JP6095976B2 - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器の製造に用いられる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法に関するものである。
従来から、自動車熱交換器用部材として用いられるアルミニウム合金クラッド材では、材料強度を向上させることにより、熱交換器の耐圧強度、疲労強度の向上が図られてきている。しかし、近年、自動車熱交換器の使用環境は苛酷化しており、自動車搭載時に各部材にその塑性域に達するような高い応力が繰り返し負荷される場合がある。このようにいわゆる低サイクル疲労を受ける環境下では、部材の材料強度の向上が必ずしも熱交換器の疲労強度の向上に繋がらないという問題がある。
疲労強度を向上するために、熱交換器用アルミニウム合金扁平管について、中心線平均粗さとビッカース硬さとを用いた所定の関係式、または中心線平均粗さと1mm当たりの三重点個数とを用いた所定の関係式を満足する芯材と内皮材との2層構造とすることが提案されている(特許文献1及び2参照)。
特開2011−214028号公報 特開2011−140691号公報
しかし、上記特許文献で提案されているものも含めて、従来のアルミニウム合金クラッド材では、十分な低サイクル疲労特性を有するには至っておらず、繰り返し負荷に対する耐性に優れた熱交換器を得たいという要望に応えることができないという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、低サイクル疲労特性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材のうち、第1の本発明は、質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する合金芯材の一方の面にAl−Si系合金ろう材がクラッドされ、前記芯材の他方の面に質量%でZr:0.05〜0.3%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する皮材がクラッドされており、前記皮材の組織が、600℃のろう付相当熱処理後において、隣接する結晶粒間の結晶方位の差が2°以上15°未満であり、かつ結晶粒径が10μm未満の亜結晶粒が全結晶粒の50%以上存在することを特徴とする。
第2の本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、前記第1の本発明において、前記芯材は、さらに、質量%で、Mg:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜0.30%のうち1種または2種を含有することを特徴とする。
第3の本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、前記第1または第2の本発明において、前記芯材は、前記不可避不純物として含まれるZrの含有量が質量%で0.03%未満に規制されていることを特徴とする。
第4の本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材と前記皮材の一方または両方に、さらに、質量%でZn:0.1〜5.0%を含有することを特徴とする。
第5の本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法は、第1〜第4のいずれかの熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を製造する方法であって、第1〜第4の本発明のいずれかに記載の合金芯材組成を有し、550〜600℃の均質化処理が施された芯材素材の一方の面に、Al−Si系合金ろう材素材を重ね合わせ、前記芯材素材の他方の面に、第1、2または第4の本発明のいずれかに記載の皮材組成を有し、400〜450℃の均質化処理が施された皮材素材を重ね合わせ、これら重ね合わせ素材に熱間圧延とその後の冷間圧延を行い、その後、200〜280℃で加熱する最終焼鈍を行うことを特徴とする。
以下に、本発明における規定の限定理由について説明する。なお、成分量についてはいずれも質量%で示される。
1.芯材組成
芯材組成は、Al−Mn系合金に限られ、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成が示される。
Mn:1.0〜2.0%
