(実施の形態の要約)
実施の形態に係る信号処理装置は、第1の信号乃至第nの信号(nは3以上の整数)の順に取得する第1のパターン、及び第iの信号乃至第nの信号、第1の信号乃至第(i−1)の信号の順(ただし、i=1の場合は第1のパターンと同じ順、i=2の場合は第2の信号乃至第nの信号、第1の信号の順、i=nの場合は第nの信号、第1の信号乃至第(n−1)の信号の順)に取得する第2のパターン、を交互に繰り返すことで、第1の信号乃至第nの信号を取得する基本周期は変えずに、それぞれの信号が取得される取得周期を変更する信号取得部を備えて概略構成されている。
この信号処理装置は、不可避的に信号に付加された周期的なノイズによる信号の振幅の変化を抑制すると共に処理の負荷を抑制することができる。具体的には、信号に不可避的に付加されるノイズの周期が、信号の周期の整数倍であると、例えば、周期的なノイズの最大値付近の値が信号に加算されて、信号の振幅の幅が大きくなることが考えられる。信号の振幅が、ノイズのために大きくなると、振幅の大きさに基づいて操作を判定するような場合に誤判定を行う場合がある。
しかし、この信号処理装置は、第1のパターンと第2のパターンを交互に繰り返すことにより、第1のパターン及び第2のパターンの周期、つまり信号を取得するための基本周期は変えずに、第1の信号を取得する周期、第iの信号を取得する周期、言い換えるなら、第1の信号〜第nの信号を取得する取得周期が変更されるので、信号を同じ周期で取得する場合と比べて、取得した信号の平均を算出する平均化処理により、容易に信号の振幅の変化を抑制することができる。
また信号処理装置は、第1のパターンと第2のパターンを交互に繰り返すことで、それぞれの信号が取得される取得周期を変更するので、ノイズの周期を測定し、当該ノイズの周期と異なる周期を生成して当該ノイズの影響を排除する場合と比べて、未知の周期を有するノイズにも有効でありながら処理の負荷が小さい。
[第1の実施の形態]
(信号処理装置1の構成)
図1は、第1の実施の形態に係る信号処理装置のブロック図である。本実施の形態に係る信号処理装置1は、図1に示すように、取得された第1の信号S1〜第5の信号S5に予め定められた処理を施して、処理した結果である処理情報S50を電磁気的に接続された電子機器(含む電子回路)に出力するように概略構成されている。
信号処理装置1は、連続的に信号を取得する際の基本周期は変更せずに、後述する第1のパターンと第2のパターンを交互に繰り返すことで、不可避的なノイズの影響を受けてノイズが加算された第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する取得周期を変更し、取得後に行われる信号の平均化処理により、ノイズの影響を抑制することが可能となっている。
なお電磁気的に接続とは、信号処理装置1と、当該電子機器とが、導電体を用いた有線通信、電磁波の一種である光を用いた光通信、及び電磁波の一種である電波を用いた無線通信の少なくとも1つを用いて接続されることを示している。
具体的には、信号処理装置1は、第1の信号S1〜第5の信号S5の順に取得する第1のパターン160、及び第iの信号Si〜第5の信号S5、第1の信号S1〜第(i−1)の信号Si―1の順(ただし、i=1の場合は第1のパターン160と同じ順、i=2の場合は第2の信号S2〜第5の信号S5、第1の信号S1の順、i=5の場合は第5の信号S5、第1の信号S1〜第4の信号S4の順)に取得する第2のパターン161、を交互に繰り返すことで、第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する基本周期は変えずに、それぞれの信号が取得される取得周期を変更する信号取得部としての制御部10を備えて概略構成されている。
なお、上述の第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する基本周期を変えないとは、第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する順番は変わるものの、第1の信号S1〜第5の信号S5の組を取得する周期は変わらない、言い換えるなら、信号を取得するために出力される後述する切替信号S20の周期(基本周期)は変わらないことを示している。従って、第1のパターン160と第2のパターン161とは、同じ周期で実行される。
またそれぞれの信号が取得される取得周期とは、例えば、第1の信号S1が複数取得された場合、この第1の信号S1間の時間間隔を示している。
