため、最適である。
アルコキシシラン部分縮合物(2)としては、下記一般式(3)で表される加水分解性アルコキシシラン化合物を部分的に加水分解、縮合して得られるオリゴマーである。
Si(OR4−n ・・・(3)
(式中、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
加水分解性アルコキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、が挙げられる。なお、これらアルコキシシラン部分縮合物(2)としては、前記例示のものを特に制限なく使用できる。
シラン変性ポリウレタン系樹脂は、例えばエポキシ化合物(A)とアルコキシシラン部分縮合物(2)との脱アルコール反応させることにより製造することができる。脱アルコール反応に際しては、必要に応じて反応促進のために従来公知の触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガン等のような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などが有効である。
かかるアルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂組成物の合成は、例えば、実質的に無水状態で加熱して反応を行なうのが好ましい。本反応はポリウレタン樹脂(1)の酸性基及び/又はアミノ基と前記エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のオキシラン基の反応を主目的にしており、本反応中にエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成を抑える必要があるためである。
また、上記の反応に際しては、特に触媒は必要としないが、必要に応じ反応促進のために従来公知の触媒を使用することもできる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)ウレタンなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などを挙げることができる。
また、上記反応は使用目的によって、溶剤中でも、無溶剤下でも行うことが出来る。溶剤としては、ポリウレタン樹脂(1)およびエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)を溶解する溶剤であれば特に制限はない。
ポリウレタン樹脂(1)と当該エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)の使用割合は、特に制限されないが、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のエポキシ基の当量/ポリウレタン樹脂(1)のエポキシ基反応性官能基の合計当量(当量比)が0.30〜5の範囲とするのが好ましい。0.30未満では、得られるアルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂が十分に本発明の効果を発揮できず、また5を超えるとアルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂中の未反応エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)の割合が増えるため好ましくない。
[シラン変性エポキシ系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有されるシラン変性エポキシ系樹脂は、特に限定されるものではなく公知のシラン変性エポキシを用いることができる。このシラン変性エポキシ樹脂の製造方法は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)の水酸基の一部または全部をアルコキシシラン部分縮合物(2)で脱アルコール反応させることで変性する方法がある。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得られたものが挙げられる。ビスフェノール類としてはフェノールまたは2,6−ジハロフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものが挙げられる。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)は、アルコキシシラン部分縮合物(2)とエステル反応しうる水酸基を有するものである。当該水酸基は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)を構成する各分子が有する必要はなく、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)として、水酸基を有していればよい。なお、ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)には、アルコキシシラン部分縮合物(2)と反応性を有するエポキシ化合物を併用することもできる。エポキシ化合物としては、フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類およびエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、グリシドール等が挙げられる。
アルコキシシラン部分縮合物(2)は、一般的にゾル−ゲル法に用いられているものを使用できる。例えば、一般式:R Si(OR4−p(式中、pは0〜2の整数示し、Rは炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい炭素数6以下のアルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基。同一でも異なっていてもよい。Rは低級アルキル基を示す。)で表される化合物またはこれらの縮合物等を例示できる。なお、アルキル基は直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。またアルコキシシラン部分縮合物(2)としてはシランカップリング剤を用いてもよい。
アルコキシシラン部分縮合物(2)の具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等の官能基含有トリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;またはこれらの縮合物等が挙げられる。
