JP6085211B2 - スケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材およびその製造方法、ならびに熱交換器または海水蒸発器 - Google Patents

スケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材およびその製造方法、ならびに熱交換器または海水蒸発器 Download PDF

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Description

本発明は、特にスケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材とその製造方法に関するものであり、水中に含まれる炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着抑制性に優れると共に、例えば熱交換器等の製造に用いる場合に優れた成形性を発揮するチタン合金材とその製造方法に関するものである。
熱交換器(例えば、プレート式熱交換器)や海水蒸発器(海水淡水化装置)には、耐食性の高いチタン材やチタン合金材(以下、「チタン材」で代表することがある)が多く用いられている。この熱交換器や海水蒸発器の少なくとも一部を構成するチタン材は、地下水や上水、海水等の水と接触するが、これらの水には、カルシウムイオン(Ca2+)や炭酸水素イオン(HCO )が微量含まれている。熱交換器や海水蒸発器でこれらの水が加熱されると、下記反応式に示す通り炭酸カルシウム(CaCO)が生成し、この炭酸カルシウムが主成分のスケール(以下、単に「スケール」と呼ぶことがある)がチタン材表面に付着することが知られている。
Ca2++2HCO →Ca(HCO→CO+HO+CaCO
上記の反応は、高温になるほど進行し易くなる傾向がある。熱交換器や海水蒸発器で加熱される水は60℃〜沸点の高温域まで昇温されるため、上記スケールがチタン材表面に生成し易い。上記チタン材が熱交換器や海水蒸発器の伝熱部分を構成する場合、チタン材に上記スケールが多量に付着すると、これらの機器の伝熱性能が低下する。よって現状では、一ヶ月から一年に一度の頻度で定期的に、チタン材表面に付着したスケールの除去作業が必要であり、メンテナンスコストが嵩むといった問題がある。
上記問題に鑑みて、スケール除去のためのメンテナンスを効率的に行うためのスケール除去剤が提案されている(例えば、特許文献1)。この技術では、オキシカルボン酸、スルファミン酸、硫酸アンモニウムを有効成分として含有するスケール除去剤が提案されており、金属材表面に付着したスケールを効率良く除去できることが示されている。
特許第3647843号公報
上記特許文献1の技術は、スケールの付着そのものを抑制するものではなく、メンテナンス頻度を低減できる技術ではない。また、上記熱交換器や海水蒸発器の製造では、複雑な形状に加工する工程が含まれることから、用いられるチタン材には優れた成形性も要求される。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、水中に含まれる炭酸カルシウムを主体とするスケールの付着抑制性に優れると共に、上記熱交換器等の製造時に優れた成形性を発揮するチタン合金材を提供することにある。更に本発明の目的は、該チタン合金材を、製造工程において割れを生じさせることなく効率よく製造することのできる方法を確立することにある。
上記課題を解決し得た本発明のスケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材は、P:0.005〜0.30質量%、およびSn:0.01〜3.0質量%を含み、残部がTiおよび不可避不純物であるところに特徴を有する。
上記チタン合金材は、更に、Cu、FeおよびNiよりなる群から選択される1種以上の元素を、下記式(1)を満たすように含んでいてもよい。
Cu+4.9Fe+1.3Ni+0.5Sn≦1.6 …(1)
[式(1)において、Cu、Fe、Ni、Snは、チタン合金材中の各元素の含有量(質量%)を示す。]
前記Cuの含有量は0.30質量%以下(0質量%を含む)であることが好ましい。
また上記チタン合金材は、平均結晶粒径が10μm以上であることが好ましい。
