以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<A.システムの全体構成>
図1を参照して、実施の形態1に従う開閉装置を含む電力制御システムの全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に従う開閉装置500を含む電力制御システム1000の全体構成を示す図である。
図1に示されるように、電力制御システム1000は、高圧系統1と、柱上変圧器2と、低圧系統3と、監視サーバ6と、通信回線7と、無線サーバ9と、需要家100A,100B,100C(以下「需要家100」とも総称する。)と、開閉装置500とを含む。電力制御システム1000は、高圧系統1と、低圧系統3とを含む電力系統から複数の需要家100に供給される電力を制御する。
高圧系統1は、例えば、6.6kVの三相高圧配電線から構成されている。柱上変圧器2は、高圧配電線に印加された6.6kVの高圧電力を、家庭や工場で利用可能な100Vや200Vの低圧電力に変圧する。柱上変圧器2は、例えば、集合住宅の借室電気室の変圧器であってもよい。
低圧系統3は、100Vまたは200Vの低圧配電線から構成されている。低圧系統3は、柱上変圧器2および系統開閉器4を介して高圧系統1に接続されている。また、低圧系統3は、複数の需要家100に接続され、柱上変圧器2を介して高圧系統1から受けた電力をそれぞれの需要家100に供給する。
監視サーバ6は、通信機能を有し、通信回線7および後述する通信子局8を介して制御信号を後述する通信用リレー5に送信する。また、監視サーバ6は、高圧系統1の区間の停電や電圧低下等の異常を監視する。より具体的には、高圧系統1には図示しない電流センサ(または電圧センサ)が設置されており、監視サーバ6は、この電流センサ(または電圧センサ)からの情報(電流、電圧についての情報)に基づいて、高圧系統1の停電および異常などを検出する。監視サーバ6は、例えば、周知のコンピュータで構成されている。典型的には、監視サーバ6は、演算装置、記憶装置、入出力装置などのハードウェア資源を有し、演算装置が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し実行することで、後述する機能を発揮する。
ここで、本例では、複数の需要家100のうち少なくとも1つの需要家は、低圧系統3に系統連系されている分散型電源を有する。より具体的には、需要家として、分散型電源を有する需要家100A,100Cと、分散型電源を有しない需要家100Bとが存在する。
需要家100Aは、スマートメータ12Aと、負荷13Aと、太陽光発電装置14Aと、蓄電池15と、電気自動車16と、パワーコンディショナ17Aとを含む。需要家100Bは、スマートメータ12Bと、負荷13Bとを含む。需要家100Cは、スマートメータ12Cと、負荷13Cと、太陽光発電装置14Cと、パワーコンディショナ17Cとを含む。なお、以下では、スマートメータ12A〜12Cを「スマートメータ12」、負荷13A〜13Cを「負荷13」とも総称する。
スマートメータ12は、開閉器11のすぐ下流に設けられており、負荷13の状況を無線で無線サーバ9を介して監視サーバ6に送信し、監視サーバ6からの指令を受信する。なお、スマートメータ12は、有線で監視サーバ6と情報をやりとりするように構成されていてもよい。また、スマートメータ12は、監視サーバ6からの指令に基づいて、開閉器11(およびコントローラ20)と、パワーコンディショナ17(および負荷13)との間を接続または遮断できるように構成されていてもよい。
負荷13は、例えば、家庭で使用される空調機、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、照明装置またはパーソナルコンピュータのような電気機器である。負荷13には、低圧系統3からの電力、またはパワーコンディショナ17からの電力が供給される。
需要家100Aが有する太陽光発電装置14A、蓄電池15、および電気自動車16の蓄電池は、パワーコンディショナ17Aに接続されている。パワーコンディショナ17Aは、太陽光発電装置14A、蓄電池15、電気自動車16の蓄電池から供給される電力を負荷13Aに供給する。なお、需要家100Aは、蓄電池15、電気自動車16の蓄電池のいずれか一方を有していてもよいし、それぞれ複数台ずつ有していてもよい。また、以下では、蓄電池15、および電気自動車16の蓄電池を単に「蓄電池」とも総称する。
需要家100Cが有する太陽光発電装置14Cは、パワーコンディショナ17Cに接続されている。パワーコンディショナ17Cは、太陽光発電装置14Cから供給される電力を負荷13Cに供給する。
パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、低圧系統3に系統連系されている。パワーコンディショナ17Aは、マスター型であり、パワーコンディショナ17Cは、スレーブ型である。したがって、パワーコンディショナ17Cは、パワーコンディショナ17Aに同期する。パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、分散型電源から供給される電力を制御する。
開閉装置500は、系統開閉器4(第1の開閉器)と、通信用リレー5と、通信子局8と、コントローラ10と、開閉器11A,11B,11C(以下「開閉器11」とも総称する。)と、コントローラ20A,20B,20C(以下「コントローラ20」とも総称する。)とを含む。
系統開閉器4は、柱上変圧器2のすぐ下流に設けられており、柱上変圧器2と低圧系統3との間に接続される。系統開閉器4は、高圧系統1と低圧系統3とを接続または遮断する(切り離す)。系統開閉器4の詳細な構成については後述する。
通信用リレー5は、通信回線7および通信子局8を介して、監視サーバ6からの開閉指令を受けて、柱上変圧器2とコントローラ10とを接続または遮断する。より具体的には、通信用リレー5は、閉路指令に応じて柱上変圧器2とコントローラ10とを接続し、開路指令に応じて柱上変圧器2とコントローラ10とを遮断する。なお、通信用リレー5は、監視サーバ6からの開閉指令を無線サーバ9を介して無線で受け取るように構成されていてもよい。
コントローラ10は、系統開閉器4の一次側(柱上変圧器2側)の電力供給量に基づいて、系統開閉器4の開閉動作を制御する。換言すると、コントローラ10は、高圧系統1から柱上変圧器2を介して受けた電力供給量に基づいて、系統開閉器4の開閉動作を制御する。より具体的には、コントローラ10は、系統開閉器4の一次側から電力供給を受けた(受電した)とき、系統開閉器4を閉路動作させて高圧系統1と低圧系統3とを接続する。コントローラ10は、系統開閉器4の一次側から電力供給を受けていないとき、系統開閉器4を開路動作させて高圧系統1と低圧系統3とを遮断する。また、コントローラ10は、高圧系統1が復電した場合であって、かつ通信用リレー5が柱上変圧器2とコントローラ10とを接続した場合に、系統開閉器4を閉路動作させて高圧系統1と低圧系統3とを接続する。
開閉器11(第2の開閉器)は、需要家100ごとに設けられ、低圧系統3と需要家100との間に接続される。開閉器11は、需要家100と低圧系統3とを接続または遮断する。開閉器11の詳細な構成については後述する。コントローラ20は、需要家100ごとに設けられ、開閉器11の一次側(柱上変圧器2側)の電力供給量と、二次側(需要家100側)の電力供給量とに基づいて、開閉器11の開閉動作を制御する。より具体的には、コントローラ20は、開閉器11の一次側または二次側から電力の供給を受けたとき、開閉器11を閉路動作させて低圧系統3と需要家100とを接続する。コントローラ20は、開閉器11の一次側および二次側のいずれからも電力供給を受けていないとき、開閉器11を開路動作させて低圧系統3と需要家100とを遮断する。
