JP6091417B2 - 金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法 - Google Patents

金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6091417B2
JP6091417B2 JP2013533722A JP2013533722A JP6091417B2 JP 6091417 B2 JP6091417 B2 JP 6091417B2 JP 2013533722 A JP2013533722 A JP 2013533722A JP 2013533722 A JP2013533722 A JP 2013533722A JP 6091417 B2 JP6091417 B2 JP 6091417B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
nanoparticle layer
metal nanoparticles
nanoparticles
metal nanoparticle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013533722A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013039180A1 (ja
Inventor
薫 玉田
薫 玉田
圭介 今津
圭介 今津
岡本 晃一
晃一 岡本
晃人 吉田
晃人 吉田
シンヘン リ
シンヘン リ
ブライアン リン
ブライアン リン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Publication of JPWO2013039180A1 publication Critical patent/JPWO2013039180A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6091417B2 publication Critical patent/JP6091417B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D5/00Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures
    • B05D5/06Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures to obtain multicolour or other optical effects
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D1/00Processes for applying liquids or other fluent materials
    • B05D1/18Processes for applying liquids or other fluent materials performed by dipping
    • B05D1/20Processes for applying liquids or other fluent materials performed by dipping substances to be applied floating on a fluid
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D2401/00Form of the coating product, e.g. solution, water dispersion, powders or the like
    • B05D2401/30Form of the coating product, e.g. solution, water dispersion, powders or the like the coating being applied in other forms than involving eliminable solvent, diluent or dispersant
    • B05D2401/32Form of the coating product, e.g. solution, water dispersion, powders or the like the coating being applied in other forms than involving eliminable solvent, diluent or dispersant applied as powders

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法に関する。
例えば車両の塗装などにおいて、金属光沢を有する色に塗装したいという要望がある。非特許文献1は、基材の上に光輝材を含むベース塗装を施し、このベース塗装の上に金ナノ粒子ペーストを含むクリヤーを塗布し、金属光沢を有する色に塗装することを提案している。