また信号処理装置1は、図1に示すように、第1の信号S1〜第5の信号S5が入力し、制御部10の制御に基づいて制御部10との接続を切り替えて第1の信号S1〜第5の信号S5から選ばれた信号を制御部10に出力する切替部12と、切替部12から出力された選ばれた信号を処理して得られた処理値S30を制御部10に出力する信号処理部14と、第1のパターン160及び第2のパターン161を記憶する第1の記憶部16と、信号処理部14から出力された処理値S30を第1の信号S1〜第5の信号S5に関連付けて時系列的に蓄積した蓄積情報180を記憶する第2の記憶部18と、クロック信号S40を生成するクロック信号生成部20と、後述するカウント情報220を生成するカウント部22と、信号処理装置1に接続された電子機器と通信を行う通信部24と、を備えて概略構成されている。
(制御部10の構成)
制御部10は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得した信号等に演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部10が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果等を格納する記憶領域として用いられる。
この制御部10は、第1のパターン160及び第2のパターン161に基づいて切替部12を制御する切替信号S20を生成し、切替部12に出力するように構成されている。この切替信号S20を出力する周期が、信号を取得する基本周期となる。なお、第1のパターン160及び第2のパターン161を用いた信号の取得については、後述するものとする。
また制御部10は、例えば、第2の記憶部18に記憶された蓄積情報180に基づいて取得した信号の平均化処理を実行するように構成されている。この平均化処理は、一例として、第1の信号S1に基づく処理値S30を複数蓄積し、蓄積された複数の処理値S30の平均を算出する処理である。
(切替部12の構成)
切替部12は、例えば、入力する複数の信号から選択された信号としての第jの信号Sjを出力するように構成されたマルチプレクサである。なお、本実施の形態におけるjは、1以上5以下の整数である。
具体的には、切替部12は、制御部10から出力された切替信号S20に基づいて、入力する第1の信号S1〜第5の信号S5のいずれかの信号を、信号処理部14を介して制御部10に出力するように構成されている。
切替部12は、クロック信号生成部20が生成するクロック信号S40に基づいたタイミングで信号の切り替えを行うように構成されている。
(信号処理部14の構成)
信号処理部14は、入力した第1の信号S1〜第5の信号S5を処理した処理値S30を生成し、制御部10に出力するように構成されている。
この処理は、一例として、アナログ信号をデジタル化する処理、取得した信号から静電容量の値を算出する処理、複数の信号に基づいて検出対象物の位置の座標を算出する処理等である。
(第1の記憶部16の構成)
第1の記憶部16は、例えば、半導体メモリを用いた記憶装置である。この第1の記憶部16に記憶された第1のパターン160は、制御部10に読み込まれることにより、第1の信号S1〜第5の信号S5の順に信号を取得するように切替部12を制御させることが可能となるように構成されている。
また第1の記憶部16に記憶された第2のパターン161は、制御部10に読み込まれることにより、第iの信号Si〜第5の信号S5、第1の信号S1〜第(i−1)の信号Si−1の順(ただし、i=1の場合は第1のパターン160と同じ順、i=2の場合は第2の信号S2〜第5の信号S5、第1の信号S1の順、i=5の場合は第5の信号S5、第1の信号S1〜第4の信号S4の順)に信号を取得するように切替部12を制御させることが可能となるように構成されている。
なお、変形例として、第2のパターン161は、制御部10に読み込まれることにより、第iの信号Si〜第5の信号S5、第1の信号S1〜第(i−1)の信号Si−1の順(ただし、i≠1、i=2の場合は第2の信号S2〜第5の信号S5、第1の信号S1の順、i=5の場合は第5の信号S5、第1の信号S1〜第4の信号S4の順)に信号を取得するように切替部12を制御させることが可能となるように構成されても良い。
(第2の記憶部18の構成)
第2の記憶部18は、例えば、半導体メモリを用いた記憶装置である。この第2の記憶部18が記憶する蓄積情報180は、例えば、時系列的に蓄積された第1の信号S1の複数の処理値S30、第2の信号S2の複数の処理値S30、第3の信号S3の複数の処理値S30、第4の信号S4の複数の処理値S30、及び第5の信号S5の複数の処理値S30を含んで構成されている。
