JP6096020B2 - 積層フィルムを含む包装材料の製造方法 - Google Patents

積層フィルムを含む包装材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層フィルムを含む包装材料の製造方法に関し、特に積層フィルムをヒートシールすることを含む包装材料の製造方法に関する。本発明はさらに前記製造方法での使用に適した積層フィルムに関する。
無機層および有機層を含むバリアフィルムは、水蒸気や酸素などを遮断するフィルムとして、従来から包装材料として使用されている。特許文献1および特許文献2では、バリアフィルムに樹脂フィルムからなるシーラントフィルムを積層した積層フィルムが包装材料の作製に利用されている。
特開2005−153306号公報 特開2012−218377号公報
無機層および有機層を含むガスバリアフィルムを含む積層フィルムにおいてはヒートシール時の加圧、加熱、冷却により圧縮や収縮が発生し、構成層にストレスが加わりやすい。このストレスにより、フィルムにクラックが生じ、ガスバリア性の低下を引き起こす場合もある。
本発明は上記問題を克服した、バリア性の高い包装材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、無機層および有機層を含むガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを含む積層フィルムの一部を加熱してヒートシールする際、特に、加熱部と非加熱部との境界で生じるストレスにより無機層にクラックが生じやすいことに着目し、このようなクラックが生じにくい材料や製造条件について検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[16]を提供するものである。
[1]包装材料の製造方法であって、
基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムにシーラントフィルムが積層されている積層フィルムを加熱して、前記シーラントフィルムを溶融させることを含み、
前記積層:フィルムとして、下記式(I)を満たす積層フィルムを用いる方法。

X<Y・・・式(I)

X= Es × Ds × Ss
Es:シーラントフィルムの弾性率(N/mm2
Ds:シーラントフィルムの厚み(mm)
Ss:前記加熱時の温度でのシーラントフィルムの収縮歪み
Y= Eb × Db × Sb
Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
Db:バリアフィルムの厚み(mm)
Sb:バリアフィルムの限界歪み
[2]前記積層フィルムとして、前記バリアフィルムの限界歪み(Sb)が0.02以上であるものを用いる[1]に記載の方法。
[3]前記加熱が前記積層フィルムの一部に行われる[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記加熱が1〜20秒間行われる[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]前記バリアフィルムの引張り試験により生じたクラックの発生を確認して限界歪み(Sb)を算出し前記バリアフィルムの抵抗力Yを求めること
前記Y値に基づいて前記式(I)を満たすように前記シーラントフィルムおよび前記加熱温度を選択すること、および
前記バリアフィルムに前記シーラントフィルムを積層して前記積層フィルムを製造することを、さらにこの順に含む[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]前記バリアフィルムが前記バリア性積層体側で前記シーラントフィルムと接着層により積層されている[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]前記の少なくとも1層の有機層が前記の接着層と接している[6]に記載の方法。
[8]前記の少なくとも1層の有機層がリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させることによって得られる層である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]前記バリアフィルムが、基材フィルム、第一の有機層、無機層、および第二の有機層をこの順に含む[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムにリニア低密度ポリエチレンを含む樹脂フィルムが積層されている積層フィルムであって、下記式(I1)を満たす積層フィルム。

1<Y ・・・ 式(I1

1= Es1 × Ds1 × Ss1
Es1:前記樹脂フィルムの弾性率(N/mm2
Ds1:前記樹脂フィルムの厚み(mm)
Ss1:160℃に加熱時の前記樹脂フィルムの収縮歪み
Y= Eb × Db × Sb
Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
Db:バリアフィルムの厚み(mm)
Sb:バリアフィルムの限界歪み
[11]基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムに無延伸ポリプロピレンを含む樹脂フィルムが積層されている積層フィルムであって、下記式(I2)を満たす積層フィルム。