シラン変性エポキシ樹脂は、例えば前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)と、アルコキシシラン部分縮合物(2)とを脱アルコール反応によりエステル化することにより製造することができる。
上記のエステル交換反応に際しては、反応促進のために従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム、マグネシウム、カルシュウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等が挙げられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレートが有効である。
かかるシラン変性エポキシ樹脂は、各種用途に供されるが、通常、硬化剤を組み合わせた、シラン変性エポキシ樹脂組成物として使用される。また、シラン変性エポキシ樹脂組成物を、各種用途へ適用するにあたっては、用途に応じて各種のエポキシ樹脂を併用することもできる。シラン変性エポキシ樹脂と併用しうるエポキシ樹脂としては、本発明で用いたビスフェノール型エポキシ樹脂(1)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類およびエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミン類とエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている、フェノール樹脂系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤等を特に制限なく使用できる。具体的には、フェノール樹脂系のものとしては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ポリp−ビニルフェノール等が挙げられ、ポリアミン系硬化剤としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられ、ポリカルボン酸系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサクロルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
前記エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤を含有することができる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などを挙げることができる。
本発明のシラン変性エポキシ樹脂は、例えば、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)と、アルコキシシラン部分縮合物(2)とを脱アルコール反応によりエステル化することにより製造することができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)とアルコキシシラン部分縮合物(2)の使用割合は、特に制限されないが、アルコキシシラン部分縮合物(2)のシリカ換算重量/ビスフェノール型エポキシ樹脂(1)の重量(重量比)を、0.01〜1.2の範囲とするのが好ましい。
[シラン変性ポリアミド系樹脂]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有されるシラン変性ポリアミド系樹脂は、特に限定されるものではなく公知のシラン変性ポリアミドを用いることができる。このシラン変性ポリアミド樹脂の構成物質、製造方法は、例えば、ポリアミック酸(1)のカルボキシル基の一部をエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)と反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸を含有する樹脂組成物で、脱アルコール反応して製造できる。また、ポリアミック酸は一部又は大部分を脱水反応によりイミド化していてもよい。
ポリアミック酸(1)としては、分子中にアミド結合分子骨格中の隣接炭素原子のそれぞれにカルボキシル基とアミド基を有する樹脂であって、例えばテトラカルボン酸類とジアミン類を、極性溶剤中、通常−20℃〜60℃で反応させて得られるポリアミック酸溶液が使用できる。ポリアミック酸(1)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量3000〜50000程度のものが好ましい。
上記のテトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、などを例示することが出来、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが挙げられる。
また、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物を併用することができる。
上記のジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノトルエン、イソホロンジアミン、4−(2−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−アミノフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2−アミノ−4−(4−アミノフェニル)チアゾール、2−アミノ−4−フェニル−5−(4−アミノフェニル)チアゾール、ベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、オクタフルオロベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどを例示でき、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせが挙げられる。
エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)は、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(以下、単にエポキシ化合物(A)という)とアルコキシシラン部分縮合物(2)との脱アルコール反応によって得られるものが挙げられる。
かかるエポキシ化合物(A)としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物(A)としては、分子量が小さいもの程、アルコキシシラン部分縮合物(2)に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。その具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたは2つの水酸基を有するフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。