上記チタン合金材は、例えば熱交換器または海水蒸発器に用いることができる。
本発明には、上記チタン合金材の製造方法も含まれる。該製造方法は、溶解原料を溶解および鋳造し、次いで熱間加工を少なくとも行って上記チタン合金材を製造する方法であって、前記溶解の工程で、前記溶解原料としてチタンと共にP含有化合物を溶解するところに特徴を有する。
また本発明は、上記チタン合金材の別の製造方法も含むものであって、該製造方法は、溶解原料を溶解および鋳造し、次いで分塊鍛造または分塊圧延を含む熱間加工を少なくとも行って上記チタン合金材を製造する方法であって、前記分塊鍛造または分塊圧延の加熱温度を890℃以上とするところに特徴を有する。
上記製造方法において、前記熱間加工後、更に冷間圧延を行った後に、平均結晶粒径が10μm以上になるまでチタン合金材を熱処理する工程を含むことが好ましい。
本発明には、上記チタン合金材が、水または海水を媒体として流通させる伝熱部に用いられているところに特徴を有する熱交換器または海水蒸発器も含まれる。
本発明によれば、例えば熱交換器や海水蒸発器等に用いられる場合に、水中に含まれる炭酸カルシウムを主体とするスケールの付着が抑制されるため、メンテナンス頻度を低減することができる。また、本発明のチタン合金材は成形性に優れているため、複雑な形状の熱交換器等を良好に成形することができる。更に本発明の製造方法によれば、上記優れた特性を有するチタン合金材を、製造工程において割れを生じさせることなく効率よく製造することができる。
本発明者らは、水中に含まれる炭酸カルシウムが主体のスケールの付着抑制性(以下、「スケール付着抑制性」という)と、熱交換器等の製造時に必要な優れた成形性の両特性を併せて高めるには、PおよびSnを下記範囲内とすればよいことをまず見出した。
更に、上記Pを含有させるにあたり、製造時に取り扱いの容易なP含有化合物(Pとその他の元素、例えばCu等との化合物)を用いる場合に、該Cu等が後述する式(1)を満たす範囲内で上記P含有化合物を用いれば、上記P以外の元素(上記Cu等)による成形性への悪影響を抑えて、優れた成形性を確保できることを併せて見出した。
以下、上記PやSn等の成分範囲を決定した理由について詳述する。
〔P:0.005〜0.30質量%〕
Pは、水(地下水や上水、海水等)とチタン材が接触したときに、該チタン材中から水中に微量のPが溶出され、後述するSnと共に、上述した反応式で示される炭酸カルシウムの結晶成長を阻害することにより、スケールの付着を抑制する効果を有する。Pは、チタン中のα相にはほとんど固溶せず、析出物(Ti3P)として存在しやすい。そのため、P含有量が微量の場合でもスケール付着抑制効果が得られると考えられる。しかし、極低濃度では定量検出が不可能となるため、P量の下限を、定量検出が可能な0.005質量%以上とした。好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.050質量%以上である。
一方、Pが0.30質量%を超えて過剰に含まれると、材料中の析出物(Ti3P)が過剰となり成形性の低下を招く。その結果、複雑な形状への加工が要求される熱交換器や海水蒸発器等に適用することが困難になる。よって本発明ではP量を0.30質量%以下とした。好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.20質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下である。
〔Sn:0.01〜3.0質量%〕
Snは、上述した通り、水(地下水や上水、海水等)とチタン材が接触したときに、Pと共に水中に微量のSnがチタン材中から溶出されることにより、炭酸カルシウムの結晶成長が阻害されてスケールの付着を抑制する。この効果を発揮させるため、Sn量を0.01質量%以上とする。好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。
またSnは、合金添加による延性能の低下が他の元素と比較して小さく、Pと合わせて添加することを考慮しても、3.0質量%までは成形性(延性)を大きく損なうことがない。よって本発明では、Sn量の上限を3.0質量%とした。より高い成形性を確保する観点からは、1.5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0質量%以下である。
