JP4030006B2 - アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4030006B2 JP4030006B2 JP2002196729A JP2002196729A JP4030006B2 JP 4030006 B2 JP4030006 B2 JP 4030006B2 JP 2002196729 A JP2002196729 A JP 2002196729A JP 2002196729 A JP2002196729 A JP 2002196729A JP 4030006 B2 JP4030006 B2 JP 4030006B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum alloy
- sacrificial anode
- clad
- brazing
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アルミニウム合金クラッド材、とくに、フッ化物系フラックスを用いるろう付けまたは真空ろう付けにより製造されるラジエータ、ヒータコアなどのアルミニウム合金製熱交換器の流体通路構成部材(チューブまたはヘッダープレート)、もしくはラジエータと接続する配管材として好適に使用されるアルミニウム合金クラッド材、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱交換器、たとえば自動車のラジエータは、外面にフィンを有し内面が冷媒の通路となるチューブおよびヘッダーから構成されている。自動車のラジエータまたはヒータコアなどのチューブ、もしくはヘッダープレートに使用される材料には、JIS A3003 などのAl-Mn 系アルミニウム合金を芯材とし、芯材の片面にAl-Si 系アルミニウム合金のろう材をクラッドした二層構造のアルミニウム合金クラツド材、芯材の両面にろう材をクラッドした三層のアルミニウム合金クラツド材、または芯材の一方の面にろう材を他方の面にAl-Zn 系もしくはAl-Zn-Mg系合金の犠牲陽極材をクラッドした三層構造のアルミニウム合金クラツド材が用いられている。
【0003】
クラッド材のAl-Si 系のろう材は、例えば、自動車のラジエータを製造する時、チューブ外面とフィンとの接合、チューブとヘッダープレートとの接合、またはクラッド材からチューブを製造するときの接合をろう付けにより行うためのものであり、さらにチューブ材を製造する場合には、クラッド材を円筒状に曲げ加工して両縁部をろう付け接合するためのものである。この場合のろう付には、いずれも不活性ガス雰囲気中でフッ化物系フラックスを用いたろう付け、または真空ろう付けが適用される。
【0004】
チューブ内面を構成する犠牲陽極材は、使用中に作動流体と接して犠牲陽極作用を発揮し、芯材の孔食の発生や隙間腐食の発生を防止するためのものであり、チューブ外面に接合されたフイン材は、使用中に犠牲陽極作用を発揮して芯材の孔食を防食する。また、AL-Zn 系犠牲陽極材(チューブ内面)は、実際に使用されるろう付け加熱後(ラジエータを構成するときのろう付け加熱後)には、Znと芯材のCuとが相互拡散することによって犠牲陽極材表面から芯材に向かって電位勾配を有する傾斜材となっている。このような電位勾配を有する傾斜材は、腐食が平面的に進行する全面腐食となり、局部的に深さ方向に進行する孔食の発生を防止することができる。
【0005】
近年、自動車の軽量化に伴い、たとえばラジエータを構成するチューブの薄肉化が要望されており、チューブ素材となるクラッド材の強度および耐食性を改善するための手法が種々提案されている。例えば、チューブ外面は、外面に設けられたフィン材の犠牲陽極作用によって耐食性が確保されるものであり、一般に、フィン材には、JIS A7072 またはA3203 のようにZnを含有したアルミニウム合金が用いられているが、これらのフィン材においても薄肉化に伴う強度向上のため、前記A3203 材のMn含有量を多くしたり、Cu含有量を多くすることが行われている。しかし、この手法では、フィン材の犠牲陽極効果が十分に発揮しないことがある。
【0006】
クラッド材の強度向上の手段として、芯材にMgやCuを添加したり、内皮材または芯材にMgおよびSiを共存させ、Mg2Si 化合物を形成させることにより高強度化を図ることも試みられているが、芯材や犠牲陽極材へのMg添加は、ラジエータの組み付け時の加熱ろう付けをフッ化物系フラックスを使用して行う場合、Mgが加熱ろう付け中にフラックスに拡散してフッ化物系フラックス中のF (フッ素)と反応するため、綿状のMgF2化合物を形成し、このため、加熱ろう付け時に、フラックスによるろう材表面の酸化皮膜除去作用が十分に行われず、ろう付け性を低下させるという問題がある。また、芯材へのCuの添加は、たとえばチューブとした場合、内面の耐食性を低下させるという問題があるため、Cu含有量の上限を規制することが必要となり(特開平6-23535 号公報、参照)、多くのCuを添加する場合には、犠牲陽極材の厚さを大きくする(特開平8-134574号公報、参照)ことが行われている。
【0007】
また、耐食性を改善するための手法として、チューブ内面を冷媒が高速で通過するときに生じるエロージョン・コロージョンを防止したクラッド材として、Al合金芯材のそれぞれの片面に、Znを1.0 〜6.0 %およびMnを0.2 〜2.0 %含有し、残部Alおよびその他不可避不純物からなるAl合金であって、かつ、平均粒径が0.1 〜0.8 μm のAl-Mn 系金属間化合物を数密度2.0 ×109 個/mm3 以上で含有することにより腐食電流値を40μA /cm2 以下とした Al 合金からなる犠牲陽極材と、所定量のSiを含有するAl-Si 系合金ろう材とをクラッドしてなる熱交換器用アルミニウム合金複合材(特開平11-61305号公報参照)が提案されている。
【0008】
また、Mn:0.3 〜2.0 %、Cu:0.25〜1.0 %、Si:0.3 〜1.1 %、Ti:0.05〜0.35%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金芯材に、Zn:1.5 〜8 %、Si:0.01〜0.8 %、Fe:0.01〜0.3 %を含有し、残部Alおよび不純物からなる組成を有し、マトリックス中に存在するSi系化合物とFe系化合物のうち、粒子径が0.1 μm 以上の化合物が、合計数で1mm2あたり2 ×104 個以下である犠牲陽極材をクラッドする熱交換器用高強度高耐食アルミニウム合金クラッド材(特開平11-293372 号公報参照)も提案されている。
