JP6086234B2 - 樹脂製歯車の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製歯車、殊に斜歯の樹脂製歯車の製造法に関する。
従来、自動車で使用される歯車の多くは、強度及び耐熱性の面より金属部品が多く使用されていたが、近年では、環境対応自動車開発が進み、燃費向上やCO削減に対応する軽量化、更には、金属製歯車同士の噛み合い音の静粛性の観点から、樹脂製歯車を用いることが提言されている。
樹脂製歯車の具体的構成としては、補強繊維基材としてアラミド繊維を使用するものがあり、図1に示すようにドーナツ状に形成した補強繊維基材1を金属製ブッシュ2にはめ込み、補強繊維基材1に樹脂を含浸・硬化させ、樹脂成形体3を作製する。この樹脂成形体3の周囲に歯切り加工を行い、樹脂製歯車を作製する方法が特許文献1に記載されている。
しかしこの従来技術では、ドーナツ状に形成した補強繊維基材1を、金属製ブッシュ2に対して2個用いることで挟み込み、金属製ブッシュ2の抜け止めを行っているが、補強繊維基材の界面では繊維の絡み合いは弱く、使用用途によっては樹脂製歯車の耐久性が不足する場合がある。これらの問題解決のために、短繊維を用いた濾過脱水法による繊維の集積体を作製し、補強繊維基材を作製する方法が特許文献2に記載されている。
また、樹脂製歯車は、静粛性改善のため歯車形態として斜歯歯車を用いることが多く、噛み合い率を向上させることで静粛性を向上させている。
特開2001−295913号公報 特開2009−250364号公報 特開平11−227061号公報
しかしながら、自動車部品として使用する場合、使用環境下の雰囲気温度は、100℃付近まで上昇することが多くなるため、温度変化による寸法変化が生じる。
より具体的に述べると、図2は、樹脂製の斜歯歯車を歯先から垂直視した側面図を示すが、常温(25℃)域での歯筋4(実線)と、高温域での歯筋5(破線)では変化が生じている。
前述した温度変化による歯筋の変移は、樹脂製歯車単独で見ると、あまり大きな問題とはならないように見える。しかし、歯車は、相手歯車があって始めて機能するものであり、この温度変化による変移は、無視できないものとなっている。
樹脂製歯車と噛み合う相手側歯車は、金属製である場合が多く、樹脂と金属では、線膨張係数が異なり、各歯車の歯の変移量が異なる。
図3に常温(25℃)域での噛み合い概要図を示すが、相手歯車である金属製歯車6と、樹脂製歯車7とを噛み合わせた場合、金属製歯車の歯筋8と、樹脂製歯車の歯筋9は、一致するような噛み合い範囲となるように設計される。
次に、図4に高温域での噛み合い概要図を示すが、温度による寸法変化のため、噛み合いの歯当りが常温(25℃)とは変化し、金属製歯車の歯筋8と樹脂製歯車の歯筋9の片側だけで噛み合う片当りが発生する。そのため噛み合い率が低下し、樹脂製歯車に対しては不利に働き、歯車破損が早期に発生する可能性が生ずる。
ここで、特許文献3には、熱硬化性樹脂と短繊維を主成分とする抄造シートをプレス抜きした抄造シート素形体を複数枚積み重ねて、成形金型内で加熱加圧成形する樹脂製歯車の製造法が記載されている。このとき、異種材料からなる抄造シート素形体を、所定の組合せ構成で積層して、成形金型内で加熱加圧成形することにより、歯幅方向の所定の部位に所望の特性を付与することが考えられる。
しかしながら、上記の樹脂製歯車は、抄造シート素形体の積層界面に、短繊維の絡み合いが殆どなく、使用用途によっては、積層面で剥離が発生しやすいという心配がある。
本発明は、異種材料層から構成された樹脂製歯車であっても、異種材料層の積層界面で剥離が発生しにくく、かつ、常温域から高温域への温度変化により、歯筋の変移が生じた場合等、種々の現象に対応して、歯車の寿命を短くすることのない樹脂製歯車を製造することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂製歯車は、以下の構成を採用する。