本発明のチタン合金材の基本的な成分組成は上記の通りであり、残部はTiおよび不可避不純物である。チタン合金材には、鉱石等の原料や製造方法に起因して、一般に不可避不純物が含まれる。工業用純チタンの製造では一般的に、不可避不純物のうちのFeやOの含有量が、強度−延性バランスの調整のために、該FeやOの含有量が異なる原料を選択することにより制御される。本発明においても、不可避不純物は発明の効果そのものには悪影響を及ぼさないので、原料を選択することでFeやOの含有量を制御し、強度−延性バランスを調整してもよい。表1にチタン原料(溶解原料)に含まれる不可避不純物濃度の例を示す。尚、表1は不可避不純物濃度の測定例であり、本発明における不可避不純物の濃度範囲を示すものではない。不可避不純物の含有量は、原料のロットによってばらつきを有する。この表1における例2の様に、Fe量やO量の高いチタン原料を使用することによって、強度の向上を期待できる。また、表1における例1の様に、不可避不純物濃度が抑えられた純度の高いチタン原料を用いることによって、成形性の更なる向上を期待できる。
尚、P含有化合物として、Fe−P母合金を用いる場合、即ち、Feを積極的に添加する場合は、不可避不純物レベルを超える量のFeがチタン合金材に含まれるため、当然に、強度の向上を図ることができる。
不可避不純物を構成する元素は、一般的な手法で測定を行うことができる。表1中のOおよびNは不活性ガス融解法、Cは燃焼赤外線吸収法、その他の元素はICP発光分光分析法で測定を行った。
Figure 0006085211
ところで、P単体では、蒸気圧・反応性が高く、現行のチタン合金の溶製方法では、添加が困難である。そこで、P源としてP含有化合物を溶解原料に用いることにより、上記Pを含むチタン合金材を製造することができる。P含有化合物として、Ti−P母合金が挙げられるが、これよりも、Sn−P母合金やCu−P母合金、Fe−P母合金、Ni−P母合金が、安価かつ入手が容易であり、高濃度のPを含有しているため工業的に使用しやすい。よって、P含有化合物として、Sn−P母合金、Cu−P母合金、Fe−P母合金、およびNi−P母合金のうちの1種以上を用いることが好ましい。
しかし、これらのP含有化合物を用いると、Pと共に添加される合金元素(Cu、Fe、Ni)が延性(成形性)の低下を招く。また、上述したSnも延性の低下を招く。そこで、これらのP含有化合物を用いる場合には、合金元素(Sn、Cu、Fe、Ni)の含有量を、延性の著しい低下を引き起こさないように調整する必要がある。
各合金元素の延性低下の傾向として、Snは、上述した様に合金添加による延性能の低下が小さく、またCuも、Snと同様に合金添加による延性能の低下が小さいことが知られている。一方、Feは、チタン材中での拡散が速いため偏析しやすく、少量の添加でも加工性(成形性)が低下する傾向にある。これに対しNiは、偏析は生じ難いが成形性の低下を引き起こす元素である。
本発明者らは、表2に示す成分組成(残部はTiおよび不可避不純物、P量は、規定の下限値未満、表2における空欄は元素を添加していないことを示す)のチタン合金材をアーク溶解により溶製して、Cu、Fe、Ni、Snの各含有量が種々のチタン合金材を得た。そして得られたチタン合金材の伸びを後述する実施例に示す通り測定し、合金元素(Cu、Fe、Ni、Sn)の含有量が成形性(伸び)に及ぼす影響を調査した。
Figure 0006085211
詳細には、合金元素の添加を行わずに作製した比較用材料である番号aと、Sn含有量が種々の番号b〜dとを対比することによって、Sn含有量が伸びの低下に及ぼす影響を調査した。その結果、Sn含有量1質量%あたりの伸びの低下量は、[(44.1−38.0)+(44.1−39.0)+(44.1−38.1)]/(1+2+3)=2.87%であった。
同様に、番号aとCu含有量が種々の番号e,fとを対比することによって、Cu含有量が伸びの低下に及ぼす影響を調べた。その結果、Cu含有量1質量%あたりの伸びの低下量は5.87%であった。また番号aと番号gを対比することでNi含有量の影響を調べた。その結果、Ni含有量1質量%当たりの伸びの低下量は7.35%であった。