上述した構成は一例であり、複数の需要家100が分散型電源を有しない構成であってもよい。また、分散型電源を有する需要家100が1軒であってもよいし、3軒以上存在する場合であってもよい。また、分散型電源は、太陽光発電装置14に限られず、例えば、風力発電装置、地熱発電装置、マイクロガスタービン(MGT)発電装置、燃料電池発電装置などであってもよい。
<B.回路構成>
(b1.系統開閉器4とその周辺の回路構成)
図2は、実施の形態1に従う系統開閉器4とその周辺の回路構成を示す図である。なお、当該回路構成図は、単線図で示されている。
図2を参照して、系統開閉器4は、投入コイル40と、引き外しコイル41と、主接点42とを含む。系統開閉器4は、一次側(柱上変圧器2側)の配線51および二次側(需要家100側)の配線52に接続されている。主接点42は、高圧系統1と低圧系統3とを接続または遮断する。
系統開閉器4は、主接点42を閉路状態(ON状態)にするON信号を伝送するON信号配線54、および主接点42を開路状態(OFF状態)にするOFF信号を伝送するOFF信号配線55を介してコントローラ10に接続されている。より具体的には、投入コイル40は、ON信号配線54に接続されており、ON信号を受けると励磁され、主接点42を閉路状態にする。引き外しコイル41は、OFF信号配線55に接続されており、OFF信号を受けると励磁され、主接点42を開路状態にする。
系統開閉器4は、例えば、機械ラッチ式の電磁開閉器であり、電磁開閉器に機械ラッチ機構が取り付けられている。系統開閉器4では、投入コイル40が励磁されると、ラッチ機構により主接点42の閉路状態が機械的に保持される。一方、引き外しコイル41が励磁されると、ラッチ機構が外れて主接点42が開路状態になる。これにより、系統開閉器4は、電力を常時消費することがないため、消費電力を抑えることができる。また、系統開閉器4は、電圧変動の影響も受けにくい。なお、電磁開閉器は、サーマルスイッチを含んでいてもよい。
通信用リレー5は、投入コイル43と、引き外しコイル44と、主接点45とを含む。通信用リレー5は、配線51に接続された配線53に接続されている。主接点45は、配線53上に設けられており、柱上変圧器2とコントローラ10とを接続または遮断する。
通信用リレー5は、主接点45を閉路状態にするON信号を伝送するON信号配線56、および主接点45を開路状態にするOFF信号を伝送するOFF信号配線57を介して通信子局8に接続される。より具体的には、投入コイル43は、ON信号配線56に接続されており、ON信号を受けると励磁され、主接点45を閉路状態にする。引き外しコイル44は、OFF信号配線57と接続されており、OFF信号を受けると励磁され、主接点45を開路状態にする。
通信用リレー5は、例えば、機械ラッチ式のリレーである。通信用リレー5では、投入コイル43が励磁されると、ラッチ機構により主接点45の閉路状態が機械的に保持される。一方、引き外しコイル44が励磁されると、ラッチ機構が外れて主接点45が開路状態になる。これにより、通信用リレー5は、系統開閉器4と同様に、電力を常時消費することがないため消費電力を抑えることができるとともに、電圧変動の影響も受けにくい。なお、通信用リレー5は、機械ラッチ式電磁開閉器であってもよい。
コントローラ10は、配線53および通信用リレー5を介して系統開閉器4の一次側の配線51に接続されている。コントローラ10は、ON信号配線54、およびOFF信号配線55に接続されている。
(b2.開閉器11とその周辺の回路構成)
図3は、実施の形態1に従う開閉器11とその周辺の回路構成を示す図である。なお、当該回路構成図は、単線図で示されている。
図3を参照して、開閉器11は、投入コイル46と、引き外しコイル47と、主接点48とを含む。開閉器11は、需要家100ごとに設けられており、一次側(柱上変圧器2側)で配線61に、二次側(需要家100側)で配線62に接続されている。主接点48は、低圧系統3と需要家100(スマートメータ12、負荷13、分散型電源など)とを接続または遮断する。
開閉器11は、主接点48を閉路状態にするON信号を伝送するON信号配線64、および主接点48を開路状態にするOFF信号を伝送するOFF信号配線65を介してコントローラ20に接続されている。より具体的には、投入コイル46は、ON信号配線64に接続されており、ON信号を受けると励磁され、主接点48を閉路状態にする。引き外しコイル47は、OFF信号配線65に接続されており、OFF信号を受けると励磁され、主接点48を開路状態にする。
開閉器11は、例えば、系統開閉器4と同様の機械ラッチ式の電磁開閉器である。開閉器11においては、投入コイル46が励磁されるとラッチ機構により主接点48の閉路状態が機械的に保持され、引き外しコイル47が励磁されるとラッチ機構が外れて主接点48が開路状態になる。これにより、開閉器11は、系統開閉器4と同様に、電力を常時消費することがないため消費電力を抑えることができるとともに、電圧変動の影響も受けにくい。
制御リレー200は、接点201と、操作コイル202とを含む。制御リレー200は、配線61に接続された配線63に接続されている。接点201は、配線63上に設けられており、配線61とコントローラ20とを接続または遮断する。より具体的には、開閉器11の一次側から配線61に電力が供給されている場合には(低圧系統3が停電していない場合)、操作コイル202は、配線61および配線63を介して、当該電力により励磁され、接点201を閉路状態にする。一方、開閉器11の一次側から電力が供給されていない場合には(低圧系統3が停電している場合)、操作コイル202は、励磁されないため接点201を開路状態にする。
制御リレー210は、接点211と、操作コイル212とを含む。制御リレー210は、配線62に接続された配線66に接続されている。接点211は、配線66上に設けられており、制御リレー220とコントローラ20とを接続または遮断する。より具体的には、制御リレー220を介して電力供給されている場合には(すなわち、制御リレー220の接点221が閉路状態であって、かつ開閉器11の二次側(分散型電源または蓄電池)から配線66に電力が供給されている場合)、操作コイル212は、当該電力により励磁され接点211を閉路状態にする。一方、制御リレー220を介して電力供給されていない場合には、操作コイル212は、励磁されないため、接点211を開路状態にする。
制御リレー220は、接点221と、操作コイル222とを含む。制御リレー220は、配線62に接続された配線66、および配線63に接続された配線67にそれぞれ接続されている。接点221は、配線66上に設けられており、開閉器11の2次側の配線62と制御リレー210とを接続または遮断する。また、接点221は、ブレーク接点である。そのため、開閉器11の一次側から配線61に電力が供給されている場合には、操作コイル222は、配線61、配線63および配線67を介して、当該電力により励磁され、接点221を開路状態にする。一方、開閉器11の一次側から配線61に電力が供給されていない場合には、操作コイル222は、励磁されないため、接点221を閉路状態にする。
コントローラ20は、配線63、および制御リレー200を介して開閉器11の一次側の配線61に接続されている。また、コントローラ20は、配線66、制御リレー210、および制御リレー220を介して開閉器11の二次側の配線62に接続されている。コントローラ20は、ON信号配線64およびOFF信号配線65に接続される。
(b3.コントローラ10および20の回路構成)