2<Y ・・・式(I2

2= Es1 × Ds1 × Ss1
Es2:前記樹脂フィルムの弾性率(N/mm2
Ds2:前記樹脂フィルムの厚み(mm)
Ss2:200℃に加熱時の前記樹脂フィルムの収縮歪み
Y= Eb × Db × Sb
Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
Db:バリアフィルムの厚み(mm)
Sb:バリアフィルムの限界歪み
[12]基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムにエチレン酢酸ビニル共重合体を含む樹脂フィルムが積層されている積層フィルムであって、
下記式(I3)を満たす積層フィルム。

3<Y ・・・ 式(I3

3= Es1 × Ds1 × Ss1
Es3:前記樹脂フィルムの弾性率(N/mm2
Ds3:前記樹脂フィルムの厚み(mm)
Ss3:140℃に加熱時の前記樹脂フィルムの収縮歪み(%)
Y= Eb × Db × Sb
Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
Db:バリアフィルムの厚み(mm)
Sb:バリアフィルムの限界歪み
[13]前記バリアフィルムが前記バリア性積層体側で前記樹脂フィルムと接着層により積層されている[10]〜[12]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[14]前記の少なくとも1層の有機層が前記の接着層と接している[13]に記載の積層フィルム。
[15]前記有機層がリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させることによって得られる層である[10]〜[14]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[16]前記バリアフィルムが、基材フィルム、第一の有機層、無機層、および第二の有機層をこの順に含む[10]〜[15]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
本発明により、バリア性の高い包装材料の製造方法が提供される。また、本発明により、前記製造方法に用いることができる積層フィルムが提供される。
本発明の製造方法に用いることができる無機層および有機層を含むガスバリアフィルムとシーラント層とを含む積層フィルムの一例を示す概略図である。 実施例で作製したバックの構成を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む意味で使用される。
本発明の包装材料の製造方法は、基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムにシーラントフィルムが積層されている積層フィルムを加熱して、前記シーラントフィルムを溶融させることを含む方法である。本発明の包装材料の製造方法は前記積層フィルムとして、下記式(I)を満たす積層フィルムを用いる。

X<Y ・・・(I)

ただし、Xは前記加熱時に発生するシーラントフィルムの収縮力、Yはバリアフィルムの抵抗力であり、以下の式で算出される値である。
X= Es × Ds × Ss
Es:シーラントフィルムの弾性率(N/mm2
Ds:シーラントフィルムの厚み(mm)
Ss:前記加熱時の温度でのシーラントフィルムの収縮歪み
Y= Eb × Db × Sb
Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
Db:バリアフィルムの厚み(mm)
Sb:バリアフィルムの限界歪み
上記弾性率、フィルムの厚み、シーラントフィルムの収縮歪み、バリアフィルムの限界歪みは以下の方法で測定されるものを用いればよい。
(パラメーター測定方法)
弾性率(EsおよびEb):JIS K7161で規定された方法で測定する。環境は25℃50%RH(相対湿度)、引張りは1mm/分で実施する。
厚さ(DsおよびDb):JIS K7130で規定された方法で測定する。具体的には、マイクロメーターを使用して厚さを測定することができる。
シーラントフィルムの収縮歪み(Ss):100mm長に切り出したシーラントフィルムの長さ(a mm)をノギスで測定する。シーラントフィルムを包装材料製造の際の加熱温度(ヒートシール時の温度)で5秒間加熱し、冷却後に長さ(b mm)をノギスで測定する。収縮歪みSsは下記式(III)より求める。
Ss=(a−b)/a ・・・ 式(III)