一例として、第1の信号S1〜第5の信号S5が、異なる場所に設置された温度センサからの温度の情報を含む信号であった場合、信号処理部14により温度の情報を抽出するように処理された後、第1の場所に設置された温度センサの時間ごとの温度である、第1の信号S1に基づいた複数の処理値S30、第2の場所〜第5の場所に設置された温度センサの時間ごとの温度である、第2の信号S2〜第5の信号S5の複数の処理値S30が、蓄積情報180として第2の記憶部18に記憶される。
(クロック信号生成部20の構成)
クロック信号生成部20は、信号処理装置1が動作するための基準となるクロック信号S40を生成するように構成されている。制御部10は、このクロック信号S40に基づいた基本周期で、第1の信号S1〜第5の信号S5を取得するように構成されている。
(カウント部22の構成)
カウント部22は、制御部10の制御に基づいてカウント値x及びカウント値yのカウントアップ及びリセットを行うように構成されている。カウントアップは、カウント値x及びカウント値yを+1増加させることで行われる。
カウント値xは、第2のパターン161に基づいて取得される先頭の信号の選択に関するカウント値である。カウント値xは、信号処理装置1が起動した後に初めて制御部10により参照される場合は、2から始まり、設定値Xまでカウントされた後、リセットされるものである。リセットされた後のカウント値xは、1である。この設定値Xは、第2のパターン161が実行された後にカウントアップされこと、及び信号の種類が5種類であること、から6である。
これは、信号処理装置1が起動して初めて第1のパターン160が実行された後、続いて第2のパターン161が実行される場合は、先頭の信号として第2の信号S2の取得から始まるからである。なお、信号処理装置1は、例えば、起動して初めて第1のパターン160が実行された後、第1の信号S1の取得から第2のパターン161が始まっても良い場合は、カウント値xは1から始まり、リセット後のカウント値xもまた1である。
カウント値yは、信号の平均化処理に関するカウント値である。例えば、制御部10が、各信号を32回取得した後に、平均化処理を実行する場合、このカウント値の設定値Yは、初期値が1に設定されていれば、33となる。つまり、制御部10は、カウント値yが、設定値Y(=33)と等しい場合、平均化処理を実行し、その結果を処理情報S50として通信部24を介して出力するように構成されている。リセットされた後のカウント値yは、1である。
(通信部24の構成)
通信部24は、例えば、信号処理装置1と電磁気的に接続された電子機器と通信を行うことが可能となるように構成されている。
なお、切替部12、信号処理部14、第1の記憶部16、第2の記憶部18、クロック信号生成部20、カウント部22、及び通信部24の少なくとも1つは、制御部10と共にひとつのチップ内に設けられても良い。また、切替部12は、例えば、制御部10が有する機能として実現されても良い。
(信号を取得する取得周期について)
図2(a)〜(f)は、第1の実施の形態に係る信号処理装置の動作を説明するための概略図である。この図2(a)は、一例として、信号処理装置1が影響を受ける不可避的な周期的なノイズの波形を示している。図2(b)は、第1の信号S1を取得するタイミングを示す矩形波、(c)は、第2の信号S2を取得するタイミングを示す矩形波、(d)は、第3の信号S3を取得するタイミングを示す矩形波、(e)は、第4の信号S4を取得するタイミングを示す矩形波、及び(f)は、第5の信号S5を取得するタイミングを示す矩形波を示している。信号の取得は、図2(b)〜(f)に示す矩形波の立ち上がりで行われるものとする。
なお、図2では、時間の間隔tは、クロック信号S40に基づいて決まる間隔であるものとし、時間t0〜t40は、同じ間隔であるものとする。この時間間隔tは、切替信号S40が出力される周期であり基本周期である。
信号処理装置1が図2(a)に示すような周期的なノイズの影響を受けた場合、第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する際に、このノイズが加算されて信号処理部14に入力することが考えられる。
このノイズの影響を抑制する方法としては、例えば、信号を複数回取得して平均を算出する平均化処理が知られている。しかし、一例として、信号を取得する周期がノイズの周期のほぼ整数倍で、ノイズの最大値に近い値が信号に常に加算されるような場合、平均化処理では、ノイズの影響の抑制が困難となる。つまり、平均化処理は、ノイズの周期が既知である場合、信号を取得する周期をずらすことで有効となるが、ノイズの周期が未知である場合、十分に効果が得られないことがある。