TECHNO−COSMOS 2008 Vol.21 p.32〜38 日本国特許第4415083号
ところで、上述のような塗装方法では、塗装しようとする色に応じて、複数種類の金属粒子が必要となり、それぞれ金属粒子を合成する必要がある。
そこで本発明は、一種類の金属でも多くの色に呈色可能な金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできる本発明の金属ナノ粒子を用いた呈色膜は、
金属反射面を有する下地層と、
前記金属反射面上に形成され、略均一な粒径を有する金属ナノ粒子が規則的に平面状に配列された少なくとも一層以上の金属ナノ粒子層と、を有し、
前記金属ナノ粒子層は、前記金属ナノ粒子の本来の色とは異なる色に呈色していることを特徴とする。
本発明の呈色膜において、
また、前記金属ナノ粒子は、絶縁体で覆われていてもよい。
さらに前記絶縁体は、有機脂肪酸、有機アミン、アルカンチオール置換体のいずれかであってもよい。
前記金属反射面が疎水性であってもよい。
上記課題を解決することのできる本発明の金属ナノ粒子を用いた呈色方法は、
金属反射面の上に略均一な粒径を有する金属ナノ粒子を平面状に規則的に配列させて、前記金属ナノ粒子本来の色とは異なる所望の色に呈色する金属ナノ粒子層を形成することを特徴とする。
本発明の呈色方法において、
また、前記金属ナノ粒子は、絶縁体で覆われていてもよい。
さらに前記絶縁体は、有機脂肪酸や有機アミン、アルカンチオール置換体のいずれかであってもよい。
金属反射面に疎水処理を施してもよい。
また、本発明の呈色方法において、
前記金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散させ、
前記金属ナノ粒子を含む前記有機溶媒を水面上に展開させ、
前記有機溶媒を揮発させて、前記金属ナノ粒子を二次元方向に自己組織化させて二次元結晶膜を形成し、
水面上に形成された前記金属ナノ粒子の前記二次元結晶膜に前記金属反射面を接触させて転写し、前記金属ナノ粒子層を前記金属反射面の上に形成してもよい。
本発明に係る金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法によれば、単一の金属種を用いても金属ナノ粒子層の層数によって異なる色に呈色させることができる。このため、複数の色を使って塗装を施す場合でも、一種類の金属ナノ粒子を用意すればよいので、塗装コストを低減することができる。
本発明の実施形態に係る呈色膜の概略断面図である。 金属ナノ粒子を拡大して示す模式図である。 金属ナノ粒子層の形成工程を示す模式図である。 金属ナノ粒子層の上面を撮影したSEM写真である。 呈色の仕組みを説明する模式図である。 呈色膜の吸収スペクトルを示す図である。 呈色膜の吸収スペクトルを示す図である。 呈色膜の吸収スペクトルを示す図である。 呈色膜の吸収スペクトルを示す図である。 呈色膜の吸収スペクトルを示す図である。 呈色膜の吸収スペクトルの計算結果を示す図である。
以下、本発明に係る金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
<呈色膜の構造>
図1は、本発明の実施形態に係る呈色膜2を示す概略断面図である。呈色膜2は、呈色させたい対象物1の上に設けられている。対象物1としては、樹脂製品や金属製品などを挙げることができ、特に材質を選ばない。呈色膜2は、対象物1の上に設けられた金属製の下地層3と、金属ナノ粒子層4とを有する。
下地層3は、入射光を金属ナノ粒子層に向けて反射させる反射面(金属反射面)3aを備えている。この反射面3aは対象物1と接する面と反対側の面(上面)に設けられている。下地層3の金属としては、銅、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウム、これらの合金などを挙げることができる。このなかでも特に、可視光域での反射率の高い金属、金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウムなどの貴金属が好ましい。
金属ナノ粒子層4は、複数の金属ナノ粒子5からなる層である。この金属ナノ粒子5は、それぞれ略均一な粒径を有し、規則的に平面状に配列されて層構造をなしている。図示の例では金属ナノ粒子層4は二層構造をとっている。なお、後述するように、この金属ナノ粒子層4の層数を変化させることにより、呈色膜の色を変えることができる。この金属ナノ粒子5の粒径は、1nm以上50nm以下とすることが好ましく、さらに1nm以上20nm以下とすることが好ましい。また、金属ナノ粒子5の相互の距離Dは、後述する金属核51の粒径の5倍以下とすることが好ましい。
金属ナノ粒子5としては、局在プラズモンを形成可能な金属種を採用することができる。このような金属種として、例えば金、銀、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスニウムを挙げることができる。このなかでも特に、局在プラズモン吸収の大きい金、銀、銅、アルミニウム、パラジウムなどの貴金属が好ましい。また、多種類の金属種を混在させて金属ナノ粒子層4を構成してもよい。