バリアフィルムの限界歪み(Sb):規定の長さに切り出したバリアフィルムを引張り試験にチャック間距離(c mm)でセットし、1mm/分の引張り速度で引っ張る。所望の長さ(d mm)を引っ張ったサンプルを光学顕微鏡で観察し、クラックの発生有無を確認する。クラックの発生し始めた歪みを、バリアフィルムの限界歪み(Sb)とした。Sbは下記 式(IV)より求める。
Sb=d/c ・・・ 式(IV)
また、上記のように求められる前記バリアフィルムの限界歪み(Sb)は0.02以上であることが好ましい。
上記の各パラメーターはバリアフィルムとシーラントフィルムとが接着層等により積層される前に、バリアフィルムとシーラントフィルムとにつき、それぞれ測定して算出したものであればよい。
なお、「クラック」とは、フィルムの断裂を意味する。断裂はフィルム中のいずれかの層のみで発生しているものであってもよい。
ヒートシール時に発生するシーラントフィルムの収縮力(X)および、バリアフィルムの抵抗力(Y)が上記の関係を満たす積層フィルムを用いることにより、バリアフィルムにクラックが生じにくくなる。特に、積層フィルムの一部の加熱により、加熱部および非加熱部が生じても、温度変化による加熱部および非加熱部の境界部のクラックが生じにくくなる。ここで、前記境界部は、通常、積層フィルムの面上に生じる境界部を意味している。
包装材料の製造は、通常上記のような積層フィルムのシーラントフィルム側の面を他のフィルムと接触させ、接触部を加熱して、積層フィルムと他のフィルムを接合させることにより行うことができる。加熱は前記シーラントフィルムが融解しうる温度で行えばよい。上記の接触部または加熱部は、積層フィルムの一部であってもよく、すなわち、溶融するシーラントフィルムは一部であってもよい。積層フィルムの一部は、例えば、長方形などの形状の積層フィルムの外周部分であってもよい。同様の形状の他のフィルムの外周部分と接合させれば、袋状の包装材料を作製することができる。外周部分とは厚みからなる側面(エッジ)からの特定の距離の範囲を意味する。特定の距離はエッジから平面中心部分までの距離を超えない限り特に限定されず、積層フィルムの大きさに応じて適宜選択すればよい。例えば、0.1mm以上、1mm以上、5mm以上、1cm以上、5cm以上であればよく、30cm以下、20cm以下、10cm以下、5cm以下、1cm以下であればよい。前記の特定の距離は1つの積層フィルムの外周について一定であっても、一定でなくてもよい。
しかし、積層フィルムの上記一部は外周に限定されるものではない。
積層フィルムと接合される他のフィルムについては熱による溶融接合ができれば特に限定されないが、シーラント層を有するフィルムであることが好ましい。また、バリア性を有するフィルムであることが好ましい。他のフィルムが上記積層フィルムであってもよい。例えば、2枚の積層フィルムを重ねあわせて、外周部分を接合して袋状の包装材料を製造することもでき、1枚の積層フィルムを2つ折りにして折り目部分以外の外周部分を接合して袋状の包装材料を製造することもできる。
(積層フィルム)
本発明の製造方法に用いられる積層フィルムは、基材フィルムおよびバリア性積層体(ガスバリア層)を含むバリアフィルムにシーラントフィルムが積層されている構造を有する。バリア性積層体は少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含む。シーラントフィルムは、例えば接着層を介してバリアフィルムに積層されていればよい。
図1は、積層フィルムの一例を記載したものであって、1は基材フィルムを、2、および4は有機層を、3は無機層を、5は接着層を、6は樹脂フィルムを、それぞれ示している。
図1に示す実施形態では、バリア性積層体は、第一の有機層、無機層および第二の有機層の3層から構成されている。
図1に示す実施形態では、接着層とシーラントフィルムは、接しているが、接着層とシーラントフィルムとの間には本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の層が含まれていてもよい。このような他の層の例としては、易接着層等があげられる。また、接着層とシーラントフィルムとの間に、酸素吸収性樹脂フィルムと接着層を含んでいてもよい。すなわち、基材フィルム/バリア性積層体/接着層/酸素吸収性樹脂フィルム/接着層/シーラントフィルムの構成であってもよい。但し、バリア性積層体で十分な酸素バリア性が確保できるため、酸素吸収性樹脂層は設けなくてもよい。
積層フィルムは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の構成層を含んでいてもよい。他の構成層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。また、マット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等も例示される。
積層フィルムの厚みは、10〜300μmとすることができ、20〜200μmとすることができる。このように厚みが薄いことから、側面からの水蒸気や酸素の侵入をより効果的に抑制することができる。
積層フィルムは、温度40℃、1気圧、相対湿度90%下で、酸素透過0.1cc/m2/日/atm以下であることが好ましく、さらには、0.01cc/m2/日/atm以下であることが好ましい。
また、積層フィルムは、温度40℃、1気圧、相対湿度90%下で、水蒸気透過率0.01g/m2/日以下であることが好ましく、さらには、0.001g/m2/日以下であることが好ましい。
積層フィルムは、上記酸素透過率および水蒸気透過率の両方を満たすものとすることも好ましい。
以下、バリアフィルム、接着層およびシーラントフィルムについて詳細に説明する。
(バリアフィルム)
バリアフィルムは、基材上に、少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を有するバリアフィルムであればよい。