アルコキシシラン部分縮合物(2)としては、下記一般式(4)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
Si(OR(4−m)・・・(4)
(式中、mは0または1の整数を示し、Rは炭素数8以下のアルキル基またはアリール基、Rは炭素数4以下の低級アルキル基を示す。)
アルコキシシラン部分縮合物(2)の構成原料である加水分解性アルコキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類などが挙げられる。
エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)は、エポキシ化合物(A)とアルコキシシラン部分縮合物(2)を脱アルコール反応させることにより得られる。エポキシ化合物(A)とアルコキシシラン部分縮合物(2)との使用割合は、アルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されない。
アルコキシシラン部分縮合物(2)とエポキシ化合物(A)の反応は、たとえば、前記各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながら、脱アルコール反応を行なうことが挙げられる。
また、上記のアルコキシシラン部分縮合物(2)とエポキシ化合物(A)の脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知のエステルと水酸基のエステル交換触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などが有効である。
本発明の目的物であるアルコキシ基含有シラン変性ポリアミック酸は、例えば、ポリアミック酸(1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させて得ることができる。ポリアミック酸(1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)の使用割合は、特に制限されないが、(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)のエポキシ基の当量)/(ポリアミック酸(1)に使用したテトラカルボン酸類のカルボン酸基の当量)が0.01〜0.4の範囲とするのが好ましい。上記数値が0.01未満であると本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
2.導電性高分子
[導電性高分子]
本発明に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子被覆膜に含有される導電性高分子とは、電気伝導性を持つ高分子化合物の呼称である。この高分子化合物の特徴は、分子構造中に二重結合と単結合が交互に並んだ構造、つまりπ共役が発達した主鎖を持つことにある。通常、導電性高分子の他、ドーパントと呼ばれるアクセプター分子、またはドナー分子をドーピングすることによってキャリアが発生し、電気伝導性を発現させる。ドーパントとは、例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属イオン、テトラエチルアンモニウム等のアルキルアンモニウムイオンやハロゲン類、ルイス酸、プロトン類、遷移金属ハライド等を例示することができる。
導電性高分子は、ポリアセチレンに代表されるようにπ共役系が高度に成長した高分子であるが、いかなる溶媒にも溶解せず、また融点を持たない、いわゆる不溶不融の性質を持っている。したがって、加工性が悪く工業的な応用が困難であった。
しかしながら、近年の研究により導電性高分子を有機溶媒に溶解または水溶媒に分散するなど、実質的にもしくは見かけ上で溶液として得られる導電性高分子が開発され、これにより工業化への利用が広がってきている。
以下に例を挙げ詳細を説明する。1つ目は、導電性高分子を構成するモノマーに直接置換基を導入して、有機溶媒溶解性や水溶解性を与える方法である。具体的に説明すると、チオフェンの3位にアルキル基を導入したポリ−3−アルキル置換チオフェンから合成されたポリチオフェン誘導体は、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、また分解前に融点を持つ、すなわち溶融溶解することが知られている。また、3位にアルキルスルホン酸を導入したポリ−3−アルキルスルホン酸チオフェンから合成されたポリチオフェン誘導体は、水となじみやすいスルホ基によって水溶性が得られ、同時に自己ドーピングが可能となる。
また、2つ目は、水溶性ドーパントを用いる方法がある。水となじみやすいスルホ基を分子中に有するポリマーがドーパント兼水分散剤と導入されることにより、水中への導電性高分子の微分散が可能となる。具体的に説明すると、水溶性高分子の水溶液中で、導電性高分子を構成させるモノマーを酸化重合させる。この際、水溶性高分子を持つスルホ基の一部が導電性高分子にドーピングするとともに水溶性高分子と導電性高分子を一体化させ、残りのスルホ基によって水溶性の導電性高分子となる。この導電性高分子は水中に数10nmレベルで微分散できる。この代表例がポリスチレンスルホン酸(PSS)を用い、導電性高分子モノマーに3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を用いて開発されたPEDOT/PSSがある。
本発明に用いることができる高分子化合物は、例えば、ポリピロール系化合物、ポリアニリン系化合物、ポリチオフェン化合物、ポリ(p−フェニレン)化合物、ポリフルオレン化合物又はこれらの誘導体などを例示することができる。本発明は、導電性高分子を溶媒に溶解または分散させる工程を経るため、溶解性または分散性に富む、例えば、PEDOT/PSSやリグニンをポリアニリン末端に修飾させたリグニングラフト型ポリアニリンなどを好ましく使用することができる。
