JP6088383B2 - 電動モータの制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明に係る電動モータの制御装置の適用例としての電動パワーステアリング装置を示す。
操舵トルクセンサ120及び減速機160は、ステアリングシャフト170を内包するステアリングコラム180内に設けられる。
操舵トルクセンサ120は、車両の運転者がステアリング操作を行うことでステアリングシャフト170に発生する操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクの信号STをコントロールユニット150に出力する。
そして、コントロールユニット150は、操舵トルク信号ST、車速信号VSPなどに基づいて駆動装置140を制御することで、電動モータ130の発生トルク、つまり、操舵補助力を制御する。
なお、コントロールユニット150と駆動装置140とを一体化して設けることができる。
電動モータ130は、U相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wの3相コイルを有する3相DCブラシレスモータ(3相同期電動機)である。電動モータ130のU相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wは、一端が互いに接続されてスター結線とされ、U相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wが互いに接続された点は中性点NPをなす。
そして、駆動装置140は、インバータ回路(駆動手段)300、プリドライバ400(駆動手段)、電源リレー装置500、中性点駆動回路600を備える。
本実施形態では、半導体スイッチ320UH,320UL,320VH,320VL,320WH,320WLとして、Nチャンネル型MOSFETを用いる。
半導体スイッチ320VH,320VLは、電源ライン510と接地点との間にドレイン−ソース間が直列接続され、半導体スイッチ320VHと半導体スイッチ320VLとの接続点に駆動ライン310Vの一端が接続され、駆動ライン310Vの他端には電動モータ130のV相コイル130Vが接続される。
各MOSFET320UL,320VL,320WLのソースと接地点との間には、電動モータ130の駆動電流を検出する電流検出器(電流検出抵抗)340が接続される。電流検出器340で検出した電流値は、図示しない増幅器などで増幅された後、コントロールユニット150に入力される。
コントロールユニット150は、相リレー330U,330V,330Wのオン,オフを個別に制御する。
また、中性点駆動回路600は、Nチャンネル型MOSFETで構成される上アーム側の半導体スイッチ600Hと下アーム側の半導体スイッチ600Lとからなり、半導体スイッチ600H,600Lは電源ライン510と接地点との間にドレイン−ソース間が直列接続される。
駆動ライン610には、コントロールユニット150によってオン,オフが制御される中性点リレー620を設けてある。中性点リレー620は、電磁リレー、或いは、MOSFETなどの半導体スイッチと当該半導体スイッチのドライバとの組み合わせのいずれでも構成することができる。
なお、プリドライバ400をSOI(Silicon on Insulator)で構成することができ、これによって、浮遊容量が低減され、プリドライバ400の高速度化及び低消費電力化を図ることができる。また、特定の部位が故障した際、他の部位に波及して別の故障が起きる可能性を低減することができる。
H側ドライバ410Hの出力端にはそれぞれMOSFET320UH,320VH,320WHのゲートが接続され、MOSFET320UH,320VH,320WHはH側ドライバ410Hの出力に応じてオン,オフが制御される。
また、プリドライバ400は、中性点駆動回路600における半導体スイッチ600Hを駆動するH側ドライバ420H、中性点駆動回路600における半導体スイッチ600Lを駆動するL側ドライバ420Lを備えている。
プリドライバ400は、プリドライバ400の電源であるバッテリ700の電圧を昇圧する昇圧回路であるチャージポンプ(昇圧回路)440を備えている。