図2は、金属ナノ粒子5を拡大して示す図である。この金属ナノ粒子5は、図2に示すように、金属核51と、金属核51を覆う絶縁体52とからなる。絶縁体52により、隣り合う金属ナノ粒子5間で互いに導通しないようにされている。例えば、絶縁体52として絶縁性の有機物(有機脂肪酸、有機アミン、アルカンチオール置換体など、あるいはポリマー樹脂)やガラスなどを採用することができる。
<呈色方法>
上述のような呈色膜2は、次のようにして形成することができる。
まず、呈色させたい対象物1に下地層3を形成する。金属製の下地層3を形成するために、蒸着やスパッタ、めっきなど公知の技術を利用できる。さらに、下地層3の上面に反射面処理を施して反射面を形成する。なお、対象物1そのものが金属反射面を備えている場合には、対象物1に別途下地層3を設ける必要は無い。
次に、金属ナノ粒子5を有する溶液を用意する。例えば、金属核51となる金属(例えば銀)を含む有機金属化合物と有機酸(例えばミリスチン酸)の混合物を非酸化雰囲気で加熱分解すると、有機酸が外周に結合した粒径の揃った金属ナノ粒子が得られる。この場合、有機酸が絶縁体52となる。
さらにこの有機酸金属塩の有機酸部分をアルカンチオール化合物と置換することで、アルカンチオールが外周に結合した粒径の揃った金属ナノ粒子が得られる。この場合、チオール置換体が絶縁体52となる(金属核51を銀で構成した例として、特許文献1を参照)。
このとき、有機脂肪酸や有機アミンあるいはアルカンチオール置換体の炭素数を調整することにより、所望の炭素鎖を有する化合物が金属核51の表面に結合した金属ナノ粒子5を形成することができる。これにより、炭素鎖の長さによって、金属ナノ粒子5の粒子間距離Dを調整することができる。
図3は、金属ナノ粒子層4の形成工程を示す模式図である。上述のようにして得られた金属ナノ粒子5を含む溶液を有機溶媒11に分散させ、この有機溶媒11を水10の水面上に展開する。すると、この有機溶媒11は水面上に浮かんで薄い層を形成する。この有機溶媒が揮発するにつれて、金属ナノ粒子5は面方向に自己組織化して複数の小さな二次元結晶膜を形成する。
この状態で、水10の水面付近でバー12を水平方向に動かしてこの二次元結晶膜を形成している金属ナノ粒子5を集め、大きな粒径の二次元結晶膜を形成させる(図3の(a))。なお、バー12は、水面に負荷される表面圧が5mN/m以上25mN/m以下となるように動かすことが好ましい。表面圧がこの範囲より低いと金属ナノ粒子5が十分に集まらず、金属ナノ粒子5の結晶の塊が大きくならない。また、表面圧がこの範囲より高いと金属ナノ粒子5が重なってしまい、三次元結晶が生じてしまう。
さらに、このように集められた金属ナノ粒子5を含む二次元結晶膜に、金属反射面3aを接触させる(図3の(b))。すると、単分子膜として二次元結晶構造の金属ナノ粒子5が転写され、一層の金属ナノ粒子層4が金属反射面3aの上に形成される。この接触工程を繰り返すことにより、所望の層数の金属ナノ粒子層4が形成される。
なお、金属ナノ粒子5を反射面3に転写する際、金属反射面3に疎水処理が施されていることが好ましい。反射面3が疎水性であると、金属ナノ粒子5の絶縁体52(有機脂肪酸や有機アミンあるいはチオール置換体、ポリマー樹脂)の有機部分が反射面3aに固定されやすく、転写が容易となる。
なお、金属核51とともに金属ナノ粒子5を構成する絶縁体52としては、金属ナノ粒子5が分散した有機溶媒11を水10の水面上に展開したときに、金属核51から離脱しないものを採用することができる。このとき、絶縁体52の金属核51との結合様式は特に問わない。
例えば、金属核51として銀粒子を用い、絶縁体52としてチオール置換体を用いた場合には、チオール置換体は金属核51に化学結合で結合する。また、金属核51として銀粒子を用い、絶縁体52としてカルボン酸(有機酸)を用いた場合には、カルボン酸(有機酸)は金属核51にイオン結合で結合する。金属核51として銀粒子を用い、絶縁体52として有機アミンを用いた場合には、有機アミンは物理結合で金属核51に結合する。なお、金属核51として金粒子を用いた場合には、絶縁体52としてカルボン酸を用いたときに、カルボン酸は共有結合で金属核51と結合する。また、絶縁体52としてポリマー樹脂を用いた場合には、ポリマー樹脂が官能基を有していない場合でも金属核51の表面から絶縁体52が離脱しないように構成できる。
図4は、実際に作成した金属ナノ粒子層4の上面を撮影したSEM写真である。図4で撮影した呈色膜2は、シリコンウエハの上に、金属ナノ粒子層4を1層形成したものである。金属ナノ粒子層4は、金属核51として銀、絶縁体52としてミリスチン酸からなる金属ナノ粒子5から構成した。
図4に示したように、金属ナノ粒子5は二次元に規則正しく自己組織化された二次元結晶構造をとっている。また、この結晶構造は、平面上において一つの金属ナノ粒子5の周囲を六個の金属ナノ粒子5が取り囲む六方最密充填構造である。なお、この金属ナノ粒子層4は結晶方位がそれぞれ異なる多結晶質であり、一つの結晶粒の直径が200nm以上であることが好ましい。
