JP6085989B2 - Ni基耐熱合金部材およびNi基耐熱合金素材 - Google Patents
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質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:48〜58%、Co:8〜16%、Cr:18〜25%、Mo:6〜12%、Ti:0.05〜0.8%、Al:0.05〜1.6%、B:0.0001〜0.01%、N:0.02%以下およびO:0.01%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
表層がASTM粒度番号7番以上の再結晶粒からなる金属組織を有し、
部材の厚さ中央部がASTM粒度番号4番以下の結晶粒からなる金属組織を有することを特徴とするNi基耐熱合金部材。
第1群:Ca:0.05%以下、Mg:0.05%以下、REM:0.1%以下
第2群:Cu:1%以下、W:1%以下、V:0.5%以下、Nb:2%以下
部材の厚さ中央部がASTM粒度番号4番以下の結晶粒からなる金属組織を有するNi基耐熱合金部材を製造するのに用いられるNi基耐熱合金素材であって、
厚さが20mm以上であり、
質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:48〜58%、Co:8〜16%、Cr:18〜25%、Mo:6〜12%、Ti:0.05〜0.8%、Al:0.05〜1.6%、B:0.0001〜0.01%、N:0.02%以下およびO:0.01%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
前記素材の表層の硬さがHV0.1で300以上であることを特徴とするNi基耐熱合金素材。
第1群:Ca:0.05%以下、Mg:0.05%以下、REM:0.1%以下
第2群:Cu:1%以下、W:1%以下、V:0.5%以下、Nb:2%以下
C:0.01〜0.15%
Cは、オーステナイトを安定にするとともに粒界に微細な炭化物を形成し、高温でのクリープ強度を向上させる。この効果を十分に得るためには、0.01%以上のC含有量が必要である。しかしながら、Cが過剰に含有された場合には、炭化物が粗大となり、かつ多量に析出するので、粒界の延性が低下し、さらに、靱性およびクリープ強度の低下も生じる。したがって、上限を設け、Cの含有量を0.01〜0.15%とする。C含有量の望ましい下限は0.03%、より望ましい下限は0.04%、さらに望ましい下限は0.05%である。また、C含有量の望ましい上限は0.12%、より望ましい上限は0.10%である。
Siは、脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、靱性およびクリープ強度の低下を招く。そのため、Siの含有量に上限を設けて1%以下とする。Siの含有量は望ましくは0.8%以下、より望ましくは0.6%以下である。
Mnは、Siと同様、脱酸作用を有する。Mnは、オーステナイトの安定化にも寄与する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靱性およびクリープ延性の低下も生じる。そのため、Mnの含有量に上限を設けて2%以下とする。Mnの含有量は望ましくは1.8%以下、より望ましくは1.5%以下である。
Pは、不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、Pの含有量に上限を設けて0.03%以下とする。Pの含有量は、望ましくは0.025%以下、より望ましくは0.02%以下である。
Sは、Pと同様に不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、Sの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Sの含有量は、望ましくは0.008%以下、より望ましくは0.005%以下である。なお、Sの含有量は可能な限り低減することが好ましい。
Niは、オーステナイトを得るために有効な元素であり、長時間使用時の組織安定性を確保するために必須の元素である。さらにNiはAlまたはTiと結合して微細な金属間化合物相を形成し、クリープ強度を高める作用を有する。本発明のCr含有量の範囲で十分な効果を得るためには、48%以上のNi含有量が必要である。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Niの含有量を48〜58%とする。Ni含有量の望ましい下限は49%、より望ましい下限は50%である。また、Ni含有量の望ましい上限は56%、より望ましい上限は55%である。
Coは、Niと同様オ−ステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。この効果を十分に得るためには、8%以上のCo含有量が必要である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、Coの過剰の含有は大幅なコスト増を招く。そのため、上限を設けて、Coの含有量を8〜16%とする。Co含有量の望ましい下限は8.5%、より望ましい下限は9%である。また、Co含有量の望ましい上限は15.5%、より望ましい上限は15%である。
Crは、高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須の元素である。本発明のNi含有量の範囲で、上記の効果を得るためには、18%以上のCr含有量が必要である。しかしながら、Crの含有量が25%を超えると、高温でのオーステナイトの安定性が劣化してクリープ強度の低下を招く。したがって、Crの含有量を18〜25%とする。Cr含有量の望ましい下限は18.5%、より望ましい下限は19%である。また、Cr含有量の望ましい上限は24.5%、より望ましい上限は24%である。