図4は、実施の形態1に従うコントローラ10および20の回路構成を示す図である。つまり、コントローラ10および20の回路構成が同じである。なお、当該回路構成図は、複線図で示されている。以下では、図2および図4を参照して、コントローラ10と上述した各配線との接続関係の詳細を説明し、図3および図4を参照して、コントローラ10と上述した各配線との接続関係の詳細を説明する。
まず、図4を参照して、コントローラ10および20の回路構成を説明する。コントローラ10および20は、ダイオード71と、抵抗72と、コンデンサ73と、バリスタ74と、接続端子81A,81B(以下、「接続端子81」とも総称する。)と、接続端子82A,82B(以下、「接続端子82」とも総称する。)と、接続端子83と、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86とを含む。以下では、接続端子81A,82Aは、正側の接続端子であり、接続端子81B,82Bは、負側の接続端子であるとする。なお、接続端子の正負は、逆の場合であってもよい。
瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は、リレーあるいは電磁開閉器で構成された接点であり、一定以上の電流が流れると瞬時に開路し、当該電流が流れなくなってから一定時間が経過すると閉路する接点である。一定時間を経過してから閉路するメカニズムとしては、例えば、可動部が流路抵抗をうけ、その流路抵抗を調整することで閉路する時間を調整するものが考えられる。なお、この一定時間は、例えば、0.1秒〜100秒であり、瞬時電圧低下や短時間停電によって瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が閉路しないように設定される。
次に、図2および図4を参照して、コントローラ10と、配線53、ON信号配線54およびOFF信号配線55との接続関係について説明する。コントローラ10において、接続端子81A(正側)は、配線53の正側の配線に接続されており、接続端子81B(負側)は、配線53の負側の配線に接続されている。また、接続端子82A(正側)は、ON信号配線54の正側の配線に接続されており、接続端子82B(負側)は、ON信号配線54の負側の配線、およびOFF信号配線55の負側の配線にそれぞれ接続されている。接続端子83は、OFF信号配線55の正側の配線に接続されている。
次に、図3および図4を参照して、コントローラ20と、配線63、ON信号配線64、OFF信号配線65、および配線66との接続関係について説明する。コントローラ20において、接続端子81は、配線63および配線66に接続される。より具体的には、接続端子81A(正側)は、配線63および配線66の正側の配線に接続されており、接続端子81B(負側)は、配線63および配線66の負側の配線に接続されている。また、接続端子82A(正側)は、ON信号配線64の正側の配線に接続されており、接続端子82B(負側)は、ON信号配線64の負側の配線、およびOFF信号配線65の負側の配線に接続されている。接続端子83は、OFF信号配線65の正側の配線に接続されている。
<C.開閉動作>
(c1.系統開閉器4の開閉動作)
図2および図4を参照して、系統開閉器4の開閉動作について説明する。ここでは、通信用リレー5は、監視サーバ6から指示を受けて、主接点45が閉路状態であるものとする。
通信用リレー5の主接点45が閉路状態であることから、高圧系統1が柱上変圧器2を介して配線51に電力を供給している場合には、コントローラ10は、配線51および配線53を介して、当該電力の供給を受ける。そして、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線54を介して、当該電力により投入コイル40が励磁されるため、主接点42は閉路状態となる。また、接続端子81、ダイオード71、抵抗72を介して、当該電力がコンデンサ73に充電される(電荷が蓄積される)。このとき、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86の開閉動作を行なう操作コイル(図示せず)は、接続端子81A−接続端子81B間から一定以上の電流を受けていることから、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が開路状態になっているため、コンデンサ73の電荷は充電される(放電されない)。なお、バリスタ74は、必要以上の電圧がコンデンサ73に印加されないように電圧を調整する。
停電などにより高圧系統1が柱上変圧器2を介して配線51に電力を供給していない場合には、コントローラ10は、系統開閉器4の一次側から電力供給を受けない。そのため、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86の開閉動作を行なう操作コイルは、一定以上の電流を受けていないため、当該電流を受けなくなってから一定時間T1が経過すると瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は閉路状態となる。そして、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が閉路状態になると、コンデンサ73に充電された電力が接続端子83、およびOFF信号配線55を介して放電される(OFF信号が伝送される)ため、引き外しコイル41が励磁され主接点42は開路状態となる。なお、引き外しコイル41は、コンデンサ73から放電された電流により十分励磁され主接点42を開路状態にできるように構成されている。
(c2.開閉器11の開閉動作)
図3、図4および図5を参照して、開閉器11の開閉動作について説明する。図5は、実施の形態1に従う開閉器11、および制御リレー200,210,220の開閉動作を説明するための図である。
図3、図4および図5を参照すると、開閉器11の一次側から配線63(および配線61)に電力が供給されている場合(供給あり)であって、かつ分散型電源などにより開閉器11の二次側から配線66(および配線62)に電力が供給されていない場合(供給なし)には、操作コイル202が励磁され接点201は閉路状態(ON状態)となり、操作コイル222が励磁され接点221は開路状態(OFF状態)となる。このとき、接点221がOFF状態であるため、接点211もOFF状態となる。そのため、コントローラ20は、配線61および配線63を介して電力供給を受ける。そして、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁されるため、主接点48はON状態となる。また、接続端子81、ダイオード71、抵抗72を介して、電荷がコンデンサ73に蓄積されていく。このとき、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は、OFF状態となっているため、コンデンサ73の電荷は充電される。なお、バリスタ74は、必要以上の電圧がコンデンサ73に印加されないように電圧を調整する。
また、開閉器11の一次側から配線63に電力が供給されていない場合であって、かつ開閉器11の二次側から配線66に電力が供給されている場合には、操作コイル202が励磁されず、接点201はOFF状態となり、操作コイル222が励磁されず、接点221はON状態となる。また、接点221がON状態であるため、配線66を介した開閉器11の二次側(例えば、分散型電源)からの電力により操作コイル212が励磁され、接点211はON状態となる。そのため、コントローラ20は、配線62および配線66を介して電力の供給を受ける。そして、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁されるため、主接点48は閉路状態になり、電荷がコンデンサ73に充電される。