Mnは、芯材素地中にAl−Mn系金属間化合物として分散し、耐食性を低下させることなく芯材の強度を向上させる作用を有する。また、Siと同時に含有させることで、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物が形成され、芯材の強度を向上させる作用を有する。Mn含有量が1.0%未満であると上記作用が十分に得られず、2.0%を超えると粗大な化合物により鋳造性や圧延性などの製造性が低下する。したがって、Mn含有量を1.0〜2.0%とする。なお、同様の理由により、Mn含有量は、下限を1.2%、上限を1.8%とするのが望ましい。
Cu:0.1〜1.0%
Cuは、マトリックスに固溶して芯材の強度を向上させ、また芯材の電気化学的性質を貴にし、皮材およびろう材との電位差を大きくする作用を有する。Cu含有量が0.1%未満では上記作用が十分に得られず、1.0%を超えると、割れ感受性が高くなり、鋳造性などの製造性が低下する。したがって、Cu含有量を0.1〜1.0%とする。なお、同様の理由により、Cu含有量は、下限を0.2%、上限を0.9%とするのが望ましい。
Si:0.3〜1.0%
Siは、Mnと共存させることによりAl−Mn−Si化合物となって芯材素地中に分散、あるいはマトリックスに固溶して芯材の強度を向上させる作用を有する。また、Mgと同時に含有させることでろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく芯材の強度を向上させる作用を有する。Si含有量が0.3%未満では、上記作用が十分に得られず、1.0%を超えると、芯材の融点を低下させてろう付性の低下を招き、さらに顕著な粒界腐食が発生する。したがって、Si含有量を0.3〜1.0%とする。なお、同様の理由により、Si含有量は、下限を0.4%、上限を0.9%とするのが望ましい。
Fe:0.1〜0.5%
Feは、Al−Fe、Al−Fe−Mn、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を生成し、芯材の強度を向上させる作用を有する。また、Feは、ろう付後の再結晶粒を微細にする作用を有し、強度や成形性を向上する。Fe含有量が0.1%未満では上記作用が十分に得られず、0.5%を超えると巨大晶出物が生成し、鋳造性、圧延性などの製造性が低下する。また、Fe系化合物がカソード反応を促進し、耐食性が低下する。したがって、Fe含有量は0.1〜0.5%とする。なお、同様の理由により、Fe含有量は、下限を0.2%、上限を0.4%とするのが望ましい。
上記芯材は、さらに、Mg:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜0.30%のうち1種または2種を含有することができる。
Mg:0.05〜0.50%
Mgは、Siと同時に含有させることでろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく芯材の強度を向上させる作用を有する。Mg含有量が0.05%未満では上記作用が十分に得られず、0.50%を超えるとろう付時にフラックスと反応し、ろう付け性が低下する。したがって、Mgを含有させる場合、Mg含有量は0.05〜0.50%とする。なお、同様の理由により、Mg含有量は、下限を0.10%、上限を0.45%とするのが望ましく、さらに下限を0.15%、上限を0.40%とするのが一層望ましい。
Ti:0.02〜0.30%
Tiは、AlTiを形成して芯材の強度をさらに高める作用を有する。しかし、Ti含有量が、0.02%未満では上記作用が十分に得られず、0.30%を超えると巨大晶出物が生成し、鋳造性、圧延性などの製造性が低下する。したがって、Tiを含有させる場合、Ti含有量は0.02〜0.30%とする。なお、同様の理由により、Ti含有量は、下限を0.05%、上限を0.20%とするのが望ましい。
不可避不純物としてのZr:0.03%未満
Zrは、ろう付熱処理時の再結晶を遅延させる作用があるので、0.03%未満に規制するのが望ましい。
なお、上記芯材のクラッド率は、特に限定されるものではないが、例えば65〜90%とすることができる。
2.ろう材
Si:5〜12%
Al−Si系合金ろう材のSi量は特に限定されるものではないが、5〜12%を好適例として示すことができる。
通常、ろう付熱処理は約600℃の温度で実施されるが、ろう付でチューブ造管を行なう熱交換器の場合、ろう材中のSi含有量を5〜12%の範囲に制御すると溶融ろうの供給量が最適となり、さらにろう付温度でろう材の一部が固相(初晶)となりろうの流動性が低下し、ろう付の安定性が向上する。ろう材中のSi含有量が5%未満であると、溶融ろうの量が不足するため接合部でろうの充填不良が発生し、一方、Si含有量が12%を超えると、ろう付温度でほとんど全てが液相となり過剰な溶融ろうが供給されてチューブにエロージョンが発生する。したがって、ろう材中のSi含有量を5〜12%とするのが望ましい。同様の理由により、Si含有量は、下限を6%、上限を11%とするのが一層望ましい。