バリアフィルムにおいて、バリア性積層体は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよいが、片面にのみ設けられていることが好ましい。本発明のバリア性積層体は、基材フィルム側から無機層、有機層の順に積層していてもよいし、有機層、無機層の順に積層していてもよい。積層される最上層(基材から最も遠い層)は無機層でも有機層でもよいが有機層であることが好ましい。
バリアフィルムは基材フィルムおよびバリア性積層体以外の構成成分(例えば、易接着層等の機能性層)を有していてもよい。機能性層はバリア性積層体の上、バリア性積層体と基材フィルムの間、基材フィルム上のバリア性積層体が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
(基材フィルム)
基材フィルムは、通常、プラスチックフィルムであり、特開2009−172993号公報の段落番号0009〜0012に記載のものを好ましく採用できる。基材フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
基材フィルムの厚さは、5〜200μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。
(バリア性積層体)
バリア性積層体は、少なくとも1層の有機層と少なくとも1層の無機層を含むものであり、2層以上の有機層と2層以上の無機層とが交互に積層しているものであってもよい。
また、バリア性積層体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、バリア性積層体を構成する組成が膜厚方向に有機領域と無機領域が連続的に変化するいわゆる傾斜材料層を含んでいてもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(2005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機領域と無機領域が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。以降、簡略化のため、有機層と有機領域は「有機層」として、無機層と無機領域は「無機層」として記述する。
バリア性積層体を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。
(有機層)
バリア性積層体が2層以上の有機層を含む場合、2層以上の有機層を同じ材料から形成することもできるし、異なる材料から形成することもできる。
有機層とは有機ポリマーを主成分とする、有機層であることが好ましい。ここで主成分とは、有機層を構成する成分の第一の成分が有機ポリマーであることをいい、通常は、有機層を構成する成分の80質量%以上が有機ポリマーであることをいう。
有機ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステルおよびアクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン等の有機珪素ポリマーなどが挙げられる。
本発明における有機層は、好ましくは、重合性化合物を含む重合性組成物を硬化してなるものである。
(重合性化合物)
重合性化合物は、好ましくは、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物であり、より好ましくは、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物および/またはスチレン系化合物が好ましく、(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましく、多官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物の例としては、特開2010−228412号公報の段落番号0014〜0019に記載のものがあげられる。
リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマー
有機層を形成するための重合性組成物は、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含んでいることが好ましい。リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、以下の一般式(1)で表される重合性化合物がより好ましい。
[一般式(1)において、Z1は、Ac2−O−X2−、重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、Z2は、Ac3−O−X3−、重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、Ac1、Ac2およびAc3は、それぞれ、(メタ)アクリロイル基を表し、X1、X2およびX3は、それぞれ、アルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、またはこれらの組み合わせを表す。]
一般式(1)で表される化合物には、以下の一般式(2)で表される単官能重合性化合物、以下の一般式(3)で表される2官能重合性化合物、および以下の一般式(4)で表される3官能重合性化合物が含まれる。
Ac1、Ac2、Ac3、X1、X2およびX3の定義は、一般式(1)における定義と同じである。一般式(2)および(3)において、R1は重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、R2は重合性基を有しない置換基または水素原子を表す。