【0009】
しかし、特開平11-61305号公報に記載された発明のクラッド材は、犠牲陽極材に粗大(0.1 〜0.8 μm )でマトリックスより貴なSi系化合物やFe系化合物、Mn系化合物が存在すると、この化合物が局部カソードとして作用し、犠牲陽極材(内皮材)の耐食性が劣るため、さらに薄肉化されたチューブを使用する場合、犠牲陽極効果による長寿命化が図り難い。
【0010】
特開平11-293372 号公報に記載されたクラッド材のように、犠牲陽極材としてZn量が多いものを適用する場合、熱間圧廷時の伸び量が非常に大きく、そのためクラッド材とする際、熱間圧延時に犠牲陽極材がろう材に比べて優先的に伸び過ぎ、コイル材(圧延材)の先端および末端では圧延ロール荷重が十分に伝わらず、クラッド材(犠牲陽極材またはろう材と芯材と)の接合性が不十分となる。このため、クラッド材に反りが生じたり、クラッド率にばらつきが生じる。これら圧延不良部を除去するため、製品歩留りが低下する。また、ろう付け性の観点からは、従来のAl-Si 系やAl-Si-Mg系ろう材ではクラッド材の製造過程でろう材中に粗大な共晶Si粒が生成し、この粗大なSi粒が、加熱ろう付け中に、ろう材の溶融を不均一にし、チューブ外面とフィンとの接合、チューブとヘッダープレートとの接合、チューブ自体の接合をろう付け型で行う場合には、チューブ同士の接合を低下させる。
【0011】
本発明者らは、アルミニウム製熱交換器の作動流体通路材料(チューブ材、ヘッダープレート材)に用いられるアルミニウム合金クラッド材における上記従来の問題を解消するために、耐食性、ろう付け性、クラッド性(ろう付け前の圧延加工性)、ろう付け後の強度特性に対する合金成分の影響および合金成分の組み合わせの効果について多角的な検討を行った結果、(1) 犠牲陽極材に、SiおよびFeとともにMnを含有させることにより、高強度を得るだけでなく、Si系化合物、Fe系化合物などの化合物の析出を抑制し、これら化合物の粒径および分布を制御することで、酸性または中性環境下での耐食性を向上させることができること、(2) 犠牲陽極材にMnを含有させることにより、圧延時の変形抵抗を高め、ろう材の変形抵抗と等しくすることで良好なクラッド性が得られること、(3) 従来のAl-Si 系やAl-Si-Mg系ろう材にSrを共存させることによって、粗大なSi粒の生成が抑制されて、ろうの溶融が均一となり、ろうの流動性が向上することで各部の接合不良が改善されることを見出した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、ラジエータ、とくに自動車搭載用のラジエータ、ヒータコアなどのアルミニウム製熱交換器のチューブ材、ヘッダープレート材、配管材として好適に使用することができる耐食性、ろう付け性、クラッド性(ろう付け前の圧延加工性)、ろう付け後の強度特性に優れたアルミニウム合金クラッド材およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の請求項1によるアルミニウム合金クラッド材は、芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にAl-Si 系ろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、芯材がMn:0.6 〜2.0 %、Cu:0.3 〜1.0 %、Si:0.3 〜1.2 %、Ti:0.06〜0.35%、Fe:0.4 %以下を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材がZn:2.0 〜 6.0%、Mn:0.2 〜1.0 %、Si:0.01〜0.4 %、Fe:0.01〜0.3 %を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材のマトリックス中のMn系化合物、Si系化合物およびFe系化合物のうち、粒子径(円相当直径、以下同じ)0.1 μm 以上の化合物粒子が1mm2あたり2 ×106 個以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項2によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1において、前記Al-Si 系ろう材が、Sr:0.005 〜0.1 %を含有することを特徴とする。
【0015】
請求項3によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1または2において、前記犠牲陽極材が、さらに In :0.005 〜0.05%、Sn:0.005 〜0.05%のうち1種または2種を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする。
【0016】
請求項4によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記犠牲陽極材が、さらにMg:3.0 %以下を含有することを特徴とする。
【0017】
請求項5によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記芯材が、さらにMg:0.5 %以下を含有することを特徴とする。
【0018】
請求項6によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記芯材が、さらにCr:0.5 %以下、Zr:0.3 %以下およびB :0.1 %のうちの1種以上を含有することを特徴とする。
【0019】