<呈色のしくみ>
このようにして構成される呈色膜2は、現時点では判明していない点もあるが、次のようにして呈色するものと考えられている。
(Near Field効果)
図5は、呈色膜2の断面模式図である。この呈色膜2に外部から光L1が照射されると、金属ナノ粒子5の周りには局在プラズモン10が励起される。呈色膜2の金属ナノ粒子層4においては、金属ナノ粒子5が平面状に規則的に配列されている。これにより、二次元方向に隣接している個々の金属ナノ粒子5で励起された局在プラズモン10は面方向(図5の左右方向)に相互に結合し、単独の金属ナノ粒子5よりも長波長の光を吸収する。
金属ナノ粒子層4を透過した一部の光は、下地層3の金属反射面3aで反射され、再び背面から金属ナノ粒子層4に入射する。これにより、外部からの直射光L1と、金属反射面3aでの反射光L2とが、わずかな時間差で金属ナノ粒子層4に入射する。すると、個々の金属ナノ粒子層3において励起された局在プラズモン10間に複雑な相互作用が生まれる。これによって、金属ナノ粒子層4の層数に応じて共鳴吸収ピークはさらに長波長シフトを呈する。
(Far Field 効果)
金属ナノ粒子5の金属核51からなる金属核層Aは、局在プラズモン10が励起される波長においてのみ極めて大きな実効誘電率を有する。すなわち金属核層Aは、狭い波長域において波長によって屈折率が大きく変化するメタマテリアル的性質を有する。一方、金属反射面3aと金属核層Aとの間の空間B、ならびに上下方向に隣接する各金属核層A間の空間Cは、屈折率の小さな絶縁体52(および空間Bにおいては金属反射面3aを疎水処理した時に形成された疎水層)で占められている。
金属核層Aのメタマテリアル的性質のために、金属ナノ粒子層4の背面に金属反射面3aでの反射光L2が入射すると、特定の波長の光がその層数に応じて、金属ナノ粒子層4の層構造の中に強く閉じ込められる。
このように、直射光L1と金属反射面3aでの反射光L2の両方によって局在プラズモン10が励起されるNear Field 効果と、金属ナノ粒子層4の層間A,Bへの光閉じ込めのFar Field 効果によって、金属ナノ粒子層4はその層数に応じて金属ナノ粒子5の本来の色とは異なる色に呈色する。
図6を用いて、金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルについて具体的に説明する。図6の(a)は参考例として、対象物としての石英基板上に反射面3aを介さずに設けられた金属ナノ粒子層の吸収スペクトルを示す。図6の(b)は対象物1としての石英基板上に、金の下地層3を設け、さらに下地層3の上に設けられた銀の金属ナノ粒子5からなる金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。
なお図6中、(i)は一層、(ii)は二層、(iii)は三層、(iv)は四層、(v)は五層、金属ナノ粒子層4を積層したものの吸収スペクトルを示す(なお、後述する図7から図11においても同様である)。図6の(a)および(b)ともに、厚み200nmの下地層を用いた。なお金属反射面3aを疎水化する疎水処理として、金の下地層3にドデカンチオールを作用させた。また、石英基板の表面にも疎水処理としてヘキサメチルトリジシラザンを作用させた。また、金属ナノ粒子層4として、粒径5nmの金属ナノ粒子5が粒子間距離Dが2nmで配列されたものを用いた。また、銀の金属ナノ粒子5として、粒径が5nmで、トルエン溶媒中に分散させたときに波長426nmに吸収スペクトルのピークを有する粒子を用いた。
図6の(a)に示したように、下地層を介さずに石英基板上に直接金属ナノ粒子層を設けた場合には、金属ナノ粒子層は局在プラズモンが面内で相互に結合した効果により約50nm程度赤方に偏移するものの、吸収ピーク形状・強度ともに本来の金属ナノ粒子と同様の吸収スペクトルを示している。
しかし、図6の(b)に示したように、反射面3aを有する下地層3の上に金属ナノ粒子層4を設けた本実施形態に係る呈色膜2の場合には、形状も大きく変化した吸収スペクトルが500nm付近に観察された。
さらに図6の(a)に示したように、下地層を介さずに石英基板上に直接金属ナノ粒子を設けた場合には、金属ナノ粒子の層数が変わっても吸収スペクトルのピークは移動しない。しかし、図6の(b)に示したように、下地層3の上に金属ナノ粒子層4を設けた場合には、金属ナノ粒子層4の層数に応じて吸収スペクトルのピークが赤方偏移している。これにより、金属ナノ粒子層4の層数を変化させることにより、呈色膜2の色を変化させることができることが確認できる。
また、図6の(b)の吸収スペクトルを有する呈色膜2は、金属ナノ粒子層4の層数の増加に応じてオレンジ〜赤〜ピンク〜紫〜青の鮮やかな金属光沢を有する色を呈した。これは、トルエン中に分散している銀の金属ナノ粒子5の薄黄色とは異なる色である。
