JPH11151703A - 改質木材の製造方法 - Google Patents

改質木材の製造方法

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JPH11151703A
JPH11151703A JP33630797A JP33630797A JPH11151703A JP H11151703 A JPH11151703 A JP H11151703A JP 33630797 A JP33630797 A JP 33630797A JP 33630797 A JP33630797 A JP 33630797A JP H11151703 A JPH11151703 A JP H11151703A
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wood
solution
pressure
compression
timber
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JP33630797A
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Toshio Muraki
俊夫 村木
Akiko Hoshino
亜紀子 星野
Masahiro Funato
正宏 船戸
Tamio Arakawa
民雄 荒川
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Mywood KK
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Mywood KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 針葉樹材等の木材に対し、落ち込み等の変形
を生じさせることなく、少量の薬液注入量で均一に薬液
を注入でき、しかも力学的物性の優れた木材が得られる
改質木材の製造方法を提供する。 【解決手段】 木材を圧縮成形する工程と、前記圧縮成
形された木材を固定化する工程と、前記固定化された木
材に薬剤が溶解した溶液を加圧注入する工程とからな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧縮成形された
木材に薬剤を注入する方法に関するもので、特には、ス
ギ、カラマツ等の針葉樹に効率よく防腐剤、難燃剤等の
薬剤を注入して耐生物劣化や耐火性を高めるとともに、
力学的物性を向上させた優れた木材を製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、木材の生物劣化を抑制して耐用
年数を高める手段として、防腐剤、防虫剤等の化学薬品
を木材組織中に含浸させる方法が広く実施されてる。ま
た、防腐剤や防虫剤の代わりに難燃剤等を含浸させ、木
材の耐火性を向上させることもある。これらの薬品は、
水または有機溶媒などに溶解または分散させて薬液とし
て用いられる。
【0003】木材組織中に効率よく薬液等を含浸させる
方法としては、減圧・加圧注入法が知られている。この
減圧・加圧注入法では、被処理木材を適度の含水率まで
乾燥させた後密閉容器中に入れ、その容器内を減圧にし
て木材組織中の空気を除去する。そして、減圧状態を保
持しつつ薬液を密閉容器中に導入し、薬液を木材組織中
に加圧注入するものである。
【0004】しかしながら、この方法では、木材の寸法
がある程度以上になると木材の中心部まで薬液を含浸さ
せるのが困難になる。即ち、針葉樹等に薬液を注入する
場合、落ち込み等の変形を回避するために加圧注入圧力
は10気圧程度に抑えられることから、ある程度以上の
寸法を有する木材に対しては、圧力不足となって木口付
近にしか薬液を注入できず、木材中央部まで薬液が浸透
しない現象を生じる。その結果、このような木材は使用
中に割れが入ると、薬剤の注入されていない中央部分が
露出して木材腐朽菌や蟻等の被害を受けるようになる。
【0005】これを改善するために、薬液の木材への注
入に先立って、例えば板目材の表面に深さ1cm程度の
溝を多数彫り込んだ、いわゆるインサイジング加工した