請求項7によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記犠牲陽極材が、さらにCu:0.2 %以下、Cr:0.3 %以下、Ti:0.3 %以下、Zr:0.3 %以下およびB :0.1 %以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項8によるアルミニウム合金クラッド材の製造方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の芯材用、犠牲陽極材用およびAl-Si 系ろう材用のアルミニウム合金を造塊し、犠牲陽極材用およびろう材用アルミニウム合金鋳塊については所定厚さまで熱間圧延し、ついで、芯材用アルミニウム合金鋳塊の一方の面に犠牲陽極材用アルミニウム合金を、他方の面にろう材用アルミニウム合金を組み合わせて 熱間圧延することによりアルミニウム合金クラッド材を製造する方法であって、犠牲陽極材用アルミニウム合金鋳塊は均質化処理を行わず、均質化処理を行う場合には、均質化処理温度を430 ℃以下、保持時間を10時間以下とすることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、アルミニウム合金からなる芯材の一方の面にアルミニウム合金からなる犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にAl-Si 系ろう材をクラッドした三層構造のアルミニウム合金クラッド材である。以下、犠牲陽極材および芯材の化学組成ならびに犠牲陽極材の化合物粒子分布を規定した理由について説明する。
、化学組成の含有量に付した%は、質量%を示す。
【0022】
1.犠牲陽極材について
Zn:2.0 〜6.0 %
Znは、犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を発揮させる。その結果、芯材の孔食やすき間腐食を防止する。Zn含有量が2.0 %未満ではそれらの効果が小さく、6.0 %を超えると自己耐食性が低下する。したがって、Zn含有量は2.0 〜6.0 %とした。
【0023】
Mn:0.2 〜1.0 %
Mnは、強度を向上させるとともに、クラッド圧延時に犠牲陽極材の変形抵抗を向上させ、クラッド性を改善する効果がある。また、犠牲陽極材中でMn系化合物を形成するので、その化合物粒子の分布を後述するSi系化合物およびFe系化合物粒子の分布とともに調整することによって、腐食形態を変え、芯材の孔食の発生を軽減することができる。犠牲陽極材中の粒子径0.1 μm 以上のこれらの化合物粒子の合計が1mm2当たり2 ×106 個以下であれば、耐自己腐食性が良好となり、犠牲陽極材の表面から芯材に向けて電位勾配が形成され、この電位勾配の形成によって犠牲陽極効果を十分に発揮して芯材の孔食の発生を防止することができる。Mn含有量が0.2 %未満ではその効果は小さく、1.0 %を超えると鋳造時に粗大な化合物が生成し、自己耐食性が低下する。したがって、Mn含有量は0.2 %〜1.0 %とした。
【0024】
Si:0.4 %以下
Siは、犠牲陽極材のマトリックス中にSi系化合物を生成させ、この粒子分布を前述のMn系化合物および後述するFe系化合物粒子の分布とともに調整することによって電位勾配を利用した犠牲陽極効果が有効に作用し、芯材の孔食の発生を防止する。しかし、Si含有量が0.4 %を超えると犠牲陽極材の自己耐食性を低下させるとともに、Si系化合物粒子の数が多くなり、前記犠牲陽極効果が有効に作用しなくなる。また、Si含有量が0.01%未満では地金コストが高くなる。したがって、好ましいSi含有量は、0.01〜0.4 %である。さらに好ましい範囲は、0.01〜0.3 %である。
【0025】
Fe:0.3 %以下
Feは、犠牲陽極材のマトリックス中にFe系化合物を生成させ、この粒子分布を前述のMn系化合物およびSi系化合物粒子の分布とともに調整することによって電位勾配を利用した犠牲陽極効果が有効に作用し、芯材の孔食の発生を防止する。しかし、Fe含有量が0.3 %を超えると犠牲陽極材の自己耐食性を低下させるとともに、犠牲陽極効果が阻害され芯材の孔食の発生を防止することができなくなる。また、0.01%未満では地金コストが高くなり、好ましくない。したがって、好ましいFe含有量は、0.01〜0.3 %である。さらに好ましい範囲は、0.01〜0.2 %以下である。
【0026】
In:0.005 〜0.05%
Inは、必要に応じ添加する元素であり、微量の含有量によって犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を発揮して芯材の孔食またはすき間腐食の発生を防止する。犠牲陽極効果を発揮させるためには、In含有量を0.005 %以上とする必要がある。しかし、0.05%を超えて含有すると自己耐食性および圧延加工性が低下する。したがって、In含有量は0.005 〜0.05%とした。なお、好ましい範囲は、0.01〜0.02%である。
【0027】
Sn:0.005 〜0.05%
Snは、必要に応じ添加する元素であり、微量の含有量によって犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を発揮して芯材の孔食またはすき間腐食の発生を防止する。犠牲陽極効果を発揮させるためには、Sn含有量を0.005 %以上とする必要がある。しかし、0.05%を超えて含有すると自己耐食性と圧延加工性が低下する。したがって、Sn含有量は0.005 〜0.05%とした。さらに好ましい範囲は、0.01〜0.02%である。
【0028】
Mg:3.0 %以下
犠牲陽極材中のMgは、加熱ろう付け中に芯材へ拡散し、芯材中のSiやCuとともに強度を向上させるよう機能する。また、犠牲陽極材に残存したMgはSiとともに強度を高める。これらの効果によりクラッド材の強度が向上する。Mgの好ましい含有量は3.0 以下であり、3.0 %を越えると圧延加工性が低下する。Mgのさらに好ましい含有範囲は0.1 〜3.0 %、最も好ましい含有量は0.5 〜2.5 %の範囲である。
【0029】
Cu:0.2 %以下、Cr:0.3 %以下、Ti:0.3 %以下、Zr:0.3 %以下、B :0.1 %以下
上記の元素は、強度を高めるよう機能するが、Cuが0.2 %を越えると、犠牲陽極材と芯材との間の電位差が十分に確保できず芯材に対する犠牲陽極効果が低下する。Cr、Ti、ZrおよびB がそれぞれ上限を越えると、鋳造時に巨大な化合物が生成して、健全な板材の製造が困難となる。
【0030】