このように、本実施形態に係る呈色膜2および呈色方法によれば、金属ナノ粒子層4の層数を変更することにより、異なる色に呈色させることができる。したがって、単一の金属種を用いて呈色膜2を複数の異なる色に呈色させることができ、従来のように異なる色ごとに異なる種類の金属を用意する必要が無い。また、このようにして得られる呈色膜2の表面は金属光沢を有する鮮やかな色に呈色されているので、様々な物品の表面の意匠性を高めることができる。
また、非特許文献1の技術では、ある程度銀ナノ粒子塗料層を厚く形成しなければ、発色が弱かったり所望の色に呈色させることができない。しかし、本実施形態に係る呈色膜2および呈色方法によれば、金属ナノ粒子層4は、金属ナノ粒子5を必要な層数積層させれば所望の色に呈色する。つまり、鮮やかに呈色させるために金属ナノ粒子層4を厚く形成する必要が無い。また、所望の色に呈色させるために、複数層の金属ナノ粒子層4を形成する場合でも、個々の層は単層の金属ナノ粒子5から構成されているため、金属ナノ粒子層4が厚くならない。
また、このように金属ナノ粒子層4の厚みが十分に小さいため、呈色に要する金属ナノ粒子5が少なくて済む。これにより、低コストで鮮やかに呈色させることができるので、対象物1の意匠性を大幅に高めることができる。
また、上述の如く水面上に平面状に自己組織化された二次元結晶膜の金属ナノ粒子5を金属反射面3aに転写するという簡単な手法で金属ナノ粒子層4を形成することができる。このため、呈色膜2を低コストで提供できる。さらに、水面上の金属ナノ粒子5が形成する二次元結晶膜の厚みはナノオーダーであり、柔軟である。このため、下地層3の表面がどのような形状をしていても、金属反射面3aに接触させるとその表面形状に沿って金属ナノ粒子5が付着し、簡単に金属ナノ粒子層4を形成することができる。したがって、三次元形状など複雑な表面に呈色膜2を形成することができる。なおこのとき、金属反射面3aが疎水処理されていると、金属ナノ粒子5が付着しやすく、好ましい。
<色の調節方法>
なお、図6では、金属ナノ粒子層4の層数を変えることで呈色膜2の色を変えられることを確認できたが、呈色膜2の色は他の方法によっても調節することができる。例えば、下地層3の材料、金属ナノ粒子5の粒径、金属ナノ粒子5の粒子間距離D、金属ナノ粒子5の金属核51の金属種、などを適宜選択することにより、所望の色を得ることができる。また、金属ナノ粒子5の金属核51として互いに異なる金属を複数種類採用し、異種金属が混在された金属ナノ粒子層4を形成してもよい。さらに、下地層3の材料と金属ナノ粒子5の金属核51の金属種の組み合わせを変えても呈色膜2の色を変更できる。これにより、呈色膜2の色のバリエーションを拡げることができる。
図7の(a)は、下地層3を設けない比較例に係る、金属核51が銀からなる金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。図7の(b)は、下地層3を銀、金属核51を銀としたときの金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。図示したように、本例においても、金属ナノ粒子層4は銀ナノ粒子本来の色とは異なる色に呈色している。また、層数によって吸収スペクトルのピーク位置が変化している。
また、図7の(b)と図6の(b)とを比較すると、下地層3の材質が異なるだけで、吸収スペクトルが変わっていることが確認できる。これにより、下地層3の材質を選択することにより、呈色膜2を所望の色に呈色させることができることが確認できる。
図8は、下地層3を金、金属核51を金としたときの金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。図示したように、本例においても、金属ナノ粒子層4は金ナノ粒子本来の色とは異なる色に呈色している。また、層数によって吸収スペクトルのピーク位置が変化している。
また、図8と図6の(b)とを比較すると、金属ナノ粒子5の金属核51の材質が異なるだけで、吸収スペクトルが変わっていることが確認できる。これにより、金属核51の材質を選択することにより、呈色膜2を所望の色に呈色させることができることが確認できる。
図9は、下地層3を金、一層目の金属核51を金、二層目以降の金属核51を銀としたときの金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。図示したように、本例においても、金属ナノ粒子層4は金属ナノ粒子本来の色とは異なる色に呈色している。また、層数によって吸収スペクトルのピーク位置が変化している。また、金属核51と複数種類を混在させた場合でも吸収スペクトルのピーク位置変化が確認された。
また、図9と図6の(b)とを比較すると、一層目の金属ナノ粒子層4の金属核51の材質が異なるだけで、吸収スペクトルが変わっていることが確認できる。これにより、異種類の金属核51を組み合わせることにより、呈色膜2を所望の色に呈色させることができることが確認できる。