木材を使用する方法が採用されている。しかし、このイ
ンサイジング加工では木材の表面に刺傷がつくために表
面意匠性が損なわれ、さらには厚さが数cm以上の板目
材や柱材では木材内部への注入性が充分とはいえなかっ
た。
【0006】木材へ薬液を注入する別の方法として、圧
縮回復法がある。この圧縮回復法は、木材を圧縮成形し
てその圧縮状態を一次的に保持した状態で薬液を注入
し、木材の圧縮変形の回復による吸引力を利用して薬液
の注入の促進を図っている。例えば「木材学会誌41巻
9号811〜819頁」の論文によれば、針葉樹、広葉
樹合計7樹種についての圧縮回復法による薬液の含浸を
試みたところ、いずれの場合も薬液含浸が促進されるこ
とが報告されている。ところが、この圧縮回復法は薬液
の注入性の問題は多少改善されるもののいまだ充分とは
言えず、さらに、木材内部に均一に注入するためには大
量の薬液が必要となる。そのため、注入後には薬液中の
水などの大量の溶媒を木材から乾燥除去する必要があ
り、その乾燥除去に大きなエネルギーを要し、経済性に
問題がある。
【0007】また、圧密化処理した針葉樹に薬液を注入
する例が、特開平3−24904号に開示されている。
これによると、厚さ1mm程度のヒノキ単板を圧縮処理
した後、特定の水溶性樹脂を含浸硬化させることにより
木材本来の素材感を保持したヒノキ強化材が得られる。
しかし、圧密化処理したヒノキ材は前記公報に記載され
ているように、吸湿時に厚さ方向の戻りが生じるという
問題があり、これを防ぐためには特定の樹脂液を注入硬
化する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明はこの
ような状況に鑑みてなされたもので、針葉樹材等の木材
に、落ち込み等の変形を生じさせることなく、少量の薬
液注入量で木材内部に均一に薬剤を注入でき、しかも木
材の力学的物性を向上させることのできる改質木材の製
造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
木材を圧縮成形する工程と、前記圧縮成形された木材を
固定化する工程と、前記固定化された木材に薬剤が溶解
した溶液を加圧注入する工程とからなることを特徴とす
る改質木材の製造方法に係る。
【0010】請求項2に係る発明は、前記固定化された
木材の全乾比重を0.45〜0.85の範囲とすること
を特徴とし、また請求項3に係る発明は、前記薬剤とし
て、防腐剤、防虫剤、難燃剤、樹脂の少なくとも1種を
用いることを特徴とし、さらに請求項4に係る発明は、
前記加圧注入圧力が15〜30気圧の範囲にあることを
特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の改質木材の製造方法は、
圧縮成形工程、固定化工程、及び加圧注入工程からな
る。以下、各工程に従って説明する。
【0012】圧縮成形工程は、木材を圧縮してその力学
的性質を高めるとともに、木材の体積を減少させてその
後に行う加圧注入工程時の溶液注入量を少なくするため
に行われる。この圧縮工程では、処理する木材が適度に
乾燥されて水分が少なくされていることが必要である。
木材の乾燥程度は、樹種やその大きさや液体の組織内へ
の浸透性等によって異なるが、木材中に自由水のない状
態、いわゆる繊維飽和点以下の含水率まで乾燥されてい
ることが好ましい。また、木材に割れなどが生じる恐れ
のある場合には、自由水を多少存在させてもよい。な
お、木材中の自由水とは、木材構成物質と結合すること
なく、仮道管などの粗大空隙中に存在する水分を言う。
この木材の乾燥方法としては、大気中に木材を放置して
乾燥させる自然乾燥法の他、制御された温度及び湿度下
で木材中の水分を蒸発させる人工乾燥法が知られていお
り、いずれを使用してもよい。
【0013】使用する木材としては、針葉樹、広葉樹の
いずれでもよく、また、その形態は、板目材が好ましい
が角材等でもよい。
【0014】この圧縮成形工程では、加熱軟化後に圧縮
が行われる。その方法としては、あらかじめ木材を恒温
恒湿槽やオーブン中で加熱軟化した後、プレス成形機で
圧縮成形する方法、木材を加熱したプレス成形機の圧盤