本発明のクラッド材の犠牲陽極材は、ZnのほかにMnを含有させ、クラッド性を改善するとともに、Mn系化合物、Si系化合物およびFe系化合物の粒子分布を調整することによって犠牲陽極効果を十分に発揮させ、芯材に発生する孔食を軽減させるものである。クラッド材の製造において、犠牲陽極用アルミニウム合金の鋳塊については、必ずしも均質化処理を行う必要はなく、合金成分の調整、製造条件の調整により上記化合物粒子分布を得ることが可能であるが、上記の化合物粒子分布を確実に達成するためには、均質化処理を行い、その時の均質化処理温度を430 ℃以下、保持時間を10時間以内とするのが望ましい。均質化処理温度が430 ℃を越えると、犠牲陽極材中の化合物粒子が多くなり、粒子径0.1 μm 以上の化合物粒子の合計が1mm2当たり2 ×106 個を越える化合物分布が生じる。
【0031】
2.芯材について
Mn:0.6 〜2.0 %
Mnは、芯材の強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にして犠牲陽極材との電位差を大きくして犠牲陽極効果を高めるよう機能する。Mn含有量が0.6 %未満ではその効果が得られない。しかし、含有量が2.0 %を超えると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、圧延加工性が低下して健全な板材(芯材)が得られない。したがって、Mn含有量は0.6 〜2.0 %とした。さらに好ましい範囲は1.2 〜1.8 %である。
【0032】
Cu:0.3 〜1.0 %
Cuは、芯材の強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にし、犠牲陽極材のとの電位差、ろう材との電位差を大きくして、犠牲陽極効果を向上させるよう機能する。また、チューブをラジエータとして組み付けるときの加熱ろう付けの際に、Cuが犠牲陽極材およびろう材に拡散して、犠牲陽極材およびろう材の厚さ方向になだらかな濃度勾配を形成させる。この結果、芯材側の電位は貴となり、犠牲陽極材の表面側およびろう材の表面側の電位は卑となって、犠牲陽極材およびろう材の厚さ方向になだらかな電位勾配が形成されるので、腐食形態を全面腐食型にする。Cu含有量が0.3 %未満ではその効果が小さく、1.0 %を超えると芯材の耐食性が低下し、また融点が低下して、加熱ろう付け時に局部的な溶融が生じる。したがって、Cu含有量は0.3 〜1.0 %とした。さらに好ましい範囲は0.4 〜0.7 %である。
【0033】
Si:0.3 〜1.2 %
Siは、芯材の強度を向上させる機能を有する。とくに、チューブをラジエータに組み付けるときの加熱ろう付けの際に、犠牲陽極材にMgが存在する場合、Mgが拡散してSiと共存することによって加熱ろう付け後、時効硬化を生じせしめ強度をさらに高める効果がある。Si含有量が0.3 %未満ではそれらの効果が小さく、1 .2%を超えると耐食性を低下させるとともに、芯材の融点を下げるため加熱ろう付け時に局部的な溶融が生じ易くなる。したがって、Si含有量は0.3 〜1.2 %とした。さらに好ましくは0.6 〜1.1 %である。
【0034】
Ti:0.06〜0.35%
Tiは、板材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状組織を形成する。Ti濃度の低い領域は、高い領域に比べて優先的に腐食するため腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて芯材の孔食の発生を防止する。しかし、Ti含有量が0.06%未満ではこの効果が十分でなく0.35%を超えると鋳造が困難となり、また圧延加工性が劣化して健全な芯材の製造が困難となる。
【0035】
Fe:0.4 %以下
芯材中のFeは、不純物であり、アルミニウム母材(マトリックス)に対してカソードとなって耐食性を低下させる。このため、少なければ少ないほど好ましいが、Fe含有量の低いアルミニウム地金の使用は、コストが高くなり実用的でない。しかし、この発明では、Fe含有量が0.4 %以下であれば許容することができる。したがって、Fe含有量の上限を0.4 %とした。
【0036】
Mg:0.5 %以下
Mgは、芯材の強度を向上させる効果を有するが、加熱ろう付け性を低下させる。特に、フッ化物系フラックスを使用して不活性ガス雰囲気で加熱ろう付けを行う場合、芯材のMg含有量が0.5 %を超えると、Mgがフッ化物系フラックスと反応してフッ化物を生成するため、ろう付け性が低下するとともに、ろう付け部の外観がわるくなる。したがって、Mg含有量は0.5 %以下とした。
【0037】
Cr:0.5 %以下、Zr:0.3 %以下、B :0.1 %以下
上記の元素は強度を向上させるよう機能するが、上記の範囲を越えて含有すると、鋳造時に巨大な晶出物が生成して、健全な板材の製造が困難となる。
【0038】
3.ろう材について
Sr:0.005 〜0.1 %
Srは、ろう材中のSi粒子を微細且つ均一に分散させる作用を有する。Siが微細且つ均一に分散することにより、ろうの溶融が均一となり、ろう付け性が改善される。Srの好ましい含有量は0.005 〜0.1 %の範囲であり、0.005 %未満ではその効果が十分でなく、0.1 %を越えて含有してもその効果が飽和してそれ以上の改善効果が得られない。Srのさらに好ましい含有範囲は0.01〜0.03%である。
【0039】
本発明のろう材としては、Srが含有されている以外は、通常用いられているAl-Si 系合金、たとえば6 〜13%のSiを含むアルミニウム合金が適用される。ラジエータなどに構成するためのろう付けが真空ろう付けである場合には、たとえば、Al-Si-(1.0〜2.0 %)Mg 系合金が用いられる。そのほか、Bi:0.2 %以下、Be:0.1 %以下、Ca:1.0 %以下、Li:1.0 %以下が添加されてもよい。
【0040】
本発明のアルミニウム合金クラッド材は、芯材、犠牲陽極材およびAl-Si 系ろう材を構成するアルミニウム合金を、たとえば、連続鋳造により造塊し、必要に応じて均質化処理後、犠牲陽極材用およびろう材用アルミニウム合金の鋳塊については、それぞれ所定厚さまで熱間圧延し、ついで、芯材用アルミニウム合金鋳塊と、犠牲陽極用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を組み合わせて、常法に従って熱間圧延によりクラッド材とし、その後冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延により所定の厚さとすることによって製造される。