(1)構成物として少なくとも短繊維と粉末状樹脂を含み前記構成物と水とを混合して調製したスラリを、予備成形金型に投入して予備成形金型から水を排出することにより、予備成形金型内に前記構成物を集積させて集積層となす工程を、前記集積層が湿潤状態で前記集積層上に前記構成物を集積させて次の集積層を作製するように複数回実施する第1のステップと、前記集積層となす工程を複数回実施して得た複数の集積層を厚さ方向に圧縮して成形素材を形成する第2のステップと、前記成形素材を加熱加圧成形して樹脂成形体を形成する第3のステップと、前記樹脂成形体を斜歯歯車の歯部に加工する第4のステップを経る樹脂製歯車の製造法であって、噛み合う相手歯車に対して前記樹脂製歯車の片当りが起こる側の集積層が、他の側の集積層より強度が大きくなるように、前記片当りが起こる側の集積層の短繊維の含有割合を他の側の集積層より多くすること、又は、前記片当りが起こる側の集積層の短繊維として、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維の配合質量比を変更して混合した短繊維、若しくはガラス短繊維を混合した短繊維を用いることにより、両集積層の間で、各構成物の構成比及び/又は構成物の種類を異ならせることを特徴とする。
(2)項(1)において、構成物として相対的に高強度である短繊維と低強度である短繊維の双方を含んでおり、片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、高強度の短繊維の構成比を多くしたことを特徴とする。
(3)項(1)において、片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、短繊維の含有割合を多くしたことを特徴とする。
本発明によれば、予備成形金型内に構成物として少なくとも短繊維と粉末状樹脂を含み前記構成物を集積させて集積層となす工程を湿潤状態で複数回実施しており、この複数の集積層を厚さ方向に圧縮して成形素材とする。従って、前記圧縮により、複数の集積層の積層界面に、短繊維の絡み合いを付与することができ、異種材料層から構成された樹脂製歯車であっても、異種材料層の積層界面で剥離が発生しにくくすることができる。
また、噛み合う相手歯車に対して樹脂製歯車の片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より強度が大きくなるように、各構成物の構成比及び/又は構成物の種類を異ならせることで、例えば、片当りが生ずる層に対し、樹脂、短繊維、樹脂及び短繊維の種類を変化させるか、樹脂、短繊維、樹脂及び短繊維の種類は同じであるが、その割合を変化させることにより、強度を上げることで、片当りによる樹脂製歯車の寿命低下を抑制できる。また、片当りが生ずる層以外の層に、安価なものを用いることができ、全体のコストを下げることができる。
例えば、片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、相対的に高強度の短繊維の構成比を多くして、強度を上げることができる。また、片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、短繊維の含有割合を多くして、強度を上げることができる。
従来例である樹脂製歯車の製造工程を示す。 温度変化による歯筋変化を示す。 常温域での噛み合い概要図を示す。 高温域での噛み合い概要図を示す。 複数の集積層を持つ成形素材の作製の概要図を示す。 二層の集積層を備えた樹脂製歯車の実施例を示す。 成形金型の概要図を示す。 三層の集積層を備えた樹脂製歯車の実施例を示す。 比較例2の抄造シート素形体の作製の概要図を示す。 へき開強度の測定の概要図を示す。
本発明においては、集積層の構成物として、少なくとも短繊維と粉末状樹脂を含む。そのほか、無機粉末等を含んでもよい。
<短繊維>