次に、Fe含有量が伸びの低下に及ぼす影響を調べるにあたり、番号aと番号h,iとはOの濃度が大きく異なり直接比較することができない。そこで番号hと番号iを対比することでFe含有量の影響を調べた。その結果、Fe含有量1質量%あたりの伸びの低下量は、(43.1−37.4)/(0.3−0.1)=28.50%であった。
そして、上記Cu含有量1質量%あたりの伸びの低下量(5.87%)を基準とし、これに対するその他の各合金元素(Fe、Ni、Sn)の1質量%あたりの伸びの低下量の割合(係数)を計算した。その結果、Feは28.50/5.87=4.9、Niは7.35/5.87=1.3、Snは2.87/5.87=0.5であった。
次に、伸びの下限値を35%程度と設定し、合金元素としてCuのみを含む場合のCu最大許容量を表2の値から計算すると1.6%であった。即ち、35%以上の伸びを確保するには、Cu1.6質量%相当が合金元素の最大許容含有量(上限値)であることから、下記式(1)に至った。
Cu+4.9Fe+1.3Ni+0.5Sn≦1.6 …(1)
[式(1)において、Cu、Fe、Ni、Snは、チタン合金材中の各元素の含有量(質量%)を示す。]
本発明では、P源としてP含有化合物を用いる場合、上記式(1)を満たすように、Snを添加すると共に、P源としてのP含有化合物(Cu−P母合金、Fe−P母合金、Ni−P母合金の1種以上)の添加量を調整することが好ましい。Cu、FeおよびNiの単独量は特に限定されず、上記式(1)を満たせばよい。上記式(1)において、用いない元素の項はゼロである。
尚、より高いスケール付着抑制効果を得る観点からは、上記Cu含有量を0.30質量%以下(0質量%を含む)とすることが好ましい。後述する実施例1では、通常材(工業用純チタン(JIS1種))のスケール付着量の1/2以下の場合をスケール付着抑制性に優れていると評価しているが、Cuが含まれる場合、Cu含有量を0.30質量%以下に抑えることによって、上記通常材のスケール付着量の1/3以下とより優れたスケール付着抑制性を確保することができる。前記Cu含有量は、より好ましくは0.20質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下である。
また、より高いスケール付着抑制効果を得る観点から、チタン合金材の平均結晶粒径は10μm以上(より好ましくは12μm以上)であることが好ましい。これにより、スケール付着抑制性を一層高めることができる。そのメカニズムは十分に解明されていないが、以下のように推測される。尚、高いスケール付着抑制効果を得る観点からは、チタン合金材の平均結晶粒径は高ければ高いほど好ましいが、その上限は、材料表面の状態を良好に保つために、おおよそ100μm程度となる。
P−Sn−Ti合金は、Pの母合金とその他の材料(例えば純チタン等)とを一緒に溶解して作製される。このときPの溶解度は、(チタンの液相での溶解度)>(チタンのβ相での溶解度)>(チタンのα相での溶解度)であり、材料中の一部のPは結晶粒界などに析出し、残部は過飽和に固溶した状態となる。チタン結晶粒に固溶しているPは、チタンの不動態皮膜に守られて、外部の反応に関与できない。つまりチタン結晶粒に固溶しているPは、スケール付着抑制効果を十分に発揮することができない。これに対し、結晶粒界の界面に析出したPはスケール付着抑制効果を十分に発揮する。また結晶粒径が大きくなり結晶粒界の面積が小さくなるほど、該結晶粒界に析出するPの濃度が高くなる。即ち、結晶粒径が大きくなるほどスケール付着抑制効果を発揮するPの濃度が増加して、スケール付着抑制効果が一層高くなるものと考えられる。
本発明のチタン合金材は、例えば、熱交換器、海水蒸発器等の少なくとも、上述した炭酸カルシウムが主成分のスケール付着が問題となる箇所、即ち、水または海水などでミネラル分を多く含んだ媒体を熱媒体として流通させる伝熱部に用いれば、上述した効果が存分に発揮される。より具体的には、例えば、プレート式熱交換器や海水蒸発器では、板状の金属材の表面に多数の波状突起を形成した伝熱板(プレート)で熱交換部材として使用されることが挙げられる。また、管状に形成した金属材を伝熱管として使用される熱交換器や海水蒸発器においても、同様に上述の効果を得ることができる。
