JP6087935B2 - ソルビタン界面活性剤に基づく一時的防曇性被膜を含む光学物品 - Google Patents

ソルビタン界面活性剤に基づく一時的防曇性被膜を含む光学物品 Download PDF

Info

Publication number
JP6087935B2
JP6087935B2 JP2014534947A JP2014534947A JP6087935B2 JP 6087935 B2 JP6087935 B2 JP 6087935B2 JP 2014534947 A JP2014534947 A JP 2014534947A JP 2014534947 A JP2014534947 A JP 2014534947A JP 6087935 B2 JP6087935 B2 JP 6087935B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
surfactant
group
antifogging
precursor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014534947A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014528599A (ja
Inventor
クレティエ アネット
クレティエ アネット
サン−リュ シャルロット
サン−リュ シャルロット
Original Assignee
エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク)
エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク)
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク), エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) filed Critical エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク)
Publication of JP2014528599A publication Critical patent/JP2014528599A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6087935B2 publication Critical patent/JP6087935B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/111Anti-reflection coatings using layers comprising organic materials
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31652Of asbestos
    • Y10T428/31663As siloxane, silicone or silane

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Eyeglasses (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、防曇性被膜の前駆体被膜を含む一時的防曇性被膜を備えた光学物品、好ましくは眼鏡レンズに関する。但し、この防曇性被膜前駆体被膜は、防曇効果が依然として長期間持続するか否かを知ることを可能にするソルビタン性の特異的界面活性剤分子を含む界面活性剤膜で更に被覆される。
プラスチック材料やガラス等の非常に多くの支持体は、欠点として、それらの表面温度が周囲空気の露点未満に低下した時に曇りで覆われた状態になるという問題を抱えている。このことは、とりわけ、輸送車両又は建築物、レンズ、特に眼鏡、鏡等に供される板ガラスの製造に使用される無機ガラス又は有機ガラスの場合に当てはまる。これらの表面で起こる曇化は、水滴を介する光の拡散に起因して透明度の低下をもたらすので、視覚の変化を引き起こし得る。
非常に湿った環境中での曇りの形成、即ち、支持体上での非常に小さな水滴の凝縮を防止するために、そのような支持体の外表面上に水との静的接触角が小さい、好ましくは10°未満、より好ましくは5°未満の親水性被膜を適用することが提案されてきた。そのような永久的防曇性被膜は、曇りに対してスポンジとして作用し、透明度のある印象を与える非常に薄い膜を形成することにより支持体表面への水滴の接着を可能にする。これらの被膜は、一般的には、スルホネートやポリウレタン等の高親水性種で作製される。
市販の製品は、数マイクロメートルの厚さの親水性層を含む。
通例、被膜の厚さが厚い場合(数ミクロン)、これらの被膜は、吸水の結果として、膨潤し、軟化し、そして機械的耐性が小さくなる。
本明細書で用いられる場合、永久的防曇性被膜とは、他の被膜又は支持体に永久的に結合された親水性化合物から親水性を生じる且つ防曇性を有する被膜を意味するものと見なされる。
欧州特許第1324078号明細書には、耐摩耗性被膜と、互いに高屈折率と低屈折率とを交互に有する層を含む多層反射防止被膜と、で被覆されたレンズが記載されている。但し、これらの層のうち外層は、水との静的接触角が10°未満のハイブリッド層に依拠する防曇性被膜を形成する5〜100nmの厚さの低屈折率層(1.42〜1.48)であり、有機化合物とシリカ又はシリカ及びアルミナとの真空共蒸発により得られる。
前記有機化合物は、1個の親水性基と1個の反応性基(例えばトリアルコキシシリル基)とを含み、好ましくは150〜1500g/molの範囲内の分子量を有する。いくつかの好ましい化合物は、ポリエーテル骨格、特に1個のポリオキシエチレン基と、分子の各末端上に1個の反応性基と、を有する。好ましい化合物としては、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、及びN−(3−トリメトキシシリルプロピル)グルコンアミドが挙げられる。
従って、防曇性被膜は、親水性有機化合物がシリカ系層(又はシリカ+アルミナ系層)として組み込まれた状態になる。然しながら、その防曇特性は、経時的に変化し、防曇性の段階的劣化が観測され得る。
米国特許第6,251,523号明細書及び米国特許第6,379,776号明細書には、車又はレンズに供される反射防止防曇性ガラスが記載されている。このガラスは、約5〜10nmの表面粗さRaを有する110〜250nmの厚さのシリカ系反射防止被膜を備えたガラス基材を含み、この反射防止被膜は更に、化合物CH3O−(CH2CH2O)6~9−(CH23Si(OCH33又はその加水分解物の液相堆積又は気相堆積により得られる8nmの厚さの永久的防曇性被膜を備える。初期段階では、防曇性被膜は、水との静的接触角が3°である。
反射防止性と防曇性とを兼備する他の解決策は、層への防曇性の付与を可能にする界面活性剤で部分的に作製された薄い多孔性低屈折率層の使用に依拠する。この層は、一般的には、親水性表面上に堆積される。
従って、米国特許第5,997,621号明細書には、金属酸化物(シリカビーズ)と、カルボン酸、スルホン酸、又はリン酸タイプのイオン性親水性頭部とフッ素化鎖とを一般に有する比較的水溶性のアニオン性界面活性剤と、に基づく多孔性反射防止防曇性被膜が記載されている。基材上に固定するために、界面活性剤は、好ましくは、金属酸化物への共有結合が可能である。国際公開第97/43668号パンフレットには、類似の構築物が記載されている。
欧州特許第0871046号明細書には、ポリアクリル酸化合物の存在下で無機アルコキシド加水分解物の重縮合により得られる数マイクロメートルの厚さの吸水性層上に堆積された1つの無機酸化物系多孔性層を含む反射防止防曇性系が記載されている。多孔性層は、反射防止障壁として作用すると共に、吸収層への水の到達を可能にする。
防曇性はまた、眼鏡レンズが反射防止被膜を備える場合に不可欠であると見なされることが多い防汚性被膜(疎水性且つ疎油性)を外層として含む眼鏡レンズ上に、スプレー又はタオレットとして市販されている一時的溶液を適用することによっても取得し得る。それらは、短期間の防曇性の取得を可能にする。防汚性被膜に付与される汚れ除去の容易性の側面は維持されるが、数回の払拭操作後、防曇性は有意に変化する。実際に、一時的溶液は、防汚性被膜の疎水性表面と不十分な相互作用をする本質的に親水性の材料を含むので、数回の払拭操作後、これらの親水性材料は除去される。
より興味深い解決策は、防曇性被膜前駆体被膜の表面上に一時的親水性溶液を適用することにより防曇性被膜を作製することに依拠する。これは、永久的防曇性被膜の代替手段となる。
欧州特許第1275624号明細書には、金属酸化物と酸化ケイ素とに基づく硬質無機親水性層で被覆されたレンズが記載されている。その親水性及びその表面上のナノサイズの凹部の存在は、界面活性剤の含浸及び長期間にわたるその吸着状態の維持を可能にするので、数日間、防曇効果が維持される。然しながら、防曇効果はまた、界面活性剤が全く存在しなくても観測可能である。
特開2004−317539号公報及び特開2005−281143号公報には、多層反射防止被膜及び/又は耐摩耗性被膜と、水との静的接触角が50°〜90°の防曇性被膜前駆体被膜と、で被覆されたレンズが記載されている。一時的被膜であるそのような防曇性被膜は、前駆体被膜の表面上に界面活性剤を適用した後に得られる。
防曇性被膜前駆体被膜は、反射防止被膜の外側シリカ層との反応が可能な反応性基を含む有機化合物、たとえば、CH3O(CH2CH2O)22CONH(CH23Si(OCH33及びC817O(CH2CH2O)2CONH(CH23Si(OCH33を含む組成物から得られる。前駆体被膜は、0.5〜20nmの厚さであると記載されている。
国際公開第2011/080472号パンフレットには、表面上に、シラノール基を含む被膜と、この被膜に直接接触して、防曇性被膜前駆体被膜と、を備えた基材を含む眼鏡レンズが記載されている。但し、この防曇性被膜前駆体被膜は、
・以下の基、すなわち、
・80個未満の炭素原子を含むポリオキシアルキレン基と、
・少なくとも1個の加水分解性基を有する少なくとも1個のケイ素原子と、
を有する少なくとも1つのオルガノシラン化合物のグラフト化により得られ、
・5nm以下の厚さを有し、
・水との静的接触角が10°超且つ50°未満である。
この表面に一時的防曇性を提供するように好ましく堆積される界面活性剤溶液は、市販の溶液Optifog(商標)活性化剤である。好ましい界面活性剤は、ポリ(オキシアルキレン)基を含む構造を有する。
防曇性、特に、国際公開第2011/080472号パンフレットに記載のレンズ前駆体被膜に伴う防曇効果の耐久性は、非常に満足すべきものである。典型的には、防曇効果は、界面活性剤組成物の適用後約7日間にわたりレンズ表面上で観測される。
実用上、レンズが最早防曇効果を示さない場合、即ち、曇りを生じる条件下でレンズ上に再び曇りが形成された場合、追加量の界面活性剤をその眼鏡レンズに「再供給」しなければならないと、着用者には通知されている。そのような防曇性被膜を使用するうえでの便宜性は、依然として、改善する必要がある。
実際に、防曇性を失う前に自分の眼鏡レンズ上に新しい界面活性剤膜を直ぐに再適用するかを知る方法を着用者に提供すれば、有用であろう。本発明によれば、これは、特異的防曇性被膜前駆体被膜と組み合わせて特異的界面活性剤を用いることにより形成される目視指標により達成された。