の間に挿入して、充分に加熱軟化された後に圧縮成形す
る方法などがある。前記加熱軟化においては、木材をそ
の軟化点以上の温度にする必要があり、圧縮成形する木
材の樹種によって異なるが、通常50〜100℃前後が
適している。なお、圧縮成形を木材の軟化点より低い温
度で行う場合には、高い圧力を必要とし、また、圧縮成
形によって木材の微細組織が損傷を受けやすく、強度低
下等の好ましくない現象を派生し易くなる。
【0015】この圧縮成形工程では、木材の全乾比重が
0.45〜0.85の範囲になるように木材を圧縮する
ことが好ましい。これを達成するための圧縮率は、圧縮
成形前の木材の全乾比重が0.35程度の場合、およそ
20〜60%となる。ここで全乾比重とは、木材を取り
扱う分野で通常使用されている特性であり、具体的には
次の方法で測定する。すなわち、所定の寸法で切り出し
た試験体をJIS Z2102に準拠して、換気の良好
な乾燥機の中で温度100〜105℃で恒量になるまで
乾燥して全乾重量(W)を測定する。同じくこの乾燥さ
れた試験体についてその体積(V)を測定して、両者の
比W/Vから全乾比重を求める。また圧縮率は、板目材
の場合、圧縮前の厚さに対して圧縮により減少した厚さ
の百分率を言う。例えば、厚さ5cmのものが圧縮され
て厚さ2cmになった場合、圧縮率は(5−2)÷5×
100=60(%)である。圧縮率が前記範囲にある圧
縮木材は、力学的性質が向上しているとともに薬液の注
入性もよい。また、木材を圧縮すると、その比重は増大
する。本発明者らは、木材の圧縮率及び比重と前記特徴
(力学的性質及び溶液の注入性)との関係を詳細に試験
した結果、前記特徴と比重の間に密接な関係があり、圧
縮木材の全乾比重が0.45〜0.85の範囲にある場
合に前記特徴が最も好ましく発現することが明らかとな
った。すなわち、圧縮木材の全乾比重が0.45未満の
場合には、力学的物性が充分に高くなく、一方全乾比重
が0.85より大の場合には、力学的物性は高いものの
溶液の注入性が悪くなる。
【0016】前記圧縮成形工程に続く固定化工程は、前
記木材の圧縮状態を固定し、それにより長期に渡って木
材に高い力学的物性を保持させるとともに、後に行う加
圧注入工程時に溶液の注入を少ない量で行えるように木
材の圧縮状態を維持するために行われる。この固定化工
程では前記圧縮成形された木材に対し、その圧縮状態を
維持しながら加熱を行い、次いで前記圧縮状態を維持し
ながら冷却することにより木材の圧縮状態を固定する。
【0017】圧縮成形された木材の固定化の態様として
次のものがある。その一つは、例えば前記圧縮成形工程
において、プレス成形機で圧縮成形された木材をその圧
縮状態を維持しながら充分冷却した後、プレス成形機か
ら取り出し、続くこの固定化工程において、まず、上下
一対の平板状の圧締型の間に前記木材を挿入して、型周
辺をボルトなどで締め付け、木材が完全に圧締型と接触
するようにセットする。次いで、このようにセットした
木材を耐圧密閉容器の中に入れた後、容器内に高温高圧
の水蒸気を吹き込んで、木材を高温水蒸気で処理する。
所望の温度で所望時間処理した後、容器内を常圧にまで
解圧し、容器内から圧締型をそれにセットされた木材と
ともに取り出し、充分冷却することにより固定化を行
う。その後木材を圧締型から取り出す。
【0018】また、圧縮成形された木材の固定化の様態
の他の一つは、前記圧縮成形工程において、密閉可能な
金型を用いて木材をプレス成形機で圧縮成形した後、こ
の固定化工程において、前記圧縮状態を保持しながら金
型の圧盤の温度をさらに上げて金型内部が高温高圧の水
蒸気で満たされた状態にし、この高温水蒸気下で圧縮木
材を処理する。そして、所望の温度で所望の時間かけて
処理した後、圧盤面を冷却することにより木材を充分冷
却することにより固定化を行う。その後解圧して固定化
された木材を取り出す。
【0019】この固定化工程によって、木材は厚さ方向
の戻りの抑制が達成されるため、特定の樹脂を木材に含
浸硬化させて固定する必要がなくなり、後の加圧注入工
程時に使用する溶液が特定の樹脂液またはその樹脂液と
薬剤液との併用に限定されなくなる。
【0020】加圧注入工程は、前記圧縮状態の固定化さ
