JP6086521B2 - オイルパーム薄板の接合組成物及びその接合方法 - Google Patents
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Description
このオイルパーム薄板と他の薄板とを接合する接合剤は、家屋の床材及び壁材、隔壁材等の建築材料、家具材料、ボートを含む船舶、その他の屋内・屋外のデッキ及び遊具、車両のボディ本体の外装及び内装に使用できるものである。
なお、一般に「板」とは、広辞苑によれば「材木を薄く平たくひきわったもの」、「金属や石などを薄く平たくしたもの」等として説明されるが、ここでは、オイルパームが木材の性状を有するものではなく、竹材に近い性状もつものであるが、オイルパームにおいても「薄く平たくしたもの」を「薄板」と呼ぶこととする。また、オイルパームの材料を仔細に呼称する用語がないので、木材と同様に扱うこととする。
即ち、オイルパームは、果肉と種子から油脂が取れ、単位面積当たり得られる油脂の量は他の植物を群を抜いていることから、商業作物としてマレーシア等の東南アジア諸国を中心に大規模なプランテーション農業が行われているので、油脂の方を「オイルパーム」と呼ぶ方が著名になりつつあるかもしれない。
しかし、本発明においては、果肉と種子から取れる油脂のオイルパームを意味するものではなく、油椰子の幹自体または植物の個体全体をオイルパームと呼ぶこととする。
したがって、オイルパームの空果房を解繊して得た油ヤシ繊維は、例えば、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維表面にパームオイルが付着しているために繊維の撥水性が優れていると共に、繊維中に含まれるセルロース及びリグニンの量が相対的に多いので、耐水性に優れる。加えて、油ヤシ繊維は、ココヤシ繊維等の他のヤシ繊維に比して、繊維強度が大であると共に、繊維径が大きく、かつ、繊維長が長いので、寸法安定性が優れている。また、油ヤシ繊維は、その表面の凹凸が大きいと共に屈曲の強度が大きくて繊維同士のからみあいが大きいから、このことによっても寸法安定性が高められる。そのため、この板状体または成形体は、吸水、吸湿時における寸法安定性が優れている。
そして、油ヤシ繊維表面の凹凸が大きいので、ゴム状弾性を示す樹脂が油ヤシ繊維の表面の空隙に侵入して固化又は硬化し、これが釘または楔のように作用して、所謂、アンカー効果を発揮するから、油ヤシ繊維はゴム状弾性を示す樹脂により強く結合する。このことも吸水、吸湿時における寸法安定性の向上に寄与していると考えられる。
この板状体または成形体では、油ヤシ繊維を使用するから、他の種類のヤシ繊維に比して解繊等に要する労力が少なく、そのため、製造コスト及びエネルギーが節減でき、製品が安価となる。例えば、ココヤシ繊維では、ヤシ殻を軟化させるために長期間水中に浸漬し、その後に機械的に繊維状に解繊するために長期間多大のエネルギーを必要とする。これに対してオイルパームは、もともと繊維状のままで集合体となっている空果房を解繊するから、水中浸漬の必要はなく、解繊のために要するエネルギーも非常に少なくて済む。また、油ヤシ繊維はココヤシ繊維に比して発塵性が少なく、その取り扱いにおいて作業環境の悪化が避けられる。
更に、油ヤシ繊維の繊維間に大きな隙間が形成されるので、噴霧または浸漬によりゴム状弾性を示す樹脂を供給したときには、樹脂が上記隙間を介して全繊維に均等に付着し、強度分布が均一になるという板状態が得られる。
特許文献3に係るパーム合板は、樹脂接着剤で貼り合わされた複数の単板を備え、複数の単板のうちの最も外側の少なくとも1枚の単板は、パーム単板であり、パーム単板の表面に露出しているパーム繊維に樹脂接着剤が浸透させたものである。これにより、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板を使用して表面を樹脂接着剤で処理することで、低コストで合板を製造する。
また、特許文献3のパーム合板は、複数の単板を全てパーム単板とし、安価な廃棄材のヤシの幹から製造可能なパーム単板のみを使用し、互いを樹脂接着剤で接着してもよい。このときのパーム繊維に浸透させてある樹脂接着剤は、複数の単板を貼り合わせる樹脂接着剤と同系のものである。樹脂接着剤が同系であるため、安価に合板を製造することができる。なお、ここで、同系とは、同一の樹脂接着剤、配合(例えば、配合比率)を変えたものを含む。
このように、特許文献3によれば、品質が比較的良好な樹木の単板をフェイスとバックとして使用せずに、低いコストで製造が可能な合板およびパーム合板、合板製造方法が開示されている。
特に、マレーシア等の東南アジア等では、パームオイルの生産のためにオイルパームが栽培されているが、パームオイル採取後の空果房には繊維等が多く含まれていることから、その空果房は繊維ボード等種々の用途に活用されている。しかし、毎年伐採されているヤシの幹は有効に活用されておらず、廃棄処分されているのが現状である。