本発明に用いる短繊維は、特に限定されるものではないが、綿や麻等の天然繊維、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、ポリアミド繊維等の有機繊維や、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維を使用用途により適宜用いることができる。これらの短繊維は、用途により単独及び複数種類を用いても良い。中でも、高強度の短繊維、具体的には、有機繊維ではパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維を混合したものを、無機繊維ではガラス短繊維を用いると、加工性及び切削性、耐熱性、歯車強度面で優勢であり、特に好ましい。
本発明に用いる短繊維の繊維長は、特に制限されるものではないが、2〜6mmであることが好ましい。繊維長が短くなると、短繊維同士のからみ合いが弱くなり、樹脂成形体に必要とされる強度の確保が難しくなってくる。繊維長が長くなると、濾過脱水のためのスラリを調製する時に短繊維の分散性が低下してくる。繊維長を前記の範囲にすることにより、樹脂成形体に必要とされる強度を確保することができると共に、濾過脱水のためのスラリ調製時に繊維の分散性が十分となる。
<粉末状樹脂>
本発明に用いる樹脂は、粉末形態(粒子形態を含む)で提供され、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など種々の材質のものを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれた1以上の樹脂を組み合わせたものが使用できる。これらの中でも樹脂硬化物の強度、耐熱性等の点からフェノール樹脂が好ましい。
粉末状樹脂の粒子形状は任意であるが、粒状のものを用いるのが好ましい。また、粒子径は、短繊維の繊維径により異なるが、50μm以下が好ましい。これにより、短繊維の集積体の短繊維同士の間隙に均一に分布させることができる。粒子径が大きい場合、短繊維の集積体の繊維配向を乱すことがあり、また、加熱加圧成形して樹脂成形体を製造する際、樹脂成形体内部の短繊維と樹脂が均一に分布しない原因となることがある。
少なくとも上記短繊維と粉末状樹脂と水とを混合して調製したスラリを濾過脱水し、短繊維と粉末状樹脂の集積層を複数層形成する。次に、この複数の集積層を厚さ方向に圧縮して成形素材を形成する。そして、この成形素材を加熱加圧成形して樹脂成形体を形成する。
このとき、本発明においては、隣り合う集積層が、樹脂及び充填物の構成比又は構成物を異ならせている。具体的には、樹脂そのものが異なる、短繊維等の充填物が異なる、樹脂そのもの及び充填物の両方が異なる、充填物は同じであるが充填比率が異なる、又は、樹脂そのもの及び充填比率が異なる、ことを意味する。
本発明では、短繊維以外の充填物として、炭素粉末、ガラス粉末、二硫化モリブデン、アルミナ、窒化ホウ素、鉄粉、等を併用してもよい。
例えば、隣り合う集積層を、互いに異なる種類の短繊維又は互いに異なる短繊維組成とすることができる。
より詳細に述べると、有機繊維のみを用いる場合は、例えば、少なくとも集積層の一層を有機繊維Aで構成した場合に、他の集積層を有機繊維B又は有機繊維Aと有機繊維Bの混合組成にすることができる。
無機繊維のみを用いる場合には、例えば、少なくとも集積層の一層を無機繊維イで構成した場合に、他の集積層を無機繊維ロ又は無機繊維イと無機繊維ロの混合組成にすることができる。
有機繊維と無機繊維とを併用する場合は、例えば、少なくとも集積層の一層を有機繊維又は無機繊維となし、他の集積層を前記有機繊維又は無機繊維とは異なる短繊維とする。複数の集積層のそれぞれに有機繊維と無機繊維とを含有させるのであれば、少なくとも一層を有機繊維Aと無機繊維イの混合組成となし、他の集積層を、「有機繊維Bに、又は有機繊維Aと有機繊維Bに、無機繊維イを配合した混合組成」、「有機繊維Bに、又は有機繊維Aと有機繊維Bに、無機繊維ロを配合した混合組成」、「有機繊維Bに、又は有機繊維Aと有機繊維Bに、無機繊維イと無機繊維ロを配合した混合組成」、又は、「無機繊維ロに、又は無機繊維イと無機繊維ロに、有機繊維Aを配合した混合組成」とすることができる。