このように、ノイズの周期が未知である場合、信号を取得する周期がノイズの周期の整数倍とならないように、周期をいろいろな周期に変更することでノイズの影響を抑制する方法がある。しかし、この方法は、信号を取得する周期を複数の異なる周期に変更するので、例えば、処理能力の高いマイクロコンピュータを使用しなければならない問題がある。
本実施の形態における信号処理装置1は、第1のパターン160と第2のパターン161を交互に実施することにより、信号を取得する基本周期は変更しないものの、信号ごとの取得周期を変更することができるので、周期的なノイズの影響を抑制することが可能となる。
図2(a)〜(f)は、第1のパターン160及び第2のパターン161の組み合わせを4回行った場合の基本周期と取得周期について図示されている。
この図2(b)〜(f)は、第1の信号S1〜第5の信号S5(第1のパターン160)の順、第2の信号S2〜第5の信号S5、第1の信号S1(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第3の信号S3〜第5の信号S5、第1の信号S1、第2の信号S2(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第4の信号S4、第5の信号S5、第1の信号S1〜第3の信号S3(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第5の信号S5、第1の信号S1〜第4の信号S4(第2のパターン161)の順、に信号を取得している様子を示している。
第1の信号S1は、図2(b)に示すように、時間t0、時間t9、時間t10、時間t18、時間t20、時間t27、時間t30、時間t36及び時間t40において、取得されている。従って時間間隔tを用いて周期を表すと、周期T11は、時間t0〜時間t9(9t)、周期T12は、時間t9〜時間t10(1t)、周期T13は、時間t10〜時間t18(8t)、周期T14は、時間t18〜時間t20(2t)、周期T15は、時間t20〜時間t27(7t)、周期T16は、時間t27〜時間t30(3t)、周期T17は、時間t30〜時間t36(6t)、及び周期T18は、時間t36〜時間t40(4t)である。
つまり、第1の信号S1は、取得周期が、9t、1t、8t、2t、7t、3t、6t、4tとなり、取得する度に取得周期が異なっている。その結果、信号処理装置1は、図2(a)に示すように、影響するノイズの値がばらつくので、平均化処理により影響を小さくすることが可能となる。
第2の信号S2は、図2(c)に示すように、時間t1、時間t5、時間t11、時間t19、時間t21、時間t28、時間t31及び時間t37において、取得されている。従って第2の信号S2は、取得周期が、4t(T21)、6t(T22)、8t(T23)、2t(T24)、7t(T25)、3t(T26)及び6t(T27)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第3の信号S3は、図2(d)に示すように、時間t2、時間t6、時間t12、時間t15、時間t22、時間t29、時間t32及び時間t38において、取得されている。従って第3の信号S3は、取得周期が、4t(T31)、6t(T32)、3t(T33)、7t(T34)、7t(T35)、3t(T36)及び6t(T37)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第4の信号S4は、図2(e)に示すように、時間t3、時間t7、時間t13、時間t16、時間t23、時間t25、時間t33及び時間t39において、取得されている。従って第4の信号S4は、取得周期が、4t(T41)、6t(T42)、3t(T43)、7t(T44)、2t(T45)、8t(T46)及び6t(T47)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第5の信号S5は、図2(f)に示すように、時間t4、時間t8、時間t14、時間t17、時間t24、時間t26、時間t34及び時間t35において、取得されている。従って第5の信号S5は、取得周期が、4t(T51)、6t(T52)、3t(T53)、7t(T54)、2t(T55)、8t(T56)及び1t(T57)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