また、特許文献3には、最も外側の少なくとも1枚の単板がパーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせる工程と、パーム単板の表面であり、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる面を研磨する工程と、研磨した面に樹脂接着剤を塗布してパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させる工程と、樹脂接着剤を乾燥させる工程とを備えた合板製造方法を開示している。しかし、パーム単板に如何に樹脂接着剤を塗布するか、露出しているパーム繊維に樹脂接着剤を浸透させるかについては説明されておらず不明であり、具体的な合板の製造方法が不明である。少なくとも、パーム単板を複数樹脂接着剤で貼り合わせるという樹脂接着剤の使用を前提としている。
ここで、所定長のオイルパームの幹、即ち、オイルパーム幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を形成するのは、ロータリーレースで所定の厚みに剥いた薄板を使用することを意味する。
また、前記所定の厚みで剥いた前記薄板を乾燥させて、所定枚数積層するのは、前記薄板の全面を均一な乾燥状態としてから積層することを意味する。
そして、前記薄板の温度を上昇させ、かつ、前記積層された前記薄板を前記薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮し、前記積層合板に一体に接合する際の前記薄板の温度上昇は、電熱加熱、スチーム加熱または熱板加熱の何れでもよいし、両者の同時使用も可能である。
更に、前記積層合板として一体に接合する前記接合組成物は、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合し、前記積層合板を一体化するには、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって、前記オイルパームの幹自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって前記複数枚の薄板を接合し、前記積層合板として一体化することを意味する。特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、堅固に接合できる。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
また、本発明を実施する場合、圧密加工とは、前記薄板を多層重ね所定の温度で圧縮し、その圧縮状態を維持させるように冷却して固定化したものを意味し、圧縮とは単に圧力を加える状態を意味する。
ここで、所定長のオイルパームの幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を形成するのは、単板としてロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を使用することを意味する。
また、前記所定の厚みで剥いた前記薄板を乾燥させて、所定枚数積層するのは、前記薄板の全面を均一な乾燥状態としてから積層することを意味する。
そして、前記薄板の温度を上昇させ、かつ、前記積層された前記薄板を前記薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加えて圧縮して積層合板に一体に接合形成する前記薄板の温度上昇は、電熱加熱、スチーム加熱または熱板加熱の何れでもよいし、両者の同時使用も可能である。
更に、前記積層合板に一体に接合する前記接合組成物は、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合し、前記積層合板を一体に形成したことは、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって、前記オイルパームの幹自体が含有するリグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類の作用によって前記複数枚の薄板を接合し、前記積層合板として一体に接合することを意味する。特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、堅固に一体化が可能である。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
ここで、前記複数枚積層した薄板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とは、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目を生かした薄い板材を意味し、それを片側の露出面に配設することを意味する。また、前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材、例えば、ラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いた薄板(ベニヤ板の1層相当)とすることができる。