次に、本発明のチタン合金材の製造方法について述べる。本発明では、溶解原料を溶解および鋳造し、次いで熱間加工(分塊鍛造または分塊圧延、熱間圧延)を少なくとも行って製造するにあたり、前記溶解の工程で、前記溶解原料としてチタンと共にP含有化合物を溶解する。上述した通り、P単体では、蒸気圧・反応性が高く、現行のチタン合金の溶製方法では、添加が困難である。しかし、P源として上記P含有化合物を原料に用いることにより、上記Pを含むチタン合金材を効率よく製造することができる。
P含有化合物として、上述した通り、Ti−P母合金の他に、安価、入手が容易、かつ高濃度のPを含むため工業的に使用しやすい、Sn−P母合金やCu−P母合金、Fe−P母合金、Ni−P母合金が挙げられる。本発明における「P含有化合物」とは、P量が0.15質量%以上含まれるものをいう。具体的には例えば、Sn−5質量%P、Cu−15質量%P、Cu−8質量%P、Fe−20質量%P、Ni−20質量%P、Ti−39質量%P等が挙げられる。
また、溶解原料を溶解および鋳造し、次いで熱間加工(分塊鍛造または分塊圧延、熱間圧延)を少なくとも行って製造するにあたり、前記分塊鍛造または分塊圧延の加熱温度を890℃以上とすることによって、割れを生じさせることなく製造することができる。
Pはチタン中で析出物(P析出物)となりやすく、また溶解後のインゴット(鋳塊)は、凝固偏析により上記P析出物が局所的に多くなりやすい。P析出物が局所的に多いインゴットに対し熱間加工を施すと、この局所的に多いP析出物(偏析)が原因で加工時に割れが生じやすい。特にインゴットが大型になると偏析の影響が大きくなるため、その後の熱間加工(鍛造等)での割れ防止が必要となる。また上記P析出物は、P含有量が増加するほど多くなる。よってP含有量が多い場合も、P析出物が増加して割れが生じ易いと考えられる。
ところで、Pはα相には固溶しにくく析出物となりやすいが、β相中には微量ながら固溶する。また、一般的にチタンのβ相中の拡散速度はα相中の拡散速度よりも大きく、また温度が高くなると、拡散速度も大きくなる。そのため、組織がβ相主体となれば、均質化が進み偏析の影響が緩和されると考えられる。更にβ相はα相よりも加工性が高い。
本発明者らは、鋳造後の熱間加工時(具体的には、分塊鍛造または分塊圧延時)の加熱温度を890℃以上に高めれば、母相組織を加工性の高い上記β相にでき、かつ偏析の影響を緩和できて、良好に加工を行えることを見い出した。尚、β相中に固溶するPの濃度は微量であり、加熱温度を高温にしても、本発明のうち高濃度のPを含有する材料では、P析出物は残ると思われる。しかし上記加熱温度では、組織が加工性の高いβ相主体となるため、良好に熱間加工(分塊鍛造または分塊圧延)を行うことができると考えられる。
前記加熱温度は、好ましくは900℃以上である。尚、前記加熱温度が高すぎても酸化を進行させてしまうため、前記加熱温度の上限は1200℃程度である。前記加熱温度での保持時間(加熱時間)は、材料のサイズにもよるが例えば10〜20時間とすることができる。
前記熱間加工後、更に冷間圧延を行った後に、平均結晶粒径が10μm以上になるまで(より好ましくは平均結晶粒径が12μm以上になるまで)チタン合金材を熱処理することが好ましい。この場合、前記熱間加工における分塊鍛造または分塊圧延時の加熱温度は特に問わない。
熱処理により平均結晶粒径を大きくすることにすることによって、上述のようにスケール付着抑制効果が一層高くなる。
熱処理条件は、チタン合金材の上記平均結晶粒径が10μm以上となる条件であれば特に問わないが、チタン合金材の酸化抑制等の観点からは、下記条件で熱処理を実施することが好ましい。
熱処理雰囲気は、真空または不活性ガス雰囲気としてチタン合金材の酸化を抑制することが好ましい。真空の場合、雰囲気の圧力は好ましくは1×10−1Pa以下であり、より好ましくは1×10−2Pa以下である。また、上記真空状態となるまで不純物ガスを除去した後に、Arなどの不活性ガスを導入し、不活性ガス雰囲気で熱処理してもよい。特に熱処理を施す材料が大型の場合、不活性ガスを利用すれば、温度ムラの低減、冷却時間の短縮などに有効である。
熱処理時の加熱温度(熱処理温度)は、好ましくは620℃以上、より好ましくは640℃以上であり、好ましくは750℃以下、より好ましくは730℃以下である。また熱処理時の加熱時間(熱処理時間)は、好ましくは2時間以上、より好ましくは12時間以上であり、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下である。この様に比較的低温で長時間の熱処理を行うことによって、チタン結晶粒に過飽和に固溶しているPが粒界に析出し、スケール付着抑制に関与できるPの量を増加させることができる。