前述した「少なくとも一層」と述べる層は、例えば、高温雰囲気下にて片当りする等、好ましくない現象が現れる層であり、強度を高めるために、有機繊維であればパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維を混合したものを用いることが好ましく、無機繊維であれば、ガラス短繊維を用いることが好ましい。
なお、これまで、隣り合う集積層が、互いに異なる種類の短繊維又は互いに異なる短繊維組成の場合について詳細に説明したが、隣り合う集積層が、互いに異なる種類の充填物又は互いに異なる充填物組成の場合も同様に実施することができる。
<短繊維の含有割合>
短繊維の含有割合は、特に制限されるものではなく、集積層に含有されている短繊維と粉末状樹脂の全質量に占める短繊維の質量比を、各集積層の全てにて同じにしても、異ならせても良い。
質量比を異ならせる場合は、この異なる層が、片当り等の不具合が現れる部位であり、短繊維の割合を増やすようにする。具体的には、異ならせる層の短繊維の質量比を40〜60%とすることが好ましく、他の層の短繊維の質量比を35〜50%とすることが好ましい。
尚、短繊維の質量比が35%未満になると、徐々に強度が低下する傾向があり、60%を超えると、加熱加圧成形時に溶融した樹脂が樹脂成形体全体に流動せずに、樹脂含浸不足部分の発生率が高くなる。短繊維の質量比が前記の範囲であれば、樹脂成形体に必要とされる強度を確保することができると共に、樹脂含浸不足(不良)の発生率を小さくできる。
<集積層の厚み>
樹脂成形体における各集積層の厚みは、特に制限されるものではなく、全ての層にて同じ厚みにしても、少なくとも一層の厚みを他の層に比べて変化させても良い。
集積層の厚みを異ならせる場合は、厚みの異なる層が、片当り等の不具合が現れる部位であり、集積層の厚みを他の層に比べ厚くすることができる。
集積層の厚みは、樹脂製歯車の歯幅により、適宜選択される。具体的には、歯幅全体の厚みを100%となし、不具合が現れるであろう集積層の厚みを30〜50%とすることができる。
<集積層の構成>
各集積層の構成は、特に制限されるものではないが、奇数層となし、中央の集積層を挟んで対称に同じ集積層を設けることが、樹脂成形体の反りを防止する意味で好ましい。
<樹脂成形体の製造>
樹脂成形体の製造は、特に限定するものでは無いが、例えば、図5に示すような機能を有する装置を用いることができる。
先ず、複数の集積層のそれぞれに必要な短繊維と粉末状樹脂を準備し、一層毎に必要な短繊維と粉末状樹脂の質量を測定し、短繊維と粉末状樹脂を準備する。一層分の短繊維と粉末状樹脂を規定量の水に入れて短繊維と粉末状樹脂を攪拌し、スラリを調製する。短繊維と粉末状樹脂の集積層を作製するため、予め金属製ブッシュ2をセットした予備成形金型に調製したスラリを流し込み、短繊維と粉末状樹脂を予備成形金型内に堆積させ、一層目の集積層10を作製する。続いて、前記集積層が湿潤状態で、次の集積層に必要な短繊維と粉末状樹脂を準備し、同様の手順でスラリを調製し、再度先の予備成形金型に流し込んで短繊維と粉末状樹脂を堆積させて二層目の集積層11を作製する。この作業を必要な集積層の層分繰り返して行う。
このとき、一層分のスラリを予備成形金型に投入した後、予備成形金型から水を排出させた後に、次の層のスラリを予備成形金型に投入した場合は、次の層のスラリを予備成形金型に投入した際の衝撃を吸収する水が無いために、先の集積層の上層部が次の層のスラリによってかき乱されるため、先の集積層と次の集積層の境界部の繊維配向が乱れた成形素材を得ることができ、その結果、先の集積層と次の集積層の間の層間強度を向上することができる。
また、一層分のスラリを予備成形金型に投入した後、予備成形金型に未だ水が残っている状態で、次の層のスラリを予備成形金型に投入した場合は、予備成形金型内に集積した先の集積層の繊維配向を乱すことなく次の集積層を得ることができるので、先の集積層と次の集積層の境界が分かれた成形素材を得ることができる。