図10は、下地層3を金、一、二、四、五層目の金属核51を銀、三層目の金属核51を金としたときの金属ナノ粒子層4の吸収スペクトルを示す。図示したように、本例においても、金属ナノ粒子層4は金属ナノ粒子本来の色とは異なる色に呈色している。また、層数によって吸収スペクトルのピーク位置が変化している。また、金属核51と複数種類を混在させた場合でも吸収スペクトルのピーク位置変化が確認された。
図9と図10とを比較すると、金ナノ粒子の配置位置を変更するだけでも、呈色膜2を異なる色に呈色させることができることが確認できる。
図11は、FDTD(Finite-difference time-domain)法を用いて1層から5層の金属ナノ粒子層4を積層させたときの吸収スペクトルを算出した結果である。この計算では、金属ナノ粒子5の粒径、粒子間距離D、金属核51の金属種、下地層3の金属種、金属反射面3と金属ナノ粒子5の金属核51からなる層Aとの間の空間B、ならびに層A間の空間Cの厚みと屈折率などをパラメータとして電磁気の計算をしたものである。図11の(a)は下地層を設けることなく対象物としての石英基板上に銀からなる金属ナノ粒子層を形成した場合、図11の(b)は石英基板上に銀からなる下地層3、銀からなる金属ナノ粒子層4を形成した場合を示す。図11に示したように、本実施形態に係る呈色膜2の吸収スペクトルのピークの変位を確認することができた。これにより、予め計算によって所望の色になる条件(金属ナノ粒子5の金属種や下地層3の材質など)を予測でき、呈色膜2を所望の色に自在に呈色させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上述の説明では呈色させたい対象物に直接呈色膜2を形成した例を挙げたが、例えば転写シート上に下地層3と金属ナノ粒子層4とを積層し、この転写シートを対象物1に貼り付けてもよい。
また、対象物1そのものが反射面を有する物体、例えば金属製品であった場合には、下地層3を対象物1と同視できるので、下地層3を別途設ける必要が無い。この場合には、金属ナノ粒子層4を対象物の反射面に直接形成する。
本出願は、2011年9月13日出願の米国仮特許出願(61/533,903)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明に係る金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法によれば、単一の金属種を用いても金属ナノ粒子層の層数によって異なる色に呈色させることができる。このため、複数の色を使って塗装を施す場合でも、一種類の金属ナノ粒子を用意すればよいので、塗装コストを低減することができる。
1:対象物、2:呈色膜、3:下地反射面、3a:金属反射面、4:金属ナノ粒子層、5:金属ナノ粒子、51:金属核、52:絶縁体、10:水、11:有機溶媒、12:圧縮バー

Claims (7)

  1. 金属反射面を有する下地層と、
    前記金属反射面上に形成され、均一な粒径を有し絶縁体で覆われている金属ナノ粒子が規則的に平面状に配列された少なくとも一層以上の金属ナノ粒子層と、を有し、
    前記金属反射面上に形成された前記金属ナノ粒子層が、その吸収波長のピークが石英基板上に前記下地層を介さずに設けられた金属ナノ粒子層の吸収波長のピークとは異なるように呈色していることを特徴とする呈色膜。
  2. 前記絶縁体は、有機脂肪酸、有機アミン、アルカンチオール置換体のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の呈色膜。
  3. 前記金属反射面は疎水性であることを特徴とする請求項1または2に記載の呈色膜。
  4. 金属反射面の上に均一な粒径を有する絶縁体で覆われている金属ナノ粒子を平面状に規則的に配列させて、前記金属反射面上に形成された前記金属ナノ粒子層が、その吸収波長のピークが石英基板上に前記下地層を介さずに設けられた金属ナノ粒子層の吸収波長のピークとは異なるように呈色する金属ナノ粒子層を形成することを特徴とする呈色方法。
  5. 前記絶縁体は、有機酸、有機アミン、アルカンチオール置換体のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の呈色方法。
  6. 前記金属反射面に疎水処理を施すことを特徴とする請求項4または5に記載の呈色方法。
  7. 金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散させ、
    前記金属ナノ粒子を含む前記有機溶媒を水面上に展開させ、
    前記有機溶媒を揮発させて、前記金属ナノ粒子を二次元方向に自己組織化させて二次元結晶膜を形成し、
    水面上に形成された前記金属ナノ粒子の前記二次元結晶膜に前記金属反射面を接触させて転写し、前記金属ナノ粒子層を前記金属反射面の上に形成することを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の呈色方法。