前記熱処理の実施時期は、前述の通り、熱間加工後、更に冷間圧延を行った後であればよく、冷間圧延の直後に実施する場合の他、冷間圧延後、別の工程(例えば中間焼鈍や仕上げ焼鈍工程、プレス加工等)を経てから実施してもよい。本発明では、前記熱処理後、更に、プレス加工等の工程を経た場合であっても、上記熱処理による効果を維持することができる。尚、後述する実施例で行う中間焼鈍や仕上げ焼鈍は、比較的高温短時間の熱処理であり、チタン合金材の平均結晶粒径を10μm以上とするための熱処理ではない。本発明では、上記中間焼鈍や仕上げ焼鈍に代えて、または上記中間焼鈍や仕上げ焼鈍に加えて、上記チタン合金材の平均結晶粒径を10μm以上とするための熱処理を行うことができる。
本発明のチタン合金材を製造するにあたり、上記以外の製造条件(前記分塊鍛造等以外の熱間加工など)は、特に問わず一般的な条件を採用することができる。また、このチタン合金材を用いて熱交換器または海水蒸発器等を製造する場合も、これら熱交換器または海水蒸発器等の一般的な製造方法を採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
表3に示す成分組成(残部はチタンおよび不可避不純物、表3における空欄は元素を添加していないことを示す)のチタン合金をアーク溶解法により溶製し、φ40mm、高さ20mmのボタン鋳塊を得た。上述した通りPの単体を用いてアーク溶解法で合金化することは不可能であるため、P源として、Cu−P母合金、Sn−P母合金、Fe−P母合金、Ni−P母合金のいずれか1種以上を用いて合金の溶製を行った。
得られたボタン鋳塊を1000℃に加熱して熱間鍛造(分塊鍛造に相当)した後、830℃に加熱して板厚4.0mmまで熱間圧延した。次いで、得られた熱延材に焼鈍(800℃×5分)を行った後、ショットブラストを行ってから硝フッ酸を用いて酸洗し、板厚3.5mmの熱延焼鈍材を得た。その後、冷間圧延および800℃×5分の中間焼鈍を行い、板厚0.6mmの冷延板を得た。この冷延板に800℃×5分の仕上げ焼鈍を行った。最終の脱スケールを行って、板厚0.5mmの材料を得た。
尚、冷間圧延以降の焼鈍は短時間であり生成するスケール量も少ないため、上記最終の脱スケールとして、400〜600℃のソルトバスに浸漬後、硝フッ酸を用いて酸洗を行った。また、上記いずれの焼鈍も、大気中で行い冷却方法は空冷とした。
得られたチタン合金材を用いて、下記の通り成形性(延性)とスケール付着抑制性を評価した。
〔成形性(延性)の評価〕
作製した0.5mm厚さの材料から、引張荷重軸が圧延方向と平行となるようにASTM E8サブサイズ(平行部の幅6mm、長さ32mm)の引張試験片を採取し、チタン材料では多く用いられるASTMの引張試験規格で、引張試験を実施し、伸びを求めた。熱交換器に組み込むための成形には、圧延方向と平行な方向の伸びで少なくとも35%が必要となる。そのため、上記の引張試験において、伸びが35%以上の場合を延性が高い(成形性に優れる。○)と評価し、伸びが35%未満の場合を延性が低い(成形性に劣る。×)と評価した。
〔スケール付着抑制性の評価〕
作製した板から試料(10mm×50mm)を切り出し、まず試料(スケール付着前)の質量(質量A)を測定した。次いで、炭酸水素ナトリウムおよび塩化カルシウム二水和物の水溶液(1.5g/L NaHCO + 1.3g/L CaCl2・2H2O)を調製し、その中に上記試料を浸漬させた。
上記水溶液を室温から90℃まで昇温した時点で1サイクル終了とし、次サイクルとして新しい上記水溶液を用いて上記昇温を行った。尚、1サイクルにおける試験液の90℃までの昇温には、約6分を要した。各試料につき10サイクル行った後、試料を取り出し、水洗の後、乾燥させて試料(スケール付着後)の質量(質量B)を測定し、上記質量Aと質量Bの差分から、面積当りのスケール付着量(mg/mm2)を算出した。各例につき合計3個の試料について上記測定を行い、上記スケール付着量の平均値を求めた。