一般式(1)〜(4)において、X1、X2およびX3の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。X1、X2およびX3が採りうるアルキレン基の具体例、および、X1、X2およびX3が採りうるアルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基のアルキレン部分の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。アルキレン基は、直鎖状であっても分枝状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキレン基である。X1、X2およびX3として好ましいのは、アルキレン基である。
一般式(1)〜(4)において、重合性基を有しない置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、またはこれらを組み合わせた基などを挙げることができる。好ましいのはアルキル基、アルコキシ基であり、さらに好ましいのはアルコキシ基である。
アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。
アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であっても環状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキル基である。アルキル基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アリール基の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。アリール基の具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アルコキシ基のアルキル部分、アリールオキシ基のアリール部分については、上記アルキル基とアリール基の説明をそれぞれ参照することができる。
リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、一般式(1)で表される重合性化合物を1種類だけ用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、組み合わせて用いる場合は、一般式(2)で表される単官能重合性化合物、一般式(3)で表される2官能重合性化合物、および一般式(4)で表される3官能重合性化合物のうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のリン酸エステル基を有する重合性化合物としては、日本化薬(株)製のKAYAMERシリーズ、ユニケミカル(株)製のPhosmerシリーズ等、市販されている化合物をそのまま用いてもよく、新たに合成された化合物を用いてもよい。
以下において、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの具体例を示すが、本発明で用いることができる化合物はこれらに限定されない。
本発明における有機層を、重合性化合物を含む重合性組成物を塗布硬化させて作製する場合、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの含量は、重合性組成物中の重合性化合物全量に対して0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。
(重合開始剤)
有機層を、重合性化合物を含む重合性組成物を塗布硬化させて作製する場合、該重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。重合開始剤の好ましい例としては、特開2010−089502号公報の段落番号0057に記載の重合開始剤があげられる。
(有機層の形成方法)
有機層の形成方法としては、特に定めるものではないが、特開2010−089502号公報の段落番号0058および0059に記載の方法が好ましい。
有機層を構成する重合性モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とは重合性組成物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
有機層の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.3〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmがさらに好ましく、1〜5μmがよりさらに好ましく、1.8〜3μmが特に好ましい。
特に、接着層に最も近い有機層の厚さを0.3μm以上とすることにより、有機層のクッション性が優れ、結果として総合的により優れた積層フィルムを得ることが可能になる。
一方、基材フィルムに直接接する有機層がある場合、その有機層は平滑な層であることが好ましい。この場合の有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満が好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
基材フィルムに直接に接する有機層の厚さは、150nm以上が好ましく、0.3〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmがさらに好ましく、0.8〜2μmが特に好ましい。
(無機層)
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、またはTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、Zn、Tiから選ばれる金属の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。
(接着層)
シーラントフィルムとガスバリア層とを貼り合わせるためには接着層を設けられていればよい。さらに、他の機能性フィルムを有する場合、該フィルムを貼り合わせるためにも接着層が用いられていてもよい。