ここで、前記複数枚積層した薄板の2枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とは、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目を生かした木材からなる薄い板材を意味し、それを両側の露出面に配設することを意味する。また、前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材、例えば、ラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いた薄板(ベニヤ板の1層相当)を露出面側の1枚または両露出面側の2枚とすることができる。
ここで、上記薄板工程とは、所定長のオイルパームの幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板に形成する工程である。
また、上記薄板乾燥工程とは、前記薄板を乾燥する薄板の乾燥工程であり、前記薄板に形成する工程と同一行程であっても、別工程であってもよい。
そして、上記積層工程とは、乾燥させた前記薄板を所定の状態に複数枚積層する工程で、通常2枚乃至5枚の単位で使用されるが、2枚以上であればよい。
更に、上記加熱工程とは、前記積層工程以降で前記積層された前記薄板の温度を上昇させるべく加熱する工程で、水蒸気を導入して加熱または熱板で加熱する工程である。
更にまた、上記押圧工程とは、前記加熱工程によって加熱された前記積層された前記薄板に対して、前記薄板の面に直角方向の圧縮力を加える工程であり、所定の圧縮率で圧縮が行えればよい。
加えて、上記固定工程とは、前記押圧工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、前記積層合板の圧縮状態を固定し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものである。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
ここで、上記薄板を所定の状態に積層する積層工程は、前記薄板の面方向に外力を加えるが、その時、その圧縮力を加える面に対して直角方向に前記薄板が伸びると、前記積層合板の位置によって厚い個所と薄い個所が生じる。それを防止するために圧縮力を加える面に対して直角方向に膨張するのを規制するものである。
ここで、前記複数枚積層した薄板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とは、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目を生かした木材からなる薄い板材を意味し、それを片側の露出面に配設することを意味する。当該薄い板材をオイルパーム薄板の接着能力で接合するものである。また、前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材、例えば、ラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いた薄板(ベニヤ板の1層相当)を露出面側の1枚とすることができる。
ここで、前記複数枚積層した薄板の2枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とは、例えば、桧、杉、米桧、桧葉、米杉、唐松、赤松、栗、欅、槇、樫、桜、樅、栂等の木目を生かした木材からなる薄い板材を意味し、それを片側の露出面に配設することを意味する。当該薄い板材をオイルパーム薄板の接着能力で接合するものである。また、前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材、例えば、ラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いた薄板(ベニヤ板の1層相当)を露出面側の1枚または両露出面側の2枚とすることができる。
したがって、オイルパームの幹は節、年輪がないからロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を作成する場合、均質な薄板が得られ、結果的に、その前記薄板からなる積層合板は均質なものとなる。また、加える温度と圧縮力によって前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によってその接合力を変化させるから、加える温度と圧縮力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合して前記積層合板を形成するものであるから、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こさない。更に、前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合されるときの圧縮力によって、前記薄板の空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