JP2013533722A 2011-09-13 2012-09-13 金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法 Active JP6091417B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161533903P 2011-09-13 2011-09-13
US61/533,903 2011-09-13
PCT/JP2012/073530 WO2013039180A1 (ja) 2011-09-13 2012-09-13 金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013039180A1 JPWO2013039180A1 (ja) 2015-03-26
JP6091417B2 true JP6091417B2 (ja) 2017-03-08

Family

ID=47883397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013533722A Active JP6091417B2 (ja) 2011-09-13 2012-09-13 金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6091417B2 (ja)
WO (1) WO2013039180A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MY193573A (en) 2014-05-08 2022-10-19 Mytech Co Ltd Plasmonic chip for observing cancer related substances by localized surface plasmon resonance
JP6610886B2 (ja) * 2016-01-19 2019-11-27 国立大学法人九州大学 呈色膜、呈色膜被覆基材及び呈色膜の製造方法
WO2019054508A1 (ja) * 2017-09-15 2019-03-21 旭化成株式会社 金属粒子環状構造体、絶縁材被覆金属粒子環状構造体、及び組成物
WO2020054799A1 (ja) 2018-09-14 2020-03-19 株式会社ブリヂストン タイヤ
WO2020090758A1 (ja) 2018-10-31 2020-05-07 株式会社ブリヂストン タイヤ
EP4083223A4 (en) 2019-12-25 2024-01-17 MYTECH Co., Ltd. AUTOFLUORESCENCE-BASED LIQUID BIOPSY METHOD TARGETING NUCLEOSOMES FRAGMENTED BY APOPTOSIS

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06277614A (ja) * 1991-06-20 1994-10-04 Kansai Paint Co Ltd 塗装仕上げ方法
JP2905712B2 (ja) * 1995-02-28 1999-06-14 科学技術振興事業団 オパール様回折発色膜
JP4415083B2 (ja) * 2004-09-24 2010-02-17 セイコーエプソン株式会社 銀微粒子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013039180A1 (ja) 2013-03-21
JPWO2013039180A1 (ja) 2015-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6091417B2 (ja) 金属ナノ粒子を用いた呈色膜および呈色方法
US8309185B2 (en) Nanoparticle film and forming method and application thereof
Kim et al. Nonnoble‐metal‐based plasmonic nanomaterials: recent advances and future perspectives
Chen et al. Tunable plasmonic response from alkanethiolate-stabilized gold nanoparticle superlattices: evidence of near-field coupling
US10539727B2 (en) Modifying optical properties of thin film structures using an absorbing element
Konig et al. Electrically tunable plasmonic behavior of nanocube–polymer nanomaterials induced by a redox-active electrochromic polymer
Zhang et al. Ultrafast light-controlled growth of silver nanoparticles for direct plasmonic color printing