接着層に含まれる接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤およびポリウレタン系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、アクリル樹脂系接着剤などが例示され、ポリウレタン系接着剤が好ましい。また、接着層は、接着剤以外の成分を含んでいてもよいが、これらの成分は全体の1質量%以下であることが好ましい。
接着層の厚さは、0.1〜50μmが好ましく、1〜30μmが好ましく、1〜5μmが特に好ましい。
(シーラントフィルム)
シーラントフィルムとは、常温で粘着力がないフィルムであって、シーラントフィルム同士で重ね合わせた状態で加熱溶融させ、圧着、冷却することによって、接着するフィルムである。通常、シーラントフィルムで互いに接着させればよい。
シーラントフィルムは樹脂フィルムであればよく、樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、アイオノマー、アクリル系共重合樹脂があげられる。ポリエチレン、ポリプロピレンとして、具体的には、PE(ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン) 、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)があげられる。シーラントフィルムとしては、防湿性の観点からPE,LDPE,LLDPE、またはCPPを含む樹脂フィルムが好ましく、樹脂成分の90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上がPE,LDPE,LLDPE、またはCPPであることが好ましい。シーラントフィルムには、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としてはアンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、有機あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤 があげられる。
シーラントフィルムは透明であることが好ましい。ここで、透明とは、光透過率で50%以上であることを示し、好ましくは70%以上あることをいう。
シーラントフィルムの厚みは、1〜100μmが好ましく、2〜70μmがより好ましい。
積層フィルム中のシーラントフィルムと、これと接合されるシーラントフィルムの組成は異なっていてもよく、同じであってもよい。ヒートシールで融着することから、両者の組成は95質量%以上が共通していることが好ましい。
(ヒートシール)
ヒートシール温度は、通常、上記の積層フィルムが有するシーラントフィルムの融点から定めることができる。例えばシーラントフィルムがポリプロピレンの場合、ヒートシールの温度は、好ましくは、160〜220℃である。
また、ヒートシールする時間は、通常、0.2〜20秒であればよく、0.5〜10秒が好ましく、1秒〜10秒がより好ましい。ヒートシールする圧力は、好ましくは、0.01〜5MPaである。
(包装材料)
包装材料の種類は特に限定されないが、用いられる積層フィルムのバリア性が高いため、特に、ガスバリア性が必要となる製品の包装に用いられる材料であることが好ましい。包装される製品の例としては、食品、非食品、薬品等があげられる。包装される製品の状態は、液体状、固体状、粉末状のいずれであってもよい。積層フィルムのヒートシールを適切に行うことにより、包装材料は袋状、またはバック状になっていることが好ましい。具体的な包装材料の例としては、食品用包装袋、薬品用包装袋、輸液バック等があげられる。
特に、包装材料が輸液バックである場合などにおいて、本発明の方法は、シーラントフィルムとして機能する樹脂フィルムを含むフィルムで既にバックとして形成されているものに、積層フィルムを接合するものであってもよい。このときバッグの両面に積層フィルムが配置されているように積層フィルムを接合してもよいし、片面だけに積層フィルムが配置されているように積層フィルムを接合してもよい。片面の場合は、封止性を維持できるようなフィルム(例えば、アルミフィルムなど)をもう一方の面に配置することが好ましい。前記バックは、上記の積層フィルムと接合される最外層がシーラントフィルムからなっていればよい。
樹脂フィルムを含むバックの例として、2枚の樹脂フィルムを接合してなるバックおよび1枚の樹脂フィルムを2つ折りにして接合してなるバックが挙げられる。
通常は、必要な取り出し口(例えば輸液バックの液体排出口)等を除いて、樹脂フィルムの端部が完全に接合されていればよい。
樹脂フィルムからなるバックの樹脂フィルムの厚さは、20〜200μmが好ましい。
2枚の樹脂フィルムを接合してなるバックの場合、2枚の樹脂フィルムは、それぞれ異なるフィルムであってもよいが、同じフィルムであることが好ましい。同じフィルムの場合、ヒートシール法で貼り付ける場合に、容易に貼り付けることが可能になる。
(輸液バック)
輸液バックは、バックが1つである単式であっても、バックが2つ以上ある複式であってもよい。複式の場合、例えば、粉体収容室と、該粉体収容室と容易に剥離可能な隔壁で区切られた液体収容室からなる複式バックが例示される。この場合、使用直前に、隔壁を剥離し、粉体と液体を混合して、液体排出口から輸液を行う。この場合、粉体収容室に本発明の輸液バックを用いることが好ましい。