したがって、オイルパームの幹は節、年輪がないからロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を作成する場合、均質な薄板が得られ、結果的に、その前記薄板からなる積層合板は均質なものとなる。また、加える温度と圧縮力によって前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によってその接合力を変化させるから、加える温度と圧縮力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合して前記積層合板を形成するものであるから、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こすことがない。更に、前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合されるときの圧縮力によって、前記薄板の空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
したがって、これらの工程で使用されるオイルパームの幹は節、年輪がないからロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板を作成する場合、均質な薄板が得られ、結果的に、その前記薄板からなる積層合板は均質なものとなる。また、加える温度と圧縮力によって前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によってその接合力を変化させることができるから、加える温度と圧縮力の制御によって任意の接着力が得られる。そして、前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合して前記積層合板を形成するものであるから、他の合成樹脂、合成ゴムを接着材として使用していないから、自然に戻すことができ公害問題を引き起こさない。更に、前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分によって接合されるときの圧縮力によって、前記薄板の空隙が殆どなくなり、緻密な組織になるから、耐水性があり、かつ、防水、防虫性に富み、建築材料として使用しても耐用年数が長くなる。なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
まず、この発明の実施の形態で使用するオイルパームの幹は、木材の板目と柾目を製材するように板取りを行うと、何れも柾目状に繊維が並ぶ面になる。即ち、国産材の桧や杉のように年輪がなく、畳表の藺草のように繊維がオイルパームの幹の長さ方向に延びている。
オイルパーム幹の成分は産地によって差があるが、その差は僅かであり、一般にセルロース30.6重量%、ヘミセルロース33.2重量%、リグニン(総リグニン28.5重量%=クラーソンリグニン24.7重量%+酸可溶性リグニン3.8重量%)、抽出成分3.6重量%、灰分4.1重量%といわれており、Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm (Elaeis guineensis) (Journal of the Japan Institute of Energy,87,383-388(2008))にも記載がある。
視認できる0.4〜1.2mmの繊維(維管束)、即ち、維管束と維管束の間は、リグニン等の樹脂成分及びセルロース、ヘミセルロース等の糖類、少ない空孔によって一体なっている。
オイルパーム薄板Wは、20年から30年以上成長した単一の幹を所定長のオイルパーム幹WDとして切断し、それを大根のかつら剥きと同様の周方向の剥きを行うロータリーレースと呼ばれる装置にセットする。そして、オイルパーム幹WDを回転させ刃物CTによって周方向の剥きを行う。これは、所定長のオイルパーム幹WDをその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚の薄板Wに形成する薄板工程となる。
なお、オイルパームの葉、空果房、根等は、チップ状に裁断され、好気性細菌処理によってコンポスト化(堆肥化)する有機廃棄物発酵処理方法によって処理される。特に、空果房は他の実用性のある処理を行ってもよい。また、細かく破砕し、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の成分抽出を行ってもよい。
この切断は、図2(a)に示すかつら剥きされた連続薄板UWDの供給方向に短い辺の薄板W1,W3,W5と、図2(b)に示す連続薄板UWDの供給方向に長い辺の薄板W2,W4が形成される。
この5枚の所定面積、所定厚さの薄板W1,・・・,W5は、裁断によって形成してもよいし、鋸の切断によって形成してもよい。オイルパームの性質上何れでもよいが、裁断の方が作業性からみると効率的である。
勿論、図3に示す連続薄板UWDの供給方向に短い辺の薄板W1,W3,W5と、連続薄板UWDの供給方向に長い辺の薄板W2,W4を繊維の長さ方向が直角になるように積載すれば、連続薄板UWDの供給方向に短い辺の薄板W1,W3,W5を2枚、連続薄板UWDの供給方向に長い辺の薄板W2,W4を3枚の組み合わせとすることもできる。
このように、前記薄板乾燥工程で乾燥させた薄板Wを所定の状態に複数枚積層する工程を、ここでは積層工程と呼ぶ。
即ち、加熱工程によって加熱した積層された薄板Wに、その薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える押圧工程を行い、その押圧工程で所定の温度で所定時間押圧した後、加熱工程で供給していた温度を降下させる固定工程を経て、積層合板PWを得るものである。