そして、上記の製造工程と同じ工程で作製した工業用純チタン(JIS1種)の上記スケール付着量が0.44mg/cmであったことから、スケール付着量がその半分以下、即ち、0.22mg/cm以下である場合を、スケール付着抑制性に優れている(○)と評価し、0.22mg/cm超の場合を、スケール付着抑制性に劣っている(×)と評価した。
これらの評価結果を表3に併せて示す。
Figure 0006085211
表3より次の様に考察できる。
番号1は、Snのみを添加した例でありPを含んでいないため、スケール付着抑制効果が得られなかった。尚、番号7に示すように、Pを含有させずにSn量のみを増加させてもスケール付着抑制効果は得られない。
番号2は、P源としてCu−P母合金を用いた例であり、P、SnおよびCuが規定範囲内であるのでスケール付着抑制性と成形性の両特性に優れている。番号3は、P、SnおよびCuの各含有量が番号2の各含有量の1/10の例である。この番号3から、各元素の含有量が所定範囲内において少ない場合にも、優れたスケール付着抑制性と成形性を確保できることがわかる。尚、表3には示していないが、番号2の伸びが47.7%であったのに対し番号3の伸びは50.1%であり、番号3は、全体の合金添加濃度が低いため、より高い延性が得られた。番号3の様にP量が極めて低濃度でもスケール付着抑制効果が得られるのは、Pがチタン合金材中にほとんど固溶せず、P含有量に関係なく析出物として存在する(P含有量に関係なく存在形態が同じである)ためと考えられる。
番号4は、Pを含んでいるがSnを添加しなかった例である。この様にPのみを含みSnを含まない場合、スケール付着抑制効果が得られないことがわかる。
番号5はP濃度が過剰(0.4質量%)の例である。この番号5の材料は、圧延中に割れが発生した。この割れ発生の原因は、番号5ではSn量は低く抑えられていることから、P含有量増大によるTiP析出物の増加によるものと考えられる。
番号6は、PおよびCuが比較的高濃度の例である。P含有量が多くなるほど、Ti3Pの析出物は顕著に増加したが、番号6の通りP量が0.24質量%であり、Cu量が1.36質量%の場合は、目標とする35%以上の高い延性が得られた。
番号8は、Snが過剰に含まれており、式(1)も満たしていないため、延性に劣るものとなった。
また番号13は、Pが過剰に含まれており、式(1)も満たしていないため、優れた延性が得られていない。
番号9は、番号2と比較してSn量が10倍の例であるが、規定の成分組成を満たしているため、スケール付着抑制性と延性に優れている。
番号10、番号11および番号12に示すように、PおよびSnを添加すれば、P源の材料としてCu−P母合金以外の材料(番号10はSn−P母合金、番号11はFe−P母合金、番号12はNi−P母合金)を用いた場合であっても、優れたスケール付着抑制性が得られることがわかる。
[実施例2]
表4に示す成分組成(残部はチタンおよび不可避不純物、表4における空欄は元素を添加していないことを示す)のチタン合金を溶製したことを除き、実施例1と同様にして板厚0.5mmの材料(チタン合金材)を得た。
そして実施例1と同様にして各材料のスケール付着量を求めた。本実施例では、スケール付着量の平均値をそのまま評価に用いた。その結果を表4に併せて示す。尚、表4の番号1は、参考までに、上記の製造工程と同じ工程で作製した工業用純チタン(JIS1種)を示したものである。また、表4の番号5は、表3の番号10と同一であり、表4の番号7は、表3の番号2と同一である。表4の番号9は、表3の番号11と同一であり、表4の番号11は、表3の番号12と同一である。
Figure 0006085211
表4より次のことがわかる。番号2〜11は、いずれもスケール付着量が通常材の半分以下を満たしている。この中でも、番号2〜6および9〜11(特には番号6)と、番号7および8との対比から、Cu含有量を0.30質量%以下とすれば、通常材(番号1)のスケール付着量の1/3以下(0.146mg/cm2以下)、即ち、より優れたスケール付着抑制性を達成できることがわかる。
[実施例3]
表5に示す成分組成(残部はチタンおよび不可避不純物、表5における空欄は元素を添加していないことを示す)のチタン合金を溶製したことを除き、実施例1と同様にしてボタン鋳塊(φ40mm、高さ20mm)を得た。そして得られたボタン鋳塊を、分塊鍛造時の加熱を模擬して、表5に示す加熱温度(鍛造温度)で2時間加熱してから、分塊鍛造を模擬して円柱の直径方向に80%の圧縮加工を行った。そして該圧縮加工後の割れの発生有無を確認した。割れが生じなかったものを「○」、割れが生じたものを「×」と評価した。その結果を表5に併記する。