電源リレー装置500は、バッテリ(電源)700からインバータ回路300及び中性点駆動回路600に向けて電源供給する電源ライン510に介装され、互いに並列に接続される第1遮断器501Aと第2遮断器501Bとを備える。
また、インバータ回路300及び中性点駆動回路600を構成する各MOSFETにおいて、ドレイン−ソース間のダイオードは寄生(内部)ダイオードである。
ここで、コントロールユニット150は、操舵トルク信号STや車速信号VSPなどに基づいてPWM信号のデューティ比を可変とし、電動モータ130の回転速度(トルク)を制御する。
なお、各相の故障には、各相毎のインバータの故障、相コイルの断線や地絡、更に、相リレーのオープン故障などが含まれる。
そして、コントロールユニット150は、正常な2相に流れる電流の目標を、発生させたい磁界ベクトルに応じて決定し、これに応じて、インバータ回路300及び中性点駆動回路600を制御することで、1相に故障が発生した状態で電動モータ130の駆動を継続する。
W相に故障が発生した場合を一例とすると、コントロールユニット150は、相リレー330U,330Vをオン状態に保持する一方で、相リレー330Wをオフ状態に切り替えてW相を遮断し、中性点リレー620をオン状態に制御し、図3に示すリレー制御状態とする。
ここで、U相に平行な成分はU相及びV相で発生させることができるが、U相に直交する成分は正常な2相のうちの他方であるV相でしか発生させることができない。そこで、コントロールユニット150は、U相に直交する成分をV相で発生させることになるV相の発生磁界ベクトル(V相目標電流)を求める。
更に、コントロールユニット150は、V相の発生磁界ベクトルのU相に平行な成分を求めて、発生させたい磁界ベクトルのU相に平行な成分と、V相の発生磁界ベクトルのU相に平行な成分とから、最終的にU相の発生磁界ベクトル(U相目標電流)を求める。
また、図5は、図4のU相に平行な成分及びU相に直交する成分に基づき決定されるU相及びV相の目標電流を例示するものであり、U相の目標電流とV相の目標電流との合計が、中性点駆動回路600への流出入電流(中性点電流)となる。
例えば、中性点駆動回路600の駆動デューティを50%に固定すると、電動モータ130の正常な相に印加できる電圧は電源電圧の1/2になり、1相の故障状態で電源電圧を有効に使用することができない。
例えば、W相に故障が発生しU相とV相とを駆動して電動モータ130を駆動させる場合、図5に示すように、発生させたい磁界ベクトルの電気角が240degであるときに中性点駆動回路600からの流し込み電流を最大となり、発生させたい磁界ベクトルの電気角が60degであるときに中性点駆動回路600に引き込む電流を最大となるように、中性点駆動回路600の駆動デューティを決定する。なお、本願では、U相コイルの角度位置を、磁界ベクトルの電気角が0degの位置として表すものとする。
中性点駆動回路600のデューティ=50%+50%×sin(θ−150deg)とすることで、発生させたい磁界ベクトルの電気角が240degであるときにsin(θ−150deg)=1となって中性点駆動回路600のデューティが100%に設定され、中性点駆動回路600からの流し込み電流が最大となる。また、発生させたい磁界ベクトルの電気角が60degであるときにsin(θ−150deg)=−1となって中性点駆動回路600のデューティが0%に設定され、中性点駆動回路600に引き込む電流が最大なる。
なお、中性点駆動回路600の半導体スイッチ600Hと半導体スイッチ600Lとは、相補制御方式により相互に逆位相のPWM波で駆動されるものとし、中性点駆動回路600の駆動デューティは、上段(H側)の駆動デューティを示すものとする。
例えば、コントロールユニット150は、電動モータ130の正常な相に印加したい電圧が電源電圧の1/2で十分である場合には中性点駆動回路600の駆動デューティを50%に固定し、正常な相に印加したい電圧が電源電圧の1/2では不足する場合には、50%を中心とするデューティの振れ幅を拡大することができる。
中性点NPが接地点電位であると仮定したときに、V相に流す電流の倍の電流をU相に流すためにV相の駆動デューティを10%とし、U相の駆動デューティを20%とすることが要求されるとすると、中性点駆動回路600の制御によって中性点NPの電位が接地点電位から変化する分だけV相、U相の駆動デューティを補正する。