また、非電子伝導性高分子が変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂及びそれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体並びに電子伝導性高分子がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体の混合物の被覆量は、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子100重量%に対して、0.05〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。0.05重量%未満では処理が不十分になる傾向があり、5.0重量%を超えると粒子被覆に関与しない当該重合体又は共重合体により粒子の重点密度を低下させ、正極製造時に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、重合体又は共重合体の混合膜に占める電子伝導性高分子の割合は20重量%から70重量%であることが好ましい。20重量%未満であると被膜の電子伝導性が低下する傾向があり、70重量%を超えると、材料コストが上がる傾向がある。
[ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子]
ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、球状粒子であって、その平均粒径は、5〜20μmであることが好ましい。このような範囲とすることで、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として良好な電池性能を有するとともに、且つ良好な電池の繰り返し寿命(サイクル特性)の両立ができるため好ましい。
また、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
LiNi(1−y−z)・・・(1)
式中、xは0.80〜1.10、yは0.01〜0.20、zは0.01〜0.15、1−y−zは0.65を超える値であって、Mは、CoまたはMnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示し、NはAl、InまたはSnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。
なお、1−y−zの値(ニッケル含有量)は、容量の観点から、好ましくは0.70を超える値であり、さらに好ましくは0.80を超える値である。
コバルト系(LCO)、三元系(NCM)、ニッケル系(NCA)の電極エネルギー密度(Wh/L)は、それぞれ2160Wh/L(LiCoO2)、2018.6Wh/L(LiNi0.33Co0.33Mn0.33Co0.33O2)、2376Wh/L(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)となる。そのため、当該ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子をリチウムイオン電池の正極活物質として用いることで、高容量の電池を作製することができる。
[被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の製造方法]
被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子を製造する方法、すなわちニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子にシェルとなる非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子を有する高分子組成物を被覆する方法としては、様々な方法をとることができる。
例えば、非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物に対して良溶媒中に該重合体もしくは共重合体を溶解または分散させ、さらに粒子を混合しスラリーを作製する。その後、該重合体もしくは共重合体に対して貧溶媒を段階的に添加し洗い、完全に良溶媒を除くことで粒子表面に当該重合体もしくは共重合体を沈着される方法、いわゆる相分離法を利用して製造することができる。
また、シェルとなる非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物に対して良溶媒中に溶解または分散させ、コアとなる粒子を混合しスラリーを作製する。さらに、このスラリーに当該重合体もしくは共重合体に対して貧溶媒を加え混合する。その後、良溶媒を除々に除去して粒子表面に当該重合体もしくは共重合体を析出させる方法、いわゆる界面沈殿法を利用して製造することもできる。
また、非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物を溶解または分散させた溶液中にコアとなる粒子を分散させ、液滴を細かく分散して熱風中に吹き付ける方法、いわゆる気中乾燥法、スプレードライ法を利用して製造することもできる。
また、コアとなる粒子を転動するパンで流動させ、そこに非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物を溶解または分散させた溶液を噴霧し、粒子表面に均一に該重合体もしくは共重合体を塗布・乾燥させる方法、いわゆるパンコーティング法を利用して製造することもできる。
また、底部から送風された気体にコアとなる粒子を上下に循環させ非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物を溶解または分散させた溶液を噴霧する方法、いわゆる気中懸濁被覆法を利用して製造することもできる。
中でも、製造コストの観点から、上述した界面沈殿法を利用して製造することが最も好ましい。また、上記シラン変性樹脂で被覆された粒子に、水蒸気処理による加水分解反応を加えることでアルコキシ基同士が反応し、より堅牢な被膜を形成できる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。但し、本発明は以下実施例によってのみ限定されるものではない。
(実施例1)
シラン変性ポリエーテル樹脂溶液0.0313g(固形分:40%)とSIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをエタノール150gに溶解させ、さらにトルエン16gを添加し混合しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。次に、上記スラリー含有のフラスコをエバポレーターに接続し、減圧下、60℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながら溶剤を除去した。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃、2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性ポリエーテルとリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例1に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(実施例2)