良好な機械的性質(耐摩耗性及び耐引掻き性)をさらに有する眼鏡等の光学物品用の防曇性被膜は、依然として需要が多い。
本発明は、許容可能な汚れ除去容易性を維持しつつ、経時的に及び/又は機械的応力下で防曇性の満足すべき耐久性を呈する、そのような一時的防曇性被膜を作製することを目的とする。そのような防曇性被膜を備えたレンズの表面上に布を滑らせ得ることもまた(例えば払拭中)、考慮すべき非常に重要なパラメーターである。
本発明の他の目的は、光学物品の透明度に影響を及ぼさない且つ直ぐに使用できる防曇性被膜、即ち、そのような被膜で被覆された透明レンズ基材を、前記被膜を含まない前記基材上で曇りを生じる条件下に配置した場合、5メートルの距離に位置するスネレンE視力スケール(5メートルの位置でARMAIGNACスケール(トライデント)(スネレンE)を読むFAX INTERNATIONALから入手可能な商品名T6)に基づいて、被覆レンズを通して観測者が見て曇り形成を伴うことなく、>6/10(視力)、好ましくは10/10の視覚を直ちに(即ち1秒間未満で)達成する被膜を提供することである。
本発明の更なる目的は、反射防止性及び防曇性の両方を有する光学物品を提供することである。
本発明者らは、これらの目的が、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含む防曇性被膜前駆体被膜で前記反射防止被膜が更に被覆される限り、透明基材上に適用された反射防止被膜の残色を変化させる特定の界面活性剤類により狙いを定め得ること、且つ一時的防曇性被膜で被覆された反射防止レンズに対する界面活性剤レベルの目視制御を提供するためにこの性質の利点を生かすことが可能であること、を発見した。言い換えれば、十分量の本発明に係る界面活性剤が、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含む防曇性被膜前駆体の表面上に依然として存在する限り、反射防止被膜は、変化した残色を一様に呈する。
殆ど全ての反射防止被膜が、最も効率的な多層反射防止被膜でさえも、反射光中に見られるいくらかの残色を呈することは、周知である。反射防止被膜の残色は、再現性のある十分に制御されたパラメーターである。色及び強度の変化は、被覆製品の製造業者の同定にさえも役立つことがある。
以上に記載の有益な効果を呈する界面活性剤は、公知の界面活性剤類、即ち、ポリアルコキシル化ソルビタン類に属する。
このクラスのメンバー(Tween(商標)40)は、食品材料を含有するフィルム材の透明パッケージの内表面に防曇性を提供することが、米国特許第2,561,010号明細書に示されている。そのような透明ラッピング材は、水凝縮物が表面全体に展延できるように、従って、湿潤膜を通る光線が全て同一の角度で屈折を引き起こしてレンズの曇化が防止されるように、埋め込まれた界面活性剤を含むか、又はTween(商標)40をはじめとする界面活性剤を含有する液体溶液で処理されている。
然しながら、反射防止被膜とTween(商標)40等のポリオキシアルキレン化ソルビタンの膜との組合せは、考えられてこなかった。
従って、本発明は、反射防止被膜と、前記反射防止被膜に直接接触して、ポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物Bを前記反射防止被膜上にグラフト化することにより得られる防曇性被膜の前駆体被膜と、で被覆された少なくとも1つの主表面を有する基材を含む光学物品、好ましくは眼鏡レンズに関する。但し、前記防曇性被膜の被膜前駆体は、防曇性被膜を形成するように界面活性剤膜で被覆される。前記界面活性剤膜は、ソルビタン環を有する少なくとも1つの界面活性剤Aを含有し、その4個のヒドロキシル基のうちn個は、同一の又は異なるOH末端ポリオキシアルキレン基で官能基化され、且つその4個のヒドロキシル基のうちp個は、式:−(RdO)z−(Y)n2−R’ (式中、Rdはアルキレン基であり、zは整数≧1であり、Yは二価基であり、n2は0又は1であり、且つR’は12〜19個、好ましくは13〜19個の炭素原子を有する飽和炭化水素基であり、n及びpは、n+p=4としてn=2又は3且つp=1又は2であるであるような整数である)で示される同一の又は異なるR1基で官能基化される。
本出願では、基材/被膜「上に」存在する又は基材/被膜「上に」堆積された被膜は、(i)基材/被膜上に配置された被膜、(ii)必ずしも基材/被膜に接触した状態であるとは限らない被膜、即ち、1つ以上の中間被膜が基材/被膜と対象の被膜との間に配置され得る(然しながら、好ましくは前記基質/被膜に接触した状態である)被膜、及び(iii)必ずしも完全に基材/被膜を覆うとは限らない被膜として定義される。「層1が層2の下に配置される場合」、層2は、層1よりも基材から離れていることを意味するものと見なされる。
本明細書で用いられる場合、「防曇性被膜」とは、そのような被膜で被覆された透明レンズ基材を、前記被膜を含まない前記基材上で曇りを生じる条件下に配置した場合、5メートルの距離に位置する視力スケールを被覆レンズを通して見た観測者が視力>6/10を直ちに達成できる被膜を意味するものと見なされる。被膜の防曇性を評価するいくつかの試験は、実験の節に記載されている。曇りを生じる条件下では、防曇性被膜は、その表面上に曇りを呈し得ないか(理想的には、視覚の歪みがないかもしくは視覚の歪みがあるが以上に挙げた測定条件下で視力>6/10である)、又はその表面上にいくらかの曇りを呈し得るが、曇りから生じる視覚の乱れにもかかわらず以上に挙げた測定条件下で視力>6/10が依然として可能である。非防曇性被膜は、曇りを生じる条件に暴露される限り視力>6/10が可能でなく、一般的には、以上に挙げた測定条件下で凝縮ヘイズを呈する。
本明細書で用いられる場合、「防曇性光学物品」とは、以上に定義されたような「防曇性被膜」を備えた光学物品を意味するものと見なされる。
従って、親水性被膜である本発明に係る防曇性被膜前駆体は、たとえいくらかの防曇性を有していたとしても、本発明に係る防曇性被膜であるとは見なされない。実際に、この防曇性被膜前駆体は、以上に挙げた測定条件下で視力>6/10を得ることはできない。
本明細書で用いられる場合、一時的防曇性被膜とは、少なくとも1つの界面活性剤を含有する界面活性剤膜を前記防曇性被膜の前駆体被膜の表面上に適用した後に得られる防曇性被膜を意味するものと見なされる。
一時的防曇性被膜の耐久性は、一般的には、その表面上で行われる払拭操作による制約を受けるので、界面活性剤分子は、被膜の表面に永久的に装着されるのではなく、多かれ少なかれ耐用期間中だけ吸着されるにすぎない。
本発明に従って作製される光学物品は、前面及び背面に主表面を有する好ましくは透明な基材を含み、好ましくは、前記主表面の少なくともの1つは、その表面上に、好ましくは両方の主表面上に、シラノール基を含む反射防止被膜を備える。本明細書で用いられる場合、基材の背面(一般的には凹状)とは、物品を使用する時、着用者の眼から最も近い面を意味するものと見なされる。それとは対照的に、基材の前面(一般的には凸状)とは、物品を使用する時、着用者の眼からの最も離れた面のことである。
本発明に係る物品は、曇り形成の問題に遭遇し得る任意の光学物品、例えば、スクリーン、自動車工業用若しくは建築工業用の板ガラス、又は鏡であり得るが、好ましくは光学レンズ、より好ましくは眼鏡用の眼鏡レンズ、又は光学レンズ用若しくは眼鏡レンズ用のブランク品である。
これは、眼鏡用のレンズとは対照的に、生組織に接触した状態にある眼内レンズ又は本質的に曇り形成の問題に直面しないコンタクトレンズを除外する。
本発明に係る光学物品は、好ましくは、透明である。本明細書で用いられる場合、「透明」光学物品とは、可視スペクトルの相対光透過率Tvが90%超、好ましくは91%超、より好ましくは92%超、更により好ましくは97.5%超、更に良好には98%超の光学物品のことである。Tv率は、規格NF EN1836に規定されたものであり、380〜780nmの波長領域に対応する。
本発明によれば、反射防止被膜の外表面は、好ましくは、シラノール基を含む。前記反射防止被膜は、裸基材、即ち非被覆基材の主表面の少なくともの1つ上に、又は1つ以上の機能性被膜で既に被覆された基材の主表面の少なくともの1つ上に、形成され得る。
本発明に係る光学物品用の基材は、無機ガラス又は有機ガラス、例えば、熱可塑性若しくは熱硬化性のプラスチック材料であり得る。
特に好ましいクラスの基材としては、ポリ(チオウレタン)、ポリエピスルフィド、及びアルキレングリコールビスアリルカーボネートの重合又は(共)重合から生じる樹脂が挙げられる。これらは、例えば、PPG Industries companyによりCR−39(登録商標)という商品名で販売されている(ESSILOR製のORMA(登録商標)レンズ)。
いくつかの用途では、反射防止被膜の堆積前に基材の主表面を1つ以上の機能性被膜で被覆することが好ましい。光学部品で伝統的に使用されるこれらの機能性被膜としては、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性及び/又は耐引掻き性被膜、偏光被膜、フォトクロミック被膜、又はティント処理被膜、特に耐摩耗性及び/又は耐引掻き性層で被覆された耐衝撃性プライマー層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反射防止被膜は、好ましくは、耐摩耗性及び/又は耐引掻き性被膜上に堆積される。耐摩耗性被膜及び/又は耐引掻き性被膜は、眼鏡レンズ分野で耐摩耗性被膜及び/又は耐引掻き性被膜として伝統的に使用される任意の層であり得る。
耐摩耗性及び/又は耐引掻き性被膜は、好ましくは、硬化後に被膜の硬度及び/又は屈折率を改善することが意図された1つ以上の無機充填剤を一般に含むポリ(メタ)アクリレート又はシランに基づく硬質被膜である。本明細書で用いられる場合、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのことである。
耐摩耗性被膜及び/又は耐引掻き性硬質被膜は、好ましくは、少なくとも1つのアルコキシシラン及び/又は例えば塩酸溶液を用いて加水分解により得られるその加水分解物と、任意選択で縮合及び/若しくは硬化触媒並びに/又は界面活性剤と、を含む組成物から作製される。
本発明に係る推奨被膜としては、欧州特許第0614957号明細書、米国特許第4,211,823号明細書、及び米国特許第5,015,523号明細書に記載されるようなエポキシシラン加水分解物に基づく被膜が挙げられる。
耐摩耗性被膜及び/又は耐引掻き性被膜の厚さは、一般的には2〜10μm、好ましくは3〜5μmの様々な値をとる。
耐摩耗性被膜及び/又は耐引掻き性被膜を堆積する前に、最終製品中の後続層の耐衝撃性及び/又は接着性を改善するために基材上にプライマー被膜を適用することが可能である。
この被膜は、眼鏡レンズ等の透明ポリマー材料の物品に伝統的に使用される任意の耐衝撃性プライマー層であり得る。
好ましいプライマー組成物は、国際公開第2011/080472号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものから選択され得る。
好ましいプライマー組成物は、ポリウレタンに基づく組成物、並びにラテックス、特にポリウレタン系ラテックス及びポリ(メタ)アクリル系ラテックスに基づく組成物、並びにそれらの組合せである。プライマー層は、硬化後、一般的には0.2〜2.5μmの範囲内、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲内の厚さを有する。