以上の操作により、正常な2相の電流の合計が中性点駆動回路600への流出入電流となり、正常な2相に目標電流に近い電流を流すことができる。
例えば、図7に示すように、U相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wとインバータ回路300との間の駆動ライン310U,310V,310Wに相リレー330U,330V,330Wを設け、コントロールユニット150は、故障が発生した相の相リレー330をオフに制御することができる。
よって、インバータ回路300を構成する半導体スイッチ(MOSFET)と同じ素子を中性点駆動回路600に用いる場合、中性点駆動回路600の流出入電流のピークが中性点駆動回路600を構成する素子の電流耐量以内となることが、正常な2相で発生させ得る磁界ベクトルの大きさの制約となり、1相が故障した状態で発生できる磁界ベクトルの大きさは全相が正常である場合に比べて1/3程度になる。
そこで、中性点駆動回路600におけるスイッチング損失を低減するために、コントロールユニット150は、中性点駆動回路600のPWM制御周波数(キャリア周波数)を、インバータ回路300のPWM制御周波数よりも低くする。
これにより、中性点駆動回路600におけるスイッチング損失が低減し、より大きなトルクを電動モータ130で発生させることができる。
図8は、W相に故障が発生しU相及びV相を駆動するときのU相電流、V相電流、中性点電流と中性点駆動回路600の出力との相関を示す。
ここで、High出力固定とは、半導体スイッチ600Hの駆動デューティを100%(半導体スイッチ600Hをオン状態)に固定し、半導体スイッチ600Lの駆動デューティを0%(半導体スイッチ600Lをオフ状態)に固定するモードである。
更に、ハイインピーダンス出力固定とは、半導体スイッチ600H及び半導体スイッチ600Lの駆動デューティを共に0%(半導体スイッチ600H,600Lを共にオフ状態)に固定するモードである。
つまり、High出力固定、Low出力固定、ハイインピーダンス出力固定のいずれにおいても、半導体スイッチ600H,600Lをスイッチング動作させずに(デューティ制御せずに)、オン状態又はオフ状態に固定する。
また、コントロールユニット150は、U相及びV相における電流の向きが共に負、つまり、U相及びV相における電流の向きが共にインバータ回路300に流し込む方向の場合には、中性点駆動回路600の駆動デューティをHigh出力固定とする。
図8に示すW相の故障状態では、目標磁界ベクトルの電気角が0deg〜120degの領域でLow出力固定とされ、目標磁界ベクトルの電気角が180deg〜300degの領域でHigh出力固定とされ、目標磁界ベクトルの電気角が120deg〜180degの領域及び300deg〜360degの領域でハイインピーダンス出力固定とされる。
一方、中性点駆動回路600の出力をハイインピーダンス出力固定とする領域では、U相及びV相に流れる電流が同じ大きさになり、発生できる磁界ベクトルの方向が、図中に示すVE1方向、VE2方向に固定されることになる。
なお、ハイインピーダンス出力固定とする目標磁界ベクトルの電気角領域(120deg〜180degの領域及び300deg〜360degの領域)では、中性点NPに流れる電流が小さいので、ハイインピーダンス出力固定とする代わりに、半導体スイッチ600Hをデューティ50%でスイッチング動作させ、半導体スイッチ600Lを逆位相のデューティ50%でスイッチング動作させるデューティ制御(デューティ出力状態)を行わせることもできる。
そして、オン抵抗が小さい半導体スイッチを用いれば、中性点駆動回路600における損失を更に低減でき、中性点NPに通電できる電流量の絶対値を更に大きくし、発生する磁界ベクトルの大きさ及びモータ出力トルクを更に増大させることができる。
図10は、中性点駆動回路600の駆動状態をHigh出力固定、Low出力固定、ハイインピーダンス出力固定の3種類に切り替える制御を適用することができる、より簡略化した駆動装置140の一例を示す。