ここで、前記積層工程以降で前記積層された薄板Wの温度を上昇させるべく加熱する工程を加熱工程と呼び、また、加熱工程によって加熱され、積層された薄板Wに、薄板Wの面に対して直角方向の圧縮力を加える工程を、押圧工程と呼ぶ。そして、前記押圧工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させる工程を、圧密化した状態を固定化する意味で固定工程と呼ぶこととする。
本実施の形態1では、プレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内を加熱するためにバルブV4に接続された配管12を用いて高温の水蒸気を導入しているが、この他、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いることも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
勿論、本発明を実施する場合には、プレス盤10にてプレス圧縮される方向は、加圧前多層材NWの5枚の薄板W1,・・・,W5の面に対して直角方向に圧縮力が加えられる。
ここで、本実施の形態においては、積層合板PWの原材料となる加圧前多層材NWは、所定の寸法(厚み・幅・長さ)に形成されたものであり、5枚の薄板W1,・・・,W5の面側をプレス盤10の上プレス盤10A及び下プレス盤10Bに対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置した。
なお、このように、本実施の形態においては、加圧前多層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、加圧前多層材NWは、厚み全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。
そして、最後に、図6(f)に示すように、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
下プレス盤10Bのベース板25に同一高さの外側下プレス盤10Ba及び内側下プレス盤10Bbを配設し、その間に枠体溝21を形成する。枠体溝21のベース板25側には複数のコイルスプリング22が配設され、その上部に四角の可動枠23が配設されている。可動枠23の内面には、切欠きが形成されていて加圧前多層材NWの側面からの水蒸気等の流体を導く流体路24となっている。四角の可動枠23の内周は加圧前多層材NWの外周に略等しくなっており、四角の可動枠23に加圧前多層材NWが入ると各薄板W1,・・・,W5に位置ずれが生じないようになっている。したがって、上プレス盤10Aが下降した時、それが下プレス盤10Bの寸法以上の広さを有していても、可動枠23と当接すると、可動枠23が複数のコイルスプリング22の弾性に抗して下降し、加圧前多層材NWの圧縮に応答する。そして、複数のコイルスプリング22の移動限界で加圧前多層材NWの圧縮が終了する。勿論、下プレス盤10Bの可動枠23に対して上プレス盤10Aが挿入される構造である場合には、下プレス盤10Bに可動枠23を固定配置とすることができる。
なお、本実施の形態においては、蒸気圧を制御した後、徐々に解圧して内部蒸気圧を開放し、また、冷却によって加圧前多層材NW内の水蒸気圧を下げて定着させるので、冷却圧縮を解除したときに膨らみ変形やパンクと呼ばれる表面割れのない積層合板PWを形成できる。即ち、本実施の形態で製造した積層合板PWは、圧縮解除後に膨らみ変形や表面割れを生じることがなく、安定した品質が確保されている。本実施の形態では、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bを用いて圧縮し、定着して積層合板PWを得ているが、本発明を実施する場合には、通常の電子レンジが使用するマイクロ波の周波数帯域よりも若干周波数の低い高周波で誘電加熱して加圧前多層材NWを加熱圧縮し、定着しても、積層合板PWを得ることができる。
基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚み7.5〜30mmに対して、3〜10mmの圧密加工を行った積層合板PWを得た。供給する水蒸気の温度は、110〜210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。ここで、1.5mmの薄板Wは5枚積層することにより、7.5mmの加圧前多層材NWとなるが、実験室レベルでの所定の圧縮率で圧縮した場合の圧縮誤差及び解圧後の膨張によって1割以下であるが誤差が介在している。
前者と同様に、基本的に圧縮前の加圧前多層材NWの厚み7.5〜30mmに対して、3〜10mmの圧密加工を行った積層合板PWを得た。供給する水蒸気の温度は、110℃から210度に上昇させ、その間に加えた圧縮力は20〜50kg/cm2である。
「交差接合状態」の1.5mmと2.0mmの積層合板PWでは、0.2〜1.0mm