シラン変性ポリエステル樹脂溶液0.0364g(固形分:34.3%)をトルエン75gに溶解させた溶液に、SIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをエタノール75gで溶解させた溶液を混合し、さらにイソプロピルアルコール16gを添加し混合しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。次に、上記スラリー含有のフラスコをエバポレーターに接続し、減圧下、60℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながら溶剤を除去した。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃、2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性ポリエステルとリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例2に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(実施例3)
荒川化学工業製シラン変性ポリフェノール樹脂溶液(製品名:コンポセランP501)0.0147g(固形分:85.3%)をアセトン75gに溶解させた溶液に、SIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをエタノール75gで溶解させた溶液を混合し、さらにトルエン16gを添加し混合しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、さらにニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。次に、上記スラリー含有のフラスコをエバポレーターに接続し、減圧下、45℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながらスラリーからアセトンとエタノールを除去した。続いてウォーターバスの設定温度を60℃とし、トルエンの除去を行った。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性ポリフェノール樹脂とリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例3に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(実施例4)
荒川化学工業製シラン変性ポリウレタン樹脂溶液(製品名:ユルアーノU201)0.0414g(固形分:30.2%)をメチルエチルケトン75gに溶解させた溶液に、SIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをエタノール75gで溶解させた溶液を混合し、さらにトルエン16gを添加しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。上記スラリー含有のフラスコエバポレーターに接続し、減圧下、45℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながらアセトンとエタノールを除去した。続いてウォーターバスの設定温度を60℃とし、トルエンの除去を行った。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性ポリウレタン樹脂とリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例4に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(実施例5)
荒川化学工業製シラン変性エポキシ樹脂溶液(製品名:HBEP195)0.0138g(固形分:90.5%)をアセトン75gに溶解させた溶液に、SIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをエタノール75gで溶解させた溶液を混合し、さらにイソプロピルアルコール16gを添加しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、さらにニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。上記スラリー含有のフラスコをエバポレーターに接続し、減圧下、45℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながらスラリーからアセトンとエタノールを除去した。続いてウォーターバスの設定温度を60℃とし、イソプロピルアルコールの除去を行った。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性エポキシ樹脂とリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例5に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(実施例6)
荒川化学工業製シラン変性ポリアミド樹脂溶液(製品名:コンポセランH850D)0.0833g(固形分:15%)をジメチルアセトアミド75gに溶解させた溶液に、SIGMA−ALDRICH製ポリアニリン(エメラルジン塩)、リグニングラフト型パウダー0.0125gをジメチルアセトアミド75gで溶解させた溶液を混合し、さらにイソプロピルアルコール16gを添加しコーティング溶液を作製した。この溶液をフラスコに移し、さらにニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として遷移金属組成Li1.03Ni0.82Co0.15Al0.03で表される複合酸化物粒子25gを入れ混合し、スラリーを作製した。上記スラリー含有のフラスコをエバポレーターに接続し、減圧下、80℃に温めたウォーターバスにフラスコ部を入れ、回転させながらスラリーからジメチルアセトアミドを除去した。その後水蒸気処理を行い、最後に完全に溶媒を除去するために粉末を真空乾燥機に移し、減圧下100℃2時間の乾燥を行い、処理粉体を作製した。
このニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物に対し0.1重量%のシラン変性ポリアミド樹脂とリグニングラフト型ポリアニリン混合体がそれぞれ50重量%の割合で被覆されたものを実施例5に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子として、以下に示した大気安定性試験、ゲル化試験、及び電池特性試験(充放電試験、サイクル試験)を行った。