予備成形金型は、成形素材の外径寸法を決めるための筒状金型12と、筒状金型の内側に金属製ブッシュ2を固定するためのブッシュ支持部13、14及び集積した短繊維と粉末状樹脂を圧縮するための圧縮用金型15、16を有している装置とする。尚、圧縮用金型16には、スラリの水分のみを排水するための貫通穴17を設けておき、圧縮用金型16の上には短繊維と粉末状樹脂が貫通穴17から抜けなくするためのメッシュ18を置いておき、メッシュ18上に短繊維と粉末状樹脂を堆積させながら水分のみを排水していく。
必要な集積層を予備成形金型内に堆積させた後に、予備成形金型に搭載されている圧縮用金型15、16で集積層を圧縮して脱水及び形状形成を行い、複数の集積層を有した成形素材19を作製する。
次に、作製した成形素材19を成形用金型にセットし、加熱加圧成形を行い、樹脂成形体を作製する。
また、樹脂製歯車の製造は、上記の樹脂成形体の周囲に切削により加工を行って歯を形成し、樹脂製歯車を作製する。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明を行う。
(実施例1)
本実施例1においては、図6に示すような同じ厚みの二層の集積層を有する樹脂製歯車を作製する。
即ち、成形素材19を構成する集積層20を、構成物として粉末状樹脂と有機繊維であるメタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とを含有したものとする。
集積層20は、短繊維として、メタ系アラミド繊維A(繊維長:3mm、繊維径:10μm)を50質量%、パラ系アラミド繊維B(繊維長:3mm、繊維径:10μm)を45質量%、パラ系アラミド繊維C(繊維長:6mm、繊維径:10μm)を5質量%、混合して用いた。また、粉末状樹脂として、粒子径20μmのフェノール樹脂粉末を用いた。そして、樹脂成形体中の短繊維の繊維総量が49質量%となるように、短繊維と粉末状樹脂を準備した。
集積層20に使用する前記各短繊維と粉末状樹脂を水に入れて攪拌し、スラリAを作製する。このときのスラリ濃度は短繊維と粉末状樹脂の合計質量に対して4g/リットルとなるように水量を調整した。
また、集積層21(図6参照)として、構成物として粉末状樹脂と有機繊維であるメタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維及び強度向上のために無機繊維であるガラス繊維とを含有したものとする。
集積層21は、短繊維として、メタ系アラミド繊維Aを50質量%、パラ系アラミド繊維Bを40質量%、パラ系アラミド繊維Cを5質量%、無機繊維としてガラス繊維D(繊維長:0.12mm、繊維径:12μm)を5質量%、混合して用いた。また、粉末状樹脂として、粒子径20μmのフェノール樹脂粉末を用いた。
集積層21に使用する前記各短繊維と粉末状樹脂を水に入れて攪拌し、スラリBを作製する。このときのスラリ濃度は短繊維と粉末状樹脂の合計質量に対して4g/リットルとなるように水量を調整した。
次に、図5に示す予備成形金型のブッシュ支持部14に金属製ブッシュ2をセットし、先ず集積層20に使用するスラリAを予備成形金型内に投入する。予備成形金型を構成している筒状金型12とブッシュ支持部13及び14は、集積層の外径及び内径形状を構成するもので、本実施例においては筒状金型12の内径部を直径:82mm、ブッシュ支持部13及び14の外径を直径:55mmとした。また、貫通穴17の下側から真空吸引を行い、水分を排水して短繊維と粉末状樹脂の集積層20の基となる堆積物を作製する。次に集積層21に使用するスラリBを予備成形金型内に投入する。スラリBを投入するタイミングは、予備成形金型内に投入したスラリAの水が予備成形金型内に未だ残っている状態とした。
このとき、集積層20、21を同じ厚みにするため、集積層21の堆積物は、集積層20と同等になるように質量調節を行い、集積層20の基となる堆積物の作製手順と同様にして集積層21の基となる堆積物を作製する。
二層の堆積物を作製後、金属製ブッシュ2の軸方向に、圧縮用金型15、16を、その間隔が35mmとなるまで、上側の圧縮用金型15を下降させる。このとき、ブッシュ支持部13、14は連動して動き、金属製ブッシュ2の中心部が、圧縮用金型15、16の中央となるように維持させる。この状態を1分間継続させることで、集積層20、21で構成された成形素材19(図5参照)を作製する。