れた木材を、薬剤が溶解した溶液で加圧して該溶液を木
材中に効率よく注入する工程である。この発明で使用さ
れる薬剤としては、木材の改質材として知られている各
種の薬剤を使用することができる。その中でも防腐剤、
防虫剤、難燃剤などは、特に要望の高い耐生物劣化や耐
火性を向上させることができるため望ましい。これらの
薬剤は、水や比較的低沸点の有機溶剤に均一に溶解し、
または微細分散させた溶液として使用される。
【0021】この加圧注入工程の態様の一例として次の
ものがある。まず、前記固定化された木材を耐圧容器に
収容し、真空ポンプによって耐圧容器内部を減圧にす
る。次いで、溶液を耐圧容器内に導入して耐圧容器内を
溶液で満たした後、さらに加圧送液ポンプを用いて耐圧
容器内が所定の圧力になるまで薬剤溶剤を導入する。そ
れによって、木材内に溶液が圧入され、木材内の中央部
まで効率よく浸入するる。その際、木材内部への溶液の
浸入によって耐圧容器内では圧力の低下を生じるが、前
記耐圧容器内への溶液の導入を継続することにより所定
の圧力を維持する。これによって、溶液は木材の中央部
まで効率よく注入される。
【0022】前記溶液の注入時の圧力は、10気圧以上
の圧力が適しており、特に15〜30気圧の注入圧力が
好ましい。このような高圧条件で注入することにより、
木材の内部中央まで溶液が均一に注入されるようにな
る。なお、圧縮成形を行わない木材に対して、このよう
な高圧注入を行うと、早材等の軟らかい部分の落ち込み
や木材全体の変形などを生じるが、本発明においては、
圧縮成形工程および固定化工程により、木材は前もって
充分に圧縮および固定化されて力学的物性が向上してい
るため、そのような寸法変化を生じることがない。ただ
し、注入圧力が30気圧を越すと、圧縮固定された木材
であっても木材に大きな変形を生じ易くなるため、注入
圧力は前記10〜30気圧の範囲とするのが好ましい。
【0023】また、この加圧注入工程において、圧縮成
形された木材は固定化処理されているため、溶液の注入
によって木材中に多量の水分が入っても圧縮成形された
状態が保持される。従って、木材は高い力学的物性を保
持することができる。特に、溶液の注入を室温より高い
温度で行う場合には、この固定化による圧縮状態の維持
効果が顕著に発揮される。
【0024】さらに、前記木材への注入に使用される溶
液の量は、木材が圧縮および固定化により、圧縮前の状
態よりも体積が減少しているため、少量の溶液で木材内
の中央部まで均一に中央することができる。例えば、圧
縮成形されていないスギ材(全乾比重0.33)の内部
まで薬液を均一に注入しようとすると、通常全乾木材重
量100kgあたり167kgの溶液(体積あたりにし
て550kg/m3)が必要であるのに対し、体積が1/
2になるように圧縮および固定化されている木材であれ
ば、全乾木材重量100kgあたり68kg(体積あた
り450kg/m3)で内部までの均一注入が可能とな
る。
【0025】前記耐圧容器の溶液中に木材を所要時間保
持した後、耐圧容器内への薬液の導入を停止して薬液を
耐圧容器から排出する。その後、前記溶液が内部に注入
された木材を耐圧容器から取り出し、自然乾燥または人
工乾燥あるいは両者を組み合わせて木材中の水分を所望
の含水率になるように乾燥すれば、所望の改質木材が得
られる。
【0026】
【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明の実施例を
詳細に説明する。図1は本発明の改質木材の製造方法の
一実施例におけるプレス成形機の断面図、図2は加圧注
入工程における溶液注入装置を示す概略図である。
【0027】図1に示すように、本実施例において使用
するプレス成形機50は、上部の可動盤55と下部の固
定盤56とを備え、前記可動盤55と固定盤56に互い
に向かい合う一対の圧盤51a,51bが取付けられて
おり、また圧盤51bの周縁には密閉用パッキングを備
えたスペーサー57が圧盤51aに向けて立設されてい
る。前記可動盤55は固定盤56に対して上下動可能に
形成されていて、前記可動盤55とともに圧盤51aが
上下動し、それによって両圧盤51a,51bが互いに