【0041】
【実施例】
連続鋳造により表1に示す化学組成を有する芯材用合金、表2に示す化学組成を有する犠牲陽極材用合金、および表3に示す化学組成を有するろう材用合金の鋳塊を準備し、芯材の鋳塊および犠牲陽極材の鋳塊について均質化処理を行った。その際、犠牲陽極材の鋳塊に対しては、添加元素を完全に固溶させ、析出物化合物粒子の粗大化を抑制するために、均質化処理温度を400 〜430 ℃、保持時間を7 〜10h とするいくつかの条件を選択して均質化処理を行った。なお、クラッド番号35および36のクラッド材については、犠牲陽極材の鋳塊均質化処理温度を450 ℃とし、この温度に10時間保持する条件で均質化処理を行った。表1、表2において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
その後、犠牲陽極材用鋳塊およびろう材用鋳塊を通常の熱間圧延を行った後、芯材用鋳塊と組み合わせて熱間圧延し、三層構造のクラッド材とし、さらに冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延によって厚さ0.20mmのクラッド板材(調質H14 )を作製した。クラッドの構成は、ろう材を0.030mm 、犠牲陽極材を0.025 〜0.05mmとした。
【0046】
得られたクラッド板材について、(1)クラッド性、(2)ろう付け性、(3)引張り強さ、(4)犠牲陽極材の化合物粒子数、(5)犠牲陽極材の耐食性および(6)外面の耐食性を評価した。評価方法は以下のとおりである。
(1)クラッド性
クラッド圧延によって得たクラッド材について健全なクラッド材(割れの有無、クラッド率の均一性など)が得られたかどうかで判断する。健全なクラッド材が得られたものは(○)、得られなかったものは(×)とした。
【0047】
(2)ろう付け性
ろう付け性試験は、図1に示すように、水平材2(JIS A3003 )の上に1本のスペーサーロツド3(ステンレス鋼製、直径3mm )を介してクラツド材1(幅55mm、長さ25mm、厚さ0.20mm)を垂直に傾斜させて固定する。このときクラツド材1の片側は、水平材2の表面に接触し、スペーサーロッドまでの間には間隙が生じている。この状態で、フッ化物フラックスを用いて、窒素ガス中でろう付け温度(材料温度)595 ℃に加熱した後、冷却する。溶融したろうは、図2に符号4として示すように、クラッド材と水平材との間隙に充填される。ろう付け性の評価は、この溶融ろう4の充填長さLを測定しする。判定基準としては、充填長さLが10mm以上をろう付け性良好(○)、10mm未満をろう付け性不良(×)として評価した。
【0048】
(3)引張強さ
上記ろう付け加熱後のアルミ合金クラッド材について引張試験を行った。引張強さが160MPa以上あるものを合格とした。
(4)犠牲陽極材の化合物
犠牲陽極材の化合物粒子径および個数は、透過電子顕微鏡(日本電子(株)製200CX )で、加速電圧条件は200kV で10視野(面積合計0.0002mm2 )観察し、写真を撮影した後、それを画像解析装置によって測定した。
【0049】
(5)犠牲陽極材の耐食性
上記加熱ろう付け後のクラッド犠牲陽極材について以下に示す2種類の腐食試験を実施した。
腐食試験1
腐食液(弱酸性):Cl- :195ppm、SO4 2- :60ppm 、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm
方法:腐食液に浸漬(比液量5ml/cm2)し、88℃で8hr 加熱した後冷却し、25℃×16hr保持するサイクルを6ヶ月間繰り返し試験した。
試験後の試験片の最大腐食深さを測定し、最大腐食深さが0.08mm以下を合格とした。
腐食試験2
腐食液(pH8 ):Cl- :100ppm、SO4 2- :100ppm、HCO3- :100ppm
方法:88℃で加熱した腐食液に336h連続浸漬(比液量5ml/cm2)した。
試験後の試験片の最大腐食深さを測定し、最大腐食深さが0.07mm以下を合格とした。
【0050】
(6)ろう材の腐食試験
図3に示すように、クラッド板材1のろう材側(外面)1−2に、Al−1.2 %Mn−0.15%Cu−1.0 %Zn合金からなる厚さ0.06mmのコルゲートフィン5を乗せ、窒素ガス中で弗化物フラックスを用いてろう付け加熱温度600 ℃でろう付けを行った。得られた試験材の外面をJIS 8681のCASS試験法に基づいて2週間の試験を行い、試験後の試験材のろう材側(外面)の最大腐食深さを測定し、最大腐食深さが0.10mm以下を合格とした。
これらの結果を表4および5にまとめて示す。なお、表4、5において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
表4から明らかなように、クラッド番号1〜26のクラッド材は、いずれも芯材および犠牲陽極材が発明で定める範囲の化学組成を有しているため、クラッド性およびろう付け性が良好であり、加熱ろう付け後の引張り強さは160 〜175MPaの範囲にある。また、犠牲陽極材中の粒子径0.1 μm 以上の化合物粒子の個数が1mm2あたり2 ×106 個以下である組織を有するため、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.08mm以下、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.07mm以下であり、いずれも良好である。
【0054】
これに対し、表5に示すクラッド番号(以下、単に「番号」と記載する)27のクラッド材は、犠牲陽極材のMn含有量が1.2 %と高いため、犠牲陽極材中の粒子径0.1 μm 以上の化合物粒子の1mm2あたりの個数(以下、これを単に「化合物粒子の個数」という)が3 ×106 個と多くなり、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.08mmとなり、耐孔食性が悪い。
【0055】
クラッド番号28のクラッド材は、犠牲陽極材のMn含有量が0.1 %と低いため、加熱ろう付け後の引張り強さが159MPaとなり、加熱による強度の低下が生じた。このため、腐食試験は行わなかった。クラッド番号29のクラッド材は、犠牲陽極材のZn含有量が7.0 %と高いため、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.08mmとなり、耐孔食性が悪い。