反射防止被膜は、光学分野、特に眼光学分野で伝統的に使用される任意の反射防止被膜であり得る。反射防止被膜は、光学物品の表面上に堆積されて最終光学物品の反射防止性を改善する被膜として定義される。それは、可視スペクトルの比較的多くの部分にわたり物品−空気境界での光反射の低減を可能にする。
同様に周知のように、反射防止被膜は、伝統的に、誘電性材料を含む単層又は多層のスタックを含む。これらは、好ましくは、高屈折率(HI)を有する層と低屈折率(LI)を有する層とを含む多層被膜である。
本出願では、反射防止被膜の層は、その屈折率が1.55超、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上、更より好ましくは2.0以上である場合、高屈折率を有する層であると言われる。反射防止被膜の層は、その屈折率が1.55以下、好ましくは1.50以下、より好ましくは1.45以下である場合、低屈折率層であると言われる。特に明記されていない限り、本発明で参照される屈折率は、25℃且つ550nmの波長で表される。
HI層及びLI層は、当技術分野で周知の伝統的層であり、一般的には、限定されるものではないが、国際公開第2011/080472号パンフレットに開示される材料から選択され得る1種以上の金属酸化物を含む。
SiO2とAl23との混合物を含むLI層を使用する場合、それは、この層中のSiO2+Al23の全重量を基準にして、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、さらにより好ましくは1〜5%重量のAl23を含む。
典型的には、HI層は、10〜120nmの範囲内の物理的厚さを有し、LI層は、10〜100nmの範囲内の物理的厚さを有する。
好ましくは、反射防止の全厚さは、1ミクロン未満、より好ましくは800nm以下、更により好ましくは500nm以下である。反射防止の全厚さは、一般的には、100nm超、好ましくは150nm超である。
更により好ましくは、反射防止被膜は、低屈折率(LI)を有する少なくとも2つの層と、高屈折率(HI)を有する少なくとも2つの層と、を含む。好ましくは、反射防止被膜中の全層数は、8以下、より好ましくは6以下である。
HI層及びLI層は、反射防止被膜中で互いに交互に配置する必要はないが、それらもまた、本発明の一実施形態に係るものであり得る。2つのHI層(又はそれ以上)は、互いの上に堆積され得るし、2つのLI層(又はそれ以上)も同様に、互いの上に堆積され得る。
反射防止被膜の種々の層は、国際公開第2011/080472号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される方法の何れか1つに従って堆積され得る。特に推薦される方法は、真空下での蒸発である。
Rvと記される本発明に係る光学物品の視感反射率は、好ましくは、物品の1つの面につき2.5%未満である。そのようなRv値に達する手段は、当業者では周知である。
本出願では、「視感反射率」とは、ISO規格13666:1998に規定されるものであり、ISO8980−4規格に準拠して測定される。即ち、それは、380〜780nmの全ての可視スペクトル波長領域内の分光反射率の加重平均である。
反射防止被膜は、単層又は多層の反射防止被膜であり、その外層は、好ましくは、その表面上にシラノール基を有する。本明細書で用いられる場合、被膜の外層とは、基材から最も離れた前記被膜の層を意味するものと見なされる。
本明細書で用いられる場合、表面上にシラノール基を含む被膜とは、未処理の状態で表面上にシラノール基を含む被膜、又は例えば国際公開第2011/080472号パンフレットに記載されるように、表面活性化処理に付した後にシラノール基が形成された被膜を意味するものと見なされる。
従って、この被膜は、シロキサン又はシリカに基づく被膜、たとえば、限定されるものではないが、シリカに基づく層、アルコキシシラン等のオルガノシラン種に基づくゾル−ゲル被膜、又はシリカコロイドに基づく被膜である。
表面上にシラノール基を含む前記外層は、好ましくは、シリカに基づく(シリカを含む)低屈折率層であり、最も好ましくは、それは、一般に気相堆積により得られるシリカに基づく層(SiO2)に依拠する。
SiO2に基づく前記層は、シリカに加えて、薄層の製造に伝統的に使用される1つ以上の他の材料、例えば、本明細書に記載の誘電性材料から選択される1つ以上の材料を含み得る。SiO2に基づくこの層は、好ましくは、Al23を含まない。
表面上にシラノール基を含む被膜は、好ましくは少なくとも70重量%のSiO2、より好ましくは少なくとも80重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%のSiO2を含む。既に気付かれたと思うが、最も好ましい実施形態では、それは100重量%のシリカを含む。
また、表面上にシラノール基を含む外層又は反射防止被膜は、アルコキシシラン(例えばテトラエトキシシラン)等のシラン又はγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のオルガノシランに基づくゾル−ゲル被膜であり得る。そのような被膜は、シランの加水分解物と、任意選択で高屈折率(>1.55、好ましくは>1.60、より好ましくは>1.70)又は低屈折率(≦1.55)を有するコロイド材料と、を含む液体組成物を用いて、湿式堆積により得られる。層がシランに基づく有機/無機ハイブリッドマトリックスを含み、各層の屈折率を調整するためにコロイド材料が分散されたそのような被膜は、例えば、仏国特許第2858420号明細書に記載されている。
好ましい反射防止被膜は、残色を呈するものである。
反射防止被膜上に防曇性被膜前駆体を形成する前に、そのような被膜の表面を防曇性被膜前駆体の接着性を補強することが意図された物理的又は化学的活性化処理に付すのが通常である。これらの処理は、国際公開第2011/080472号パンフレットに同一目的で記載されたものから選択され得る。
本発明によれば、反射防止被膜は、防曇性被膜の前駆体被膜に直接接触した状態にある。これについては、以下で説明する。
本明細書で用いられる場合、「防曇性被膜の前駆体」とは、表面上に界面活性剤膜が適用された場合に本発明の趣旨の範囲内の防曇性被膜を形成する被膜を意味するものとみなされる。前駆体被膜+界面活性剤に基づく膜の系は、そのような防曇性被膜に対応する。
防曇性被膜前駆体被膜は、好ましくは10°超且つ50°未満の水との静的接触角を有する、好ましくは5nm以下、好ましくは4nm以下、より好ましくは3nm以下、更により好ましくは2nm以下の厚さを有する被膜であり、これは、ポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物の永久的グラフト化により得られる。
ポリオキシアルキレン基を有する前記化合物は、一般的には、グラフト化しなければならない反射防止被膜の外表面上に存在する官能基との共有結合を確立可能な少なくとも1個の基、好ましくはシラノール基を有する。この反応性基は、限定されるものではないが、次の基、即ち、イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ハロゲノアルキル、カルボン酸若しくはスルホン酸、アシルクロリド、クロロスルホニル、クロロホルミエート、エステル、少なくとも1つの加水分解性基を有するケイ素原子、又はグリシジル基等のエポキシ官能基を含有する基の1つであり得る。
ポリオキシアルキレン基を有する化合物は、好ましくは、ポリオキシアルキレン基と、少なくとも1個の加水分解性基を有する少なくとも1個のケイ素原子と、を有するオルガノシラン化合物である。
本発明の一実施形態では、防曇性被膜前駆体被膜は、ポリオキシアルキレン基と、少なくとも1個の加水分解性基を有する少なくとも1個のケイ素原子と、を有するオルガノシラン化合物の加水分解物を含む組成物を適用することにより堆積される。
加水分解オルガノシラン化合物の縮合を回避することにより、できる限り多くのシラノール官能基を自由に反応する状態に維持できるようにして、光学物品の表面上へのこれらの化合物のグラフト化を促進し、グラフト化前のシロキサンプレポリマーの形成を制限することが推奨される。そうすれば、堆積されるオルガノシラン化合物の厚さが非常に薄くなるからである。
従って、加水分解後比較的迅速に、典型的には加水分解を行った後(典型的にはHCl系酸性水性溶液を添加することにより)2時間未満以内に、好ましくは1時間未満以内に、より好ましくは30分間未満以内に組成物を適用することが推奨される。
最も好ましくは、組成物は、加水分解を行った後10分間未満で、さらにより好ましくは5分間未満で、好ましくは1分間未満で適用される。
熱を供給せずに、即ち、典型的には20〜25℃の温度で加水分解を行うことが好ましい。
一般的には、数ナノメートルの厚さの層を堆積するには、非常に低い乾物含有率で非常に希釈された組成物を使用して縮合速度を遅延することが必要とされる。
使用されるポリオキシアルキレン基を有する化合物、好ましくはオルガノシラン化合物は、その反応性基、好ましくはケイ素含有反応性基により、堆積される被膜の表面上に存在し得るシラノール基等の基との共有結合を確立することが可能である。
好ましい実施形態では、本発明に係るオルガノシラン化合物は、少なくとも1個の加水分解性基を有する少なくとも1個のケイ素原子を含む基により、その一方の末端のみで又は両方の末端で、好ましくは一方の末端のみで官能基化されたポリオキシアルキレン鎖を含む。このオルガノシラン化合物は、好ましくは少なくとも2個の加水分解性基、好ましくは3個の加水分解性基を有するケイ素原子を含む。好ましくは、それは、ウレタン基を何ら含まない。それは、好ましくは、式:
11Y’mSi(X)3-m (I)
(式中、Y’基は、同一であるか又は異なっており、炭素原子を介してケイ素原子に結合された一価有機基であり、基Xは、同一であるか又は異なっており、加水分解性基であり、R11は、ポリオキシアルキレン官能基を含む基であり、mは、0、1、又は2に等しい整数である)
で示される化合物である。好ましくは、m=0。
X基は、好ましくは、アルコキシ基−O−R3、特にC1〜C4アルコキシ基、アシルオキシ基−O−C(O)R4(式中、R4は、アルキル基、好ましくはC1〜C6アルキル基、好ましくはメチル又はエチルである)、ハロゲン、例えば、Cl、Br、及びI、又はトリメチルシリルオキシ(CH33SiO−、及びこれらの基の組合せはから選択される。好ましくは、X基は、アルコキシ基、特にメトキシ基又はエトキシ基、より好ましくはエトキシ基である。
Y’基は、mがゼロでない時に存在し、好ましくは飽和又は不飽和の炭化水素基、好ましくはC1〜C10基、より好ましくはC1〜C4基、例えばメチル基やエチル基等のアルキル基、ビニル基、アリール基、例えば任意選択で置換されたフェニル基、特に1個以上のC1〜C4アルキル基により置換されたフェニル基である。好ましくは、Y’はメチル基を表す。
好ましい実施形態では、式Iで示される化合物は、トリエトキシシリル基やトリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基を含む。
オルガノシラン化合物のポリオキシアルキレン基(基R11)は、好ましくは80個未満の炭素原子、より好ましくは60個未満の炭素原子、更により好ましくは50個未満の炭素原子を含む。最も好ましくは、ポリオキシアルキレン基は、40個未満の炭素原子、より好ましくは30個未満の炭素原子を含む。最も好ましい化合物は、5〜20個の炭素原子を含むポリオキシアルキレン基を有する。R11基は、好ましくは、同一条件を満たす。