また、開閉器11の一次側から配線63に電力が供給されている場合であって、かつ開閉器11の二次側から配線66に電力が供給されている場合には、操作コイル202が励磁され、接点201はON状態となり、操作コイル222が励磁され、接点221はOFF状態となる。また、接点221がOFF状態であるため、接点211もOFF状態となる。そのため、コントローラ20は、配線61および配線63を介して電力の供給を受ける。また、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁されるため、主接点48は閉路状態になり、電荷がコンデンサ73に充電される。この場合、コントローラ20は、分散型電源または蓄電池による開閉器11の二次側からの電力供給を受けない。
また、開閉器11の一次側から配線63に電力が供給されていない場合であって、かつ開閉器11の二次側から配線66に電力が供給されていない場合には、操作コイル202が励磁されず、接点201はOFF状態となり、操作コイル222が励磁されず、接点221はON状態となる。また、接点221がON状態であるものの開閉器11の二次側から電力が供給されていないため、操作コイル212が励磁されず、接点211はOFF状態となる。すなわち、コントローラ20は、開閉器11の一次側および二次側のいずれからも電力の供給を受けない。そのため、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は、電力の供給を受けなくなってから一定時間T2が経過すると閉路状態となる。そして、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が閉路状態になると、コンデンサ73に充電された電力が接続端子83、およびOFF信号配線65を介して放電されるため、引き外しコイル47が励磁され主接点48は開路状態となる。
なお、上述したように、停電が発生した場合など、コントローラ10または20に電力が供給されなくなると、系統開閉器4および開閉器11は開路状態となる。この場合、一般に下流側の開閉器から開路状態にすることが好ましい。そのため、上流側に設けられた系統開閉器4における、停電が発生してから開路状態になるまでの時間は、下流側に設けられた開閉器11における当該時間よりも長くなるように設定される。より具体的には、系統開閉器4における、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が電力供給を受けなくなってから閉路状態になるまでの時間T1が、開閉器11における当該時間T2よりも長くなるように設定される。
<D.システムの動作>
ここでは、実施の形態1に従う開閉装置500を含む電力制御システム1000の動作について説明する。
(d1.通常時の動作)
まず、電力制御システム1000における通常時の動作について説明する。通常時とは、高圧系統1および低圧系統3が停電しておらず、低圧系統3から需要家100に電力が供給されている場合である。
通常時の電力制御システム1000において、系統開閉器4は閉路状態であるため、柱上変圧器2および系統開閉器4を経由して、高圧系統1から低圧系統3に電力が供給される。さらに、開閉器11は閉路状態であるため、低圧系統3から複数の需要家100に電力が供給される。需要家100が有する負荷13は、供給された電力によって動作する。蓄電池15、または電気自動車16に含まれる蓄電池の充電量が十分でない場合には、これらの蓄電池が充電される。また、太陽光発電装置14で発電された電力は、パワーコンディショナ17Aおよび17Cで直流から交流に変換される。パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、低圧系統3と同期して連系運転する。
(d2.停電時の動作)
次に、実施の形態1に従う開閉装置500を含む電力制御システム1000における停電時の動作について説明する。図6は、実施の形態1に従う開閉装置500を含む電力制御システム1000における停電時の動作を示すフローチャートである。
図6を参照して、高圧系統1が停電すると、低圧系統3に電力が供給されなくなるため、全ての需要家100に電力が供給されなくなり、全ての負荷13の動作が停止する。また、パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、連系運転を停止する。全ての開閉器11は、停電が発生してから時間T1が経過すると自律的に開路動作を行なう(ステップS104)。より具体的には、開閉器11におけるコンデンサ73に充電された電荷よって引き外しコイル47が励磁され、主接点48は開路状態となる。このとき、全ての需要家100は、低圧系統3から切り離される。
次に、系統開閉器4は、停電が発生してから時間T2が経過すると自律的に開路動作を行なう(ステップS106)。より具体的には、系統開閉器4におけるコンデンサ73に充電された電荷より引き外しコイル41が励磁され、主接点42は開路状態となる。このとき、低圧系統3は、高圧系統1から切り離される。
次に、監視サーバ6は、需要家100Aのマスター型のパワーコンディショナ17Aを、連系運転モードから自立運転モードに切り替える(ステップS108)。より具体的には、監視サーバ6は、スマートメータ12Aを介してパワーコンディショナ17Aに指令して当該切り替えを実行する。なお、需要家100のユーザは、監視サーバ6からの当該指令を受けて、手動でモードの切り替えを行なう場合であってもよい。
次に、自立運転モードに切り替わったパワーコンディショナ17Aは、太陽光発電装置14Aで発電した電力を負荷13Aに供給する(ステップS110)。負荷13Aに供給する電力が不足する場合などには、パワーコンディショナ17Aは、蓄電池からの電力を負荷13Aに供給してもよい。
次に、開閉器11Aは、太陽光発電装置14A(または蓄電池)から電力の供給を受けるため、自律的に閉路動作を行なう(ステップS112)。より具体的には、需要家100Aにおいて、配線66、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁され、主接点48が閉路状態となる。このとき、低圧系統3を介して需要家100B、100Cにも当該電力を供給することが可能となる。
次に、開閉器11Bおよび11Cは、低圧系統3から電力の供給を受けるため、自律的に閉路動作を行なう(ステップS114)。そして、需要家100Bの負荷13Bは、低圧系統3から電力の供給を受け、需要家100Cが有するスレーブ型のパワーコンディショナ17Cは、需要家100Aが有するマスター型のパワーコンディショナ17Aと同期して負荷13Cなどに電力を供給する(ステップS116)。このとき、停電して動作停止していた負荷13が再び動作可能となる。したがって、太陽光発電装置14および蓄電池を有さない需要家100Bでも、太陽光発電装置14が発電した電力(または蓄電池からの電力)を利用することができる。
なお、上記において、太陽光発電装置14、および蓄電池により供給可能な電力が、需要家100の負荷13が必要とする電力を下回る場合には、監視サーバ6は、重要な需要家100のスマートメータ12に指示して、開閉器11とパワーコンディショナ17との間を接続させ、他の需要家100のスマートメータ12に指示して、開閉器11とパワーコンディショナ17との間を遮断させてもよい。
また、パワーコンディショナ17Aおよび17Cに通信機能がある場合には、パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、監視サーバ6から各種指令を直接(スマートメータ12を介さずに)受信してもよい。
(d3.停電時から復電時までの動作)