輸液バックに用いられる薬剤としては、皮下・血管内・腹腔内などに点滴等によって投与するための液体が例示される。複式バックの場合、粉状の薬剤と生理食塩水等の液体が例示される。粉末の薬剤としては、ビタミンやアミノ酸などの栄養剤や抗生剤、抗菌剤などが例示される。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、特開2003−230618号公報および特開平10−201818号公報に記載の技術を参酌することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(ガスバリアフィルムの作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ社製、商品名:ルミラー、厚さ12μm、25μm、50μm、100μm、188μm、250μmのいずれか)の片面側に以下の手順でバリア性積層体を形成して評価した。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセルサイテック(株)製)14.1g、リン酸エステル基を有するアクリレート(日本化薬(株)製、KAYAMERシリーズ、PM−21)を1.0g、シランカップリング剤としてKBM−5103(信越化学工業(株)製)を3.5gおよび光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を1.4gを用意し、これらをメチルエチルケトン180gに溶解させて塗布液とした。この塗布液を、ワイヤーバーを用いて上記PETフィルムの平滑面上にワイヤーバーにて塗布した。室温にて2時間乾燥した後、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約2J/cm2)して有機層を硬化させた。有機層の厚さは、1μmであった。
次に、CVD装置を用いて、前記有機層の表面に無機層(窒化ケイ素層)を形成した。原料ガスとして、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源として、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。製膜圧力は40Pa、到達膜厚は50nmであった。このようにして有機層の表面に無機層を積層した。
さらに、無機層の表面に、上記有機層の形成方法と同様にさらに1層の有機層を積層して、実施例1のバリアフィルムを作製した。
このように得られたバリアフィルムにつき、上述の方法で、弾性率、厚み、限界歪みを測定し、バリアフィルムの抵抗力Yを算出した。
(バリアフィルムとシーラントフィルムとの貼り合わせ)
上記で得られたバリアフィルムと表1に示すシーラントフィルムとを下記に示す層構成となるように、ポリウレタン系接着剤を用いて貼り合せて、実施例1〜12、および比較例1〜4の積層フィルムを得た。接着層の厚みは、3μmとした。
PET/有機層/無機層/有機層/接着層/シーラントフィルム
なお、接合前に各シーラントフィルムについて上述の方法で、弾性率、厚み、ヒートシールに用いた温度での収縮歪みを測定し、各シーラントフィルムの収縮力Xを算出した。
(評価1)
(積層フィルムとシーラントフィルムからなるバックの接合)
得られた積層フィルムのシーラントフィルム側と、最表層がシーラントフィルムからなるバッグの4辺をヒートシールで融着し、図2に示すバックを作製した。ヒートシールは、表2に示す条件で行った。
(カルシウム法による水蒸気透過率の測定)
得られた輸液バックのうち、積層フィルムを設けた側について、カルシウム法によって、水蒸気透過率を測定した。すなわち、G.NISATO、P.C.P.BOUTEN、P.J.SLIKKERVEERらSID Conference Record of the International Display Research Conference 1435-1438頁に記載の方法を用いて水蒸気透過率(g/m2/day)を測定した。このときの温度は40℃、相対湿度は90%とした。結果を下記表に示した。
0.0005g/m2/day以下が検出限界である。実用レベルとしては、0.001g/m2/day以下である。
(密着性の評価方法)
積層フィルムの密着性を評価する目的で、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行なった。積層フィルムの表面にカッターナイフで膜面に対して90°の切込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作製した。この上に2cm幅のマイラーテープ[日東電工製、ポリエステルテープ(No.31B)]を貼り付け、テープ剥離試験機を使用して貼り付けたテープをはがした。積層フィルム上の100個の碁盤目のうち剥離せずに残存したマスの数(n)をカウントした。
A:70マス以上。
B:50マス以上、70マス未満。
C:50マス未満。
(薬剤の保存性)
図2に示すバックに、薬剤として、セファゾリンナトリウム(大塚製薬工場製)を封入し、40℃相対湿度75%の条件で6ヶ月保存して色調の変化を評価した。
下記に従って評価した。
A:色調に変化無し
B:部分的に僅かに色調が変化
C:全体に微黄色に変化
D:全体に黄色に変化
評価の結果を表3に示す。
上記結果から明らかなとおり、X<Yを満たす積層フィルムを用いて製造された輸液バックは、高い水蒸気バリア性、密着性を有し、かつ、高い薬剤保存性を有していることがわかった。
(評価2)
特定室が積層された複室容器の製造容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有するシールで構成される2室からなるポリエチレン製バッグの上室の片面を完全に覆うようにして、上記それぞれの積層フィルムを、シーラントフィルムを内側にして容器本体と密着するように重ね合わせ、積層フィルムの周縁部を容器本体とヒートシール法により融着させた。ヒートシールは、表2に示す条件で行った。
<薬剤の保存性>
得られた輸液バックの上室に、薬剤として、セファゾリンナトリウム(大塚製薬工場製)を封入し、40℃相対湿度75%の条件で6ヶ月保存して色調の変化を評価した。
下記に従って評価した。
A:色調に変化無し
B:部分的に僅かに色調が変化
C:全体に微黄色に変化
D:全体に黄色に変化
結果を表4に示す。
上記結果から明らかなとおり、複式型輸液バックも高い薬剤保存性を有していた。
1 基材フィルム
2 第一の有機層
3 無機層
4 第二の有機層
5 接着層
6 シーラントフィルム
7 ヒートシール部
8 内袋
9 積層フィルム