(比較例1)
処理を施さないリチウム−ニッケル複合酸化物粒子を用いたこと以外、実施例1〜実施例6と同様に大気安定性、ゲル化試験、電池特性試験を行った。
<大気安定性試験>
実施例及び比較例のリチウム−ニッケル複合酸化物粒子をそれぞれ2.0gガラス瓶に詰め、温度30℃・湿度70%の恒湿恒温槽に1週間静置し初期重量からの増加重量を測定し、粒子重量当たりの変化率を算出した。比較例1に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子の1週間後の粒子重量当たりの変化率を100として実施例1〜実施例6及び比較例1の1日ごとの変化率を図1に示す。
図1から分かるように、実施例1から実施例6のそれぞれシラン変性ポリエーテル系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体、シラン変性ポリエステル系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体、シラン変性ポリフェノール系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体、シラン変性ポリウレタン系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体、シラン変性エポキシ系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体、シラン変性ポリアミド系樹脂/リグニングラフト型ポリアニリン混合体の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、前記重合体が被覆されていない比較例1のリチウム−ニッケル複合酸化物粒子と比べ、重量当たりの変化率が小さい。本結果から、前記重合体が被覆されていることで、大気中の水分、炭酸ガスの透過を抑制できることが確認された。
<ゲル化試験>
正極合剤スラリーの粘度の経時変化の測定を、以下の順序により正極合剤スラリーを作製し、粘度増加およびゲル化の観察を行った。
配合比として、実施例及び比較例に係るリチウム−ニッケル複合酸化物粒子:導電助剤:バインダー:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)のそれぞれの重量比が、45:2.5:2.5:50となるように秤量し、さらに1.5重量%の水を添加後、自転・公転ミキサーで撹拌して正極合剤スラリーを得た。得られたスラリーを25℃のインキュベーター内で保管し、経時変化をスパチュラでかき混ぜ粘度増加、ゲル化度合いを、実施例及び比較例1についてそれぞれ確認し、完全にゲル化するまで保管を行った。
実施例1係るスラリーが完全にゲル化するまでに8日以上を要し、実施例2及び実施例6に係るスラリーが完全にゲル化するまでに5日以上を要し、実施例3係るスラリーが完全にゲル化するまでに9日を要し、実施例4および実施例5に係るスラリーが完全にゲル化するまでに14日以上を要した。それに対し、比較例1に係るスラリーが完全にゲル化するまでには1日を要したことから、実施例1から実施例6に係るスラリーは、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子に前記重合体が被覆されていることで、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)といった不純物の生成が抑えられ、これら不純物のスラリー中への溶解を抑制し、バインダーと反応することによるスラリーのゲル化及びスラリー粘度の上昇させることを妨げることができることが確認された。
また、フッ素化合物によってリチウム−ニッケル複合酸化物粒子を被覆させた場合には、フッ素化合物は一般的にNMPに溶解するため、フッ素系化合物が被膜しても、スラリー混合時、被膜が溶解すると考えられる。そのため、実施例に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子とは異なり、製造された正極を通常保管する際、不純物生成を抑制することが困難と考えられる。したがって、正極保管時に生成した不純物が原因となる電池駆動時のガス発生を伴う電解液との反応の抑制が難しく、高額な保管設備が必要となる。
<電池特性評価>
以下の手順にて、評価用非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製し、電池特性評価を行った。
[二次電池の製造]
本発明のリチウム−ニッケル複合酸化物粒子の電池特性評価は、コイン型電池とラミネート型電池を作製し、コイン型電池で充放電容量測定を行い、ラミネートセル型電池で充放電サイクル試験と抵抗測定を行った。
(a)正極
得られた実施例及び比較例に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子及びリチウム−ニッケル複合酸化物粒子に、導電助剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とをこれらの材料の重量比が85:10:5となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に溶解させ、正極合剤スラリーを作製した。この正極合剤スラリーを、コンマコーターによりアルミ箔に塗布し、100℃で加熱し、乾燥させることにより正極を得た。得られた正極をロールプレス機に通して荷重を加え、正極密度を向上させた正極シートを作製した。この正極シートをコイン型電池評価用に直径がφ9mmとなるように打ち抜き、またラミネートセル型電池用に50mm×30mmとなるように切り出し、それぞれを評価用正極電極として用いた。
(b)負極
負極活物質としてグラファイトと、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の重量比が92.5:7.5となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に溶解させて、負極合剤ペーストを得た。
この負極合剤スラリーを、正極と同様に、コンマコーターにより銅箔に塗布し、120℃で加熱し、乾燥させるとことにより負極を得た。得られた負極をロールプレス機に通して荷重を加え、電極密度を向上させた負極シートを作製した。得られた負極シートをコイン型電池用にφ14mmとなるように打ち抜き、またラミネートセル型電池用に54mm×34mmとなるように切り出し、それぞれを評価用負極として用いた。
(c)コイン電池及びラミネートセル型電池