次に、実施の形態1に従う電力制御システム1000における停電時から復電時までの動作について説明する。図7は、実施の形態1に従う開閉装置500を含む電力制御システム1000おける停電時から復電時までの動作を示すフローチャートである。ここでは、上述したように、高圧系統1が停電し、低圧系統3が高圧系統1から切り離され、パワーコンディショナ17A,17Cが自立運転しているものとする。
図7を参照して、監視サーバ6は、通信用リレー5に対して開路指令を行なう(ステップS202)。より具体的には、監視サーバ6は、通信回線7、通信子局8、およびOFF信号配線57を介して、通信用リレー5にOFF信号を伝送する。このとき、通信用リレー5の主接点45は、開路状態となる。通信用リレー5の主接点45を開路状態にしておく理由は、高圧系統1が復電した際に、自律的に高圧系統1から低圧系統3に電力が供給されるのを防ぐためである。これにより、安全確認の後、各需要家100に電力を供給することができる。
次に、監視サーバ6は、高圧系統1が復電したか否かを判断する(ステップS204)。より具体的には、監視サーバ6は、高圧系統1に設置された電流センサ(または電圧センサ)からの信号に基づいて、高圧系統1が復電したか否かを判断する。
高圧系統1が復電していない場合には(ステップS204においてNOの場合)、監視サーバ6は、ステップS204の処理を繰り返す。これに対して、高圧系統1が復電した場合には(ステップS204においてYESの場合)、パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、監視サーバ6からの指示を受けて、自立運転モードを停止する(ステップS206)。
次に、開閉器11は、自律的に開路動作を行なう(ステップS208)。より具体的には、パワーコンディショナ17Aが自立運転を停止することから、需要家100Aでは、太陽光発電装置14A、蓄電池15、または電気自動車16の蓄電池からの電力が開閉器11Aに供給されなくなるため、開閉器11Aは開路動作を行なう。同様に、パワーコンディショナ17Cが自立運転を停止することから、需要家100Cでは、太陽光発電装置14Cからの電力が開閉器11Cに供給されなくなるため、開閉器11Cは開路動作を行なう。その結果、低圧系統3に分散型電源または蓄電池からの電力が供給されなくなるため、需要家100Bの開閉器11Bも開路動作を行なう。
次に、監視サーバ6は、通信用リレー5に対して閉路指令を行なう(ステップS210)。より具体的には、監視サーバ6は、通信回線7、通信子局8、およびON信号配線56を介して、通信用リレー5にON信号を伝送する。このとき、通信用リレー5の主接点45は、閉路状態となるため、コントローラ10は、復電した高圧系統1から柱上変圧器2を介して電力の供給を受けることができる。そして、配線53、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線54を介して、当該電力により系統開閉器4の投入コイル40が励磁されるため、主接点42は閉路状態となる。その結果、電力が高圧系統1から低圧系統3に供給される。
次に、全ての開閉器11は、自律的に閉路動作を行なう(ステップS212)。より具体的には、低圧系統3からの電力により全ての開閉器11の投入コイル46が励磁されるため、主接点48は閉路状態となる。
全ての需要家100の負荷13は、電力の供給を受けて再び動作可能となり(ステップS214)、パワーコンディショナ17Aおよび17Cは、低圧系統3と同期して連係運転する(ステップS216)。
<E.実施の形態の効果>
実施の形態1によると、停電時において、高圧系統と低圧系統との接続、低圧系統と需要家との接続、および自立運転時の需要家間の接続を電力供給の有無(開閉器の一次側および二次側の電圧)に応じて自律的に制御することができる。
また、実施の形態1によると、復電時には、高圧系統と低圧系統との接続に関しては、安全を確保するために監視サーバからの指令を必要とするが、需要家と低圧系統との接続は自律的に制御することができる。なお、高圧系統が復電した後に、自律的に低圧系統に電力が供給されることを防止できるため、安全確認の後、各需要家100に電力を供給することができる。
また、実施の形態1によると、自立運転時、分散型電源を有する需要家の電力を分散型電源を有さない需要家に供給することができる。
また、実施の形態1によると、瞬時電圧低下、短時間停電において開閉器が自律的に開路動作するといった不要動作を防止することができる。
[実施の形態2]
<A.システムの全体構成>
図8を参照して、実施の形態2に従う開閉装置を含む電力制御システムの全体構成について説明する。図8は、実施の形態2に従う開閉装置600を含む電力制御システム1100の全体構成を示す図である。すなわち、実施の形態2に従う電力制御システム1100の全体構成は、実施の形態1に従う電力制御システム1000の全体構成における開閉装置500を開閉装置600に置き換えたものに相当する。
そして、実施の形態2に従う開閉装置600は、実施の形態1に従う開閉装置500に含まれる系統開閉器4、開閉器11(11A,11B,11C)、通信用リレー5を、それぞれ系統開閉器400、開閉器410(410A,410B,410C)、通信用リレー420に置き換えたものに相当する。
したがって、以下では、開閉装置600に含まれる系統開閉器400、開閉器410、およびこれらの周辺回路について説明するが、実施の形態1に従う電力制御システム1000と同じ部分についてはその詳細な説明は繰り返さない。
<B.回路構成>
(b1.系統開閉器400とその周辺の回路構成)
図9は、本実施の形態2に従う系統開閉器400とその周辺の回路構成を示す図である。なお、当該回路構成図は、単線図で示されている。
図9を参照して、系統開閉器400は、投入コイル40と、引き外しコイル41と、主接点42と、補助ブレーク接点303とを含む。すなわち、系統開閉器400は、実施の形態1に従う系統開閉器4に補助ブレーク接点303を追加したものであり、その他の部分は同じである。
補助ブレーク接点303は、配線58上に設けられており、制御リレー300と系統開閉器400の二次側(配線52)とを接続または遮断する。補助ブレーク接点303は、主接点42が開路状態のときに閉路状態となり、主接点42が開路状態のときに閉路状態となる。つまり、補助ブレーク接点303は、主接点42(メーク接点)と逆の開閉状態となる接点である。なお、系統開閉器400の開閉状態とは、主接点42の開閉状態を意味するものとする。
通信用リレー420は、投入コイル43と、引き外しコイル44と、主接点45と、補助ブレーク接点330とを含む。すなわち、通信用リレー420は、実施の形態2に従う通信用リレー5に補助ブレーク接点330を追加したものであり、その他の部分は同じである。
補助ブレーク接点330は、端子331および端子332に接続されており、後述する図10に示す配線63と配線66とを接続または遮断するための接点である。補助ブレーク接点330は、主接点45が開路状態のときに閉路状態となり、主接点45が開路状態のときに閉路状態となる。つまり、補助ブレーク接点330は、主接点45と逆の開閉状態となる接点である。なお、通信用リレー420の開閉状態とは、主接点45の開閉状態を意味するものとする。
制御リレー300は、ブレーク接点301と操作コイル302とを含む。制御リレー300は、系統開閉器400の一次側(または通信用リレー420)とコントローラ10との間に設けられ、配線53上にあるブレーク接点301により、通信用リレー420とコントローラ10とを接続または遮断する。より具体的には、操作コイル302は、配線52、補助ブレーク接点303、配線58を介して系統開閉器400の二次側から供給された電力により励磁された場合にはブレーク接点301を開路状態にし、当該電力が供給されず励磁されない場合にはブレーク接点301を閉路状態にする。そのため、制御リレー300は、系統開閉器400の二次側から電力を受けていない場合には、系統開閉器400の一次側(配線53)とコントローラ10とを接続し、当該電力を受けている場合には系統開閉器400の一次側とコントローラ10とを遮断する。