次に、図7(A)に示す200℃に加熱した成形金型22内に、成形素材19を配置し、図7(B)のように成形金型22を閉じ、成形素材19を加熱加圧成形して粉末状樹脂を硬化させ樹脂成形体を得る。樹脂の硬化が不十分な場合は、必要に応じて後加熱工程を付与して、樹脂の硬化を確実に進めるようにしても良い。この樹脂成形体を、ホブ盤を用いて切削加工し、歯を形成することにより樹脂製歯車を得た。
(実施例2)
実施例1において、スラリBを投入するタイミングを、予備成形金型内に投入したスラリAの水が真空吸引で除去された後としたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂製歯車を得た。
(実施例3)
実施例1において、集積層21の短繊維配合質量比(短繊維組成)を、A/B/C=55/40/5と変更した集積層23を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂製歯車を得た。
(実施例4)
実施例1において、集積層20に使用する短繊維を、炭素繊維E(繊維長:3mm、繊維径:18μm)のみとした集積層24と、集積層21に使用する短繊維を、炭素繊維Eとガラス繊維Dとの質量配合比を60/40とした混合組成とした集積層25を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂製歯車を得た。
(実施例5)
本実施例においては図8に示すような三層の集積層を有し、中央の集積層を挟んで両側の集積層が同じ短繊維組成で構成されている樹脂製歯車を用いて行う。
作製方法は実施例1と同様の手順とし、用いる集積層として、上記に示した実施例1にて用いた有機繊維で構成された集積層20を一層目及び三層目として用い、二層目として実施例3にて用いた有機繊維で構成された集積層25を用いる。
本実施例においては、集積層20における樹脂成形体中の短繊維の繊維総量が50質量%となるように調整した。また、集積層25における樹脂成形体中の短繊維の繊維総量が40質量%となるように調整した。
(比較例1)
実施例1において、スラリAのみを予備成形金型内に投入して、集積層20の単層からなる(集積層の積層構造を有さない)成形素材を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂製歯車を得た。
(比較例2)
図9に示す抄造装置307を用いて抄造シートを作成した。抄造装置307は、底面部313および角筒状の抄造用筒体309を備えている。なお底面部313のみを金網で構成した。使用した金網は、20メッシュのシート状金網であった。そして、実施例1で使用したスラリAを抄造装置307に導入して、脱水を行い、抄造シート310を得た。抄造シート310を、外径φ82mm×内径φ55mmのリング状に打ち抜き、これを乾燥して抄造シート素形体308を得た。また、上記と同様にして、実施例1で使用したスラリBを用いて、抄造シート素形体308’を得た。
上記の工程で得られた抄造シート素形体308、308’を使用し、金属製ブッシュに設けた突出部を挟み込み、加熱した成形金型内に配置して型締めをする。その後の工程は、実施例1と同様にして、樹脂製歯車を得た。
(へき開強度評価)
実施例1〜5、比較例1〜2で得た樹脂成形体から、図10に示す形状の試験片を切り出し、試験片の中央(集積層の重ね方向と交差する面)を直径10mmの鋼球で加圧し、試験片がへき開した時の荷重を測定した。
試験結果は、以下の表1のように得られ、集積層の積層構造を有さない比較例1の樹脂成形体の結果を1として相対評価した場合、実施例1では1.0倍、実施例2では1.2倍、実施例3では1.0倍、実施例4では1.0倍、実施例5では1.0倍、比較例2では0.8倍となった。実施例2が優位であるのは、集積層21に使用するスラリを予備成形金型内に投入するタイミングを、予備成形金型から水を排出させた後に湿潤状態で実施したことによって、先の集積層と次の集積層の境界部の繊維配向が乱れ、へき開強度に有利な配向になったからと推測される。また、比較例2では、抄造シート素形体の積層界面に、短繊維の絡み合いが殆どなく、積層面で剥離が発生しやすいものと推測される。