【0056】
クラッド番号30のクラッド材は、犠牲陽極材のZn含有量が1.0 %と低いため、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.08mmとなり、耐孔食性が悪い。クラッド番号31のクラッド材は、犠牲陽極材のSi含有量が0.7 %と高いため、犠牲陽極材中の化合物粒子の個数が3 ×106 個と多くなり、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0 .08mm となり、耐孔食性が悪い。
【0057】
クラッド番号32のクラッド材は、犠牲陽極材のFe含有量が0.5 %と高いため、犠牲陽極材中の化合物粒子の個数が3 ×106 個と多くなり、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0 .08mm となり、耐孔食性が悪い。クラッド番号33のクラッド材は、犠牲陽極材のIn含有量が0.1 %と高いため、犠牲陽極材を製造するときの圧延加工性が悪く、健全な犠牲陽極材を製造することができなかった。このため、ろう付け性その他の試験は行わなかった。
【0058】
クラッド番号34のクラッド材は、犠牲陽極材のSn含有量が0.1 %と高いため、犠牲陽極材を製造するときの圧延加工性が悪く、健全な犠牲陽極材およびクラッド材を製造することができなかった。このため、ろう付け性その他の試験は行わなかった。クラッド番号35のクラッド材は、犠牲陽極材鋳塊の均質化処理温度が450 ℃と高いため、犠牲陽極材中の化合物粒子の個数が3 ×106 個と多くなり、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.08mmとなり、耐孔食性が悪い。
【0059】
クラッド番号36のクラッド材は、犠牲陽極材鋳塊の均質化処理温度が450 ℃と高いため、牲陽極材中の化合物粒子の個数が3 ×1 06個と多くなり、犠牲陽極材の弱酸性雰囲気における最大腐食深さは0.09mm、pHが8 である雰囲気における最大腐食深さは0.08mmとなり、耐孔食性が悪い。クラッド番号37のクラッド材は、犠牲陽極材のMg含有量が4.0 %と高いため、圧延加工性が悪く、健全な犠牲陽極材およびクラッド材を製造することができなかった。このため、ろう付け性その他の試験は行わなかった。
【0060】
クラッド番号38のクラッド材は、芯材のMn含有量が2.3 %と高いため、クラッド性が悪く、健全なクラッド材が得られなかった。このため、ろう付け性、その他の試験は行わなかった。クラッド番号39のクラッド材は、芯材のMn含有量が0.4 %と低いため、加熱ろう付け後の引張り強さが159MPaとなり、加熱による強度の低下が生じた。このため、腐食試験は行わなかった。
【0061】
クラッド番号40のクラッド材は、芯材のCu含有量が1.2 %と高いため、加熱ろう付け時に局部溶融が生じ、ろう付け性が悪い。このため、引張試験、その他の試験は行わなかった。クラッド番号41のクラッド材は、芯材のCu含有量が0.1 %と低いため、加熱ろう付け後の引張強さが158MPaと低くなり、腐食試験は行わなかった。
【0062】
クラッド番号42のクラッド材は、芯材のSi含有量が1.3 %と高いため、加熱ろう付け時に局部溶融が生じ、ろう付け性が悪い。このため、引張試験、その他の試験は行わなかった。クラッド番号43のクラッド材は、芯材のSi含有量が0.2 %と低いため、加熱ろう付け後の引張り強さが158MPaと低くなり、腐食試験は行わなかった。
【0063】
クラッド番号44のクラッド材は、芯材のMg含有量が0.60%と高いため、加熱ろう付け時にフッ化物フラックスと反応してフッ化物が生成し、ろう付け性が低下した。このため、引張試験、その他の試験は行わなかった。クラッド番号45のクラッド材は、芯材のTi含有量が0.40%と高いため、圧延加工性が悪く、健全な芯材が得られなかった。このため、ろう付け性、その他の試験は行わなかった。
【0064】
クラッド番号46のクラッド材は、芯材のTi含有量が0.03%と低いため、耐食性が悪く、ろう材の最大腐食深さが0.11mmとなった。クラッド番号47のクラッド材は、芯材のFe含有量が0.5 %と高いため、耐食性が悪く、ろう材の最大腐食深さが0.11mmとなった。
【0065】
【発明の効果】
この発明は、芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にろう材をクラッドした三層構造のアルミニウム合金クラッド材である。これは、犠牲陽極材にMnを含有させることにより、高強度を高めるとともにクラッド性を改善し、さらに化合物の粒子分布を制御することで耐孔食性を向上させている。また、心材のFeおよびMnの含有量を低くすることによって加熱ろう付け性を向上させている。この発明の三層構造のアルミニウム合金クラッド材は、自動車などのラジエータを製造するときの素材として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ろう付け試験での試験前の状態を示す概念図であり、(a) は側面図、(b) は図(a) のA-A 矢視図である。
【図2】ろう付け試験後のろう付け性評価方法を説明する図である。
【図3】クラッド材の表面にコルゲートフィンをろう付けする状態を示す図である。
【符号の説明】
1 クラッド材
2 水平材
3 スペーサーロッド
4 溶融ろう
5 コルゲートフィン
Claims (8)
- 芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にAl-Si 系ろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、芯材がMn:0.6 〜2.0 %(質量%、以下同じ)、Cu:0.3 〜1.0 %、Si:0.3 〜1.2 %、Ti:0.06〜0.35%、Fe:0.4 %以下を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材がZn:2.0 〜 6.0%、Mn:0.2 〜1.0 %、Si:0.01〜0.4 %、Fe:0.01〜0.3 %を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材のマトリックス中のMn系化合物、Si系化合物およびFe系化合物のうち、粒子径(円相当直径、以下同じ)0.1 μm 以上の化合物粒子が1mm2あたり2 ×106 個以下であることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材。