Zn:0.1〜5.0%
ろう材は、残部がAlと不可避不純物からなるものであってもよいが、その他の成分としてZnを0.1〜5.0%含有することができる。Znは、ろう材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果によって芯材に腐食が進行するのを防止する作用を有する。Zn含有量が0.1%未満では上記作用を十分に得ることができず、5.0%を超えると腐食速度が増大し過ぎる。したがって、Znを含有させる場合、Zn含有量は0.1〜5.0%とする。なお、同様の理由により、Zn含有量は、下限を0.5%、上限を3.0%とするのが望ましい。
なお、上記ろう材のクラッド率は、特に限定されるものではないが、例えば5〜15%とすることができる。
3.皮材
皮材にはアルミニウム合金が用いられ、Zr:0.05〜0.3%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するものが用いられる。
上記皮材におけるZrは、皮材の再結晶化を遅延させる作用を有し、600℃のろう付相当熱処理後において亜結晶組織を有する皮材を得ることができる。Zr含有量が0.05%未満では上記作用を十分に得ることができず、0.3%を超えると鋳造性などの製造性が低下する。したがって、Zr含有量を0.05〜0.3%とする。なお、同様の理由により、Zr含有量は、下限を0.10%、上限を0.20%とするのが望ましい。
上記亜結晶組織を有する皮材は、結晶粒が非常に微細であるため、材料のひずみ硬化を抑制することができるとともに、延性が大きく特定部位への応力集中を抑制することができる。したがって、芯材の他方の面にこのような皮材がクラッドされていることにより、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材のろう付後における耐圧強度が向上して優れた低サイクル疲労特性を得ることができる。
皮材の亜結晶組織としては、600℃のろう付相当熱処理後において、隣接する結晶粒間の結晶方位の差が2°以上15°未満であり、かつ結晶粒径が10μm未満の亜結晶粒が全結晶粒の50%以上存在するものであることが好ましい。
上記条件を満たす皮材の亜結晶粒の割合が50%未満となると、ひずみ硬化抑制効果が小さく延性も低下するため皮材に応力集中が生じ、早期に亀裂、破断に至る。より好ましい範囲は亜結晶粒が75%以上である。
なお、「600℃のろう付相当熱処理」における時間は特に規定されるものではないが、1〜10分間加熱するものが挙げられる。
Zn:0.1〜5.0%
Znは、皮材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果によって芯材に腐食が進行するのを防止する作用を有する。Zn含有量が0.1%未満では上記作用を十分に得ることができず、5.0%を超えると腐食減量が増加する。したがって、Znを含有させる場合、Zn含有量は0.1〜5.0%とする。なお、同様の理由により、Zn含有量は、下限を0.5%、上限を4.0%とするのが望ましく、さらに下限を1.0%、上限を3.0%とするのが一層望ましい。
皮材のクラッド率は、特に限定されるものではないが、例えば5〜20%とすることができる。
4.製造方法
芯材素材に対する均質化処理
芯材素材に対しては、クラッド圧延に先立ち、550〜600℃で均質化処理を実施する。均質化処理の保持時間は、特に限定されないが、3〜12時間とすることができる。芯材に対する均質化処理では、金属間化合物の析出粗大化を促進させてろう付時の再結晶を促進させることができる。均質化処理の温度が550℃未満であると、ろう付時の再結晶促進効果が小さい。一方、均質化処理の温度が600℃を超えると、局部溶融を生じる可能性がある。したがって、芯材に対する均質化処理の温度を550〜600℃とする。なお、同様の理由により、芯材に対する均質化処理の温度は、下限を560℃、上限を590℃とするのが望ましい。
皮材素材に対する均質化処理
皮材素材に対しては、クラッド圧延に先立ち、400〜450℃で均質化処理を実施する。均質化処理の保持時間は、特に限定されないが、3〜12時間とすることができる。
皮材に対する均質化処理では、金属間化合物の析出(微細化)を促進させてろう付時の再結晶を遅延させる(亜結晶化させる)ことができる。均質化処理の温度が400℃未満であると、微細析出が不十分で、その後の工程で粗大析出が起こる、一方、均質化処理の温度が450℃を超えると、析出物の微細化が得られない。したがって、皮材に対する均質化処理の温度を400〜450℃とする。なお、同様の理由により、皮材に対する均質化処理の温度は、下限を410℃、上限を440℃とするのが望ましい。