の繊維が交差すると、その交差位置では、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結び付きを行っても、所定の温度及び圧縮力で得られる絶対的ヘミセルロース及びリグニン、セルロースの総量が少なく、接合が完全に行われていないと推定される。
積層合板Aは4枚の薄板Wからなり、その薄板Wの厚みを3.0mmとしたものである。また、積層合板Bは4枚の薄板Wからなり、その薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mm+3.0mmとしたものである。積層合板Cは3枚の薄板Wからなり、その薄板Wの厚みを2.5mm+3.0mm+2.5mmとしたものである。積層合板Dは3枚の薄板Wからなり、その薄板Wの厚みを3.0mm+3.0mm+3.0mmとしたものである。
加圧前多層材NWと積層合板PWの圧縮率は、式
(加圧前多層材NWの厚み−積層合板PWの厚み)/加圧前多層材NWの厚み
で算出した。
また、積層合板Cでは、30℃の湯につけても30分で積層面が軟化した。即ち、これはヘミセルロースの反応開始温度の60℃以上の問題ではなく、圧縮力の影響が出ていると推定できる。圧縮力を大きくすると積層合板Cの内部の空気がなくなり、緻密な接合が行われるものの、圧縮力が弱いと繊維を潰すことなく形式的な接合が行われているに過ぎないので、そこに湯が入り全体が軟化したものと推定される。当然、60℃の湯につけても15分で積層面が軟化した。
そして、積層合板Dは、薄板Wの厚みを増加させ、圧縮力を増加させることにより、30℃の湯に45分間は問題なく着けられており、また、60℃の湯でも15分間は耐えている。したがって、圧縮力を大きくすることが必要要件であり、圧縮率からいえば65%以上の圧縮率が望ましい。特に、70%以上の圧縮率が安全性が高くなる。また、圧縮率が低い場合には、表面に撥水性のコーティング剤の塗布が望ましい。
特に、自然界で30℃の湯中に積層合板PWが浸漬される条件は皆無であるが、それでも、薄板Wの厚みは2.5mm、圧縮率が65%以上であれば、使用できることを示している。
また、60℃の湯中に積層合板PWが浸漬される条件は、ヘミセルロースがリグニンとセルロースとの結付きを阻害する可能性を確認するものであるが、圧縮率が65%以上であれば、それも現れ難いことを示している。
しかし、圧縮率の境界線が65%程度にあることを意味するものであるから、大量生産する場合には、望ましくは65%以上であり、また、薄板Wの厚みも3.0mm以上が望ましい。
特に、ヘミセルロースはリグニンとセルロースとの結び付ける機能を有しており、オイルパーム幹WDの自然栽培されている状態では、互いにどれだけ干渉し合っているかは不明である。しかし、所定の温度、例えば、リグニンの反応開始温度の80度以上に温度を上げることにより、ヘミセルロースの反応開始温度の60度以上となり、互いに反応し、堅固な特性となることが確認された。
そして、乾燥させた薄板Wを所定の状態に複数枚加圧前多層材NWとして積層する工程は、通常、2枚乃至5枚の単位で積層して使用されるが、原理的には、2枚以上の積層であればよく、これを積層工程とすることができる。
加えて、前記押圧工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させ、積層合板PWの圧縮状態を固定し、所定の圧縮率で圧縮していた圧縮力を解圧するものであり、これを積層合板PWから捉えて固定工程とすることができる。
勿論、オイルパーム薄板W1,・・・,W6または薄板W1,・・・,W7以外の木材等からなる薄板WU及び/または薄板WVをラワン材とすることもできる。また、ベニヤ板と同様に、所定長のラワン材の幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて薄板をオイルパーム薄板W以外の木材からなる薄板WU及び/または薄板WVとすることができる。
なお、ここにおける接合には、オイルパーム幹の薄板は凹凸面に対して逆の凸凹面に成型する能力があることから、その成形能力を利用した機械的接合も含まれている。
このとき、前記オイルパーム幹WDの維管束Aは、図10(a)に示すように、ほぼ円形で(最大長+最小長)/2で算出した維管束Aの平均径(相加平均=算術平均)は、0.4〜1.2mmの太さであり、その中に導管Bも形成されている。維管束Aの太さは、オイルパーム幹WDの位置によって大きく変化し、図9に示すように一般に、上側では細く、根元側では太くなっている。また、オイルパーム幹WDの切断面の位置からすれば、外周側の維管束Aの断面は細く、中心に向かって徐々に太くなっている。
このオイルパーム薄板Wの維管束Aが破壊されると、ささくれた(棘が刺さり易い)表面となり、表面的には圧密加工しない状態の表面との違いがなくなる。特に、維管束Aの破壊は通常よりも硬いささくれが立つので、その取扱いが危険になる。そこで、硬いささくれが立たない状態を図10(b)に示すような1mm以上と特定したものである。