(b2.開閉器410とその周辺の回路構成)
図10は、実施の形態2に従う開閉器410とその周辺の回路構成を示す図である。なお、当該回路構成図は、単線図で示されている。
図10を参照して、開閉器410は、投入コイル46と、引き外しコイル47と、主接点48と、補助ブレーク接点322とを含む。すなわち、開閉器410は、実施の形態1に従う開閉器11に補助ブレーク接点322を追加したものであり、その他の部分は同じである。
補助ブレーク接点322は、配線325上に設けられており、制御リレー310と開閉器410の二次側(配線62,66)とを接続または遮断する。補助ブレーク接点322は、主接点48が開路状態のときに閉路状態となり、主接点48が開路状態のときに閉路状態となる。つまり、補助ブレーク接点322は、主接点48(メーク接点)と逆の開閉状態となる接点である。なお、開閉器410の開閉状態とは、主接点48の開閉状態を意味するものとする。
制御リレー310は、ブレーク接点314と、操作コイル318とを含む。制御リレー310は、開閉器410の一次側(配線61)と第2のコントローラ20(または制御リレー311)との間に設けられ、配線63上にあるブレーク接点314により、開閉器410の一次側と制御リレー311とを接続または遮断する。より具体的には、操作コイル318は、配線62、補助ブレーク接点322、配線325を介して開閉器410の二次側から電力が供給されて励磁された場合にはブレーク接点314を開路状態にし、当該電力が供給されず励磁されない場合にはブレーク接点314を閉路状態にする。そのため、制御リレー310は、開閉器410の二次側から電力を受けていない場合には、開閉器410の一次側と制御リレー311とを接続し、当該電力を受けている場合には開閉器410の一次側と制御リレー311とを遮断する。
制御リレー311は、メーク接点315と、操作コイル319とを含む。制御リレー311は、制御リレー310(または開閉器410の一次側)とコントローラ20との間に設けられ、配線63上にあるメーク接点315により、制御リレー310とコントローラ20とを接続または遮断する。より具体的には、操作コイル319は、制御リレー310を介して開閉器410の一次側から供給された電力により励磁された場合にはメーク接点を315を閉路状態にし、当該電力が供給されず励磁されない場合にはメーク接点315を開路状態にする。そのため、制御リレー311は、制御リレー310を介して開閉器410の一次側から電力を受けている場合には制御リレー310(または開閉器410の一次側)とコントローラ20とを接続し、当該電力を受けていない場合には制御リレー310とコントローラ20とを遮断する。
制御リレー312は、ブレーク接点316と、操作コイル320とを含む。制御リレー312は、開閉器410の二次側(配線62,66)とコントローラ20(または制御リレー313)との間に設けられ、配線66上にあるブレーク接点316により、開閉器410の二次側と制御リレー313とを接続または遮断する。より具体的には、操作コイル320は、配線63を介して開閉器410の一次側から供給された電力により励磁された場合にはブレーク接点316を開路状態にし、当該電力が供給されず励磁されない場合にはブレーク接点316を閉路状態にする。そのため、制御リレー312は、開閉器410の一次側から電力を受けている場合には開閉器410の二次側と制御リレー313とを接続し、当該電力を受けていない場合には開閉器410の二次側と制御リレー313とを遮断する。
制御リレー313は、限時動作瞬時復帰メーク接点317と、操作コイル321とを含む。制御リレー313は、制御リレー312とコントローラ20との間に設けられ、配線66上にある限時動作瞬時復帰メーク接点317により、制御リレー312とコントローラ20とを接続または遮断する。より具体的には、操作コイル321は、制御リレー312を介して開閉器410の二次側から供給された電力により励磁された場合には限時動作瞬時復帰メーク接点317を閉路状態にし、当該電力が供給されず励磁されない場合には限時動作瞬時復帰メーク接点317を開路状態にする。そのため、制御リレー313は、制御リレー312を介して開閉器410の二次側から電力を受けている場合には制御リレー312(または開閉器410の二次側)とコントローラ20とを接続し、当該電力を受けていない場合には制御リレー312とコントローラ20とを遮断する。なお、限時動作瞬時復帰メーク接点317は、リレーあるいは電磁開閉器で構成された接点であり、一定以上の電流が流れると一定時間遅れて閉路し、当該電流が流れなくなると瞬時に開路する接点である。
また、補助ブレーク接点330が、開閉器410の二次側(配線66)と、コントローラ20との間に設けられる。具体的には、配線66は、通信用リレー420の端子331、補助ブレーク接点330、端子332を介して配線63と接続可能に構成されている。すなわち、補助ブレーク接点330が閉路状態の場合には配線63と配線66とが接続され、補助ブレーク接点330が閉路状態の場合には配線63と配線66とが遮断される。
<C.開閉動作>
(c1.系統開閉器400の開閉動作)
図9、図11および図4を参照して、系統開閉器400の開閉動作について説明する。図11は、実施の形態2に従う系統開閉器400、および制御リレー300の開閉動作を説明するための図である。ここでは、通信用リレー420が監視サーバ6から閉路指示を受けて、主接点45は閉路状態(ON状態)であるものとする。なお、通信用リレー420が監視サーバ6から開路指示を受けて、主接点45が開路状態のときには主接点42は常に開路状態(OFF状態)となる。
まず、系統開閉器400の主接点42の現在の状態(初期状態)がOFF状態の場合(図11:No.1〜No.4)の開閉動作を説明する。この場合、補助ブレーク接点303の初期状態はON状態である。
配線51に電力が供給されていない状態から、高圧系統1から柱上変圧器2を介して配線51に電力が供給された場合であって、かつ分散型電源などにより系統開閉器400の二次側から配線52に電力が供給されていない場合には(図11:No.1)、制御リレー300の操作コイル302は励磁されずブレーク接点301はON状態となる。そのため、コントローラ10は、配線51および配線53を介して電力供給を受ける。そして、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線54を介して、当該電力により投入コイル40が励磁され、主接点42はON状態となる。また、接続端子81、ダイオード71、抵抗72を介して、電荷がコンデンサ73に蓄積される。このとき、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86はOFF状態となっているため、コンデンサ73の電荷は充電される。なお、バリスタ74は、必要以上の電圧がコンデンサ73に印加されないように電圧を調整する。
また、配線51に電力が供給されていない場合であって、かつ(配線52に電力が供給されていない状態から)配線52に電力が供給された場合には(図11:No.2)、操作コイル302は励磁されブレーク接点301はOFF状態となる。この場合、コントローラ10が電力の供給を受けないため、主接点42はOFF状態を維持する。
また、配線51に電力が供給されている場合であって、かつ配線52に電力が供給されている場合には(図11:No.3)、操作コイル302は励磁されブレーク接点301はOFF状態となる。この場合も、コントローラ10が電力の供給を受けないため、主接点42はOFF状態を維持する。