- 前記Al-Si 系ろう材が、Sr:0.005 〜0.1 %を含有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記犠牲陽極材が、さらに In :0.005 〜0.05%、Sn:0.005 〜0.05%のうち1種または2種を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記犠牲陽極材が、さらにMg:3.0 %以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記芯材が、さらにMg:0.5 %以下を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記芯材が、さらにCr:0.5 %以下、Zr:0.3 %以下およびB :0.1 %のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 前記犠牲陽極材が、さらにCu:0.2 %以下、Cr:0.3 %以下、Ti:0.3 %以下、Zr:0.3 %以下およびB :0.1 %以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の芯材用、犠牲陽極材用およびAl-Si 系ろう材用のアルミニウム合金を造塊し、犠牲陽極材用およびろう材用アルミニウム合金鋳塊については所定厚さまで熱間圧延し、ついで、芯材用アルミニウム合金鋳塊の一方の面に犠牲陽極材用アルミニウム合金を、他方の面にろう材用アルミニウム合金を組み合わせて 熱間圧延することによりアルミニウム合金クラッド材を製造する方法であって、犠牲陽極材用アルミニウム合金鋳塊は均質化処理を行わず、均質化処理を行う場合には、均質化処理温度を430 ℃以下、保持時間を10時間以下とすることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002196729A JP4030006B2 (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002196729A JP4030006B2 (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004035966A JP2004035966A (ja) | 2004-02-05 |
JP4030006B2 true JP4030006B2 (ja) | 2008-01-09 |
Family
ID=31704685
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002196729A Expired - Fee Related JP4030006B2 (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4030006B2 (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
PT1730320E (pt) * | 2004-03-31 | 2011-08-24 | Hydro Aluminium Deutschland | Procedimento de fabrico de uma faixa ou chapa de liga de alumínio para permutadores de calor |
JP3869846B2 (ja) * | 2005-03-25 | 2007-01-17 | 神鋼アルコア輸送機材株式会社 | アルミニウム合金板および熱交換器 |
JP4623729B2 (ja) * | 2005-09-27 | 2011-02-02 | 株式会社デンソー | 犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材および熱交換器 |
JP4111456B1 (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート |
JP5188115B2 (ja) * | 2007-07-19 | 2013-04-24 | 古河スカイ株式会社 | 高強度アルミニウム合金ブレージングシート |
JP5188116B2 (ja) * | 2007-07-19 | 2013-04-24 | 古河スカイ株式会社 | 高強度アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法 |
US8142907B2 (en) | 2007-07-19 | 2012-03-27 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | Aluminum alloy brazing sheet having high-strength and production method therefor |
JP5180565B2 (ja) * | 2007-11-28 | 2013-04-10 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート |
JP5279278B2 (ja) * | 2008-01-09 | 2013-09-04 | 住友軽金属工業株式会社 | 熱交換器のチューブ材用ブレージングシート及びそれを用いる熱交換器の製造方法 |
JP5466409B2 (ja) * | 2009-01-22 | 2014-04-09 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
JP5576666B2 (ja) | 2010-02-08 | 2014-08-20 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 |