接近したり離れるように構成されている。
【0028】また、図2に示す溶液注入装置は、溶液タ
ンク10、耐圧容器20を有し、前記溶液タンク10に
設けられたヒーター11によって溶液Lが温度調節機1
2で所望の温度に制御されている。符号13は溶液供給
ポンプである。また、耐圧容器20は、木材40aを出
し入れするための蓋21、圧力調節機22、温度調節機
23、圧力計24、真空ポンプ25、加熱用ヒーター2
6を備えている。
【0029】(実施例1)人工乾燥により含水率を23
%に調整した長さ100cm、幅15cm、厚さ4cm
のスギ板目材の両木口から長さ1cmの比重測定試験片
を切り取り、105℃のオーブンで恒量(全乾)まで乾
燥した後、その比重測定試験片の体積と重量を測定し比
重を求めた。その結果、全乾比重は0.33であった。
【0030】前記比重測定試験片を切り取った残りの板
目材40を、110℃に加熱したプレス成形機50の圧
盤51a,51b間に挿入し、30分経過後に可動盤5
5を下降させて圧盤51a,51bで圧縮成形工程を行
った。この際、厚さ調節用スペーサー57により板目材
40が2.2cmになるように圧縮成形した。次に固定
化工程により、前記圧縮状態を保持しながら圧盤51
a,51bの温度を160℃まで上昇させ、同温度で3
0分間保持して固定化工程を行った。次いで前記圧縮状
態を保持しながら圧盤51a,51bを40℃まで冷却
した後、解圧して圧縮状態が固定化された板目材を取り
出した。得られた板目材は、長さおよび幅が圧縮成形前
と同じであるのに対して、厚さが2.2cmに減少して
おり(圧縮率は元の45%に相当する)、割れなどの欠
陥がなく表面平滑性の良いものであった。得られた板目
材の両木口から長さ1cmの比重測定試験片を切り取
り、105℃のオーブンで恒量まで乾燥した後、その比
重測定試験片の体積と重量を測定して比重を求めた結
果、全乾比重は0.60であった。
【0031】次いで、前記固定化工程が済んで比重測定
試験片の切除された残りの板目材に対して図2に示すよ
うに加圧注入工程を行った。この実施例では、溶液の板
目材内への浸入具合を視覚的に判断できるようにするた
め、溶液Lとしてはパテントブルーを0.5%濃度で溶
解した染料水溶液を用いた。まず、前記固定化工程が済
んだ板目材40aを耐圧容器20内に入れ、真空ポンプ
25により真空度25mmHgで1時間減圧処理した。
次いで、前記パテントブルー水溶液Lを溶液タンク10
から供給ポンプ13を用いて耐圧容器20に送液した。
耐圧容器20内を溶液Lで満たした後、さらにパテント
ブルー水溶液Lを圧入し続けて20気圧で3時間維持し
た。その後、耐圧容器内の溶液Lを排出して耐圧容器2
0内の圧力を大気圧まで徐々に降圧させ、注入処理され
た板目材を取り出した。取り出した板目材は、早材部の
落ち込み等変形・破壊が全くなかった。また、この得ら
れた板目材の重量を測定した結果、溶液の注入量は固定
化後の板目材全乾重量100gあたり68gであった。
【0032】この溶液が注入された板目材(注入処理
材、以下同様。)を5日間自然乾燥したあと、70℃の
オーブン中で3日間乾燥して含水率23%の乾燥材を得
た。この乾燥した板目材について、幅方向中央部を繊維
方向に沿って縦切りして、材内部の柾目面の染色状態を
調べた結果、木口に近い部分は完全に染色されており、
また長さ方向中央部も面積比で80%が染色されてい
た。
【0033】この乾燥された板目材の曲げ強さをJIS
Z2101に準拠して測定したところ74N/mm2
であったのに対し、圧縮成形前の人工乾燥のみを行った
板目材では50N/mm2 であり、この実施例では圧縮
成形前のものに対して約1.5倍曲げ強度が増大してい
た。
【0034】(比較例1) ・圧縮成形工程と固定化工程を省略し、加圧注入圧力が
低い例 人工乾燥によって含水率を24%に調整した長さ100
cm、幅15cm、厚さ4cmのスギ板目材の両木口か
ら長さ1cmの比重測定試験片を切り取り、105℃の
オーブンで恒量まで乾燥した後、比重測定試験片の体積
と重量を測定して比重を求めた結果、全乾比重は0.3
5であった。両木口から前記比重測定試験片を切り取っ