Moは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度および引張強さの向上に大きく寄与する元素である。この効果を十分に発揮させるためには、6%以上のMo含有量が必要である。しかしながら、Moを過剰に含有させても効果は飽和し、却って粗大な析出相を生成し、クリープ強度を低下させる。さらに、Moは効果な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Moの含有量を6〜12%とする。Mo含有量の望ましい下限は6.5%、より望ましい下限は7%である。また、Mo含有量の望ましい上限は11.5%、より望ましい上限は11%である。
Tiは、Niと結合して微細な金属間化合物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。その効果を得るためには0.05%以上のTi含有量が必要である。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると金属間化合物相が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、上限を設けて、Tiの含有量を0.05〜0.8%とする。Ti含有量の望ましい下限は0.07%、より望ましい下限は0.1%である。また、Ti含有量の望ましい上限は0.7%、より望ましい上限は0.6%である。
Alは、Tiと同様、Niと結合して微細な金属間化合物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。また、Alは、脱酸作用を有する元素である。その効果を得るためには0.05%以上のAl含有量が必要である。しかしながら、Alの含有量が過剰になると金属間化合物相が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招くとともに、合金の清浄性が著しく劣化して、熱間加工性および延性が低下する。そのため、上限を設けて、Alの含有量を0.05〜1.6%とする。Al含有量の望ましい下限は0.1%、より望ましい下限は0.3%である。また、Al含有量の望ましい上限は1.5%、より望ましい上限は1.4%である。
Bは、粒界炭化物を微細分散させることにより、クリープ強度を向上させるとともに、粒界に偏析して粒界を強化するのに有効な元素である。この効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上とする必要がある。しかしながら、Bの含有量が過剰になると、溶接性が劣化することに加えて、熱間加工性が劣化する。そのため、上限を設けて、Bの含有量を0.0001〜0.01%とする。B含有量の望ましい下限は0.0005%、より望ましい下限は0.001%である。また、B含有量の望ましい上限は0.008%、より望ましい上限は0.006%である。
Nは、オーステナイトを安定にするのに有効な元素であるものの、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Nの含有量に上限を設けて0.02%以下とする。Nの含有量は望ましくは0.018%以下、より望ましくは0.015%以下である。
O(酸素)は、不純物として合金中に含まれ、その含有量が過剰になると熱間加工性が低下し、さらに靱性および延性の劣化を招く。このため、Oの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Oの含有量は望ましくは0.008%以下、より望ましくは0.005%以下である。
第1群:Ca:0.05%以下、Mg:0.05%以下、REM:0.1%以下
第2群:Cu:1%以下、W:1%以下、V:0.5%以下、Nb:2%以下
Caは、熱間加工性を改善する作用を有する。具体的には、Caは、CaSを生成しSの粒界偏析を抑制することで、熱間加工性を改善する効果を有する元素である。このため、Caを含有させても良い。しかしながら、Caの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。このため、Caを含有させる場合には、その含有量を0.05%以下とする。Ca含有量の上限は、望ましくは0.03%である。
Mgは、Caと同様、熱間加工性を改善する作用を有する。このため、Mgを含有させても良い。しかしながら、Mgの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。このため、Mgを含有させる場合には、その含有量を0.05%以下とする。Mg含有量の上限は、望ましくは0.03%である。
REMは、Sとの親和力が強く、熱間加工性を改善する作用を有するとともに、高温での使用中のクリープ延性の向上に有効な元素である。このため、REMを含有させても良い。しかしながら、REMの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。このため、REMを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とする。REM含有量の上限は、望ましくは0.09%、より望ましいくは0.08%である。