11基は、一般的には、式−L−R2(式中、Lは、炭素原子を介して式Iで示される化合物のケイ素原子に結合された二価基であり、且つR2は、酸素原子を介して基Lに結合されたポリオキシアルキレン基を含む基であり、この酸素原子は、基R2に含まれる)に相当する。L基の例としては、線状若しくは分岐状の任意選択で置換されたアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、カルボニル、アミド基、又はこれらの基の組合せ、例えば、シクロアルキレンアルキレン、ビスシクロアルキレン、ビスシクロアルキレンアルキレン、アリーレンアルキレン、ビスフェニレン、ビスフェニレンアルキレン、アミドアルキレン基、中でも特に、例えば、基CONH(CH23又は−OCH2CH(OH)CH2−、及び−NHC(O)−基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいL基は、好ましくは10個以下の炭素原子、より好ましくは5個以下の炭素原子を有するアルキル基(好ましくは線状)、例えば、エチレン基及びプロピレン基である。
好ましいR2基は、ポリオキシエチレン基−(CH2CH2O)n−、ポリオキシプロピレン基、又はこれらの基の組合せを含む。
式Iで示される好ましいオルガノシランは、以下の式II:
Y’m(X)3-mSi(CH2n’−(L’)m’−(OR)n−O−(L’’)m’’−R’’’ (II)
(式中、R’’’は、水素原子、1個以上の官能基により任意選択で置換された線状又は分岐状のアシル基又はアルキル基であり、更に1個以上の二重結合を含んでいてもよく、Rは、線状又は分岐状のアルキル基、好ましくは線状、例えば、エチレン基又はプロピレン基であり、L’及びL’’は、二価基であり、X、Y’、及びmは、以上に定義されたものであり、n’は、1〜10、好ましくは1〜5の範囲内の整数であり、nは、2〜50、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜15の範囲内の整数であり、m’は、0又は1、好ましくは0であり、m’’は、0又は1、好ましくは0である)
で示される化合物である。
基L’及びL’’は、存在する場合、以上に記載の二価基Lから選択され得るし、好ましくは、基−OCH2CH(OH)CH2−又は基−NHC(O)−を表し得る。この場合、基−OCH2CH(OH)CH2−又は−NHC(O)−は、それらの酸素原子を介して(基−OCH2CH(OH)CH2−に対して)又はそれらの窒素原子を介して(基−NHC(O)−に対して)隣接基(CH2)n’(基L’を用いて)及びR’’’(基L’’を用いて)に連結される。
一実施形態では、m=0、且つ加水分解性基Xは、メトキシ基又はエトキシ基を表す。n’は、好ましくは、3である。他の実施形態では、R’’’は、5個未満の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基を表す。また、R’’’は、脂肪族又は芳香族のアシル基、特にアセチル基を表し得る。
最後に、R’’’は、基−(CH2n’’Si(R53(式中、R5は、以上に定義されたX基等の加水分解性基であり、n’’は、以上に定義されたn’整数等の整数である)等のトリアルコキシシリルアルキレン基又はトリハロゲノシリルアルキレン基を表し得る。そのようなR’’’基の例は、基−(CH23Si(OC253である。この実施形態では、オルガノシラン化合物は、少なくとも1個の加水分解性基を有する2個のケイ素原子を含む。
好ましい実施形態では、nは、3であるか、又は6〜9、9〜12、21〜24、若しくは25〜30、好ましくは6〜9の範囲内である。
式IIで示される好適な化合物として挙げられるのは、例えば、Gelest,Inc.又はABCRにより市販されている式CH3O−(CH2CH2O)6~9−(CH23Si(OCH33(III)及びCH3O−(CH2CH2O)9~12−(CH23Si(OCH33(IV)で示される2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン化合物、式CH3O−(CH2CH2O)3−(CH23Si(OCH33(VIII)で示される化合物、式CH3O−(CH2CH2O)n−(CH23Si(OC253(式中、n=21〜24)で示される化合物、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリクロロシラン、2−[アセトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、2−[アセトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、2−[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、2−[ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、式HO−(CH2CH2O)8~12−(CH23Si(OCH33及HO−(CH2CH2O)8~12−(CH23Si(OC253で示される化合物、ポリプロピレン−ビス[(3−メチルジメトキシシリル)プロピル]オキシド、並びに国際公開第2011/080472号パンフレットに開示される式(v)、(VI)、及び(VII)で示されるような2個のシロキサンヘッドを有する化合物である。
式IIで示される好ましい化合物は、[アルコキシ(ポリアルキレンオキシ)アルキル]トリアルコキシシラン又はそれらのトリハロゲン化類似体(m=m’=m’’=0、R’’’=アルコキシ)である。
好ましくは、本発明に係るポリオキシアルキレン基を有する化合物は、フッ素原子を有していない。典型的には、防曇性被膜前駆体被膜に対するフッ素重量比は、5%未満、好ましくは1%重量未満、より好ましくは0%である。
好ましくは、本発明に係るポリオキシアルキレン基を有する化合物の分子量は、400〜4000g/mol、好ましくは400〜1500g/mol、より好ましくは400〜1200g/mol、更により好ましくは400〜1000g/molの範囲内である。
当然ながら、式I又はIIで示される化合物の混合物、例えば、異なるポリオキシアルキレンRO鎖長を有する化合物の混合物をグラフト化することが可能である。
本発明の一実施形態では、防曇性被膜前駆体は、防曇性被膜前駆体の全重量を基準にして、80重量%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは98%超の本発明に係るポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む。一実施形態では、防曇性被膜前駆体は、ポリオキシアルキレン基を有する前記化合物、好ましくはオルガノシラン化合物の層に依拠する。
好ましくは、本発明に係る防曇性被膜前駆体被膜は、被膜の全重量を基準にして、5重量%未満の金属酸化物又はメタロイド(例えばシリカ又はアルミナ)を含み、より好ましくは何れも含まない。防曇性被膜の製造に使用されるオルガノシラン化合物を真空下で堆積する場合、好ましくは、少なくとも1つの有機化合物と欧州特許第1324078号明細書に記載の少なくとも1つの無機化合物との共蒸発法に従って金属酸化物を共蒸発させない。
好ましくは、防曇性被膜前駆体被膜は、架橋剤を何ら含まない。つまり、好ましくは、架橋剤、例えばテトラエトキシシランを含む組成物から形成しない。
本発明に係る防曇性被膜前駆体被膜は、好ましくは10°超且つ50°未満、好ましくは45°以下、より好ましくは≦40°、更により好ましくは≦30°最も好ましくは≦25°の水との静的接触角を有する。この接触角は、好ましくは15°〜40°、より好ましくは20°〜30°の範囲内である。
反射防止被膜の表面上へのポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物の堆積は、通常の手順に従って、好ましくは気相堆積又は液相堆積により、最も好ましくは気相中で真空蒸発により、行われ得る。
気相中で、例えば、真空下で蒸発により、グラフト化を行う場合、反射防止被膜の表面上に実際にグラフト化されたポリオキシアルキレン基を有する化合物のみを維持するために、所要により、ポリオキシアルキレン基を有する過剰の堆積された化合物を除去する工程を後続して行い得る。従って、非グラフト化分子は除去される。そのような除去工程は、好ましくは、初期に堆積された防曇性被膜前駆体の厚さが5nm超である場合に行うべきである。
然しながら、いくつかの場合、グラフト化層が形成されるようにオルガノシラン化合物を堆積可能であることを観察して、即ち、堆積厚さが数ナノメートル超えないことを確認した後、ポリオキシアルキレン基を有する過剰の化合物を除去するこの工程を省略することが可能である。そのような厚さを得るための堆積パラメーターの調整は、何れの当業者でも通常の能力の範囲内である。
それにもかかわらず、反射防止被膜の表面上にポリオキシアルキレン基を有するいくらかの化合物を過剰に堆積させ、その後、この堆積された但しグラフト化されていない過剰の化合物を除去することにより、防曇性被膜前駆体被膜を形成することが好ましい。実際に、ポリオキシアルキレン基を有するグラフト化化合物の層を、ポリオキシアルキレン基を有する過剰の化合物を何ら除去する必要のない5nm以下の厚さで直接形成した場合、防曇性被膜の前駆体被膜を得ることは可能であるが、その表面は、少なくとも1つの界面活性剤を含む液体溶液に対して十分な親和性を有しておらず、所望の防曇性を有していない被膜をもたらすおそれがあることを、本発明者らは観察した。
驚くべきことに、このことは、以上で示したように、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を過剰に堆積して、そのような過剰分をより後の段階で除去した場合、観察されない。ポリオキシアルキレン基を有する過剰に堆積された化合物の層の実際の物理的厚さは、好ましくは20nm以下である。
ポリオキシアルキレン基を有する過剰に堆積された化合物の除去は、例えば、石鹸水系溶液を用いて濯ぐことにより(湿式プロセス)及び/又は払拭により(乾式プロセス)、行い得る。
好ましくは、除去工程は、濯ぎ操作を行ってから払拭操作を行うことを含む。好ましくは、濯ぎ操作は、スポンジを用いていくらかの石鹸水(界面活性剤を含む)で物品を洗浄することにより行われる。その後、脱イオン水を用いて濯ぎ操作を行い、任意選択で、その後、アルコール、典型的にはイソプロピルアルコールを含浸されたCEMOI(商標)布又はSelvith(商標)布を利用して、典型的には20秒間未満、好ましくは5〜20秒間、レンズを払拭操作に付す。次いで、脱イオン水による更なる濯ぎ操作を行い、次いで、払拭布を用いて払拭操作を繰り返し得る。これらの工程はすべて、手動で行い得るか、又は部分的に若しくは完全に自動化し得る。
ポリオキシアルキレン基を有する過剰の化合物を除去する工程は、一般的には且つ好ましくは5nm以下の厚さを有するこの化合物の層をもたらす。この場合、光学物品の表面上に堆積された化合物は、単分子又は準単分子の層を形成する。
ポリオキシアルキレン基を有する化合物は、蒸発速度及び堆積速度をより良好に制御するために、事前に溶媒中に溶解させた後、蒸発させ得る。膜の厚さは、このようにしてこの溶解のおかげで、及び蒸発させる溶液の量を調整することにより、制御し得る。
湿式プロセスを用いて、例えば、浸漬又はスピン被覆により、グラフト化を行う場合、一般的には、ポリオキシアルキレン基を有する過剰に堆積された化合物を除去する工程を行う必要はない。