一方図2(a)〜(f)に示すように、第1のパターン160は、周期T1、周期T3、周期T5及び周期T7で実行されるが、この周期は同一周期(5t)である。また第2のパターン161は、周期T2、周期T4、周期T6及び周期T8で実行されるが、この周期は同一周期(5t)であると共に第1のパターン160とも同一周期である。従って、信号処理装置1は、同一の周期である第1のパターン160と第2のパターン161を交互に実行することにより、第1の信号S1〜第5の信号S5を取得する基本周期は、変更せずに、各信号を取得する取得周期を変更することが可能となる。
以下では、本実施の形態の信号処理装置1の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
(動作)
まず、信号処理装置1の制御部10は、電力が供給された後、第1の記憶部16から第1のパターン160を読み出し、第1のパターン160を実行する(S1)。
具体的には、制御部10は、第1のパターン160に基づいて切替信号S20を生成し、切替部12に出力する。切替部12は、取得した切替信号S20に基づいて第1の信号S1〜第5の信号S5の順に接続を切り替える。信号処理部14は、取得した信号に処理を実行して処理値S30を生成し、制御部10に出力する。制御部10は、取得した第1のパターン160の処理値S30を第1の信号S1〜第5の信号S5に関連付けると共に、時系列的に蓄積した蓄積情報180として第2の記憶部18に記憶させる。
制御部10は、第1のパターン160の実行が終了した後、カウント部22に記憶されたカウント情報220に基づいてカウント値xを確認する(S2)。
制御部10は、第1の記憶部16から第2のパターン161を読み出し、確認したカウント値xに基づいて第2のパターン161を実行する(S3)。
具体的には、制御部10は、カウント値xに基づいて取得する先頭の信号を判定し、その信号から始まる第2のパターン161に基づいて切替信号S20を生成し、切替部12に出力する。
切替部12は、取得した切替信号S20に基づいて第iの信号Si〜第5の信号S5、第1の信号S1〜第(i−1)の信号Si−1の順(ただし、i=1の場合は第1のパターン160と同じ順、i=2の場合は第2の信号S2〜第5の信号S5、第1の信号S1の順、i=5の場合は第5の信号S5、第1の信号S1〜第4の信号S4の順)に接続を切り替える。
信号処理部14は、取得した信号に処理を実行して処理値S30を生成し、制御部10に出力する。制御部10は、取得した第2のパターン161の処理値S30を蓄積情報180として第2の記憶部18に記憶させる。
制御部10は、第2のパターン161の実行が終了した後、カウント部22を制御し、カウント値x及びカウント値yをカウントアップしてカウント情報220を更新させる(S4)。
制御部10は、カウント部22から、更新したカウント情報220を取得し、カウント値xが設定値Xであるか否かを判定する。制御部10は、カウント値xが設定値X(=6)である場合(S5:Yes)、カウント部22を制御し、カウント値xをリセットさせると共に(S6)、カウント値yを確認する。
次に、制御部10は、カウント値yが設定値Yである場合(S7:Yes)、カウント部22を制御し、カウント値yをリセットさせてカウント情報220を更新させると共に、第2の記憶部18から蓄積情報180を読み出し、信号ごとに平均化処理を実行して処理信号S50を生成し、通信部24を介して出力する(S8)。
このステップ1〜ステップ8までの動作は、信号処理装置1に電力が供給されなくなるまで継続される。
ここで、ステップ5において、制御部10は、カウント値xが設定値Xではない場合(S5:No)、ステップ1に戻って第1のパターン160を実行する。
またステップ7において、制御部10は、カウント値yが設定値Yではない場合(S7:No)、ステップ1に戻って第1のパターン160を実行する。
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る信号処理装置1は、不可避的に信号に付加された周期的なノイズによる信号の振幅の変化を抑制すると共に処理の負荷を抑制することができる。具体的には、信号処理装置1は、第1のパターン160と第2のパターン161を交互に繰り返すことにより、基本周期は変えずに、それぞれの信号が取得される取得周期が変更されるので、信号を同じ周期で取得する場合と比べて、取得した信号の平均を算出する平均化処理により、容易に信号の振幅の変化を抑制し、ノイズの影響を抑制することができる。