作製した評価用電極を真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。そして、この正極を用いて2032型コイン電池とラミネートセル型電池を、露点が−80℃に管理されたアルゴン雰囲気のグローブボックス内で作製した。電解液には、1MのLiPFを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の3:7(富山薬品工業株式会社製)、セパレーターとしてガラスセパレーターを用いてそれぞれの評価用電池を作製した。
<<充放電試験>>
作製したコイン型電池について、組立から24時間程度静置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、25℃の恒温槽内で、0.2Cレートの電流密度でカットオフ電圧4.3Vになるまで充電した。1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行った。
実施例に係るコイン型電池の初期放電容量は、実施例1:192.86mAh/g、実施例2:192.89mAh/g、実施例3:192.93mAh/g、実施例4:192.95mAh/g、実施例5:192.88mAh/g、実施例6:192.32mAh/gであったのに対し、比較例1に係るコイン型電池の初期放電容量は、191.93mAh/gであった。
<<サイクル試験>>
作製したラミネート型電池について、コイン型電池と同様に、組立から24時間程度静置し、開回路電圧が安定した後、25℃の恒温槽内で、0.2Cレートの電流密度でカットオフ電圧4.1Vになるまで充電した。1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電した。次にこの電池を、60℃の恒温槽内で2.0Cレートの電流密度で4.1V−CC充電、3.0V−CC放電を繰り返すサイクル試験を行い、500サイクル後の容量維持率を確認するサイクル試験を行った。1サイクル目を100%とするサイクル試験後の容量維持率は、実施例1:87.3%、実施例2:87.5%、実施例3:88.3%、実施例4:89.2%、実施例5:87.5%、実施例6:87.1%であったのに対し、比較例1に係るサイクル試験後の容量維持率は80.7%であった。
図2サイクル試験前のインピーダンスにおけるCole−Coleプロットでは、実施例及び比較例に係るラミネート電池はほぼ同等であった。これは、実施例のラミネート電池に使用されたリチウム−ニッケル複合酸化物粒子にはシラン変性樹脂が充放電容量、電池抵抗、サイクル特性ともに被覆処理のないリチウム−ニッケル複合酸化物粒子と同等または優れることが確認された。
以上より、本発明に係る被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子は、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の課題とされていた環境安定性に優れ、且つリチウム−ニッケル複合酸化物粒子の高い放電容量と同等以上の特性を有する優れたリチウムイオン電池正極活物質用のリチウム−ニッケル複合酸化物粒子であることが分かる。

Claims (8)

  1. ニッケル系リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の表面に、非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子が含まれる高分子組成物が被覆されており、前記非電子伝導性高分子がシラン変性された重合体又は共重合体であるリチウムイオン電池正極活物質用の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  2. 前記非電子伝導性高分子がシラン変性ポリエーテル系樹脂、シラン変性ポリエステル系樹脂、シラン変性ポリフェノール系樹脂、シラン変性ポリウレタン系樹脂、シラン変性エポキシ系樹脂、及びシラン変性ポリアミド系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体である請求項1に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  3. 前記電子伝導性高分子がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一種からなる重合体又は共重合体である請求項1又は2に記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  4. 前記高分子組成物の被覆量が、リチウム−ニッケル複合酸化物粒子に対して0.05〜5.0重量%である請求項1から3のいずれかに記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  5. 前記高分子組成物の全量における非電子伝導性高分子の含有量が30〜80重量%である請求項1から4のいずれかに記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  6. 前記リチウム−ニッケル複合酸化物が下記一般式(1)で表される請求項1から5のいずれかに記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
    LiNi(1−y−z) ・・・(1)
    (式中、xは0.80〜1.10、yは0.01〜0.20、zは0.01〜0.15、1−y−zは0.65を超える値であって、Mは、CoまたはMnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示し、NはAl、InまたはSnから選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)
  7. 5〜20μmの平均粒径を有する球状粒子である請求項1から6のいずれかに記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子。
  8. 前記非電子伝導性高分子及び電子伝導性高分子を溶解する良溶媒に溶解させて被覆用樹脂溶液とする工程と、
    前記被膜用樹脂溶液に、前記非電子伝導性高分子及び前記電子伝導性高分子を溶解しない貧溶媒であって、前記良溶媒よりも蒸発速度の遅い貧溶媒を添加する工程と、
    前記被膜用樹脂溶液に、前記リチウム−ニッケル複合酸化物粒子を添加してスラリーとする工程と、
    前記スラリーから良溶媒及び貧溶媒を除去する工程を含む請求項1から7のいずれかに記載の被覆リチウム−ニッケル複合酸化物粒子の製造方法。


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