本発明に係る防曇性被膜前駆体被膜は、低い粗さを有する。典型的には、気相により堆積されたオルガノシラン化合物では、粗さの平均値Raは、2nm未満、典型的には約1nmである。Raは、国際公開第2011/080472号パンフレットに定義されるものである。
本発明に係る一時的防曇性被膜は、ソルビタン環を有し、その4つのヒドロキシル基のうちn個が同一の又は異なるOH末端ポリオキシアルキレン基、好ましくはOH末端ポリオキシエチレン基で官能基化され、且つその4個のヒドロキシル基のうちp個が式:
−(RdO)z−(Y)n2−R’
(式中、Rdは線状若しくは分岐状のアルキレン基であり、zは整数≧1であり、Yは二価基であり、n2は0又は1であり(好ましくはn2=1)、且つR’は12〜19個、好ましくは13〜19個の炭素原子を有する飽和炭化水素基であり、n及びpは、n+p=4としてn=2又は3且つp=1又は2であるであるような整数である)
で示される同一の又は異なるR1基で官能基化された、少なくとも1つの界面活性剤Aを含有する界面活性剤膜を、防曇性被膜前駆体被膜上に堆積することにより、得られる。好ましくは、n=3及び/又はp=1。
dは、好ましくはC2〜C6アルキレン基、例えばプロピレン又はエチレン、より好ましくはエチレンを表す。
整数zは、好ましくは1〜40、より好ましくは2〜20、更により好ましくは2〜10の範囲内である。
化合物AのOH末端ポリオキシアルキレン基は、好ましくは1〜40個、より好ましくは2〜20個、更により好ましくは2〜10個のオキシアルキレン基を含む。
界面活性剤Aの構造中に存在するオキシアルキレン基の全数は、好ましくは4〜40、より好ましくは8〜30、更により好ましくは15〜25の範囲内であり、理想的には20に等しい。
R’は、好ましくは14〜18個の炭素原子、より好ましくは15〜17個の炭素原子を有する飽和炭化水素基である。R’は、好ましくは線状アルキル基である。R’は、好ましくはn−C1531又はn−C1735である。
Y基の例としては、線状若しくは分岐状の任意選択で置換されたアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、カルボニル、アミド基、又はこれらの基の組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。Yは、好ましくはカルボニル基である。
基−(Y)n2−R’は、好ましくはパルミチル基又はステアリル基である。
ソルビタンの化学構造を以下に再現する。
Figure 0006087935
界面活性剤Aは、好ましくは非イオン性であり、且つ好ましくはポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、即ち、脂肪酸で1回又は2回、好ましくは1回エステル化されたポリオキシアルキレニル化ソルビタン(Y=カルボニル及びn2=1)である。より好ましくは、界面活性剤Aは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Y=カルボニル、n2=1、且つR=CH2CH2)、言い換えれば、エステル基に対して特異的鎖長を有するポリソルベートである。
好ましいクラスの界面活性剤Aは、式(IX):
Figure 0006087935
(式中、Ra、Rb、Rc、及びRdは、独立して、線状又は分岐状のアルキレン基、好ましくは線状、好ましくはC2〜C6アルキレン基、例えば、プロピレン又はエチレン、より好ましくはエチレンを表し、w、x、y、及びzは、独立して、≧1、好ましくは1〜40、より好ましくは2〜20、更により好ましくは2〜10の範囲内の整数を表し、且つR’は、以上に定義されたものである)
で示される化合物を含む。好ましくは、w+x+y+zは、4〜40、より好ましくは8〜30、更により好ましくは15〜25の範囲内である。理想的には、w+x+y+z=20。
更により好ましくは、界面活性剤Aは、式(X):
Figure 0006087935
(式中、w、x、y、z、及びR’は、以上に定義されたものである)
で示されるポリエトキシル化化合物を有する。
界面活性剤Aは、比較的安価な原料から容易に合成可能であるか、又は市販品として入手可能である。特定的には、式IXで示される界面活性剤Aは、Alkest(商標)、Canarcel(商標)、又はTween(商標)という商品名で比較的低価格で市販品として入手可能である。
好ましい界面活性剤Aは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(R’=C1531且つw+x+y+z=20である式Xで示される化合物)としても知られるTween(商標)40及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(R’=C1735且つw+x+y+z=20である式Xで示される化合物)としても知られるTween(商標)60という商品名で商業化されている。それとは対照的に、Tween(商標)20(C12〜C19R’アルキル基を有していない)及びTween(商標)80(飽和R’炭化水素基を有していない)は、本発明に係る界面活性剤Aではない。
少なくとも1つの界面活性剤Aは、界面活性剤膜が形成されるように防曇性被膜前駆体被膜の表面上に適用される。好ましくは、前記膜は、少なくとも1つの界面活性剤Aを含有する組成物、好ましくは界面活性剤液体溶液から形成される。膜形成は、界面活性剤Aと下側の層との間の、即ち、防曇性被膜前駆体中に存在するポリオキシアルキレン基を有する化合物との間の、共有結合の形成を必要としない。
本明細書の残りの部分では、界面活性剤液体溶液に関する実施形態をより詳細に説明する。
好ましくは、界面活性剤組成物は、界面活性剤A以外の界面活性剤を含まない。
界面活性剤溶液は、目に見える曇りが形成されないように光学物品の表面上に水滴を分散させることに寄与する一様な層を表面上に形成することにより、防曇性一時的保護機能を有する光学物品、好ましくは眼鏡レンズを提供する。
好ましくは、界面活性剤溶液は、この溶液の少なくとも1つの液滴を防曇性被膜前駆体の表面上に堆積し、次いで、好ましくは全前駆体被膜を覆うようにそれを展延することにより、適用される。
一般的には、適用される界面活性剤溶液は、液体溶液の重量を基準にして、好ましくは0.5〜15%、より好ましくは2〜8重量%の界面活性剤Aを含む水性溶液である。溶液はまた、一般的には10重量%未満の量で、エタノールやイソプロピルアルコール等のアルコールをも含み得る。
化合物Aに基づく界面活性剤組成物は、驚くべきことに、長期持続性防曇性を提供するうえで有意により効率的であり、先行技術の界面活性剤と比較して低減された量で、典型的には組成物の重量を基準にして2〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%の範囲内の量で、利用され得る。
界面活性剤溶液は、光学物品、特に眼鏡レンズの表面の水との静的接触角を低減する。
本発明に係る防曇性被膜は、好ましくは10°以下、より好ましくは5°以下の水との静的接触角を有する。
直ぐに使用できる防曇性被膜は、界面活性剤組成物を防曇性被膜前駆体上に適用次第、得られる。従って、先行技術の製品の場合のように、防曇効果を得るために界面活性剤溶液を何回も適用する必要はない。
それに加えて、防曇性被膜により提供される防曇効果は、経時的に長期持続性である。この耐久性は、実験の節に記載の手順により曇化及び除曇のサイクル時に試験される。
防曇性被膜前駆体の表面上に吸着された十分な界面活性剤分子が最早存在しない場合、その時には界面活性剤の新しい適用を行わなければならないので、防曇性被膜は、一時的であるが、容易に再生可能である。従って、後者は、すべての状況において「活性化可能な状態」を維持する。
本発明の主な利点の1つは、反射防止被膜と、その上に堆積された、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含む防曇性被膜前駆体と、を含むレンズの表面に界面活性剤Aを適用した時、反射防止被膜の残色を変化させることである。
同一の防曇性被膜前駆体で被覆された無彩色反射防止被膜の場合、即ち、残色を呈しない反射防止被膜の場合、界面活性剤A膜を適用すると、反射防止被膜の残色の出現が起こる。
本発明との関連では、残色を有する反射防止被膜が好ましい。
色変化又は色出現は、肉眼で容易に検出可能である。
この特異挙動は、他の界面活性剤では観測されないし、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含む防曇性被膜前駆体を含まないレンズでも観測されない。従って、使用者に見える反射防止の残色が一様であり、且つ界面活性剤A含有膜の不在下で観測される反射防止被膜の残色と異なる限り、レンズの表面の界面活性剤膜を補給する必要性はない。然しながら、変化した色が弱くなったり及び/又は不均一になったりした場合、光学物品は、最早、直ぐに曇りを防げなくなることが、使用者に通知されることになる。
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。特に記載がない限り、パーセントはすべて、重量基準で表される。
1. 使用される材料及び光学物品
シリカは、Optron Inc.companyにより提供された顆粒の形態で使用される。防曇性被膜前駆体を形成するために実施例で使用したオルガノシラン化合物は、450〜600g/molの分子量の式(III)で示される6〜9個のエチレンオキシド単位を含む2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン(CAS番号:65994−07−2、Gelest,Inc.companyにより提供されたRef:SIM6492.7)である。Tween(商標)化合物は、CRODAから購入した。
使用したレンズは、ORMA(登録商標)材料のレンズ基材を含む。このレンズ基材は、約1ミクロンの厚さを有するポリウレタン系耐衝撃性プライマーを含み、それ自体に、欧州特許第0614957号明細書の実施例3に定義されるような組成物を堆積して硬化させることにより約3ミクロンの厚さを有する耐摩耗性被膜を備え、次に、挙げられた順に真空下での材料の蒸発により耐摩耗性被膜上に堆積された五層反射防止被膜ZrO2/SiO2/ZrO2/ITO/SiO2(反射防止被膜Yと記す)(層のそれぞれの厚さ:29、23、68、7、及び85nm)で被覆されている。ITO層は、スズがドープされた酸化インジウムの電気伝導性層である(In23:Sn)。
これらのレンズの両方面を以下に記載の方法に従って処理する(凸面の前に凹面を処理する)。
実施例では、防曇性被膜前駆体の堆積前に、反射防止被膜を何れの活性化処理にも付さない。
2. 防曇性被膜前駆体被膜の気相堆積
実施例では、ジュール効果に基づく加熱源を用いて、真空下での蒸発によりレンズの反射防止被膜Y上に堆積を行う。
式IIIで示されるシロキサン化合物を銅カプセル中に注加し(多孔性材料を何ら存在させずに)、このカプセルを伝導性タンタルの加熱支持体上に堆積する。蒸発デバイスは、SATIS1200DLF又はBALZERS BAK装置である。式IIIで示されるシロキサン化合物の蒸発圧は、一般的にはSATIS1200DLFでは5.10-6〜8.10-6mbarで変化する。蒸発の終了後、各レンズの表面をいくらかの石鹸水で、任意選択でイソプロピルアルコールで、次いで脱イオン水で濯ぎ、そして堆積された過剰の式IIIで示されるシロキサン化合物が除去されるようにCemoi(商標)乾燥布で払拭する。