(耐久試験評価)
実施例1〜5、比較例1〜2で得た樹脂製歯車において、耐久試験機を用いて樹脂製歯車の寿命評価を行った。方法として加速評価条件(相手歯車:金属製歯車、油温:130℃、回転数:6000rpm、歯元応力:160MPa)で連続回転試験を行い、樹脂製歯車が破損するまでの時間を評価した。
試験結果は、以下の表2のように得られ、集積層の積層構造を有さない比較例1の樹脂製歯車の結果を1として相対評価した場合、実施例1では1.4倍、実施例2では1.3倍、実施例3では1.1倍、実施例4では1.2倍、実施例5では2.3倍となった。実施例5が優位であるのは、有機繊維の優位点である低弾性(衝撃の吸収)と無機繊維の優位点である強度の保持を両立させているからであると推測される。

(歯車強度評価)
実施例1〜5、比較例1〜2で得た樹脂製歯車において、歯車強度の確認を行った。方法として、樹脂製歯車を固定された金属製歯車と噛み合わせた状態で、基準ピッチ円上の周速が毎分0.33mmとなるように樹脂製歯車を回転させて、歯部が破壊する荷重を測定した。
試験結果は、以下の表3のように得られ、積層構造を有さない比較例1の樹脂製歯車の結果を1として相対評価した場合、実施例1では1.2倍、実施例2では1.2倍、実施例3では1.1倍、実施例4では1.6倍、実施例5では1.4倍となった。これは強度及び硬度で優位である無機繊維の含有割合が多いことが要因であると推測できる。
1…補強繊維基材、2…金属製ブッシュ、3…樹脂成形体、4…常温域での歯筋、5…高温域での歯筋、6…金属製歯車、7…樹脂製歯車、8…金属製歯車の歯筋、9…樹脂製歯車の歯筋、10…一層目の集積層、11…二層目の集積層、12…筒状金型、13、14…ブッシュ支持部、15、16…圧縮用金型、17…貫通穴、18…メッシュ、19…成形素材、20…集積層、21…集積層、22…成形金型、23…集積層、24…集積層、25…集積層

Claims (3)

  1. 構成物として少なくとも短繊維と粉末状樹脂を含み前記構成物と水とを混合して調製したスラリを、予備成形金型に投入して予備成形金型から水を排出することにより、予備成形金型内に前記構成物を集積させて集積層となす工程を、前記集積層が湿潤状態で前記集積層上に前記構成物を集積させて次の集積層を作製するように複数回実施する第1のステップと、
    前記集積層となす工程を複数回実施して得た複数の集積層を厚さ方向に圧縮して成形素材を形成する第2のステップと、
    前記成形素材を加熱加圧成形して樹脂成形体を形成する第3のステップと、
    前記樹脂成形体を斜歯歯車の歯部に加工する第4のステップを経る樹脂製歯車の製造法であって、
    噛み合う相手歯車に対して前記樹脂製歯車の片当りが起こる側の集積層が、他の側の集積層より強度が大きくなるように、前記片当りが起こる側の集積層の短繊維の含有割合を他の側の集積層より多くすること、又は、前記片当りが起こる側の集積層の短繊維として、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維の配合質量比を変更して混合した短繊維、若しくはガラス短繊維を混合した短繊維を用いることにより、両集積層の間で、各構成物の構成比及び/又は構成物の種類を異ならせることを特徴とする樹脂製歯車の製造法。
  2. 構成物として相対的に高強度である短繊維と低強度である短繊維の双方を含んでおり、前記片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、高強度の短繊維の構成比を多くしたことを特徴とする請求項1記載の樹脂製歯車の製造法。
  3. 前記片当りが起こる側の集積層に、他の側の集積層より、短繊維の含有割合を多くしたことを特徴とする請求項1記載の樹脂製歯車の製造法。
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