Cuは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Cuは、NiおよびCoと同様オ−ステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。したがって、Cuを含有させても良い。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合には熱間加工性の低下を招く。このため、Cuを含有させる場合には、その含有量を1%以下とする。Cu含有量の上限は、望ましくは0.8%である。
Wは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Wは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度を向上させる作用を有する。したがって、Wを含有させても良い。しかしながら、Wが過剰に含有された場合、オーステナイトの安定性が低下して、却ってクリープ強度の低下を招く場合がある。さらに、Wは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。このため、Wを含有させる場合には、その含有量を1%以下とする。W含有量の上限は、望ましくは0.8%である。
Vは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Vは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ強度を向上させる作用を有する。したがって、Vを含有させても良い。しかしながら、Vが過剰に含有された場合、炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。そのため、Vを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とする。V含有量の上限は、望ましくは0.4%である。
Nbは、Vと同様にCまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度向上に寄与する。したがって、Nbを含有させても良い。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると炭化物や炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Nbを含有させる場合には、その含有量を2%以下とする。Nb含有量の上限は、望ましくは1.8%である。
本発明のNi基耐熱合金部材は、表層が平均結晶粒度でASTM粒度番号7番以上の再結晶粒からなる金属組織を有し、部材の厚さ中央部が平均結晶粒度でASTM粒度番号4番以下の粗粒な結晶粒からなる金属組織を有する。
本発明のNi基耐熱合金部材は、熱間加工時の表面欠陥を防止できるものである。一方、部材内部の微小な割れについては、生じないのが最も望ましいことは言うまでもないが、たとえ生じたとしても、割れの深さが小さければ、実プラントにおいて重大な事故につながる可能性は低く、大きな問題とはならない。
Claims (5)
- 厚さ20mm以上のNi基耐熱合金部材であって、
質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:48〜58%、Co:8〜16%、Cr:18〜25%、Mo:6〜12%、Ti:0.05〜0.8%、Al:0.05〜1.6%、B:0.0001〜0.01%、N:0.02%以下およびO:0.01%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
表層がASTM粒度番号7番以上の再結晶粒からなる金属組織を有し、
部材の厚さ中央部がASTM粒度番号4番以下の結晶粒からなる金属組織を有することを特徴とするNi基耐熱合金部材。 - Feの一部に代えて、質量%で、さらに下記に示す群から選択される1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載のNi基耐熱合金部材。
第1群:Ca:0.05%以下、Mg:0.05%以下、REM:0.1%以下
第2群:Cu:1%以下、W:1%以下、V:0.5%以下、Nb:2%以下 - 前記表層を含む試験片を、1100℃において0.0001s−1のひずみ速度で引張試験を行い、伸びが10%となった時の試験片内部における割れの深さが20μm以下(0を含む)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のNi基耐熱合金部材。
- 表層がASTM粒度番号7番以上の再結晶粒からなる金属組織を有し、
部材の厚さ中央部がASTM粒度番号4番以下の結晶粒からなる金属組織を有するNi基耐熱合金部材を製造するのに用いられるNi基耐熱合金素材であって、
厚さが20mm以上であり、
質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:48〜58%、Co:8〜16%、Cr:18〜25%、Mo:6〜12%、Ti:0.05〜0.8%、Al:0.05〜1.6%、B:0.0001〜0.01%、N:0.02%以下およびO:0.01%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
前記素材の表層の硬さがHV0.1で300以上であることを特徴とするNi基耐熱合金素材。 - Feの一部に代えて、質量%で、さらに下記に示す群から選択される1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項4に記載のNi基耐熱合金素材。
第1群:Ca:0.05%以下、Mg:0.05%以下、REM:0.1%以下
第2群:Cu:1%以下、W:1%以下、V:0.5%以下、Nb:2%以下
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