Cemoi(商標)布は、商品名Microfibre M8405 30×40でFacol供給業者により提供された布である。
3. 界面活性剤含有液体溶液(一時的防曇性溶液)の適用
3.1 界面活性剤溶液の調製
以下の2つの異なる界面活性剤を使用した。
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテートとしても知られるTween(商標)40は、本発明に係る界面活性剤溶液の調製に使用した界面活性剤である。
Zonyl(登録商標)FSO100(DuPont製)は、比較の界面活性剤として使用される。Zonyl(登録商標)FSO100は、式F(CF2y−(CH2−CH2O)x+1H(式中、yは、6、8、及び10であり、それぞれ、約65%、30%、及び5%の重量であり、xは、2〜13の範囲内の整数である)で示される化合物の混合物である。
各界面活性剤に対して、次のように溶液を調製した。
・2.5重量%のIPA及び6重量%のZonyl(登録商標)FSO−100、又は、
・20重量%のIPA及び3若しくは6重量%のTween(商標)40
を含有する水性溶液が得られるように、脱イオン水とイソプロピルアルコール(IPA)との混合物中に界面活性剤を溶解させた。
3.2. レンズ上への界面活性剤溶液の堆積
2で調製された防曇性被膜前駆体被膜を備えたレンズを3.1に記載した溶液を利用して処理した。
各溶液を次のように適用した。
1. 使用前に溶液バイアルを撹拌する。
2. 親指と人指し指との間にレンズを保持し、レンズの凸面の中心上に2滴の界面活性剤溶液を適用する。
3. 清浄なCemoi(商標)布(供給業者Facol Microfibre M8405 30×40)を用いて、擦らずにレンズ表面の全体にわたり指先で液滴に展延する(最大7秒間)。
4. 同一の操作をレンズの凹面で行う。
5. 5〜10秒間乾燥させ、眼から30〜50cmの距離にレンズを保持することにより、周囲光(ネオン管に依拠する天井灯)下で透過に関してのみ、レンズを調整する。
6. 他の清浄なCemoi(商標)布を用いて、レンズの縁を払拭する。
7. 強く擦らずに人指し指の先端でCemoi(商標)布を保持しながら、透過で目に見える白色マーク(もしあれば)を除去する。レンズは、清浄で、その表面全体にわたりいかなる白色マークも含まないものでなければならない。
この方法により、完全に透明な眼鏡レンズを得ることが可能である。
4. 反射防止被膜の残色の熱蒸気試験及び評価
試験前、2の防曇性被膜前駆体被膜を有するレンズを温度調整環境(20〜25℃)中、40〜50%の湿度下に24時間配置した。
その後、3.1に記載の界面活性剤溶液を用いて3.2に従ってレンズを処理した。界面活性剤は、6重量%のTween(商標)40を含んでいた。
試験のために、界面活性剤処理レンズを、52℃の水を含有する加熱容器上に15秒間配置した。その直後、5mの距離に位置する視力スケールを、試験レンズを通して観測する。この試験により、着用者が自分の顔を1杯の茶/コーヒー又は沸騰水で満たされた皿の方向に傾ける通常の生活環境をシミュレートすることが可能である。
観測者は、以下の基準に従って視力及び色スコアを評価する。
防曇スコア(A、B、C、又はD)は、各熱蒸気試験の終了時の曇りレベルに対応する。
A: 均一な水膜(視力10/10)
B: 着用者により許容可能とみなされる視覚の歪み
C: 着用者により許容可能でないとみなされる視覚の歪み(不均一な水膜)
D: 完全拡散白色ヘイズ、微細水滴。
スコアA又はBが得られたのであれば、レンズは、首尾よく熱蒸気試験に合格したとみなされる。
§1及び2に従って調製されたレンズの表面上へのTween(商標)40の膜の堆積は、反射防止被膜の残色を緑色から青色に変化させる。反射防止被膜の帯青残色の程度は、以下のスコアを与えることにより周囲光での又はWaldmannランプ下での反射で評価する。
3: レンズの表面の80%超が帯青色に見える。
2: レンズの表面の50〜80%が帯青色に見える。
1: レンズの表面の10〜50%未満が帯青色に見える。
0: レンズの表面の10%未満が帯青色に見える。
この第1の熱蒸気試験の終了時、国際公開第2011/080472号パンフレットの実験の部の§5に記載されるようにレンズを乾燥させ(払拭サイクルなし)、次いで、完全に乾燥したWaldmannランプ下で調整した後、追加の熱蒸気/乾燥サイクルに付した。
1、9、及び12回の熱蒸気試験を行った後、防曇及び色のスコアをレンズに与えた。結果は、以下の表(表1)に与えられる。
Figure 0006087935
レンズG1は、以上の§1及び2に従って作製されたレンズである。レンズG2は、防曇性被膜前駆体被膜ではなく2nmの厚さのフッ素化防汚性トップコート(Optool DSX(商標))を含むという点でレンズG1と異なる。レンズG3は、1.6の屈折率を有する且つ防曇性被膜の前駆体被膜を有する基材を含むSeiko(Super Sovereign Fogless(商標))により製品化された防曇性眼鏡レンズである。レンズG4は、1.6の屈折率を有する且つ防曇性被膜の前駆体被膜を有する基材を含むTokai(Tokai Foggy Guard(商標))により製品化された防曇性眼鏡レンズである。
レンズG1の表面上に界面活性剤溶液を適用する前の熱蒸気試験スコア及び色スコアが、それぞれ、C及び0であることは、述べ価値がある。
曇化条件への繰返し暴露下での本発明に係る一時的防曇性被膜(界面活性剤Tween(商標)40の膜を含む)で被覆されたレンズの防曇性の減少は、反射防止被膜の帯青残色の程度の減少と関連付け可能であることが表1から分かる。Tween(商標)60界面活性剤を用いて類似の防曇結果が得られたが、Zonyl(登録商標)FSO−100(比較例C1の比較界面活性剤)ではそのような効果は観測されなかった。従って、本発明に係る界面活性剤は、追加の界面活性剤をレンズ表面に「再供給」する必要がある時間を視覚的に調整する興味深い手段を使用者に提供する。
更に、曇化後のレンズの表面に形成される水膜の蒸発の速度は、Tween(商標)40及びZonyl(登録商標)FSO−100の界面活性剤で同一であった。
また、レンズG2、G3、及びG4の反射防止被膜では、残色変化が起こらないことが観測された。レンズG2は、防曇性被膜前駆体を含まず、一方、レンズG3及びG4は、防曇性被膜前駆体を含むが、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含むことができない。更に、それらの比較レンズは、本発明に係るソルビタン界面活性剤Aで被覆した場合、わずか1回の曇化/除曇サイクル後、満足すべき防曇性を呈しない。
従って、反射防止被膜の残色変化の利点は、ポリオキシアルキレン基含有化合物を含む防曇性被膜前駆体と、本発明に係る少なくとも1つの界面活性剤Aを含有する界面活性剤膜と、を組み合わせたレンズでのみ観測される。
5. 冬期条件下及び熱帯条件下での試験
2011年5月4日出願の仏国特許出願第11.53814号明細書に十分に記載された且つ前記特許出願の図1に(20)と表示されて示された透明光学物品の防曇性能を決定するための系を用いて、これらの試験を行った。
シャープネス係数N≧0.6が得られた場合、レンズは試験に合格する。シャープネス係数N<0.6が得られた場合、レンズはこの試験に不合格であった。シャープネス係数Nは、仏国特許出願第11.53814号明細書に定義されている。
a) 冬期条件
この試験では、2で作製された防曇性被膜前駆体被膜を備えた且つ更に3.1に記載の溶液を利用して3.2に記載されるように処理されたレンズを「冬期条件」(4℃、湿度40%)下で60分間貯蔵し、次いで、迅速に標準条件(20℃、湿度50%)に付した。結果は、以下に示される。
Figure 0006087935
b) 熱帯条件
この試験では、2で作製された防曇性被膜前駆体被膜を備えた且つ更に3.1に記載の溶液を利用して処理されたレンズを標準条件(20℃、湿度45%)下で30分間貯蔵し、次いで、迅速に「熱帯条件」(30℃、湿度70%)に付した。結果は、以下に示される。
Figure 0006087935
これらの2つのシリーズの試験から、Zonyl(登録商標)FSO−100及びTween(商標)40は、冬期条件下で満足すべき防曇性能を有すると結論付けることが可能である。Tween(商標)40(3重量%)は、熱帯条件下でZonyl(登録商標)FSO−100(3重量%)よりも効率的である。
6. 機械的応力後(界面活性剤溶液の適用後)の防曇効果の耐久性
この試験により、レンズの表面上での一時的防曇性溶液の払拭に対する耐性を評価することが可能である。10個のレンズで行った。一般的試験プロトコルは、国際公開第2011/080472号パンフレットの実験の部の§5に記載されている。
各レンズを最初に5回払拭のシリーズに付し、次いで、10、10、10、20、20、及び20回の追加の払拭操作を行った。簡潔に述べると、払拭の各シリーズ間で熱蒸気試験及び後続の乾燥工程を行う。
この際、払拭操作は、レンズの両方の面上での払拭布Cemoi(商標)の中程度に著しい1回の回転に対応する(レンズを親指と人指し指との間で押える)。
防曇スコア(A、B、C、又はD)は、§4に詳述されている。スコアA又はBが得られた場合、レンズは、首尾よく耐久性試験に合格したとみなされる。
以下の表の結果から、機械的応力後のTween(商標)40(3重量%)の防曇性能の耐久性が満足すべきものであることは、明らかである。
Figure 0006087935
7. レンズの美的側面及び滑動能
これらの試験では、2で作製された防曇性被膜前駆体被膜を備えたレンズを更に、3.1に記載の溶液(6重量%のTween(商標)40)又は本発明に係る他の水性溶液(6重量%のTween(商標)60+20重量%のIPA)又は比較水性溶液(6重量%のTween(商標)20又はTween(商標)80+20重量%のIPA)を利用して処理した。
界面活性剤溶液の展延後の白色マークを含まないレンズ表面の%の関数として、以下の美的スコア(A、B、C、又はD)を与えた。
A: レンズ表面の100%が白色マークを含まない。
B: レンズ表面の60〜100%未満が白色マークを含まない。
C: レンズ表面の20〜60%未満が白色マークを含まない。
D: レンズ表面の0〜20%未満が白色マークを含まない。
界面活性剤溶液の展延時のレンズ表面での布の滑動能をも評価した。以下の滑動スコアを与えた。
3: 非常に良好な滑動能。
2: 良好な滑動能。
1: 低い滑動能(表面への布の粘着)。
0: 非常に悪い滑動能、布が表面に多く粘着する(このスコアは純水を用いて得られる)。
得られた結果は、表5に示される。
Figure 0006087935
本発明に係る界面活性剤Aを用いて得られる美的スコア(レンズ1及び2)は、界面活性剤の適用及び展延の後のレンズの表面の少数の白色マークの存在に起因して、ゾニール(Zonyl)(登録商標)FSO−100界面活性剤(比較レンズC1)を用いて得られるスコアよりも劣っている。然しながら、これらのマークは、レンズ1及び2の場合、§3.2に記載されるように容易に除去される。美的観点では、Tween(商標)40は、Tween(商標)60よりもわずかに良好である。Tween(商標)40及びTween(商標)60により付与される滑動能は、満足すべきものである。
本発明に係る界面活性剤AでないTween(商標)20及びTween(商標)80(比較レンズC2及びC3)は、不十分な滑動能及び不十分な美的スコアを有する。

Claims (15)

  1. 反射防止被膜と、前記反射防止被膜に直接接触する防曇性被膜の前駆体被膜と、で被覆された少なくとも1つの主表面を有する基材を含む光学物品であって、前記前駆体被膜が、ポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物を含むと共に、
    界面活性剤膜が前記防曇性被膜の前記前駆体被膜上に適用されてない場合、前記反射防止被膜が残色を呈し、且つ、ポリアルコキシル化ソルビタン界面活性剤の膜が、前記防曇性被膜の前記前駆体被膜上に適用された場合、界面活性剤膜が変化した残色を呈し、
    前記防曇性被膜の前記前駆体被膜が、前記防曇性被膜を形成するポリアルコキシル化ソルビタン界面活性剤の膜で被覆されることを特徴とする、光学物品。
  2. 前記前駆体被膜が、ポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物Bを前記反射防止被膜上にグラフト化することにより得られると共に、
    前記反射防止被膜により呈される残色を変化させることが可能な前記界面活性剤膜が、ソルビタン環を有する少なくとも1つの界面活性剤Aを含有し、その4個のヒドロキシル基のうちn個が、同一の又は異なるOH末端ポリオキシアルキレン基で官能基化され、且つその4個のヒドロキシル基のうちp個が、式:
    −(RO)−(Y)n2−R’
    (式中、Rはアルキレン基であり、zは整数≧1であり、Yは二価基であり、n2は0又は1であり、且つR’は12〜19個、好ましくは13〜19個の炭素原子を有する飽和炭化水素基であり、n及びpは、n+p=4としてn=2又は3且つp=1又は2であるであるような整数である)
    で示される同一の又は異なるR基で官能基化されることを特徴とする、請求項1に記載の光学物品。
  3. ポリオキシアルキレン基を有する化合物Bが、少なくとも1個の加水分解性基を有する少なくとも1個のケイ素原子を有するオルガノシランである、請求項2に記載の光学物品。
  4. 前記反射防止被膜が、シラノール基を有する外表面を有する、請求項2又は3に記載の光学物品。
  5. 前記界面活性剤膜が、少なくとも1つの界面活性剤Aを含有する液体溶液を前記防曇性被膜の前駆体被膜上に適用することにより形成される、請求項2〜4の何れか一項に記載の光学物品。
  6. 前記液体溶液が、前記溶液の重量を基準にして、0.5〜15%、好ましくは2〜8重量%の界面活性剤Aを含む、請求項5に記載の光学物品。
  7. n2=1且つYがカルボニル基である、請求項2〜6の何れか一項に記載の光学物品。
  8. 前記界面活性剤Aがポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、請求項2〜7の何れか一項に記載の光学物品。
  9. 界面活性剤Aが、式(IX):
    Figure 0006087935
    (式中、R、R、R、及びRは、独立して、線状又は分岐状のアルキレン基を表し、w、x、y、及びzは、独立して、整数≧1を表し、且つR’は、請求項2に定義されるものである)
    で示される化合物である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の光学物品。
  10. R’が、14〜18個の炭素原子、より好ましくは15〜17個の炭素原子を含む飽和炭化水素基である、請求項2〜9の何れか一項に記載の光学物品。
  11. 界面活性剤Aの構造中に存在するオキシアルキレン基の全数が、4〜40、より好ましくは8〜30の範囲内であり、更により好ましくは20に等しい、請求項2〜10の何れか一項に記載の光学物品。
  12. 前記防曇性被膜の前駆体被膜が5nm以下の厚さを有する、請求項2〜11の何れか一項に記載の光学物品。
  13. 化合物Bが、式:
    11Y’Si(X)3−m (I)
    (式中、Y’基は、同一であるか又は異なっており、炭素原子を介してケイ素に結合された一価有機基であり、X基は、同一であるか又は異なっており、加水分解性基であり、R11は、ポリオキシアルキレン基を含む基であり、且つmは、0、1、又は2に等しい整数である)
    で示される化合物である、請求項2〜12の何れか一項に記載の光学物品。
  14. 眼鏡レンズとして更に定義される、請求項2〜13の何れか一項に記載の光学物品。
  15. 眼鏡レンズが防曇性を呈するかを決定するための、及び所要により、前記眼鏡レンズに防曇性を付与するための、方法であって、
    反射防止被膜と、前記反射防止被膜に直接接触して防曇性被膜の前駆体被膜と、で被覆された少なくとも1つの主表面を有する基材を含む眼鏡レンズを提供することと、ここで、前記前駆体被膜が、ポリオキシアルキレン基を有する少なくとも1つの化合物を含み、但し、前記反射防止被膜は、界面活性剤膜が前記防曇性被膜の前記前駆体被膜上に適用されてない場合、残色を呈し、且つ、ポリアルコキシル化ソルビタン界面活性剤の膜が、前記防曇性被膜の前記前駆体被膜上に適用された場合、変化した残色を呈する、
    どの残色が前記反射防止被膜により呈されるかを視覚的に決定することと、
    前記反射防止被膜の少なくとも一部分が変化した残色を呈さない場合、前記眼鏡レンズの防曇性を回復するために、追加量のポリアルコキシル化ソルビタン界面活性剤を、前記防曇性被膜の前駆体被膜の前記少なくとも一部分上に、適用することと、
    を含む方法。
JP2014534947A 2011-10-14 2011-10-14 ソルビタン界面活性剤に基づく一時的防曇性被膜を含む光学物品 Active JP6087935B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/EP2011/068032 WO2013053406A1 (en) 2011-10-14 2011-10-14 Optical article comprising a temporary antifog coating based on sorbitan surfactants

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014528599A JP2014528599A (ja) 2014-10-27
JP6087935B2 true JP6087935B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=45092443

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014534947A Active JP6087935B2 (ja) 2011-10-14 2011-10-14 ソルビタン界面活性剤に基づく一時的防曇性被膜を含む光学物品

Country Status (8)

Country Link
US (1) US9494713B2 (ja)
EP (1) EP2766749B1 (ja)
JP (1) JP6087935B2 (ja)
CN (1) CN103874938B (ja)
BR (1) BR112014008898B1 (ja)
CA (1) CA2856186A1 (ja)
ES (1) ES2564539T3 (ja)
WO (1) WO2013053406A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2850943A1 (en) * 2013-09-24 2015-03-25 Satisloh AG Antimicrobial composition and tissue containing it
JP2020536996A (ja) * 2017-10-04 2020-12-17 エムシーエス・インダストリーズ・インコーポレイテッド 防曇コーティングと塗布方法
EP4053186B1 (en) 2021-03-01 2023-10-25 Essilor International Article having a surface displaying antimicrobial and antifog properties

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR1153814A (fr) 1956-01-04 1958-03-21 Ici Ltd Perfectionnements à la fabrication d'aldéhydes et d'alcools
JPS53111336A (en) 1977-03-11 1978-09-28 Toray Ind Inc Coating composition
JPH0642002B2 (ja) 1983-07-29 1994-06-01 セイコーエプソン株式会社 プラスチックレンズ
US5873931A (en) 1992-10-06 1999-02-23 Minnesota Mining And Manufacturing Company Coating composition having anti-reflective and anti-fogging properties
FR2702486B1 (fr) 1993-03-08 1995-04-21 Essilor Int Compositions de revêtement antiabrasion à base d'hydrolysats de silanes et de composés de l'aluminium, et articles revêtus correspondants résistants à l'abrasion et aux chocs.
US5846650A (en) 1996-05-10 1998-12-08 Minnesota Mining And Manufacturing Company Anti-reflective, abrasion resistant, anti-fogging coated articles and methods
JP3700358B2 (ja) 1996-12-18 2005-09-28 日本板硝子株式会社 防曇防汚ガラス物品
US6287683B1 (en) 1997-04-09 2001-09-11 Canon Kabushiki Kaisha Anti-fogging coating and optical part using the same
EP0974560B2 (en) 1997-12-09 2015-12-30 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Antireflection glass plate, process for producing the same, and antireflection coating composition
JP4524936B2 (ja) * 2001-02-19 2010-08-18 セイコーエプソン株式会社 防曇性能の付与方法および光学物品
JP2002308651A (ja) * 2001-04-04 2002-10-23 Seiko Epson Corp 防曇性能の付与方法及び光学物品
EP1275624B1 (en) 2001-06-29 2007-08-15 Crystal Systems Inc. Antifogging product, inorganic hydrophilic hard layer forming material and process for producing antifogging lens
EP1324078A3 (en) 2001-12-28 2004-01-14 Hoya Corporation Hybrid film, antireflection film comprising it, optical product, and method for restoring the defogging property of hybrid film
JP4293593B2 (ja) * 2003-04-11 2009-07-08 東海光学株式会社 防曇性光学体及び光学体への防曇層形成方法
FR2858420B1 (fr) 2003-07-29 2005-11-25 Essilor Int Article d'optique comprenant un empilement anti-reflets multicouches et procede de preparation
JP4378565B2 (ja) 2004-03-26 2009-12-09 株式会社ネオス アルコキシシラン化合物
FR2954832A1 (fr) * 2009-12-31 2011-07-01 Essilor Int Article d'optique comportant un revetement antibuee temporaire ayant une durabilite amelioree

Also Published As

Publication number Publication date
EP2766749A1 (en) 2014-08-20
CA2856186A1 (en) 2013-04-18
BR112014008898A2 (pt) 2017-04-18
WO2013053406A1 (en) 2013-04-18
CN103874938B (zh) 2017-06-09
US20140234637A1 (en) 2014-08-21
JP2014528599A (ja) 2014-10-27
ES2564539T3 (es) 2016-03-23
BR112014008898B1 (pt) 2021-02-09
CN103874938A (zh) 2014-06-18
BR112014008898A8 (pt) 2018-07-31
EP2766749B1 (en) 2015-12-30
US9494713B2 (en) 2016-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6336387B2 (ja) 改善された耐久性を有する、界面活性剤をベースとする一時的な防曇コーティングを含んでなる光学物品
JP5965321B2 (ja) 改善された耐久性を備える一時的防曇被覆を含む光学物品
JP6100242B2 (ja) 防曇コーティングの前駆体コーティング、及び、エッジングに適切なものとする一時的な層を含んでなる光学物品
KR102299913B1 (ko) 방오성을 갖는 김서림 방지 코팅의 전구체 코팅을 포함하는 광학 물품
JP6087935B2 (ja) ソルビタン界面活性剤に基づく一時的防曇性被膜を含む光学物品
US9625742B2 (en) Optical article comprising a precursor coating of an anti-fog coating and a temporary layer made of metal fluorides or compounds including magnesium and oxygen
EP2734870A1 (en) Optical article comprising a surfactant-based temporary antifog coating with an improved durability
NZ619974B2 (en) Optical article comprising a surfactant-based temporary antifog coating with an improved durability

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150430

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160126

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6087935

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250