JP6208450B2 (ja) * | 2013-03-29 | 2017-10-04 | 株式会社Uacj | 耐食性に優れた薄肉熱交換器用アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、前記アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器の製造方法 |
JP5650305B2 (ja) * | 2013-10-30 | 2015-01-07 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
JP5809720B2 (ja) * | 2014-02-20 | 2015-11-11 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002196729A patent/JP4030006B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004035966A (ja) | 2004-02-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3910506B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP4993440B2 (ja) | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 | |
JP5057439B2 (ja) | 耐久性に優れた高強度、高融点熱交換器用アルミニウム合金クラッド材とその製造方法、およびアルミニウム合金製熱交換器 | |
JP4623729B2 (ja) | 犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材および熱交換器 | |
JP4832354B2 (ja) | 耐久性に優れた高強度、高融点熱交換器用アルミニウム合金クラッド材とその製造方法、およびアルミニウム合金製熱交換器 | |
JP4448758B2 (ja) | ろう付け性、耐食性および熱間圧延性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4023760B2 (ja) | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4030006B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP4220410B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP3772017B2 (ja) | 熱交換器用高強度高耐食アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4220411B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4993439B2 (ja) | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 | |
JP5498213B2 (ja) | ろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP4424568B2 (ja) | 造管性および耐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP5632175B2 (ja) | ろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材および熱交換器 | |
JP2004017116A (ja) | ろう付造管チューブ用アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法 | |
JP3345845B2 (ja) | 電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条 | |
JP3968024B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP3222768B2 (ja) | ろう付け性に優れたアルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP3876180B2 (ja) | アルミニウム合金三層クラッド材 | |
JP4424569B2 (ja) | 造管性および耐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
JP5498214B2 (ja) | ろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP3876179B2 (ja) | アルミニウム合金三層構造クラッド材 | |
JP3968023B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP3968025B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050624 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061011 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061019 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20061214 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071010 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071011 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4030006 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131026 Year of fee payment: 6 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |