JP6093170B2 - ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤及びそれを用いたラッピング方法 - Google Patents

ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤及びそれを用いたラッピング方法 Download PDF

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本発明は、ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤及びそれを用いたラッピング方法に関する。
半導体ウエハの製造では、ウエハに用いるSiやSiCの円柱状単結晶(インゴット)をスライスすることで円盤状に切り出す。次に、スライスした円盤状単結晶の表面を平坦化するが、まずは、その表面の粗さを大まかに取り除くための、ラッピング定盤を用いてラッピング加工を行う。その後、円盤状単結晶の表面の平坦性を更に向上させ、かつ、表面の微細な傷を除去して鏡面化するためのポリシング加工を行う。したがって、ラッピング加工により円盤状単結晶表面の平坦性を高め、かつ微細な傷を少なくすることは、その後のポリシング加工に影響を与えるために重要である。
従来、SiC等の化合物半導体ウエハの材質は硬質であって研削し難いため、そのラッピング加工には、鋳鉄及びセラミック基板等の硬度の高いラッピング定盤が用いられている。また、近年では、円盤状単結晶表面の平坦性を高め、かつ微細な傷を少なくするために、銅、樹脂銅及び錫等の金属系定盤を用い、その定盤とダイヤモンド砥粒とを組み合わせたラッピング加工(以下、「ダイヤモンドラッピング」ともいう。)が採用されている。銅、樹脂銅及び錫等などの定盤は、鋳鉄等よりも軟質であり、ダイヤモンド砥粒を遊離砥粒の状態で用いても、その砥粒が定盤表面に埋め込まれるため、固定砥粒と同様の作用効果を発揮する(例えば、特許文献1参照)。
また、銅や錫よりもダイヤモンドとの親和性が高く、ダイヤモンド砥粒のグリッピング力が大きい金属として、純度の高い鉄を用いる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−61961号公報 特開2005−131755号公報
しかしながら、従来の金属系定盤は、軟質といっても限度があるため、その定盤に埋め込まれないダイヤモンド砥粒が多くなり、被研磨物である円盤状単結晶と定盤との間で砥粒が転動しやすくなる。また、ダイヤモンド砥粒が定盤に十分に埋め込まれないため、定盤表面から砥粒の一部が大きく突出してしまう。さらには、金属系定盤は弾性が不十分である。これらの結果、ラッピング加工の間にダイヤモンド砥粒と円盤状単結晶とが接触した際、被研磨物である円盤状単結晶に深い傷を生じやすくなり、円盤状単結晶の被研磨面付近に厚い加工変質層を形成しやすくなる。この加工変質層は、通常、その後のポリシング加工により除去されるが、円盤状単結晶の傷が深いと、加工変質層が部分的に厚くなり、その除去に時間を要するため、生産効率を阻害する要因となり、また最終的に得られるウエハの品質にも影響を与える。また、砥粒が転動すると定盤の磨耗が早くなるため、定盤の寿命が短くなる。
したがって、円盤状単結晶の表面の傷を少なくし、言い換えれば、加工変質層の厚さを薄くし、しかも、定盤の寿命が長くなるラッピング加工が望まれている。
その一方で、加工変質層の厚さが薄くても、いわゆるロールオフ(外周ダレ)が生じてしまっては、優れたラッピング加工とはいえない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被研磨物の加工変質層の厚さを薄くし、しかもロールオフをも抑制するダイヤモンドラッピング用の定盤、及び、その定盤を用いたラッピング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属系定盤よりも軟質でかつ弾性を有する特定の樹脂定盤により、被研磨物にラッピング加工を施すことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱硬化性ポリウレタン樹脂を含み、空隙率が0〜20%であり、かつショアD硬度が50°以上である樹脂シートを備え、熱硬化性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマと、ポリアミン化合物及びポリオール化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物との反応生成物であり、イソシアネート末端ウレタンプレポリマのNCO当量は、190〜500である、ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤を提供する。かかる樹脂定盤は、金属系定盤よりも軟質であるため、微粒子状のダイヤモンド砥粒を容易にその研磨面に埋め込むことができる。そのため、ダイヤモンド砥粒の転動、及び、定盤の研磨面に埋め込まれたダイヤモンド砥粒の一部が大きく突出することを抑制できるので、被研磨物の加工変質層の厚さを薄くできる。また、ダイヤモンド砥粒の転動を抑制できるので、定盤の摩耗も抑制でき、その結果、定盤の寿命も長くなる。さらには、軟質といっても適度に高い硬度を有しているため、ロールオフの発生を十分に抑制することができる。
本発明の樹脂定盤において、熱硬化性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマと3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの反応により生成した熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むと好ましく、イソシアネート末端ウレタンプレポリマと、有機溶媒に溶解した3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの反応により生成した熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むとより好ましい。また、有機溶媒は、ジオール化合物を含むと好ましい。さらには、本発明の樹脂定盤において、樹脂シートは研磨面を有し、その研磨面に溝が形成されていると好ましく、研磨面側からダイヤモンド砥粒が樹脂シートに埋め込まれていると好ましい。
本発明は、ダイヤモンド砥粒の存在下、上記ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤により被研磨物にラッピング加工を施すラッピング方法を提供する。被研磨物は、SiC単結晶であると好ましく、ダイヤモンド砥粒は、研磨スラリに含まれた状態で、ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤と被研磨物との間に供給されると好ましく、ダイヤモンド砥粒の少なくとも一部は、ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤に、その研磨面側から埋め込まれていると好ましい。
本発明によれば、被研磨物の加工変質層の厚さを薄くし、しかもロールオフをも抑制するダイヤモンドラッピング用の定盤、及び、その定盤を用いたラッピング方法を提供することができる。
本発明のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤の一例を模式的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤(以下、単に「樹脂定盤」という。)は、熱硬化性ポリウレタン樹脂を含み、空隙率が0〜20%であり、かつショアD硬度が50°以上である樹脂シートを備える。図1は、本実施形態の樹脂定盤を模式的に示す断面図である。本実施形態の樹脂定盤100は、樹脂シート110と、研磨面S側から樹脂シート110に埋め込まれたダイヤモンド砥粒120とを備える。また、樹脂定盤100の研磨面Sには溝130が形成されている。なお、本明細書において「ラッピング」とは、JIS−H0211(1992)に定義されたラッピングを意味する。
樹脂シート110は、弾性を示すものであり、研磨面Sを有する。樹脂シート110は熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むものであり、その含有割合は、樹脂シート110を構成する樹脂の全体量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%であることが特に好ましい。樹脂シート110は、熱硬化性ポリウレタン樹脂以外の熱硬化性樹脂やその他の樹脂を、本発明の目的達成を阻害しない範囲で含んでもよい。
熱硬化性ポリウレタン樹脂としては、例えば、熱硬化性の、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
熱硬化性ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。
樹脂シート110は、好ましくは、イソシアネート基含有化合物を主成分としており、ラッピング加工時に被研磨物の被研磨面(加工面)に当接し得る研磨面Sを有している。樹脂シート110は、イソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを混合した混合液から形成された熱硬化性ポリウレタン樹脂成形体にスライス処理やバフ等の表面研削処理を施すことで形成される。
本実施形態に係る樹脂シート110の厚さは特に限定されないが、0.5〜20.0mmであると好ましい。厚さが上記下限値以上であることにより、樹脂定盤の寿命が長くなる効果をより有効かつ確実に奏することができ、上記上限値以下であることにより、より有効かつ確実に取り扱いやすくなる。
本実施形態に係る樹脂シート110は、空隙率が0〜20%であり、0〜15%であると好ましく、0〜10%であるとより好ましい。空隙率が20%以下であることにより、樹脂シート110の硬さを維持でき、しかもロールオフ(外周ダレ)を低減できる。樹脂シート110の空隙率は、例えば、樹脂を製造する際の気体の混入量を調整することにより制御することができる。樹脂シート110の空隙率は、樹脂シート110を構成する各成分の真密度とそれらの成分の配合割合から算出できる樹脂シート110の真密度(理論密度)と、樹脂シート110のかさ密度とから、下記式によって算出することができる。
空隙率=(1−(かさ密度/真密度))×100
本実施形態に係る樹脂シート110は、ショアD硬度が50°以上であり、60°以上であると好ましく、70°以上であるとより好ましい。ショアD硬度が50°以上であることにより、ラッピング加工により被研磨物にロールオフ(外周ダレ)が生じるのを有効かつ確実に防止することができる。これは、ショアD硬度が50°以上であると、ラッピング加工の際に樹脂定盤を被研磨物に対して過剰に摺動しなくても、被研磨物の表面を適切に研磨することが可能になるため、過剰な摺動によるロールオフを抑制できることに因る。ショアD硬度の上限は特に限定されないが、本発明の目的をより確実に達成する観点から、例えば80°であってもよい。樹脂シート110のショアD硬度は、例えば、イソシアネート末端ウレタンプレポリマのNCO当量を調整することにより制御することができる。ショアD硬度は、JIS−K6253(2012)に準拠して測定される。
樹脂シート110の圧縮率は、1.5%以下であると好ましく、1.2%以下であるとより好ましい。圧縮率が上記上限値以下であることにより、ロールオフをより有効かつ確実に低減することができる。樹脂シート110の圧縮率は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマのNCO当量及び/又は空隙率を調整することにより制御することができる。圧縮率はJIS−L1021に準拠して、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて求められる。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt1を測定し、次に最終圧力の下で5分間放置後の厚さt2を測定する。これらから、圧縮率を下記式:
圧縮率(%)=(t1−t2)/t1×100
から算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2とする。
研磨面Sには、溝130が形成されている。この溝130は、ダイヤモンド砥粒をより有効かつ確実に研磨面S上に留めたり、ラッピング加工時に発生する研磨屑をより確実に排出したりするために設けられる。溝130の平面形状(図1の上側から見た形状)としては、例えば、螺旋状、同心円状、放射状及び格子状が挙げられ、これらのうち2種以上を組み合わせたものであってもよい。これらの中では、供給されたダイヤモンド砥粒をより効率的に樹脂定盤100の研磨面S全体に分散させる観点、及び、研磨屑をより速やかに系外に排出する観点から、平面形状は螺旋状であると好ましい。また、溝130の断面形状は、図1に示すようにV字状であってもよく、あるいは、矩形状、U字状又は半円状であってもよい。
溝130の深さは、0.3〜3.0mmであると好ましく、0.5〜2.0mmであるとより好ましい。溝130の深さが上記下限値以上であることにより、スラリの循環性を向上することができると共に樹脂定盤の寿命をも向上することが可能となり、上記上限値以下であることにより、強度維持の効果をより有効かつ確実に奏することができる。また、溝130の幅は、0.3〜3.0mmであると好ましく、0.5〜2.0mmであるとより好ましい。さらには、溝130のピッチ(隣り合う溝の幅方向中央同士の距離)は、0.6〜6.0mmであると好ましく、1.0〜4.0mmであるとより好ましい。これら、溝130の深さ、幅及びピッチは、同じ研磨定盤100内において一定であってもよく、部分的に異なっていてもよい。
樹脂シート110が樹脂製であるため、溝130は、通常の切削加工又はエンボス加工などにより、所望のパターン及び形状に容易に形成することができる。
樹脂定盤100に備えられるダイヤモンド砥粒120は、研磨面S側から樹脂シート110に埋め込まれており、その少なくとも一部は研磨面Sから露出している。ダイヤモンド砥粒120は、通常のダイヤモンドラッピング加工に用いられるものであれば特に限定されず、市販のものを入手してもよく、常法により作製してもよい。ダイヤモンド砥粒120の形状は特に限定されず、ダイヤモンド砥粒120の平均粒径も特に限定されないが、0.1〜10.0μmであると好ましく、0.3〜5.0μmであるとより好ましい。ダイヤモンド砥粒120の平均粒径が上記下限値以上であることにより、研磨レートの向上効果をより有効かつ確実に奏することができ、上記上限値以下であることにより、加工変質層の厚さ低減という効果をより有効かつ確実に奏することができる。なお、ダイヤモンド砥粒120の樹脂定盤100への埋め込み量は、被研磨物の材質や必要とされる研磨の程度によって適宜調整すればよい。
本実施形態の樹脂定盤100は、例えば下記のようにして製造される。すなわち、本実施形態の樹脂定盤100の製造方法の一例は、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物とをそれぞれ準備する原料準備工程と、イソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを混合した混合液を調製する混合工程と、混合液を型枠に注型する注型工程と、型枠内で熱硬化性ポリウレタン成形体を形成する硬化成型工程と、熱硬化性ポリウレタン成形体にスライス処理及び/又は表面研削処理を施す表面処理工程と、表面処理後の熱硬化性ポリウレタン成形体に溝を形成する溝形成工程と、溝を形成した側の面にダイヤモンド砥粒を埋め込む砥粒埋め込み工程とを有する。
(原料準備工程)
原料準備工程においては、熱硬化性ポリウレタン樹脂の原料であるイソシアネート基含有化合物及び活性水素化合物をそれぞれ準備する。イソシアネート基含有化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成したイソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、「プレポリマ」と略記する。)が好ましい。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる際に、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量よりも大きくすることで、プレポリマを得ることができる。
プレポリマの生成に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート及びエチリジンジイソチオシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
一方、プレポリマの生成に用いられるポリオール化合物としては、ジオール化合物及びトリオール化合物等の水酸基を複数有する化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール及びヘキサンジオール等の低分子量のポリオール化合物、並びに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物及びブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物及びポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
プレポリマのNCO当量(イソシアネート当量)は、190〜500であると好ましく、200〜300であるとより好ましい。NCO当量をこの範囲に調整することにより、樹脂シート110に適度な弾性を付与することができるので、ダイヤモンド砥粒120の埋め込みが更に容易になると共に、その遊離がより抑制される。
活性水素化合物としては、プレポリマの末端イソシアネート基と反応する活性水素基を有していればよく、例えば、ポリアミン化合物及びポリオール化合物が挙げられる。活性水素化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応することでハードセグメント(高融点で剛直性を付与するウレタン結合部)を形成する。ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と略記する。)及びMOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物が挙げられる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、そのような化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン及びジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンが挙げられる。
一方、ポリオール化合物としては、ジオール化合物及びトリオール化合物等の水酸基を複数有する化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール及びヘキサンジオール等の低分子量のポリオール化合物、並びに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物及びブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物及びポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物が挙げられる。活性水素化合物としては、ポリアミン化合物及びポリオール化合物の少なくとも一方を用いればよく、ポリアミン化合物及びポリオール化合物の2種以上を併用してもよい。
これらの活性水素化合物の中では、本発明の目的をより有効かつ確実に奏する観点から、MOCAが好ましい。ここで、MOCAとしては、固形MOCAと粗製MOCAとが知られている。固形MOCAは、室温で固体形状の純粋なMOCAを意味する。粗製MOCAは、MOCAのモノマー(単量体)とMOCAの多量体との混合物であり、好ましくは多量体の比率が15質量%以上のものが用いられる。多量体の比率は10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。多量体の例としては、MOCAの二量体、三量体及び四量体が挙げられる。粗製MOCAは反応速度の制御が容易であり、結果として、発泡体全体の物性(例えば、密度及び硬度など)の均一性を得やすい。
本明細書において、「固形MOCA」及び「粗製MOCA」という用語を用いた場合には、上記の固形MOCA及び粗製MOCAをそれぞれ意味するものする。
(混合工程、注型工程、硬化成型工程)
混合工程では、準備工程で準備したイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを混合して混合液を調製する。このとき、活性水素化合物、例えばMOCA、を予め有機溶媒に溶解した状態でイソシアネート基含有化合物と混合することが好ましい。活性水素化合物を予め有機溶媒に溶解した状態で混合することで、プレポリマとの結合が、比較的分子結合の弱い(例えばウレア結合よりも弱い)ウレタン結合になりやすくなるため、ダイヤモンド砥粒120が、樹脂シート110に埋め込まれやすくなる。有機溶媒としては、例えば、ポリプロピレングリコールなどのジオール化合物が挙げられる。また、有機溶媒と活性水素化合物との配合比は、有機溶媒:活性水素化合物の質量比で4:6〜6:4が好ましく、45:55〜55:45がより好ましい。
注型工程では、混合工程で調製された混合液を型枠に注型する。さらに、硬化成型工程では、型枠内で混合液中のイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応及び硬化させて、ブロック状の熱硬化性ポリウレタン成形体を成型する。このとき、イソシアネート基含有化合物が活性水素化合物との反応により架橋硬化する。通常、型枠の上部が開放されているため、大気圧下で反応(架橋硬化)が進行し、熱硬化性ポリウレタン成形体が成型される。
混合液中のイソシアネート基含有化合物の含有割合は、特に限定されないが、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、イソシアネート基含有化合物と活性水素化合物との合計量に対して、20.0〜60.0質量%であると好ましく、25.0〜50.0質量%であるとより好ましい。
これら混合工程、注型工程及び硬化成型工程は、ポリウレタン成形体を成型するための従来知られている装置を用いて、連続的に行われてもよい。
(表面処理工程)
表面処理工程では、硬化成型工程を経て得られた熱硬化性ポリウレタン成形体にスライス処理、及び/又は、バフ処理等の表面研削処理を施す。スライス処理では、一般的なスライス機を用いることができる。スライス処理では、例えば、直方体形状の熱硬化性ポリウレタン成形体を、その一面側で保持し、その一面に対向する面側から順に所定厚さにスライスする。スライスする厚さは、好ましくは樹脂シート110と同じ厚さである。樹脂シート110の厚さ精度を向上させるために、熱硬化性ポリウレタン成形体又はスライス処理後の熱硬化性ポリウレタン成形体にバフ処理等の表面研削処理を施してもよい。バフ処理では、一般的なバフ機を用いることができる。
(溝形成工程)
溝形成工程では、表面処理工程の後の熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に、溝130を形成する。溝130を形成する際に用いる加工方法としては、熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に溝を形成する加工方法として通常知られているものであってもよく、例えば、切削加工及びエンボス加工が挙げられる。例えば、切削加工を施す場合、ドリル刃を熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に対して平行に相対的に回転させながら、所望の平面形状になるように移動させて切削加工を施してもよく、円板刃を熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に対して垂直に相対的に回転させながら、所望の平面形状になるように移動させて切削加工を施してもよい。あるいは、切削バイトを熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に対して相対的に移動させて切削加工を施してもよい。これらの場合は、ドリル刃や円板刃の形状を適宜選択することにより、所望の断面形状を得ることができる。あるいは、レーザーを用いて、熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に所望の平面形状及び断面形状を有する溝を形成することもできる。
これらにより、熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に溝130が形成された樹脂シート110が得られる。樹脂シート110は、上記溝形成工程の前又は後に、所望の平面形状を有するように裁断されてもよい。
(砥粒埋め込み工程)
砥粒埋め込み工程では、ダイヤモンド砥粒120を、樹脂シート110の溝130を形成した側の表面、すなわち研磨面Sとなる面側から、樹脂シート110に埋め込む。埋め込む方法としては、例えば、樹脂シート110の上記表面にダイヤモンド砥粒120を所望の量となるように散布した後、樹脂シート110の上記表面上に載置されたダイヤモンド砥粒120を樹脂シート110の方に向けて所定の圧力で押圧して、砥粒を埋め込む(チャージングする)方法が挙げられる。押圧するのに用いられる手段としては、例えば、リテーナリングが挙げられる。ダイヤモンド砥粒120の散布は、ダイヤモンド砥粒120を単独で散布してもよいが、複数のダイヤモンド砥粒120同士が凝集するのを防ぐ観点から、ダイヤモンド砥粒120を分散媒に分散させた状態で塗布することで散布するのが好ましい。分散媒としては、通常のダイヤモンド砥粒分散液やダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリに用いられる液であればよく、例えばグリセリンと水との混合液が挙げられる。
また、砥粒埋め込み工程は、樹脂定盤100を用いて被研磨物にラッピング加工を施す前に設けてもよいが、上記ラッピング加工の工程の際に設けてもよい。砥粒の埋め込みをラッピング加工と共に行う場合、ダイヤモンド砥粒120を含む研磨スラリを樹脂定盤100上に供給しながら、被研磨物によって樹脂定盤100上のダイヤモンド砥粒120を樹脂シート110の方に押圧することによって埋め込むことができる。
こうして、本実施形態の樹脂定盤100が得られる。なお、樹脂定盤100を用いて被研磨物にラッピング加工を施す前に、樹脂定盤100の研磨面Sとは反対側の面に両面テープを貼り合わせて粘着層を設けたり、又は、接着剤を塗布して接着層を設けたりしてもよい。これらの粘着層や接着層は、樹脂定盤100をラッピング装置に装着するためのものである。
次に、本実施形態の樹脂定盤100を用いたラッピング方法の一例について説明する。そのラッピング方法は、ダイヤモンド砥粒120の存在下、樹脂定盤100により被研磨物にラッピング加工を施す方法である。ダイヤモンド砥粒120は、予め樹脂シート110の研磨面Sに埋め込まれているが、それに加えて、ラッピング加工の際に新たに供給され、樹脂シート110の研磨面Sに埋め込まれたものであってもよく、遊離したもの(樹脂シート110の研磨面に埋め込まれることなく遊離しているもの、及び/又は、一旦研磨面Sに埋め込まれていたが、その後遊離したもの)であってもよい。
まず、ラッピング装置の所定位置に樹脂定盤100を装着する。この装着の際には、上述の粘着層又は接着層を介して、樹脂定盤100がラッピング装置に固定されるよう装着される。そして、ラッピング定盤としての樹脂定盤100と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面S側へ押し付けると共に、外部からダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリを供給しながら、樹脂定盤100及び/又は保持定盤を回転させる。これにより、樹脂定盤100と被研磨物との間に供給され、樹脂定盤100の樹脂シート110に埋め込まれたダイヤモンド砥粒120の作用で、被研磨物の加工面(被研磨面)にラッピング加工を施す。この際、遊離したダイヤモンド砥粒120が樹脂定盤100の樹脂シート110上を摺動することにより、その樹脂シート110の研磨面Sに溝130よりは深さの浅い溝が形成されてもよい。
研磨スラリは、ダイヤモンド砥粒と、それを分散する溶媒とを含む。研磨スラリにおけるダイヤモンド砥粒の含有割合は特に限定されないが、ラッピング加工をより有効に行うと共に、被研磨物における加工変質層が厚くなるのを抑制する観点から、研磨スラリの全体量に対して0.01〜1.0質量%であると好ましい。
溶媒としては、例えば、水及び有機溶媒が挙げられ、被研磨物の変質をより抑制する観点から、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、炭化水素が好ましく、高沸点を有する炭化水素がより好ましい。炭化水素としては、例えば、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族系炭化水素及び脂環式炭化水素が挙げられる。高沸点を有する炭化水素としては、例えば、初留点220℃以上の石油系炭化水素が挙げられる。溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、溶媒には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、その他の添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、例えば極性化合物が挙げられ、具体的には、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びカルボン酸が挙げられる。
なお、ラッピング加工時に樹脂定盤100と被研磨物との間の摩擦に伴う温度上昇を抑制する観点から、砥粒を含まず、添加剤を含んでもよい溶媒を樹脂定盤100の研磨面Sに適宜供給してもよい。その溶媒及び添加剤の例としては上記のものが挙げられる。
被研磨物は、従来、ラッピング加工を施されるものであれば特に限定されず、例えば、半導体ウエハ、磁気ディスク及び光学ガラスが挙げられる。これらの中では、本実施形態の樹脂定盤100による作用効果をより有効に活用できる観点から、半導体ウエハが好ましく、その材質としては、SiC単結晶等の難削材が好ましい。
本実施形態によると、ラッピング定盤である樹脂定盤100は、金属系定盤よりも軟質であるため、ダイヤモンド砥粒120を容易にその研磨面S側から埋め込むことができ、また金属系定盤よりも弾性に富んでいるため、埋め込んだダイヤモンド砥粒120をその弾性により強力に保持することができる。さらには、遊離したダイヤモンド砥粒120は、樹脂シート110に埋め込まれていないものであっても、樹脂シート110の弾性により、被研磨物側よりも樹脂シート110側に押し込まれる。そのため、遊離したダイヤモンド砥粒120の転動、及び、樹脂定盤100の研磨面S側から樹脂シート110に埋め込まれたダイヤモンド砥粒120の一部が大きく突出することを抑制できる。さらには、部分的に樹脂定盤100の被研磨物への押圧力が高くなって不均等になっても、研磨物樹脂シート110の弾性により、その不均等の程度を弱めることができる。それらの結果、加工変質層の一部のみが厚くなることを抑制できるので、被研磨物の加工変質層の厚さを全体的に薄くすることが可能となる。このことは、ラッピング加工の後工程であるポリッシング加工の負担を軽減することに繋がる点でも有用であり、被研磨物に対してダイヤモンド砥粒120を全体的に均等に当接することが可能になるので、ラッピングレートも向上し、研磨生成物の生産性を高めることができる。また、ダイヤモンド砥粒120の転動を抑制できるので、樹脂定盤100自体の摩耗も抑制でき、その結果、樹脂定盤100の寿命を長くすることも可能となる。
さらに、本実施形態によると、ショアD硬度が50°以上と、適度に高い硬度を有する樹脂シート110を用いているため、硬度が低い場合に生じ得る被研磨物のロールオフをも十分に抑制することができる。
また、本実施形態によると、樹脂定盤100は、従来ラッピング加工に用いられている金属系定盤よりも軽量である。金属の比重は、例えば、鉄の比重が7.87、銅の比重が8.96、錫の比重が7.29であるのに対して、熱硬化性ポリウレタン樹脂の比重は、例えば、1.0〜1.3程度と非常の軽量である。そのため、定盤の取扱いが極めて容易である。例えば、樹脂定盤100をラッピング装置の所定位置に載置して下側から固定するだけでなく、樹脂定盤100を上側から固定することもできる。これにより、被研磨物に対して下側だけからラッピング加工を施すだけでなく、それに代えて、又は、それに加えて、被研磨物に対して上側からラッピング加工を施すことも可能である。また、金属系定盤は、ラッピング装置にネジ止め等により装着する必要があるが、樹脂定盤100は、上述のように両面テープや接着剤により装着することができ、この点でも取扱いが容易である。
さらには、銅や錫の定盤は金属系定盤の中では軟質であるものの、ラッピング加工時のラッピング定盤と被研磨物との摩擦により、40℃以上に加熱された場合に、容易に変形してしまう。一方、本実施形態の樹脂定盤100は、耐熱性の高い熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むため、ラッピング加工時の上記摩擦により加熱されても、変形し難いものである。
また、本実施形態の樹脂定盤100を用いたラッピング加工では、ラッピング加工の間に適宜ダイヤモンド砥粒120を供給することができる。そのため、ダイヤモンド砥粒120がラッピング加工に用いられることで劣化しても、新たなダイヤモンド砥粒120を供給することが可能となり、被研磨物の被研磨面の均一な平坦性を、特にラッピング加工を中止することなく、更に高めることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、上記樹脂定盤は、溝130が形成されていたり、ダイヤモンド砥粒120を含んでいたりしたが、本発明の樹脂定盤は溝が形成されていなくてもよく、ダイヤモンド砥粒120を含んでいなくてもよい。また、樹脂定盤の平面形状は好ましくは真円状であるが、平面形状はそれに限定されない。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、空隙率及び圧縮率は上述のようにして求め、それ以外の各種物性の測定及びラッピング加工性能の評価は下記のようにして行った。
(ショアD硬度の測定)
硬度計(商品名「GS−702N」、テクロック社製)を用いて、JIS−K6253(2012)に準拠して、樹脂シートのショアD硬度を測定した。
<ラッピング加工試験>
樹脂定盤をラッピング装置の所定位置にアクリル系接着剤を介して設置し、被研磨物としての2”SiC基板に対して、下記条件にてラッピング加工を施すラッピング加工試験を行った。なお、ラッピング加工試験の際には、まず、ダイヤモンド砥粒(平均粒径:3μm)0.1質量%と水及びグリセリンの混合液(分散媒)とからなる分散液を、樹脂定盤の表面に塗布した後、リテーナリングで押圧しダイヤモンド砥粒を樹脂定盤に埋め込んでからラッピング加工を実施した。
(ラッピング条件)
使用したラッピング装置機の定盤サイズ:960φ
溝:幅1mm、深さ1mm、ピッチ1mm、螺旋状の平面形状、V字状の断面形状
定盤回転数:30rpm
加工圧力:300g/cm2
ラッピング加工時間:1時間
(スクラッチ)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物5枚の被研磨面のスクラッチを目視にて確認し、相対的に少ない場合を「少」、相対的に多い場合を「多」、それらの中間にあるものを「中」とし、3段階で評価した。
(ラッピングレート)
ラッピングレート(単位:μm/hr)は、上記ラッピング加工前後の被研磨物の質量減少から求めた研磨量、被研磨物の研磨面積及び比重から求めた。
(表面粗さ)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物における被研磨面の表面粗さRaを、JIS−B0601(2001)に準拠して測定した。表面粗さ測定装置として、東京精密社製の商品名「サーフコム420B」を用いた。
(加工変質層)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物の表面を、溶融水酸化カリウムでエッチングして加工変質層を除去した。次いで、加工変質層を除去した被研磨物の表面について、表面粗さ(Ra)を、光干渉計(キャノン製、商品名「Zygo NewView 5010」)を用いて測定した。Raが3μm以上である場合を加工変質層が「厚い」と評価し、1μm以上3μm未満である場合を加工変質層が「中」と評価し、1μm未満である場合を加工変質層が「薄い」と評価した。
(ロールオフ)
上記ラッピング加工試験後の被研磨物の外周部を目視にて確認し、ロールオフが認められる場合を「不良」、認められない場合を「良」と評価した。
(プレポリマの準備)
イソシアネート基含有化合物として5種類のプレポリマを準備した。
(プレポリマ1)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用い、ジイソシアネート化合物として2,4−トリレンジイソシアネートを用い、NCO当量が540であるプレポリマを合成した。
(プレポリマ2)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用い、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネートを用いNCO当量が460であるプレポリマを合成した。
(プレポリマ3)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用い、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネートを用いNCO当量が277であるプレポリマを合成した。
(プレポリマ4)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用い、ジイソシアネート化合物として2,4−トリレンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)を用いNCO当量が234であるプレポリマを合成した。
(プレポリマ5)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコールを用い、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)を用いNCO当量が198であるプレポリマを合成した。
(実施例1)
活性水素化合物として粗製MOCAを用い、その粗製MOCAをジオール化合物であるポリプロピレングリコールに質量比1:1で常温にて溶解して、粗製MOCA溶液を得た。次に、プレポリマ2と粗製MOCA溶液とを、プレポリマ2及び粗製MOCAの質量比がプレポリマ:粗製MOCA=36:13となる割合で十分に混合して混合液を得た。得られた混合液を、内部空間が直方体であり、上部が開放されている型枠(サイズ:1200mm×1200mm×20mm)に注型して硬化させた。形成された熱硬化性ポリウレタン成形体を型枠から抜き出し、厚さ2.00mmになるようスライス処理を施した。次に、スライス処理後の熱硬化性ポリウレタン成形体を、960φの円状の平面形状に切り出した、そして、切り出した後の熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に、切削バイトを用いて、上記<ラッピング加工試験>に記載した溝を形成して、樹脂定盤を得た。