Claims (9)

  1. 包装材料の製造方法であって、
    基材フィルムならびに少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を含むバリアフィルムにシーラントフィルムが積層されている積層フィルムを加熱して、前記シーラントフィルムを溶融させることを含み、
    前記積層フィルムとして、下記式(I)を満たす積層フィルムを用い、
    前記加熱が、前記積層フィルムの一部に行われ、かつ1〜20秒間行われる方法。

    X<Y・・・式(I)

    X= Es × Ds × Ss
    Es:シーラントフィルムの弾性率(N/mm2
    Ds:シーラントフィルムの厚み(mm)
    Ss:前記加熱時の温度での前記シーラントフィルムの収縮歪みであって、室温で長さammの前記シーラントフィルムを前記加熱時の温度で5秒間加熱し、その後室温に戻した前記シーラントフィルムの長さがbmmであったとき式(III)より求められる値;Ss=(a−b)/a ・・・ 式(III)
    Y= Eb × Db × Sb
    Eb:バリアフィルムの弾性率(N/mm2
    Db:バリアフィルムの厚み(mm)
    Sb:バリアフィルムの限界歪みであって、引張り試験機にチャック間距離(cmm)でセットした前記バリアフィルムを1mm/分の速度でdmm引っ張り光学顕微鏡での観察においてクラックが発生し始めたとき式(IV)より求められる値;Sb=d/c ・・・ 式(IV)
  2. 前記積層フィルムとして、前記バリアフィルムの限界歪み(Sb)が0.02以上であるものを用いる請求項1に記載の方法。
  3. 前記加熱が5〜20秒間行われる請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記バリアフィルムの引張り試験により生じたクラックの発生を確認して限界歪み(Sb)を算出し前記バリアフィルムの抵抗力Yを求めること
    前記Y値に基づいて前記式(I)を満たすように前記シーラントフィルムおよび前記加熱温度を選択すること、および
    前記バリアフィルムに前記シーラントフィルムを積層して前記積層フィルムを製造することを、さらにこの順に含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記バリアフィルムが前記バリア性積層体側で前記シーラントフィルムと接着層により積層されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記の少なくとも1層の有機層が前記の接着層と接している請求項5に記載の方法。
  7. 前記の少なくとも1層の有機層がリン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させることによって得られる層である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記バリアフィルムが、基材フィルム、第一の有機層、無機層、および第二の有機層をこの順に含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記包装材料が輸液バックである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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