た残りのスギ板目材からなる試験片を、圧縮成形工程お
よび固定化工程を行うことなく、耐圧容器20内に入
れ、実施例1と同様の真空度25mmHgで1時間減圧
処理した後、パテントブルー水溶液Lを耐圧容器20に
満たし、さらにパテントブルー水溶液Lを圧入し続け、
実施例1より圧力の低い8気圧で3時間維持した。その
後、耐圧容器20内の溶液Lを排出して耐圧容器20内
の圧力を大気圧まで徐々に降圧し、注入処理した板目材
を取り出した。取り出した板目材は、早材部の落ち込み
等変形・破壊が全くなかった。また、この板目材の重量
を測定した結果、溶液Lの注入量は板目材の全乾重量1
00gあたり34gであり、実施例1の半分の量であっ
た。さらに、この注入処理された板目材を実施例1と同
様の方法で乾燥させ、材内部の柾目面の染色状態を調べ
た結果、木口付近しか染色されておらず、長さ方向中央
部については全く染色されていなかった。
【0035】(比較例2) ・圧縮成形工程と固定化工程を省略し、加圧注入圧力が
実施例1と同じ例 人工乾燥によって含水率21%に調整した長さ100c
m、幅15cm、厚さ4cmのスギ板目材の両小口から
長さ1cmの比重測定試験片を切り取り、105℃のオ
ーブンで恒量まで乾燥した後、比重測定試験片の体積と
重量を測定して比重を求めた結果、全乾比重は0.32
であった。両木口から前記比重測定試験片を切り取った
残りのスギ板目材からなる試験片を、圧縮成形工程およ
び固定化工程を行うことなく、耐圧容器20に入れ、実
施例1と同様の真空度25mmHgで1時間減圧処理し
た後、パテントブルー水溶液Lを耐圧容器20に満た
し、さらにパテントブルー水溶液Lを圧入し続け、実施
例1と同じ20気圧で3時間維持した。その後、耐圧容
器L内の溶液Lを排出して耐圧容器内の圧力を大気圧ま
で徐々に降圧し、注入処理した板目材を取り出した。取
り出した板目材は、年輪剥離、割れが生じ、破壊が著し
かった。
【0036】(比較例3) ・固定化後の全乾比重が高い例 実施例1と同様の方法で、長さ100cm、幅15c
m、厚さ4cmの板目材を厚さ1.4cm(圧縮率は6
5%に相当する)に圧縮成形・固定化を行い、固定化後
の全乾比重を測定したところ、全乾比重は0.91であ
った。この板目材に実施例1と同様の方法でパテントブ
ルー水溶液Lを圧入し続け、20気圧で3時間維持し
た。その後、耐圧容器20内の溶液Lを排出して耐圧容
器20内の圧力を大気圧まで徐々に降圧し、注入処理し
た板目材を取り出した。取り出した板目材は、早材部の
落ち込み等変形・破壊が全くなかった。また、この板目
材の重量を測定した結果、溶液Lの注入量は板目材の全
乾重量100gあたり14gであり、実施例1の68g
に対して約5分の1であった。また、実施例1と同様の
方法で乾燥させ、材内部の柾目面の染色状態を調べた結
果、木口付近しか染色されておらず、長さ方向中央部は
全く染色されていなかった。
【0037】(比較例4) ・固定化後の全乾比重が低い例 実施例1と同様の方法で、長さ100cm、幅15c
m、厚さ4cmの板目材を厚さ3.4cm(圧縮率は1
5%に相当する)に圧縮成形・固定化し、固定化後の全
乾比重を測定したところ、全乾比重は0.38であっ
た。この板目材に実施例1と同様の方法でパテントブル
ー水溶液を注入し続け、20気圧で3時間維持した。そ
の後、耐圧容器20内の溶液を排出して内圧を徐々に大
気圧まで降圧し、注入処理した板目材を取り出した。取
り出した板目材は早材部の落ち込み、割れ、圧縮等の変
形・破壊が発生していた。
【0038】(実施例2)人工乾燥によって含水率19
%に調整した長さ80cm、幅15cm、厚さ4cmの
スギ板目材の両木口から長さ1cmの比重測定試験片を
切り取り、105℃のオーブンで恒量まで乾燥した後、
比重測定試験片の体積と重量を測定し比重を求めた結
果、全乾比重は0.35であった。両木口から前記比重
測定試験片を切り取った残りのスギ板目材を使用して実
施例と同様の方法で圧縮成形工程および固定化工程を行
い、厚さ2.2cmの板目材を作製した。この板目材の
両木口から長さ1cmの比重測定試験片を切り取り、実
施例1と同様の方法で求めた固定化後の全乾比重は0.