しかし、維管束Aが破壊される圧力で圧縮したときには、機械的強度が変化しないか、或いは、機械的強度が降下するので圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みは、少なくとも1.0mmは必要となる。例えば、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みが0.8mm以下の厚みでは、0.4mmの維管束Aは安全であるが、維管束Aの1.2mmのものが多少縮径されたとしても破壊される可能性がある。そこで、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みが1.0mm以上とすれば、維管束Aが多少は縮径されることは当然であるから、破壊されたり、切断されたりすることがなくなる。
このようにして、圧密加工したオイルパーム薄板Wの厚みは1.0mm以上としたものである。
CT 刃物
W、W1,・・・,W5 薄板
UWD 連続薄板
PW 積層合板
NW 加圧前多層材
MC 圧密加工材製造装置
IS 内部空間
10 プレス盤
10A 上プレス盤
10B 下プレス盤
18 位置決め孔
20 枠体
Claims (8)
- 所定長のオイルパームの幹をその周方向に所定の厚みで剥いて形成した薄板と、前記薄板を所定枚数積層、加熱圧縮により積層合板としたオイルパーム薄板の接合組成物において、
前記薄板を一体に接合する前記接合組成物は、所定の厚みに剥いた前記薄板の面を接着機能を有する接合面とし、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分としたことを特徴とするオイルパーム薄板の接合組成物。 - 所定長のオイルパームの幹をその周方向に所定の厚みで剥いて形成した薄板と、前記薄板を所定枚数積層、加熱圧縮により積層合板としたオイルパーム薄板の接合組成物において、
前記薄板を一体に接合する前記接合組成物は、前記複数枚の薄板の温度及び圧縮力の制御によって前記複数枚の薄板を前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分としたことを特徴とするオイルパーム薄板の接合組成物。 - 前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板は、前記複数枚積層した薄板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とし、前記オイルパーム薄板以外の木材からなる薄板を含めて前記積層合板に一体に接合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルパーム薄板の接合組成物。
- 前記オイルパーム薄板を一体に接合してなる積層合板は、前記複数枚積層した薄板の両端面の2枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とし、前記オイルパーム薄板以外の木材からなる薄板を含めて前記積層合板に一体に接合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオイルパーム薄板の接合組成物。
- 所定長のオイルパームの幹をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚みに剥いて複数枚の薄板に形成する薄板工程と、
前記薄板を乾燥する薄板乾燥工程と、
前記薄板乾燥工程で乾燥させた前記薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程と、
前記積層工程以降で前記積層された前記薄板の温度を上昇させるべく加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって加熱された前記積層された前記薄板に、前記薄板の面に対して直角方向の圧縮力を加える押圧工程と、
前記押圧工程で所定時間押圧した後、前記加熱工程で供給していた温度を降下させる固定工程と
を具備し、
前記加熱工程、前記押圧工程及び前記固定工程によって前記複数枚の薄板を圧密加工して前記オイルパームの幹自体が含有する樹脂成分及び糖成分により一体に接合することを特徴とするオイルパーム薄板の接合方法。 - 前記薄板乾燥工程で乾燥させた薄板を所定の状態に積層する積層工程は、所定の積載面を規制する枠体で前記薄板の面の上下及び左右を規制することを特徴とする請求項5に記載のオイルパーム薄板の接合方法。
- 前記薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程では、前記複数枚積層した薄板の1枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とし、前記オイルパーム薄板以外の木材からなる薄板を含めて前記積層合板に一体に接合したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のオイルパーム薄板の接合方法。
- 前記薄板を所定の状態に複数枚積層する積層工程では、前記複数枚積層した薄板の両端面の2枚をオイルパーム薄板以外の木材からなる薄板とし、前記オイルパーム薄板以外の木材からなる薄板を含めて前記積層合板に一体に接合したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のオイルパーム薄板の接合方法。
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