また信号処理装置1は、第1のパターン160と第2のパターン161を交互に繰り返すことで、それぞれの信号が取得される取得周期を変更するので、周期的なノイズの周期を測定し、当該ノイズの周期と異なる周期を生成して当該ノイズの影響を排除する場合と比べて、周期的なノイズを予め測定する必要がなく、また周期を変更することも必要ないので、処理の負荷が小さくても良い。従って信号処理装置1は、高度な処理を実行することが可能なマイクロコンピュータが必要ないので、低コストで製造することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、静電容量式のタッチセンサからの信号を処理する点で第1の実施の形態と異なっている。
図4は、第2の実施の形態に係る信号処理装置のブロック図である。なお、以下に記載する第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
本実施の形態に係る信号処理装置1は、なされた操作に基づいて第1の信号〜第nの信号(nは3以上の整数)を出力する第1の検出部〜第nの検出部と、第1の検出部〜第nの検出部から取得した第1の信号〜第nの信号の順に信号を取得する第1のパターン160、及び第iの信号〜第nの信号、第1の信号〜第(i−1)の信号の順(ただし、i=1の場合は第1のパターン160と同じ順、i=2の場合は第2の信号〜第nの信号、第1の信号の順、i=nの場合は第nの信号、第1の信号〜第(n−1)の信号の順)に、信号を取得する第2のパターン161を交互に繰り返すことで、第1の信号〜第nの信号を取得する基本周期は変えずに、それぞれの信号が取得される取得周期を変更する制御部10を備えて概略構成されている。なお、以下では、第1の信号〜第nの信号は、第1の信号S1〜第10の信号S10と記載するものとする(ただしn=10)。
第1の検出部〜第10の検出部としての第1の電極41〜第10の電極50は、検出対象物の接近に伴って、静電容量が発生し、この静電容量に応じた信号が第1の信号S1〜第10の信号S10として切替部12に出力される。
この第1の電極41〜第10の電極50は、一例として、車両に搭載された空調装置の設定温度、風量等を変更する際に使われるものであり、一列に並べられたタッチセンサの検出電極である。
信号処理部14は、切替部12を介して入力する第1の信号S1〜第10の信号S10に処理を実行して処理値S30を出力するように構成されている。この処理は、例えば、入力する信号に基づいて静電容量の値を算出する処理である。この静電容量の値が、処理値S30である。
制御部10は、電極と、当該電極から取得した信号を処理した処理値S30と、を時系列的に関連付けた蓄積情報180を第2の記憶部18に記憶させるように構成されている。
また制御部10は、取得された一の電極の処理値S30の平均化処理を行うことで、ノイズの影響を抑制した状態で、この一の電極に操作がなされたか否かを判定するように構成されている。
(信号を取得する取得周期について)
図5(a)〜(k)は、第2の実施の形態に係る信号処理装置の動作を説明するための概略図である。この図5(a)は、一例として、信号処理装置1が影響を受ける周期的なノイズの波形を示している。図5(b)〜(k)は、第1の電極41〜第10の電極50の第1の信号S1〜第10の信号S10を取得するタイミングを示す矩形波を示している。
図5(a)〜(k)は、第1のパターン160及び第2のパターン161の組み合わせを4回行った場合の基本周期及び取得周期について図示されている。
この図5(b)〜(k)は、第1の信号S1〜第10の信号S10(第1のパターン160)の順、第2の信号S2〜第10の信号S10、第1の信号S1(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第3の信号S3〜第10の信号S10、第1の信号S1、第2の信号S2(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第4の信号S4〜第10の信号S10、第1の信号S1〜第3の信号S3(第2のパターン161)の順、第1のパターン160の順、第5の信号S5〜第10の信号S10、第1の信号S1〜第4の信号S4(第2のパターン161)の順、に信号を取得している様子を示している。