US8178202B2 (en) Nonconcentric nanoshells with offset core in relation to shell and method of using the same
Shen et al. Hierarchical optical antenna: Gold nanoparticle-modified photonic crystal for highly-sensitive label-free DNA detection
Zhao et al. High performance surface-enhanced Raman scattering sensing based on Au nanoparticle-monolayer graphene-Ag nanostar array hybrid system
KR101905449B1 (ko) 플라즈몬 공명을 위한 합금 나노섬 형성 방법
Li et al. Interfacial layer-by-layer self-assembly of PS nanospheres and Au@ Ag nanorods for fabrication of broadband and sensitive SERS substrates
Yu et al. Synthesis and multipole plasmon resonances of spherical aluminum nanoparticles
Gazoni et al. Designed nanoparticle–mesoporous multilayer nanocomposites as tunable plasmonic–photonic architectures for electromagnetic field enhancement
Lumdee et al. Wide-band spectral control of Au nanoparticle plasmon resonances on a thermally and chemically robust sensing platform
Ankudze et al. Highly active surface-enhanced Raman scattering (SERS) substrates based on gold nanoparticles infiltrated into SiO2 inverse opals
Dong et al. Nanoscale flexible Ag grating/AuNPs self-assembly hybrid for ultra-sensitive sensors
Kim et al. Enlarged color gamut representation enabled by transferable silicon nanowire arrays on metal–insulator–metal films
Chow et al. Substrate-enabled plasmonic color switching with colloidal gold nanorings
Yoshida et al. Spectroscopic properties of multilayered gold nanoparticle 2D sheets
Jiménez-Solano et al. Integration of gold nanoparticles in optical resonators
Zhang et al. Self-assembly of high-index faceted gold nanocrystals to fabricate tunable coupled plasmonic superlattices
US9878516B2 (en) Metamaterial thin films
Kim et al. Rhodamine B isothiocyanate-modified Ag nanoaggregates on dielectric beads: A novel surface-enhanced Raman scattering and fluorescent imaging material
Li et al. Out-of-substrate Ag–Ag2O nanoplates: surfactantless photochemical synthesis, structural evolution, and mechanistic study

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20161005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6091417

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250