なお、図10において、図2と共通する構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
一方、Nチャンネル型MOSFET600Lのゲートとマイクロコンピュータ151の汎用ポート152Cとが抵抗(ゲート抵抗)R2を介して接続される。
係るNPN型トランジスタTRのオン状態では、Pチャンネル型MOSFET600Hのソースよりもゲートの電圧が低くなってPチャンネル型MOSFET600Hのソース−ドレイン間に電流が流れる状態(Pチャンネル型MOSFET600Hのオン状態)になる。
また、マイクロコンピュータ151の汎用ポート152CからNチャンネル型MOSFET600Lのゲートにハイ信号を出力すると、Nチャンネル型MOSFET600Lがオン状態となってドレイン−ソース間に電流が流れるようになる。
従って、マイクロコンピュータ151の汎用ポート152CからNPN型トランジスタTRのベースにロー信号を出力し、マイクロコンピュータ151の汎用ポート152CからNチャンネル型MOSFET600Lのゲートにハイ信号を出力すれば、中性点駆動回路600はLow出力固定状態となる。
更に、マイクロコンピュータ151の汎用ポート152CからNPN型トランジスタTRのベースにロー信号を出力し、マイクロコンピュータ151の汎用ポート152CからNチャンネル型MOSFET600Lのゲートにロー信号を出力すれば、中性点駆動回路600はハイインピーダンス出力固定となる。
更に、目標磁界ベクトルの電気角が120deg〜180degの領域及び300deg〜360degの領域では、マイクロコンピュータ151は、汎用ポート152CからNPN型トランジスタTRのベースにロー信号を出力し、Nチャンネル型MOSFET600Lのゲートにロー信号を出力することで、ハイインピーダンス出力固定状態とする。
なお、図10に示す回路構成では、中性点NPとU相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wとの間の駆動ライン310U,310V,310Wに相リレー330U,330V,330Wを設けるが、図11に示すように、U相コイル130U、V相コイル130V及びW相コイル130Wとインバータ回路300との間の駆動ライン310U,310V,310Wに相リレー330U,330V,330Wを設けることができる。
そこで、コントロールユニット150は、中性点NPの地絡に対して後述する制御を実施することで、相コイルに過大電流が流れることを抑制しつつ、電動モータ130の継続動作を実現する。
なお、以下に説明する中性点NPが地絡した場合におけるコントロールユニット150の制御は、図2、図7、図10、図11のいずれの回路構成においても適用可能である。
そして、コントロールユニット150は、中性点NPの地絡(中性点NPから中性点リレー620までの間における地絡故障)を検出すると、中性点リレー620をオフ状態からオン状態に切り替え制御し、更に、中性点駆動回路600をLow出力固定状態、つまり、半導体スイッチ600Hの駆動デューティを0%(半導体スイッチ600Hをオフ状態)に固定し、半導体スイッチ600Lの駆動デューティを100%(半導体スイッチ600Lをオン状態)に固定する。
上記のように、中性点リレー620をオン状態に制御し、かつ、中性点駆動回路600をLow出力固定状態とすると、インバータ回路300は電流の流し出ししかできないことになるが、インバータ回路300における各相の出力デューティを変化させて各相コイルへの通電電流(流し出し電流)を制御することで、任意の磁界ベクトルを発生させて電動モータ130を駆動することができる。
中性点リレー620がオン状態で、かつ、中性点駆動回路600をLow出力固定状態としたときには、前述のように、インバータ回路300における流出入電流は各相への流し出しだけとなり、U相コイル130Uにのみ電流を流し出したときの磁界ベクトルの方向は図12に示す180degの方向となり、V相コイル130Vにのみ電流を流し出したときの磁界ベクトルの方向は図12に示す300degの方向となり、W相コイル130Wにのみ電流を流し出したときの磁界ベクトルの方向は図12に示す60degの方向となる。