(実施例2)
混合液を、プレポリマ3と粗製MOCA溶液とを、プレポリマ3及び粗製MOCAの質量比が混合プレポリマ:MOCA=23:14となる割合で十分に混合して得られた混合液に代えた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂定盤を得た。
(実施例3)
混合液を、プレポリマ4と粗製MOCA溶液とを、混合プレポリマ4及び粗製MOCAの質量比が混合プレポリマ:MOCA=23:17となる割合で十分に混合して得られた混合液に代えた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂定盤を得た。
(実施例4)
混合液を、プレポリマ5と粗製MOCA溶液とを、混合プレポリマ5及び粗製MOCAの質量比がプレポリマ:MOCA=23:20となる割合で十分に混合して得られた混合液に代えた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂定盤を得た。
(比較例1)
混合液を、プレポリマ1と粗製MOCA溶液とを、プレポリマ1及び粗製MOCAの質量比がプレポリマ:MOCA=18:5.7となる割合で十分に混合して得られた混合液に代えた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂定盤を得た。
(実施例5)
固形MOCAを120℃で加熱溶融させ固形MOCA溶融液を得た。混合液を、プレポリマ4及び固形MOCA溶融液の質量比がプレポリマ:MOCA=23:12となる割合で十分に混合して得られた混合液に代えた。それ以外は実施例1と同様にして樹脂定盤を得た。
(比較例2)
汎用されている銅定盤を用いた。
実施例1〜5及び比較例1〜2の定盤について、上記各種物性の測定及びラッピング加工性能の評価結果を表1に示す。
Figure 0006093170
本発明の樹脂定盤は、半導体ウエハ、磁気ディスク、光学ガラス等のラッピング加工、特に、SiC単結晶からなる半導体ウエハのラッピング加工に産業上の利用可能性がある。
100…ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤、110…樹脂シート、120…ダイヤモンド砥粒、130…溝、S…研磨面。

Claims (10)

  1. 熱硬化性ポリウレタン樹脂を含み、空隙率が0〜20%であり、かつショアD硬度が50°以上である樹脂シートを備え
    前記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマと、ポリアミン化合物及びポリオール化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物との反応生成物であり、
    前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマのNCO当量は、190〜500である、ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  2. 前記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマと3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの反応により生成した熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む、請求項1に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  3. 前記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマと、有機溶媒に溶解した3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの反応により生成した熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む、請求項1に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  4. 前記有機溶媒は、ジオール化合物を含む、請求項3に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  5. 前記樹脂シートは研磨面を有し、前記研磨面に溝が形成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  6. 前記樹脂シートは研磨面を有し、前記研磨面側からダイヤモンド砥粒が前記樹脂シートに埋め込まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤。
  7. ダイヤモンド砥粒の存在下、請求項1〜のいずれか1項に記載のダイヤモンドラッピング用樹脂定盤により被研磨物にラッピング加工を施す、ラッピング方法。
  8. 前記被研磨物は、SiC単結晶である、請求項に記載のラッピング方法。
  9. 前記ダイヤモンド砥粒は、研磨スラリに含まれた状態で、前記ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤と前記被研磨物との間に供給される、請求項7又は8に記載のラッピング方法。
  10. 前記ダイヤモンド砥粒の少なくとも一部は、前記ダイヤモンドラッピング用樹脂定盤に、その研磨面側から埋め込まれている、請求項7〜9のいずれか1項に記載のラッピング方法。
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