第1の信号S1は、図5(b)に示すように、時間t0、時間t19、時間t20、時間t38、時間t40、時間t57、時間t60及び時間t76において、取得されている。従って第1の信号S1は、取得周期が、19t(T11)、1t(T12)、18t(T13)、2t(T14)、17t(T15)、3t(T16)及び16t(T17)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第2の信号S2は、図5(c)に示すように、時間t1、時間t10、時間t21、時間t39、時間t41、時間t58、時間t61及び時間t77において、取得されている。従って第2の信号S2は、取得周期が、9t(T21)、11t(T22)、18t(T23)、2t(T24)、17t(T25)、3t(T26)及び16t(T27)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第3の信号S3は、図5(d)に示すように、時間t2、時間t11、時間t22、時間t30、時間t42、時間t59、時間t62及び時間t78において、取得されている。従って第3の信号S3は、取得周期が、9t(T31)、11t(T32)、8t(T33)、12t(T34)、17t(T35)、3t(T36)及び16t(T37)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第4の信号S4は、図5(e)に示すように、時間t3、時間t12、時間t23、時間t31、時間t43、時間t50、時間t63及び時間t79において、取得されている。従って第4の信号S4は、取得周期が、9t(T41)、11t(T42)、8t(T43)、12t(T44)、7t(T45)、13t(T46)及び16t(T47)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第5の信号S5は、図5(f)に示すように、時間t4、時間t13、時間t24、時間t32、時間t44、時間t51、時間t64及び時間t70において、取得されている。従って第5の信号S5は、取得周期が、9t(T51)、11t(T52)、8t(T53)、12t(T54)、7t(T55)、13t(T56)及び6t(T57)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第6の信号S6は、図5(g)に示すように、時間t5、時間t14、時間t25、時間t33、時間t45、時間t52、時間t65及び時間t71において、取得されている。従って第6の信号S6は、取得周期が、9t(T61)、11t(T62)、8t(T63)、12t(T64)、7t(T65)、13t(T66)及び6t(T67)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第7の信号S7は、図5(h)に示すように、時間t6、時間t15、時間t26、時間t34、時間t46、時間t53、時間t66及び時間t72において、取得されている。従って第7の信号S7は、取得周期が、9t(T71)、11t(T72)、8t(T73)、12t(T74)、7t(T75)、13t(T76)及び6t(T77)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第8の信号S8は、図5(i)に示すように、時間t7、時間t16、時間t27、時間t35、時間t47、時間t54、時間t67及び時間t73において、取得されている。従って第8の信号S8は、取得周期が、9t(T81)、11t(T82)、8t(T83)、12t(T84)、7t(T85)、13t(T86)及び6t(T87)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第9の信号S9は、図5(j)に示すように、時間t8、時間t17、時間t28、時間t36、時間t48、時間t55、時間t68及び時間t74において、取得されている。従って第9の信号S9は、取得周期が、9t(T91)、11t(T92)、8t(T93)、12t(T94)、7t(T95)、13t(T96)及び6t(T97)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
第10の信号S10は、図5(k)に示すように、時間t9、時間t18、時間t29、時間t37、時間t49、時間t56、時間t69及び時間t75において、取得されている。従って第10の信号S10は、取得周期が、9t(T101)、11t(T102)、8t(T103)、12t(T104)、7t(T105)、13t(T106)及び6t(T107)となり、取得する度に取得周期が異なっている。
一方図5(a)〜(f)に示すように、第1のパターン160は、周期T1、周期T3、周期T5及び周期T7で実行されるが、この周期は同一周期(10t)である。また第2のパターン161は、周期T2、周期T4、周期T6及び周期T8で実行されるが、この周期は同一周期(10t)であると共に第1のパターン160とも同一周期である。従って、信号処理装置1は、同一の周期である第1のパターン160と第2のパターン161を交互に実行することにより、第1の信号S1〜第10の信号S10の基本周期は、変更せずに、信号を取得する取得周期を変更することが可能となる。