熱間圧延、冷間圧延は常法により行うことができ、本発明としては特にその条件が限定されるものではない。なお、冷間圧延では、中間焼鈍を介在させてもよく、中間焼鈍としては、260〜360℃で3〜8時間の条件を例示することができる。
最終焼鈍
冷間圧延後、クラッド材に対し、200〜280℃の低温で加熱する最終焼鈍を行う。最終焼鈍の保持時間は、特に限定されるものではないが3〜8時間とすることができる。最終焼鈍を実施することにより、芯材を再結晶させ、皮材を亜結晶とすることができる。最終焼鈍の温度が200℃未満であると、芯材まで亜結晶となり、ろう付時に芯材へのろうエロージョンが生じる、一方、最終焼鈍の温度が280℃を超えると皮材が再結晶してしまい所望の効果が得られない。したがって、最終焼鈍の温度を200〜280℃とする。なお、同様の理由により、最終焼鈍の温度は、下限を220℃、上限を260℃とするのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、優れた低サイクル疲労特性を得ることができ、繰り返し負荷に対する耐性に優れた熱交換器が得られる。
本発明の一実施形態の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を示す断面図および熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器用チューブを示す図である。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
芯材用アルミニウム合金として、質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、所望によりMg:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜0.30%の1種または2種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、所望により不可避不純物中のZr含有量を0.03%未満に規制された組成に調製する。
また、ろう材用アルミニウム合金として、Al−Si系合金を調製する。ろう材用アルミニウム合金は、さらに、質量%でZn:0.1〜5.0%を含有するものであってもよい。ろう材用アルミニウム合金としては、例えばJIS A 4343合金、4047合金、また、4045合金、4343合金、4047合金等にZnを含有する合金、またMg、Cu、Li等を含有する合金を用いることができる。
また、皮材用アルミニウム合金として、質量%でZr:0.05〜0.3%を含有し、所望によりZn:0.1〜5.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成に調製する。
上記各アルミニウム合金素材のうち芯材素材に対し、550〜600℃×3〜12時間の均熱処理を施す。また、皮材素材に対し、400〜450℃×3〜12時間の均熱処理を施す。
均熱処理した芯材素材の一方の面にろう材を重ね合わせ、芯材素材の他方の面に皮材素材を重ね合わせて熱間圧延、冷間圧延を行ってクラッドする。
クラッド率は、例えばろう材10%、芯材80%、皮材10%冷間圧延後、200〜280℃×3〜8時間の加熱に最終焼鈍を行う。
上記工程を経ることにより、図1(a)に示すように、芯材2の一方の面にろう材3がクラッドされ、他方の面に皮材4がクラッドされた熱交換器用のアルミニウム合金クラッド材1が得られる。得られたアルミニウム合金クラッド材1では、600℃のろう付相当熱処理後において、皮材4の組織に、隣接する結晶粒間の結晶方位の差が2°以上15°未満であり、かつ結晶粒径が10μm未満の亜結晶粒が全結晶粒の50%以上存在している。
アルミニウム合金クラッド材1は、熱交換器のチューブ、ヘッダ、タンクとして用いることができ、好適には、タンクとして用いることができる。
例えば、図1(b)に示すように、皮材を内側にしてアルミニウム合金クラッド材1を型形状に折り曲げ、それら両側部をろう付により接合した熱交換器用チューブ10が得られる。
半連続鋳造により、芯材用アルミニウム合金、ろう材用アルミニウム合金、および皮材用アルミニウム合金をそれぞれ鋳造した。各アルミニウム合金の組成を表1に示す。なお、芯材用アルミニウム合金の組成および皮材用アルミニウム合金の組成については、残部がAlおよび不可避不純物である。また、ろう材用アルミニウム合金の組成については、表1に示すZnのほかにSiを8質量%含有し、残部がAlおよび不可避不純物である。
上記で得られた芯材素材および皮材素材について、表1に示す条件で均熱処理を実施した。保持時間をいずれも6時間とした。
芯材素材の一方の面にろう材素材を重ね合わせ、芯材素材の他方の面に皮材素材を重ね合わせて、熱間圧延、冷間圧延によりクラッド材とした。クラッド材のクラッド率は、皮材:芯材:ろう材=10%:80%:10%とした。