Figure 0006085211
表5より次のことがわかる。番号1〜5は、規定の加熱温度よりも低い温度で加熱したため、いずれも割れが生じた。これに対し、番号6〜19の結果からは、P、Sn、Cu、Fe、Niのいずれの元素を含んでいても、規定の加熱温度(890℃以上)で加工を行っているため、割れが生じなかった。
[実施例4]
0.06質量%のPおよび1.14質量%のSnを含み、残部がチタンおよび不可避不純物からなるボタン鋳塊を用いて実施例1と同一の方法でチタン合金材を2つ得た。そして、本実施例では更に、得られたチタン合金材の一方に熱処理(真空焼鈍)を施した。具体的には、1×10−2Pa以下の真空中で700℃、24時間焼鈍し、続いて90kPaのAr雰囲気中で冷却した。
この様にして得られた熱処理を施したチタン合金材と熱処理を施していないチタン合金材とを用いて、下記の通り平均結晶粒径の測定を行うと共に、実施例1と同一の方法でスケール付着抑制性と成形性(延性)を評価した。尚、本実施例では、スケール付着量の平均値をそのままスケール付着抑制性の評価に用いた。これらの評価結果を表6に併せて示す。
〔平均結晶粒径の測定〕
倍率400倍で撮影した光学顕微鏡写真において、任意の位置に長さ50mmの直線を1〜3本、結晶粒を20個以上通過するように引き、この直線と交わる粒界の数を数え、直線の実スケールでの長さ(50mm/400=直線1本あたり125μm)を直線と交わる粒界の数で除することによって平均結晶粒径を算出した。
Figure 0006085211
表6より、上記熱処理を施したチタン合金材は、上記熱処理を施していないチタン合金材に比べて平均結晶粒径が大きく、スケール付着量が飛躍的に減少していることがわかる。

Claims (9)

  1. P:0.005〜0.30質量%、およびSn:0.01〜3.0質量%を含み、残部がTiおよび不可避不純物であることを特徴とするスケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材。
  2. 更に、Cu、FeおよびNiよりなる群から選択される1種以上の元素を含み、かつ下記式(1)を満たす請求項1に記載のチタン合金材。
    Cu+4.9Fe+1.3Ni+0.5Sn≦1.6 …(1)
    [式(1)において、Cu、Fe、Ni、Snは、チタン合金材中の各元素の含有量(質量%)を示す。]
  3. 前記Cuの含有量が0.30質量%以下(0質量%を含む)である請求項2に記載のチタン合金材。
  4. 平均結晶粒径が10μm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のチタン合金材。
  5. 熱交換器または海水蒸発器に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のチタン合金材。
  6. 溶解原料を溶解および鋳造し、次いで熱間加工を少なくとも行って請求項1〜5のいずれかに記載のチタン合金材を製造する方法であって、
    前記溶解の工程では、前記溶解原料としてチタンと共にP含有化合物を溶解することを特徴とするスケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材の製造方法。
  7. 溶解原料を溶解および鋳造し、次いで分塊鍛造または分塊圧延を含む熱間加工を少なくとも行って請求項1〜5のいずれかに記載のチタン合金材を製造する方法であって、
    前記分塊鍛造または分塊圧延の加熱温度を890℃以上とすることを特徴とするスケール付着抑制性と成形性に優れたチタン合金材の製造方法。
  8. 前記熱間加工後、更に冷間圧延を行った後に、平均結晶粒径が10μm以上になるまでチタン合金材を熱処理する工程を含む請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載のチタン合金材が、水または海水を媒体として流通させる伝熱部に用いられていることを特徴とする熱交換器または海水蒸発器。
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