以下では、本実施の形態の信号処理装置1の動作について説明する。なお動作の説明では、第1の実施の形態において用いた図3のフローチャートを参照しながら説明する。
(動作)
まず、信号処理装置1の制御部10は、電力が供給された後、第1の記憶部16から第1のパターン160を読み出し、第1のパターン160を実行する(S1)。
具体的には、制御部10は、第1のパターン160に基づいて切替信号S20を生成し、切替部12に出力する。切替部12は、取得した切替信号S20に基づいて第1の電極41〜第10の電極50の順に接続を切り替える。信号処理部14は、取得した第1の信号S1〜第10の信号S10に処理を実行して静電容量を示す処理値S30を生成し、制御部10に出力する。制御部10は、取得した第1のパターン160の処理値S30を第1の電極41〜第10の電極50に関連付けると共に、時系列的に蓄積した蓄積情報180として第2の記憶部18に記憶させる。
制御部10は、第1のパターン160の実行が終了した後、カウント部22に記憶されたカウント情報220に基づいてカウント値xを確認する(S2)。
制御部10は、第1の記憶部16から第2のパターン161を読み出し、確認したカウント値xに基づいて第2のパターン161を実行する(S3)。
具体的には、制御部10は、カウント値xに基づいて取得する先頭の電極を判定し、その電極から始まる第2のパターン161に基づいて切替信号S20を生成し、切替部12に出力する。
切替部12は、取得した切替信号S20に基づいて第iの電極〜第10の電極50、第1の電極41〜第(i−1)の電極の順(ただし、i=1の場合は第1のパターン160と同じ順、i=10の場合は第10の電極50、第1の電極41〜第9の電極49の順)に接続を切り替える。
信号処理部14は、取得した信号に処理を実行して処理値S30を生成し、制御部10に出力する。制御部10は、取得した第2のパターン161の処理値S30を蓄積情報180として第2の記憶部18に記憶させる。
制御部10は、第2のパターン161の実行が終了した後、カウント部22を制御し、カウント値x及びカウント値yをカウントアップしてカウント情報220を更新させる(S4)。
制御部10は、カウント部22から、更新したカウント情報220を取得し、カウント値xが設定値Xであるか否かを判定する。制御部10は、カウント値xが設定値X(=11)である場合(S5:Yes)、カウント部22を制御し、カウント値xをリセットさせると共に(S6)、カウント値yを確認する。
次に、制御部10は、カウント値yが設定値Y(=33)である場合(S7:Yes)、カウント部22を制御し、カウント値yをリセットさせてカウント情報220を更新させると共に、第2の記憶部18から蓄積情報180を読み出し、信号ごとに平均化処理を実行して処理信号S50を生成し、通信部24を介して出力する(S8)。
このステップ1〜ステップ8までの動作は、信号処理装置1に電力が供給されなくなるまで継続される。
ここで、ステップ5において、制御部10は、カウント値xが設定値Xではない場合(S5:No)、ステップ1に戻って第1のパターン160を実行する。
またステップ7において、制御部10は、カウント値yが設定値Yではない場合(S7:No)、ステップ1に戻って第1のパターン160を実行する。
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態に係る信号処理装置1は、周期的なノイズが、静電容量を示す第1の信号S1〜第10の信号S10に付加された場合であっても、それぞれの信号を取得する取得周期を変更することができるので、ノイズの影響による操作の誤判定を抑制すると共に、周期を変更するものと比べて、処理の負荷が小さくて済み、低コストで製造することができる。
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の信号処理装置1によれば、不可避的に信号に付加された周期的なノイズによる信号の振幅の変化を抑制すると共に処理の負荷を抑制することが可能となる。
上述の実施の形態及び変形例に係る信号処理装置1は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現される。
なお、ASICとは、特定用途向け集積回路であり、FPGAとは、プログラミングすることができるLSI(大規模集積回路:Large Scale Integration)である。
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。