上記のようにして得られた供試材について、以下の項目について評価を行った。
(ろう付後における皮材中の亜結晶の割合)
供試材に対し600℃、3分のろう付相当熱処理を実施した後、電子線後方散乱回折法(EBSD、Electron BackScatter Diffraction)により、供試材の皮材表面における結晶粒の結晶方位、粒径を測定した。測定結果から、隣接する結晶粒間の結晶方位の差が2°以上15°未満で、かつ結晶粒径が10μm未満の亜結晶粒が全結晶粒に対し占める割合を算出した。なお、EBSDによる測定には、装置名NVision40(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いた。なお、EBSDによる測定は、視野を800μm×800μmとして皮材表面における任意の箇所でN=10視野について行い、亜結晶粒の割合の算出では、各視野について得られた亜結晶粒の割合を平均した。
(疲労強度)
供試材に対し600℃、3分のろう付相当熱処理を実施した後、疲労試験片(JIS Z 2275 1号試験片)を作製した。この試験片を常温にてクラッド材の内面皮材側平坦部に周波数20Hzにて一定応力(70MPa)を繰り返し負荷する片振り平面曲げ疲労試験(JIS Z 2275に準拠)を実施し、クラッド材の破断寿命を測定した。測定された破断寿命が200万回以上を◎と評価し、100万回以上200万回未満を○と評価し、100万回未満を×と評価した。評価結果を表1に示す。
(ろう付性)
上記供試材について、逆T字型流動性試験によりろう付性を評価した。当該クラッド材を垂直材とし、板厚1mmのA3003合金を水平材としてSUSワイヤーにて組み付けて600℃、3分のろう付熱処理を実施した。ろう付熱処理後に垂直材と水平材の接合部にてろう付性良好なものを○と評価し、一部で接合不良(流動ろう不足、エロージョン過多等)を生じるものを△、接合部不十分(流動ろう不足、エロージョン過多等)が著しいものを×と評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006095976
1 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
2 芯材
3 ろう材
4 皮材
10 熱交換器用チューブ

Claims (5)

  1. 質量%で、Mn:1.0〜2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Si:0.3〜1.0%、Fe:0.1〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する合金芯材の一方の面にAl−Si系合金ろう材がクラッドされ、前記芯材の他方の面に質量%でZr:0.05〜0.3%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する皮材がクラッドされており、前記皮材の組織が、600℃のろう付相当熱処理後において、隣接する結晶粒間の結晶方位の差が2°以上15°未満であり、かつ結晶粒径が10μm未満の亜結晶粒が全結晶粒の50%以上存在することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 前記芯材は、さらに、質量%で、Mg:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜0.30%のうち1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記芯材は、前記不可避不純物として含まれるZrの含有量が質量%で0.03%未満に規制されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 前記ろう材と前記皮材の一方または両方に、さらに、質量%でZn:0.1〜5.0%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を製造する方法であって、
    請求項1〜4のいずれかに記載の合金芯材組成を有し、550〜600℃の均質化処理が施された芯材素材の一方の面に、Al−Si系合金ろう材素材を重ね合わせ、前記芯材素材の他方の面に、請求項1、2またはに記載の皮材組成を有し、400〜450℃の均質化処理が施された皮材素材を重ね合わせ、これら重ね合わせ素材に熱間圧延とその後の冷間圧延を行い、その後、200〜280℃で加熱する最終焼鈍を行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の製造方法。
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