63であった。
【0039】固定化後前記比重測定用試験片を切り取っ
た残りの板目材に対し次のようにして加圧注入工程を行
った。すなわち、前記残りの板目材を耐圧容器20に入
れ、真空ポンプ25により真空度25mmHgで1時間
減圧処理した。次いで、60℃に加熱した濃度5重量%
のホウ酸水溶液Lを溶液タンク10から供給ポンプ13
を用いて耐圧容器20に送液して耐圧容器20内をホウ
酸水溶液で満たした。そして、前記耐圧容器20をその
外周に設置したヒーター26で加熱しながら、さらにホ
ウ酸水溶液Lを耐圧容器20に圧入し続けて20気圧、
60℃で3時間維持した。その後耐圧容器20内のホウ
酸水溶液Lを排出して、注入処理した板目材を取り出し
た。取り出した板目材は、早材部の落ち込み等変形や割
れが全く見られなかった。この得られた板目材の重量を
測定した結果、ホウ酸水溶液の注入量は板目材の全乾重
量100kgあたり64kgであった、この溶液注入量
はホウ酸量としては板目材の全乾重量100kg当たり
3.2kgに相当する。
【0040】次に、前記ホウ酸水溶液を注入した板目材
を、5日間自然乾燥したあと、70℃のオーブン中で3
日間乾燥した。この乾燥した板目材について、幅方向中
央部を繊維方向に沿って縦切りし、材内部のホウ酸の注
入状態を「針葉樹の造作用製材の日本農林規格」の呈色
法で調べた。すなわち、切断面にクルクミンのエタノー
ル溶液を塗布し、乾燥させた後、サリチル酸の希塩酸水
溶液を塗布して色の変化を調べた。その結果、切断面全
体が赤色に呈色し、板目材の内部全体にホウ酸が注入さ
れていることが確認された。
【0041】
【発明の効果】以上図示し説明したように、本発明の改
質木材の製造方法によると、圧縮成形・固定化された木
材に薬剤が溶解した溶液を加圧注入するものであるか
ら、力学的物性が優れた木材が製造できる。また、力学
的物性が優れているものであるから、高圧で薬液を注入
しても、その注入時に木材の落ち込み等の変形を生じる
ことがない。さらに、圧縮成形された木材は、仮道管等
の空隙体積が小さくなっているために、溶液が木材の内
部に均一に注入された場合も注入過剰になることなく注
入後の乾燥エネルギーを少なくできる。しかも、圧縮成
形された木材は体積が元に比べて小さくなっているた
め、少ない溶液注入量でもって木材中に溶液を均一に注
入することができ、経済的である。
【0042】また、本発明において、固定化された木材
の全乾比重を0.45〜0.85の範囲とすれば、得ら
れる木材の力学的物性が優れると同時に、木材が過度に
圧縮されていないため、加圧注入工程時に溶液の注入性
が妨げるおそれがなく効率よく注入を行える。
【0043】さらに、この発明において溶液の加圧注入
圧力を15〜30気圧とすれば、圧縮成形・固定化され
た木材に対して、効率よく溶液を注入させることがで
き、しかも注入時に木材内部が圧力で落ち込む等の不具
合を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における改質木材の製造方法の一実施
例におけるプレス成形機の断面図である。
【図2】この発明における加圧工程に使用する溶液注入
装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10 溶液タンク 11 ヒーター 12 温度調節機 13 溶液供給ポンプ 20 耐圧容器 21 蓋 22 圧力調節機 23 温度調節機 24 圧力計 25 真空ポンプ 26 加熱用ヒーター 40,40a 木材 50 プレス成形機 51a,51b 一対の圧盤 55 可動盤 56 固定盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒川 民雄 愛知県岩倉市井上町種畑20番地 マイウッ ド株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材を圧縮成形する工程と、 前記圧縮成形された木材を固定化する工程と、 前記固定化された木材に薬剤が溶解した溶液を加圧注入
    する工程とからなることを特徴とする改質木材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、固定化された木材の
    全乾比重が0.45〜0.85の範囲にあることを特徴
    とする改質木材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、薬剤が防腐
    剤、防虫剤、難燃剤、樹脂の少なくとも1種であること
    を特徴とする改質木材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    加圧注入圧力が15〜30気圧の範囲にあることを特徴
    とする改質木材の製造方法。
JP33630797A 1997-11-19 1997-11-19 改質木材の製造方法 Pending JPH11151703A (ja)

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