例えば、図12に示すように、発生させたい磁界ベクトルの電気角が300deg〜60degの範囲内であるとき、係る磁界ベクトルの電気角領域300deg〜60degと、U相への電流流し出しによって発生する磁界ベクトルの電気角である180degとは120deg以上異なるので、コントロールユニット150は、発生させたい磁界ベクトルの電気角が300deg〜60degの範囲内である場合、インバータ回路300におけるU相出力をLow出力固定とするか又はハイインピーダンス出力固定とする。
また、U相出力のハイインピーダンス出力固定状態とは、半導体スイッチ320UH及び半導体スイッチ320ULの駆動デューティを共に0%(半導体スイッチ320UH,320ULを共にオフ状態)に固定する制御状態である。
そこで、コントロールユニット150は、発生させたい磁界ベクトルの電気角が60deg〜180degの範囲内である場合には、インバータ回路300におけるV相出力をLow出力固定とするか又はハイインピーダンス出力固定とし、発生させたい磁界ベクトルの電気角が180deg〜300degの範囲内である場合には、インバータ回路300におけるW相出力をLow出力固定とするか又はハイインピーダンス出力固定とする。
V相への電流流し出しによって電気角300degの磁界ベクトルが発生し、W相への電流流し出しによって電気角60degの磁界ベクトルが発生する。
これにより、コントロールユニット150は、中性点NPが地絡する故障が発生した場合においても、電動モータ130を回転駆動させることができる。
中性点リレー620から中性点駆動回路600との間での地絡故障の有無は、中性点リレー620から中性点駆動回路600との間に電流検出器342(図12参照)を設け、中性点リレー620のオフ状態で、半導体スイッチ600Hをオンし半導体スイッチ600Lをオフしたとき(中性点駆動回路600をHigh出力固定としたとき)に、電流検出器342で電流が検出されるか否かに基づいて診断することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
また、相リレー330U,330V,330Wを半導体スイッチで構成する場合には、Nチャネル型MOSFET又はPチャネル型MOSFETとすることができる。
また、電動モータ130は、電動パワーステアリング装置100において操舵補助力を発生させる電動モータに限定されるものではなく、例えば、車両においてオイルや冷却水を循環させる流体ポンプを駆動する電動モータとすることができる。
(イ)前記多相電動モータが3相電動モータであり、
前記3相のうちの1相が故障したときに、正常な2相からの前記駆動手段への流し込み電流が高くなるほど前記中性点駆動回路のデューティを50%からより大きくし、前記駆動手段から正常な2相への流し出し電流が高くなるほど前記中性点駆動回路のデューティを50%からより小さくする、請求項2記載の電動モータの制御装置。
上記構成によると、中性点駆動回路から電流を流し込みたい場合にはデューティを高くし、中性点駆動回路に電流を引き込みたい場合にはデューティを低くすることで、電源電圧の有効利用を図ることができる。
上記構成によると、発生させたい磁界ベクトルの電気角(換言すれば、磁極位置)に基づき、前記中性点駆動回路から電流を流し込みたい領域、前記中性点駆動回路に電流を引き込みたい領域を区別してデューティを変化させることで、電源電圧の有効利用を図ることができる。
上記発明によると、発生させたい磁界ベクトルの電気角(換言すれば、磁極位置)に基づき、前記中性点駆動回路から電流を流し込みたい領域、前記中性点駆動回路に電流を引き込みたい領域を区別して、中性点駆動回路の出力固定状態を切り替えることで、電源電圧の有効利用を図ることができる。
前記3相のうちの1相が故障したときに、正常な2相の電流が共に前記駆動手段からの流し出し方向である場合は前記中性点駆動回路をロー出力固定とし、正常な2相の電流が共に前記駆動手段への流し込み方向である場合は前記中性点駆動回路をハイ出力固定とし、正常な2相の電流の方向が相互に異なる場合は前記中性点駆動回路をハイインピーダンス出力固定とする、請求項3記載の電動モータの制御装置。
上記構成によると、中性点駆動回路を、ロー出力固定、ハイ出力固定、ハイインピーダンス出力固定のいずれかに設定するから、中性点駆動回路のスイッチング損失を減らして中性点に通電できる電流の絶対値を大きくすることができ、モータ出力トルクを増大することができる。
前記下アームを構成するFETのゲートとマイクロコンピュータの制御用端子とをゲート抵抗を介して接続し、前記マイクロコンピュータの制御用端子で前記下アームを構成するFETを直接駆動する、請求項(ニ)記載の電動モータの制御装置。
上記構成によると、下アームを構成するFETのゲートを駆動する回路を省略でき、また、サージがマイクロコンピュータに伝播することをゲート抵抗によって抑制し、マイクロコンピュータを保護することができる。
上記構成によると、上アームを構成するFETをスイッチング動作させる必要がないので、FETのゲート駆動回路を省略し、トランジスタのオン,オフをマイクロコンピュータの出力で切り替えることで上アームを構成するFETのオン,オフを切り替えることができる。
前記3相のうちの1相が故障したときに、正常な2相の電流が共に前記駆動手段からの流し出し方向である場合は前記中性点駆動回路をロー出力固定とし、正常な2相の電流が共に前記駆動手段への流し込み方向である場合は前記中性点駆動回路をハイ出力固定とし、正常な2相の電流の方向が相互に異なる場合は前記中性点駆動回路を50%デューティでPWM制御する、請求項4記載の電動モータの制御装置。
上記構成によると、中性点駆動回路をハイインピーダンス出力固定とする代わりに、50%デューティにPWM制御することで、モータの継続駆動を可能にする。
上記構成によると、中性点が地絡故障した場合でも電動モータを駆動することができる。
上記構成によると、操舵補助力を発生させる多相電動モータのいずれかの相に故障が発生しても、電源電圧を有効利用して電動モータの駆動を継続させることができ、操舵補助力の発生が途絶えることを抑制できる。
Claims (5)
- 各相コイルの一端が中性点でスター結線された多相電動モータと、
半導体スイッチを多相ブリッジ接続して構成され前記多相電動モータの巻線に通電するインバータ回路と、
前記中性点と前記インバータ回路との間の前記各相コイルの駆動ラインそれぞれに設けた相リレーと、
上アームの半導体スイッチと下アームの半導体スイッチとが直列に接続される接続点と前記中性点とを接続してなる中性点駆動回路と、
を備えた電動モータの制御装置において、
前記多相電動モータの各相が正常であるときは、前記相リレーの全てをオンに制御するとともに前記中性点駆動回路による前記中性点への電流の流し込み及び前記中性点から電流の引き込みを遮断し、前記多相電動モータの多相のうちのいずれかの相で故障が生じたときは、故障が生じた相の駆動ラインに設けられた前記相リレーをオフに制御するとともに前記中性点駆動回路による前記中性点への電流の流し込み及び前記中性点からの電流の引き込みを前記多相電動モータの磁極位置に応じて行わせる制御手段を含む、電動モータの制御装置。 - 前記制御手段は、前記多相電動モータの多相のうちのいずれかの相で故障が生じたときに、前記多相電動モータの磁極位置に基づき区別される複数領域毎に前記上アームの半導体スイッチ及び前記下アームの半導体スイッチの操作信号を切り替える、請求項1記載の電動モータの制御装置。
- 前記制御手段は、前記多相電動モータの多相のうちのいずれかの相で故障が生じたときに、前記多相電動モータの磁極位置に応じて前記上アームの半導体スイッチ及び前記下アームの半導体スイッチの操作信号を連続的に変化させる、請求項1記載の電動モータの制御装置。
- 前記制御手段は、前記多相電動モータの多相のうちのいずれかの相で故障が生じたときに、正常な相に流す電流の目標値を前記多相電動モータの磁極位置に応じて設定し、前記目標値に応じて前記インバータ回路の半導体スイッチ及び前記中性点駆動回路の半導体スイッチを制御する、請求項1記載の電動モータの制御装置。
- 前記制御手段は、前記多相電動モータの中性点が地絡したときに、前記中性点駆動回路の上アームの半導体スイッチをオフに制御し下アームの半導体スイッチをオンに制御する、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電動モータの制御装置。
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