また、配線51に電力が供給されていない場合であって、かつ配線52に電力が供給されていない場合には(図11:No.4)、操作コイル302は励磁されブレーク接点301はON状態となるが、そもそも配線51に電力が供給されていないことから、コントローラ10が電力の供給を受けず、主接点42はOFF状態を維持する。
次に、系統開閉器400の主接点42の現在の状態(初期状態)がON状態の場合(図11:No.5、6)の開閉動作を説明する。このとき、補助ブレーク接点303の初期状態はOFF状態である。この場合、系統電源と分散型電源とが同期して動作しているため、分散型電源の充電、停電状態は、低圧系統3の充電、停電状態と一致する。したがって、系統開閉器400の主接点42がON状態のときには、系統開閉器400の一次側、二次側がともに充電状態(電力が供給される状態)、または系統開閉器400の一次側、二次側がともに停電状態(電力が供給されない状態)の2種類の場合が考えられる。
まず、配線51に電力が供給されている場合であって、かつ配線52に電力が供給されている場合には(図11:No.5)、補助ブレーク接点303がOFF状態であるから操作コイル302は励磁されず、ブレーク接点301はON状態となる。この場合、コントローラ10が電力の供給を受けるため、主接点42はON状態を維持する。
また、配線51に電力が供給されている状態から、停電などにより配線51に電力が供給されなくなった場合であって、かつ配線52に電力が供給されなくなった場合には(図11:No.6)、操作コイル302は励磁されずブレーク接点301はON状態となるが、そもそも配線51に電力が供給されていないため、コントローラ10が電力の供給を受けない。したがって、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86の開閉動作を行なう操作コイルは、一定以上の電流を受けていないため、当該電流を受けなくなってから一定時間T1が経過すると瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は閉路状態となる。そして、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が閉路状態になると、コンデンサ73に充電された電力が接続端子83、およびOFF信号配線55を介して放電される(OFF信号が伝送される)ため、引き外しコイル41が励磁され主接点42はOFF状態となる。なお、引き外しコイル41は、コンデンサ73から放電された電流により十分励磁され主接点42を開路状態にできるように構成されている。
以上より、系統開閉器400の初期状態がOFF状態(主接点42がOFF状態)の場合には、コントローラ10は、系統開閉器400の一次側(配線51)に電力が供給され、かつ二次側(配線52)に電力が供給されていないときに系統開閉器400を閉路動作させ、系統開閉器400の二次側に電力が供給されているときに系統開閉器400のOFF状態を維持する。また、系統開閉器400の初期状態がON状態(主接点42がON状態)の場合には、コントローラ10は、系統開閉器400の一次側に電力が供給されているときに系統開閉器400の閉路状態を維持する。そして、系統開閉器400の初期状態に関わらず(ON状態であってもOFF状態であっても)、コントローラ10は、系統開閉器400の一次側に電力が供給されていない場合には系統開閉器400を開路動作させる。
上記開閉動作によると、系統開閉器400の初期状態がOFF状態であり、柱上変圧器2を介して供給される一次側の電力と、分散型電源から供給される二次側の電力との同期がとれていないときには、二次側に電力が供給されていれば系統開閉器400はON状態にはならない。したがって、柱上変圧器2を介して供給される一次側の電力および分散型電源から供給される二次側の電力の位相が合っておらず同期がとれていない場合に、これらの電力が重なることにより電流、電圧がひずみ、負荷が正常に動作しないという事態を回避することができる。
(c2.開閉器410の開閉動作)
図10、図12および図4を参照して、開閉器410の開閉動作について説明する。図12は、実施の形態2に従う開閉器410、および制御リレー310,311,312,313の開閉動作を説明するための図である。
まず、開閉器410の主接点48の現在の状態(初期状態)がOFF状態の場合(図12:No.1〜No.4)の開閉動作を説明する。この場合、補助ブレーク接点322の初期状態はON状態となる。
開閉器11の一次側(配線61)に電力が供給されていない状態から、配線61に電力が供給された場合であって、かつ分散型電源などにより開閉器11の二次側から配線62に電力が供給されていない場合には(図12:No.1)、操作コイル318が励磁されずブレーク接点314はON状態となる。このとき、操作コイル319は配線61,63および制御リレー310を介して電力を受けて励磁され、メーク接点315はON状態となる。また、配線63から電力を受けて操作コイル320が励磁されブレーク接点316はOFF状態となるため、操作コイル321は励磁されず限時動作瞬時復帰メーク接点317はOFF状態となる。すなわち、コントローラ20は、配線63を介して電力供給を受ける。接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁されるため、主接点48はON状態となる。接続端子81、ダイオード71、抵抗72を介して、電荷がコンデンサ73に蓄積されていく。このとき、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は、OFF状態となっているため、コンデンサ73の電荷は充電される。なお、バリスタ74は、必要以上の電圧がコンデンサ73に印加されないように電圧を調整する。
また、配線61に電力が供給されていない場合であって、かつ(配線62に電力が供給されていない状態から)配線62に電力が供給された場合には(図12:No.2)、配線325から電力を受けて操作コイル318が励磁され、ブレーク接点314はOFF状態となるため、操作コイル319は励磁されずメーク接点315はOFF状態となる。また、操作コイル320が励磁されないためブレーク接点316はON状態となるから、配線62を介して受けた電力により操作コイル321が励磁され、限時動作瞬時復帰メーク接点317は一定時間経過後にON状態となる。さらに、通信用リレー420の主接点45がOFF状態、すなわち補助ブレーク接点330がON状態の場合には、端子331、補助ブレーク接点330、端子332を介して配線66からコントローラ20に電力が供給される。この場合、接続端子81、接続端子82、およびON信号配線64を介して、当該電力により投入コイル46が励磁されるため、主接点48は一定時間経過後にON状態になり、電荷がコンデンサ73に充電される。
また、配線61に電力が供給された場合であって、かつ配線62に電力が供給された場合には(図12:No.3)、配線325から電力を受けて操作コイル318が励磁され、ブレーク接点314はOFF状態となるため、操作コイル319は励磁されずメーク接点315はOFF状態となる。また、配線61を介して受けた電力により操作コイル320が励磁されるため、ブレーク接点316はOFF状態となるから、操作コイル321が励磁されず限時動作瞬時復帰メーク接点317はOFF状態となる。すなわち、コントローラ20は、開閉器410の一次側および二次側のいずれからも電力の供給を受けない。そのため、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86は、電力の供給を受けなくなってから一定時間T2が経過すると閉路状態となる。そして、瞬時動作限時復帰ブレーク接点86が一定時間経過して閉路状態になると、コンデンサ73に充電された電力が接続端子83、およびOFF信号配線65を介して放電されるため、引き外しコイル47が励磁され主接点48はOFF状態を維持する。ここで、配線66に電力が供給されている場合(すなわち、二次側から電力が供給されている場合)には、系統開閉器400が開路動作することから配線63に電力が供給されることはないが、万が一、配線63に電力が供給された場合であっても開閉器410は開路動作するように構成されている。
また、配線61に電力が供給されていない場合であって、かつ配線62に電力が供給されていない場合には(図12:No.4)、操作コイル318は励磁されずブレーク接点314はON状態となるが、配線61に電力が供給されていないため操作コイル319は励磁されずメーク接点315はOFF状態となる。また、操作コイル320は励磁されずブレーク接点316はON状態となるが、配線62に電力が供給されていないため操作コイル321は励磁されず限時動作瞬時復帰メーク接点317はOFF状態となる。そのため、コントローラ20は電力の供給を受けないため、主接点48はOFF状態を維持する。
次に、開閉器410の主接点48の初期状態がON状態の場合(図12:No.5〜7)の開閉動作を説明する。この場合、補助ブレーク接点322の初期状態はOFF状態となる。この場合、系統電源と分散型電源とが同期して動作するため、分散型電源の充電、停電状態は、低圧系統3の充電、停電状態と一致する。したがって、開閉器410の主接点48がON状態のときには、開閉器410の一次側、二次側ともに充電状態(電力が供給される状態)、または開閉器410の一次側、二次側ともに停電状態(電力が供給されない状態)の2種類の場合が考えられる。
まず、配線61に電力が供給されている場合であって、かつ配線62に電力が供給された場合(図12:No.5)、および配線61に電力が供給された場合であって、かつ配線62に電力が供給されている場合(図12:No.6)には、操作コイル318は励磁されずブレーク接点314はON状態となり、配線61からの電力によりメーク接点315はON状態となる。また、配線61を介して受けた電力により操作コイル320が励磁されてブレーク接点316はOFF状態となるため、操作コイル321が励磁されず限時動作瞬時復帰メーク接点317はOFF状態となる。コントローラ20は、配線63を介して電力供給を受けるため、主接点48のON状態が維持される。
また、配線61に電力が供給されなくなった場合であって、かつ配線62に電力が供給されなくなった場合には(図12:No.7)、操作コイル318は励磁されずブレーク接点314はON状態となるが、配線61に電力が供給されないためメーク接点315はOFF状態となる。また、操作コイル320が励磁されないため、ブレーク接点316はON状態となるが、配線61に電力が供給されないため限時動作瞬時復帰メーク接点317はOFF状態となる。すなわち、コントローラ20は、開閉器410の一次側および二次側のいずれからも電力の供給を受けず、主接点48はOFF状態を維持する。
以上より、開閉器410の初期状態がOFF状態(主接点48がOFF状態)の場合には、コントローラ20は、開閉器410の一次側(配線61)および二次側(配線62)のいずれか一方に電力が供給されているときに開閉器410を閉路動作させ、開閉器410の一次側および二次側に電力が供給されているときに開閉器410の開路状態を維持する。また、開閉器410の初期状態がON状態(主接点48がON状態)の場合には、コントローラ20は、開閉器410の一次側および二次側の少なくとも一方に電力が供給されているときに開閉器410の閉路状態を維持する。そして、開閉器410の初期状態に関わらず(ON状態であってもOFF状態であっても)、コントローラ20は、開閉器400の一次側および二次側のいずれからも電力が供給されていない場合には開閉器410を開路動作させる。
上記開閉動作によると、初期状態で開閉器410がOFF状態であり、低圧系統3から供給される一次側の電力と、分散型電源から供給される二次側の電力との同期がとれていないときには、二次側に電力が供給されていれば開閉器410は閉路動作しない(ON状態にならない)。したがって、低圧系統3から供給される一次側の電力および分散型電源から供給される二次側の電力の位相が合っておらず同期がとれていない場合に、これらの電力が重なることにより電流、電圧がひずみ、負荷が正常に動作しないという事態を回避することができる。
また、配線66と配線63とが、通信用リレー420の補助ブレーク接点330を介して接続可能に構成されていることから、補助ブレーク接点330がON状態(主接点45がOFF状態)、すなわち、系統開閉器400の主接点42がOFF状態でなければ、開閉器410の二次側から電力は供給されない。したがって、一次側の系統電源の電力と二次側の分散型電源の電力との同期の不一致状態をより確実に回避することができる。
さらに、限時動作瞬時復帰メーク接点317は、電力の供給を受けてから一定時間が経過して閉路状態になるように制御できる。そのため、マスター型のパワーコンディショナ17Aに接続された分散型電源から先に電力を供給し、少し時間を経過して当該分散型電源に同期してスレーブ型のパワーコンディショナ17Cに接続された分散型電源から電力を供給することができる。この場合、マスター型のパワーコンディショナ17Aを備える需要家100Aに接続された開閉器410AのOFF状態からON状態になるまでの時間が、スレーブ型のパワーコンディショナ17Cを備える需要家100Cに接続された開閉器410Cの当該時間よりも短くなるように設定される。具体的には、開閉器410Aに対応する限時動作瞬時復帰メーク接点317が電力の供給を受けて閉路状態になるまでの時間が、開閉器410Cに対応する当該時間よりも短くなるように設定される。
<D.システムの動作>
ここでは、本実施の形態2に従う開閉装置600を含む電力制御システム1100の動作について説明する。
実施の形態2に従う電力制御システム1100における「通常時の動作」および「停電時から復電時までの動作」は、上述した実施の形態1に従う電力制御システム1000と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。ここでは、実施の形態2に従う電力制御システム1100における「停電時の動作」について説明する。
図13は、実施の形態2に従う開閉装置600を含む電力制御システム1100における停電時の動作を示すフローチャートである。
ステップS204、S206、S208〜S216の各処理は、ステップS104、S106、S108〜S116(図6)の各処理における系統開閉器4、開閉器11を、それぞれ系統開閉器400、開閉器410に置き換えたものに相当するため、その詳細な説明は繰り返さない。すなわち、実質的には、電力制御システム1100における停電時の動作は、ステップS206の処理およびステップS208の処理の間に、ステップS207の処理を有する点において電力制御システム1000における停電時の動作と異なる。
ステップS207では、監視サーバ6が、通信用リレー420に対して開路指令を行なう。なお、通信用リレー420は、その近傍にバッテリ(図示しない)が設置されており、停電時でも動作可能である。
<E.実施の形態の効果>
実施の形態2によると、さらに以下のような効果がある。
系統電源(一次側)から供給される電力および分散型電源(二次側)から供給される電力の同期がとれていない状態で、それらの電力が重なることにより負荷が正常に動作しないという事態を防ぐことができる。
一次側の系統電源の電力と二次側の分散型電源の電力との同期の不一致状態を確実に回避することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。